■健康な犬と猫の糞便パラメーターに対するガラクト-オリゴ糖の効果
The effects of galacto-oligosaccharides on faecal parameters in healthy dogs and cats
Res Vet Sci. 2023 Dec 28:167:105116.
doi: 10.1016/j.rvsc.2023.105116. Online ahead of print.
Ronald Jan Corbee
この研究の目的は、健康な犬と猫における糞便パラメーターに対するガラクトオリゴ糖(GOS)の効果を評価することだった。
このために、20頭の犬と20頭の家猫短毛猫に、市販で入手可能な成犬フードとキャットフードを給餌し、クロスオーバー計画で56日間、GOS(1%wガラクトオリゴ糖/w調整食)を含むシロップをトッピングする群(テスト群)としない群(コントロール群)とした。
この研究は24日間順応の2ピリオド、続いて4日の糞便収集から成った。糞便サンプルは、水分量、窒素、pH、多量養素、酵素、発酵産物に対して検査した。糞便微生物叢は16SrDNAプロファイリングで解析した。
GOSは猫と比べて犬で異なる作用を持つと思われた。犬において、GOSの追加は、炭水化物発酵を増加させた(酢酸と酪酸の増加)が、猫におけるGOSは、アミノ酸発酵を増加(イソ吉草酸の増加)させた。犬の糞便微生物叢のα-多様性は、食餌中GOSで減少した(逆シンプソン指数、p=0.063;シャノン指数、p=0.035)が、猫の糞便微生物叢のα-多様性に影響はなかった(逆シンプソン指数、p=0.539;シャノン指数、p=0.872)。犬と猫共にLachnospiraceae
spp.とBifidobacterium spp.は、GOSに肯定的に反応した。犬においてLactobacillus spp.とEnterobacteriaceae
spp.は、GOSに肯定的に反応した。
以上から犬と猫共に、GOSは糞便の微生物叢を改善し、腸の健康に有益な特性の代謝物の産生を起こすと思われる。(Sato訳)
■ドライフードは犬の酸化/抗酸化プロフィールに影響する
Dry food affects the oxidative/antioxidant profile of dogs
Vet Med Sci. 2023 Jan 12.
doi: 10.1002/vms3.1064. Online ahead of print.
Alexandra Usuga , Benjamín Alberto Rojano , Juan Camilo Duque , Carolina Mesa , Oliver Restrepo , Luis Miguel Gomez , Giovanni Restrepo
Free article
背景:犬の餌に抗酸化剤を十分な濃度で入れることは、フリーラジカルや活性酸素(ROS)の作用に対し、それらの脆弱性を減らすために推奨されている。犬の酸化ストレスは、広範囲の疾患や障害及び加齢と関係している。犬の抗酸化プロフィールおよび酸化ストレスに対する餌の影響についての報告はほとんどない。
目的:この研究の目的は、犬の酸化/抗酸化プロフィールに対する、ドライのドッグフード4種類の影響を評価することだった。
方法:6頭のオスのビーグル犬を使用した。研究には4種類の実験食を含めた(ドライフードA-D)。各ドライフードは全ての犬に5週間、各給餌間を1週間挟んで、合計24週間給与した。各ドライフードに対し、総フェノール含有(TPC)、総抗酸化力(TAC)および細胞毒性を評価した。各週に採血をし、血漿中のROS、TACを測定した。交差反復測定デザインを使用した。混合モデルは補正し、平均はTukey
testを用いて比較した。
結果:餌AはTPCとTACが最も高い値だった。餌Cは血漿中のROSのレベルが最も低かったが、餌BはTACが最も高かった。同じ犬に異なるドライフードを与えた時でも、犬は血漿の酸化還元状態に対し有意な影響を及ぼした。
結論:ドライフードは犬の血漿の酸化/抗酸化プロフィールに影響を及ぼす;しかし、これは餌の抗酸化プロフィールと無関係と思われる。(Sato訳)
■1日1回の食餌はコンパニオンドッグにおいてより良い健康と関係する:Dog Aging Projectからの結果
Once-daily feeding is associated with better health in companion dogs: results from the Dog Aging Project
Geroscience. 2022 Apr 28.
doi: 10.1007/s11357-022-00575-7. Online ahead of print.
Emily E Bray , Zihan Zheng , M Katherine Tolbert , Brianah M McCoy , Dog Aging Project Consortium; Matt Kaeberlein , Kathleen F Kerr
潜在的アンチエイジング効果に対し、種々の食餌が研究されている。特に、実験齧歯動物において間欠的絶食および時間制限した給餌の研究は、有益な健康結果のエビデンスが見つかっている。コンパニオンドッグは、ヒトと環境を共有する大きな哺乳類で餌の研究をするために独特の機会を示す。Dog
Aging Projectは、2019年から全ての異なる年齢、サイズ、犬種の数千頭のコンパニオンドッグのデータを収集している。
この多様な横断データセットで、食餌頻度と、認知機能(n=10474)および健康状況の9つの幅広いカテゴリー(n=24238)との関連を調査した。性別、年齢、犬種および他の潜在的に混乱させるものをコントロールし、より多い頻度の食餌回数よりも1日1回の食餌の犬の方が、認知機能不全スケールに対する平均スコアがより低く、消化管、歯科、整形外科、腎臓/泌尿、肝臓/膵臓疾患を持つ確率がより低いことが分かった。
ゆえに、1日1回の給餌は複数の領域でより良い健康と関係することを認める。長期データを伴う今後の研究は、コンパニオンドッグの健康に対し、食事回数の潜在的因果関係となる影響に対し、強いエビデンスを提供できる。(Sato訳)
■日本の生肉ベースのドッグフードから分離されたサルモネラの抗菌剤耐性
Anti-microbial resistance of Salmonella isolates from raw meat-based dog food in Japan
Vet Med Sci. 2022 Jan 25.
doi: 10.1002/vms3.739. Online ahead of print.
Shoichiro Yukawa , Ikuo Uchida , Hiroshi Takemitsu , Asako Okamoto , Motomi Yukawa , Seinosuke Ohshima , Yutaka Tamura
Free article
背景:ペットに対する生肉が基となる餌(RMBDs)のサルモネラ汚染は主要な公衆衛生の懸念となっているが、日本では調査されていない。
目的:日本の市場に出ている犬のRMBDsのサルモネラ汚染を調査することと、そのサルモネラ分離菌の抗菌剤耐性プロフィールを調べる
方法:2016年12月から2017年3月の間に、日本の岡山県と大阪府において60の市販のRMBDサンプルを集めた。得られた分離サルモネラ菌は、血清型を決定し、それらの抗菌剤耐性パターンを判定し、PCRによる耐性遺伝子の存在に対し抗菌剤耐性分離菌を調べた。
結果:60のRMBDサンプルのうち7つからサルモネラenterica subsp. entericaが検出された。それらのうち、5つの分離菌はS. Infantis (n = 3)、S. Typhimurium (n = 1) 、S. Schwarzengrund (n = 1)と確認できたが、2つの分離菌の血清型は確認できなかった。全ての分離菌はアンピシリン、セファゾリン、セフォタキシム、ゲンタマイシンに感受性があった。2つの分離菌は1つ以上の抗菌剤に耐性があった;S. Infantis分離菌の1つはストレプトマイシン、カナマイシン、テトラサイクリン、トリメトプリムに耐性で、S. Typhimurium分離菌はナリジクス酸、シプロフロキサシン、クロラムフェニコールに耐性が見られた。S. Schwarzengrund分離菌はテトラサイクリンに耐性があった。また、S. Typhimurium分離菌はSer-83→Pheアミノ酸置換に一致する変異を伴う抗菌剤耐性遺伝子gyrAを持っていた。
結論:この研究の所見は、日本で販売されている犬用のRMBDsは、犬やヒトに対しキノロン耐性分離菌により起こる感染を含むサルモネラ感染の潜在的源となる可能性があることを示唆する。(Sato訳)
■肥満猫の体組成、自発的身体活動、糞便微生物叢に対する中程度のたんぱく質、高繊維食による減量の影響
Effects of weight loss with a moderate-protein, high-fiber diet on body composition, voluntary physical activity, and fecal microbiota of obese cats.
Am J Vet Res. February 2018;79(2):181-190.
Marissa R Pallotto, Maria R C de Godoy, Hannah D Holscher, Preston R Buff, Kelly S Swanson
目的:肥満猫の体重(BW)減少、自発的身体活動、体組成、糞便微生物叢に対する中程度のたんぱく質、高繊維食の制限給餌の影響を調べる
動物:8頭の去勢したオスの成猫
方法:4週間のBW維持後(基準期間の最後の週=0週)、18週にわたり、1週間でBWの約1.5%減の量を給餌した。食餌摂取(毎日)、BW(週2回)、ボディコンディションスコア(毎週)、体組成(4週毎)、血清生化学検査(0、1、2、4、8、12、16週)、身体活動(6週毎)、糞便微生物叢(0、1、2、4、8、12、16週)を評価した。
結果:BW、ボディコンディションスコア、血清トリグリセリド濃度、体脂肪と率は次第に有意に低下した。除脂肪量は12、16週で有意に減少した。BW維持に必要なエネルギーは、肥満猫に対し、NRC指定量より14%少なく、安静時エネルギー必要量より16%多かった。減量に必要なエネルギーは、減量に対するAAHA推奨量(安静時エネルギー必要量の80%)よりも1-4週で11%多く、5-8週で6%少なく、9-18週で16%少なかった。減量に伴いアクチノバクテリアの相対量は増加し、バクテロイデスの相対量は減少した。
結論と臨床関連:猫の減量に対し、中程度のたんぱく質、高繊維食の制限給餌は安全で効果的な方法と思われた。不妊した猫のエネルギー必要量は過大評価されているかもしれず、再考すべきである。(Sato訳)
■重度の長期の飢餓からの上手な管理で回復した犬の1例
Successful management and recovery following severe prolonged starvation in a dog.
J Vet Emerg Crit Care. September 2019;29(5):542-548.
DOI: 10.1111/vec.12878
Alison Wui Sing Khoo , Susan M Taylor , Tammy J Owens
目的:長期の食物不足の期間の後、その管理に成功した1頭の犬を述べる
症例サマリー:7歳の未去勢のオスのラブラドールレトリバーが、27日間井戸の罠にかかって、重度の長期飢餓のため、約50%の体重減少と深刻な虚弱を呈した。再給餌中、集中的な静脈補給で電解質濃度を管理した。治療から3週間で、その犬の電解質異常は解消し、創が治癒し、力強さは回復した。その後3か月、ボディコンディションスコアは正常化し、筋肉量は改善した。
新規あるいは独特な情報提供:この報告は、重度栄養失調の犬の再給餌中の管理を述べ、そのような症例の再給餌症候群を防ぐことにおいて、治療考慮が重要かもしれないと強調する。(Sato訳)
■犬の消化器疾患の予防あるいは治療におけるプロバイオティクスの臨床効果
Clinical effect of probiotics in prevention or treatment of gastrointestinal disease in dogs: A systematic review.
J Vet Intern Med. 2019 Jul 16. doi: 10.1111/jvim.15554. [Epub ahead of print]
Jensen AP, Bjørnvad CR.
背景:犬の消化器疾患は一般的で、プロバイオティクスは従来の治療の安全な代替療法を提供できた。
目的:犬の消化器疾患で無治療、対症療法のみ、従来の治療と比べ、プロバイオティクスを予防あるいは治療で使用した時の臨床効果を評価する。
方法:2017年4月1日より前に発表された文献を確認するため、AGRICOLA、AGRIS、CAB Abstracts、Embase、Ovid
MEDLINE、Web of Scienceを検索することで系統的レビューを実施した。選択基準は、オリジナル研究報告、査読するジャーナルで発表されたもの、犬の消化器疾患の予防あるいは治療に対してin
vivoでプロバイオティクスの使用を調査する研究だった。研究はエビデンスのレベルで評価し、方法論の質は、以下の変数で評価した:基準時のグループ間の類似性、バイアスのリスク、研究のグループの大きさ。
結果:165の研究を確認し、17が組み込み基準に合った-12は急性消化器疾患、5は慢性消化器疾患と考えられた。エビデンスのレベルは、無作為化対照研究と交差非対照試験の間の範囲だった:バイアスのリスクの見積もりは、一般に中から高、サンプルの大きさは小さかった。糞便の一貫性は、最も多く評価された臨床的変数だった。
結論と臨床的重要性:現在のデータポイントは、急性消化器疾患の予防あるいは治療に対し、非常に限定的で、おそらく臨床的に重要でない効果に向いている。慢性消化管疾患に対し、治療において食餌の介入は依然大きなカギであるが、プロバイオティクスのサプリメントは有意な改善が加わると思えない。しかし、研究はパワー不足が多く、今後、大規模、好ましくは多施設研究の必要性を強調する。(Sato訳)
■単一タンパク質、単一炭水化物、市販のフードでのパッチテストによる食物有害反応の評価
Evaluation of canine adverse food reactions by patch testing with single
proteins, single carbohydrates and commercial foods.
Vet Dermatol. October 2017;28(5):473-e109.
Cornelia Johansen , Claire Mariani , Ralf S Mueller
背景:痒みのある犬で食物有害反応(adverse food reaction:AFR)は重要な鑑別診断の1つである。通常は8週間の新規たんぱく質および炭水化物源での除去試験の給餌と、その後の食物チャレンジにより診断する。過去の研究で、食物のパッチテストを行った犬は、除去食成分の選択に対し高い感受性と陰性適中率があったと示されていた。
仮説と目的:この研究の目的は、犬の有害食物反応の診断補助にパッチテストの価値があるかどうかを判定するため、犬においてたんぱく質、炭水化物、ドライの市販フードでのパッチテストを調査することだった。
方法:AFRを確認した個人飼育の25頭の犬に、選択した食物アレルゲンのチャレンジ試験とパッチテストを行った。
結果:たんぱく質、炭水化物、ドライフードに対し、パッチテストの感受性はそれぞれ100%、70%、22.2%だった;パッチテストの陰性適中率はそれぞれ100%、79%、72%だった。たんぱく質と炭水化物の陽性適中率は75%と74%だった。
結論と臨床意義:AFRが疑われる犬において、除去食に対し適したたんぱく質源を選択するのにパッチテストは有効かもしれないが、犬のAFRの診断ツールとしてではないと確認した。たんぱく質に対する結果は、炭水化物の結果よりも信頼でき、パッチテスト陽性反応の多くは生のたんぱく質で観察された。市販のドッグフードでのパッチテストは有効とは思えない。(Sato訳)
■犬と猫の食道造瘻チューブの合併症:225症例の回顧的検討
Esophagostomy tube complications in dogs and cats: Retrospective review of 225 cases.
J Vet Intern Med. 2019 Jul 11. doi: 10.1111/jvim.15563. [Epub ahead of print]
Nathanson O, McGonigle K, Michel K, Stefanovski D, Clarke D.
食道栄養チューブ(E-tubes)は、食欲不振の患者の急性および慢性栄養要求の管理に必須のツールである。それらの常用にもかかわらず、特に最近の文献のE-tubeの合併症に関する入手可能な情報は限られている。
目的:犬と猫のE-tubeの合併症の最新の記述的報告を提供することと、特定の患者に合併症のリスクが増すかどうか判定する潜在的予後因子を評価すること。
動物:102頭の犬と123頭の猫
方法:2014年3月から2017年3月の間にE-tubeを設置した患者を評価する回顧的研究
結果:100頭(44.4%)はチューブ設置に関する合併症を経験し、犬(43.1%)と猫(45.5%)の合併症率は似ていた。22頭(17.8%)の猫と14頭(13.7%)の犬はE-tubeの部位で感染の症状を出し、5頭(22.7%)の猫と5頭(35.7%)の犬は、外科的デブリードメントが必要だった。E-tubuの口を通ってのフードの逆流は、7頭の犬と1頭の猫に見られた。3頭の猫はチューブ関連の合併症の結果として安楽死された。
結論と臨床的重要性:著者らは3次診療施設で大規模な犬と猫集団において、E-tubeの設置に関連する合併症の最新の記述的レビューを提供している。E-tubeは一般的に安全で許容性の良い重要なツールであるが、重度合併症がおこりえる。それら合併症に対する患者のリスクが増す特定要因は全く確認されず、ゆえに、全ての患者はしっかりとモニターし、そのような合併症が起こった時に獣医師の評価を即すようクライアントを教育することが重要である。(Sato訳)
■健康なビーグルにおいて朝鮮人参エキスの抗肥満効果
Anti-obesity effects of Korean red ginseng extract in healthy beagles.
