■爬虫類のウイルス疾患
Viral diseases of reptiles
In Pract. June 2016;38(6):275-285.
Rachel E Marschang
爬虫類の医療は成長し、様々な疾患についてより知られるようになったため、臨床爬虫類診療においていくらかのウイルスの重要性が広く理解されてきている。異なる爬虫類において特定のウイルス感染の有病率と、それらの感染に関係する臨床症状に対し、ますます多くの研究が利用可能になっている。特定ウイルスのゲノムに対するますます増えた知識体系を利用でき、より感受性と特異性のある検査方法の開発もされている。新しい高処理の塩基配列決定法の有効性で、爬虫類の組織において特定疾患症候群に関係する過去に知られていないウイルスの検出が可能になっている。これらの全ては、臨床家が利用できるより拡大した診断様式をもたらしているが、結果を解釈する知識は、多くの症例においてまだ遅れているかもしれない。
この文献は、個人診療で一般的に見られるような爬虫類の重要ないくつかのウイルスと、それらの診断方法を述べる。(Sato訳)
■鳥類およびエキゾチックアニマル救急に対する小型動物病院の準備
Preparing the Small Animal Hospital for Avian and Exotic Animal Emergencies.
Vet Clin North Am Exot Anim Pract. May 2016;19(2):325-45.
Christina D Hildreth
小型動物の病院はエキゾチックアニマルの救急もあるだろう。病院のスペース、器材、スタッフの準備は最適なエキゾチックアニマル救命救急医療とケアを提供するだろう。過去の情報を収集することはほとんどの診断法よりもエキゾチックペット医療においてより有益な可能性がある。優しい、よく計画されたアプローチと判断力、集中した観察スキルの組み合わせは鳥類およびエキゾチックの患者に必要である。(Sato訳)
■小型哺乳類:齧歯動物、フェレット、ハリネズミ、フクロモモンガの一般的な外科処置
Small Mammals: Common Surgical Procedures of Rodents, Ferrets, Hedgehogs, and Sugar Gliders.
Vet Clin North Am Exot Anim Pract. January 2016;19(1):205-44.
Yasutsugu Miwa; Kurt K Sladky
小型哺乳類の外科処置は、臨床診療の一部で、規則的に実施される。外科処置の成功には麻酔や鎮痛法が重要な要素である。犬や猫で使用される多くの基本的な手術原理が応用されるが、組織はより小さく、より薄い傾向があり、ちょっとした出血が死亡のリスクとなるので止血は非常に重要となる。小型哺乳類の一般的な外科処置は、外被のマスおよび膿瘍切除、産科処置、消化管異物除去、尿石除去、消化管に関係する逸脱組織、腹腔内マス切除、肝臓外科などである。(Sato訳)
■エキゾチック哺乳類の腹腔鏡手術
Exotic Mammal Laparoscopy.
Vet Clin North Am Exot Anim Pract. January 2016;19(1):269-86.
Izidora Sladakovic; Stephen J Divers
腹腔鏡手術は獣医療で発展してきている分野であり、動物園の動物、野生動物、エキゾチックペットなど家庭で飼われない哺乳類における腹腔鏡技術の使用はますます注目されている。
この文献の目的は、器具を含む腹腔鏡処置へのアプローチ、患畜の選択と準備、手術アプローチを要約し、エキゾチックアニマルおける腹腔鏡手術に関した現在の文献を評論する。(Sato訳)
■エキゾチックペットの創傷管理の原則と創傷治癒
Principles of Wound Management and Wound Healing in Exotic Pets.
Vet Clin North Am Exot Anim Pract. January 2016;19(1):33-53.
Megan A Mickelson; Christoph Mans; Sara A Colopy
エキゾチックアニマル種の創傷のケアは非常に難しい。特に考慮しなければいけないことは動物の温度と行動、独特な解剖および体の小ささ、二次的なストレス関連の問題に対する傾向などである。最終的に創傷治癒に影響するような適切な全身評価を伴う患者全体の評価と適切な栄養と飼育の考慮は重要である。
この文献は、創傷治癒の一般的な相、治癒に影響する因子、創傷管理の原則をまとめる。創傷治療の新しい方法と創傷管理と治癒の種差に重点を置く。(Sato訳)
■爬虫類の救命救急と一般的な緊急疾患
Reptile Critical Care and Common Emergencies.
Vet Clin North Am Exot Anim Pract. May 2016;19(2):591-612.
Meera Kumar Music , Anneliese Strunk
爬虫類の緊急疾患はエキゾチックアニマルの緊急治療の重要な部分で、本当の救急疾患と飼い主が緊急疾患と認めたものがある。爬虫類の最も一般的な緊急疾患の症状は、鑑別疾患、有用な診断法、治療へのアプローチと共にここに挙げた。
多くの症例で、爬虫類の緊急疾患は慢性的問題から起きた実際に急性症状であり、治療プランは臨床的治療と、家での飼育法と食事障害に向けたものと両方含めるべきである。飼い主のコンプライアンスと長期治療プランを得るため、正確な飼い主の予測を設定すべきである。(Sato訳)
■魚類の外科:術前準備と一般的な手術方法
Fish Surgery: Presurgical Preparation and Common Surgical Procedures.
