■最初の発生と治療後のシスチン尿石フリー期間は、性的に完全なオス犬に対するものより去勢した犬でより長くなる
Cystine urolithiasis-free duration after first occurrence and treatment is longer for castrated dogs than for sexually intact male dogs
J Am Vet Med Assoc. 2024 Oct 3:1-6.
doi: 10.2460/javma.24.05.0299. Online ahead of print.
Kaitlyn A Johnson , Martha Cline , Richard P Bastian , Abigail Eck , Spencer Davis , Garrett J Davis
目的:シスチン尿石があり外科的除去±去勢および術後療法食で治療した60頭の犬の結果を評価し、再発の頻度と尿石フリー季刊を判定した
方法:2010年9月から2020年12月までにシスチン尿石が実証された犬の医療記録を再検討した。医療記録、飼い主への聞き取り、紹介獣医師への連絡でその後の尿石形成に関係する臨床症状の欠如を証明し、尿石再発に対するリスクファクターを評価した。
結果:シスチン尿石を80頭で確認し、60頭が研究に含める資格があった7頭は手術前に去勢しており、25頭は最初の手術時に去勢した。20頭で再発が起こった;そのうち17頭は尿症状再発時に未去勢だった(85%)。再発した20頭のうち、50%(10/20)は食餌変更で治療されていた。
結論:去勢した犬の再発リスクは23%に対し、未去勢の犬は47%だったが、この違いは統計学的有意ではなかった;しかし、去勢した犬はより長い尿石フリー期間があった。療法食で管理した犬としなかった犬で、再発リスクと尿石フリー期間に統計学的有意差はなかった(30%vs32.5%)。多変量解析で、外科的治療と療法食に有意な相関は示されず、不妊状況(HR=0.503)、食餌(HR=1.056)、それらの相互作用(HR=4.32-9)については非有意なハザード比(HRs)だった。
臨床的関連:性的に完全(vs去勢済み)なオス犬は、外科的シスチン尿石の再発に対しより緊密にモニターすべきである。(Sato訳)
■6頭の犬の推定的上部尿路ストラバイト結石の内科的溶解(2012-2018)
Medical dissolution of presumptive upper urinary tract struvite uroliths in 6 dogs (2012-2018)
J Vet Intern Med. 2024 Oct 5.
doi: 10.1111/jvim.17204. Online ahead of print.
Sindumani A Manoharan , Allyson C Berent , Chick W Weisse , Kira Purdon , Demetrius Bagley
Free article
背景:ヒトの上部尿路結石の治療で、最小侵襲アプローチが標準である。
目的:一連の犬の上部尿路結石の内科的溶解を述べ、臨床的結果を報告する
動物:6頭のメス犬(腎臓9)
方法:回顧的ケースシリーズ。食餌を利用した上部尿路結石(必要ならば抗生物質の投与、ダブル-ピッグテイル尿管ステント設置)を行った犬の医療記録の再検討を実施した。一般に内科管理は尿路溶解後4週間継続した。溶解前後の生化学、微生物的、画像、臨床結果に対する情報を記録した。
結果:両側(3)あるいは片側(3)腎結石、尿管結石、あるいはその両方の6頭の犬(腎臓9)を含めた。閉塞性尿管結石(n=5)あるいは非閉塞性の大きな腎結石(n=1)に対し、6頭中5頭(腎臓6/9)において、内視鏡的に尿管ステントを設置した。全ての犬は、尿培養でスタフィロコッカス・インターミディウス陽性で、尿pH中央値は7.25(範囲、6.5-8)、5頭中4頭は膿腎症だった。全ての犬は、中央値1.1か月(範囲、0.42-5.9)で尿石溶解の最初のエビデンスがあり、中央値3.9か月(範囲、1.5-7.6)で尿路結石、5.3か月(範囲、1.5-7.6)で腎結石、0.87か月(範囲、0.42-5.9)で下部尿路結石の完全な溶解を認めた。一旦溶解が証明されたた6頭中3頭のステントは除去した。フォローアップ中央値は519日(範囲、177-2492日)だった。
結論と臨床的重要性:上部尿路ストラバイト結石の減圧と内科的溶解は、より侵襲的オプションの前の犬に対する最小侵襲治療と考えるべきである。(Sato訳)
■犬の潜在睾丸の去勢の重大な外科的合併症は外科的アプローチと関係する:202頭の犬のケース-コントロール研究
Serious surgical complications of canine cryptorchid castration are associated with surgical approach: a case-control study of 202 dogs
J Am Vet Med Assoc. 2024 Sep 20:1-6.
doi: 10.2460/javma.24.04.0257. Online ahead of print.
Emma B Faulkner , Anne Kimmerlein , JoAnn Morrison , Tricia Beal , Marie Kerl , Emi K Saito
目的:この研究の目的は、潜在睾丸の去勢後の重大あるいは命を脅かす合併症のある犬と、合併症がない犬を比較し、それらの合併症の発生に潜在的に寄与する因子を確認することだった。
方法:2か所の病院ネットワークで2018年から2022年の間に潜在睾丸の去勢を行った犬を、報告された合併症に対しケース-コントロール法で回顧的に再検討した。ケースおよびコントロールの組み入れ基準は、腹腔内の潜在睾丸に対し外科的処置が文書化され、少なくとも術後2週間で実際フォローアップの受診をしている犬だった。除外基準は、猫、鼠蹊の潜在睾丸の去勢に限定した処置、潜在睾丸が悪性転換していた場合、必須の犬あるいは処置の情報が医療記録から欠如している場合だった。
結果:研究に202頭の犬を含め、合併症が報告されたのは38頭で、164頭はコントロールだった。多く報告された重大な合併症は、前立腺への外傷、続いて消化器症状と尿路外傷だった。合併症は傍包皮前切開と比べ傍正中皮膚切開が行われた場合(OR、4.01;95%CI、1.45-11.1)、同様に腹部正中切開に比べ傍正中腹部切開が行われた場合に確率が高かった(OR、3.4;95%CI、1.5-7.4)。
結論:このケース-コントロール研究において見られた最も一般的な合併症は、前立腺の外傷で、おそらくは切開部位を基にした不十分な露出と関係していた。
臨床関連:傍包皮前皮膚切開と腹部正中腹部切開は、露出と臓器に視認性を増加させ、潜在睾丸に関係する重大なリスクのを低下させる。(Sato訳)
■尿道脱の犬における切除-吻合と尿道固定の組み合わせの評価
Assessment of Combined Resection-Anastomosis and Urethropexy in Dogs with Urethral Prolapse
J Am Anim Hosp Assoc. 2024 Sep 1;60(5):179-187.
doi: 10.5326/JAAHA-MS-7401.
Manraj K Grewal , Raymond K Kudej , Mackenzie Grace
犬の尿道脱の外科的修復に関する文献は限られており、再発率も高い。
切除と吻合(R&A)と尿道固定の組み合わせは、R&A単独に比べて尿道脱の再発は少ないだろうと仮説を立てた。
3か所の三次ケアホスピタルから、尿道脱に対して外科的に治療した犬の医療記録を再検討した(2013-2023)。組み入れ基準は、完全な医療記録(手術報告を含む)、短期術後合併症、長期フォローアップを含めた。
46頭のオス犬は組む入れ基準に合致した(去勢済み16頭;未去勢30頭)。短頭種が多かった(37/46、80%)。R&A単独(n=27)、尿道固定単独(n=6)、R&Aと尿道固定(n=13)による外科的修復が実施された。それらの方法に対する再発率は、それぞれ13/27(48%)、2/6(33%)、1/13(8%)だった。R&Aと尿道固定の組み合わせにより治療した尿道脱の再発率は、多くの犬が過体重で外科医の経験が少ない(各P<.05)にもかかわらず、R%A単独よりも有意に低かった(P<.05)。
興味深いことに、最初の診断前に去勢した犬は、術後再発する可能性がより高いのかもしれない。全身麻酔のリスクを考慮すると、尿道脱に対する最初の組み合わせた処置は、再発防止に役立つかもしれない。(Sato訳)
■犬と猫の尿検査、パート1:理学および化学的分析
[Urinalysis in dogs and cats, part 1: physical and chemical urinalysis]
Tierarztl Prax Ausg K Kleintiere Heimtiere. 2023 Jun;51(3):168-181.
doi: 10.1055/a-2107-0361. Epub 2023 Aug 11.
[Article in German]
Sandra Seigner , Karin Weber , Roswitha Dorsch
犬と猫の尿検査は、尿路疾患や、全身性疾患の確認のための診断的評価の重要な一部である。通常の尿検査は、理学および化学的な尿の検査と尿沈渣の検査からなる。種々の尿の採取方法(フリーキャッチ、カテーテル、穿刺)が利用できる。各方法は複数の利点と欠点がある。最適な方法は、検査の重要性に依存し、各動物で個別に選択すべきである。
時間や貯蔵により尿が変化する傾向があるため、理想的には採取から30分以内に検査すべきである。尿の理学的検査は、尿の色、透明度、比重で、尿の濃度に関する情報を提供する。後者は屈折計で判定し、動物の水和状態の解釈に必要である。
尿の化学的検査は、pH値、血液/ヘモグロビン/ミオグロビン、タンパク、グルコース、ビリルビン、ウロビリノーゲン、亜硝酸塩、ケトンを判定する。市販の尿検査紙の使用が一般的である。それらは製造会社の指示に従い貯蔵、使用すべきで、結果を解釈する時、獣医の見方を考慮に入れる必要がある。
尿の理学および化学的検査は、迅速で容易に実施可能な方法で、多くの診断あるいは除外に対して重要な情報を提供する。(Sato訳)
■2015年から2020年のノルウェーの1地域における犬のシスチン尿石の疫学的および管理の回顧的研究
A retrospective study on epidemiology and management of canine cystine uroliths in one part of Norway from 2015 to 2020
Acta Vet Scand. 2023 Nov 14;65(1):47.
doi: 10.1186/s13028-023-00711-z.
Terese Vatne Naeverdal , Janne Eidissen Midtgård , Ann-Katrin Llarena , Martine Lund Ziener
Free PMC article
背景:尿路問題は、小動物医療における一般的な疾患であり、尿石症は犬の尿路疾患の重要な原因の1つと考えられている。
この研究の主な目的は、5年間の間にシスチン尿石の発生率が増加しているかどうかを調査することだった。2つ目の目的は、犬種、年齢、性別のような潜在的リスクファクターを評価することだった。また、尿のどのような尿比重、pH、シスチンの濃度が予防戦略に反応するのかを評価した。ノルウェーの9か所の動物クリニックと1か所の動物病院で2015年から2020年の間に、尿石症を呈した犬の医療記録を回顧的に再調査した。
結果:シスチン尿石の発生率は、5年間で有意に増加した(R2=0.72、P=0.0199)。シスチン尿石の犬(5歳(n=84、95%CI:4.4-5.6))は、他の尿石の犬(8.1歳(n=255、95%CI:7.8-8.5)P<0.0001)と比較して、シスチン尿石と診断された時は有意に若かった。
尿中シスチン濃度は、シスチン尿石の犬の93%で増加していた。シスチン尿は、不妊手術後に有意に低下した(P<0.0001)。この研究でシスチン尿石に一般的に罹患した犬種は、スタッフォードシャー・ブルテリア、ダニッシュ・スウェーディッシュ、ファームドッグ、チワワだった。
結論:この研究からの結果は、過去の研究で述べられているように、シスチン尿石証に対して遺伝的基礎が示唆される。不妊手術は、シスチン値が不妊手術後に有意に低下することから、再発予防の重要な部分の1つと考えられる。(Sato訳)
■d、l-メチオニンとアモキシシリン-クラブラン酸は犬の自然発生の感染誘発性ストラバイト尿石を融解する:パイロット研究
d,l-Methionine in combination with amoxicillin-clavulanic acid successfully dissolves spontaneously occurring infection-induced struvite urocystoliths in dogs: a pilot study
J Am Vet Med Assoc. 2023 Apr 26;1-8.
doi: 10.2460/javma.23.02.0063. Online ahead of print.
Amber S M Harris , Joseph W Bartges , Tamberlyn D Moyers
目的:犬の感染誘発性ストラバイト尿石の溶解に対し、食餌を変更しないで尿酸化剤(d、l-メチオニン(Methio-Form))と抗菌剤(アモキシシリン-クラブラン酸(Clavamox))の効果と安全性を調べる
動物:この前向き研究に対し14頭の犬を募集した;11頭は治療を完了し、飼い主が治療を行うことができないため(n=2)、あるいは犬が治療を拒絶した(n=1)ため、3頭は中止した。
方法:全ての犬は尿培養と感受性を基に、d、l-メチオニン(初期用量約75mg/kg、PO、q12h)とアモキシシリン-クラブラン酸(22mg/kg、PO、q12h)を投与した。尿pH、尿検査、尿培養、静脈血ガスと血清生化学検査、ラテラル腹部エックス線像を最初と尿石溶解(成功)あるいは、2回の連続再評価ポイントでサイズおよびあるいは尿石の形に変化なし(失敗)まで4週間ごとに評価した。
結果:中央値2か月(範囲、1-4か月)、d、l-メチオニンの最終有効用量約100mg/kg、PO、q12hで11頭中8頭の尿石は溶解した。3頭の尿石は溶解せず、外科的に摘出した;それらは種々の量のシュウ酸カルシウムを含んでいた。有害事象はなかった。
臨床的関連:感染誘発性ストラバイト尿石は、犬の尿石で発生する2つの一般的なミネラルの1つである。この研究の結果は、犬の感染誘発性ストラバイト尿石の溶解に対し、食餌の変更をしないでd、l-メチオニンとアモキシシリン-クラブラン酸の使用を支持するものだった。(Sato訳)
■健康な犬における尿pH、比重、タンパク、培養、抗菌薬抵抗性の長期的検討
Longitudinal examination of urine pH, specific gravity, protein, culture, and antimicrobial resistance profiles in healthy dogs
J Vet Intern Med. 2023 Sep 8.
doi: 10.1111/jvim.16860. Online ahead of print.
Andrew McGlynn , Ryan Mrofchak , Rushil Madan , Christopher Madden , Mohammad Jawad Jahid , Dixie Mollenkopf , Thomas Wittum , Sheryl S Justice , Adam Rudinsky , Jessica Hokamp , Vanessa Hale
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背景:犬の健康診断で尿は日常的に評価される。多くの尿の特性の参照範囲は確立されているが、健康な犬で長い間にわたって、それらの特性の変動範囲の特徴はあまり述べられていない。
目的:3か月以上の健康な犬での尿特性を長期的に特徴づける
動物:14頭の健康な飼い犬
方法:この前向き研究で、犬を健康状態に対し評価した;放尿中間の自然採尿を、3か月以上、12タイムポイントで各犬に行った。尿pH、尿比重(USG)、タンパク、培養、抗菌薬抵抗性プロフィールを各タイムポイントで評価した。
結果:尿pHは時間と共にその犬内および犬間で変化した(フリードマンテスト:犬内P=.03;犬間P<.005)。しかし、USG、タンパク、尿の細菌多様性は、時間と共に犬内で一致し、犬間でのみ変化した(Kruskal-Wallis:犬間すべてP<.005)。分離菌の抗菌薬抵抗性は14頭中12頭で確認され、分離菌48中34はアモキシシリンの抵抗性が証明された。
結論と臨床的重要性:尿pHは、治療方針決断前にpHメーターで複数のタイムポイントで測定するべきである。高濃度の細菌(>10(5)CFU/mL)を伴う放尿中間の自然採尿は、尿路感染の指標だけを考慮すべきではない。この研究で犬から分離された細菌は、アモキシシリン/オキサシリンに広い抵抗性を持ち、抗菌薬適正使用支援の必要性を強調する。(Sato訳)
■犬の尿検査において尿試験紙の肉眼と自動分析器の比較評価
Comparative Evaluation between Visual and Automated Dipstick Urinalyses in Dogs
Vet Sci. 2023 Apr 10;10(4):284.
doi: 10.3390/vetsci10040284.
Erasmia D Smyroglou , Labrini V Athanasiou , Rania D Baka , Zoe S Polizopoulou
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尿検査紙は市販で入手でき、半自動解析器あるいは肉眼によって評価できる。
この研究の目的は、犬の尿サンプルにおいて尿試験紙の変数を肉眼および自動評価値を比較することだった。
119の尿サンプルを評価した。自動解析は、動物用尿解析器URIT-50Vet(URIT Medical Electronic)とUC VET13プラスストリップで行った。肉眼の評価は、Multistix
10 SG ディップスティック(Siemens Healthcare GmbH, Erlangen, Germany)と共に、尿比重測定は屈折計(Clinical
Refractometer Atago T2-Ne, Atago Co., Tokyo, Japan)を使用した。
2つの方法のpH測定値に直線関係が観察された(p=0.2);Passing-Bablok法は比例でもなく、系統的に有意なエラーも観察されないことから妥当だった。2つの方法を比較すると、尿比重の相関は悪かった(p=0.01、CI0.667-1.000)。タンパク(κ=0.431)、ビリルビン(κ=0.434)、グルコース(κ=0.450)に対しては中程度の一致を認めた。一致は血液に対し十分(κ=0.620)、白血球に対し悪かった(κ=0.100)。一致が悪かったのはケトン(κ=-0.006)だった。
pHは別として、肉眼と自動ディップスティック尿検査は交互に使用すべきではない。日中に同じ犬から採取した複数の尿サンプルは、誤った結果を克服するために同じ方法を使用して評価すべきである。(Sato訳)
■症例報告:尿道閉塞に対し経皮的ピッグテイル膀胱造瘻カテーテルで管理した3頭の犬の有用性、合併症、短期結果
Case report: Utility, complications, and short-term outcomes in three dogs managed with percutaneous pigtail cystostomy catheters for urethral obstruction
Front Vet Sci. 2023 Aug 10;10:1200406.
doi: 10.3389/fvets.2023.1200406. eCollection 2023.
Yanshan Er , Meghan E Fick , Erin Long Mays
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目的:この研究の目的は、緊急治療室(ER)で設置した経皮的ピッグテイル膀胱造瘻カテーテルで管理した3頭の犬の有用性、合併症、短期結果を述べることだった。
症例サマリー:3頭の犬は、尿石および尿道腫瘍により軽減できない二次的な機械的尿道閉塞のため、個別にERを受診した。逆行性尿道カテーテル設置および水圧での押し込みを複数回試み、成功しなかった。一時的に尿を迂回させるため、鎮静下での経皮的ピッグテイル膀胱造瘻カテーテルを設置し、3頭中2頭は成功した。合併症は軽度の腹腔内浸出液、出血性腹腔浸出液を起こす設置の失敗、脂肪組織炎、腹部痛、カテーテルの捻じれが含まれた。尿石症と診断された2頭は退院し、尿道腫瘍と診断された犬は、予後不良のため人道的に安楽死された。
新規あるいは独特な情報:成功した時、ピッグテイル膀胱造瘻カテーテルの設置は、最終的な治療が実施できるまで、一時的な尿の迂回を可能にし、よく許容した。短期結果は良好だった。この方法で起きた合併症は一般的で、病的状態が増加した。カテーテル設置失敗のリスクは、状態が悪い動物あるいは経験があまりない獣医師により行われた時は増加するかもしれない。注意深い症例選別やリスク-利益分析は、この方法を試みる前に考慮すべきである。この処置の理想の方法、合併症の発生率、結果を評価する今後の研究が必要である。(Sato訳)
■尿道カテーテル設置に対する新しい2-カテーテル法は10kg以下のメス犬やメス猫の尿道カテーテル設置の成功率を改善する
A novel two-catheter method for urethral catheterization improves success rates of urethral catheterization in female dogs and cats weighing less than ten kilograms
J Am Vet Med Assoc. 2023 Aug 16;1-5.
doi: 10.2460/javma.23.04.0209. Online ahead of print.
Josephine A Dornbusch , Page E Yaxley , Ashley C Hechler , Julie K Byron , Laura E Selmic
目的:全ての経験レベルの人により設置する時、従来の方法と2-カテーテル法を用い臨床的動物への尿道カテーテル設置の成功率を比較する
動物:10kg以下の38頭のメス猫とメス犬を前向きに登録した
方法:登録した動物は鎮静下あるいは全身麻酔下で、無作為に従来法あるいは2-カテーテル法により尿道カテーテルを設置した。全ての経験レベルのいずれの視覚のある病院職員は、カテーテルの設置を許可した。5分後にカテーテル設置ができなかった場合、代わりの方法を実施した。カテーテル設置者のこれまでの経験、動物のシグナルメント、カテーテル設置が必要な動物の状況、甲地完了までの時間、どちらの方法が成功したかを記録した。
結果:様々な病院職員により使用した時に尿道カテーテル設置に対して、2-カテーテル法は従来法よりも多く成功した(それぞれ60.5%、34.2%)。2-カテーテル法は、犬の63.3%、猫の66.6%で成功したが、従来法で成功したのは犬の36.6%、猫の33.3%だった。この研究で最初に尿道カテーテルを設置した初心者の9人中8人(88.9%)は2-カテーテル法で成功し、従来法で成功したのは1人だけだった。
臨床的関連:2-カテーテル法は、指の触診を併用できない小型動物において、メスの尿道カテーテル設置に対してより高い成功率を持つ。この方法は、尿道乳頭への誘導補助で、あまり経験のないカテーテル設置者においても助けとなるかもしれない。(Sato訳)
■小型のメス猫や10kg未満の犬の尿道カテーテル設置:2-カテーテル法
Urethral catheterization of small female cats and dogs weighing less than ten kilograms: the two-catheter technique
J Am Vet Med Assoc. 2023 Jun 28;1.
doi: 10.2460/javma.23.05.0282. Online ahead of print.
Josephine A Dornbusch, Tim Vojt, Laura E Selmic
目的:尿道カテーテル設置の代替法、2-カテーテル法の実施方法のビデオ・チュートリアルを提供する
動物:指での触診を用いるには小さすぎる小型のメス猫と犬(一般に<10kg)
方法:より大きな赤いゴム製のカテーテル(犬で18Fr、猫で10Fr)を優しく腟に送り込み、背側にあて、その後より小さな尿道カテーテルを腹側に下方45度角で進め、尿道開口部に誘導する。
結果:2-カテーテル法は、小さいメス猫や犬のカテーテル設置の成功率を改善する有効な代替法である。
臨床関連:小さなメス犬や猫において指による触診を用いることができないことは、設置中のカテーテルの先端の操作もできず、局所領域の解剖学的ランドマークの触診も不可能なため、尿カテーテル設置をより困難にする可能性がある。指で触診中の指と同じような腟をふさぐための2つ目のより大きなカテーテルを用いることで、獣医患者のこの難しい集団のカテーテル設置をうまくする補助となり得る。(Sato訳)
■犬の尿道および膀胱結石の除去に対し経皮的膀胱切石術と開腹膀胱切開の比較
Comparison of percutaneous cystolithotomy and open cystotomy for removal of urethral and bladder uroliths in dogs: Retrospective study of 81 cases (2014-2018)
J Vet Intern Med. 2022 Oct 31.
doi: 10.1111/jvim.16577. Online ahead of print.