Pol J Vet Sci. 2019 Jun;22(2):385-389. doi: 10.24425/pjvs.2019.129298.
Bae S, Oh T.
この研究の目的は、犬における朝鮮人参エキスの安全性と抗肥満効果を評価することである。
著者らは健康なビーグルに8週間、朝鮮人参食および/あるいはスナックを給餌した。
その犬は完全な身体検査、CBC、血性生化学検査、脂肪組織活性の分析、CTによる体脂肪組成分析を行った。研究期間終了時、朝鮮人参エキス-食/スナックを与えた犬は、基礎値と比べて体重、ボディコンディションスコア、レプチン濃度が有意に減少した。CT所見で人参エキス食を与えた犬の体脂肪組成の減少を示したが、人参エキススナックを与えた犬では示されなかった。全ての犬で血液検査結果は、意義のある変化を示さなかった。全ての犬は食/スナックをよく許容し、有害事象はなかった。
この結果は、朝鮮人参エキス食が犬の体脂肪を減らす抗肥満食としての可能性があることを示唆する。(Sato訳)
■肥満犬の心臓および代謝変数
Cardiac and Metabolic Variables in Obese Dogs.
Language: English
J Vet Intern Med. July 2017;31(4):1000-1007.
M Tropf , O L Nelson , P M Lee , H-Y Weng
背景:人において、肥満が関係する心臓機能障害(obesity-related cardiac dysfunction:ORCD)の原因は代謝症候群と関連している。肥満犬は代謝症候群の構成を持ち、肥満犬のORCDに対する評価を正当化すると研究は示している。
目的:理想体重の犬と比較して肥満犬の心構造および機能、代謝変数を評価する
動物:理想体重の犬(n=17)と比較して肥満犬(n=29)の合計46頭の健康な小型犬種(25ポンド未満)
方法:標準およびストレイン心エコー検査測定値による心構造と機能および血清代謝変数(インスリン:グルコース比、脂質解析、アディポネクチン、炎症マーカー)の定量の横断研究
結果:理想体重のコントロールと比べ、拡張期の心室間中隔の幅と拡張期の左室内径の比の増加、左室流入速度のE/A比、僧帽弁輪状組織速度のE/A比の低下、左室内径短縮と駆出分画%の増加を特徴とする心臓変化が見られた。拡張期の左室後壁幅と拡張期の左室内径の比に有意な群間の差は見られず、収縮期血圧に有意な差はなかった。
肥満犬はインスリン:グルコース比の増加、コレステロール上昇を伴う異脂肪血症、アディポネクチン濃度の低下、インターロイキン8とケラチン生成細胞由来ケモカイン様炎症サイトカイン濃度の増加を特徴とする代謝障害があった。
結論と臨床意義:理想体重のコントロールと比べて、心構造と機能の変化に加え、インスリン抵抗、異脂肪血症、低アディポネクチン血症と炎症マーカー濃度増加が見られた。それらの所見により心機能の変化に対する潜在的寄与因子として炎症、異脂肪血症、おそらくは全身性高血圧を調査する追加研究が求められる。(Sato訳)
■鼻胃および鼻食道チューブの新しい設置法
A novel placement technique for nasogastric and nasoesophageal tubes.
J Vet Emerg Crit Care. Jul/Aug 2016;26(4):593-7.
Jennifer M Herring
背景:犬および猫の早期の経腸栄養は、重篤疾患の治療管理において顕著な利点がある。この目的のために鼻胃あるいは鼻食道フィーディングチューブの盲目的設置は標準となっている。しかし、気管気管支樹へのチューブの誤誘導からの合併症は、重大な患者の有病率や死亡率を導く可能性がある。それらのリスクを最小にするため、安全で一貫した代替法が望まれる。
キーコンセプト:経鼻チューブ設置の修正方法を述べる。標準法からの主な変化は、2つ目のチューブ測定で、胸郭入口に位置づけたチューブの遠位先端から鼻孔までを測定する。チューブをそのレベルまで進め、フィーディングチューブに12mLシリンジを付けて陰圧をかけて試験する。これは、その遠位最終地点までチューブを完全に進める前に食道のポジショニングにおいて信頼を改善する。
意義:フィーディングチューブのこの手順での設置は、位置異常を確認するため、早期に安全にチェックすることで、気管内誤誘導による気管支肺傷害を低減する可能性がある。標準チューブ設置法以上の利点を支持するため、前向き検証試験が必要である。(Sato訳)
■通常の食餌に対しヨウ素制限処方食を与えた正常な猫の健康パラメーターの比較
Comparison of health parameters in normal cats fed a limited iodine prescription food vs a conventional diet.
Language: English
J Feline Med Surg. April 2017;0(0):1098612X17702261.
Inke Paetau-Robinson , Lynda D Melendez , S Dru Forrester , Laura J Armbrust , Kent R Refsal , Patricia A Burris
目的:24か月間ヨウ素制限食、あるいは通常食を与えた健康な成猫において、甲状腺機能に対する影響を比較する。
方法:ヨウ素制限群の猫(n=14)には、乾燥状態で0.2ppmヨウ素を含む市販のドライフードを与えた。通常食群の猫(n=12)には乾燥状態で3.2ppmのヨウ素量であることを除いて同一の食餌を与えた。両群、それぞれの食餌を24か月維持した。基準時の猫の年齢中央値は3.2歳(四分位数間領域2.4-4.3歳)だった。血清生化学パラメーター、甲状腺ホルモン濃度、CBC、尿検査を測定するため、基準時、6、12、18、24か月目に診断的サンプルを採取し、甲状腺超音波検査も実施した。
結果:遊離および総甲状腺ホルモンおよび甲状腺刺激ホルモンの血清濃度中央値は、全てのサンプリング期間で両群参照範囲内だった。ヨウ素制限群の尿中ヨウ素濃度の中央値は、基準から有意に低下し(P=0.0001)、通常食群と有意差があった(P≦0.0007)。ヨウ素制限群の超音波検査で、どのタイムポイントでも甲状腺の高さの中央値に有意な変化は見られなかった。
結論の関連:正常な血清甲状腺ホルモン濃度と尿検査結果および定期的な生化学検査で、健康な成猫に2年間ヨウ素制限食を安全に給餌できることを確認した。ヨウ素制限食を与えた猫に甲状腺の高さの変化が超音波検査で見られなかったことは、ヨウ素制限食群において医原性甲状腺機能低下症がないことのさらなる指標だった。猫甲状腺機能亢進症の猫の管理に使用するヨウ素制限食に接することが起こる健康な猫のいる多頭飼育の状況で、健康な成猫に2年間ヨウ素制限食を給餌することに関係する明らかな副作用がないことをそれらの結果は支持する。(Sato訳)
■犬と猫の体重管理の食餌面
Dietary Aspects of Weight Management in Cats and Dogs.
Language: English
Vet Clin North Am Small Anim Pract. September 2016;46(5):869-82.
Deborah E Linder , Valerie J Parker
犬猫の最適な減量食は、完全な食餌歴を得ることとペット、ペットオーナー、ペットが生活している環境の詳細な評価の実施による決定が一番良い。ペットとオーナーの好みに関する情報を組み込むことは体重管理プランの個別化ができ、支持を強固にする可能性がある。
カロリー密度、多量栄養素、微量栄養素濃度は、体重管理プランの一環として考慮すべきである。最良な結果を得るために減量プランにおいてオーナーは活動的な役割を演じるべきである。(Sato訳)
■心臓肺疾患に対する肥満の影響
Impact of Obesity on Cardiopulmonary Disease.
Language: English
Vet Clin North Am Small Anim Pract. September 2016;46(5):817-30.
Marjorie L Chandler
犬と猫において心臓や肺への肥満の有害な影響は知られているが、心肺疾患に対するリスクファクターとしての肥満を示しているデータはあまりない。
ヒトにおいて腹腔脂肪の増加は有害と思われ、胸腔内脂肪の増加の負の影響のエビデンスは存在する。脂肪の身体的影響と同じく、脂肪の神経ホルモン効果と炎症メディエーターの増加は心肺疾患に影響する可能性が高い。過体重の減量は心臓パラメーターと運動耐容量を改善する。閉塞性気道疾患の患者の肥満は疾患を悪化させることが分かっている。(Sato訳)
■肥満、運動と整形外科疾患
Obesity, Exercise and Orthopedic Disease.
Language: English
Vet Clin North Am Small Anim Pract. September 2016;46(5):831-41.
Christopher W Frye , Justin W Shmalberg , Joseph J Wakshlag
変形性関節症は老齢犬や猫の中で一般的である。臨床的跛行の発症と程度は、過体重および肥満の動物でボディコンディションに密接に関連している。極端な肥満症は、罹患犬の臨床症状を悪化させる調和しない、過度の機械的負荷を起こすかもしれない。
データは脂肪動態、肥満関連炎症と根底にある病理の悪化の潜在的関連を示唆する。同じように、肥満により増す異常な身体ストレス、全身性組織炎症は椎間板疾患に関係する神経症状に寄与する。
減量と運動は罹患動物の疼痛や悪化した可動性を改善するのに非常に重要である。(Sato訳)
■肥満の他のリスク/潜在的恩恵
Other Risks/Possible Benefits of Obesity.
Language: English
Vet Clin North Am Small Anim Pract. September 2016;46(5):843-53.
Lisa P Weeth
肥満は見た目や社会問題ではない;動物の健康問題である。インスリン抵抗性と高脂血症の発症に対する肥満の代謝的影響、筋骨格系上の過剰重量のメカニカルストレスは文献でよく確認されている。肝臓への脂肪蓄積など肥満による健康リスクに加え、腸内菌共生バランス失調、腎臓構造変化はあまり理解されていないが、肥満動物で臨床的に起こると証明されており、有害な長期の健康への影響を誘発するかもしれない。犬や猫を太らさないことは、ある疾患の発症リスクを低くし、長期により良いQOLをもたらす。(Sato訳)
■肥満の治療:環境と行動修正
Obesity Treatment: Environment and Behavior Modification.
Language: English
Vet Clin North Am Small Anim Pract. September 2016;46(5):883-98.
Maryanne Murphy
肥満は動物の患者でよく遭遇する。体重減量を達成するために発表された様々な食餌アプローチがあるが、体重がもとに戻ることを長期予防することは、捕えどころがないことがわかっている。
体重減量プランに環境および行動治療ストラテジーを加えることは、獣医チーム、ペット、ペットオーナーにプログラムの効果を最大限にする助けとなるかもしれない。オーナーは体重減量プランを行っているペットの環境や行動に直接影響するため、オーナーの関与に重点を置く治療ストラテジーはこの概要の焦点である。ペットオーナーと一緒の5A's行動カウンセリングアプローチの獣医の使用を議論する。(Sato訳)
■肥満の代謝効果とその内分泌疾患との相互作用
Metabolic Effects of Obesity and Its Interaction with Endocrine Diseases.
Language: English
Vet Clin North Am Small Anim Pract. September 2016;46(5):797-815.
Melissa Clark , Margarethe Hoenig
ペットの犬と猫の肥満は先進国で重要な問題で、有病率は上昇していると思われる。過剰な体脂肪はインスリン抵抗、アディポカイン分泌変化、代謝率の変化、異常な脂質代謝、内臓への脂肪蓄積など有害な代謝の成り行きがある。
肥満猫は糖尿病や肝リピドーシスのような内分泌および代謝疾患の素因を持つ。また、犬でも肥満と糖尿病の関係を持つ可能性がある。
肥満関連性代謝疾患の発症に対する最も大きなリスクで肥満のペットを確認するシステムは開発されておらず、この分野の追加研究が必要である。(Sato訳)
■肥満の発生:メカニズムと生理学
Development of Obesity: Mechanisms and Physiology.
Language: English
Vet Clin North Am Small Anim Pract. September 2016;46(5):773-84.
Robert Backus , Allison Wara
栄養学的に健全な食餌を与えられるストレスのない環境で生活する通常の大人の動物は、長期にわたり彼らのエネルギー消費とエネルギー摂取のバランスを取っている。エネルギーの正確なバランスの基礎をなしているメカニズムの多くの認識はげっ歯類モデルの研究に由来し、そしてヒトは相関する。この知識は、犬と猫の肥満の原因を理解するため適応でき、関連すると信じられている。飽食と肥満症フィードバック、認識入力、エネルギー消費、身体的活動の役割を再検討する。特に、過体重の体の状態の促進に関連する食餌および環境因子を再検討する。それらには、食餌中脂肪と嗜好性、不活発、ストレスの多いライフスタイル、不妊の肥満誘発効果が含まれる。(Sato訳)
■犬に対して異なる蛋白濃度の餌におけるユッカ・シジゲラエキスの含有
Inclusion of Yucca schidigera extract in diets with different protein levels
for dogs.
Language: English
Anim Sci J. August 2016;87(8):1019-27.
Jessica S Dos Reis , Marcio G Zangeronimo , Rosana C S Ogoshi , Janine Franca , Adriano C Costa , Thomas N Almeida , Joao P F Dos Santos , Carolina P Pires , Ana F Chizzotti , Carlos A L Leite , Flavia M O B Saad
この研究は、犬の糞の臭い、栄養消化率、糞中アンモニア濃度、血液および血清生化学数値に対し、異なる粗蛋白(crude
protein:CP)濃度の2つの餌に、ユッカ・シジゲラエキス(Yucca schidigera
extract:YSE)の含有効果を評価した。
20頭のビーグル成犬を使用し、2x4要因配置実験(2つの餌、25%と34%CP、4つのTSE濃度:0、250、500、750mg/kg)、5複製の無作為ブロック構成で2つの実験期間中に配置した。
より高いCPの餌に500mg/kgのYSEを使用した時、糞の臭いは減少した(P<0.05)。YSEの含有は糞中アンモニアを減少させ(P<0.05)、250と500mg/kg
YSE含有で腸内ガスが減少した。餌の蛋白濃度にかかわらず750mg/kg YSE含有で平均赤血球ヘモグロビン量(mean
corpuscular hemoglobin:MCH)、ALT活性が上昇し、血清コレステロール濃度の上昇傾向が見られた。栄養消化率、糞の硬さ、窒素均衡、腸管壁の厚さに影響はなかった。
CP34%の餌を与えた犬の糞の臭いを抑えるのに、500mg/kg YSEの含有は有効である。蛋白濃度に関係なく、YSEは糞中アンモニアを減少させたが、より高い濃度を含んだ場合は副作用を起こすかもしれない。(Sato訳)
■1頭の猫のリフィーディング症候群に関係した低血糖
Hypoglycemia associated with refeeding syndrome in a cat.
Language: English
J Vet Emerg Crit Care. November 2016;26(6):798-803.