Vet Clin North Am Exot Anim Pract. January 2016;19(1):55-76.
Kurt K Sladky; Elsburgh O Clarke, 3rd
魚の手術は水族館、動物園、研究施設、ペットの臨床でありふれている。臨床現場で魚の手術を組み入れるには、哺乳類と魚の解剖学的違いの理解、水浴麻酔、再循環麻酔法を開発するべきである;麻酔に適応するシステムあるいは異なるサイズのシステム、作られた施設で関係する特別な種の手術、いくつかの調節と共に適応された見慣れた哺乳類の外科的原則の理解が必要である。魚の一般的な外科処置は、開腹、体腔内マス切除、産科処置、消化管異物除去、無線送信機設置、外被マス切除などがある。(Sato訳)
■チンチラの尿石症:15症例(2007-2011)
Urolithiasis in chinchillas: 15 cases (2007 to 2011).
J Small Anim Pract. May 2016;57(5):260-4.
A Martel-Arquette , C Mans
目的:尿石症と診断されたチンチラのシグナルメント、病歴、臨床症状、診断検査結果、治療、結果を評価する
方法:尿石症と診断された15頭のチンチラの医療記録を回顧的に調査した。
結果:全てオスで、年齢中央値は30か月(範囲:11-132ヶ月)だった。血尿、頻尿、有痛性排尿困難が最も一般的な主訴だった。15頭中12頭は疼痛、触知可能な膀胱結石など腹部身体検査で異常があった。尿石は膀胱内、尿道あるいは両方で診断された。9頭は膀胱結石だけだった。尿道結石のあった6頭中4頭は診断から1日以内に安楽死された。10頭中5頭は膀胱切開後に膀胱結石が再発し、再発までの期間中央値は68日(範囲:19-440日)だった。尿石再発のチンチラにおける生存期間中央値は最初の診断から391日(範囲74-1074日)だった。外科的除去後、尿石の再発のない10頭中5頭の無病経過観察期間は2204日(範囲:1914-2535日)だった。
臨床意義:オスのチンチラの膀胱結石は、尿道結石よりも予後が良い。尿石症の再発は一般的である。(Sato訳)
■爬虫類の軟部組織外科
Reptile Soft Tissue Surgery.
Vet Clin North Am Exot Anim Pract. January 2016;19(1):97-131.
Nicola Di Girolamo; Christoph Mans
爬虫類への外科的アプローチは非常に難しい。爬虫類は独特の生理学、解剖学、病理学的違いがある。これは外科的経験を無効にするかもしれない。しかし、近年の研究で新しく、侵襲性が低い外科的技術が提供された。
このレビューの目的は、爬虫類を診察する獣医師に対し、一般的なガイドラインを提供するため、使用されている軟部組織外科手術の技術面を述べることだった。(Sato訳)
■両生類の外科
Surgery in Amphibians.
Vet Clin North Am Exot Anim Pract. January 2016;19(1):77-95.
Norin Chai
両生類の外科手術は研究で特に述べられている。ここ十年で、捕獲した両生類への関心が増し、そのため、外科介入に対する適応がある。臨床医はそのような操作の提唱を躊躇するべきではない。両生類の外科は圧倒的に障害となるものはない。それらの患者はより高度の脊椎動物よりも、よく治り、血液喪失にもよく耐える。爬虫類(多くはトカゲ)で述べられている多くの方法は、患者の大きさに器材が合う場合に、ほとんどの両生類で実施できる。一般に最も難しい側面は適切な麻酔処置だろう。(Sato訳)
■飼育カメの尿石症の診断と治療:40症例(1987-2012)
Diagnosis and treatment of urolithiasis in client-owned chelonians: 40 cases (1987-2012).
J Am Vet Med Assoc. September 15, 2015;247(6):650-8.
Krista A Keller; Michelle G Hawkins; E P Scott Weber, 3rd; Annette L Ruby; David Sanchez-Migallon Guzman; Jodi L Westropp
目的:獣医教育病院で検査した飼育カメの尿石の有病率を求めることと、カメの尿石症の臨床症状、診断、治療を述べる
計画:回顧的ケースシリーズ
動物:尿石のある40頭のカメとリクガメ
方法:獣医教育病院の医療記録データベースで、尿石症の飼育カメの記録を1987年から2012年の間で検索した。病院で検査した飼育カメに対し尿石症の有病率を計算した。シグナルメントと身体検査、血液、生化学、尿、診断的画像、治療、検死結果を記述した。
結果:研究期間の飼育カメにおける尿石症の平均有病率は、検査した飼育カメ100症例に対し5.1症例だった。40頭中31頭は砂漠のリクガメだった。40頭中5頭だけが泌尿生殖道に関係する身体検査異常があった。17頭で手術を実施し、5頭は術後合併症を発症し、そのうち4頭は死亡した。18頭に対し検死を実施し、9頭は尿石症が安楽死を決断させた、あるいは死亡の原因だった。13頭の尿石を分析し、全て100%尿酸塩で出来ていた。
結論と臨床関連:結果は尿石症のあるカメは、尿路に関係するあるいは関係しないような、多様な臨床症状および身体検査所見を示すことが示された。血液、生化学および尿検査所見は尿石症の診断に対し非特異的だった。多くのカメが尿石症の結果として死亡、あるいは安楽死され、この疾患は早期に確認し、適切な治療を行うべきだと示唆された。(Sato訳)
■臨床テクニック:げっ歯類の背側卵巣切除
Clinical Technique: Dorsal Ovariectomy in Rodents
J Exotic Pet Med. July 2011;20(3):222-226.