Chloé Job , Julie Lecavalier , Marilyn Dunn , Matthieu Gatineau , Jérôme Planté , Jérôme Benamou , Martin Coutellier , Romain Javard
目的:膀胱および尿道結石の除去に対し、経皮的膀胱切石術(PCCL)と開腹膀胱切開(OC)の比較
デザイン:遡及的研究
動物:2014年1月1日から2018年2月28日の間に紹介センターでPCCL(n=41)あるいはOC(n=40)を行った飼い犬と猫
方法:PCCLとOCを行った犬と猫の医療記録を再調査した。病歴、シグナルメント、身体検査、診断検査、処置および麻酔の長さ、合併症、入院期間を記録した。
結果:合計17頭の猫(PCCL=10;OC=7)及び64頭の犬(PCCL=31;OC=33)を含めた。動物種にかかわらず、PCCL群とOC群の平均手術時間(それぞれ45分(24-160分)と48.5分(15-122分)犬でP=.54、猫でP=.65)、平均麻酔時間(それぞれ90分(50-120分)と98分(54-223分)犬でP=.87、猫でP=.08)に有意差はなかった。両群とも尿石の数は手術時間に影響しなかった。両群とも完全な尿石除去は犬と猫の98%で達成した。PCCL群の犬の入院時間中央値は有意に短かった(PCCL群で11.3時間(範囲4-51.3)
vs OC群で56.6時間(範囲7.3-96);P<.001)が、猫では違っていた(PCCL群で24.5時間(範囲8.3-30) vs
OC群で56.6時間(範囲10.1-193.2);P=.08)。
結論と臨床関連:PCCL法での膀胱結石除去は、OCよりも長くはない。PCCLとOCとの間で、処置に関連する疼痛を比較する今後の研究が必要である。(Sato訳)
■猫の子宮蓄膿症の薬物療法の修正投与プロトコールの有効性
Effectiveness of a Modified Administration Protocol for the Medical Treatment of Feline Pyometra
Vet Sci. 2022 Sep 22;9(10):517.
doi: 10.3390/vetsci9100517.
Simona Attard , Roberta Bucci , Salvatore Parrillo , Maria Carmela Pisu
Free PMC article
子宮蓄膿症は、犬と猫の一般的な子宮疾患で、典型的に黄体期である。従来、卵巣子宮摘出術が子宮蓄膿症の選択的治療と考えられたが、繁殖目的あるいは高麻酔リスクの動物のような症例において、薬物治療が優先される。アグレプリストンはプロゲステロンレセプターブロッカーで、その使用はメス犬やメス猫において子宮蓄膿症の薬物治療に対して有効だと証明されている。
この研究の目的は、猫において修正アグレプリストン投与プロトコールの有効性を報告することである。
5頭のメス猫が、子宮蓄膿症で獣医ケアセンターに紹介されてきた。犬に対しContriらにより述べられているアグレプリストン(15mg/kg)をD0、D2、D5、D8に投与した。抗生物質治療(マルボフロキサシン、3mg/kg)を投与し、子宮の状況は定期的な超音波検査でチェックした。
子宮は治療開始から10日で正常の状況に回復し、副作用の報告はなかった。治療後、3頭の猫は何事もなく妊娠した。
治療群は制限され均一だったとしても、提唱された修正プロトコールは猫の子宮蓄膿症の薬物治療に対し有用で、有望であることが証明された;今後の研究は再発の長期予防において、その有効性を検証するために計画される。(Sato訳)
■子宮蓄膿症の犬における術後合併症と抗生物質の使用:140症例の回顧的レビュー(2019)
Postoperative complications and antibiotic use in dogs with pyometra: a retrospective review of 140 cases (2019)
Acta Vet Scand. 2023 Mar 6;65(1):11.
doi: 10.1186/s13028-023-00670-5.
Outi Marita Turkki , Kristina Westberg Sunesson , Erik den Hertog , Katarina Varjonen
Free PMC article
背景:子宮蓄膿症はメス犬で一般的に見られ、通常は卵巣子宮摘出術により治療される。術後合併症(特に術後すぐの期間を超えて)の頻度を報告している研究はほとんどない。スウェーデンの国家抗生物質処方ガイドラインは、抗生物質の使用および個人が手術を受けた時の提案を提供している。臨床医がどのようにそれらガイドラインに従うか、それらの患者に対する結果に対する研究は、犬の子宮蓄膿症の症例に対して評価されていない。
この回顧的研究は、個人のスウェーデンのコンパニオンアニマル病院において、子宮蓄膿症の手術後30日以内に発症した合併症、および抗生物質の使用に関し、現行の国家ガイドラインに臨床医が従っているかどうかを評価した。また、この犬の集団(抗生物質は一般的様子がより重度に落ちている症例に主に使用)で見られた術後合併症率に、抗生物質の使用が影響を及ぼしたかどうかも評価した。
結果:最終的な分析には140症例が含まれ、そのうち27頭は合併症を発症した。合計50頭は、手術前、あるいは手術中に抗生物質で治療され、90症例において抗生物質は全く投与されず、あるいは感染発生リスクを認めたために術後に投与された(9/90)。表面の手術部位感染は最も一般的な合併症で、次に縫合糸の有害反応だった。3頭の犬は死亡あるいは、術後すぐの期間に安楽死された。臨床医は90%の症例で、抗生物質を投与するべき時に国家抗生物質処方ガイドラインに従っていた。手術部位感染のみが術前あるいは術中抗生物質を投与しなかった犬で発症し、縫合糸反応は抗生物質使用に影響されたとは思えなかった。腹膜炎の併発症状を示す多くの症例が含まれ、術前あるいは術中に抗生物質を投与された44/50頭にアンピシリン/アモキシシリンが使用されていた。
結論:子宮蓄膿症の外科的治療後の重大な合併症はまれだった。国家処方ガイドラインの順守が認められた(症例の90%)。手術部位感染は比較的一般的で、術前あるいは術中に抗生物質を投与しなかった犬にのみ見られた(10/90)。アンピシリン/アモキシシリンは、抗生物質治療を必要とする症例において効果的な第一選択抗生物質の1つだった。抗生物質治療から利益をえられた症例の確認、感染率を減らすと同時に不必要な予防的治療も避けるために必要な治療期間を確認する追加研究が必要である。(Sato訳)
■シュウ酸カルシウム尿石の素因のある8犬種と雑種犬におけるエックス線検査で明らかな上部尿路結石の有病率と予測因子
Prevalence and Predictors of Radiographically Apparent Upper Urinary Tract Urolithiasis in Eight Dog Breeds Predisposed to Calcium Oxalate Urolithiasis and Mixed Breed Dogs
Vet Sci. 2022 Jun 9;9(6):283.
doi: 10.3390/vetsci9060283.
Alexis M Hoelmer , Jody P Lulich , Aaron K Rendahl , Eva Furrow
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犬の上部尿路(UUT)結石に対するデータは、その病因を理解するのに重要である。
この回顧的症例-コントロール研究の目的は、シュウ酸カルシウム結石に対するリスクを持つ犬種(CaOxリスク犬種)と雑種犬において、エックス線検査上あきらかなUUT結石の有病率を判定し、予測因子を確認することだった。
CaOxリスク8犬種の251頭の純血犬と68頭の雑種犬で、3方向腹部エックス線写真の放射線医による報告を再検討した。
CaOxリスク犬種のUUT結石は、雑種犬よりも一般的だった(23%vs6%、OR=4.8、95%CI、1.7-18.9、p<0.001)。下部尿路(LUT)結石(カルシウムが優勢に含まれる)のある犬で、それがない犬よりもUUT結石はより一般的であり(41%vs5%、OR=13.6、95%CI、6.3-33.1、p<0.001)、多変量回帰でLUT結石は、UUT結石の存在を予測した(OR=6.5、95%CI、2.8-16.7、p<0.001)。多変量回帰で加齢(p<0.001)およびより低い体重(p=0.0016)も、UUT結石の存在の予測因子だった。
LUT結石のある犬においてUUT結石の高い有病率は、それらの形成の共有メカニズムを支持する。(Sato訳)
■犬の前立腺炎および膿瘍:82症例の回顧的研究
Prostatitis and prostatic abscessation in dogs: retrospective study of 82 cases
Aust Vet J. 2022 Feb 17.
doi: 10.1111/avj.13150. Online ahead of print.
C Lea , D Walker , C A Blazquez , O Zaghloul , S Tappin , D Kelly
目的:紹介集団の犬の前立腺炎と前立腺膿瘍の臨床症状、診断、治療、結果を述べる
動物:3か所の紹介病院における前立腺炎および/あるいは前立腺膿瘍と診断された82頭の犬
方法:回顧的ケースシリーズ
結果:合計82頭の犬を含め、年齢中央値は9歳だった。急性前立腺炎は63%の症例、慢性前立腺炎は37%の症例で診断され、40%の症例は前立腺膿瘍があった。前立腺肥大は一般的な超音波検査所見だった。石灰化は20%の症例で確認された。尿及び前立腺の細菌培養結果は、50%の症例しか一致しなかった。抗菌剤抵抗性は一般に遭遇し、1つの抗菌剤に29%は抵抗性で、2つ以上の抗菌剤に52%が抵抗性だった。膿瘍は抗菌剤単独、超音波ガイドによるドレナージあるいは外科的ドレナージで治療した。
結論と臨床的関連:抗菌剤治療と去勢手術で予後は良好と思える。前立腺膿瘍は一般的に遭遇し、予後が悪いとは思われず、抗菌剤単独、超音波ガイドによる針ドレナージ、および外科的ドレナージは全て合理的な治療オプションと思える。抗菌剤抵抗性は普通に遭遇し、尿培養結果と感受性試験は、前立腺からのサンプルのそれと一致しないことも多い。前立腺のサンプルは診断を確認するため、腫瘍のような誰の病因を除外するため(特に石灰化が前立腺炎の犬のある程度の症例に見られるため)に必要である。(Sato訳)
■尿失禁の犬の異所性尿管の検出に対し感受性及び特異性のある診断様式としての超音波検査
Ultrasonography as a sensitive and specific diagnostic modality for the detection of ectopic ureters in urinary incontinent dogs
Vet Radiol Ultrasound. 2022 Jan 22.
doi: 10.1111/vru.13055. Online ahead of print.
Oliver Taylor , Rebekah Knight , Marie-Aude Genain , Laura Owen
異所性尿管が疑われる犬の確認に対し、超音波検査は広く利用される診断様式であるが、現在、その感受性及び特異性を詳述した研究は発表されていない。
この回顧的記述診断精度研究の目的は、紹介施設でゴールドスタンダードとして膀胱鏡を用いる尿失禁の犬において、異所性尿管の診断に対し超音波検査の感受性と特異性を評価することだった。
一施設に来院した尿失禁の犬の医療記録(n=38)から、尿管付着異常及び尿路異常の併発の有無に対し回顧的に再調査した。超音波所見は、診断精度を判定するため、膀胱鏡検査の所見と比較した。尿路異常の併発の有無と異所性尿管の間の関連を、独立した単純t検定とマン-ホイットニー検定で評価した。統計学的有意はP≦0.05とした。
超音波検査で異所性尿管を確認する時、感受性は93.5%、特異性は100%、診断精度は95%だった。異所性あるいは非異所性として個々の尿管を分類する時、感受性は87.8%、特異性は86.7%だった。超音波検査上、異所性尿管の犬は、そうでない犬と比べて有意に併発する尿路異常が多かった(P=0.004)。異所性尿管は、そうでない尿管よりも同側のより上部尿路超音波異常が有意に多く併発していた。(P<0.001)。
経験を生んだ超音波検査士による超音波検査は、犬の異所性尿管に対する感受性及び特異性のあるスクリーニングツールであり、深い鎮静や全身麻酔の必要もない高度画像検査であるが、個々の尿管の評価に単独の診断様式として信頼するべきではない。(Sato訳)
■犬の前立腺肥大±前立腺炎の回顧的レビュー
A retrospective review of canine benign prostatic hyperplasia with and without prostatitis
Clin Theriogenology. 2021 Dec;13(4):360-366.
Hannah Ruetten , Marlyse Wehber , Mary Murphy , Clara Cole , Simran Sandhu , Steven Oakes , Dale Bjorling , Kenneth Waller 3rd , Katrina Viviano , Chad Vezina
前立腺肥大(BPH)は、未去勢の老犬で一般的な前立腺疾患であるが、その有病率にもかかわらず、臨床診断と治療において一致したものがない。男性において前立腺の大きさは歴史的にBPHの顕著な特徴と考えられているが、現在、前立腺の大きさと臨床重症度には弱い相関しかない。
BPH±併発前立腺炎と診断された犬において、臨床症状、超音波検査所見、治療、結果の評価を主題とした回顧的コホート研究を実施した。
医療記録を再検討し、現症状、前立腺画像、併発細菌尿の有病率に対するデータを入手した。前立腺の大きさは、超音波検査で判定し、犬の年齢と体重を基にして算出して予測される大きさと比較した。治療と結果は、最低2か月のフォローアップができた症例に対して記述した。
BPHと診断された犬の年齢中央値は8歳だった。臨床症状は16/25頭が呈し、軽度から中程度のスコアだった(BPHに対するZambelli's Symptom指数中央値スコア12)。前立腺容積とボディーマス比中央値は1.60mm3/kg)だった。前立腺の大きさは、徴候重症度と相関しなかった。併発細菌尿は、細菌培養および/あるいは細胞検査により4/25頭で確認された。行われた治療と反応は、犬のサブ集団(n=9)でしか入手できず、かなり変動した。現行の犬のBPHに対する治療オプションは関係する臨床症状を解消するか、また前立腺の大きさを縮小させるか判定する研究が必要である。(Sato訳)
■尿道括約筋メカニズム不全と下背部痛との関連:犬の尿失禁に対する新しい治療の提案
The relationship between urethral sphincter mechanism incompetency and lower back pain: Positing a novel treatment for urinary incontinence in dogs
Open Vet J. Jan-Feb 2022;12(1):105-113.
doi: 10.5455/OVJ.2022.v12.i1.13. Epub 2022 Feb 13.
David M Lane , Sarah A Hill
背景:ヒトにおいて、複数の研究者は尿失禁(UI)と下背部痛(LBP)に関連があると判定するだけではなく、LBPの治療により臨床医はUIを改善あるいは解消できるとしている。現在まで、同様の犬の研究で犬の後天性、非神経性UIの臨床症状を、LBPの治療で改善できるかどうかは調査されていない。
目的:犬のLBPと尿道括約筋メカニズム不全(USMI)の間に関連があるかどうか判定する
方法:2013年5月から2019年12月までにPoints East West Veterinary Servicesを受診した後天性UIを自然発生した病歴のある全ての犬の医療記録を再調査した。この研究の条件で、39頭は鍼および用手療法を組み合わせて治療し、また33/39頭は光生体調節(PBM)療法を併用した。
結果:治療した犬は、UIエピソードの頻度(p<0.01)および量(p<0.01)共に統計学的に有意な減少を示した。治療反応の範囲は、USMI臨床症状の改善無しから、完全寛解までの範囲だった。
結論:LBP治療後のUSMI臨床症状の減少は、それら2つの状況の間の関連が示唆される。鍼、用手療法、±PBMは、USMIに対する効果的な治療であることを示した。当然の結果から、USMI失禁は、潜在的疼痛症状を考慮すべきである。(Sato訳)
■犬の悪性および非悪性尿道疾患の管理における一時的な尿道ステントの評価
Evaluation of Temporary Urethral Stents in the Management of Malignant and Nonmalignant Urethral Diseases in Dogs
Vet Sci. 2022 Feb 1;9(2):63.
doi: 10.3390/vetsci9020063.
Jody P Lulich
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尿道ステントの設置は、尿道閉塞を緩和するため、専門家により一般的に実施される最小侵襲介入処置である。しかし、コストが高く、特別な器具を必要とするため、尿道ステントの使用には制限がある。
この回顧的研究の目的は、安価な一時的尿道ステントの作成と設置を述べ、自然発生の尿道疾患の犬の管理におけるその結果を報告することだった。
悪性および非悪性の尿道の病因がある犬17頭に一時的なステントを設置した。一時的ステント設置に対する最も一般的な適応は、尿道閉塞だった。この集団において、全ての犬で尿道の開通性は回復した。最も報告の多かった合併症は尿失禁だった。この合併症を管理するため、犬はおむつをした。
一時的尿道ステントは、拡張金属ステントの耐久性がある安価な代替法として役立った。一時的ステントはすでに入手可能な材料で構成され、特別な器具なしで挿入できたため、カテーテル操作ができる開業医は、必要とあればそれらを挿入できる。(Sato訳)
■犬のシュウ酸カルシウム下部尿路結石と高脂血症との関連
Association between hyperlipidemia and calcium oxalate lower urinary tract uroliths in dogs
J Vet Intern Med. 2021 Dec 2.
doi: 10.1111/jvim.16324. Online ahead of print.
Mathieu V Paulin , Marilyn Dunn , Catherine Vachon , Guy Beauchamp , Bérénice Conversy
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背景:ヒトのメタボリック症候群は、シュウ酸カルシウム(CaOx)尿石の形成に関係する
目的:飼育犬において、肥満及び高脂血症とCaOx下部尿路結石との関連を調査する。
動物:CaOx下部尿路結石のある犬(n=55、U(uroliths)-犬)とない犬(n=39、UF(uroliths-free)-犬)
方法:症例-対照試験。U-犬は回顧的に登録し、UF-犬と比較した。ボディコンディションスコア(BCS;1-9点)、血清トリグリセリド(TG)、総コレステロール(CH)濃度と血糖(12時間以上絶食後)を両群で記録した。
結果:単変量ロジスティック回帰において、ミニチュアシュナウザーを除外した時、尿石があるオッズは、TGのmmol/L毎に3.32倍(95%CI、1.38-11.12)(P=0.027)、血糖のmmol/L毎に39倍(95%CI、9.27-293.22)(P<0.0001)、BCSのユニット毎に2.43倍(95%CI、1.45-4.45)(P=0.002)上昇した。多変量モデルにおいて、TGの影響は全ての犬種を解析に含めた時に保持され、尿石があるオッズはTGのmmol/L毎に4.34倍(95%CI、1.45-19.99;P=0.02)上昇した。
結論と臨床的重要性:CaOx尿石と診断された犬の血清脂質スクリーニングは、それらの医療ステージングと管理を改善するために推奨されるかもしれない。(Sato訳)
■尿失禁として現れる排尿障害の猫45頭の診断と結果の回顧的分析
Retrospective analysis of diagnoses and outcomes of 45 cats with micturition disorders presenting as urinary incontinence.
J Vet Intern Med. 2019 Dec 20. doi: 10.1111/jvim.15683. [Epub ahead of print]
Lonc KM, Kaneene JB, Carneiro PAM, Kruger JM.
背景:犬とは対照的に、猫の尿失禁の原因と結果はあまり知られていない。
目的:UIとして現れる排尿障害の猫の原因の判定、併存症の確認、結果を評価する
動物:UIの猫45頭
方法:回顧的研究。2006年1月から2017年12月までに来院した猫の医療記録から、UIに関係する45のキーワードで検索した。病歴、症状、主訴、身体検査所見は診断を確認するために使用した。症例は機能及び解剖学的部位を基に分類した。
結果:45頭の猫が組み入れ基準に合致した。脊髄疾患(n=18)が最も一般的なUIの原因で、続いて尿道(n=17)、膀胱(n=9)、尿管(n=1)疾患だった。排尿および蓄尿フェーズ障害の比率は似ていた(それぞれ53%と47%)。しかし、排尿期障害はオス猫やより若い猫でより多く観察された(P<.03)。尿路感染は28頭中11頭(39%)で検出された。45頭中38頭で結果が得られた;16頭(42%)は自制を取り戻し、3頭(8%)は治療で改善、19頭(50%)は失禁を持続あるいは安楽死された。多変量ロジスティック回帰で脊髄疾患は膀胱あるいは尿道疾患と比べ、より悪い結果と関係する確率が有意に高いことを示した(P<.04)。
結論と臨床的重要性:猫の尿失禁は、同様の頻度で両フェーズに影響する種々の先天性および後天性障害と関係していた。脊髄傷害の尿失禁の猫は一般的で、膀胱あるいは尿道傷害の猫よりも慎重な予後となるだろう。(Sato訳)
■猫の尿石症:尿組成の傾向とリスクファクターの評価(2005-2018)
Urolithiasis in cats: Evaluation of trends in urolith composition and risk factors (2005-2018)
J Vet Intern Med. 2021 May;35(3):1397-1405.
doi: 10.1111/jvim.16121. Epub 2021 May 6.
Lucy Kopecny , Carrie A Palm , Gilad Segev , Jennifer A Larsen , Jodi L Westropp
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背景:猫の尿石症は、病的及び死亡する重要な上部および下部尿路疾患である。
目的:猫の尿石症の組成に関する傾向を述べることと、年齢、品種、性別、尿石の部位、細菌性尿石培養に関するリスクファクターを評価する
サンプル集団:合計3940個の尿石とその猫
方法:UC Davis Gerald V. Ling Urinary Stone Analysis Laboratoryのデータベースで2005年1月から2018年12月の間に提出された全ての尿石を検索した。ミネラルの種類、年齢、品種、性別、尿石の部位、培養結果を記録した。傾向を評価し、リスクファクターを評価するため、変数を比較した。
結果:シュウ酸カルシウム(CaOx)を含む尿石の比率は、2005年の全ての提出物の50.1%(204/407)から2018年の37.7%(58/154)にかけて有意に減少した(P=.02)。対照的に、ストルバイトを含む尿石の比率は、2005年の41.8%(170/407)から2018年の54.5%(84/154)に有意に増加した(P=.002)。上部尿路におけるCaOxを含む病席の比率は、上部尿路の他の尿石のタイプの比率と比較して有意に高かった。尿酸を含む尿石は、3番目に多いタイプだった(361/3940、9.2%)。全体で、性別、年齢素因は、過去の報告のそれと同じだった。
結論と臨床的重要性:CaOxを含む尿石の比率の減少と、ストルバイトを含む尿石の比率の増加は、調査を正当化する。ストルバイトを含む尿石の内科的溶解の効果に関する更なる教育が勧められる。(Sato訳)
■犬の増殖性尿道炎の回顧的研究:様々な治療様式を用いた11頭の犬の臨床症状と結果
Retrospective study of proliferative urethritis in dogs: Clinical presentation and outcome using various treatment modalities in 11 dogs
J Vet Intern Med. 2020 Dec 14.
doi: 10.1111/jvim.16007. Online ahead of print.