Marisa D DeAvilla , Elizabeth B Leech
目的:1頭の猫のリフィーディング症候群の治療中に起きる臨床症状および生化学的異常を述べる
症例概要:2歳去勢済みのオスの家猫短毛猫が12週間行方不明ののちに来院した。その猫は重度飢餓の臨床症状があった。一般的な合併症はリフィーディング中に発症した(例えば、低リン血症、低カリウム血症、溶血性貧血)。また低血糖も発症し、人ではよく見られる合併症だが猫で過去に報告はなかった。低血糖と電解質欠乏は、静脈内の補給で管理した。猫は治療に成功し、7日目に退院した。
新しいあるいは独特な情報:猫でリフィーディングの合併症として低血糖は過去に報告がない。電解質、ミネラル、血糖値の頻繁なモニターがリフィーディング症候群をうまく管理するのに重要である。この時点で理想のリフィーディング方法は分からない。エビデンスは炭水化物の低い食餌がリフィーディングに一般的に関係する確率を低下させると示唆されている。(Sato訳)
■過体重のペット犬に対する減量プランに身体的トレーニングプログラムの組み込み
Integration of a physical training program in a weight loss plan for overweight
pet dogs.
J Am Vet Med Assoc. January 15, 2016;248(2):174-82.
Anne D Vitger; Bente M Stallknecht; Dorte H Nielsen; Charlotte R Bjornvad
目的:減量プログラム中の過体重の犬に対し、管理された身体トレーニングプランが、カロリー制限のみを基本とした減量プログラムを行う犬の結果と比較して、心肺のフィットネスを改善し、より除脂肪体重を良好に保つかどうかを調査する
計画:前向き非無作為化臨床研究
動物:過体重あるいは肥満の19頭の飼い犬
方法: 1週間の減量率1%から2%を達成するように、全ての犬に同じカロリー制限食を12週間給餌した。フィットネスと餌(FD)群は水中および陸を基本としたトレッドミルエクササイズ週3回を含むトレーニングプログラムに参加した。餌のみ(DO)群は通常の運動を変えることはなかった。介入前と介入中の日々の活動は加速度測定法で記録した。介入前と介入後、運動中の心拍数は心血管フィットネスを調べるために記録し、体組成は二重エネルギーエックス線吸収測定で解析した。群の差はt検定と多重回帰解析で評価した。
結果:平均減量は、FD群で13.9%、DO群で12.9%だった(研究を全うしたのはn=8/群)。FD群で介入中の平均加速度数は、基準の数よりも13%高かった。両群共に介入後の運動中の心拍数は低下した。介入中の除脂肪体重はFD群で維持、DO群で喪失した。
結論と臨床関連:食餌による減量プログラムと共に管理された運動プランを使用することで、犬の除脂肪体重の喪失を防いだ。この所見は、犬の肥満管理に対する管理された身体トレーニングの組み入れを支持する。(Sato訳)
■正常な家猫に対しストレス低下のための処方食を給餌することによる効果の実験的検証
Experimental Verification of the Effects on Normal Domestic Cats by Feeding
Prescription Diet for Decreasing Stress.
J Appl Anim Welf Sci. 2015 Oct-Dec;18(4):355-62.
Kazuki Miyaji; Maki Kato; Nobuyo Ohtani; Mitsuaki Ohta
この研究の目的は、猫のストレス反応に対する食餌の効果を血漿および尿中コルチゾールを測定することで評価することだった。
研究食はストレス状態の管理をサポートする栄養素の独特な組み合わせで開発した。抗不安効果があると信じられているalpha-casozepineとトリプトファン添加を特別食に含めた。トリプトファンは神経伝達物質セロトニンの合成に対する前駆物質である。
21頭の室内飼いの猫に研究食(n=10)とコントロール食(n=11)を8週間給餌し、生理学的反応を評価した。8週間給餌した後、研究食は血漿トリプトファンと大型中性アミノ酸の比率を増加させ、尿中コルチゾール濃度を低下させたが、ストレス性の事象(獣医学的検査と血液採取)後の血漿コルチゾール濃度に影響しなかった。
行動分析のような追加研究が、その研究食の効果を明らかにするために必要である。(Sato訳)
■犬の肥満性高血圧と他の疾患との関連
Obesity-hypertension and its relation to other diseases in dogs.
Vet Res Commun. 2015 Mar;39(1):45-51. doi: 10.1007/s11259-015-9630-9. Epub 2015 Feb 10.
Perez-Sanchez AP, Del-Angel-Caraza J, Quijano-Hernandez IA, Barbosa-Mireles MA.
肥満は脂肪組織が蓄積する慢性疾患で、患者の健康に影響を及ぼし、全身高血圧(HTN)のような種々の変化に関係する。肥満がHTNを引き起こすメカニズムは複雑でいくつかの臓器メカニズムが関与する。
この研究の目的は、年齢、ジャンル、性腺の状態、犬種、HTNと一般的に関係する他の疾患に関連する近年の国際的プロトコール(収縮期血圧>160mmHg)に従い、肥満とHTNの関連を判定することである。
合計244頭の犬を研究し、105頭は肥満ではないコントロール群、139頭は肥満群だった。両群に健康および種々の疾患犬が観察された;病理と肥満の関係を研究し、HTNを誘発する可能性のある病態生理の疾患に特に注意した。
我々はHTNを発症する犬に対し、肥満はリスクファクターではなく、HTNは慢性腎疾患、心臓障害、内分泌障害のような同時罹患に関連する患者で存在すると結論付ける。(Sato訳)
■食餌添加による猫の免疫性の向上に対するポテンシャル
The potential for enhancement of immunity in cats by dietary supplementation.
Vet Immunol Immunopathol. April 2013;152(3-4):333-40.
K J Rutherfurd-Markwick; W H Hendriks; P C H Morel; D G Thomas
この研究は猫の免疫システムに対する食餌添加の潜在的利点を研究するため実施した。5週間、43頭の猫(8あるいは9頭/群)に、低蛋白コントロール食(22.7%DMベース)、同食餌にイースト由来のヌクレオチド、サーモンオイル、l-アルギニンを添加したもの、市販のモイスト高蛋白食(53.0%DMベース)を与えた。低蛋白食は、市販のモイスト食をベースに脂肪とでんぷんを加えて作成し、水と共に自由採食とした。
特異免疫分析で、アルギニンの添加は、35日後にT細胞分裂促進物質PHAに対するリンパ球増殖反応の有意な向上を起こすことが分かった(P=0.018)。そしてヌクレオチドあるいはサーモンオイルの添加は、14日(それぞれP=0.0048 、P<0.0001)および35日後(両方ともP<0.0001)に有意な向上を起こした。
アルギニン、ヌクレオチド、サーモンオイルの食餌添加は、14日(それぞれP=0.003、P=0.0077、P<0.0001)および35日後(P<0.0001)に血中白血球食活性の有意な増加を誘発した。これは、いくつかの食餌中成分が健康猫の免疫系を調節する能力を持ち、おそらくは感染や疾患と戦うより大きな能力をもたらすことを示す。(Sato訳)
■栄養に着目:犬と猫の自家製食
Focus on nutrition: home-prepared diets for dogs and cats.
Compend Contin Educ Vet. 2013;35(3):E1-3.
Weeth LP.
犬と猫の健康とウェルネスの促進は獣医師とペットオーナーの一般的なゴールである。過去10年以上において、人の健康と疾患における食事の役割に関する増大した自覚と同様に、高く明らかになったペットフードリコールの数も、ペットが食事をする時間に飼い主がペットに近づく方法を変化させた。多くの飼い主や何人か獣医師は、今、認知された健康上の利益あるいはペットフード産業の一般的な不信の両方の理由から、犬や猫に自家製食(生の食事、調理した食事、その両方)を与えることを提唱している。最適なペットの健康を保障するため、自家製食を与えようとする飼い主のモチベーションと同様に、自家製食のリスクとベネフィットを臨床獣医師が理解することは重要である。(Dr.Kawano訳)
■管理された減量プログラムを行っている犬において食餌によるエネルギー摂取と身体活動の評価
Evaluation of dietary energy intake and physical activity in dogs undergoing a controlled weight-loss program.
J Am Vet Med Assoc. February 2012;240(4):413-9.
Joseph J Wakshlag; Angela M Struble; Barbour S Warren; Mary Maley; Matthew R Panasevich; Kevin J Cummings; Grace M Long; Dorothy E Laflamme
目的:管理された減量プログラムを行っている犬において身体活動と食事によるエネルギー摂取を定量化することと、エネルギー摂取と身体活動、性別、年齢、体重、ボディコンディションスコア(BCS)の間の関連性を評価すること
構成:前向き臨床研究
動物:35頭の飼い主が所有する肥満犬(BCS>7/9)
方法:犬に1週間に約2%の減量を維持するためのエネルギー摂取制限を行った療法食を与えた。活動性の測定として、日々の歩数を首輪につけた歩数計を使用して記録した。体重とBSCは減量プログラム開始時と研究中2週間ごとに評価した。エネルギー摂取と性別、年齢、活動性、BCS、研究終了時の体重との関連は、多変量線形回帰分析で評価した。歩数の平均数を基に(<あるいは>7250歩/日)、非活動群か活動群に層別化した犬で変数を比較した。
結果:減量目標を維持しながらの代謝体重のユニット(kg(0.75))当たり、平均±SD日々のエネルギー摂取は非活動犬よりも活動犬で有意に大きかった(42.2±9.7kcal/kg(0.75)vs53.6±15.2kcal/kg(0.75)。回帰分析において、日々の歩数のみ有意にエネルギー摂取と関係した。
結論と臨床関連:身体活動の増加は、減量目標を維持している間のより高いエネルギー摂取と関係した。1000歩間隔ごとにエネルギー摂取1kcal/kg(0.75)増加と関係した。(Sato訳)
■ホームメード食を食べさせていた1頭の子犬の発作と重度栄養素不足
Seizures and severe nutrient deficiencies in a puppy fed a homemade diet.
J Am Vet Med Assoc. August 2012;241(4):477-83.
Dana Hutchinson; Lisa M Freeman; Robert McCarthy; John Anastasio; Scott P Shaw; James Sutherland-Smith
症例:8ヶ月齢のオスのセントバーナードの肩関節に見られた両側性離断性骨軟骨炎の評価中に強直性発作と高体温を発症した。さらなる調査でその犬はアンバランスなホームメード食を与えられていたことが判明した。
臨床所見:その犬の予備的評価で、肩関節部の疼痛と軽度筋肉消耗の症状が両側に見られた。血清生化学検査で重度の低カルシウム血症、低ナトリウム血症、低クロール血症、高リン酸血症、ビタミンD欠乏、タウリン欠乏を認めた。エックス線検査で下顎骨、長骨に広汎性骨減少を認め、骨脱灰を確認した。ホームメード食の分析で、その犬の食餌は種々の栄養素がかなり欠乏していたことが分かった。
治療と結果:その犬は低カルシウム血症、高体温、発作に対する治療にうまく反応した。犬の食餌は成長期用に作られた完全バランスフードに変更した。体重とボディーコンディションをモニターし、最適な成長期のボディーコンディションになるように食餌量を調節した。初回の評価後、血清カルシウムとタウリン濃度の連続モニターで、値は参照範囲内に戻ったことを認め、それからは食事障害に関する臨床症状がなかった。
臨床的関連:この子犬の所見は、成長期にアンバランスなホームメード食を与えることに関するリスクと、全ての患者から完全な食餌内容を聴取することの重要性を強調するものである。ホームメード食を与えることを選んだオーナーに対して、特に若い、成長期の犬で重度のアンバランスな栄養素とならないよう、獣医栄養士により注意深く計算されたホームメード食を与えることは非常に重要である。(Sato訳)
■中鎖TAG(トリアシルグリセロール)の食事性サプリメントは老齢犬における認知機能を高める長期持続効果を持っている。
Dietary supplementation with medium-chain TAG has long-lasting cognition-enhancing effects in aged dogs.
Br J Nutr. 2010 Jun;103(12):1746-54. Epub 2010 Feb 9.
Pan Y, Larson B, Araujo JA, Lau W, de Rivera C, Santana R, Gore A, Milgram NW.
この研究は、中鎖TAG(MCT)の食事性サプリメントは、ケトン形成におけるエネルギーを脳に供給することにより、老齢犬において認知機能を改善するだろうという仮説にフォーカスした。
老齢のビーグルは、認識的に同等のコントロールグループあるいは治療グループを確立するために使われた基準の一連の認知力テストに参加した。治療グループの犬は5.5%MCTを食事に補充して維持した。最初のwash-in期間後、すべての犬は、経時的にランドマークの識別学習能力、利己的な視空間機能と注意を評価する一連の認知テストプロトコールで検査した。グループは8ヶ月食事で維持した。
MCTサプリメントグループは、コントロールグループに比べ試験プロトコールの大部分において有意によいパフォーマンスを見せた。グループ差はより簡単な課題より、より大きな補充効果を見るより難しい課題を持つ、課題の難しさの機能にも変化があった。MCTサプリメントを与えたグループは、血中のケトン体であるβ-ヒドロキシ酪酸濃度が有意に高かった。
これらの結果から、まず、MCTの長期補充は認知力改善効果があり、二番目に、MCTサプリメントは循環血液中のケトン濃度を増加させることを示している。
結果は、老齢犬における脳機能は、代替エネルギー源を脳に供給するMCTサプリメントで改善されるという仮説を支持する。(Dr.Kawano訳)
■敗血症性腹膜炎の犬において早期の栄養供給と入院期間の短縮の関係について(2000-2009年までの45例の後向き研究)
Early nutritional support is associated with decreased length of hospitalization in dogs with septic peritonitis: A retrospective study of 45 cases (2000-2009).
J Vet Emerg Crit Care (San Antonio). 2012 Aug;22(4):453-9.
Liu DT, Brown DC, Silverstein DC.
目的:敗血症性腹膜炎を自然発症した犬において、栄養供給の時期とルートが入院期間の長さに影響するかを検討すること。
方法:2000年から2009年の間の網羅した症例の後向き研究
場所:大学の教育病院
動物:敗血症性腹膜炎を生き延びた45頭の犬
治療介入:なし
測定結果と主な結果:個々の犬の栄養供給の方法は、経腸栄養法(EN:自発的に食べるかチューブによる補給をするかは自由)または中心静脈栄養(CPN)に分類した。早期栄養補給は、術後24時間以内に一定量のカロリー補給を開始したものと定義した。24時間以降に一定量のカロリー補給をした場合を、後期栄養補給とした。
栄養状態を反映するデータとして、ボディコンディションスコア、血清アルブミン濃度、入院前および中の食欲不振の期間とした。入院の最初から最後までの体重の変化も計算した。来院時に個々に犬について、改良版の生存予後予測指標2スコアを計算した。病気の重症度の比較のために記録した臨床データは、重度の炎症のサイン(例えば、好中球における中毒顆粒の存在や未成熟な好中球の出現)、凝固系(例えば、プロトロンビン時間と活性化部分トロンボプラスチン時間延長)、血管拡張薬や輸血の使用、併発症の存在などである。栄養に関連した併発症としては、機械的、代謝的、敗血症に分類した。栄養に関連した併発症、栄養状態および疾患の重症度に関連した変数を考慮する場合、栄養供給の方法と入院期間の関連を決定するのに重回帰分析を使用した。
早期の栄養補給を受けた犬は入院期間が有意に短かった(1.6日まで)。栄養補給のルートおよび入院期間の間には有意な相関は認められなかった。併発症があることと栄養に関連した代謝性の併発症があることは、入院期間がより長い事と関連していた(それぞれ2.1日および2.4日)。
結論:敗血症性腹膜炎の犬において早期に栄養供給することは、入院期間が短くなることと関連している。(Dr.Taku訳)
■猫の随意採食および体重に対する缶詰フードの水分含量の効果
Effect of water content in a canned food on voluntary food intake and body weight in cats.
Am J Vet Res. July 2011;72(7):918-23.