Megan S Steele; R A Bennett
背側卵巣切除術はげっ歯類に実施される迅速、簡単な方法である。この処置はメスのげっ歯類の生殖道の多くの一般的な疾患の予防および治療に使用できる。ラットでは乳腺および下垂体腫瘍の予防も示されている。この文献はラットにおける背側卵巣切除の実施法を述べているが、この方法は他のげっ歯類でも応用できる。(Sato訳)
■シベリアンハムスター(Phodopus sungorus)における自発乳腺腫瘍の形態学および免疫組織化学研究
Morphological and immunohistochemical studies of spontaneous mammary tumours in Siberian hamsters (Phodopus sungorus).
J Comp Pathol. 2009 Feb-Apr;140(2-3):127-31.
H Kondo, M Onuma, H Shibuya, T Sato
12匹(11匹メス、1匹オス)の家庭シベリアンハムスターの乳腺腫瘍を検査した。病理組織学的に単純腺腫、管乳頭癌、複合癌の3つのサブタイプが見られた。悪性乳腺腫瘍の5症例で、周囲繊維性結合組織への局所浸潤が見られた。しかしリンパ管あるいは血管への侵襲は見られなかった。腫瘍性管腔上皮細胞からのアポクリン分泌は、すべての腫瘍で顕著だった。エストロゲンレセプターアルファ、プロゲステロンレセプター、アンドロゲンレセプターの発現を、腫瘍上皮細胞で免疫組織化学的に評価した。12の腫瘍のうち10個でアンドロゲンレセプター陽性、全てでプロゲステロンレセプター陰性だった。5個の腫瘍はエストロゲンレセプターアルファを発現した。(Sato訳)
■エキゾチックコンパニオン哺乳類における気管挿管
Tracheal Intubation in Exotic Companion Mammals
J Exotic Pet Med. Jul 2008;17(3):221-227. 13 Refs
Angela M. Lennox, DVM, Dip. ABVP (Avian), Vittorio Capello, DVM
気管挿管はヒトや昔からのペット患者の麻酔、救命救急の中心となるもので、同様にエキゾチック患者にもその使用頻度は増えている。研究所の実験計画で吸入麻酔、呼吸サポート、気管を通しての薬剤投与などを必要とすることも多いため、挿管は常に行われ、ラットや他のげっ歯類を含む種々のエキゾチックペット種における動物研究文献で報告されている。獣医臨床家は個人診療で患者に対し、それらいくつかの気管挿管技術を使用できる。(Sato訳)
■モルモットにおけるシラミ感染のイミダクロプリドおよびモキシデクチン含有製剤による治療
Use of a formulation containing imidacloprid and moxidectin in the treatment of lice infestation in guinea pigs
Vet Dermatol. June 2008;19(3):187-8.
Sang-Hun Kim, Hyung-Kyou Jun, Myung-Jo Yoo, Duck-Hwan Kim
モルモットはシラミ感染を起こしやすい。Gliricola porcelliを暴露させた10匹のモルモットに10%(w/v)イミダクロプリドおよび1%(w/v)モキシデクチン含有液0.05mlを1回投与し、30日後にはシラミ成虫および卵はなくなり、副反応もなかった。この製剤はモルモットのシラミ感染に有効な治療であることが示される。(Sato訳)
■小型草食性哺乳類180例の口腔内病変の定量および定性調査
Quantitative and qualitative assessments of intraoral lesions in 180 small herbivorous mammals
Vet Rec. April 2008;162(14):442-9.
V Jekl, K Hauptman, Z Knotek
2002年から2005年の間に210例のウサギ、257例のモルモット、123例のチンチラを検査した。口腔疾患はウサギの38.1%、モルモットの23.4%、チンチラの32.5%で診断された。ウサギで右上顎P3、右下顎P3、P4、M1、左下顎P3、P4、M1の歯に病変が多かった。モルモットで右下顎P4、左下顎切歯とP4に多く病変が見られた。チンチラで右上顎P4、M1、左上顎P4に多く病変が見られた。モルモットの切歯および下顎第1臼歯は、チンチラあるいはウサギのそれよりも有意に多く罹患した。チンチラの上顎臼歯の両側病変は、有意により多く見られた。歯肉過形成が最も多く発生していたのはウサギだった。歯肉糜爛、歯肉炎の発生はチンチラで有意に高かった。(Sato訳)
■ペットハムスターの自発腫瘍
Spontaneous tumors in domestic hamsters
Vet Pathol. September 2008;45(5):674-80.