Max Emanuel , Allyson C Berent , Chick Weisse , Taryn Donovan , Kenneth E Lamb
背景:増殖性尿道炎(PU)は、メス犬の尿道の珍しい炎症性および浸潤性疾患で、尿路感染(UTI)に関係することが多い。一般的に尿道閉塞(UO)のエビデンスを呈す。
目的:PUの犬の臨床特徴を確認し、異なる治療様式の結果を判定する。
動物:11頭の飼育犬
方法:2011年から2020年の間に病理組織学的にPUと診断された犬の医療記録を回顧的に評価し、臨床病理、画像検査、病理組織に関する情報を含めた。様々な治療様式の結果を記録し、比較した。長期の尿道の開通(>6か月)を治療成功と考えた。
結果:全ての犬はメス犬でUOを呈した。8頭(73%)はUTIの病歴があった。11頭中10頭は生きて退院し、長期のデータ収集に使用した。10頭中7頭(70%)は消失処置(バルーン拡張(BD)、ステント、あるいは両方)を使用し、6/7頭(86%)は長期の尿道開通を達成した(>6か月)。10頭中7頭は最初の処置後にUOを再発し、消失しなかった3/3頭(100%)と消失した4/7頭(57%)、それぞれ中央値101日と687日を含めた。消失後、開通の持続期間はBD単独よりもステントを用いて治療した方が長かった(中央値、843日と452日)。
結論と臨床的重要性:増殖性尿道炎はUTIに関係することが多い再発性疾患である。長期尿道開通の一番良い結果は、BDとステント設置による病変消失後だった。今後の前向き研究で免疫抑制治療の影響を調べるべきである。(Sato訳)
■テルミサルタンによる犬の蛋白尿の治療:回顧的研究
Treatment of proteinuria in dogs with telmisartan: A retrospective study
J Vet Intern Med. 2021 May 10.
doi: 10.1111/jvim.16146. Online ahead of print.
Julie Lecavalier , Lyanne Fifle , Romain Javard
背景:犬の蛋白尿の治療に対するテルミサルタンの使用は徹底的に調査されていない
仮説/目的:犬の蛋白尿をテルミサルタンは効果的に治療できる
動物:蛋白尿を呈する44頭の飼育犬
方法:回顧的研究。臨床的に関連性のある蛋白尿と診断された犬(尿蛋白クレアチニン比(UPC)≧2の非高窒素血症の犬とUPC≧0.5の高窒素血症の犬)を3群に振り分けた:テルミサルタン単独、ベナゼプリルと共に、ミコフェノレートと共に。治療前とその後のフォローアップ(利用できるものとして1、3、6、12か月)でUPCを記録した。治療反応は、完全(UPC<0.5)、部分的(UPCは50%以上低下したが依然≧0.5)、反応なし(UPC低下<50%)。血清クレアチニンおよびカリウム濃度、動脈圧も記録した。
結果:テルミサルタン群において、治療反応(UPC<0.5あるいは低下≧50%)は、フォローアップ1か月で70%、3か月で68%、6か月で80%、12か月で60%の犬に観察された。全てのフォローアップ時期で、血清クレアチニン、カリウム濃度、動脈圧の有意な変化は認めなかった。軽度の自己制限的な消化管症状の副作用は5頭に見られた。2頭は臨床的に関連のある高窒素血症を発症し、最初のフォローアップ時期前に治療を中止した。
結論と臨床的重要性:テルミサルタンは単独あるいは蛋白尿の他の治療と併用で、犬の蛋白尿の治療に考慮できる。(Sato訳)
■犬の利尿筋尿道不協調:35症例(2007-2019)
Detrusor urethral dyssynergy in dogs: 35 cases (2007 2019)
J Small Anim Pract. 2020 Dec 20.
doi: 10.1111/jsap.13286. Online ahead of print.
C Stilwell , J Bazelle , D Walker , G Stanzani , J Florey
目的:利尿筋尿道不協調と診断された犬の臨床症状、診断、治療、結果を評価する
素材と方法:多施設(n=3 イギリスの紹介病院)、回顧的、観察研究。利尿筋尿道不協調の犬を確認するためにデータベースを検索した(2007-2019)。構造的異常あるいは排尿に影響する検出可能な神経障害の犬は除外した。臨床症状、診断方法、治療および結果を評価した。
結果:35頭の犬を含めた。中年齢、大型犬種、オス犬は最も多かった。4頭のメス犬が含まれた。ラブラドールレトリバー(8/35;22.9%)、ゴールデンレトリバー(5/35;14.3%)、雑種(5/35;14.3%)を含む15犬種が確認された。臨床症状の持続期間中央値は152日(範囲0-1095)だった。全ての犬は来院時排尿障害で、17/35(48.6%)は尿流の変化があり、17/35(48.6%)は有痛性排尿障害と報告された。34頭でフォローアップデータ(中央値136日、範囲4-2188)が得られた。反応は良い(20/34;58.8%)、部分的(7/34;20.5%)、悪い(7/34;20.5%)に分類された。反応までの全体の時間は、34頭中21頭(部分的n=6、良いn=15)が分かっており、中央値は11日(範囲1-155)だった。4頭の犬は外科的治療を行った(去勢n=4、膀胱造瘻チューブn=2)。3頭は部分的(n=1)あるいは悪い(n=2)反応のため安楽死された。治療の反応が良い10頭中11頭(55.0%)は薬剤投与を中止し、そのうち2頭は再発した。
臨床意義:犬の利尿筋尿道不協調は、特にメス犬で珍しい排尿障害である。内科治療±外科治療はほとんどの犬で好ましい予後となるが、多くは長期の薬剤治療が必要である。(Sato訳)
■451頭の蛋白尿の犬における細菌発育に関係する特徴(2008-2018)
Characteristics associated with bacterial growth in urine in 451 proteinuric dogs (2008-2018).
J Vet Intern Med. 2020 Jan 17. doi: 10.1111/jvim.15691. [Epub ahead of print]
Grimes M, Heseltine JC, Nabity MB, Lawhon SD, Wheeler L, Cigarroa A, Lidbury JA.
背景:タンパク尿の腎後性の原因として感染の除外に尿培養がよく推奨される。
目的:タンパク尿の犬において、細菌発育に関係する特徴を確認する
動物:2008年1月から2018年1月の間に尿蛋白-クレアチニン比(UPCs)>0.5で教育病院に入院した451頭の犬
方法:回顧的研究に、電子カルテから検索し、72時間以内にUPC、尿検査、定量的尿培養(QUC)を実施した犬を含めた。抗生物質の投与を受けていた犬、膀胱穿刺法以外で採尿した犬、UPC≦0.5の犬は除外した。シグナルメント、同時罹患、血清BUNとクレアチニン濃度、尿検査所見、QUC結果を記録した。それらの特徴と尿の細菌発育の有無との関連を、一変量および多変量解析で評価した。
結果:451頭中30頭(6.7%)の尿で細菌は発育した。それらのうち18頭(60%)はactiveな尿沈渣だった。尿の細菌発育は、膿尿(OR25.1、95%CI、7.9-79.6、P<0.001)、細菌尿(OR11.1、95%CI、3.0-39.1、P<0.001)、下部尿路疾患(OR6.7、95%CI、1.9-23.0;P<0.0028)と関係した。それらの基準を基にQUCが促されるなら、タンパク尿の犬の8/451(1.8%)頭が検出不可能な細菌発育を持つことになるだろう。
結論と臨床的重要性:inactiveな尿沈渣と尿の細菌発育を両方持つタンパク尿の犬の比率は低く、全ての蛋白尿の犬の評価でQUCは必要ないかもしれないと示唆された。タンパク尿の犬に対し、activeな尿沈渣あるいは下部尿路疾患はQUCを促すべきである。(Sato訳)
■異なる保管状況の犬の尿サンプルの安定性
Stability of canine urine samples under different storage conditions
Can J Vet Res. 2020 Oct;84(4):259-264.
Stephan Neumann , Kim Fechner , Claus-Peter Czerny
犬の尿サンプルの安定性は、サンプルをすぐに分析できないときに重要である。
この研究の目的は、室温および冷蔵の状況下の犬の尿サンプルの安定性を調査することだった。
20頭の犬からサンプルを採取し、4℃と20℃の保管に振り分けた。採取から48時間までに比重、pH、タンパク質、ビリルビン、グルコース、ケトン、沈渣、4時間および24時間の細菌発育に対して検査した。
サンプルの90%で、最低48時間、比重と全ての化学パラメーターは安定していた。沈渣は、結晶は別として安定していた。臨床サンプルと同じく、インビトロで検査した細菌3種の細菌発育は、冷蔵温度で24時間以上、おおむね一定だった。室温で保存した尿サンプルにおいて、好気性発育細菌の総数が増加した。
我々の研究結果は、ほとんどの症例で、最低4時間から48時間まで、保存処置がなされていない尿において通常測定するパラメーターは安定していたことを示した。すぐに尿の培養ができない場合、24時間までの4℃で保管した尿サンプルが推奨される。(Sato訳)
■メス犬の尿道括約筋機能不全の管理において充填剤として架橋ゼラチンの評価
Evaluation of cross-linked gelatin as a bulking agent for the management of urinary sphincter mechanism incompetence in female dogs
J Vet Intern Med. 2020 Jul 20.
doi: 10.1111/jvim.15857. Online ahead of print.
Hilla Chen , Anna Shipov , Gilad Segev
背景:充填剤のインプラントは、尿道括約筋機能不全(USMI)の管理に対する最小侵襲の処置である。
仮説/目的:USMIと診断されたメス犬において、尿失禁の治療に対する新しい充填剤VetFoamの効果と安全性を評価する
動物:15頭のメスの飼育犬
方法:前向き研究。USMIと診断され、難治性あるいは内科治療に反応が良くないメス犬を含めた。VetFoamは内視鏡のガイドを基に尿道粘膜下に注射した。尿自制スコアは処置の前後、それから毎月評価した。
結果:15頭の犬に22回の注射処置を実施した(5頭は2回以上実施)。処置時の全ての犬の年齢中央値は111か月(範囲、18-180日)だった。尿自制スコアは充填剤注射前から注射後に有意に上昇した(1.5;範囲1.0-3.5 vs 4.0;範囲1.5-5;P<.001;効果サイズ、2.6)。最初の処置後、尿自制は13/15頭(87%)で達成され、反復処置で7/7頭(100%)が達成した。全体で、最初のフォローアップ時、20/22(91%)処置で尿自制スコアが高くなっていた(≧4)。最初の注射から尿自制の持続平均期間は、11.1か月(SD、10.7)だった。1頭(7%)は自己制限的な有痛排尿困難、頻尿、しぶりが見られたが、他の犬に明らかな副作用は見られなかった。
結論と臨床的重要性:VetFoamは、明らかに安全で有効な新規充填剤で、USMIの管理の代替法として使用できる。(Sato訳)
■尿の血液混入は犬の尿蛋白クレアチニン比の解釈を危うくするか
Does blood contamination of urine compromise interpretation of the urine protein to creatinine ratio in dogs?
N Z Vet J. March 2019;67(2):74-78.
DOI: 10.1080/00480169.2018.1556129
Ekp Jillings , R A Squires , S Azarpeykan , N Lopez-Villalobos
目的:犬の尿蛋白クレアチニン比(UPC)に対しヘマトクリットとタンパク濃度が変化する0-5%血液の尿濃度の影響を調べることと、尿の色調がUPCの結果の解釈の一助となるかどうかを調べた。
方法:18頭の犬から尿をフリーキャッチで採取し、全てUPC<0.2だった。各犬から種々の血液を採取し、各犬の血液を0.125-5%血液の連続濃度を作成するため、自身の尿に加えた。各尿の色は、2人の観察者が黄色、桃色、オレンジ、オレンジ/赤、赤とスコアを付けて記録した。タンパクとクレアチニン濃度を測定し、試験紙検査、沈渣検査を各サンプルで実施した。色調と試験紙検査を基に、サンプルを顕微鏡的、巨視的、肉眼的血尿として分類した。線形混合モデルで血液濃度のUPCに対する影響を検査した。
結果:前18頭の尿のUPCは<0.2だった。尿サンプルに血液を加えた結果、血液を加えない尿に比べ、全ての添加濃度でUPCは増加した(P<0.001)。顕微鏡的血尿の54サンプルでUPCが>0.5の尿はなかった。巨視的血尿の108サンプルで21サンプル(19.4(95%CI=13.1-27.9)%)のUPCは>0.5、肉眼的血尿の54サンプルで、39サンプル(72(CI=59.1-82.4)%)のUPCは>0.5だった。血液濃度を5%にしない限り、UPC>2.0
にはならず、この血液添加濃度で18サンプル中3サンプル(17%)だけがUPC>2.0だった。
結論と臨床関連:血液濃度が0.125%以上ではUPCを上昇させるが、尿が黄色の場合(顕微鏡的血尿)、UPC>0.5は単に血液が加わることによるものだろうという無視してよい可能性しかないことを示した。そのような概要で、サンプルに血尿がある蛋白尿は不適当となるだろう。しかし、尿サンプルが黄色から変色するような血液濃度(巨視的あるいは肉眼的血尿を示す)ではUPCが異常な範囲以上に上昇する可能性があり、タンパク尿に対する鑑別を考慮する必要があるだろう。このように尿サンプルの色調スコア(黄色、変色、赤)に制限があるときでさえ、尿の色調の認識は、血尿のサンプルにおいてUPCの解釈の一助に利用できた。
■気腫性膀胱炎:36頭の犬と2頭の猫の素因と超音波特性の回顧的評価
Emphysematous cystitis: Retrospective evaluation of predisposing factors and ultrasound features in 36 dogs and 2 cats.
Can Vet J. 2019 May;60(5):514-518.
Lippi I, Mannucci T, Santa DD, Barella G, Oranges M, Citi S.
この回顧的研究で気腫性膀胱炎(EC)の犬(n=36)と猫(n=2)の素因と超音波特性を調査した。
尿路感染は25頭(65.8%)に存在し、10頭(26.3%)は免疫系の障害、9頭(23.7%)は膀胱結石、7頭(18.4%)は神経学的膀胱があった。糖尿病は4頭(10.5%)のみに見られた。ほとんどの動物は尿培養陽性(n=35;92.1%)で、そのうち25頭(71.4%)でEscherichia coliの濃度が上昇していた。
一般的な超音波所見は、膀胱のびまん性肥厚(n=15;39.5%)、ポリープ(n=9;23.7%)、限局的肥厚(n=4;10.5%)だった。13頭(34.2%)においては、膀胱のガスが過剰なため、膀胱壁を評価できなかった。膀胱のガスはおおむね腔内で確認され(n=18;47.4%)、続いて膀胱壁(n=11;28.9%)、壁と腔(n=9;23.7%)で確認された。(Sato訳)
■腟切除および陰門腟切除に関する21頭の犬の結果
Outcomes Associated With Vaginectomy and Vulvovaginectomy in 21 Dogs
Vet Surg. 2020 Jun 9.
doi: 10.1111/vsu.13466. Online ahead of print.
Jessica A Ogden , Laura E Selmic , Julius M Liptak , Michelle L Oblak , William T N Culp , Carlos H de Mello Souza , Janet A Grimes , Marine Traverson , Megan Cray , Brittany E Abrams , Vincent A Wavreille
目的:生殖道に病変を持ち、腟切除あるいは陰門腟切除で治療した犬の結果を報告する
研究計画:多施設回顧的研究
動物:2003年から2018年の間で完全な医療記録、最低60日のフォローアップができた陰門腟切除、完全腟切除あるいは部分腟切除を行ったメス犬
方法:術前、術中、尿失禁(UIC)の発生、疾患の再発、死亡/安楽死のような術後データを含むデータを医療記録から集めた。
結果:この研究は21頭の犬を含めた。4頭は陰門腟切除、6頭は完全腟切除、11頭は部分腟切除を実施していた。手術時の平均年齢は9.2歳(SD、3.3)だった。13頭の犬は来院時に避妊をしていなかった。平滑筋腫瘍が最も一般的に診断された(10頭平滑筋腫、3頭平滑筋肉腫、2頭平滑筋繊維腫)。フォローアップ期間の中央値は520日(範囲、71-1955)だった。再手術を必要とするメジャーな合併症は2頭の犬で記録された。術後のUICは21頭中6頭で起こり、3頭は60日以内に自然に解消した。悪性腫瘍の犬(n=6)は少なくとも71日は生存し(中央値、626;95%CI、71-1245)、再発は2頭の犬で起こった。良性腫瘍の犬(n=15)において、生存期間の中央値は到達しなかった。それらの犬は少なくとも104日生存し、疾患の再発はなかった。
結論:腟切除および陰門腟切除は長期生存が得られ、メジャーな合併症およびUICの発生は少ない。
臨床意義:この研究は、この処置のリスクと見込みを飼育者と議論すべきだと推奨するためのエビデンスを提供する。(Sato訳)
■犬の前立腺疾患
Canine Prostate Disease.
Vet Clin North Am Small Anim Pract. July 2018;48(4):701-719.
DOI: 10.1016/j.cvsm.2018.02.012
Bruce W Christensen
全ての未去勢のオス犬は、通常6歳前後から前立腺肥大や過形成を経験するだろう。それらの犬は前立腺感染の素因を持つことになるが、少数の犬のみが実際感染を発症する、あるいは不快の臨床症状や低受胎を示すだけである。
去勢済みオス犬は前立腺に関係する腫瘍の発生率がより高い。犬の前立腺特異アルギニンエステラーゼを含む最新の診断検査が議論されている。
去勢手術が薬物治療オプションに匹敵する。
最新の推奨治療は、細菌感染に対する4週間のreducing抗生物質暴露と腫瘍性疾患に対する非ステロイド性抗炎症剤の使用が含まれる。(Sato訳)
■縫合の関連が疑われる膀胱結石のある犬のエックス線検査特性
Radiographic Features of Suspected Suture-Associated Cystic Calculi in Dogs
Vet Radiol Ultrasound. 2020 Apr 23.
doi: 10.1111/vru.12863. Online ahead of print.
Jennifer M Hickey , Allyson C Berent , Anthony J Fischetti , Alexandre B Le Roux
この回顧的ケースシリーズは、1回以上の過去に膀胱切開の病歴を持つ6頭の犬において、縫合の関連が疑われた膀胱結石のエックス線学的特徴を述べる。
そのうち1頭は2回呈した。縫合の関連が疑われた膀胱結石は、腹部エックス線写真で多病巣、短く、主に線状の不透明ミネラルで、膀胱の中心に位置した。1頭(n=1)は多病巣の丸い、ピンポイントで線状の不透過性結石を呈した。肉眼検査で、結石は中空だった。6回の膀胱結石は、過去の膀胱切開でモノフィラメントの吸収性縫合糸(ポリディオキサノン(n=4)あるいはポリグレカプロン25(n=1))を用いていた。2症例の縫合糸は不明だった。
縫合の関連が疑われる膀胱結石は獣医療での発生は珍しいが、過去に膀胱切開の病例がある、肉眼的に中空、不透明ミネラルのエックス線検査所見、主に線状膀胱結石の犬では考慮すべきである。(Sato訳)
■3頭の犬の下部尿路出血に起因する良性の肉眼的血尿の治療における膀胱鏡あるいは膀胱尿道鏡の使用
Use of cystoscopy or cystourethroscopy in treating benign macroscopic hematuria caused by lower urinary tract hemorrhage in three dogs.
J Am Vet Med Assoc. 2019 Jul 1;255(1):90-97. doi: 10.2460/javma.255.1.90.
Himelman JF, Berent AC, Weisse CW, Bagley DH.
症例説明:5歳、11.5kgの去勢済みオスのボストンテリア(犬1)、8歳、27.8kgの去勢済みオスのボクサー(犬2)、10.5歳、15.9kgの避妊済みメスのペンブロークウェルッシュコーギー(犬3)を、重度、肉眼的血尿と特発性腎血尿の疑いで評価した。
臨床所見:3頭全て血尿、貧血、膀胱内の血餅がみられ、凝固、粘膜出血時間評価においては顕著な所見はなかった。膀胱尿道鏡検査で、膀胱(n=2)あるいは尿道(1)の小病変を起源とする下部尿路出血と、両尿管膀胱移行部から正常な黄色に見える尿の噴出が各犬で見て取れた。
治療と結果:犬1は膀胱鏡をガイドとする膀胱の出血病変の外科的切除を実施し、切除した組織の組織学的評価で膀胱の毛細管拡張症と確認した。犬2と3は膀胱(犬2)と尿道(犬3)の出血病変(血管腫、リンパ管腫、毛細管拡張症の仮診断)の膀胱尿道鏡のガイドによるレーザーアブレーションを行った。最長経過観察期間は7年で、その後肉眼的血尿を再発した犬はいなかった。
臨床関連:大きな外科処置を行う前、あるいは通常の診断処置で基礎の原因が示されない時、犬の血尿の診断プランの一部に膀胱尿道鏡検査を考えるべきだと示唆された。また、犬1の組織学的結果は、膀胱毛細管拡張症が示され、犬の重度慢性下部尿路血尿の過去に報告されていない原因である。(Sato訳)
■犬のストラバイト膀胱結石溶解に対するドライの療法食と抗生物質投与併用の評価
Evaluation of a dry therapeutic urinary diet and concurrent administration of antimicrobials for struvite cystolith dissolution in dogs.
BMC Vet Res. August 2019;15(1):273.
DOI: 10.1186/s12917-019-1992-8
Jonathan D Dear , Jennifer A Larsen , Michael Bannasch , Sean E Hulsebosch , Jason W Gagne , Eric G Johnson , Jodi L Westropp
背景:ストラバイト尿石と細菌性尿路感染(UTI)は犬でよく報告される;自然発生疾患の犬において溶解を成功させるプロトコールを述べたデータはあまりない。著者らはドライの療法食と目標を置いた抗生物質療法の組み合わせは、ウレアーゼ産生細菌性UTIを自然発生した犬において推定性ストラバイト膀胱結石症を効果的に溶解できると仮説を立てた。
結果:下部尿路症状(LUTS)、エックス線不透過性膀胱結石、ウレアーゼ産生細菌性UTIを基に、感染誘発性ストラバイト膀胱結石症を推定した10頭の犬を登録した。登録時、抗生物質とドライの療法食を使用した。また、エックス線上で膀胱結石症の解消がなく、臨床症状の持続がある犬は、反応なしの犬と考えた。
反応があった犬となかった犬のpHに有意差はなかった;反応があった犬のUSGは有意に高かった。エックス線検査で溶解あるいは失敗が実証されるまで、再チェックの来院は継続した。10頭中5頭は、中央値31日(範囲19-103日)以内に膀胱結石症のエックス線検査上の溶解に達した。他の5頭に関しては、持続性のLUTS(3頭は2週間以内)あるいは、持続性の溶解の欠如がエックス線学的に分かった(1頭は91日時点で多数の膀胱結石があり、1頭は57日目にオーナーのコンプライアンスが疑わしいことで失敗)ことで外科的尿石の除去が必要だった。
結論:尿路感染誘発のストラバイト膀胱結石の溶解は、このドライの療法食と抗生物質療法の組み合わせで達成できる犬もいる。症例の選択は、溶解成功の確率を高めることができたが、リン酸カルシウムが存在する場合、これも結石溶解の妨げになる可能性があった。食餌と抗生物質の使用にもかかわらず臨床症状が持続する場合、結石除去を助言する。(Sato訳)
■犬の前立腺疾患の診断における超音波検査と細針吸引細胞診の精度
Accuracy of ultrasonography and fine-needle aspiration cytology in the diagnosis of prostate diseases in dogs.