Alfreda Wei; Andrea J Fascetti; Cecilia Villaverde; Raymond K Wong; Jon J Ramsey
目的:自由採食の猫において缶詰フードに含まれる水分は、随意エネルギー摂取(EI)あるいは体重(BW)の減少を誘発するかどうか調査する
動物:16頭の未去勢オスの家猫短毛種
方法:コントロール食(典型的なコロニー食)を食べる10頭の体重が安定した猫で、2ヶ月の間に維持EIを測定した。猫を同じBWの2群に振り分け、1日2回缶詰食(with-water[WW]食)、あるいは缶詰食のフリーズドライバージョン(low-water[LW]食)を与えた。食餌は乾物ベースで同一の栄養プロフィールだった。各食餌の給餌を3週間続け、3週間のウォッシュアウト期間を設けて交替した。体組成測定値は各食餌の給餌終了時に酸化ジューテリウムの使用で判定した。毎日の食物摂取はEIと乾物摂取の定量で測定した。他6頭の猫は3つの食餌の嗜好性テストで使用した。
結果:LW食のEI(平均±SD,1413.8±345.8kJ/d)と比較して、WW食のEI(1053.0±274.9kJ/d)は有意に減少した。WW食を食べている間、猫の体重は有意に減少した。体組成の食餌による変化はなかった。短期嗜好性テストで、猫はLW食よりも有意に多くWW食を食べた。
結論と臨床関連:WW食中の大量の水分は、猫のエネルギー摂取および体重の減少を刺激した。エネルギー密度および摂食量に対する水分含量の効果は、猫の体重の減量に役立つかもしれない。(Sato訳)
■離乳時から高食餌炭水化物で飼育された猫集団におけるグルコースおよびインスリン耐性に対する年齢と体重の影響
Age and body weight effects on glucose and insulin tolerance in colony cats maintained since weaning on high dietary carbohydrate.
J Anim Physiol Anim Nutr (Berl). December 2010;94(6):e318-28.
R C Backus; N J Cave; V K Ganjam; J B M Turner; V C Biourge
猫において高食餌炭水化物は真性糖尿病の発症を促進すると示唆される。糖耐性、インスリン感受性、インスリン分泌を離乳からドライタイプの食餌(炭水化物として35%代謝エネルギー)のみを与えている大きな(n=700)猫集団の若い(0.8-2.3(中央値=1.1)歳、n=13)および成熟(4.0-7.0(中央値5.8)歳、n=12)した避妊していないメス猫で評価した。インスリン感受性は静脈内耐糖能試験(IVGTTs)の遅延相(60-120分)血漿インスリン反応およびインスリンボーラス投与(0.1U/kg、i.v.)後15分で基準値からの血糖の分画変化から評価した。インスリン分泌はIVGTTsの初期相(0-15分)血漿インスリン反応で評価した。
若い猫と比較して、成熟猫は体重がより重く(2.3-3.8(中央値=2.9)vs.3.0-6.3(中央値=4.0)kg、p<0.01)、より大きな遅延相インスリン反応(p<0.05)、より低いインスリン誘発血糖変化(p=0.06)、より低い初期相インスリン反応(p<0.05)、非有意差のグルコース処理率を示した。
遅延相インスリン反応は体重と年齢に相関した(p<0.05)。群の割り当てを体重で調整したとき、年齢群の違いと相関は非有意となった。その所見は、ドライタイプの食餌よりも体重増加が、インスリン抵抗性および分泌機能不全の糖尿病前コンディションを誘発しやすいことを示す。(Sato訳)
■食器と餌をすくうさじの大きさはオーナーが犬に与える餌の量に影響を及ぼす
Size of food bowl and scoop affects amount of food owners feed their dogs
Journal of Animal Physiology and Animal Nutrition
Article first published online: 19 APR 2011
M. Murphy, A. L. Lusby, J. W. Bartges, C. A. Kirk
犬の肥満の発生率は劇的に増加していることがわかっており、オーナーが犬に提供する餌の量に影響を及ぼす要因の理解は、体重管理を改善するかもしれない。ヒトの研究では、鉢、皿、用具の大きさが食事の分割および消費量に有意に影響する可能性があると示されている。この影響は、Delboeuf錯視およびEbbinghaus-Titchener大きさ対比錯覚の両方に起因しうる。
犬のオーナーで同様の影響の存在を調査するため、54頭の犬とそのオーナーに4つの処置無作為前向き研究の参加を依頼した。オーナーに通常の粒のドックフードを小さい食器と小さいさじ、小さい食器と大きいさじ、大きい食器と小さいさじ、大きい食器と大きいさじですくってもらった。各処理を1回の訪問でオーナーに1度だけ実行してもらい4回訪問した。
反復測定分散分析では、小さい食器と小さいさじを使用して餌をすくう平均量が、全て他の食器とさじの組み合わせよりも有意に少ないことを示した(150.7g v.s. 171.5g v.s. 172.7g v.s. 184.5g、p<0.05)。小さい食器と大きいさじの組み合わせは、大きい食器と小さいさじの組み合わせと差がなかった(171.5g v.s. 172.7g、p>0.05)。オーナーは大きい食器と大きいさじでより多い量の餌をすくいやすかった。
結果はヒトのデータと一致し、オーナーが標準の測定カップを使用する必要性を強調するものだった。また減量プログラム中のオーナーのコンプライアンスが、小さな食器と給仕さじで改善するかもしれないと示唆される。(Sato訳)
■健康および疾患時の亜鉛の広範な役割
The ubiquitous role of zinc in health and disease
J Vet Emerg Crit Care. Jun 2009;19(3):215-240. 285 Refs
Julia E. Cummings, DVM, DACVIM, Jan P. Kovacic, DVM, DACVECC
目的:獣医療患者における亜鉛生理学、病態生理学、亜鉛中毒および欠乏の重要性を概説する
データソース:ヒト及び獣医学文献のレビュー
ヒトデータ総合:複数の臓器系における亜鉛の役割に対するヒト及び動物のかなりの量のオリジナル研究が存在する。また亜鉛異常のヒトの患者で有用な重要なデータも存在する。
獣医学データ総合:亜鉛欠乏は、遺伝疾患、皮膚疾患および免疫不全を誘発する食餌中欠乏の犬で研究されている。亜鉛中毒は亜鉛を含む金属異物の摂食後に述べられている。
結論:歴史的に健康および疾患時の亜鉛の役割は、明白な臨床症状を持つ中毒あるいは重度欠乏の患者を通し研究されている。生物学的システムにおける構造や機能に対する亜鉛の広範な寄与が発見されたので、臨床的に重要ではないが微細な欠乏状態もあきらかになっている。人医療で、現在軽度の亜鉛欠乏は、免疫不全、胃腸問題、内分泌障害、神経学的機能不全、癌、老化の促進、変性疾患などを誘発あるいは悪化させる慢性代謝障害を引き起こすと考えられている。軽度亜鉛欠乏と現行の疾患の間の因果関係を決定することは、亜鉛欠乏の感受性あるいは特異性のある検査がないことにより複雑である。獣医療患者において亜鉛欠乏の有病率とその疾患への関与は良く分かっていない。欠乏のリスクのある患者を判定、健康および疾患時の補給を最適にするため、亜鉛状態を評価するより感受性および特異性のある検査を開発するため研究の継続が望まれる。(Sato訳)
■L-オルニチンサプリメントは脂質とアミノ酸代謝を調節することのよって健常な人の身体的疲労を減弱させる。
L-ornithine supplementation attenuates physical fatigue in healthy volunteers by modulating lipid and amino acid metabolism.
Nutr Res. 2008 Nov;28(11):738-43.
Sugino T, Shirai T, Kajimoto Y, Kajimoto O.
我々は身体的疲労に対するL-オルニチン投与の効果を検査した。二重盲検プラセボコントロール二方向クロスオーバー試験で、17人の健常ボランティアに対しランダムにL-オルニチン(2000 mg/1日を7日間とL-塩酸オルニチンとして6000 mg/1日)、あるいはプラセボを8日間投与した。疲労を誘発する身体の課題は、2時間2回の自転車エルゴメータによる定型作業であった。
経口L-オルニチン投与が脂質代謝を促進し、血清トリアシルグリセロール、ケトン体、遊離脂肪酸そして血中アンモニア濃度変化からの尿素回路を活性化したことを我々は見出した。L-オルニチンは運動直後に比べて、疲労の主観的な感じ(回復後のvisual analog scaleによる測定)を有意に弱めた(P < .01)。さらに女性被験者において、主観的疲労感はプラセボ群と比べて有意に低かった(P < .05)。女性被験者における身体性能検査において、L-オルニチンのグループにおいて0.5-3.5時間の試験で、10秒間最大でペダルを踏んだときの平均スピードの減少は、プラセボ投与群と比べて少なかった(P < .05)。
これらの結果は、L-オルニチンがエネルギー消費の利用率を増加させ、アンモニア排泄を促進させることによる抗疲労効果があることを示している。L-オルニチンは遊離アミノ酸であり、肉や魚には多く含まれていない。従って、普通の食事から抗疲労効果を促進するのに十分な量のL -オルニチンを摂取することは難しい。我々は身体的疲労症例における栄養学的サプリメントとしてL-オルニチン摂取を推奨する。(Dr.Kawano訳)
■適度に運動する過体重犬の心拍数正常化および自発活動増加に対する減量の効果
Effects of Weight Loss on Heart Rate Normalization and Increase in Spontaneous Activity in Moderately Exercised Overweight Dogs
Intern J Applied Res Vet Med. December 2009;7(4):153-164. 29 Refs
Jean-Christophe Bouthegourd, PhD, Melissa Kelly, PhD, Nathalie Clety, Sandrine Tardif, Danielle Smeets DVM
この研究目的は、肥満犬における休息時および適度運動中の心拍数正常化に対する減量の影響を評価することだった。減量に関連する自発身体活動レベル発展も評価した。
15頭の肥満犬(平均ボディコンディションスコア、9ポイントスケールでBCS=7)のグループに、理想体型にするための3ヶ月のエネルギー制限プロトコールを実施した。
一定の健康な減量を行うため、減量率は1週間に1-1.5%の体重減少で固定した。犬には心臓機能を支持するのに重要な栄養素(すなわち、魚油からのオメガ3脂肪酸、タウリン、L-カルニチン)を多く含んだ体重管理食を与え、12週の研究期間、適度な強度(5kg/h)の散歩を行った。
研究の完了時、犬は理想体型(BCS=4.3)に回復した。DEXA測定で除脂肪組織の維持と初期体脂肪の60%減少を示した。脂肪代謝の正常化は、有意な血中中性脂肪の減少と循環遊離脂肪酸の増加で観察された。心拍数の正常化も観察された。研究開始からたった6週目で休息時および歩行中の心拍数が17%減少し、減量と運動が心機能に有益な影響をもたらすことを示した。初期レベルと比較して、減量後の自発身体活動性は1.5時間/day増加した。
結論として減量プログラムと日々の標準的活動を組み合わせることは、脂肪を費やし除脂肪組織を維持するより良好な体組成を特徴とした理想の体型に戻す手助けとなった。血液パラメーターは改善し、心拍数も正常化した。
この研究は減量プログラムにおいて肥満犬を治療するとき、心拍数正常化が考慮される重要なパラメーターであるという事実を強調する。自発身体活動を増やす試みと、摂取エネルギーと消費エネルギーのより良いバランスを奨励することも体重のリバウンドを防ぐのに有効だろう。(Sato訳)
■カナダ3都市で市販の犬生フード食から分離されたサルモネラの発生および抗菌剤感受性
The occurrence and antimicrobial susceptibility of salmonellae isolated from commercially available canine raw food diets in three Canadian cities
Zoonoses Public Health. October 2008;55(8-10):462-9.
R Finley, R Reid-Smith, C Ribble, M Popa, M Vandermeer , J Aramini
この研究の目的は、カナダにおける市販入手可能な生のドックフードから分離したサルモネラの普及率と抗菌剤耐性パターンを評価することだった。8ヶ月にわたり、3箇所のカナダの都市において無作為に選んだ地域ペットストアから合計166個の市販冷凍生食フードサンプルを購入した。全てのサンプルでサルモネラの有無を評価し、血清型を決定し抗菌剤感受性を検査した。全体のサルモネラの普及率は21%で、サルモネラ陽性フードの67%の成分は鶏だった。18種の異なるサルモネラの血清型が回収され、検査した抗菌剤16種中12種に耐性が観察され、オンタリオの分離菌の多くはアンピシリンに耐性で、カルガリーの分離菌はテトラサイクリンに耐性を示した。この研究は生のフードの潜在的リスク(特に免疫不全状態の個体)を示し、それらの使用および消費に関係する細菌リスクのコントロールおよび理想では排除を助けるため、それらのフード生産に対する制御ガイドラインの必要性を強調する。(Sato訳)
■オンタリオおよびアルバータで生の食事を与えているセラピードックによるサルモネラおよび他の潜在的病原の排泄リスクの評価
Evaluation of the risks of shedding Salmonellae and other potential pathogens by therapy dogs fed raw diets in Ontario and Alberta
Zoonoses Public Health. October 2008;55(8-10):470-80.
S L Lefebvre, R Reid-Smith, P Boerlin, J S Weese
動物-補助介入(AAIs)に関与する犬は、しばしばセラピードックと呼ばれ、一般的に免疫系が最適に機能しない人に互いに影響を持つ。それらの動物に生の肉(家禽を含む)を与えることの適否は、生肉がサルモネラに頻繁に汚染されている証拠が増えているにもかかわらず、非常に議論を呼びそうな問題であり続けている。セラピードックがサルモネラおよび他の病原を排泄するリスクに生食を摂ることが影響するかどうかを判定する計画を立てた。オンタリオとアルバータの200頭の健康なセラピードックを登録した。2005年5月から2006年11月の間に、訪れた場所、家庭内での抗生物質使用、犬の健康状態および食餌のログと共に1年間2ヶ月毎に各犬の糞便標本を採集した。
標本はサルモネラ、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、基質特異性拡張型セファロスポリナーゼ(ESC)大腸菌およびクロストリジウムdifficileに対する培養を行った。40頭(20%)の犬は、年に数回生の肉を食べさせていると報告された。生の肉を食べさせている犬におけるサルモネラ排泄の発生率は0.61件/犬-年で、それに比べ生の肉を食べさせていない犬におけるそれは0.08件/犬-年だった(P<0.001)。頻回測定、標本採取前2ヶ月以内に下痢、豚の耳を食べることをセラピードック群のコントロールとすると、生の肉を食べた犬は、食べない犬と比較して1年に1回以上サルモネラの検査陽性に有意になりやすかった(オッズ比(OR)22.7;95%信頼区間(CI)3.1-58.8;P<0.001)。
特定のサルモネラ血液型は生の肉を食べている犬の中ではより一般的でS. Typhimurium、S. Heidelberg、S. Kentuckyが含まれた。また生の肉を食べることはESC大腸菌排泄に有意に関連した(OR17.2;95%CI9.4-32.3)。C. difficile、MRSA、VREと生の肉を食べることの間に関連は検出されなかった。
我々は、生の肉を与えている犬はAAIプログラム、特に感染あるいは感染に起因する有害な続発症のリスクが高い人と相互作用があるプログラムで除外すべきだと推奨する。さらにAAI犬は一般の犬の集団を代表するものではないかもしれないが、免疫抑制下の人が住む家庭で犬に生の肉を与えることは避けるべきであるとも推奨する。(Sato訳)
■ペットフードの安全性:食餌中たんぱく質
Pet food safety: dietary protein
Top Companion Anim Med. August 2008;23(3):154-7.