H Kondo, M Onuma, H Shibuya, T Sato
85匹のペットハムスター(ジャンガリアンハムスター70匹、シリアンハムスター15匹)に発生した合計90の腫瘍を組織学的に検査した。ジャンガリアンハムスターでは、64の腫瘍と11の非腫瘍病変が確認され、14匹のシリアンハムスターは腫瘍、1匹は非腫瘍疾患を示した。ジャンガリアンハムスターは実験用ジャンガリアンハムスターと同様に腫瘍疾患の高罹患率を示した。ジャンガリアンハムスターのほとんどすべての主要は外皮のもので、シリアンハムスターの多くの種類は造血器腫瘍だった。ジャンガリアンハムスターの一般的な外皮腫瘍は乳腺腫瘍、非定型線維腫および乳頭腫で、実験用ジャンガリアンハムスターで報告されていない外皮腫瘍のスペクトルが確認された。乳腺腫瘍のほとんどはメスに発生し、全ての非定型線維腫はオスに認められた。
シリアンハムスターにおいてプラズマ細胞腫とリンパ腫が一般的な腫瘍だった。この研究でシリアンハムスターの数が少ないことで、実験用シリアンハムスターに見られる自発腫瘍の低罹病率を反映するかもしれない。罹患ハムスターの平均年齢は19.8ヶ月で、相対的に進んでいる。我々の知るところでは、これはペットハムスターの腫瘍の最初の包括的研究である。(Sato訳)
■エキゾチックアニマルの中毒の緊急処置と管理
Emergency care and managing toxicoses in the exotic animal patient
Vet Clin North Am Exot Anim Pract. May 2008;11(2):211-28.
Marla Lichtenberger, Jill A Richardson
中毒のエキゾチックアニマルは、臨床医にとってかなり難しい問題である。毒素や毒に暴露された履歴をもつ患者は、致死的問題の可能性があると考えるべきである。この文献は、輸液療法など緊急処置のABCを詳述し、神経学的管理の原理を考察する。文献最後には、エキゾチックアニマルのより一般的ないくつかの中毒の汚染除去および救命救急診療管理のガイドラインを臨床家に提供する。(Sato訳)
■爬虫類の呼吸器感染の診断でサンプリングポイントと好気性細菌培養の関連における検査
[Examination on the relevance of the sampling points and the aerobic microbiological culture for the diagnosis of respiratory infections in reptiles]
Untersuchung zur Bedeutung der Probenschen Kultivierung zur Diagnostik von Infek-tionen des Respirationstraktes bei Reptilien
Dtsch Tierarztl Wochenschr. October 2007;114(10):388-93. German
M Pees, V Schmidt, J Schlomer, M E Krautwald-Junghanns
監禁状態の爬虫類において呼吸器疾患は重要である。微生物学的検査は、診断の可能性の不可欠な部分と述べられている。ゆえに、この研究の目的は、標準的サンプリング後のスワブおよび気管洗浄の好気性培養(羊の血、ブリリアントグリーン、サブロー培地)の結果の有用性に対するデータを収集することだった。呼吸器症状は、ライプツィヒ大学の鳥および爬虫類の病院に来院した24.3%のヘビ、16.5%の陸ガメ/カメ、1.6%のトカゲで見つかった。
全体で、検査したサンプルの52%が細菌学的に、31%が菌類学的に病的意義を認めた。気管洗浄は咽頭からのスワブより感受性が高いことが証明された。サンプルの細菌で多く見られたのは、緑膿菌、肺炎桿菌、ステノトロフォモナスmaltophilaだった。菌類学的培養で多く見られたのはアスペルギルス種、酵母だった。鳥とニシキヘビで、病的意義となると評価された細菌学的結果数がもっとも多く見つかった(75%)。菌類額的にカメからのサンプルが病的意義の結果を多く示した(48%)。要するに標準培地(この研究では:羊血コロンビア寒天、ブリリアントグリーン、サブロー寒天)における好気性培養は、呼吸器症状を呈する爬虫類の初回診断方法として推奨できる。更なる病原体(例えば、ウイルス検査、マイコプラズマ)は追加でチェックすべきである。(Sato訳)
■爬虫類の甲状腺および上皮小体
The reptilian thyroid and parathyroid glands
Vet Clin North Am Exot Anim Pract. January 2008;11(1):163-75, viii. 65 Refs
Sam Rivera, Brad Lock
爬虫類の臨床内分泌学の分野は、いまだ初期である。甲状腺および上皮小体は、本質的に多くの基礎代謝機能に関与する。それらの腺は、爬虫類の広範囲なリサーチの主題となっているが、異常な腺機能の影響は、臨床症例であまり述べられていない。それらの腺は全ての脊椎動物で生理学的恒常性の維持に多大な役割を演じる。より高感度の分析進歩で、爬虫類に見られる少量のホルモン測定も可能なはずである。この文献の目的は、爬虫類の甲状腺および上皮小体の臨床内分泌学に関する文献を再調査する。(Sato訳)
■カメにおける深部外皮膿瘍および骨髄炎の治療として真空補助による閉鎖
Vacuum-assisted closure for treatment of a deep shell abscess and osteomyelitis in a tortoise
J Am Vet Med Assoc. October 2007;231(8):1249-54.