Reprod Domest Anim. 2018 Nov;53 Suppl 3:79-84. doi: 10.1111/rda.13341.
Rodak O, Dzimira S, Podolak A, Płóciennik M, Niżański W.
犬の前立腺疾患の臨床症状は、非特異的なことも多い。適切な治療は、確かな診断ツールを用いた詳細な調査を基になされるべきである。
この研究の目的は、犬の前立腺疾患において、超音波検査(US)と細針吸引(FNA)細胞診の診断価値を評価することだった。
FNA細胞診とUSの平均精度は、それぞれ0.72と0.88(n=13)だった。USによる前立腺の大きさの測定値と実際の大きさは高度に一致した。
今回の結果は、前立腺疾患においてUSおよびFNA細胞診の高い診断価値を確認するものである。USを基にした診断は、高い信頼性があるが、臨床症状と組み合わせるべきである。ゆえに、前立腺素材の細胞学的評価は、鑑別あるいは仮診断の確認に実施されるかもしれない。(Sato訳)
■経皮的膀胱切石術による下部尿路結石の除去
Removal of lower urinary tract stones by percutaneous cystolithotomy: 68 cases (2012-2017).
Vet Surg. 2020 Mar 3. doi: 10.1111/vsu.13398. [Epub ahead of print]
Cruciani B, Vachon C, Dunn M.
目的:犬や猫の尿道および膀胱の結石の除去に対し、経皮的膀胱切石術(PCCL)の使用と結果を述べる
研究デザイン:回顧的ケースシリーズ
動物:68頭の飼育犬と猫
方法:2012年1月から2017年12月の間に、PCCLを行った犬と猫の記録を再調査し、分析した。シグナルメント、臨床症状、検査及び画像データ、処置時間、切石術の使用、バイオプシー、術中および手術直後の合併症、入院期間、結石組成、尿培養結果を記録した。電話あるいはemailで処置から3週間後にオーナーと連絡を取った。オーナーおよび依頼獣医師とのフォローアップの情報も記録した。
結果:59頭の犬と9頭の猫に70回の経皮的切石術を実施した。処置時間の中央値は95分(45-420分)で、切石術は3%(2/70)のPCCLで必要とした。処置中の合併症は1症例で報告があった。83%(58/70)の処置で、動物は術後24時間以内に退院した。術後3週間の間に、24%(16/68)の動物はマイナーな合併症(下部尿路症状)があり、1頭の犬はメジャーな合併症(術創裂開)が見られた。長期フォローアップで、処置後1年以上フォローした21%の症例に結石の再発が見られた(7/33)。
結論:経皮的切石術は術後の回復も早く、膀胱および尿道の結石の除去が可能で、メジャーな術中あるいは短期術後合併症がほとんどなかった。
臨床的意義:経皮的切石術は、小動物の下部尿路結石の除去に対する魅力的で最小侵襲の外科的代替法である。(Sato訳)
■猫の尿管閉塞パート1:内科管理
Feline ureteral obstructions Part 1: medical management.
J Small Anim Pract. June 2018;59(6):324-333.
DOI: 10.1111/jsap.12844
D L Clarke
猫の尿管閉塞は認識されるようになってきており、診断と管理の問題は苦労する。尿管閉塞の多くの猫は診断時に重篤で、特に対側の腎臓が機能不全の場合がそうである。様々な程度の急性腎臓傷害の程度を呈し、術中および長期管理を複雑にする心疾患などと同時罹患しているかもしれない。
静脈輸液による再水和や血管内容量の回復、浸透圧利尿、尿管の筋弛緩、感染に対する抗生物質からなる内科管理は、猫の尿管閉塞患者に重要である。
内科管理を行っても、尿管閉塞の多くの猫は圧による腎症の緩和、尿量の回復のため、閉塞した腎臓の減圧が必要となるだろう。しかし、従来の内科管理でもかなり不安定な猫もおり、閉塞の緩和と高カリウム血症や液体過負荷のような急性腎傷害による二次的な命に係わる状況に向け、より緊急の対応が必要である。
尿管閉塞に向けた外科手術と介入方法は、獣医療で述べられているが、理想のアプローチに向けて議論が続いている。(Sato訳)
■小動物の子宮蓄膿症
Pyometra in Small Animals.
Vet Clin North Am Small Anim Pract. July 2018;48(4):639-661.
DOI: 10.1016/j.cvsm.2018.03.001
Ragnvi Hagman
子宮蓄膿症は犬と猫の一般的な疾患である。ホルモンと日和見性細菌が発生の基礎にあり、プロゲステロンがカギとなる役割を持つ。
この疾患は調子の悪い未避妊のメス犬や猫で、特に発情後4か月以内には疑うべきである。エンドトキシン血症や敗血症が誘発されることもあるため、早期診断と治療が生存のチャンスを増やすのに重要である。典型的な臨床症状は、陰部からの下り物、元気消失、食欲不振、多渇多飲、発熱、消化器障害などである。外科的卵巣子宮切除が最も安全で、最も有効な治療である。あまり重症でない繁殖動物では、単に内科治療代替法が可能である。(Sato訳)
■再発性下部尿路疾患の犬の尿膜管異常の切除
Resection of urachal anomalies in dogs with recurrent lower urinary tract disease.
Vet Surg. 2019 Aug 14. doi: 10.1111/vsu.13311. [Epub ahead of print]
Visser J, Kummeling A, van Nugteren MA, Grinwis GCM, Brocks BAW.
目的:尿膜管異常の外科的切除が再発性下部尿路疾患(LUTD)と細菌性尿路感染(BUTI)の犬の結果を改善するかどうかを調べる
研究デザイン:回顧的研究
動物:尿膜管異常と再発性LUTDあるいはBUTIの犬33頭
方法:部分的膀胱切開で治療したLUTDあるいはBUTIで尿膜管異常の診断がある犬の医療記録を再調査した。組み込みに最低9か月の追跡調査を必要とした。
結果:臨床症状発現の年齢中央値は12か月齢(範囲、1か月-10歳)だった。28頭中20頭(71%)の犬で病理組織学的に尿膜管異常が検出された。追跡調査中央値22か月(範囲、9-114か月)時、28頭中21頭(64%)はLUTDの症状がなかった。9頭(27%)はLUTDの症状が減少し、3頭(9%)は臨床的改善が見られなかった。術前にBUTIが確認された25頭のうち、22頭は手術で臨床的に改善した。
結論:尿膜管異常が疑われる、あるいは確認された犬において、部分的膀胱切除は臨床症状の長期重症度と、LUTDあるいはBUTIの再発リスクを低下させた。
臨床的意義:犬のLUTDおよびBUTIの治療補助として部分的膀胱切除を考慮すべきである。(Sato訳)
■猫と犬の卵巣子宮摘出術の合併症による尿管損傷の治療と結果
Treatment and outcomes of ureter injuries due to ovariohysterectomy complications in cats and dogs.
J Small Anim Pract. 2020 Jan 20. doi: 10.1111/jsap.13100. [Epub ahead of print]
Plater BL, Lipscomb VJ.
目的:犬と猫の卵巣子宮摘出術の合併症により起こった片側および両側尿管損傷の症状、治療、結果を述べる
材料と方法:卵巣子宮摘出術の合併症から起こる尿管損傷の犬と猫の回顧的ケースシリーズ。医療記録とオーナーへの電話聞き取りにより、シグナルメント、病歴、臨床症状、臨床的病理、画像、診断、治療と結果を入手した。
結果:14頭のメス猫と5頭のメス犬が含まれた。11頭(58%)は卵巣子宮摘出術の覚醒後すぐに臨床症状を示し、6頭(32%)は臨床症状の発現の中央値が3日(範囲1-16日)、2頭(10%)は手術中に合併症が分かったため、すぐに紹介されてきた。両側尿管損傷の7頭中5頭は無尿を呈した。3頭は手術をせずに死亡あるいは安楽死された。外科的修正手術は、尿管膀胱吻合(猫8頭、犬1頭)、尿管腎切除(猫4頭、犬2頭)、皮下尿管バイパス設置(猫3頭)、尿管ステント(猫1頭)だった。手術した16頭のうち、7頭(44%)は1つ以上の追加手術を必要とするメジャーな合併症を経験し、病院から退院した。全体の結果は13頭(68%)が優良、1頭(5%)は良、1頭(5%)はまずまず、4頭(22%)は悪かった。
臨床意義:尿管損傷のカギとなる1つの指標は、卵巣子宮摘出術後に正常に回復しない動物あるいはすぐに調子が悪くなるである。無尿は、両側尿管損傷の動物で確率が高い。外科的治療後、優良の結果となる可能性がある。(Sato訳)
■垂直?水平?ボックスの外に排尿する猫の診断と治療
Vertical or Horizontal? Diagnosing and Treating Cats Who Urinate Outside
the Box.
Vet Clin North Am Small Anim Pract. May 2018;48(3):403-417.
Leticia Mattos de Souza Dantas
猫の排泄問題は、一般開業医や行動医療専門医でよくある主訴である。個体変異や多因子症例により、獣医師は正確な診断が下せないことも多い。3つの診断的系統が考慮に必要である:医療的問題、トイレの外に用を足す行動、尿マーキング。
原因にかかわらず、ほとんどの症例の治療プランは、最適なトイレの管理、猫の環境のニーズを満たす、ストレス削減、行動療法、きっかけを取り除くなどである。向精神薬による薬剤管理は、猫の総合的症状に役割を持つ慢性のストレス、恐怖、不安がある症例において必要かもしれない。(Sato訳)
■犬の尿道括約筋メカニズム機能不全
Urethral Sphincter Mechanism Incompetence in Dogs: An Update.
J Am Anim Hosp Assoc. 2018 Jan/Feb;54(1):22-29.
Rory Applegate , Shelly Olin , Bethany Sabatino
犬の尿道括約筋メカニズム機能不全(USMI)は、一般的な後天性尿失禁の原因である。
USMIの病因は、多因子で複雑である。USMIの発生に対し、不妊の影響やタイミングに関して不定な結果が研究で示されている。
USMIの診断は、病歴、身体検査、他の鑑別疾患の除外で行われることが多い。
USMIの治療オプションは、α-アドレナリン作動薬やエストロゲン製剤のような薬物療法、最小侵襲の尿道バルキング処置、外科的処置(例えば、尿道occludersの留置)、あるいはそれらの併用療法がある。USMIの全体的な予後は、長期療法で一般にfairからgoodである。(Sato訳)
■犬と猫の尿検査の正確性の評価
Evaluation of the accuracy of urine analyzers in dogs and cats.
J Vet Med Sci. 2019 Oct 11. doi: 10.1292/jvms.18-0468. [Epub ahead of print]
Mie K, Hayashi A, Nishida H, Okamoto M, Yasuda K, Nakata M, Fukatsu K, Matsunami N, Yamashita S, Ohashi F, Akiyoshi H.
犬猫の尿検査の精度ははっきりしていない。
この研究は、動物用とヒト用で販売されている2つの機器による尿検査の結果、定量的生化学検査の結果の一致度を調べた。
犬と猫の同カテゴリーにおけるビリルビンとケトンに対する一致の程度は-80%だったが、pHに関しては-60%しかなかった。タンパク質とUP/C比に対する一致の程度は、動物とヒトの機器で明らかに差があった。
尿検査機器を用いたビリルビンとケトンの値は信頼できると思われたが、pHは犬と猫の臨床で使用するには十分な精度がない可能性が高いことが分かった。(Sato訳)
■アメリカの犬のシュウ酸カルシウム結石の疫学評価
Epidemiologic evaluation of calcium oxalate urolithiasis in dogs in the United States: 2010-2015.
J Vet Intern Med. 2019 Aug 30. doi: 10.1111/jvim.15613. [Epub ahead of print]
Hunprasit V, Schreiner PJ, Bender JB, Lulich JP.
背景:シュウ酸カルシウム(CaOx)尿石の早い段階での認識による健康面での利点は、非外科的除去、尿石の成長を最小限にするための早期食餌修正、尿閉塞になる前の早期除去、次に来る病的状態になる前の遺伝および代謝疾患の早期認識に対する機会を増加させる。
目的:CaOx尿石に対する高リスクおよび低リスク犬種の判定と、CaOx尿石の発生に対する年齢および性別の関係を判定する。
動物:2010年から2015年の間のCaOx尿石提出物
方法:複数の比較群と症例を比較することで、CaOx尿石に対する高リスクおよび低リスク犬種を確認するための比較横断研究を行った。全ての比較群を通し、オッズ比が有意(P値<0.05)な場合リスク犬種を確認した。
結果:258898の尿石提出物のうち、124285がCaOxだった。CaOxは212犬種で確認された。20犬種は高リスク犬種と確認し、14犬種は低リスク犬種と確認した。全ての高リスク犬種は小型犬種で、全ての低リスク犬種は中から大型犬種だった。全体で、最初のCaOx尿石の平均年齢±標準偏差は8.4±2.8歳だった。
結論と臨床的重要性:前臨床評価の健康への利点を達成するため、CaOx尿石のに対する高リスク犬種は、臨床的尿石症の発生が高まる2,3年前の5-6歳でスクリーニングすべきである。(Sato訳)
■103頭の健康犬の朝一番の尿比重の変動
Variability of first morning urine specific gravity in 103 healthy dogs.
J Vet Intern Med. 2019 Aug 19. doi: 10.1111/jvim.15592. [Epub ahead of print]
Rudinsky A, Cortright C, Purcell S, Cordner A, Lord L, Wellman M, DiBartola S, Chew D.
背景:尿比重(USG)は尿検査に不可欠で、多くの臨床的決断のカギとなり、USGの変動は、症例管理に影響する可能性がある。
目的:健康犬における朝の最初のUSGの個体内変動を調べる
動物:103頭の健康な飼育犬
方法:犬は臨床的病歴と身体検査所見を基に健康と考えた。反復USG測定は、2週間のコースで実施した。1頭につき、各週で尿3サンプル、合計6サンプルを採取した。サンプル採取はその週で均等に配分した。尿サンプルは起きてすぐに、水分、食餌、身体的活動をする前に採取した。全ての測定は、同じMiscoデジタル屈折計で行った。
結果:個体内USGは研究期間中に変動しやすかった。各犬の最小と最大USGの平均差は0.015(SD、0.007)だった。全2週間の研究で、最小と最大USGの週内差は、少なかった(1週目0.009(SD
0.006)と2週目0.010(SD 0.007))。全6タイムポイントにわたる平均変異係数は15.4%(SD 8.97%)だった。
結論と臨床的重要性:健康な犬のUSGで臨床的に重要な変動が発生し、診断的カットオフポイントを利用するとき、臨床的治療決定に影響するかもしれない。臨床医は、結果を解析するときにこの変動しやすさについて、固有の変動を知っておくべきである。(Sato訳)
■猫尿管閉塞の内科管理
Feline ureteral obstructions Part 1: medical management
D. L. Clarke
Journal of Small Animal Practice (2018) 59, 324–333 DOI: 10.1111/jsap.12844
猫の尿管閉塞は理解が高まり診断と管理の問題が山積している。多くは診断時には重篤で、反対腎の機能不全があるときにはさらに困難である。急性腎不全や電解質異常の程度は様々であり、併発症として心臓異常などは周術期管理や長期管理を複雑にする。内科管理として脱水補正、補液による血液量の回復、浸透圧利尿、尿管筋弛緩、感染のための抗菌剤が重要である。内科管理にも関わらず尿管閉塞猫では尿流を再開させるために閉塞腎の減圧を必要とすることが多い。しかしながら、従来の内科管理では安定しないこともあり閉塞解除のための緊急的処置が必要で、高カリウムや過剰輸液のような急性腎不全という命の危険を伴う。外科およびインターベンションによる尿管閉塞解除が行われているが理想的な治療法については探求が続けられている。(Dr.Maru訳)
■尿道閉塞の犬に対するピッグテール膀胱瘻造設チューブの超音波ガイドによる設置
Ultrasound-guided placement of pigtail cystostomy tubes in dogs with urethral obstruction.
J Vet Emerg Crit Care (San Antonio). 2019 Apr 17. doi: 10.1111/vec.12832. [Epub ahead of print]
Culler CA, Fick M, Vigani A.
背景:尿道閉塞の犬で、逆行性尿道カテーテルが通らない、あるいは外科医が不在のような状況は、即座の救助の妨げとなるかもしれない。そのような状況で、さらに治療が可能になるまで尿の迂回を可能にするため、超音波ガイダンスで膀胱瘻造設チューブを設置すると思われる。
鍵となる所見:陰茎骨のレベルで閉塞性尿石がある5歳のオスの去勢済みスイス・マウンテンドッグの症例をこのテクニックを述べるのに使用する。鎮静下で尿道カテーテルを通す複数の試みは失敗した。尿の迂回を可能にするため、ピッグテール膀胱瘻造設チューブを、超音波ガイド下で設置した。その犬は陰嚢尿道造瘻術後2日以内に退院し、完全に回復した。ピッグテール膀胱瘻造設チューブの超音波ガイドによる設置は簡単で、合併症もない。
意義:ピッグテール膀胱瘻造設チューブの超音波ガイドによる設置は、技術的に難しくなく、素早く実施でき、全身麻酔も必要ないかもしれず、有益と思われる。また、超音波は容易に利用可能で、あまり経験のない超音波操作者でも簡単に膀胱を描出できる。
この報告は、緊急尿路変更が必要な犬に対し、ピッグテール膀胱瘻造設チューブの超音波ガイドによる設置の詳細なテクニックを提供するものである。(Sato訳)
■猫の会陰尿道造瘻術:過去と現在の文献の検討
Feline Perineal Urethrostomy: A Review of Past and Present Literature.
Top Companion Anim Med. September 2018;33(3):77-82.
DOI: 10.1053/j.tcam.2018.07.002
Alicia K Nye , Jill K Luther
尿道閉塞は死に至る可能性のある状況で、閉塞を繰り返す症例や、治療が難しい原因が確認されている症例では原因療法として尿道造瘻術が行われるかもしれない。
会陰尿道造瘻術は、より広い骨盤尿道を会陰皮膚に吻合し、永久的な瘻を外科的に作成する。閉塞の根本的原因の診断、適切な術中処置、解剖学的理解、手術方法はこの処置の成功に欠かせないものである。
このレビューは、それらの症例の管理において決断に役立つ予測される予後、一般的な合併症、それらの状況に重点を置くつもりである。(Sato訳)
■去勢したオス猫の尿道閉塞とボディコンディションスコアの増加、体重、年齢、猫種との関係
Associations between increased body condition score, bodyweight, age and breed with urethral obstruction in male castrated cats.
Vet J. 2019 Feb;244:7-12. doi: 10.1016/j.tvjl.2018.11.018. Epub 2018 Dec 6.
Jukes A, Lui M, Morton JM, Marshall R, Yeow N, Gunew M.
オス猫の尿道閉塞に対する潜在的リスクファクターを確認することは、病気の予防に役立つと思われる。
この研究の目的は、品種、血統、年齢、体重とボディコンディションスコア(BCS)は、一次診療集団の去勢したオス猫の尿道閉塞のリスクファクターかどうかを調査することだった。
この中で、より重い体重によりボディコンディションが超過した結果、オス猫の尿道閉塞の割合が増すかどうかが特別な疑問だった。
回顧的病院ベースのマッチさせた症例対照研究を、オーストラリア、ブリスベンの猫専門一次診療動物病院に来院した猫で、去勢したオスの尿道閉塞の猫195頭と、診察を受けたコントロール猫195頭で実施した。
尿道閉塞の発生率は、体重で有意に変化しなかったが、BCSで増加した(発生率比1.6;95%CI、1.2-2.1;P<0.001)。BCSの影響はより重い体重の高いBCSの猫によるものではなかった。バーミーズはイエネコ短毛種に比べ発生率は低く(発生率比0.1;95%CI、0.0-0.4;P=0.001)、血統猫に比べ、非血統猫はより高かった(発生率比2.8;95%CI、1.7-4.6;P<0.001)。発生率比は2-4歳で増加し(もっとも発生率が高い年齢)、その後、年を取るごとに次第に低下した。
なぜ、尿道閉塞の割合とBCSとの間に正の関連があるのか明確にするための追加研究が必要である。暫定的に、臨床医は去勢したオス猫の飼育者にBCSが高くならないよう指導すべきである。(Sato訳)
■前立腺肥大の犬の臨床症状および体積に対する酢酸オサテロンの効果
The effects of osaterone acetate on clinical signs and prostate volume in dogs with benign prostatic hyperplasia.
Pol J Vet Sci. 2018 Dec;21(4):559-566. doi: 10.24425/pjvs.2018.125601.
Socha P, Zdu?czyk S, Tobolski D, Janowski T.
犬の良性前立腺肥大(BPH)の治療において、酢酸オサテロン(OSA)の治療効果を評価するため、臨床試験を実施した。
BPHの犬23頭に、7日間1日1回、0.25mg/kgの酢酸オサテロン(Ypozane, Virbac)を経口投与した。28日の試験中、臨床症状と前立腺体積を5回モニターした。
OSAの投与により、臨床スコアは7日目に73.2%、28日目に5.9%と急速に低下させた(P<0.05)。酢酸オサテロンで28日目に約83.0%の犬が、完全な臨床的寛解をもたらせた。前立腺体積は、投与後2週間で投与前の体積の64.3%(P<0.05)、試験終了時に54.7%(P<0.05)縮小した。
まとめとして、酢酸オサテロンは前立腺肥大の犬の臨床症状と前立腺の体積を速やかに減らした。(Sato訳)
■猫特発性膀胱炎への理解
Understanding feline idiopathic cystitis.
Vet Rec. 2018 Apr 28;182(17):486. doi: 10.1136/vr.k1848.
Sparkes A.