D P Laflamme
この文献の目的は、不足あるいは過剰食餌中たんぱく質によるリスクにまつわる証拠を概説することだった。食餌中たんぱく質は必須アミノ酸の提供およびたんぱく質予備能力の補充に必要である。摂取が不足したとき、たんぱく質の代謝回転は緩やかになり、除脂肪体重は次第に減少する。それらの変化は、罹病率および死亡率の増加を招く。生理学的調節によりたんぱく質枯渇状態でも犬は窒素平衡(典型的に成犬で最低必要量を定義するのに使用される)を維持できる。たんぱく質代謝回転および除脂肪体重の保持には、窒素平衡の約3倍以上のたんぱく質を必要とする。
腎臓病理を誘発する過剰な食餌中たんぱく質の能力を、慢性腎不全および腎不全のない老齢犬で研究した。多くの研究でたんぱく質は腎臓に不利な影響を与えないと確認されている。しかし、慢性腎不全の犬でリンおよびたんぱく質制限食は臨床的に有益である。健康な老齢犬に対するたんぱく質制限は不必要だけでなく有害になる可能性がある。老齢犬で蛋白必要量は事実約50%増加する一方、エネルギー必要量は低下する傾向がある。たんぱく質が不十分なとき、老化による除脂肪体重の喪失を悪化させる可能性があり、早期死亡率の原因になるかもしれない。老齢犬には最低7gたんぱく質/100KcalMEを含む食餌により提供される蛋白から、少なくともカロリーの25%を与えるべきである。(Sato訳)
■脂肪細胞における低分子型に変換したライチ由来新規低分子化ポリフェノールであるオリゴノールの抗酸化効果
Antioxidative effects of a new lychee fruit-derived polyphenol mixture, oligonol, converted into a low-molecular form in adipocytes.
Biosci Biotechnol Biochem. 2008 Feb;72(2):463-76. Epub 2008 Feb 7.
Sakurai T, Nishioka H, Fujii H, Nakano N, Kizaki T, Radak Z, Izawa T, Haga S, Ohno H.
この研究において我々は脂肪細胞において新しいポリフェノールであるオリゴノール(株式会社アミノアップ化学、札幌)の抗酸化効果を観察した。活性酸素種(ROS)やアデイポカイン遺伝子の発現は、正常細胞と比較してオリゴノールで治療したHWマウスの白色脂肪細胞で減少した。核内因子κB(NF-kappaB)の転写活性と細胞外シグナル調整タンパクキナーゼ(ERK)1/2の活性化もオリゴノールによってダウン調節された。さらにC57BL/6Jマウスに5週間高脂肪食(HFD)を与えると、精巣上体の白色脂肪組織(WAT)マスの割合と白色脂肪細胞の脂質過酸化の両方が増加したが、オリゴノールの摂取で高脂肪食誘発性増加などが明らかに抑制された。さらに、高脂肪食を単独で与えたマウスの白色脂肪細胞においてアデイポカイン遺伝子の調節不全発現は、オリゴノール摂取によって減弱した。これらの結果からオリゴノールには抗酸化効果があり、脂肪細胞における高脂肪食誘発性のアデイポカイ遺伝子の調節不全発現を減弱させることが示唆される。(Dr.Kawano訳)
■マウスの1型ヘルパーT細胞様免疫反応に対するニゲロオリゴ糖の免疫増強活性
Immunopotentiating activity of nigerooligosaccharides for the T helper 1-like immune response in mice.
Biosci Biotechnol Biochem. 1999 Feb;63(2):373-8.
Murosaki S, Muroyama K, Yamamoto Y, Kusaka H, Liu T, Yoshikai Y.
ニゲロース、ニゲロシルグルコースそしてニゲロシマルトースが配合されたニゲロオリゴ糖(NOS)の免疫増強効果を生体外とマウスを使ったvivoで研究した。正常なマウスの脾細胞を使ったマイトジェン誘発性増殖は、ニゲロオリゴ糖のニゲロースによって用量依存性に増強された。ニゲロオリゴ糖は生体外においてIL-12誘発因子 ニゲロオリゴ糖はvitroにおいて有力なIL-12誘発因子と熱で殺したLactobacillus plantarum L-137が存在する状況において、正常の脾臓細胞によってインターロイキン12(IL-12)とインターフェロン-γ(IFN-γ)産生を増強した。生体外の調査結果と一致して、L. plantarum L-137誘発 IL-12 産生とIL-2-誘発 IFN-γ産生は、コントロール食を与えたマウスと比べて、14.6%のニゲロオリゴ糖を2週間与えたマウスで増強された。致死量の5-フルオロウラシルを投与することによって内因性感染を誘発した後に、ニゲロオリゴ糖が配合された食事を与えたマウスはコントロール群にくらべて明らかに生存時間が長かった。まとめるとこれらの結果は、ニゲロオリゴ糖はIL-12依存性1型ヘルパーT細胞様免疫反応を活性化することによって免疫増強活性を発揮するかもしれないとを示した。
■猫へのリポ酸はヒト、犬、ラットで報告されるものより10倍以上の毒性がある
J Anim Physiol Anim Nutr (Berl). 2004 Apr;88(3-4):150-6.
Lipoic acid is 10 times more toxic in cats than reported in humans, dogs or rats.
Hill AS, Werner JA, Rogers QR, O'Neill SL, Christopher MM.
人やペットに抗酸化のリポ酸(LA)が投与されます。私たちは猫のリポ酸における急性毒性と最大耐量(MTD)について記述した。さらに10頭の健康な成雄猫に、リポ酸60(高用量)、30(低用量)、あるいは0mg/kg(コントロール)を経口投与した。血清酵素活性と胆汁酸、アンモニア、アミノ酸(AA)、リポ酸およびジヒドロリポ酸(DHLA)濃度を測定し、組織を微細に検査した。すべての高用量猫群においてアンモニアとアミノ酸濃度の変化を伴う明らかな臨床毒性が観察された。経口リポ酸(LA)は肝細胞毒性を誘導し、MTDは30mg/kg以下だった。(Dr.Kawano訳)
■(n-6)/(n-3)脂肪酸比率に無関係に(n-3)脂肪酸投与は正常犬の血漿脂肪酸プロフィールに影響を及ぼす
The (n-3) fatty acid dose, independent of the (n-6) to (n-3) fatty acid ratio, affects the plasma fatty acid profile of normal dogs
J Nutr. September 2006;136(9):2338-44.
Jean A Hall, Rebecca A Picton, Monica M Skinner, Dennis E Jewell, Rosemary C Wander
この研究の目的は、食餌の(n-6)(n-3)脂肪酸(FA)の相対比率に関係なく、(n-3)脂肪酸投与量が犬の血漿FA組成に影響するかどうかを調査することだった。健康なメスの老齢ビーグル(7-10歳)に、12週(研究1)または36週(研究2)、 (n-6)/(n-3)FA比40.0:1または1.4:1を含む食餌を与えた。研究3では、ビーグルに同じ(n-6)/(n-3)FA比1:1で、(n-6)および(n-3)FA濃度を増加させた食餌を与えた。食餌給与試験完了後に血漿FA濃度を測定した。
研究1,2で、低(n-3)FA濃度のコーンオイルが豊富な食餌を与えた犬と比べ、高(n-3)FA濃度の魚油が豊富な食餌を与えた犬は、より高い血漿総(n-3)FA、エンコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)濃度、より低い血漿総(n-6)FA、リノール酸、アラキドン酸濃度を呈した(P<0.001)。魚油の含有(P<0.001)および治療効果に関係ない食物摂取の増加の両方とも血漿DHA濃度を上昇させた(P=0.05)。さらに長期間投与する(n-3)FA投与量の定常性は、血漿総(n-3)FA、EPA、DHA濃度を維持する必要があった。
研究3で(n-6)/(n-3)FA比に関係なく(n-3)FA投与で確実な食餌中濃度(DHA:6.3g総(n-3)FA/kg食餌とEPA:9.8g総(n-3)FA/kg食餌)までの血漿(n-3)FA組成を測定した。我々の研究結果は、DHAの最大血漿レベルに到達させるのに約175mgDHA/kg体重が必要だと示す。(Sato訳)
■食事成分は犬の表皮バリア機能における有益な役割を果たします。
Dietary constituents are able to play a beneficial role in canine epidermal barrier function.
Exp Dermatol. 2006 Jan;15(1):74-81.
Watson AL, Fray TR, Bailey J, Baker CB,Beyer SA, Markwell PJ.
表皮バリア機能は哺乳類の皮膚の重大な属性です。バリアは水分の出口を制御して、環境物質の入口を防ぐことで皮膚に関連した病因予防に貢献しています。従って表皮バリアの品質と健全を維持するのはかなり重要です。 構造的に、バリアは2つの主部、角質層および細胞間層状脂質で構成されます。表皮層状脂質は主にセラミド、ステロール、および脂肪酸で構成されています。表皮脂質合成を上方制御する能力について27の栄養成分が選抜された。次に27の栄養成分のうち7成分(パントテン酸、コリン、ニコチンアミド、ヒスチジン、プロリン、ピリドキシン、およびイノシトール)は、バリア特性の機能的な評価をする試験管内の経上皮拡散モデルを使用して再検査しました。最終的に最も良い5つの栄養素を、12週間の給餌研究において栄養補助濃度で犬に与えた。バリア機能は、経上皮水分喪失(TEWL)を使用して測定した。 栄養補助濃度で食べさせるとき、パントテン酸、コリン、ニコチンアミド、ヒスチジン、およびイノシトールの組み合わせは9週間後に犬でTEWLをかなり減少させることができることが見つけられた。(Dr.Kawano訳)
■犬と猫の食事アレルギー:論評
Food allergy in dogs and cats: a review.
Crit Rev Food Sci Nutr. 2006;46(3):259-73.
Verlinden A, Hesta M, Millet S, Janssens GP.
食物アレルギー(FA)は非免疫介在性の食物不耐性(FI)と比較して、「食物摂取後に引き続いて起こる全ての免疫介在性反応」と定義される。粘膜バリアの損傷と経口免疫寛容の損失がFA発症の危険因子である。タイプI、III、およびIV過敏症は最も一般的な免疫的機序である。食物アレルゲンは、10-70 kDaの分子量の(糖)タンパク質であり、熱、酸、および蛋白分解酵素による処理に抵抗力がある。犬と猫のFAの正確な発生率はよく理解されていない。一般的によく罹患する品種もあるが、種類、性別または好発年齢はない。一歳以下に発症する動物もいるが、臨床的徴候の発現前に、少なくとも2年間原因となる食物成分を動物に与えています。FAは皮膚そして/または、消化器疾患を伴う非季節性疾患です。掻痒が主訴で、殆どの場合副腎皮質ホルモンに抵抗性である。20-30%の症例では、犬と猫は同時にアレルギー性疾患(アトピー/ノミアレルギー性皮膚炎)に罹患しています。信頼できる診断は食事除去試験だけです。吸入誘発試験が原因となる食物成分を認識するために必要である。FAの治療は原因となる食物成分を避けることなのです。(Dr.Kawano訳)
■生涯にわたるカロリー制限による犬の免疫老化の変調
Modulation of canine immunosenescence by life-long caloric restriction
Vet Immunol Immunopathol. June 2006;111(3-4):287-99.
Elizabeth H Greeley, Edward Spitznagel, Dennis F Lawler, Richard D Kealy, Mariangela Segre
げっ歯類で、カロリー制限(CR)は免疫老化を遅らせ、中央値および最高寿命を延ばすことが示されている。犬の免疫系に対するCRの長期効果をこの報告で提示する。48頭のラブラドールレトリバーのグループを離乳時に体重、性別の会ったペアに振り分け、8週齢から死亡時まで食事制限プロトコールで維持した。各制限犬は、コントロールとなるペアの犬に与えた食餌の75%を与えた。免疫パラメーターは、4-13歳の間モニターした。CRはリンパ組織増殖性反応と、リンパ球、T-、CD4、CD8細胞集団の絶対数両方において加齢による低下を遅らせた。メスでは、T-細胞比率において加齢による増加を減衰させ、記憶細胞比率の加齢による増加をわずかに遅らせた。B-細胞比率と数の加齢による変化は、CRにより増大した。多形核好中球(PMN)の貪食活性、抗体産生、NK細胞活性に対しCRの直接効果は観察されなかった。より低いリンパ組織増殖反応、より少ないリンパ球、T-、CD4、CD8細胞数、より低いCD8比率、より高いB-細胞比率すべてそれら犬の生存の尤度低下に有意に関係することが分かった。(Sato訳)
■老齢ビーグルのα-トコフェロールの血漿濃度に対するニシン魚油からの食事性長鎖n-3脂肪酸の影響
Influence of dietary long-chain n-3 fatty acids from menhaden fish oil on plasma concentrations of alpha-tocopherol in geriatric beagles.
Am J Vet Res. 2002 Jan;63(1):104-10.
目的: ビーグルの血漿α-トコフェロール濃度に対するニシン魚油の食餌性n-3脂肪酸の効果を決定する
動物: 32 頭の雌ビーグル
手順: 2X3階乗研究でn-6と n-3脂肪酸(40:1[低いn-3]と1.4:1 [高いn-3])の2つの比率のうち1つを含んだ食事、そしてall-rac-α-酢酸トコフェロール(低値、食事の17mg/kg;中間値、101mg/kg;高値、447mg/kg)の3つの濃度のうち1つを82日間犬に与えた。
結果: n-3脂肪酸含有量の高い食事(脂肪酸100g中17.0g)はn-3脂肪酸が低い食事(脂肪酸100g中2.02g)に比べて血漿中のn-3脂肪酸の総含有量が明らかに増加した。コレステロールの平均+/-
標準誤差はn-3脂肪酸が低い食事 (5.71 +/- 0.48 mmol/L)を与えた犬と比べてn-3脂肪酸が高い食事
(5.71 +/- 0.48 mmol/L)を消費した犬の方が明らかに低かった。n-6とn-3脂肪酸の比率と食事(モル単位で示した血漿α-トコフェロール濃度)中のα-酢酸トコフェロールの量の間に重要な相関がありました。なぜならn-3脂肪酸含有量が高く、食事性のα-酢酸トコフェロールの量が2倍高い食事を摂取している犬と比べ、n-3脂肪酸含有量が低い食事を摂取している犬の方がα-トコフェロールの血漿濃度が高かったからです。総脂質含有量に比例した血漿α-トコフェロール濃度は、α-トコフェロール濃度に対する食事性n-3脂肪酸の効果を明らかにしなかった。
結論と臨床関連: α-トコフェロール濃度が血漿の総脂質含有量に比例して表された時、血漿α-トコフェロール濃度はn-6 と n-3脂肪酸の食事性比率に依存しない。(Dr.Kawano訳)
■小型犬における歯の蓄積物を減らすための口腔内衛生ガムの効果
Effectiveness of an oral hygiene chew to reduce dental deposits in small breed dogs.
J Vet Dent. 2006 Mar;23(1):6-12.
4ヶ月間口腔内衛生ガムを補完しつつ通常のドライフードを与えた小型犬は、ドライフードを単独で与えた犬に比べ、プラーク沈着 (17.3%)と歯石蓄積(45.8%)は明らかに減少した。
プラークと歯石蓄積を減らす特別に処理された口腔内衛生ガムの毎日の給餌は、犬の歯周病の重症度に効果があるかもしれません。(Dr.Kawano訳)
■ビーグルの慢性下痢に対する食餌とチロシンの影響
Effect of Diet and Tylosin on Chronic Diarrhea in Beagles
J Vet Intern Med 19[6]:822-827 Nov-Dec'05 Experimental Study 27 Refs
Elias Westermarck, Rafael Frias, and Teresa Skrzypczak
最低30日間慢性の下痢を続けている7頭のビーグル集団を、チロシン20mg/kg24時間毎の経口投与で10日間治療した。治療期間中、便は少し固くなったが緩いままだった。投与を中止して3週間で下痢が再発した。メトロニダゾール、トリメトプリム-スルファジアジン、またはドキシサイクリンとプレドニゾンで治療した全ての犬の便は異常に緩いままだった。それから食餌を10日間、高消化缶詰から通常の成犬用ドライフードに変更した。便は再び固くなったが、緩いままの犬もいた。それから期間を3ヶ月に延長したが、便は理想だったり下痢だったりと変動した。2回目のチロシン20mg/kg24時間毎の経口投与10日間で治療し、便はかなり固くなって3ヶ月間の追跡調査でもその状態を維持した。我々は慢性下痢のコントロールに食餌とチロシンの組み合わせは、それら単独で使用するよりも効果的であると考える。(Sato訳)
■犬の血漿脂質およびリポタンパク濃度に対する肥満の影響
Influence of obesity on plasma lipid and lipoprotein concentrations in dogs.