Michael J Adkesson, Erika K Travis, Martha A Weber, John P Kirby, Randall E Junge
症例記述:メスのアルダブラカメ(Geochelone gigantea)を、甲羅の限局的壊死のため評価した。
臨床所見:デブリードメントで、14.5x11.5cmの外皮壊死、深部膿瘍形成、細菌(クレブシエラ・ニューモニエ、スタフィロコッカス・オーレウス、シュードモナス種)および真菌による骨髄炎が明らかとなった。
治療と結果:広範囲デブリードメント後、銀浸透包帯材を組み込んだ真空補助閉鎖を使用した。なめらかな基礎の骨化、角質生成を伴う上皮組織層ができた55日目に創傷が治癒したと考えた。正常な色素の角質生成までそれから67日かかった。
臨床関連:所見から銀浸透包帯材と真空補助閉鎖は、カメの従来の外皮病変の治療よりも早期創傷治癒、治癒創の美的外観の改善、細菌汚染の優れた制御、総体的治療コストの低下などで優れているかもしいれないと思われる。(Sato訳)
■小型哺乳類や鳥類におけるショックと心肺-大脳蘇生
Shock and cardiopulmonary-cerebral resuscitation in small mammals and birds
Vet Clin North Am Exot Anim Pract. May 2007;10(2):275-91.
Marla Lichtenberger
小型哺乳類と鳥類は、重篤な状況の治療において臨床医に独特のやりがいをもたらす。小動物における種々の本で、ショック、救命救急診療、心肺蘇生について書かれている。ショックの病態生理学の一般的な概説は、この文献で述べられる輸液療法プランの理解に重要である。小動物の心肺-大脳蘇生の一般的な原則を用い、鳥類及び小型哺乳類で使用するプロトコールを述べている。(Sato訳)
■プレーリードック(Cynomys ludovicianus)の毛包虫症:9例
Demodicosis in nine prairie dogs (Cynomys ludovicianus)
Vet Dermatol. August 2006;17(4):280-3.
Vladimir Jekl, Karel Hauptman, Edita Jeklova, Zdenek Knotek
この症例報告は、9頭のペットプレーリードック(Cynomys ludovicianus)の毛包虫症の臨床症状と治療を紹介する。病歴、臨床検査、皮膚病変の顕微鏡評価と真菌培養など臨床記録を9頭すべてから入手した。7頭からは血液、生化学検査のため血液を採取した。臨床症状は、背中中央から大腿に広がる両側対称脱毛と、尾の背側腹側部分の脱毛だった。毛包虫は、全症例皮膚掻爬で認められた。アミトラズ250p.p.mの治療で、病変を解消し再発毛した。これはこの種の毛包虫症の最初の報告である。(Sato訳)
■ジャンガリアン・ハムスター(Phodopus sungorus)のガングリオン様細胞の形態学的特徴
Morphological characterization of skin ganglion-like cells in Djungarian hamsters (Phodopus sungorus).
Vet Pathol. 2003 Sep;40(5):548-55.
Kashida Y, Ishikawa K, Arai K, Mitsumori K.
ジャンガリアン・ハムスターの皮膚に認められる特徴的なガングリオン様細胞の増殖について、1-6ヵ月齢のハムスター雄24頭、雌24頭を使って調査し、これらのガングリオン様細胞の解剖学的位置および形態学的特徴について調査した。この細胞から構成され、ヒトの増殖性筋膜炎に類似する腹部皮膚腫瘍1例についても調査した。皮膚ガングリオン様細胞は、若い動物ではまれであったが、年齢と共に、特に雄では数的および大きさが増加していった。この細胞は背部や側面部よりはむしろ体幹の腹側部や中央部および肢に認められることが多かった。
このガングリオン様細胞の光学顕微鏡検査によって、細胞質内銀染色陽性の微細原線維を含有する、小胞性の好塩基性細胞質が豊富に存在することが明らかにされた。超微細構造学的に、この細胞は粗面小胞体およびゴルジ嚢が拡張したゴルジ複合体を豊富に含有していた。このゴルジ嚢の内部には細胞内コラーゲン線維が存在していた。この細胞内には熱ショック蛋白質47、β-チューブリン、アンドロゲン受容体が発現していた。ヒトの増殖性筋膜炎に類似する腫瘍1例の細胞の形態学的特徴は、ガングリオン様細胞で認められる特徴と一致していた。この研究結果から、ガングリオン様細胞は真皮あるいは皮下脂肪組織に固有の未分化間葉系細胞が起源であり、この細胞が形成する腫瘍様病変はいずれも、増殖性筋膜炎あるいは線維腫というよりは皮膚ガングリオン様細胞の異常な増殖性病変とみなすべきであることが示唆された。(Dr.NamikiPchan訳)
■ハムスターとチンチラから接触感染したTrichophyton mentagrophytes感染の2症例
[Two cases of Trichophyton mentagrophytes infection contracted from a hamster and a chinchilla]
Nippon Ishinkin Gakkai Zasshi. 2000;41(4):269-73. Hata Y, Amagai M, Naka W, Harada R, Nishikawa T.