猫特発性膀胱炎に関する理解は依然として貧弱であり、病因が解明されるまで効果的な治療戦略を見出すことは困難であろう。これまでのデータや経験は不十分であるかもしれないが、長期管理として環境変更によるストレス軽減、尿を希釈させるための飲水量増加と高品質な食事がなされている。また研究は少ないが合成フェイシャルホルモンの使用とその評価が必要である。猫特発性膀胱炎の臨床症状があるときには痛みがあり鎮痛処置(オピオイドや非ステロイド系抗炎症剤)をその間使用するべきである。最後に、コントロールのない一つの研究からではあるが、難治性症例では長期にわたるアミトリプチリン療法は合理的であろう。(Dr.Maru訳)
■マイクロサージェリー教育ツールとしての猫尿管閉塞モデルの検証
Validation of a model of feline ureteral obstruction as a tool for teaching microsurgery to veterinary surgeons
Vet Surg. 2018 Apr;47(3):357-366. doi: 10.1111/vsu.12769. Epub 2018 Jan 30.
Phillips H, Ellison GW, Mathews KG, Aronson LR, Schmiedt CW, Robello G, Selmic LE, Gregory CR.
目的:尿管のマイクロサージェリーを教えるツールとしての猫尿管閉塞モデルのための内容と正当性を評価すること。
デザイン:前向き、実験研究
サンプル集団:7人の専門家と11人の初心者
方法:ラテックスゴム製内径0.8mm外径5mmからモデルが作られた。「尿管」は内容物、薄壁、軟性の周囲脂肪層に似せた外層からなる。直径0.8-1.2mmの「尿管腔」に鈍端カニューレにより内容物を入れた。標準的な尿管切開は専門家7人と初心者11人で行なわれた。両群は主観およびLikertスケールを用いてモデルの内容と妥当性について評価した。信頼性はCronbachのα(α>=0.7)で評価した。各質問の回答は非パラメトリックで独立しグループ間で比較した。P<0.05で有意とした。
結果:専門家と初心者の内容はそれぞれ0.7と0.9で、正当性は0.7と0.8であった。モデルは非常に素晴らしい内容と正当性であった。
結論とインパクト:このモデルは専門家と初心者とも肯定的な評価であり尿管のマイクロサージェリーのモデルとして推奨される。客観的尺度を用いることで要素と正当性を検証するために精査する必要がある。(Dr.Maru訳)
■イングランドの一次動物病院のオス犬における尿失禁:有病率とリスクファクター
Urinary incontinence in male dogs under primary veterinary care in England: prevalence and risk factors.
J Small Anim Pract. 2018 Nov 1. doi: 10.1111/jsap.12951. [Epub ahead of print]
Hall JL, Owen L, Riddell A, Church DB, Brodbelt DC, O'Neill DG.
目的:オス犬の尿失禁に対し、有病率と確認できた個体群統計学的リスクファクターを評価する
方法:2009年9月1日から2013年7月7日までのVetCompass database内の全ての犬を研究集団とした。電子患者記録から尿失禁症例を検索した;個体群統計と臨床情報を抽出し、分析した。
結果:イングランドの119の病院が担当する109428頭のオス犬のうち、推定1027頭が尿失禁と診断され、有病率は0.94%だった(95%CI:0.88-1.00)。尿失禁のオス犬で最も高い比率を示した犬種(雑種犬と比べ)は、ブル・マスチフ(オッズ比:17.21、95%CI:6.65-44.56、case=5、non-case=314、P<0.001)、アイリッシュ・レッド・セッター(オッズ比:12.79、95%CI:4.83-33.84、case=5、non-case=142、P<0.001)、フォックス・テリア(オッズ比:9.60、95%CI:3.68-25.05、case=5、non-case=176、P<0.001)、ブルドッグ(オッズ比:5.72、95%CI:2.24-14.59、case=5、non-case=929、P<0.001)、ボクサー(オッズ比:3.65、95%CI:1.84-7.25、case=10、non-case=1470、P<0.001)だった。
尿失禁のオッズの増加は、加齢(9-12歳、オッズ比:10.46、95%CI:6.59-16.62、n=12348、P<0.001)と保険に加入していること(オッズ比:1.96、95%CI:1.53-2.51、n=26202、P<0.001)に関係した。多変量解析で去勢手術や体重と関係はなかった。
臨床意義:オス犬の尿失禁の全体の有病率は約1%で、この問題を述べた希少な報告の見込みよりも高いかもしれない。メス犬と対称的に、不妊手術や体重は尿失禁のオッズ増加と関係せず、これは不妊のアドバイスを与える時に重要である。(Sato訳)
■イングランドの一次動物病院のメス犬における尿失禁:有病率とリスクファクター
Urinary incontinence in bitches under primary veterinary care in England: prevalence and risk factors.
J Small Anim Pract. September 2017;0(0):.
D G O'Neill , A Riddell , D B Church , L Owen , D C Brodbelt , J L Hall
目的:イングランドで一次動物診療のメス犬における尿失禁の有病率と個体群統計学的リスクファクターを評価する。
方法:2009年9月1日から2013年7月7日までのVetCompassデータベース内の全てのメス犬を研究集団とした。電子患者記録を検索し、尿失禁症例と追加の個体群統計および臨床情報を抽出した。
結果:イングランドの119の病院が担当する100397頭のメス犬のうち、推定3108頭が尿失禁と診断された。尿失禁の有病率は3.14%(95%信頼区間:2.97-3.33)だった。内科療法が45.6%の症例で行われた。多く見られた犬種はアイリッシュセッター(オッズ比:8.09;95%信頼区間:3.15-20.80;P<0.001)とドーベルマン(オッズ比:7.98;95%信頼区間:4.38-14.54;P<0.001)だった。尿失禁の診断のオッズの増加は(1)その犬種に対する平均成犬体重以上の体重(オッズ比:1.31;95%信頼区間:1.12-1.54;P<0.001)、(2)9歳から12歳(オッズ比:3.86;95%信頼区間:2.86-5.20、P<0.001)、(3)不妊状況(オッズ比:2.23;95%信頼区間:1.52-3.25、P<0.001)、(4)保険に加入している(オッズ比:1.59;95%信頼区間:1.34-1.88、P<0.001)に関係した。
臨床への影響:臨床的影響:尿失禁はメス犬全体のちょうど3%以上に見られるが、アイリッシュセッター、ドーベルマン、ボーダーコリー、ラフコリー、ダルメシアンなどのハイリスク犬種においては15%以上のメス犬が罹患する。それらの結果は、特にハイリスクにおける不妊と体重管理に対する臨床的推奨を強化するため、臨床医に対するエビデンスベースを提供する。(Sato訳)
■腹尿症の犬の予後:43症例(2006-2015)
Outcomes in dogs with uroabdomen: 43 cases (2006-2015).
J Am Vet Med Assoc. January 2018;252(1):92-97.
Janet A Grimes, Jon M Fletcher, Chad W Schmiedt
目的:腹尿の犬の割合と生存して退院する関連因子を検討する
計画:回顧的ケースシリーズ
動物:2006年から2015年にかけて2か所の獣医教育病院で確認された腹尿の犬43頭
方法:医療記録を再調査し、尿路破裂の原因と部位、入院時の血清クレアチニン濃度と他の変数、結果に関するデータを入手した。生存して退院することと関係する変数を調べた。
結果:尿路破裂は、膀胱(n=24(56%))、尿道(11(26%))、腎臓(2(5%))、尿管(1(2%))、膀胱と腎臓(1(2%))、分からない場所(4(9%))で発生した。原因は外傷性(20(47%))、閉塞性(9(21%))、医原性(7(16%))、不明(7(16%))だった。37頭(86%)で手術を行った;それらの犬のうち34頭(92%)は欠損を確認し、外科的に修復した。術中の合併症で多かったものは低血圧だった。19頭の犬は術後合併症を記録した情報があり、そのうち10頭(53%)の合併症で多かったものは死亡(n=3)、regurgitation(3)だった。34頭(79%)は生存して退院した。術中あるいは術後合併症があった犬は、合併症がなかった犬よりも生存する確率が有意に低かった。入院時の血清クレアチニン濃度は、生存して退院することと関係なかった。
結論と臨床関連:腹尿の犬で生存して退院する比率は高かった。死亡に対する術前のリスクファクターは確認されなかった。腹尿の犬の飼育者には治療を勧めるべきである。(Sato訳)
■犬の尿道括約筋の不調和
Urethral Sphincter Mechanism Incompetence in Dogs: An Update
(J Am Anim Hosp Assoc 2018; 54:22?29. DOI 10.5326/JAAHA-MS-6524)
Rory Applegate, DVM, Shelly Olin, DVM, DACVIM (SAIM), Bethany Sabatino, DVM, DACVIM (SAIM)
尿道括約筋機能不全は犬の後天性失禁で最も一般的な原因である。その発生機序は多因子性で複雑である。その発生率に対する避妊手術のタイミングと効果については様々な結果が示されている。尿道括約筋機能不全の診断はヒストリー、身体検査、除外診断によりなされる。治療オプションとしてはαアドレナリン作動薬とエストロゲン製剤などの内科治療、低侵襲尿道処置、外科手術(尿道圧迫物質留置)がある。予後は長期療法により良好である。(Dr.Maru訳)
■単純性下部尿路感染の犬においてエンロフロキサシン複数回投与に対するセフトリアキソン1回投与の効果:無作為臨床試験
Efficacy of single-dose ceftriaxone versus multiple-dose enrofloxacin in dogs with uncomplicated lower urinary tract infection: a randomised clinical trial
Vet Med (Praha). March 2017;62(3):125-130. 27 Refs
E C Colakoglu , A E Haydardedeoglu, H Alihosseini, A Hayirli
単純な下部尿路疾患(lower urinary tract infection:LUTI)は、通常適切な抗生物質を10-14日間投与して治療する。ヒトでは、単純性LUTIの治療でセフトリアキソンの1回投与を使用する。
この研究の目的は、単純性LUTIの犬において、セフトリアキソンの1回投与とエンロフロキサシンの複数投与(14日)の効果を比較することだった。
LUTIの症状がある47頭の妊娠していない飼育犬で、この前向き対照無作為化盲検臨床試験を行った。組み入れ基準は、各尿サンプル内に1000CFU/ml以上の1種類以上の細菌が存在することだった。
犬を無作為にENR群23頭(エンロフロキサシン投与5mg/kg、s.c.、s.i.d.、14日間)とCEF群20頭(セフトリアキソン投与25mg/kg、i.v.、1回)に無作為に振り分けた。
臨床症状が無くなるまでに必要とした期間はENR群で4-9日、CEF群で1-5日の範囲だった。臨床症状はENR群よりCEF群で有意に早く改善した(P<0.0001)。1000CFU/ml以下の尿培養結果が、全ての犬において治療初日から17-21日後に達成された。
セフトリアキソンの1回投与は、犬の単純性LUTIの症状を軽減する代替え治療として考慮できるが、最後の頼みの薬剤としてそのステータスは、臨床で広範囲の使用に対する限定要因である。(Sato訳)
■犬と猫の尿石の最小侵襲治療
Minimally Invasive Management of Uroliths in Cats and Dogs.
Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2018 Sep;48(5):875-889. doi: 10.1016/j.cvsm.2018.05.008.
Cleroux A.
尿石症は猫と犬に良く見られる。The American College of Veterinary Internal
Medicineは、有病率および死亡率を制限した予防戦略の重視とともに、最小侵襲処置を優先する現代の技術を反映した尿石の治療に対するガイドラインを確立した。
体外ショックウェーブ結石破砕術、内視鏡腎結石摘出術は、上部尿管結石に利用できる最小侵襲の治療様式の例である。膀胱鏡ガイド下のバスケット回収、膀胱鏡ガイド下レーザー結石破砕および経皮膀胱結石摘出は下部尿路結石の最小侵襲管理オプションである。
結石除去に続き、予防戦略は結石再発に関連する有病率や死亡率を減らす補助として重要である。(Sato訳)
■犬の尿の色と尿比重の関係:尿の色は濃縮能の確認に使えるか? フルテキスト
Correlation between urine color and urine specific gravity in dogs: Can urine color be used to identify concentrated urine?
Language: English
Can Vet J. February 2018;59(2):178-180.
Harry Cridge , Robert W Wills , Patty Lathan
この回顧的-前向き研究は、犬の尿の色(UC)と尿比重(USG)の相関を評価した。尿の色はUSGと正の相関を示したが、その関連がUCチャートの使用で有意に改善することはなかった。USGの指標として尿の色は、濃い黄色のサンプルの20%がUSG<1.030だったため、限られている。(Sato訳)
■犬の尿管閉塞に対するステント設置:44頭(2010-2013)
Outcome of ureteral stent placement for treatment of benign ureteral obstruction in dogs: 44 cases (2010?2013)
J Am Vet Med Assoc. 2018 Mar 15;252(6):721-731. doi: 10.2460/javma.252.6.721.
Philippa R. Pavia, Allyson C. Berent, Chick W. Weisse, Dana Neiman, Kenneth Lamb, Demetrius Bagley
目的:犬良性尿管閉塞に対してダブルピッグテールステント設置テクニックと短期、長期予後を述べること
デザイン:回顧的調査
動物:44頭(57ステント)
方法:2010年から2013年の間に良性尿管閉塞でステント設置をした犬について調査した。項目はシグナルメント、ヒストリー、画像診断結果、内視鏡および術後の詳細、入院期間、合併症、結果(短期7-30日、長期30日より後)である。尿管ステントは透視下で内視鏡的、外科的もしくは両者の併用により実施した。
結果:57尿管(44頭)で実施し、内訳は尿管結石(48 [84%])、狭窄(5 [9%])、その両者(4
[7%])であった。内視鏡もしくは外科的に成功したものはそれぞれ55のうち45、12のうち12(34頭/42頭、10頭/10頭)であった。入院期間中央値は1日、クレアチニン濃度は術前が2mg/dLで3ヶ月後が1.3mg/dLであった。尿路感染は術前が44のうち26(59%)で術後が43のうち11(26%)であった。44頭中1頭(2%)はステント設置中に死亡したが原因は設置術とは関係なかった。フォローアップ中央値は1,158日(幅3-1,555日)で44頭中30頭は最後のフォロー時に生存していた。
結論:犬良性尿管閉塞に対してステント設置は第一選択として価値があることが示唆された。しかしながらステント後の感染はモニターすべきである。(Dr.Maru訳)
■27頭の犬の気腫性膀胱炎に関係する臨床病理および微生物学的所見
Clinicopathologic and Microbiologic Findings Associated with Emphysematous Cystitis in 27 Dogs.
Language: English
J Am Anim Hosp Assoc. 2017 Nov/Dec;53(6):313-320.
Lindsay Kate Merkel , Jody Lulich , David Polzin , Christopher Ober , Jodi Westropp , Jane Sykes
これは気腫性膀胱炎の犬27頭の回顧的ケースシリーズである。1992年から2014年の間で2か所の獣医教育病院の医療記録を調査した。
この研究の目的は、気腫性膀胱炎の犬の画像所見、一般的な基礎疾患プロセス、細菌種の普及率、それらの抗生物質感受性パターンを判定した。
一般的な下部尿路症状は血尿だった。27頭中14頭(51.9%)において膀胱腔と壁に気体が検出され、9頭(33%)は膀胱壁のみ、4頭(14.8%)は膀胱腔のみだった。1症例を除き、全症例に同時併発疾患が確認された。最も一般的な併発疾患プロセスは、真性糖尿病が33%、神経疾患が26%、副腎疾患が19%の犬だった。分離菌はE.coli、エンテロコッカス属、クレブシエラpneumoniae、プロテウスmirabilis、ストレプトコッカス属、アクチノマイセス属、エンテロコッカス属はガス産生菌属と混合感染で常時分離された。
研究期間中、多くの分離菌はβ-ラクタムの薬剤の感受性が予想されたが、最新の獣医の区切り点では、経験的治療でフルオロキノロンあるいはトリメトプリム-スルファメトキサゾールがより適した選択だろうと示唆している。(Sato訳)
■犬の異所性尿管の外科的治療:臨床結果と長期排尿自制に対する予後因子
Surgical management of ectopic ureters in dogs: Clinical outcome and prognostic factors for long-term continence.
Language: English
Vet Surg. July 2017;46(5):631-641.
Stephanie M Noel , Stephanie Claeys , Annick J Hamaide
目的:異所性尿管(ectopic ureters:EU)の外科的矯正後の結果を判定することと、長期排尿自制に対する予後因子を確認すること
研究計画:回顧的研究
動物:47頭の犬(メス36頭、オス11頭)
方法:EUの外科的矯正を行った犬の医療記録(1999-2016)を再調査した。自制スコア(1=失禁、2=散発的失禁、3=自制)を術前、退院時、術後1か月、長期評価時につけた。
結果:28頭の犬は片側性で、19頭の犬は両側性EUだった(57は壁内、9は壁外)。19頭は骨盤内膀胱だった。切開での新尿管造瘻(n=50)、尿管膀胱吻合(n=9)、腎尿管切除(n=7)を実施した。33頭の犬は不妊した:32頭は手術前か手術中、1頭は手術後。15頭は外科的矯正中に腟断端固定を実施した。補助的内科治療は、術後の自制スコアを改善させた。自制スコアの中央値は術前(1)に比べ、退院時(3)、術後1か月(3)、長期評価時(3)で大きかった。長期評価(平均46.1ヶ月)時、スコア1は19%、スコア2は7%、スコア3は74%の犬に観察された。
結論:全体的に、良(スコア2)から優良(スコア3)の長期結果が81%の犬で達成できた。この犬の集団で長期排尿自制は、内科治療で改善し、不妊は失禁の再発のリスク増加に関係しなかった。(Sato訳)
■オス犬の尿失禁に対するテストステロンシピオネートに関する臨床反応と副作用
Clinical Response and Side Effects Associated with Testosterone Cypionate for Urinary Incontinence in Male Dogs.
Language: English
J Am Anim Hosp Assoc. 2017 Sep/Oct;53(5):285-290.
Jean-Sebastien Palerme , Allison Mazepa , Rae G Hutchins , Vincent Ziglioli , Shelly L Vaden
尿道括約筋メカニズム機能不全(urethral sphincter mechanism incompetence:USMI)の報告はメス犬に比べてオス犬で非常にまれである。オスのUSMIの管理において薬剤治療の効果を評価する既存の報告はあまりなく、限られた成功例しか示されていない。
このケースシリーズにおいて、著者らはUSMIのオス犬8頭において、テストステロンシピオネートを用量中央値1.5mg/kgで4週間ごとの筋肉内注射を行い、効果を報告する。反応は飼育者への電話による聞き取りと医療記録の再検討で評価した。
飼育者の評価を基に、良から優良の評価は8頭中3頭(38%)、わずかに反応と報告したのは8頭中1頭(12%)、反応不良は8頭中4頭(50%)で報告された。副作用は報告されず、2症例において利益が治療継続に十分だと判断した。
このケースシリーズで報告された結果は、USMIのオス犬においてテストステロンシピオネートが有効で安全な治療オプションかもしれないと示唆される。(Sato訳)
■肉眼で確認できる血尿の犬の評価:162症例の回顧的研究(2003-2010)
Evaluation of dogs with macroscopic haematuria: a retrospective study of 162 cases (2003-2010).
Language: English
N Z Vet J. July 2017;65(4):204-208.
K K Adamama-Moraitou , D Pardali , N N Prassinos , G Menexes , M N Patsikas , T S Rallis
目的:2003-2010年に小動物病院を肉眼で見える血尿で訪れた犬の臨床特徴を回顧的に述べることと、入院時の犬のシグナルメントと血尿の程度、持続期間は特定病因と関係するのかどうかを調査する
方法:2003年1月から2010年12月までにギリシャ、テッサロニキの大学小動物病院を受診した肉眼でわかる血尿の犬162頭の医療記録を評価した。組み入れ基準は顕微鏡で検査した時の異常な数の赤血球の尿沈渣の変色だった。医療記録から集めたデータはシグナルメント、血尿の程度、頻度、持続期間と診断だった。
結果:2007年1月から2010年12月の間に8893頭の犬が病院を受診した;そのうち99頭(1.1%)は血尿を認めた。血尿の記録のある162頭のうち、80頭(49.4%)は年齢が5.1-10歳で、急性(96/162;59.3%)、コンスタント(99/162;61.1%)、軽度/中程度(150/162;92.6%)血尿だった。診断が記録されていた147頭のうち、最も一般的な診断は、尿路感染(UTI、42/147;28.6%)、尿石症(38/147;25.9%)、前立腺疾患(25/147;17.0%)、泌尿器腫瘍(13/147;8.8%)だった。UTIの有病率はオス(20/91;22%)よりメス(22/56;39%)で高く、小型犬(6/40;15%)よりも中型犬(22/52;42%)で高かった。尿石症は小型犬(21/40;52.5%)で最も有病率が高く、尿石症の全ての犬は、軽度/中程度の血尿を呈した。前立腺疾患の有病率は大型犬(11/46;24%)および超大型犬(3/9;33%)、10歳以上の犬(8/30;27%)で高かった。
結論と臨床関連:1か所の小動物病院によるこの回顧的研究で、UTI、尿石症、前立腺疾患、泌尿器腫瘍が犬の血尿の原因で優勢を占めた。犬の性別、年齢、大きさと血尿の特徴を考慮することは、鑑別診断のリスト作成に有用なパラメーターだと分かった。(Sato訳)
■老齢猫の潜在性細菌尿とそれと生存性の関係
Subclinical Bacteriuria in Older Cats and its Association with Survival.
Language: English
J Vet Intern Med. 2016 Nov-Dec;30(6):1824-1829.
J D White , N J Cave , A Grinberg , D G Thomas , C Heuer
背景:一般に猫の細菌性尿路感染はあまり多くないが、併存症のある老猫の有病率は29%に増加する(Veterinary Clinical Pathology 2008, 37, 317; Journal of Feline Medicine & Surgery 2007, 9, 124; Veterinary Microbiology 2009, 136, 130)。感染は潜在性のことも多い。潜在性細菌尿(SB)の臨床的関連は不明で、浄化には最適な治療を必要とする。
目的:前向き観察研究:(1)老猫(7歳以上)の非高窒素血症の猫においてSBの有病率と発生数を確認する、(2)SBに対する特定のリスクファクターを評価する、(3)無治療のSBと生存性の潜在的関連を調査する。
動物:3年で5回検査した67頭の非高窒素血症の猫
方法:定量尿培養のために膀胱穿刺で採尿し、血清クレアチニン濃度測定のため採血した。SBがある場合治療しなかった。血清クレアチニン濃度、体重、尿比重、性別、年齢を尿培養陽性に対する潜在的リスクファクターとして評価した。尿培養結果と生存性の関連をCox's比例ハザードモデルで評価した。
結果:合計256の尿サンプルを得た。SBの有病率は10-13%の間で、付随感染はまれだった。オス猫と比べてメス猫は21倍尿培養陽性になる確率が高かった(オッズ比、21.2;信頼区間、4.1-110;P=0.00028)。潜在性細菌尿は生存性と有意に関係しなかった。
結論と臨床的重要性:非高窒素血症の老齢猫の潜在性細菌尿は一般的である。抗菌療法は控えたが、SBの存在は生存性に不利に関係しなかった。(Sato訳)
■閉塞性猫特発性膀胱炎の猫におけるペントサンポリ硫酸ナトリウムの膀胱内投与の効果
Efficacy of intravesical pentosan polysulfate sodium in cats with obstructive feline idiopathic cystitis.