Am J Vet Res 66[1]:81-6 2005 Jan
Jeusette IC, Lhoest ET, Istasse LP, Diez MO
目的:血漿レプチン、グレリン濃度分析、総血漿コレステロール、トリグリセリド濃度またさまざまなリポタンパク分類(すなわち超低密度、低密度、高密度リポタンパク)のコレステロール、トリグリセリド濃度を測定することにより血漿脂質およびリポタンパク濃度に対する犬の肥満と食餌の影響を判定する
動物:1-9歳で両性別の12頭の痩せたビーグル(平均(±SEM)体重12.7±0.7kg)と12頭の慢性肥満のビーグル犬(21.9±0.8kg)
方法:完全でバランスの取れた維持食を与えている痩せた犬と肥満犬で、総血漿コレステロールとトリグリセリド濃度;リポタンパクコレステロールとトリグリセリド濃度;血漿グレリン、レプチン、遊離脂肪酸、インシュリン、グルコース濃度を測定し、それを比較した。その後、慢性的な肥満犬に血漿脂質、リポタンパク測定に対する食餌組成の影響を評価するため、高蛋白低エネルギー食を給餌した。
結果:犬の慢性肥満は、有意に血漿グレリン濃度を低下させ、血漿レプチン、コレステロール、トリグリセリド濃度を増加させた。高い総血漿コレステロールとトリグリセリド濃度は、全てのリポタンパク分画のコレステロールとトリグリセリド濃度を増加させた。肥満犬で、食餌組成の変更は、体重減少が見られる前でさえも血漿脂質、リポタンパク濃度に対する有益な効果を示した。
結論と臨床関連:肥満と一般に肥満に関与する血漿測定値(すなわちリポタンパク、レプチン、インシュリン、グレリン)の間に相関が存在する。エネルギー摂取をコントロールするため、食餌組成の変更は、肥満犬の血漿脂質とレプチン濃度を改善する。(Sato訳)
■ネコの食餌中フェニルアラニンとチロシン欠乏の神経学的影響
Assessment of the neurologic effects of dietary deficiencies of phenylalanine and tyrosine in cats.
Am J Vet Res 65[5]:671-80 2004 May
Dickinson PJ, Anderson PJ, Williams DC, Powell HC, Shelton GD, Morris JG, LeCouteur RA
目的:黒毛ネコで、フェニルアラニンとチロシンの摂取低下の神経学的影響を判定する
動物:53頭の特異病原フリーの黒毛家ネコ短毛種
方法:≦9ヶ月間、ネコにさまざまな濃度のフェニルアラニン、チロシンを含む精製食を給餌した。2ヶ月ごとに採取した血液サンプルで、血清芳香族アミノ酸濃度を測定した。ネコの毛色、神経学、または行動異常の変化をモニターした。神経学的欠損を伴った3頭は、臨床、電気生理学的調査を行った。その3頭の筋、神経バイオプシー標本も採取した。
結果:6ヵ月後、鳴き声、異常な姿勢、歩様など神経学的、行動学的異常が、<16g総芳香族アミノ酸/kg食餌の食餌を与えたネコで観察された。神経学的症状を示した3頭のネコの電気生理学的データ、筋、神経バイオプシー標本の顕微鏡検査結果は、主に軸索変性を伴う感覚神経障害に一致した。毛色の変化は、<16gフェニルアラニン+チロシン/kg食を食べていた全頭で検出された。
結論と臨床関連:所見は、ネコのフェニルアラニンとチロシンの長期食餌制限が、主に感覚神経障害を起こすかもしれない。ネコで、フェニルアラニンとチロシンの長期栄養必要量は、短期発育実験で必要とされるよりも、正常神経機能でより大きくなることを示す。食餌中フェニルアラニン、チロシンの公な現在の推奨量は、正常な長期神経機能を支持するのに不十分かもしれない。(Sato訳)
■食餌中サプリメントと薬物間相互作用の可能性
Potential Drug Interactions with Dietary Supplements
Compend Contin Educ Pract Vet 27[10]:780-790 Oct'05 Review Article 99 Refs
Laura Goodman, DVM and Lauren Trepanier, DVM, PhD, DACVIM, DACVCP
ビタミン、ミネラル、機能性食品、ハーブ性治療薬などの食餌中サプリメントの使用が人や獣医患者で増えている。補充はより広く行われるようになって来ているため、処方される薬剤との悪い相互作用も増える可能性がある。食餌中サプリメントは、他の薬剤の吸収低下、薬剤クリアランスの抑制または誘発、抗血小板または抗凝固活性のような薬剤の影響を悪化させるかもしれない。臨床に直接関係する薬剤-サプリメント相互作用の研究は進んで来ているが、有効な臨床データは食餌中サプリメント使用の陰にいまだ遅れている。
■子犬の免疫反応に対する抗酸化物質の食餌添加の役割
The Role of Supplementary Dietary Antioxidants on Immune Response in Puppies
Vet Ther 6[1]:43-56 Spring'05 Clinical Study 33 Refs
Christina Khoo, PhD; Joan Cunnick, PhD; Kim Friesen, PhD; Kathy L. Gross, PhD; Karen Wedekind, PhD; Dennis E. Jewell, PhD
この研究で若い動物の免疫システム変化に対し、抗酸化剤と乳漿蛋白添加の効果を評価した。各子犬10頭ずつの4群にそれぞれコントロール食(CTRL)、コントロール±抗酸化剤(AOX)、コントロール±抗酸化剤±1%乳漿蛋白(WPI)、または食料雑貨ブランド食(GROC)を6週間給餌した。2週目と4週目に標準的なワクチンプロトコールで、犬パルボウイルス(CPV)、ジステンパー(CDV)混合ワクチンを接種した。
結果、コントロール食を与えた犬に比べ、高AOXフードを与えた子犬は、有意にCDVワクチンに対する反応を増加させ、免疫刺激細胞を示すCD4+/CD45+dim細胞を増加させ、CTRL、WPI、GROC群と比べ、血清ビタミンE濃度を増加させたことを示した。(Sato訳)
犬の死亡の原因、時期、予測値に対する生涯食餌制限の影響
Influence of Lifetime Food Restriction on Causes, Time, and Predictors of Death in Dogs
J Am Vet Med Assoc 226[2]:225-231 Jan 15'05 Prospective Study 71 Refs
Dennis F. Lawler, DVM; Richard H. Evans, DVM, MS; Brian T. Larson, PhD; Edward L. Spitznagel, PhD; Mark R. Ellersieck, PhD; Richard D. Kealy, PhD
目的:犬の死亡原因、body-mass特性と死亡時期の関連に対する生涯食餌制限の影響を述べる
構成:対給餌研究
動物:7頭の同腹子48頭
方法:犬をペアにし、一方の犬にペアの犬よりも25%減の食餌を8週齢から死亡するまで給餌した。生涯にわたり、不定間隔で何回も体型測定と生理学的測定を行った。給餌群の死亡時期と原因の関連とともに、体組成成分やインシュリン-グルコース反応などの関連因子を評価した。
結果:25%減の食餌を与えていた群の寿命中央値は有意に長かったが、死亡原因は、2給餌群で一般に同じだった。高体脂肪マスとリーンマスの低下は死亡1年前から死亡までを有意に予測し、痩せた体組成は、健康と長寿に必要不可欠に関与すると思われる代謝反応に関与した。
結論と臨床関連:結果は霊長類やげっ歯類で食事制限研究の結果と同様で、種や系統特異内因性死亡原因を遅延させることを反映した。臨床医は、中年から高齢の犬の計画していない体重の変化は、完全な臨床評価の必要性を示すということに気付くべきである。(Sato訳)
■ネコの高濃度ビタミンA慢性摂取による催奇効果
Teratogenic effects of chronic ingestion of high levels of vitamin A in cats.
J Anim Physiol Anim Nutr (Berl) 87[1-2]:42-51 2003 Feb
Freytag TL, Liu SM, Rogers QR, Morris JG
成分として動物の肝臓を使用した結果、いくつかの市販キャットフードでレチノイドの高濃度が生じている。我々の目的は、ネコで、食餌中ビタミンAの催奇形性の可能性を研究することだった。約3年間、6,000、306,000、606,000レチノール等量(RE)/kg餌(それぞれコントロール、306K、606K群)の酢酸レチニル濃度の食餌を与えた母ネコの子猫で、先天性欠損症の発生率を調査した(1RE=1μgレチノール=3.3国際単位[IU])。各群に12-15頭の年齢が合致した、未産婦家ネコ短毛種のメスネコをオスと交配させた。97腹、合計396匹の子ネコが産まれた。妊娠率、妊娠における子猫数、年間の妊娠回数に治療群間の有意差はなかった。コントロール、306K、606K群で、それぞれ合計2、5、11頭の奇形の子犬が産まれた。口蓋裂、頭蓋裂、下顎短縮、結腸狭窄、拡大心、脊髄と小腸無形成などの奇形は、他の種で過剰なレチノイドの摂取に一致する典型的な胎児の欠損である。この研究は、306,000RE/kg餌の濃度は、子猫の先天的欠損を起こす可能性があると示した。(Sato訳)
■食物の摂取、絶食は実験室検査結果においてどのような影響を与えるか?
What influence do fasting, eating have on laboratory test results?
Jul 1, 2004
Osborne
DVM Newsmagazine
獣医師や動物看護師は外見上では健康に見える動物の病気を評価するため、病気の患畜の病因を診断するため、様々な治療に対する患畜の反応をモニターするために臨床検査結果に頼る。
試験管内での診断的検査の値は、生体内として測定された分析物の測定濃度の信頼性と関連がある。検査の精度、正確性、分析感度そして分析特異性は検査結果の妥当性を決定する。しかし食事、薬物療法、検体の取扱いも実験室検査値に影響するかもしれない。
検査前の食物摂取によって影響を受ける血液、血漿、血清そして尿化学分析物は1日を通じて大幅に変化するであろう。絶食した検体の採取は、しばしばこの変化の源を最小限にするため推奨される。
絶食は栄養感受性疾患の患畜において食事の影響をなくすことが出来る。この診断の主な目的は、絶食、食事による血液、血漿、血清そして尿の組成に対する影響を強調することである。
食欲不振や絶食時の実験室検査結果の影響は、食事を控えたときのもので、血糖値、インスリン分泌の減少と相互的に増加するグリコーゲン動員と糖新生を促進するグルカゴン分泌の増加がある。もし24~48時間以上長く食事を与えないと、脂肪分解が起こり、ケトン体(アセトン、アセト酢酸、βヒドロキシ酪酸)の産生をもたらす。犬や猫でも絶食によるケトン体生成が起こるが、これらの種類は明らかに能率的にケトン体を使うため、ケトアシドーシスが一般的ではない。ケト酸血症やケト酸尿症が食欲不振の患畜で検出されたら、糖尿病もしくは肝不全を基礎疾患として除外するべきである。
肝臓は食事摂取の間、糖新生のための主な部位であるため、血清ビリルビン濃度、アラニントランスアミナーゼ(ALT)活性、アスパラギン酸アミノトランスアミナーゼ(AST)活性そしてブロムスルファレイン(BSP)滞留時間が増加するかもしれない。従って同様の検査結果が長期間食欲不振の患畜で観察される時、それらの患畜が原発性肝機能不全であるという結論を下さないために十分注意が必要である。
同様に食欲不振の患畜における正常な血漿アンモニア、血清胆汁酸濃度の検出は、肝不全の可能性を除外することが出来ない。
血清尿素窒素(SUN)と血清リン濃度は、食事蛋白消費が減少している期間低下する。従って腎疾患を伴なう食欲不振患畜においてSUNとリン濃度を評価するとき、腎機能不全の重要性を過小評価しないように注意しなければならない。この状況において血清クレアチニン濃度の評価が、腎機能のよりよい指針となるかもしれない。
尿素の濃度
腎髄質の尿素濃度は対向機構や尿濃度において重要な役割を果たしている。従って減少した食事蛋白消費の結果として起こる尿素産生量の減少が、腎髄質の尿素が涸渇するほど大量であれば、腎臓が正常であっても尿比重が低下した尿の産生が起こるであろう。特に腎前性高窒素血症に付随した食欲不振患畜において、原発性腎疾患の誤診に注意しなければならない。
24時間尿溶質排泄の測定では、絶食中の尿組成と比較して給餌中の組成と違いがあるかもしれない。例えば食事が取れていない間、アルドステロン分泌は増加し、腎尿細管でのナトリウムの再吸収および腎尿細管からのカリウムの排泄を促進する。結果として血漿カリウムは減少、カリウムの尿排泄が増加し、塩化物とナトリウムの尿排泄が減少する。また絶食中、尿pH値は上昇するが、カルシウム、マグネシウム、尿酸、アンモニア、滴定可能な酸そして水素イオンの排泄は減少する。
入院中、患畜による水の摂取量は低下するかもしれない。自発的な飲水の減少は通常、尿濃度の代償性増加に帰着する。この状況において、24時間の同じ溶質の尿排泄率は、飲水量が減らなかった場合の排泄率と類似しているとしても、様々な溶質の尿濃度も増加するであろう。従って入院患畜が自宅での環境に比べ飲水量が少ない時、尿石症の診断と治療において様々な尿溶質の24時間排泄と24時間尿濃度の解釈に注意しなければならない。
実験室検査結果における食べることの影響
食事摂取後の肝臓は栄養を代謝する。人において血清ビリルビン濃度、ALT活性、AST活性そしてBSP滞留時間は食事後2時間で上昇する。食後のアルカリフォスファターゼ(ALP)も増加する。血清ALP活性の増加は腸のALPアイソエンザイムによるものである。しかし犬及び猫の腸ALPアイソエンザイムの血清半減期は6分以内で、腸ALPアイソエンザイムはこれらの種における総血清ALP活性に影響を与えない。犬と猫において血清グルコース濃度は食後2時間から4時間で上昇する。(Dr.Kawano訳)
■イヌの肥満治療プログラムの一部としてオーナー教育を評価する
Evaluation Of Owner Education As A Component Of Obesity Treatment Programs For Dogs
J Am Vet Med Assoc 224[12]:1932-1935 Jun 15'04 Clinical Trial 16 Refs
Jill E. Yaissle, MS; Cheryl Holloway; C. A. Tony Buffington, DVM, PhD, DACVN *
目的:肥満犬の通常の肥満治療プログラムの結果と、オーナーの教育を含む肥満治療プログラムの結果を比較する
構成:非盲検前向き臨床研究
動物:ボディコンディションスコアー(BCS)8/9または9/9の肥満犬60頭
方法:イヌをランダムにコントロール、またはオーナー教育(EDU)処置群に振り分けた。6ヶ月の減量期間に続き、18ヶ月が体重維持期間とした。以前の食餌に関する情報を評価した後、体重の1%/週の減量となるような1日カロリー摂取量を各犬で算出した。体重維持の1日カロリー摂取量は、減量時に算出したものに必要ならば±5%の補正を加え、その20%以上になるよう見積もった。体重とBCSを毎月記録した。EDU群のオーナーには、6ヶ月減量期間の間、栄養関連に関する毎月の勉強会に出席するよう求めた。
結果:両治療群のイヌは、最初の体重に比べ、減量期間の終わりには有意に減っていた。6ヶ月目の平均体重減少はコントロール群で14.7%、EDU群で15%だった。この差は有意ではなかった。体重維持期間の間、両治療群は減量比率を維持した。6ヶ月時のBCSの平均変化(0時に比べ)は、コントロール群で-1.5、EDU群で-1.7だった。24ヶ月時、BCSの平均変化は(0時に比べ)、コントロール群で-2.1、EDU群で-2.2だった。6ヶ月、24ヶ月共に治療群間のBCSに有意差は認められなかった。
結論と臨床関連:BCSの平均減少2、平均減量15%は全ての犬で達成維持できた。減量、体重維持期間中の食餌変更、月々の体重チェックを含む肥満治療プログラムは、それらの結果を達成するのに十分だった。(Sato訳)
■ネコで市販の缶詰を食べることと甲状腺機能亢進症の関連に関する疫学的研究
Epidemiologic Study of Relationships Between Consumption of Commercial Canned Food and Risk of Hyperthyroidism in Cats
J Am Vet Med Assoc 224[6]:879-886 Mar 15'04 Retrospective Study 49 Refs
Charlotte H. Edinboro, DVM, PhD; J. Catharine Scott-Moncrieff, VetMB, MS, DACVIM; Evan Janovitz, DVM, PhD, DACVP; H. Leon Thacker, DVM, PhD, DACVP; Larry T. Glickman, VMD, DrPH
目的:ネコ甲状腺機能亢進症の罹患率の増加が、ネコ集団の加齢の結果かどうか、そして生涯の中で種々の時期に食べた缶詰が、甲状腺機能亢進症のリスク増大に関係するかどうかを判定する
構成:回顧的、症例-コントロール研究
研究集団:9箇所の大学病院で20年間のうちに評価した甲状腺機能亢進症のネコ3570頭を含む169576頭の医療記録と、甲状腺機能亢進症の109頭(症例)、甲状腺機能亢進症ではないネコ173頭(コントロール)
方法:獣医療データベースの記録を使用し、甲状腺機能亢進症の年齢補正病院罹患率を算出した。オーナーのアンケートの回答をもとに、缶詰を食べることと甲状腺機能亢進症の発症の関連を評価するのに、ロジスティック法を使用した。
結果:ネコ甲状腺機能亢進症の年齢補正病院罹患率は、1978年から1997年まで総体的に有意に増加し、生涯のさまざまな時期と各付加的年齢時、引き上げ蓋式缶詰(vs.ドライ)を食べることが、甲状腺機能亢進症発症リスク増大に関与していた。メスネコで、引き上げ蓋式缶詰、または引き上げ蓋式缶詰とそうでない缶詰を混合して食べるとリスクが増大していた。オスネコで、引き上げ蓋式缶詰を食べることと年齢が、リスクの増大に関与していた。
結論と臨床関連:それらの所見は、ネコ甲状腺機能亢進症の罹患率の増加が、ネコ集団の加齢の結果だけでなく、缶詰もその役割を担っているかもしれないと示唆する。(Sato訳)
■過体重のネコで急激な減量後、肝臓や脂肪組織の脂肪酸組成に対し、食餌中蛋白の質や必須脂肪酸がどう影響するか
Effect of dietary protein quality and essential fatty acids on fatty acid composition in the liver and adipose tissue after rapid weight loss in overweight cats.