我々はTrichophyton mentagrophytes感染の2症例について報告する。
症例1:1994年6月、10歳齢の女子が頭部の紅斑病変のために東京電力病院へ来院した。3ヶ月間の局所ステロイド療法で、この病変は膿疱を形成し悪化した。組織病理学的検査および真菌学的検査によって、この患者がT.mentagrophytesに起因する頭部白癬に罹患していたことが明らかにされた。また患者のペットであるハムスターからもT.mentagrophytesが分離された。
症例2:1996年1月、14歳齢の女子が顔面の鱗状紅斑のために湘南病院へ紹介された。患者は別の病院で塩酸ネチコナゾールにより治療をされていたが、病変は悪化した。この診察時における鱗屑の直接顕微鏡検査は陰性であったため、局所ステロイドによる治療を開始した。10日後、病変はほぼ治癒していたが、1ヵ月後環状に再発した。鱗屑のKOH処理によって菌糸が明らかにされ、培養によってT.mentagrophyteが分離された。また患者のペットであるチンチラからもT.mentagrophytesが分離された。
どちらの症例でも、イトラコナゾール50mg/日の経口投与が有効であった。この分離された病原体は、種特異的なプライマーであるキチン合成酵素1遺伝子によってArthroderma vanbreuseghemiiであることが確認された。T.mentagrophytesはヒトおよび動物から分離されるもっとも一般的な皮膚糸状菌のひとつである。最近、ハムスターやチンチラのような齧歯類は日本では人気のあるペットになっている。我々は、齧歯類がペットとしてさらに人気がでた際には、齧歯類がこの種の病原真菌を持っている可能性があることを注意すべきである。(Dr.NamikiPchan訳)
■ハムスターのポリオーマウイルス感染と毛包上皮腫/皮膚付属器腫瘍
Polyomavirus infection in hamsters and trichoepitheliomas/cutaneous adnexal tumours.
Vet Rec. 2002 Jul 6;151(1):13-7.
Foster AP, Brown PJ, Jandrig B, Grosch A, Voronkova T, Scherneck S, Ulrich R.
毛包上皮腫に一致する付属器腫瘍の組織学的特徴を示す多発性皮膚結節が、シリアン・ハムスターの頭部および体幹に認められた。皮膚生検で、5つの異なるコロニーにおけるハムスター20頭が罹患しており、罹患していたハムスターのうち2頭はさらにリンパ腫にも罹患していた。2人の飼い主が、自分たちのコロニーのハムスター70頭のうち16頭、および100頭のうち50頭に同様の皮膚病変があると報告した。以前、これらの腫瘍は、実験室コロニーにおけるハムスターポリオーマウイルス(HaPV)感染と関連していた。
皮膚組織の電子顕微鏡検査では、核内ウイルス粒子を検出することができなかった。HaPVの主要なカプシドタンパク質であるVP1のリコンビナントを使ったところ、ELISAによって罹患ハムスター12頭のうち12頭、そして接触はあったが罹患していないハムスター4頭のうち4頭の血清からVP1特異性抗体が検出された。このELISAのデータは、免疫ブロット分析によって検証された。接触はあったが罹患していないハムスター3頭も含めた13の血清サンプルのうち11つで、少なくとも1つのHaPVリコンビナント構造タンパク質(VP2)に反応する抗体が含まれていた。
この抗VP2陽性サンプル11のうち9つはさらにHaPVのリコンビナントVP3にも反応し、6つのサンプルはVP1にも反応した。PCRによる増幅とシーケンスによって、HaPVと高度の相同性を示すVP1をエンコードしているシーケンスが検出された。これらの所見から、HaPVあるいはHaPV様のウイルスが感染した可能性、およびこの感染が罹患コロニー内で流行した可能性があることが示唆される。(Dr.NamikiPchan訳)
■ペットのシリアンハムスター(Mesocricetus auratus)におけるハムスターポリオーマウイルス感染症
Hamster polyomavirus infection in a pet Syrian hamster (Mesocricetus auratus).
Vet Pathol. 2001 Jul;38(4):441-6.
Simmons JH, Riley LK, Franklin CL, Besch-Williford CL.