Language: English
J Feline Med Surg. June 2016;18(6):492-500.
Mareike Delille , Laura Frohlich , Ralf S Muller , Katrin Hartmann , Roswitha Dorsch
目的:閉塞性の猫特発性膀胱炎は、小動物診療でよくある緊急疾患である。罹患犬の膀胱内に欠陥のあるグリコサミノグリカン層のエビデンスがある。この無作為化プラセボ-コントロール盲検臨床研究の目的は、閉塞性特発性膀胱炎の猫におけるペントサンポリ硫酸ナトリウム(PPS)の膀胱内投与の効果を調査することだった。
方法:閉塞性特発性膀胱炎の猫35頭を研究に組み入れた。0日目の尿カテーテルを留置した時、24時間後、48時間後に無作為に30mgPPS入り生食(18頭)かプラセボとして生食単独(17頭)を猫に膀胱内投与した。無菌尿収集システムに接続する前、投与後30分はカテーテルをクランプした。この方法を24時間後と48時間後に繰り返し、その後留置カテーテルを外した。治療の成功は、再発性尿道閉塞の発生、身体検査のスコアリングシステムの結果、0-5日の日々の尿検査を通して評価した。
結果:再発性尿道閉塞は処置群の18頭中3頭、プラセボ群の17頭中3頭に発生した(P=1.000)。処置群は5日と0日の間の顕微鏡下の血尿の程度は有意に低かった(P≦0.05)。プラセボ群は5日と0日の間の尿試験紙の血尿の程度は有意に低かった(P≦0.05)。調査した期間内で群間に臨床スコアの違いはなかった。
結論と関連性:選択した用量で48時間以内に3回のPPSの膀胱内注入は、閉塞性特発性膀胱炎の猫の再発性尿道閉塞の発生および臨床症状に影響しなかった。(Sato訳)
■腟への草のノギの迷入による尿道腟フィステルの画像診断
IMAGING DIAGNOSIS-URETHROVAGINAL FISTULA CAUSED BY A MIGRATING GRASS AWN IN THE VAGINA.
Vet Radiol Ultrasound. 2016 May-Jun;57(3):E30-3.
Amalia Agut , Juana D Carrillo , Agustina Anson , Eliseo Belda , Marta Soler
1頭の若いメス犬が尿失禁を呈した。腹部超音波検査で腟頭側内に高エコーの線状構造物の存在を認め、異物が示唆された。逆行性腟尿道造影
CT検査で尿道と腟の瘻管を認めた。異物の迷入による尿道腟フィステルの仮診断がなされた。
草のノギは腟鏡ガイドにより除去した。14日後にフィステルの外科的修復と卵巣子宮摘出術が行われた。
この報告は、尿生殖路フィステルの診断と正確な解剖学的位置を知るため、CTの有効性を強調する。(Sato訳)
■ノルウェーの猫で特発性膀胱炎のリスクファクター:対症例対照研究
Risk factors for idiopathic cystitis in Norwegian cats: a matched case-control study.
Language: English
J Feline Med Surg. June 2016;18(6):483-91.
Heidi S Lund, Bente K Saevik , Oystein W Finstad , Elin T Grontvedt , Terese Vatne , Anna V Eggertsdottir
目的:この研究の目的は、猫特発性膀胱炎(FIC)の猫と、下部尿路疾患のない猫あるいは過去に症状があったコントロール猫と比較することで、その疾患により影響するような特徴、性格、行動、環境、日々の生活における要因を確認することだった。
方法:この研究は標準化したアンケートを基に電話聞き取り調査の結果を比較する対症例対照研究だった。質問は6つの対照群を配置した:猫の特徴;猫の環境;家庭内に他のペットの存在;猫の給餌および給水状況;猫のトイレの管理;自然な行動を行う猫の機会。
結果:この研究の結果は、コントロール猫よりもFICと診断された猫は過体重、神経質であることが多かった。また、症例とコントロールのいくつかの違いは屋外へのアクセス、家庭環境の猫が気付く安全性と快適性との関連が一変量解析で検出された。多変量解析後に有意ではないが、それらの要因は潜在的相互関係のために重要なのかもしれない。
結論と関連:FICの猫とコントロール猫とのいくつかの有意差が明らかになり、その結果はFIC発症の潜在的ファクターとして環境ストレスの仮説を支持する。(Sato訳)
■猫の尿サンプルにおける猫モルビリウイルスの定量的PCR検出
Quantitative PCR detection of feline morbillivirus in cat urine samples.
J Vet Med Sci. January 2016;77(12):1701-3.
Tetsuya Furuya; Akiko Wachi; Yukiko Sassa; Tsutomu Omatsu; Makoto Nagai; Ryuji Fukushima; Makoto Shibutani; Tomohiro Yamaguchi; Yosuke Uematsu; Kinji Shirota; Tetsuya Mizutani
猫モルビリウイルス(FmoPV)は新しいウイルス種で、猫のFmoPV感染と尿細管間質性腎炎の間に関連が報告しているため、その検出は重要である。
ここで著者らは、テンプレートDNAの10コピー以下を検出でき、従来のPCRシステムより感受性が10倍以上高いFmoPV L遺伝子配列を検出できるリアルタイム逆転写(RT)-PCRを報告する。
日本で動物診療所及び病院からの尿サンプルの総FmoPV陽性率は、このシステムを使用して15.1%(25/166)だった。
この研究は猫の尿サンプルでFmoPVの検出に対し、リアルタイムRT-PCRの有効性を証明する。(Sato訳)
■フランスのアルフォール獣医大学で2002年から2009年に見られた犬の前立腺疾患の回顧的研究
A retrospective study of canine prostatic diseases from 2002 to 2009 at
the Alfort Veterinary College in France.
Theriogenology. March 2016;85(5):835-40.
A. Polisca; A Troisi; E Fontaine; L Menchetti; A Fontbonne
アルフォール動物病院で犬の大集団における前立腺疾患の発生率を回顧的研究で調査し、前立腺疾患の管理や識別において獣医師に非常に役立つかもしれない疫学的特徴を明確にする。
調査期間中にアルフォール獣医大学データベースに計72300頭のオス犬(主にイルドフランス地域から来院)が登録され、そのうち481頭(0.7%)に前立腺疾患が見つかった。臨床症状および超音波所見を基に診断を行った。前立腺疾患のある犬の中で、最も多く記録された疾患は、良性の前立腺肥大(45.9%)、前立腺炎(38.5%)、続いて膿瘍(7.7%)、嚢胞(5.0%)、腫瘍(2.6%)、扁平上皮化生(0.2%)だった。我々の研究では前立腺腫瘍を除き、未去勢のオス犬で観察された前立腺疾患の発生率0.3%を認めた。前立腺疾患を認める犬の平均年齢は8.6±3.2歳だった。これは有意差があった(P<0.001)。
大型犬は前立腺腫瘍を除き、有意に前立腺疾患に罹患することが多かった(P<0.05)。犬種素因はジャーマンシェパード(オッズ比=2.1;95%信頼区間:1.5-2.9)、ロットワイラー(オッズ比=1.8;95%信頼区間:1.2-2.7)、アメリカンスタッフォードシャーテリア(オッズ比=3.8;95%信頼区間:2.5-5.8)、ベルジェドボース(オッズ比=3.7;95%信頼区間:2.2-6.1)、バーニーズマウンテンドッグ(オッズ比=2.5;95%信頼区間:1.3-4.7)で疑われた。(Sato訳)
■猫のミネラル代謝のパラメーターに対する2種類の結石溶解食の影響
Effects of two calculolytic diets on parameters of feline mineral metabolism.
J Small Anim Pract. August 2015;56(8):499-504.
C Pineda; E Aguilera-Tejero; A I Raya; A Montes de Oca; M Rodriguez; I Lopez
目的:選択したミネラル代謝のパラメーターに対し、2種類の猫用結石溶解食の影響を評価する
材料と方法:ストラバイト結石溶解用に作られた市販の2種類のドライフードを14頭の猫で評価した。基準期間、結石溶解食(食餌1、食餌2)を与えた2回の60日の’導入’期間、1回の30日’ウォッシュアウト’期間を設けた2連続4期間交差プロトコールで研究した。データは中央値(範囲)で示した。
結果:2か月間結石溶解食の給餌は、カルシウム、リン、マグネシウム、上皮小体ホルモン血漿濃度を変化させなかった。 カルシトリオールに関して給餌後、236.4(122.4-429.6)から170.4(108.0-394.3)pmol/l(食餌1)、278.4(153.6-492.0)から177.1(87.6-392.4)pmol/l(食餌2)と有意な低下が見られた(各P<0.05)。食餌1を与えた猫は尿中カルシウム濃度が有意に増加した(0.3(0.2-0.5)から0.4(0.3-0.7)mmol/l)。両食餌で尿中マグネシウム濃度は1.4(0.1-1.7)から1.5(1.3-2.4)mmol/l(食餌1)、1.1(0.4-1.9)から2.0(0.1-3.1)mmol/l(食餌2)へと有意に増加した。
臨床意義:両食餌は尿酸性化(食餌1)、ナトリウム負荷増加(食餌2)の異なるメカニズムで尿中のマグネシウム濃度を増加させた。(Sato訳)
■犬と猫の膀胱鏡検査
Cystoscopy in Dogs and Cats.
Vet Clin North Am Small Anim Pract. July 2015;45(4):665-701.
Megan Morgan; Marnin Forman
膀胱鏡検査は犬と猫の下部尿路疾患の診断評価で重要、かつ広く利用できるものになっている。また多数の膀胱鏡ガイドによる処置が、過去には侵襲的外科処置でのみ治療可能であった疾患プロセスの治療に役立つ可能性が述べられている。
この文献はオスおよびメスの犬猫に対する膀胱鏡検査の適応と禁忌、膀胱鏡機器およびテクニック、膀胱鏡検査に関して起こり得る合併症、それら合併症の管理オプションを概説する。(Sato訳)
■尿路感染:治療/比較治療学
Urinary tract infections: treatment/comparative therapeutics.
Vet Clin North Am Small Anim Pract. July 2015;45(4):721-46.
Shelly J Olin; Joseph W Bartges
尿路感染(UTI)は宿主の防御機構の障害や、尿路の一部に病原性の微生物の付着と持続があるときに発生する。ほとんど多くはUTIの原因は細菌であるが、真菌やウイルスの可能性もある。尿培養や感受性は細菌性UTIの診断に対するゴールドスタンダードである。感染場所(例えば膀胱、腎臓、前立腺)の確認と同様に、併存症(例えば糖尿病、免疫抑制)が診断および治療プランを決めるのに重要である。細菌性UTIに対する治療の主軸は抗菌剤で、培養や感受性を基に理想的に選択する。(Sato訳)
■尿石症
Urolithiasis.
Vet Clin North Am Small Anim Pract. July 2015;45(4):747-768.
Joseph W Bartges; Amanda J Callens
尿石は犬と猫の膀胱および/あるいは尿道に一般に発生し、尿道閉塞が起こった場合、命に係わる場合がある。多くの尿石はストラバイトやシュウ酸カルシウムで出来ているが、尿酸やシスチンのような他のミネラルでも発生する。1つ以上のミネラルで出来ているかもしれない。内科的に溶解できる尿石(例えばストラバイト、尿酸、シスチン)もあれば、そうでないものもある(例えばシュウ酸カルシウム)。内科管理は尿石を形成するミネラルに対し、尿の飽和度を低下させるものである。(Sato訳)
■排尿障害
Micturition disorders.
Vet Clin North Am Small Anim Pract. July 2015;45(4):769-82.
Julie K Byron
犬猫の排尿障害の評価は難しいときもある。その障害の持続期間、タイミング、頻度の判定と同じくして、排尿に影響するような神経あるいは整形外科疾患のような全ての問題点の評価も重要である。排尿中の動物の観察は、障害の種類の判定に特に役立つことがある。排尿障害の治療は様々で、結果は正確な診断に依存する。また適切な治療でさえ動物の反応は非常に変わりやすく、オーナーの期待は適宜決めるべきである。(Sato訳)
■猫の特発性膀胱炎
Feline idiopathic cystitis.
Vet Clin North Am Small Anim Pract. July 2015;45(4):783-806.
S Dru Forrester; Todd L Towell
猫の特発性膀胱炎(FIC)は除外診断であるが、ここ20年の研究で、膀胱、神経内分泌系、環境因子の複雑な相互作用で起こることが示唆され、ストレスも病因に何らかの役割があると思われる。
臨床症状再発に対する環境因子の重要性とFICの自己制御特性は、最適な管理オプションを決めるための対照、前向き、二重盲検臨床試験の必要性を強調する。
急性の非閉塞性FICの初期管理で現在一番良いエビデンスは、再発事象低減を証明された治療用フードに対する特別食推奨、環境の充実およびウェットフードの給餌を支持する。(Sato訳)
■脊髄傷害のある犬猫の用手による膀胱圧搾に対するベシル酸アトラクリウムの尿道注入の効果:無作為化試験
Effect of urethral infusion of atracurium besylate on manual bladder expression in dogs and cats with spinal cord injuries: a randomised trial.
Vet Rec. May 2015;176(21):545.
F Galluzzi; F De Rensis; R Saleri; G Spattini
この無作為化試験で、脊髄分節T3-L3の病変による尿貯留の症状を持つ犬猫において、ベシル酸アトラクリウムの尿道注入の効果を評価した。
尿貯留の18頭の犬と6頭の犬を検査し、治療前に用手による膀胱圧迫で膀胱を空にする困難度にスコアを付けた。その後、盲検法で同じ処置者により0.5mg/mlのアトラクリウム(処置群)あるいはプラセボ(コントロール群)の液体を2-4ml尿道注入し、5分後、用手圧迫で膀胱を空にする2度目を試み、処置後のスコアを付けた。
治療前のスコアは処置群とコントロール群に違いはなかった(5.6±0.8 v 6.2±0.7;P=0.22)。しかし、処置後の処置群のスコアは、コントロール群よりも有意に低かった(2.9±0.4
v 5.9±0.3;P<0.05)。
脊髄傷害による二次的な尿貯留の犬猫において、アトラクリウムの尿道注入は、用手膀胱圧排を容易にする。副作用は認められなかった。(Sato訳)
■63頭の猫の尿道破裂の回顧的分析
A retrospective analysis of urethral rupture in 63 cats.
J Feline Med Surg. April 2014;16(4):300-7.
Elena S Addison; Zoe Halfacree; Alasdair Hotston Moore; Jackie Demetriou; Kevin Parsons; Michael Tivers
この研究の目的は、猫の尿道破裂に関する短期-および長期-病的状態および死亡率を調査することである。動物病院4施設のカルテを再検討した。
診断は逆行性尿路造影あるいは術中の直接視認により行った。破裂の部位により前-骨盤、中-骨盤、後-骨盤に分類した。紹介された獣医師から経過のデータを収集した。
63頭の猫を研究し、オスが多かった(88.9%)。外傷(n=35;55.6%)が最も多い原因で、残りが医原性の傷害によるものだった。48頭(88.9%)の猫は外科的に治療し、6頭(11.1%)は保存的に管理した。外傷の猫と医原性傷害の猫の有意な違いは、筋骨格傷害の存在(P<0.001);破裂の部位(P<0.001);破裂の程度(P<0.001);最終的な管理(P<0.001)と短期合併症(P=0.026)だった。短期合併症は有意に以下のものと関係していた:筋骨格傷害(P=0.012);尿腹/後腹膜尿貯留(P=0.004);高窒素血症(P=0.021);術後尿路変更(P=0.036)および2回以上の手術実施(P=0.006)。
47頭(74.6%)は生存して退院した。生存して退院するための予後因子は筋骨格傷害の存在(P=0.017);破裂原因(P=0.017);破裂位置(P=0.039)と最終的な管理(P=0.020)だった。24頭(57.1%)には短期合併症があり、10頭(27.0%)は長期合併症があった。
生存して退院した猫のうち30頭(71.4%)は良好な結果だった。経過観察中央値は16か月だった。結果は破裂の原因(P=0.04);短期合併症(P=0.03)と長期合併症(P<0.001)に有意に関係した。
結論として、外傷をこうむった猫と比較して、医原性傷害の猫が有意に大きい比率で生存して退院し、良好な結果だった。(Sato訳)
■尿検査
Urinalysis.
Vet Clin North Am Small Anim Pract. July 2015;45(4):621-637.
Amanda J Callens; Joseph W Bartges
尿検査の実施は、身体検査、関連する病歴、CBC、血清/血漿生化学検査と共にミニマムデータベースの一部に組み込むべきである。
尿検査は種々の臓器の機能に対する情報、および腎臓機能に対する情報を提供してくれる。血中尿素窒素や血清/血漿クレアチニン濃度の解釈に必要で、尿の濃縮、希釈能、糸球体バリア機能、尿細管機能、蛋白尿、変色尿、尿石、腫瘍を評価するのに有効である。
尿検査の実施は技術的に簡単で、高価な機器あるいは使い捨ての用品を必要としない。(Sato訳)
■猫の尿路病原体:10年間以上の細菌種の普及率と抗生物質耐性
Feline urinary tract pathogens: prevalence of bacterial species and antimicrobial
resistance over a 10-year period.
Vet Rec. February 2015;176(8):201.
Roswitha Dorsch; Clara von Vopelius-Feldt; Georg Wolf; Reinhard K Straubinger; Katrin Hartmann
この回顧的研究の目的は、細菌性尿路感染(UTIs)の猫における細菌種を同定することと、10年間のそれらの抗生物質感受性を調査することだった。
猫280頭からの330培養を研究した。
罹患猫の平均年齢は9.9歳だった;細菌性UTIsのメス猫は、UTIsのオス猫よりも有意に年を取っていた。同定された最も一般的な病原菌はEscherichia
coli (42.3%)、続いてStreptococcus species (19.3%)、 Staphylococcus species
(15.6%)、 Enterococcus species (6.6%)、Micrococcaceae (5.8%)だった。40検体(12.1%)は1つ以上の菌が生育した。StreptococcusとEnterococcus分離菌はE
coliとStaphylococcus species分離菌よりも耐性を持つ抗生物質の数が有意に多かった。
合理的な抗生物質療法を選択する処方を応用し、分離細菌はニトロフラントイン、アモキシシリンクラブラン酸、エンロフロキサシン、ゲンタマイシンに感受性がある可能性が高かった。ニトロフラントインに対する抗生物質影響要因は10年かけて有意に増加した一方で、ドキシサイクリン、トリメトプリム-スルファメトキサゾール、ゲンタマイシン、エンロフロキサシン、セファロチン、アモキシシリンクラブラン酸に対する抗生物質影響要因に有意な変化はない。
猫の尿病原菌においてインビトロの抗生物質効果において見られた変化は、耐性のさらなる発展を防ぐための抗生物質使用に対する病院特定ガイドラインの開発に役立つだろう。(Sato訳)
■1頭のメス猫の避妊手術後の尿失禁に対する酢酸デスロレリンの皮下インプラントの有効性
Effectiveness of deslorelin acetate subcutaneous implantation in a domestic queen with after-spaying urinary incontinence.
J Feline Med Surg. April 2014;16(4):366-8.
Maria Carmela Pisu; Maria Cristina Veronesi
2歳のメスの卵巣を切除したノルウェージャンフォレストキャットの術後尿失禁の病歴に対し、完全な臨床および検査結果後、後天性尿道括約筋メカニズム機能不全(USMI)と診断した。猫の避妊手術後のUSMIの治療に関する文献はないが、犬の避妊手術後のUSMIの治療に酢酸デスロレリンで成功していた。
酢酸デスロレリンインプラントは今までメス猫の避妊および発情抑制、オス猫の生殖機能抑制に有効性が示されている。よってこのメス猫の避妊手術後USMIに対して酢酸デスロレリンインプラントの治療が選択された。
デスロレリンインプラントを設置後、8、15、30日目に追加検査を実施した。インプラント設置後約25日目に尿の自制は回復し、最低15か月は維持でき、治療に関する悪い影響はなかった。
この症例報告で、後天性USMIに関連する避妊手術後の尿失禁の治療は、酢酸デスロレリンインプラントで成功した。また安全なインプラント設置は猫で容易で、1回の注射で長く続く効果が得られた。メス猫の避妊手術後のUSMIに対する酢酸デスロレリン投与の有効性を確認し、効果の持続をより詳細に述べる追加研究が必要である。(Sato訳)
■111の犬の前立腺サンプルの回顧的分析:病理組織所見と分類
A retrospective analysis of 111 canine prostatic samples: Histopathological findings and classification.
Res Vet Sci. 2014 Nov 11;97(3):568-573. doi: 10.1016/j.rvsc.2014.11.006.
Palmieri C, Lean FZ, Akter SH, Romussi S, Grieco V.
この回顧的研究の目的は、111の犬の前立腺サンプルの一般的および珍しい組織学的病変の頻度を評価し、さらに病理学的特徴を述べることである。
良性前立腺肥大、化膿性および非化膿性前立腺炎、前立腺癌は単独あるいは組み合わさって、それぞれ45、11、68、50のサンプルで観察された。6つの前立腺癌の成長パターンが区別できた:乳頭状、篩状、固形、小腺房/管状、印環状、粘液性。小数例で、神経周囲浸潤とコラーゲン状微小結節が観察された。
高グレード前立腺上皮内腫瘍(HGPIN)や前立腺の炎症性萎縮(PIA)のようなヒトにおいて前腫瘍と考えられる病変は、それぞれ27と21の組織学的サンプルで観察された。
この研究は犬の前立腺癌の異なる組織学的サブタイプの詳しい特徴を提示する。通常ではないパターンの認識は、診断的誤解釈を避けるのに重要かもしれない。PIAおよびHGPINの高い有病率は、通常のバイオプシー標本においてそれらの検出の適切なチャンスをはっきり示す。(Sato訳)
■犬の慢性的病的精巣における造影超音波検査の使用
Use of contrast-enhanced ultrasonography in chronic pathologic canine testes.
Reprod Domest Anim. April 2014;49(2):202-9.