Am J Vet Res 64[3]:310-5 2003 Mar
Szabo J, Ibrahim WH, Sunvold GD, Bruckner GG
目的:過体重のネコで減量後の肝臓や脂肪組織中脂肪酸組成に、食餌中蛋白の質(カゼイン[CA]vsコーングルテン[CG])と食餌中脂質(コーンオイル[CO]vs長鎖不飽和脂肪酸[LCPUFAs]の豊富な混合油[OB])がどう影響するかを研究すること
動物:24頭の避妊済み成猫
方法:ネコには理想体重の30%以上になるまで高品質の食餌を自由に食べさせた。それから4種類の体重減量食の1つにランダムに振り分け(1つの食餌に6頭)、1日に維持エネルギー要求量の25%を与えた。それぞれCG-CO,
CA-CO, CG-OB, CA-OBからなる食餌を、体重が減少し本来の除脂肪体重になるまで給与した。肝臓の生検標本と腎周囲、皮下、腹部脂肪のサンプルを採取し、脂肪酸含量を分析した。
結果:減量後、肝臓や脂肪組織の脂肪酸組成は、主に蛋白の質に影響を受け、CAを与えたネコは、CGを与えたネコよりも20:4(n-6)と22:6(n-3)脂肪酸の割合が有意に高かった。CG-CO食を与えていたネコは最もLCPUFAs濃度が低く、食餌中脂質と蛋白の質が各々、組織の脂肪酸組成に影響すると示唆する。
結論と臨床関連:それらのデータは、ネコの減量中に食餌中の蛋白の質が脂肪酸組成を変化させるという直接証拠を提供する。観察された脂肪酸パターンは、蛋白の質が不飽和化酵素活性の調整を通し脂肪酸組成を変化させるかもしれないと思われる。(Sato訳)
■炎症性腸疾患の犬に対し、加水分解タンパクを含む市販の低アレルギー食を使用した食餌試験
Dietary Trial Using a Commercial Hypoallergenic Diet Containing Hydrolyzed Protein for Dogs with Inflammatory Bowel Disease
Vet Ther 3[2]:109-118 Summer'02 Clinical Trial 25 Refs
Stanley L. Marks, BVSc, PhD; Dottie P Laflamme, DVM, MS, PhD; Denise McAloose, DVM, PhD
炎症性腸疾患(IBD)のイヌ6頭に、唯一の蛋白源として酵素による加水分解脱脂大豆グロブリン組成の、市販低アレルギー食を給餌した。6頭中5頭は、種々の管理食に難治性を示し、4頭は過去に行った内科療法に反応しなかった。全頭に試験食を10週間1日2回給餌した。2-4週間で食餌単独により臨床症状が十分改善しなかった犬には、食餌療法に加え適切な内科療法を行った。胃十二指腸内視鏡検査とバイオプシーを0日目に行い、研究期間の終わりに再度行った。
病理学者により組織変化、粘膜構成を現す数的段階付けシェーマを使用し腸管バイオプシーを評価した。4頭は食餌療法単独で適切な臨床改善をもたらし、2頭は内科療法の併用が必要で、1頭は膵外分泌不全があった。平均便スコアーは治療後改善した。治療後5頭は、十二指腸バイオプシーの軽度から中程度の組織学的改善を示した。観察された改善は、試験した食餌が高消化性で、コーンスターチ(未処置の穀物よりも)と中鎖脂肪酸源(脂肪23%)を含み、オメガ6とオメガ3の不飽和脂肪酸比率の変更を行っているため、蛋白源の加水分解性状に単独で寄与する事ができなかった。それにもかかわらず臨床症状の解消とバイオプシースコアーの改善は、過去に難治性の炎症性腸疾患を伴うイヌの管理として、加水分解蛋白源を含む食餌の役割を批評的に評価する更なる研究を行う重要性をはっきりと示す。(Sato訳)
■健康な成犬にプロバイオティック乳酸菌株DSM13241の効果
Effects of probiotic Lactobacillus acidophilus strain DSM13241 in healthy adult dogs.
Am J Vet Res 65[3]:338-43 2004 Mar
Baillon ML, Marshall-Jones ZV, Butterwick RF
目的:ドライのドックフードで、プロバイオティック乳酸菌株の生存度を評価し、胃腸管を通り大腸に移行する生存能力を判定し、腸管や全身パラメーターに対する影響を評価する
動物:15頭の成犬
方法:イヌにはドライのコントロールフードを連続して2週間与え、それからその餌に>10(9)乳酸菌を加えて4週間与え、再びコントロールフードを2週間与えた。糞スコアーを毎日評価し、糞便と血液サンプルを採取し、細菌集団の計数、血液検査を行った。
結果:添加フードから研究の最初および最後の乳酸菌の回収率は、71%と63%で、菌が製造そして貯蔵で生存可能と示している。プロバイオティック菌は、添加期間にリボタイプ判定とRNA遺伝子塩基配列決定で糞中に検出されたが、添加中止から2週間では検出されなかった。プロバイオティック添加フードの給餌は、糞中乳酸桿菌の数を増やし、クロストリジウム菌の数を減らした。RBCs、Hct、ヘモグロビン濃度、好中球、単球、血清免疫グロブリンG濃度は有意に増加し、RBC脆弱性、血清NO濃度は低下した。
結論と臨床関連:それらのデータは、乳酸菌をドライフードにうまく混合でき、イヌの胃腸管は生存して移行して大腸に棲息し、局所および全身性の変化を起こすことを示す。このプロバイオティック菌は、イヌの腸の健常性を高め、免疫機能を改善する可能性を持つと思われる。(Sato訳)
■犬と猫の肥満管理における臨床的研究
Clinical studies in the management of obesity in dogs and cats.
Int J Obes Relat Metab Disord 1994 Jun;18 Suppl 1:S39-43
Markwell PJ, Butterwick RF, Wills JM, Raiha M.
コンパニオンアニマルにおける肥満は一般的に見られる臨床徴候であり、獣医師に対して重要な難題となる。この論文では、あるグループの犬で、制御されたカロリー減少が減量を達成させた研究を報告する。研究のための食物給与量は、減量開始時の体重よりも15%減少させる事を目標に、一日当たりおよそ209KJ代謝エネルギー(ME)/kg(目標体重)×0.75で与えられた。
体重の減少率は、12週間以上1週間におよそ平均1%に達した。
猫における2回目の研究から再検討されたデータでは、1日当たりの目標体重を1kg当たりおよそ121KJMEで、再度、現在の体重より15%減少させることを目標にした場合、この種(猫)では、ゆるやかな減量を得ることから、エネルギー摂取は適切なレベルであったことを示唆した。 これらの調査結果は減量、断食の代替減量法との関係で論じられる。コンパニオンアニマルで減量を達成するために制御されたカロリー減少の補助として、運動することもまた可能性のある価値として考えられる。(Dr.Shinju訳)
■犬と猫のエネルギー要求量 - 何が間違っているのか?
Energy requirements of cats and dogs--what goes wrong?
Int J Obes Relat Metab Disord 1994 Jun;18 Suppl 1:S8-13 Related Articles, Links
Legrand-Defretin V.
小動物診療において遭遇される栄養不良の最も普通に見られる状態を呈する肥満は、主に食べ過ぎによる結果である。言い換えれば、ある段階において、肥満動物のエネルギー摂取量が限度を越え、そのエネルギー必要条件が脂肪の過剰な貯蔵を導いているのである。このような現象を克服するために、犬と猫の正確なエネルギー要求量を定義することは重要である。
動物の毎日のエネルギー要求量は、普段休息している時のエネルギー消費とその熱産生を合わせたもの、そして身体の状態とを結びつけたそれに相応すべきである。前者は、環境パラメータ(外界温度)はもちろんのこと、体の大きさ、体型、身体組成のような本質的な要素によって影響を受ける。 後者は動物の生理学的状態(成長、妊娠 / 乳汁分泌、老化)によるもの、あるいは活動量や活動のタイプによって影響を受ける。犬と猫の個々のエネルギー要求量に対するこれらすべての要因の効果が、今回再検討されるであろう。 過食あるいは少食の問題を避けるために、犬と猫のエネルギー要求量に関するさらなる科学的な情報は明らかに必要である。 ところが、全体のエネルギー摂取量が過小評価されるために、未だに、動物が肥満になる状況があるのであろう。 例えば、所有者がしばしば通常の給餌時間外に与えた食物のエネルギーを考慮に入れることを忘れる。 これらの状況がペットの肥満の発生率における重要性ということで議論されるであろう。(Dr.Shinju訳)
■コンパニオンアニマルの肥満を管理するための食餌とテクニック
Foods and techniques for managing obesity in companion animals.
Burkholder WJ, Bauer JE.
J Am Vet Med Assoc 1998 Mar 1;212(5):658-62 Related Articles, Links
肥満管理は最初にペットの診断をすることが必要であり、考えられる医学的問題を除外し、正確な食餌を提供すべきである。食卓の残り物、ペットのおやつ、あるいはその他の原因によるカロリーも含めて、既存のカロリー摂取量の適切な評価をする事が基本である。彼らのペットに対して主要なライフスタイル変更に傾倒するオーナーの自発的意志を評価することも、どんな成功した減量プログラムにおいても重要な部分を占める。 最近では、いくつかの場合においては、この動機づけを彼らのペットに行われた整形外科手術、あるいは他の処置に関する高額な請求に関連づけることができる。
いったん候補がプログラムに参加すれば、タンパク質、ビタミン、ミネラル摂取を維持すると同時に、エネルギー制限を計算することが推奨されるべきである。計算された食餌量が、そのペットが現在食べている食餌量よりも多くなるということが判明すれば、それは驚くべき事であるかもしれない。
これらの動物で、低タンパク質の「ライト」、あるいは高繊維を含む食餌の「シニアタイプ」ではなく、高タンパク質で、肥満管理の食餌を使用することは不可避である。もし可能であるなら、おやつは全体的に制限され、物乞い行動を防止すべきである。食事と腸の連動が確立させるため、どんなスナックでもペットの給餌用ボールに置かれるべきである。
所有者が、自分たちのペットが従うことを奨励する現実的な運動プログラムを利用することが、同等の重要性を持っている。 減量のための種々の製剤は利用可能である。カロリー 摂取量を制限するため特別な配合製剤の使用する一方で、不可欠な栄養摂取量を維持し、遊びや他の活動によるエネルギー消費を増やすことが減量プログラム成功の特徴である。(Dr.Shinju訳)
■犬と猫における肥満の食餌管理の進歩
J Nutr 1998 Dec;128(12 Suppl):2771S-2775S
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Advances in dietary management of obesity
in dogs and cats.
Butterwick RF, Hawthorne AJ.
近年、人間では、エネルギー要求に対する活動レベルに応じた、特別なライフスタイルの習慣の重要性が再び強調されてきている。成犬における最近の調査では、活動レベルとエネルギー要求の間に明らかな関連があるとされており、現行の給餌推奨量は成犬でのエネルギー要求量を過大評価している可能性があると示唆している。
給餌の指導で減量は、成犬において、餌の与えすぎ、および後々の肥満への進行の危険性を軽減させるのに役立つが、それぞれの個体に対する給餌習慣を仕立てる重要性を強調するエネルギー要求量に関し、かなりの個々のバリエーションがある。
食餌制限は明らかに、肥満の予防と治療の両方を行う重要な役割を担う。我々は、コンパニオンアニマルにおける肥満治療の異なる食餌療法の効果を調査した。猫では、エネルギー制限が増大させた結果、すばやい減量を起こした。しかしながら、このことは身体組成の好ましい変化ではなかった。犬では、減量に関し適切にエネルギー摂取を制限された犬において、満腹感に対し不溶性および可溶性の食物繊維の潜在的な利点について評価している。一連の研究の結果、エネルギー制限された犬を満腹にする両タイプの繊維の利点を見つけだすことはできていない。(Dr.Shingo訳)
■創傷治癒におけるオメガ3脂肪酸強化食の効果
The Effects of Omega-3 Fatty Acid Diet Enrichment
on Wound Healing
Vet Dermatol 10[4]:283-289 Dec'99 Original
Article 34 Refs
M. Stacie Scardino; Steven F. Swaim ; Eva
A. Sartin; Charles E. Hoffman; Gregory K.
Oglivie; Rodney A. Hanson; Shindok L. Coolman;
Deborah J. Davenport
オメガ3脂肪酸を、それらが有する抗炎症作用の性質が、創傷治癒にどれほど影響を与えるか結論づけるために評価した。12匹のビーグル犬を6頭ずつ、2つのグループに分けた。グループ1では、n-6:n-3の脂肪酸比率0.3とn-3脂肪酸が強化された食餌(n-3
FAED )を与え、グループ 2では7.7の比率でコントロール食(
CD )が与えられた。 開放および縫合した皮膚切開創を犬の体幹に作り、レーザードップラー灌流画像、張力測定、面積測定、組織病理学、エイコサノイド含有量によって評価した。5日目にn-3
FAEDを与えた犬は、開放創(P = 0.0343)の上皮化は有意に減少し、縫合創(P
= 0.015)における浮腫も有意に減少していた。
同様に、組織灌流(P = 0.086)はより少なく、PGE2濃度(P
= 0.0756)とネガティブな創の収縮もより低い傾向にあった。この研究で使用されたn-3
FAED は、創傷治癒に対し長期にわたる顕著な悪影響を示すことはなかった。(Dr.Shingo訳)
■高度不飽和脂肪酸食を摂取する成ネコのビタミンE要求量は少し増加する
Hendriks WH, Wu YB, Shields RG, Newcomb M,
Rutherfurd KJ, Belay T, Wilson J.