1週間にわたって呼吸困難、食欲低下、運動失調を示した約8週齡のシリアンハムスター(Mesocricetus
auratus)を死後剖検した。このハムスターの肉眼的検査では、多数の腹腔内癒着および腸間膜リンパ節の腫大が認められた。組織学的検査によって肝臓、十二指腸、腸間膜リンパ節、精巣の脂肪体、精巣上体の多中心性リンパ腫が明らかにされた。ハムスターの年齢、およびリンパ腫の型と播種の状況からハムスターポリオーマウイルスによるリンパ腫という仮診断が下された。特異的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を開発し、これによって診断を確定した。in
situ PCRによって、多中心性リンパ腫のリンパ球内、腎尿細管上皮細胞内、空腸の腸細胞群内にハムスターポリオーマウイルスのDNAが証明された。これらのデータは、ハムスターポリオーマウイルスのビリオンが腎尿細管上皮を通じて尿中に排泄され環境中に伝播し、さらにハムスターポリオーマウイルスのビリオンが糞便中に排泄されることに一致している。しかしながらこれらの所見を確認するためにはさらに研究が必要であると思われる。(Dr.NamikiPchan訳)
■プレーリードック:媒介者と犠牲者
Prairie Dogs: Vectors and Victims
Semin Avian Exotic Pet Med 13[2]:105-107 Apr'04 Review Article 7 Refs
David N. Phalen, DVM, PhD, Dipl. ABVP (Avian)
プレーリードック(Cymonys spp.)は北アメリカ原住動物である。それらは北アメリカや世界の複数国で比較的ポピュラーなペットとなっている。ペット売買で売られている全て、またはほとんどのプレーリードックは、野生のものを捕獲する。野生のプレーリードックに自然に起こる2つの人畜共通疾患は、野兎病と疫病である。それら両疾患の動物流行性は、ペット売買のための最近捕獲したプレーリードックで起こっている。野兎病のプレーリードックを含むロットは、病気が認識される前にアメリカ内、そして国際的に広く配給された。最近ペット売買のプレーリードックは、野生で捕獲したアフリカげっ歯類の数種と密接に接触した結果、モンキーポックスに暴露された。感染したプレーリードックは、皮膚症状を伴う全身性疾患を発症した。疾患が認識される前の6州に配給された。76人もの人々が、それらプレーリードックからの暴露でモンキーポックスを発症した。最後に報告された症例は、2003年6月だった。現在アメリカで、プレーリードックの売買、輸出、移動は不法である。しかし、獣医師はまだそれらを治療するのが許されている。(Sato訳)
■野生で捕獲され市販で売買されているプレーリードックで野兎病の研究分析
Laboratory analysis of tularemia in wild-trapped, commercially traded prairie dogs, Texas, 2002.
Emerg Infect Dis 10[3]:419-25 2004 Mar
Petersen JM, Schriefer ME, Carter LG, Zhou Y, Sealy T, Bawiec D, Yockey B, Urich S, Zeidner NS, Avashia S, Kool JL, Buck J, Lindley C, Celeda L, Monteneiri JA, Gage KL, Chu MC
口咽頭野兎病が、テキサスの商業エキゾチックアニマル施設で、捕獲した野生のプレーリードックの死滅原因で認められた。このポイント源から野兎病感染プレーリードックをチェコ共和国やテキサスペットショップへの追跡を行った。次の分配所を含む63頭のプレーリードックの組織標本から野兎病分離菌が回収された。全ての分離菌の分子、生化学サブタイプは、F. tularensis subsp. holarctica (Type B)だった。微凝集分析は、幾頭かの生存動物で1:4096と高い野兎病の抗体価を検出した。全ての血清陽性動物は、培養陽性を維持し、このことはプレーリードックが野兎病の慢性キャリアーとしての役割を演じているかもしれないと示唆する。それら所見は、プレーリードックの野兎病、それらが起こす疾患の深刻さ、ペットからヒトへの伝播リスクに対する追加研究の必要性を示す。(Sato訳)
■プレーリードックのモンキーポックス伝播と病原
Monkeypox transmission and pathogenesis in prairie dogs.
Emerg Infect Dis 10[3]:426-31 2004 Mar
Guarner J, Johnson BJ, Paddock CD, Shieh WJ, Goldsmith CS, Reynolds MG, Damon IK, Regnery RL, Zaki SR
2003年5月から6月の間に、アメリカでヒトモンキーポックス症例の最初の集団報告がなされた。おそらくこの熱性小胞皮疹疾患の多くの患者は、プレーリードックからの感染と思われた。病理学的検査が壊死性気管支肺炎、結膜炎、舌潰瘍を示す2頭のプレーりドックでPCR法によりモンキーポックスウイルスが認められた。オルソポックスウイルスの免疫組織化学分析で、結膜や舌病変の表面上皮細胞に豊富にウイルス抗原を認め、周囲マクロファージや線維芽細胞、結合組織は少量だった。肺のウイルス抗原は、気管支上皮細胞、マクロファージ、線維芽細胞で豊富に見られた。ウイルス分離と電子顕微鏡で、肺や舌に活動的なウイルス複製を認めた。それら所見は、呼吸器や直接粘膜皮膚暴露が、げっ歯類とヒトのモンキーポックス伝播の主要経路の可能性を示す。彼らは重度モンキーポックス感染が可能なため、伝播、病原、新規ワクチン、治療研究に対する洞察をプレーリードックがもたらす。(Sato訳)
■超音波検査によって腹腔内膿瘍を検出したモルモットの2例
Ultrasonographic detection of abdominal abscess in two guinea pigs.
Acta Vet Hung. 2000;48(3):271-6.
Beregi A, Zorn S, Molnar V, Biro F.
食欲不振、体重減少、沈うつ、腹囲膨満を示したモルモット(Cavia porcellus)2頭について検査を実施した。超音波検査において、エコー源性の斑と高エコー源性の厚い壁を伴う、直径3-4cmで液体が貯留した無エコー源性の構造物が、1例は骨盤領域に、もう1例は肝臓に連結して認められた。膿瘍あるいは嚢胞が疑われたため、開腹術による外科的治療を実施した。手術後の組織病理学的検査によって1頭では肝膿瘍と診断され、もう1頭では骨盤領域の膿瘍と診断された。(Dr.NamikiPchan)
■両側の眼球を巻き込んだ播種性T細胞性リンパ腫に罹患したモルモットの1例
Disseminated T-cell lymphoma in a guinea pig with bilateral ocular involvement.