A Volta; S Manfredi; M Vignoli; M Russo; G C W England; F Rossi; E Bigliardi; F Di Ianni; E Parmigiani; C Bresciani; G Gnudi
フッ化硫黄微小気泡を用いた造影超音波検査を、生殖の病歴がなく組織学的に正常な精巣と確認された7頭の健康な犬と慢性的な陰嚢の異常がある42頭の犬で実施した。全ての犬は精巣摘出と組織学的検査を実施した。健康な犬の精巣と慢性病変の精巣の増強パターン、灌流パラメーター(強度ピークと局所血流)を比較した。
14の非病的および60の病的精巣が考えられた。40の精巣は腫瘍性(間質細胞腫24、セミノーマ9、セルトリ細胞腫7)で、20は非腫瘍性(精巣の変性16、慢性精巣炎2、精巣萎縮1、間質細胞過形成1)だった。
健康な犬で、造影剤の流れは短時間のピーク相で急速な均質のウォッシュイン、ウォッシュアウトを示した。造影超音波検査で、不均質な過剰増強パターンを示した精巣は腫瘍と関係していた(感受性:87.5%、特異性:100%)。持続性の内部血管と低-等エコーの背景を示した病変は、有意にセミノーマと関係していた(感受性:77.8%、特異性:100%)。非腫瘍性病変の精巣の特徴は、わずかな/中程度の均質な増強だった。灌流パラメーターは腫瘍性病変でより高かった。
造影超音波検査は、精巣の病変の評価において実行可能な診断ツールであり、悪性腫瘍の診断では過剰な増強が重要な特徴である。(Sato訳)
■良性の尿管閉塞の猫における尿管ステント術の方法と臨床結果:69症例(2006-2010)
Technical and clinical outcomes of ureteral stenting in cats with benign
ureteral obstruction: 69 cases (2006-2010).
J Am Vet Med Assoc. March 1, 2014;244(5):559-76.
Allyson C Berent; Chick W Weisse; Kimberly Todd; Demetrius H Bagley
目的:ダブルピッグテイル尿管ステント設置で良性の尿管閉塞を治療した猫の、その方法、短期および長期結果を評価する
計画:回顧的ケースシリーズ
動物:69頭の猫(79の尿管)
方法:腹部超音波検査、エックス線検査、腎盂尿管造影で良性の尿管閉塞の診断を下した。透視のガイドで内視鏡的、外科的あるいは両方で尿管ステント設置を試みた。カルテから術前、術中、術後のデータ、合併症、結果を再調査した。
結果:尿管結石(56/79[71%])、狭窄(10/79[13%])、尿管結石と狭窄(12/79[15%])、化膿性栓子(1/79[1%])などの原因に対し、69頭の猫(79の尿管)にステント設置を試みた。79のうち75(95%)の尿管でステント設置が成功した。尿管につき結石数の中央値は4個(範囲、0->50個)で、79のうち67(85%)の尿管は腎結石もあった。69頭中66頭(95%)の猫で術前の高窒素血症が存在し(クレアチニン濃度中央値、5.3mg/dl[範囲、1.1-25.8mg/dl])、49頭(71%)は手術が成功した後も高窒素血症が持続した(中央値、2.1mg/dl[範囲、1.0-11.8mg/dl])。処置が関連する合併症、術後(7日未満)、短期(7-30日)、長期合併症(30日以降)は、8.7%(6/69;7/79尿管)、9.1%(6/66)、9.8%(6/61)、33%(20/60)で発生した。それらの合併症はマイナーで、間欠的排尿障害あるいは尿管ステントの交換の必要性に関係した。周術期死亡率は7.5%(5/69)、処置が関係した死亡はなかった。
生存期間の中央値は498日(範囲、2->1278日)だった。死亡原因が腎臓だった猫に関し、生存期間中央値は>1262日で、慢性腎疾患で死亡したのは66頭中14頭(21%)しかいなかった。19頭(27%)はステント交換が必要だった(内側狭窄[n=10]、移動[4]、尿管炎[2]、排尿障害[2]、腎盂腎炎[1]、逆流[1])。その処置あるいは尿管閉塞の再発で死亡した猫はいなかった。
結論と臨床関連:この結果は尿管ステント設置が閉塞の位置、原因、結石の数にかかわらず良性尿管閉塞の猫の有効な治療法だと示した。周術期病的状態および死亡率は従来の尿管外科で報告されたものより低かった。短期および長期合併症は一般的にマイナーなものだったが、特に尿管狭窄においてステント交換あるいは他の装置の使用が必要かもしれない。尿管ステント設置後の猫尿管閉塞の予後は、処置が熟練専門医によるものならば良好と考えることができた。(Sato訳)
■8頭の猫の結石以外の尿路閉塞のステント術による管理の予備的実験
Preliminary experience with stenting for management of non-urolith urethral
obstruction in eight cats.
Vet Surg. February 2014;43(2):199-208.
Megan A Brace; Chick Weisse; Allyson Berent
目的:(1)非結石性尿路閉塞の猫の尿道開通性を再構築するため、自己拡張型金属ステント(SEMS)の設置に対し、最小侵襲の経尿道順行および逆行法を述べることと、(2)開存した尿道の維持における処置の合併症、失禁率、長期有効性を報告すること。
研究デザイン:ケースシリーズ
動物:猫(n=8)
方法:尿道閉塞あるいはマスの管理で、SEMSで治療した8頭の猫のシグナルメント、病歴、臨床症状、身体検査、有痛排尿困難と失禁の程度、臨床病理データ、実施した診断的処置、診断、介入方法、設置したステントのタイプと寸法、合併症と最終結果を調べた。各猫は12か月以上経過を観察した。その情報は、医療記録あるいは飼育者および/あるいは主治医への電話調査で入手した。
結果:4頭の猫はステント設置後排尿を自制し、2頭は中程度の尿失禁、2頭は重度の尿失禁だった。長期にわたる経過観察ができた(中央値462日)。経過観察で、5頭の猫は生存し、3頭の猫は88、233、305日目に安楽死されていた。著者らにより評価した長期結果は、4頭が良(1)から優良(3)、4頭がまずまず(2)から不良(2)だった。飼育者が報告した結果は、優良3/8、良から優良1/8、良2/8、不良2/8だった。
結論:尿道閉塞の姑息的ステント術は、猫の尿道の開通性を再度確立する最小侵襲性の方法である。(Sato訳)
■犬におけるシュウ酸カルシウム膀胱結石の再発と食事および犬種との関連
Associations of diet and breed with recurrence of calcium oxalate cystic calculi in dogs.
J Am Vet Med Assoc. 2015 May 15;246(10):1098-103. doi: 10.2460/javma.246.10.1098.
Allen HS, Swecker WS, Becvarova I, Weeth LP, Werre SR.
目的 2種類の処方食を与えられている様々な犬種においてシュウ酸カルシウム(CaOx)膀胱結石の再発の長期的なリスクについて評価した。
研究デザイン 回顧的コホート研究
動物 CaOx膀胱結石の病歴のある135頭の犬
方法 CaOx膀胱結石を除去した犬を集めるために、4つの紹介病院のカルテを調査した。手術後の食事、下部尿路疾患の症状の再発、膀胱結石の再発の情報を得るために飼い主に連絡し、カルテを評価した。犬種(高リスクの犬種、低リスクの犬種およびミニチュアシュナウザー)、尿石を除去したあとの食事(食事A、食事B、その他の食事C)にもとづいて犬をグループ分けした(食事AとBはCaOx結石の再発予防用処方食)。
結果 犬種は結石の再発(腹部超音波またはX線検査によって同定した)について有意な予測因子であり、ミニチュアシュナウザーは他の犬種より3倍再発のリスクが高かった。食事A群の犬は、食事C群の犬よりも再発が少なかったが、この違いは多変量解析では有意ではなかった。
結論と臨床的意義 ミニチュアシュナウザーはCaOx膀胱結石の再発が他の犬種よりも起こりやすことが結果から示唆された。さらに、食事が再発を減らすのに重要な役割を果たしている可能性が示唆され、これらのことを確認するために、将来的にさらなる前向き研究が必要である。(Dr.Taku訳)
■メス犬の子宮内膜ポリープ:21症例の回顧的研究
Endometrial polyps in the bitch: a retrospective study of 21 cases.
J Comp Pathol. 2013 Nov;149(4):410-6. doi: 10.1016/j.jcpa.2013.03.004. Epub 2013 May 4.
Marino G, Barna A, Rizzo S, Zanghi A, Catone G.
子宮内膜ポリープ(EPs)はペットの肉食動物でよく報告される腫瘍様病変である。
ここでは21頭のメス犬のEPsの臨床および病理学的特徴を報告する。罹患したメス犬の多くは定期的な繁殖の履歴があった。5頭は臨床症状がなく、11頭は子宮蓄膿症の臨床症状を示した。4頭は腹部臓器を圧迫するような大きなEPがあった。1頭は急性の子宮捻転を起こした。病変が大きく、腹部触診あるいは超音波検査で確認された時のみ、EPsの臨床的診断がなされた。肉眼では、EPsは直径5-25cmで、単一、固着、あるいは茎があった。嚢胞性子宮内膜過形成と関係することも多かった。
顕微鏡学的に、EPsは時折出血性および炎症細胞の浸潤した基質をともなう線維腺状だった。1例で、間質性平滑筋および上皮扁平変質形成の部分があり、腫瘍発生前変化と一致するものかもしれない。(Sato訳)
■尿道括約筋のメカニズムの機能不全に関係する尿失禁のメス犬の管理に対する尿道固定と腟断端固定の組み合わせによる結果
The outcome of combined urethropexy and colposuspension for management of bitches with urinary incontinence associated with urethral sphincter mechanism incompetence.
Vet Surg. January 2014;43(1):52-7.
Stefania Martinoli; Pieter Nelissen; Richard A S White
目的:(1)尿道固定と腟断端固定方法の組み合わせ;(2)術中および術後合併症;(3)中期結果を報告する
研究計画:回顧的ケースシリーズ
動物:内科管理に反応しない尿道括約筋メカニズムの機能不全(USMI)に関係する尿失禁を示すメス犬(n=30)
方法:腹部正中切開を行い、腹側に膀胱を位置させ、前恥骨腱と白線にポリプロピレン糸による単一結節縫合で尿道を固定した。膀胱腟と直腸腟の付着から腟を遊離させ、頭側にけん引し、ポリプロピレンマットレス縫合で前恥骨腱に固定した。術後2週間でメス犬を再検査した;中期結果(6か月以上)は飼育者への電話で評価した。
結果:39.5ヶ月の追跡調査中央値で、21頭(70%)は尿の症状の完全な解消を伴う「優良」の中期結果と考えられた;8頭(26.6%)は「良」結果、3頭(10%)は術後に軽度の一時的な排尿障害があった。
結論:USMIの犬の70%で尿道固定と腟断端固定方法の組み合わせは、尿失禁の完全な解消をもたらし、大きな合併症は見られなかった。(Sato訳)
■猫の尿路病原体:10年間の細菌種による罹患率と抗菌剤耐性
Feline urinary tract pathogens: prevalence of bacterial species and antimicrobial resistance over a 10-year period.
Vet Rec. 2014 Oct 28. pii: vetrec-2014-102630. doi: 10.1136/vr.102630.
Dorsch R, von Vopelius-Feldt C, Wolf G, Straubinger RK, Hartmann K.
本回顧的研究の目的は、10年間にわたる細菌性尿路感染(UTI)の猫における細菌の種類を同定し、抗菌剤に対する感受性を調査することである。
280頭の猫から330の培養を本研究に用いた。罹患猫の平均年齢は9.9歳であり、細菌性UTIの雌猫は、雄猫よりも有意に年齢が高かった。最も多く同定された病原体は、Escherichia coli(42.3%)であり、Streptococcus種(19.3%)、Staphylococcus種(15.6%)、Enterococcus種(6.6%)、Micrococcacease(5.8%)と続いた。40検体(12.1%)において、1つ以上の増殖が認められた。StreptococcusおよびEnterococcusは、E coliおよびStaphylococcus種よりも有意に抗菌剤に対して耐性を示した。合理的な抗菌療法の選択のための計算式を用いると、分離菌は、ニトロフラントイン、アモキシシリンクラブラン酸、エンロフロキサシン、ゲンタマイシンにもっとも感受性があるようであった。ニトロフラントインに対する抗菌影響因子は、10年間で有意に増加した。ドキシサイクリン、トリメトプリム-スルファメトキサゾール、ゲンタマイシン、エンロフロキサシン、セファロシン、アモキシシリンクラブラン酸に対する抗菌影響因子は有意な変化がなかった。
In vitroにおける抗菌作用の変化は、猫の尿路病原体に対してさらに耐性を誘発することを避けるための抗菌剤の使用の病院ごとのガイドラインを策定するのに有用である。(Dr.Taku訳)
■メス犬における潜在性細菌尿の有病率と臨床結果
Prevalence and clinical outcome of subclinical bacteriuria in female dogs.
J Am Vet Med Assoc. July 1, 2014;245(1):106-12.
Stephanie Y Wan; Faye A Hartmann; Michelle K Jooss; Katrina R Viviano
目的:健康なメス犬で潜在性細菌尿の有病率と3か月間のその自然な臨床経過を調査する
デザイン:観察的前向き横断研究
動物:101頭の健康な飼育メス犬
方法:全ての犬で、尿の細菌培養とスクリーニング臨床病理検査を行った。培養陽性犬において、潜在性細菌尿を2週以内に2回陽性結果を示すことで確認し、3か月目に再評価した。
結果:健康なメス犬で潜在性細菌尿の有病率は101頭中9頭(8.9%)だった。潜在性細菌尿の9頭中8頭で3か月の追跡調査データが得られた。4頭は持続的細菌尿で、4頭は一時的細菌尿だった。3か月の観察期間で臨床症状を示した潜在性細菌尿の犬はいなかった。潜在性細菌尿は若-中年齢の犬の51頭中6頭(12%)、シニア-老齢犬の50頭中3頭(6.0%)で診断された。年齢と潜在性細菌尿の関係に有意差はなかった。
結論と臨床関連:健康なメス犬で潜在性細菌尿は非進行性の病態で、持続性あるいは一時的だと示唆された。若-中年犬とシニア-老齢犬の潜在性細菌尿の有病率に有意差はなかった。3か月の観察期間中で、抗生物質療法を必要とする臨床症状を起こした潜在性細菌尿の犬はいなかった。潜在性細菌尿の健康なメス犬は、抗生物質療法が必要ない犬の集団かもしれない。(Sato訳)
■健康な猫の骨塩量および尿のシュウ酸カルシウムとストルバイトの相対過飽和に対する酸性化あるいはアルカリ化食の影響
Influence of acidifying or alkalinizing diets on bone mineral density and urine relative supersaturation with calcium oxalate and struvite in healthy cats.
Am J Vet Res. 2013 Oct;74(10):1347-52. doi: 10.2460/ajvr.74.10.1347.
Bartges JW, Kirk CA, Cox SK, Moyers TD.
目的:健康な猫の骨塩量およびシュウ酸カルシウム、ストルバイトの尿相対過飽和(URSS)に対する酸性化あるいはアルカリ化食の影響を調べる
動物:6頭の去勢済みオス猫と6頭の避妊済みメス猫
方法:4頭ずつ3グループの猫に酸性化あるいはアルカリ化特性の異なる食餌を12か月間与えた(アルカリ化、中性、酸性化)。体組成を二重エネルギーX線吸収測定法で評価し、48時間尿サンプルをURSS測定のために採取した。
結果:尿pHは食餌グループ間で有意に異なり、酸性化食群で最も低く、アルカリ化食群で最も高い値だった。中性食群で有意に高かった尿中アンモニア排泄を除き、他の変数に違いは観察されなかった。シュウ酸カルシウムURSSは酸性化食群で最も高く、アルカリ化食群で最も低かった;ストラバイトURSSはグループ間で違いがなかった。食餌は骨ミネラル含有量あるいは密度に有意な関係を示さなかった。
結論と臨床関連:シュウ酸カルシウムの尿中不飽和は、アルカリ尿を誘発することで達成された。アルカリ化食の給餌はストラバイトのURSSに関係しなかった。骨塩量およびカルシウム含量は食餌により悪い影響を受けることはなかった;ゆえに、健康な猫で酸性化食を与えることによる骨からのカルシウムの放出は起こらないと思われる。(Sato訳)
■猫のストルバイト尿石の溶解に対する2つの市販の低マグネシウム、尿酸性化ドライフードの効果
Efficacy of two commercially available, low-magnesium, urine-acidifying dry foods for the dissolution of struvite uroliths in cats.
J Am Vet Med Assoc. 2013 Oct 15;243(8):1147-53. doi: 10.2460/javma.243.8.1147.
Lulich JP, Kruger JM, Macleay JM, Merrills JM, Paetau-Robinson I, Albasan H, Osborne CA.
目的:猫の無菌性ストラバイト尿石を溶解するため、2つの市販で入手可能な低マグネシウム、尿酸性化ドライフードを用いて効果と安全性を比較した
デザイン:前向き多施設無作為化臨床試験
サンプル:ストラバイト尿石と思われる37頭の猫
方法:2つの低マグネシウム、尿酸性化ドライフード(A食とB食)のどちらかに猫を無作為に振り分けた。各猫の身体検査、尿検査、腹部エックス線検査を、反応の評価のために毎週行った。
結果:32頭の猫の尿石は完全に溶解した。A食の猫の尿石の大きさが50%溶解するまでの平均±時間(0.69±0.1週)と完全な溶解までの時間(13.0±2.6日)は、B食の猫(1.75±0.27週と27.0±2.6日)よりも有意に短かった。研究終了時、A食の猫の平均±SD尿pH(6.083±0.105)は、B食の猫(6.431±0.109)よりも有意に低かった。5頭の猫の尿石は溶解せず、その後100%尿酸アンモニウム(n=4)、100%シュウ酸カルシウム(n=1)で構成されていることが判明した。食餌に関係する有害事象はどの猫にも観察されなかった。
結論と臨床関連:猫の無菌性ストラバイト尿石の根絶に対し、食餌性の溶解は安全で有効なことが分かった。食餌Aを与えた猫は、Bを与えた猫よりも尿石の溶解が早かった。食餌を開始して2週間経過時に尿石が小さくなってなければ、誤診あるいは遵守されていないことが示された。(Sato訳)
■犬の膀胱のスタフィロコッカス・シュードインターミディウスに関係する結痂性膀胱炎の治療成功例
Successful treatment of encrusted cystitis associated with Staphylococcus
pseudintermedius infection in the urinary bladder of a dog.
J Am Vet Med Assoc. March 15, 2013;242(6):798-802.
Vanessa R Biegen; Peter G Slusser; Anthony J Fischetti; Michael R Geist
症例記述:尿路閉塞の治療後、持続性有痛性排尿困難の症状のため、5歳メスの避妊済み雑種犬を検査した。
臨床所見:エックス線像、超音波像、膀胱鏡および組織学検査所見は、結痂性膀胱炎に一致した。尿と膀胱壁バイオプシーサンプルの細菌学的培養結果は、スタフィロコッカス・シュードインターミディウスの発育を示した。
治療と結果:最初に犬を静脈輸液、尿カテーテル留置、生理食塩(0.9%NaCl)液による膀胱洗浄、抗菌剤とベタネコール(膀胱から排尿を改善するため)の投与で治療した。抗菌剤は3か月間投与し、尿結石を溶解させるための市販されている食餌を与えた。最初の検査から3か月間、結痂性膀胱炎の臨床症状は次第に改善した。最初の検査から4か月後に実施した尿検査と腹部超音波検査の結果は、その疾患の解消を示した。
臨床関連:結痂性膀胱炎は小動物で非常に珍しく、過去には膀胱のコリネバクテリウム属に関係したものだけである。結痂性膀胱炎の解消は、膀胱の外科的デブリードメントおよび抗菌剤の治療で達成されている。この報告の犬で、臨床所見と臨床症状の解消に成功したことは、コリネバクテリウム属以外のウレアーゼ陽性菌が結痂性膀胱炎の原因になる可能性があり、抗菌剤と併用した尿石溶解食の給餌は、痂皮となったプラークの外科的デブリードメントを必要とせず、膀胱病変と臨床症状の解消を得られるかもしれない。(Sato訳)
■犬猫の細菌尿を予測するためのwet-mount、ライトギムザおよびグラム染色を行った沈査の比較
Comparison of wet-mount, Wright-Giemsa and Gram-stained urine sediment
for predicting bacteriuria in dogs and cats.
Can Vet J. November 2013;54(11):1061-6.
Elizabeth O'Neil; Barbara Horney; Shelley Burton; P Jeffrey Lewis; Allan MacKenzie; Henrik Stryhn
この研究は、犬と猫の尿に対し細菌培養結果を予測するものとして、標準尿検査法と沈査染色法を評価した。
犬(n=111)と猫(n=79)の尿サンプルを未染色のwet-mountおよび風乾したグラムおよびライトギムザ染色を行った沈査を用いて評価した。結果は好気性細菌培養と比較した。
11頭の犬と7頭の猫の尿サンプルが培養陽性だった。未染色のwet-mountの感受性は89%、特異性は91%で、染色した沈査の感受性は83%、特異性は99%だった。細菌尿の検出にあたり、wet-mount検査よりも両染色を用いた特異性の方が高かった(P<0.01)。真の陽性を検出するとき、3人の技術者の中で有意差があった(P<0.01)。
沈査と培養結果の関係は112の犬と81の猫のサンプルを用いた。脂質検出と細菌のwet-mount確認の間に負の関係があった(P<0.01)。(Sato訳)
■猫の尿道閉塞再発率に関係する初期治療因子:192症例(2004-2010)
Initial treatment factors associated with feline urethral obstruction recurrence
rate: 192 cases (2004-2010).
J Am Vet Med Assoc. August 15, 2013;243(4):512-9.
Peter F Hetrick; Elizabeth B Davidow
目的:カテーテルを外した後24時間目と30日目で、尿道閉塞の再発した猫の初期尿カテーテル処置中(IUC)の治療因子の関係を評価する
デザイン:回顧的症例シリーズ
動物:2004年から2010年に救急および専門センターで尿道閉塞を治療したオス猫192頭
方法:それら猫の医療記録からデータを入手した。尿道閉塞の再発率に関係するものとして、カテーテル留置期間、尿カテーテルが5Fか3.5Fか、フェノキシベンザミンかプラゾシンによる治療、鎮痛薬の継続的投与、IUC中メロキシカムあるいは抗菌剤の投与に関して検討した。
結果:IUC後、全体の尿道閉塞再発率は24時間目で10.94%(21/192頭)、30日目で23.57%(37/157頭)だった。IUC後、24時間目と30日目の再発率は、プラゾシンで治療した猫で7.14%(10/140頭)と18.18%(20/110頭)だったのに対し、フェノキシベンザミンで治療した猫は21.74%(10/46頭)と39.02%(16/41頭)だった。5Fあるいは3.5Fのカテーテルで24時間留置した後の再発率は、18.97%(11/58頭)と6.67%(7/105頭)だった。尿道閉塞再発率と尿カテーテルの留置時間、抗菌剤あるいはメロキシカムの投与、IUC中の鎮痛剤の継続投与に関連はなかった。
結論と臨床関連:IUC後の24時間目及び30日目で、プラゾシン処置猫はフェノキシベンザミンに比べて尿道閉塞再発率が有意に低かった。24時間目の再閉塞率は、5Fのカテーテルを使用するより3.5Fの方が有意に低かった。(Sato訳)
■尿道閉塞に対し内科的に治療を受けた猫で再発に関するリスクファクターの評価
Evaluation of risk factors associated with recurrent obstruction in cats
treated medically for urethral obstruction.