J Nutr 2002 Jun;132(6):1613S-5S
Vitamin e requirement of adult cats increases
slightly with high dietary intake of polyunsaturated
Fatty acids.
大まかな要約 最近50年以上にわたって、高度不飽和脂肪酸の高い食事摂取に起因する、ビタミンEの欠乏を伴うネコが多く報告されている。脂肪織炎(黄色脂肪症)はビタミンE欠乏に起因し、高魚肉の市販キャットフードを与えられた後の子ネコ、ビタミンE抜きに精製したツナオイル、紅バナオイルを与えられた後の子ネコに実験的に引き起こされている。魚オイルは高度不飽和脂肪酸が豊富であり、高度不飽和脂肪酸は酸化されやすく、魚オイルの摂取の増加はビタミンE要求量の増加に関係している。最近のネコの食事中ビタミンE最小要求量は、30IU/kg
乾物に調節されており、3~4倍の高度不飽和脂肪酸食に備える食事レベルである。しかし、成ネコにおいて後者の数値、もしくは増加の推奨を実証する直接の証明はない。この研究の主要な目的は、魚オイルからの高不飽和脂肪酸食を与えられている成ネコの、ビタミンE要求量を決定することであった。市販の食事を与えられているネコにおけるビタミンE欠乏を予防するため、Association
of American Feed Control Officials (AAFCO)は、魚オイルを含むネコ用食には、食事1kgあたりの魚オイル1gに10IUのビタミンEを補うべき、と推奨している。(Dr.Yoshi訳)
コメント:先日、初めて黄色脂肪症の症例に遭遇しました。表皮を試験切開してようやくわかりました。後から飼い主さんにお訊きしたら、缶詰ばかり与えていた、とのことですが、ツナ缶だけではなく、いろいろな種類を与えていたそうです。原因のわからない発熱の症例には、黄色脂肪症も忘れずに考えたいと思います。
■犬の生涯に渡る食事制限が与える効果と加齢の変化
JAVMA 220:1315-
目的:生涯に渡り25%食事制限をしたときの影響を評価する。
動物:48頭のラブラドール・レトリバー。
方法:2頭で一組とし、生後8週齢から死亡するまで、ペアの相手より25%少ない食事を与え続けた。血液化学検査、ボディコンデションスコアー、体組成について12歳になるまで毎年検査を行った。慢性疾患の発生する年齢および寿命の中央値(数が半分に減った時の年齢)、最長年齢を評価した。
結果:コントロール群に比べて食事制限群は、体重が軽く、脂肪も少なく、血清トリグリセリド、インスリン、血糖も低かった。寿命の中央値も食事制限をしている群の方がはるかに長かった。慢性疾患の臨床症状も食事制限群では発現年齢が遅くなる傾向がみられた。
結果ならびに臨床的意義:25%食事制限は寿命の中央値を延長し、慢性疾患の発症を遅らせる。(Dr.Tako訳)
■肥満ネコの絶食から引き起こされた肝リピドーシスにおいて、食餌中のL-カルニチン補充はカルニチン代謝を変え、ケトージスを減じる
Blanchard G et al; J Nutr 2002 Feb;132(2):204-10;
Dietary L-carnitine supplementation in obese
cats alters carnitine metabolism and decreases
ketosis during fasting and induced hepatic
lipidosis.
この研究は実験的なネコ肝リピドーシス(FHL)において、食餌中のカルニチン補充がネコをケトージスから防御できるか、カルニチンと脂肪代謝を改善できるか決定することを意図した。避妊済の削痩したネコに肥満時からL-カルニチン40(CLgroup,
n = 7)もしくは1000(CH group, n = 4)mg/kg
を与えた。実験的に引き起こされたFHL中、そして治療後に血漿中の脂肪酸、beta-ヒドロキシ酪酸
、カルニチン、筋肉中のカルニチン濃度を測定した。コントロールのネコ(CLgroup
)において、絶食とFHL時の脂肪酸の血漿濃度が2~3倍(P
< 0.0001)、beta-ヒドロキシ酪酸は10倍以上(当初0.22
+/- 0.03 から絶食3週間後1.70+/- 0.73 、FHL中3.13
+/- 0.49 mmol/L )増加した。カルニチン補充猫(CHgroup)で、それらの変数は、FHL中(beta-ヒドロキシ酪酸、
1.42 +/- 0.17 mmol/L)のみ有意(P<0.0001)に増加しました。L-カルニチン補充は有意に血漿と筋肉と肝臓のカルニチン濃度を増加させた。補充していないネコにおいて、肝臓カルニチン濃度は、肥満状態からFHLまで劇的に増加したが、補充したネコにおいてはそうでなかった。それはコントロールのネコでは体内のアミノ酸から新しくカルニチン合成するのに対し、補充したネコにおいては貯蔵ができたと考えられる。この結果は肥満傾向にあるときの絶食によるケトージスに対して、食餌中のL-カルニチンの防御効果を実証する。それゆえ、去勢後のような低エネルギー要求、肥満に対し高リスクなネコにおいて、食餌中のL-カルニチンレベルの増加は推奨されるであろう。(Dr.Yoshi訳)
■コンパニオンアニマルにおける肥満管理のための食事と技術
Burkholder WJ et al; J Am Vet Med Assoc 1998
Mar 1;212(5):658-62; Foods and techniques
for managing obesity in companion animals.
肥満の管理には、最初にペットにおける他の医学的問題の可能性を除外し、正確な食事歴を把握するべきである。食卓の残飯、ペットのおやつ、または他からを包括したカロリー摂取状態を良く評価することが必要である。ペットにとって大きな生活様式の変化をもたらす飼い主のやる気の評価が、体重減量計画の成功に重要な部分でもある。いくつかの例において、このやる気は、彼らのペットに施された整形外科、もしくは他処置の最近の高額な費用に関わっている。いったん志願者がプログラムを実行するのなら、体を維持するための蛋白、ビタミン、ミネラルと同時にエネルギー制限が推奨されるべきである。計算された食事量が、ペットが現在与えられている量よりも多いことを見出し、驚くであろう。これらの動物においては、高蛋白、肥満管理用食事を使用し、低蛋白、ライト、もしくは高繊維を含む老齢タイプの食事を使用しないことである。おやつはすべて制限され、乞う動作はやめさせるべきである。少しの軽食でも、ペットの給餌容器に置くべきである。それは食事と容器の関係を確立するからである。同様に重要なのは飼い主がペットと共にできると思われる、現実的な運動計画の適用である。
様々な体重減量のための製品が利用できる。カロリー摂取制限を目的として特別に考案された製品を使用する一方、必須栄養素の摂取維持、遊びや他の活動によるエネルギー消費の増加は、体重減少計画の成功を保証します。(Dr.Yoshi訳)
■ビーグル犬における肥満評価のための2次元超音波検査を用いた背脂肪層の測定
Morooka T et al; J Small Anim Pract 2001
Feb;42(2):56-9; Measurement of the back fat
layer in beagles for estimation of obesity
using two-dimensional ultrasonography.
この研究の目的は、過剰な体脂肪の指針として、ビーグル犬における皮下脂肪層測定のための適当な部位を選択することであった。そのような測定のために適した部位は5つの条件を備えるべきである-それは以下のことが簡便であるべきである:(1)プローブを当てること、(2)測定部位の解剖学的特徴を見出すこと、(3)いつでも超音波検査図の再現性が得られること、(4)測定のための充分な厚みがあること、(5)肥満の程度により面積が明瞭に変化することである。超音波検査図は、第6腰椎、第7腰椎、第1仙椎の棘突起の頂点での横断面が測定に適当であると解った。これらの部位における背脂肪層の深さと面積は、肥満の程度と密接に関係していた。(Dr.Yoshi訳)
■慢性特発性胃腸問題を持つ猫における、食物過敏反応
Food Sensitivity in Cats with Chronic Idiopathic
Gastrointestinal Problems
W. Grant Guilford; Boyd R. Jones; Peter J.
Markwell; Donald G. Arthur; Mark G. Collett;
John G. Harte
J Vet Intern Med 15[1]:7-13 Jan-Feb'01 Clinical
Study 31 Refs
この研究の目的は、慢性特発性胃腸問題を持つ猫における、食事過敏反応の罹患率を調査することと、原因となる食事成分を明らかにし、臨床徴候を特徴づけることです。
慢性胃腸疾患徴候を呈した70頭の猫で診断的研究を行いました。55頭の猫が特発性疾患で、研究対象としました。食事過敏反応の診断は、除去食として、市販の選択的蛋白源食を用いることにより、除去食-チャレンジ試験で行いました。慢性特発性胃腸問題を持つ55頭の猫のうち、16頭(29%)を、食事過敏症と診断しました。他の11頭(20%)の猫の臨床徴候は、除去食で改善しましたが、以前の食餌に戻した後も再発は認められませんでした。臨床徴候に対する食事または原因となる食事成分は、食事中の主成分でした。発症した猫の50%は、1つ以上の食事成分に対し過敏な反応を持ちました。食事過敏症の最も示唆的な臨床徴候は、胃腸徴候と皮膚徴候の併発でした。発症した猫の11頭に体重減少、小腸性下痢よりも大腸性下痢が、一般的によく認められました。血清抗原特異的IgE解析は、スクリーニングテストとして限られた値しか示さず、食事過敏反応に対する胃内視鏡検査は、有用ではありませんでした。結論として、食事主成分に対する有害反応は、この猫個体群で一般的であり、選択的蛋白源食に良く反応しました。診断は除去食-チャレンジ試験を必要とし、臨床徴候、ルーチン臨床病理的データ、血清抗原特異的IgE解析、内視鏡的食事過敏反応検査、または胃腸バイオプシーをもとに行うことは出来ません。(Dr.K訳)
■ネコの便中潜血の検出における食餌要因の影響
Tuffli SP et al; J Vet Diagn Invest 2001
Mar;13(2):177-9; Effect of dietary factors
on the detection of fecal occult blood in
cats.
グワヤク脂とオルトトリジン便潜血テストにおける影響を評価するため、6種の異なる食餌をそれぞれ6頭のネコに与えた。便サンプルは5~7日目に採取した。イヌ血液と純粋なカテージチーズを陽性・陰性コントロールとしてそれぞれ使用した。134の便サンプルを分析した。ドライフィッシュ(カペリン)と野菜(タピオカ)と純粋なカテージチーズのみ、両方のテストで陰性を示したが、缶詰のチキンと穀物(ライス)は、オルトトリジンタブレットテストでは全ての便サンプルで、グワヤク脂ペーパーテストでは便サンプル16のうち10で陰性を示した。一方で6種の食餌およびイヌ血液添加物を与えたネコからの便サンプルは、全て両方の便潜血テストにおいて陽性を示した。この結果はオルトトリジンとグワヤク脂を基にした潜血テストは臨床上役立つが、ネコにおいてテスト前に厳密な食餌管理を必要とすることを示している。(Dr.Yoshi訳)
■食物有害反応を持つ犬の管理に関する、選び抜かれた蛋白源食の評価
Mieke H. G. Leistra, DVM et al; J Am Vet
Med Assoc 219[10]:1411-1414 Nov 15'01 Crossover
Trial 24 Refs; Evaluation of Selected-Protein-Source
Diets for Management of Dogs with Adverse
Reactions to Foods
目的:食物有害反応による「かゆみ」を持つ犬で、維持食として市販で入手可能な、3つの選択的蛋白源食を評価することです。
計画:無作為化交差試験
動物:食物有害反応により、「かゆみ」を持つ、6ヵ月齢以上の犬40頭。
手順:除去食と誘発試験を用いて確定診断しました。その後、無作為盲目的試験で、犬に対し、3種の食事を、3週間ごとにそれぞれ給与しました。かゆみ、嘔吐、下痢、そして鼓張に関して評価を行いました。
結果:かゆみの再発は、「鶏肉-ライス食」を与えていた犬の52.5%、「ナマズ-ライス食」給与群の47.5%、そして「鹿肉-ライス食」給与群の85%に認められました。総合的にみて、犬の95%が3つの食事のうち、少なくとも1つでうまく管理できました。
結論と臨床関連:結果は、選択された蛋白源からなる市販で入手可能な抗原制限食は、有害な食物反応に起因する、かゆみの長期管理に適切であろうということを、指示しました。様々な蛋白源の試給が、通常、必要となります。(Dr.K訳)
■肥満猫における、急速な体重減少の臨床的、代謝的影響と補足的経口L-カルニチンの作用
S.A. Center; J. Harte et al; J Vet Intern
Med 14[6]:598-608 Nov/Dec'00 Review Article
62 Refs; The Clinical and Metabolic Effects
of Rapid Weight Loss in Obese Pet Cats and
the Influence of Supplemental Oral L-Carnitine
体重減量食の缶詰の給餌により、個人で飼育している肥満猫に対する、有効性、安全性、そして急速な体重減少の代謝結果の評価と、経口的L-カルニチンの作用を、体重減少の割合、一般臨床評価、肝臓超音波検査、血漿アミノ酸プロフィール、そしてカルニチン分析物に関して評価を行いました。二重盲検プラセボコントロール試験を、無作為に2つのグループに分けた猫で行いました。
グループ1(n=14)は、水溶液中にL-カルニチンを、250mg
PO 24時間ごとに与え、グループ2(n=10)は、同様にプラセボの水を与えました。それぞれのグループにおける、肥満中央値(ボディー・コンディション・スコアと理想体重百分比)は25%でした。カロリー摂取量を、目標理想体重の必要エネルギー維持量(60kcal/kg)の60%まで制限しました。減量処方箋は、全ての猫で難なく受け入れられました。有意な体重減少が副作用なく、それぞれのグループで、18週までに達成されました(グループ1=23.7%、グループ2=19.6%)。カルニチン処方群は、有意に速い割合で、体重減少が認められました(P<
.05)。カルニチン値の有意な増加が、それぞれのグループで認められました(P<
.02)。しかしながら、より高濃度の全てのカルニチン成分と、高比率のアセチルカルニチンが、グループ1の猫で認められました(P<
.01)。療法食と、報告されている減量法は、肥満猫で、18週以内に安全に20%体重減量を達成しました。L-カルニチン(250mg
PO 12時間ごと)の水溶液は、少なくとも一部は吸収され、非中毒性であり、体重減量率に加えて、血漿カルニチン分析物が有意に増大しました。(Dr.K訳)