J Vet Diagn Invest. 2000 Sep;12(5):459-62.
Steinberg H.
2歳齢、雌の短毛種モルモットが、1週間にわたる片側性の角膜混濁を評価するために、ウィスコンシン-マディソン大学獣医科教育病院で診察を受けた。身体検査によって、右眼角膜の著明な肥厚、および下顎と肩前リンパ節の腫脹が認められた。リンパ節吸引の細胞診では、リンパ腫が強く疑われた。このモルモットは人道的に安楽死された。死後剖検によって、下顎、前頸、肩前、気管支、前縦隔、腸間膜リンパ節の播種性腫脹、および肝小葉形態が強調された肝腫大が明らかにされた。右眼角膜は暗赤色で光沢を失い、散在性に肥厚しており、眼球は突出していた。顕微鏡学的に多形性腫瘍性のリンパ芽球が、リンパ節、脾臓、肝臓、肺、心臓、鼻腔内、骨髄、腎臓に存在していた。両眼に腫瘍性のリンパ芽球が著明に浸潤していたが、これは右眼でより広範であった。免疫組織化学的に腫瘍細胞は、抗CD3抗原抗体を使用しTリンパ球として染色された。(Dr.NamikiPchan訳)
■モルモットの卵巣嚢腫:年齢と繁殖状況が罹患率と大きさに及ぼす影響
Ovarian cysts in guinea pigs: influence of age and reproductive status on prevalence and size.
J Small Anim Pract. 2003 Jun;44(6):257-60.
Nielsen TD, Holt S, Ruelokke ML, McEvoy FJ.
健康診断の一部として診察を受けたモルモット43頭を、年齢と繁殖歴を基準に6つのカテゴリーに分けた。年齢については、1歳未満、1〜2歳齢、2歳齢以上の3群に分けた。それぞれの年齢群をさらに、1回以上の繁殖歴有り、繁殖歴無しの2つのカテゴリーに分けた。それぞれのモルモットは臨床検査を受け、Bモード超音波検査を使って卵巣嚢腫の有無を探査した。
繁殖歴と嚢腫罹患率の関係をMantel-Haenzen解析を使って、また罹患率と嚢腫の大きさと年齢の関係は線形回帰分析を使って調査した。モルモット43頭のうち2頭(4.7%)が対称性脱毛を示した。95%信頼区間として、繁殖歴と嚢腫罹患率との間に統計学的に有意な相関は認められなかった。しかしながら嚢腫の大きさと年齢の間(P<0.01)および嚢腫罹患率と年齢(P<0.02)の間には統計学的に有意な相関が認められた。(Dr.NamikiPchan訳)
■光周期およびストレスがシベリアン・ハムスターの創傷治癒に及ぼす影響
Photoperiod and stress affect wound healing in Siberian hamsters.
Physiol Behav. 2003 Feb;78(2):205-11.
Kinsey SG, Prendergast BJ, Nelson RJ.
日照時間の変化はシベリアン・ハムスターの免疫機能指標のいくつかを変化させる。この実験では、免疫機能の光周期による変化は、皮膚損傷の治癒能力に影響するような生物学的レベルに達する、という仮説について検証した。さらに、効果が十分に立証されている精神的なストレッサーの免疫機能に対する影響を加えることによって、急性ストレスが創傷治癒に及ぼす影響は光周期によって変化する、という仮説についても検証した。雄のハムスターを8±2週間、長日環境(16時間明るくし、8時間暗くした;LD)、あるいは短日環境(8時間明るくし、16時間暗くした;SD)で飼育した。
短日処理によって、冬期に表れる繁殖状態が誘発された。その後、ハムスターに対して皮膚パンチによる創傷を加えた。この創傷処置前3日間、および処置後5日間、ハムスターに1日2時間の拘束ストレスを加えるか、あるいは対照処置群とした。創傷を毎日デジタル撮影し、創傷の大きさを測定することによって、治癒について定量化した。
LDハムスターの創傷は、SDハムスターの創傷よりも有意に早期に治癒した。拘束ストレスによって、SDハムスターの創傷治癒が有意に促進された。この結果から、繁殖機能が抑制されているときにだけ、短期間の精神的ストレスが免疫機能に対する効果を高めるということが示唆される。自然界において、繁殖およびテリトリーを守るシーズンに一致した創傷治癒促進効果が適応している可能性がある。(Dr. NamikiPchan訳)
シベリアン・ハムスターっていうのは、ここではジャンガリアン・ハムスター(Phodopus sungorus)のことです。ジャンガリアン・ハムスター(♂)の傷を早く治そうと思ったら、長日処理すると(少しは?)良いみたいですね。しかし、それができない飼い主さんは、「短日環境でもいいから精神的なストレスをかけると傷の治りが早い」ということになっちゃいますね(こりゃヒドイ)。しかし「精神的ストレスをバネに立ち直る」っていうジャンガリアン・ハムスター(♂)はたくましいですねえ、男の中の男ですね、立派です。