J Am Vet Med Assoc. October 15, 2013;243(8):1140-6.
Beth W Eisenberg; Jennifer E Waldrop; Sarah E Allen; Jennifer O Brisson; Kathryn M Aloisio; Nicholas J Horton
目的:カテーテル処置と入院で治療後の猫における早期の尿道閉塞再発に対するリスクファクターを判定する
デザイン:前向き症例シリーズ
動物:飼い猫83頭
方法:退院後30日の間の尿道閉塞再発のリスクファクターとして、身体検査所見、検査結果異常、治療の判断、環境変化を評価した。
結果:完全な経過観察がなされた68頭のうち、10頭に尿道閉塞再発が見られた。より年齢の高い猫は尿道閉塞の再発を有意に起こしやすかった。特定の検査結果異常が再発のリスクに関係するということはなかった。より長い期間、カテーテル処置を行った猫は再発のリスク低下に有意に関係した。入院期間と静脈からの輸液量は、再発と有意に関係しなかった。退院後の水の利用増加は、再発リスクを低下させた。餌と再発に関係はなかった。
結論と臨床的関連:オス猫において、より長い期間カテーテル処置をすることは、尿道閉塞の早期再発のリスクを減らすかもしれないと示唆された。年を取った猫は再発のリスクがより高かった。尿道閉塞の治療をした猫で、再発の可能性を低くするため、飼い主は退院後水を飲むように仕向ける努力をするべきである。(Sato訳)
■1頭の犬に見られた2,8-ジヒドロキシアデニン尿結石
2,8-Dihydroxyadenine uroliths in a dog.
J Am Vet Med Assoc. November 2012;241(10):1348-52.
Doreen M Houston; Andrew E Moore; Sonia Z Mendonca; Judith A Taylor
症例詳述:体重43kgの4歳去勢済みオスの雑種犬を、2日にわたる排尿困難で評価した。
臨床所見:エックス線検査と超音波検査で、右の腎臓および尿管と膀胱に水腎、水尿管、放射線透過性高エコーの尿結石を認めた。血清胆汁酸濃度は参照範囲内だった。
治療と結果:膀胱と右尿管の結石は外科的に除去し、分析に回した。当初尿酸結石と同定されたが、さらに分析した結果尿石は2,8-ジヒドロキシアデニン(2,8-DHA)で構成されていることが分かり、その犬の尿サンプルからも2,8-DHAが確認された。その犬にアロプリノールを処方しプリン制限食を勧めた。
臨床的関連:2,8-DHA尿石は、ヒトや犬で極めてまれである。その尿石は、ヒトで臨床症状の変動性と2,8-DHA、尿酸結石、結晶尿の鑑別が難しいため過小診断されるかもしれない。犬で2,8-DHAからなる結石は、尿酸結石と誤診されるかもしれない。(Sato訳)
■犬27頭における人工尿道括約筋の設置後の予後
Outcome after placement of an artificial urethral sphincter in 27 dogs.
Vet Surg. January 2013;42(1):12-8.
Lauren Reeves; Christopher Adin; Mary McLoughlin; Kathleen Ham; Dennis Chew
目的:後天性あるいは先天性尿失禁の犬の集団で、調整可能な人工尿道括約筋(AUS)の安全性と有効性を評価する
研究構成:症例シリーズ
動物:尿失禁が自然に発生した犬(n=27)
方法:尿失禁の治療でAUSを設置した犬のカルテ(2009年1月-2011年7月)を再評価し、予後を評価するためオーナーに電話調査を行った。1はコンスタントな漏れから10は完全な自制を示す過去に確立されたアナログスケールで排泄能力のスコアを付けた。
結果:メス24頭とオス3頭がAUSを設置していた。失禁の原因は、尿道括約筋メカニズム機能不全(n=18)、異所性尿管修復後の持続尿失禁(6)、骨盤内膀胱(3)だった。AUS設置までに25頭に行った内科療法は成功しなかった。25頭で大きな合併症なく手術が行われた;2頭は術後5ヶ月と9か月に部分的尿道閉塞が起きた。他25頭に対する追跡調査中央期間(四分位数間領域)は12.5ヶ月(6-19か月)だった。排泄能力スコアは術前期間(2(1-4))から最後の追跡調査時(9(8-10))の間に有意に改善した(P<0.0001)。22頭のオーナーは非常に満足、2頭のオーナーは満足、3頭のオーナーは不満と述べていた。
結論:先天性、後天性尿失禁のオスおよびメス犬において、AUS設置は排尿自制を回復させた。部分的尿道閉塞を発症した犬は、AUS撤去が必要かもしれない。(Sato訳)
■メス犬の壁内異所性尿管の膀胱鏡ガイド下レーザーアブレーションの評価
Evaluation of cystoscopic-guided laser ablation of intramural ectopic ureters
in female dogs.
J Am Vet Med Assoc. March 2012;240(6):716-25.
Allyson C Berent; Chick Weisse; Philipp D Mayhew; Kimberly Todd; Monika Wright; Demetrius Bagley
目的:異所性尿管の膀胱鏡ガイド下レーザーアブレーション(CLA-EU)後のメス犬の短期および長期結果を述べ、評価する
構成:前向き症例シリーズ
動物:壁内異所性尿管の失禁を伴うメス犬32頭
方法:全ての犬は膀胱鏡および透視により壁内異所性尿管と診断された。経尿道CLA-EU(ダイオードレーザー(n=27)またはホルミウム:イットリウムアルミニウムガーネットレーザー(3))を、膀胱頭側に異所性尿管口を移動させるために実施した。全ての腟の異常は同時にレーザーで治療した。追跡評価に基準を設け、尿失禁スコア、一連の尿サンプルの細菌培養、CLA-EU後6-8週目の追加膀胱鏡検査を含めた。
結果:全ての犬の異所性尿管口は当初尿道に位置した。30頭中18頭は両側異所性尿管で、12頭は片側性だった。全ての犬はその他に併発泌尿器異常があった。最終の経過観察時(中央値、CLA-EU後2.7年、(範囲、12-62ヶ月))、30頭中14頭(47%)は自制を維持するためのCLA-EUに続く追加治療を必要としなかった。残り16頭の失禁のある犬に対し、内科管理、経尿道膨張性薬剤注射、hydraulic
occluderの設置の追加は、それぞれ3頭、2頭、4頭に有効で、全体の尿自制率は77%(23/30頭)に改善した。CLA-EU後新しい尿管口ができて6週目にポリープ状膀胱炎の所見が1頭に見られ、3か月目に解消した。
結論と臨床的関連:CLA-EUは壁内異所性尿管のメス犬で外科手術に代わる、効果的で安全な最小侵襲の方法である。(Sato訳)
■猫の下部尿路疾患の86症例における会陰尿道造瘻術後の短期および長期結果
Short- and long-term outcome after perineal urethrostomy in 86 cats with
feline lower urinary tract disease.
J Small Anim Pract. December 2012;53(12):693-8.
L Ruda; R Heiene
背景:会陰尿道造瘻術は、合併症状を伴う、あるいは再発性の閉塞性下部尿路疾患の猫における尿道閉塞軽減のための術式である。しかし、猫下部尿路疾患の猫の会陰尿道造瘻術の長期結果は、相対的に少数の猫の研究でしか述べられていない。
目的:この研究の目的は、猫下部尿路疾患で会陰尿道造瘻術を行った猫の長期予後、再発事象、QOL、生存期間を評価することだった。
材料と方法:オーナーにアンケートベースの電話調査に答えてもらい、少なくとも6ヵ月生存している75頭を含む86頭の猫の医療記録からデータを集めた。
結果:長期追跡調査期間は1.0年から10.4年だった。全ての猫の生存期間中央値は術後3.5年だった。47頭の猫はこの研究時にまだ生存していた。5頭(5.8%)の猫は会陰尿道造瘻術後、14日生存しなかった;他の6頭(7.0%)は6か月生存しなかった。75頭(87%)の猫は6か月以上生存した;それらのうち45頭(60%)は術後症状がなく、8頭(10.7%)は再発性猫下部尿路疾患の重度の症状を呈した。
19頭の猫の6年以上のデータが入手できた。それらのうち13頭がこの研究時に生存していた。死亡した6頭全頭は尿路に関係ない疾患で安楽死されていた。オーナーの88%が彼らの猫の長期QOLが良好と分類した。
臨床的意義:閉塞性下部尿路疾患の猫の会陰尿道造瘻術後の長期QOLは良好(オーナーの評価として)で、再発率は低いとこの研究は示している。(Sato訳)
■尿道栓子があるオス猫に対するベシル酸アトラクリウムの尿道内投与の効果
Effect of intraurethral administration of atracurium besylate in male cats
with urethral plugs.
J Small Anim Pract. July 2012;53(7):411-5.
F Galluzzi; F De Rensis; A Menozzi; G Spattini
目的:オス猫の尿道プラグから起こる尿路閉塞に対し、ベシル酸アトラクリウムの尿道内投与の効果を評価する
方法:45頭のオス猫を、尿道腔に4mlのベシル酸アトラクリウム溶液(0.5mg/ml)を注入する処置群(n=25)と、生理食塩液で処置するコントロール群(n=20)に振り分けた。その時、閉塞が解除するまで全頭に逆行性フラッシュを行った。
結果:最初の試みでプラグが除去できた猫の比率は、コントロール群(15%)に比べて処置群(64%)で有意に高かった(P<0.05)。さらに、尿路閉塞の除去に必要な平均(±SD)時間は処置群の方がコントロールよりも有意に短かった(21.1±16.2秒v.s.235.2±132.4秒;P<0.001)。
臨床意義:この研究の結果は尿道栓子のあるオスの成猫において、ベシル酸アトラクリウムの尿道内投与が最初の試みで閉塞解除できる猫の比率を増加させ、尿道プラグの除去に必要な時間を短縮させることを示す。(Sato訳)
■陰茎切断と陰嚢尿道造瘻術を行った犬18例
Penile amputation and scrotal urethrostomy in 18 dogs.
Vet Rec. December 2011;169(25):657.
R D Burrow; S P Gregory; A A Giejda; R N White
この研究の目的は、陰茎切断と陰嚢尿道造瘻術を行った犬のシグナルメント、外科適応、術後合併症、結果を報告することである。
3か所の外科委託施設の医療記録から、2003年1月から2010年6月の間に陰茎切断と陰嚢尿道造瘻術を行った犬を調査した。シグナルメント、症状、陰茎切断に対する指標、術式、術後合併症、長期結果についてのデータを収集した。
18頭の犬を検討した。手術の適応は、腫瘍(n=6)、外部あるいは不明な陰茎外傷(n=4)、陰茎外傷あるいは結石による尿道閉塞に関係する壊死(n=3)、持続勃起(n=4)、亀頭包皮炎(n=1)の治療だった。
全ての犬は術後21日(平均5.5日)まで尿道造瘻孔から軽度の出血(排尿後および/あるいは自然に)があった。4頭の犬は抜糸時(わずかな裂開(n=1)、軽度紫斑および尿道造瘻部分周囲の腫脹、そして抜糸時の軽度出血(n=2)、孔の縁の肉芽形成(n=1))に小さい合併症があった。1頭の犬は大きな合併症があった(傷の裂開とその後の孔の狭窄)。非腫瘍疾患の全ての犬の長期結果は良好だった。腫瘍の治療のために陰茎切断を行った2頭は、5-12か月以内に局所再発および/あるいは転移を起こした。その2頭は安楽死された。(Sato訳)
■猫の細菌性尿路感染におけるフルオロキノロンの使用
[The use of fluoroquinolones in bacterial urinary tract infections in cats].
Einsatz von Fluorchinolonen bei bakteriellen Harnwegsinfektionen der Katze.
Language: German
Tierarztl Prax Ausg K Klientiere Heimtiere. April 2012;40(2):113-21.
S Kramer1; M Kietzmann; W-R Pankow
FLUTD(猫下部尿路疾患)徴候を持つ老齢猫(>10歳)は、尿路感染を起こすことも多い。それらの猫のほとんどは、臓器疾患(例えば慢性腎不全、真性糖尿病)あるいは医原的要因(免疫抑制薬、留置カテーテル)が、この種の感染を猫に明らかに起こしやすくすることが分かっている。
診断的観点から、尿検査および尿培養が細菌尿を検出するのに最も重要なツールである。それに関して細菌学的スペクトラムは犬で分かっているものに匹敵し、大腸菌だけでなくスタフィロコッカス属、腸球菌属/ストレプトコッカス属があげられる。
抗菌療法は感受性試験の結果を基に行うべきである。この種の情報が得られない場合、薬剤選択は尿路感染が複雑にならない限りは経験を基に決定すべきである。選択すべき抗生物質は腎臓排泄率の高いもので、尿中に治療的に有効な薬剤濃度を確保できる。このような観点から、適切な薬剤群に属するフルオロキノロンが猫で使用される。
尿中で達成できる治療的薬剤濃度の関連で第3世代フルオロキノロンの例としてマルボフロキサシンが述べられる。新しい薬物動態データでは、2μg/ml以上のマルボフロキサシン濃度が、2および4mg/kg皮下投与後、それぞれ72および103時間後の健康な猫の尿中で維持される。(Sato訳)
■子供の尿路感染再発予防に対するクランベリージュース:無作為プラセボーコントロール試験
Cranberry juice for the prevention of recurrences of urinary tract infections
in children: a randomized placebo-controlled trial.
Clin Infect Dis. February 2012;54(3):340-6.
Jarmo Salo; Matti Uhari; Merja Helminen; Matti Korppi; Tea Nieminen; Tytti Pokka; Tero Kontiokari
背景:クランベリージュースは、成人女性の尿路感染(UTIs)の再発を防ぐ。この研究の目的は、子供のUTIsの再発予防にクランベリージュースが有効かどうかを評価することだった。
方法:二重盲検無作為プラセボ-コントロール試験をフィンランドの7つの病院で実施した。UTIに対する治療を行っている合計263人の子供に、6か月間クランベリージュース(n=129)あるいはプラセボ(n=134)を飲ませる群に無作為に振り分けた。8人の子供はプロトコールを違反したため省かれ、残りの255人を最終的に分析した。子供は1年間モニターし、各自のUTIsの再発を記録した。
結果:クランベリー群の20人(16%)とプラセボ群の28人(22%)は、UTIが最低1回再発した(差、-6%;95%信頼区間、-16から4%;P=.21)。最初の再発までのタイミングに差はなかった(P=.32)。UTIの事象はクランベリー群で27回、プラセボ群で47回見られ、1人-1年あたりの発生密度のリスクはクランベリー群の方が0.16事象少なかった(95%信頼区間、-.31から-.01;P=.035)。クランベリー群の子供は有意に抗生物質投与日数が少なかった(-6日/患者-年;95%信頼区間、-7から-5;P<.001)。
結論:クランベリージュースはUTIsを再発する子供の数を有意に減少させることはなかったが、再発の実数値および関連する抗菌剤の使用を減らすのには有効だった。(Sato訳)
■シクロスポリン単独あるいはグルココルチコイド療法との併用で治療している炎症性皮膚疾患を持つ犬における尿路感染の頻度:遡及研究
Frequency of urinary tract infection in dogs with inflammatory skin disorders
treated with ciclosporin alone or in combination with glucocorticoid therapy:
a retrospective study.
Vet Dermatol. June 2012;23(3):201-e43.
Andrea L Peterson; Sheila M F Torres; Aaron Rendahl; Sandra N Koch
背景:長期にシクロスポリン療法を受けている犬の尿路感染(UTI)の頻度を調査した研究はほとんどない。
仮説/目的:この研究の目的は、シクロスポリン単独あるいはシクロスポリンとグルココルチコイドで治療している犬のUTIの頻度を調査することだった。2つ目の目的は、細菌尿、膿尿、尿比重がUTIの良い指標となるかどうか、シクロスポリンを投与している場合、ケトコナゾール療法の併用、性別、あるいは治療期間がUTIの頻度に影響するかどうかを判定することだった。
動物:さまざまな炎症性皮膚疾患の犬87頭と、6か月はシクロスポリンあるいはグルココルチコイドを投与されていない炎症性皮膚疾患を持つコントロール犬59頭
方法:遡及研究。シクロスポリンを投与されている犬の最初の尿培養を、フィッシャーの正確検定でコントロールと比較した。細菌培養陽性と治療期間、シクロスポリン投与量、ケトコナゾール療法の併用、性別との関連を検討するのにロジスティック混合モデルを使用した。細菌尿、膿尿および尿比重に対する感受性及び特異性を判定した。
結果:シクロスポリン投与犬87頭中26頭(30%)は1つ以上培養陽性だった。コントロールサンプルの3%が陽性と比較して、投与犬の15%は陽性だった(P=0.027)。細菌尿に対する感受性と特異性はそれぞれ64.1%と98.1%、膿尿では74.4%と70.9%、尿比重に対しては56.4%と65.3%だった。他に分析したパラメーターについて有意差はなかった。
結論と臨床意義:ルーチンな尿培養と膀胱穿刺による細菌尿の評価は、長期にシクロスポリン単独あるいはグルココルチコイドと併用投与している犬に対してモニタリングの1部として行うべきである。(Sato訳)
■先天的両側性尿管狭窄のある1頭の犬に対する尿管ステントの内視鏡的設置による治療
Endoscopic placement of ureteral stents for treatment of congenital bilateral
ureteral stenosis in a dog.
J Am Vet Med Assoc. April 2012;240(8):983-90.
Nathaniel K Lam; Allyson C Berent; Chick W Weisse; Christine Bryan; Andrew J Mackin; Demetrius H Bagley
症例紹介:5歳8.6kgの避妊済みメスのパグの慢性的な血尿、再発性尿路感染を評価した。
臨床所見:排泄性尿路造影、超音波、排泄性CTの尿路造影検査を実施した。その結果、両側性水腎症および水尿管を認め、近位尿管狭窄を疑った。逆行性尿管腎盂造影で各尿管の腎右尿管移行部の狭窄と大量の管腔内尿管壊死組織片を確認した。臨床所見により上部尿路の先天性両側性奇形が示唆された。
治療と結果:犬に麻酔をかけ、腎右尿管移行部閉塞の即時の解放のため、エックス線透視下で膀胱鏡により2
double-pigtail尿管ステントを設置した。各ステントは左あるいは右腎盂から膀胱まで適用した。処置と麻酔からの覚醒は何事もなかった。水腎症、水尿管および排尿困難の程度の持続的改善がステント設置後2、4、12、16、45週目の定期的検査で明らかだった。その後12か月以上、尿路感染は抗生物質による治療で成功したほか、全ての臨床症状は改善を維持した。
臨床的関連:特に尿路結石あるいは腫瘍が存在しない犬の水腎症の鑑別診断に尿管狭窄を考慮すべきである。慢性血尿および再発性尿路感染はこの状況に関係している可能性がある。尿管ステントの設置は、先天性尿管閉塞の良好な治療選択の1つになるかもしれない。(Sato訳)
■猫の尿酸結石のリスクファクター
Risk factors for urate uroliths in cats.
J Am Vet Med Assoc. April 2012;240(7):842-7.
Hasan Albasan; Carl A Osborne; Jody P Lulich; Chalermpol Lekcharoensuk
目的:猫の尿酸結石に関係する個体群統計的要因を確認することと、検査所への尿石の提出率が長年にわたり変化してきたかどうかを調査すること
構成:症例シリーズと症例-コントロール研究
動物:症例は1981年1月1日から2008年12月31日の間に、ミネソタ尿石センターに委託された尿酸結石のある猫5072頭だった。コントロールは同期間に獣医療データベースの記録で確認した尿路疾患のない437228頭の猫とした。
方法:猫の種類、年齢、性別、生殖の状態、尿石の位置に対する情報をリスクファクターの確認に使用した。各年の尿石提出率の変化を評価した。
結果:純血種は雑種の猫(基準群)と比べて有意に尿酸結石発生確率が高かった。これに反し、アビシニアン、アメリカンショートヘアー、ヒマラヤン、マンクス、ペルシャ種の猫は、雑種よりも尿酸結石発生確率は有意に低かった。中性化した猫は、未不妊化の猫よりも12倍尿酸結石が発生しやすかった。全ての年齢群の猫で、1歳以下の猫(基準群)と比較して尿酸結石発生の確率が有意に増加していた。4歳以上7歳未満の猫が全ての群の中で最も高い確率を示し、1歳未満の猫の51倍発生しやすかった。尿石提出率に年がたつにつれての変化はなかった。
結論と臨床的関連:この研究の所見で、尿酸結石のある代表的な猫は、純血の中性化した猫、4-7歳齢、膀胱あるいは尿道の尿石だと示唆された。この情報は、生体内の尿石のミネラル組成を予測するのに役立つと思われる。しかし、因果関係に関して結論を出すことはできない。(Sato訳)
■並置単層あるいは内反二層膀胱縫合を行った犬と猫の短期合併症発生率の比較:144症例(1993-2010)
Comparison of short-term complication rates between dogs and cats undergoing appositional single-layer or inverting double-layer cystotomy closure: 144 cases (1993-2010).
J Am Vet Med Assoc. January 2012;240(1):65-8.
Kelley M Thieman-Mankin; Gary W Ellison; Cynthia J Jeyapaul; Carmen S Glotfelty-Ortiz
目的:内反二層パターンによる膀胱切開の縫合(I群)または並置単相パターンによる縫合(A群)を行った犬と猫の短期合併症発生率を比較すること
構成:回顧的症例シリーズ
動物:1993年から2010年の間に膀胱切開を行ったクライアントが所有する犬と猫144頭
方法:シグナルメント、膀胱切開の理由、膀胱縫合方法、入院中に発生した合併症、入院期間に関する情報を医療記録から入手した。短期合併症発生率と入院期間に対する縫合方法の影響を研究した。
結果:膀胱縫合後144頭中2頭に裂開と尿腹が発生した:1頭はI群、1頭はA群。A群の動物で、79頭中29頭(37%)は、血尿や排尿障害のような軽度合併症を発症した。I群の動物で、65頭中33頭(50%)は同様の合併症を発症した。マイナーあるいはメジャーな合併症の有病率に関してI群とA群に有意差はなかった。平均入院期間は4.1日で、群間に有意差はなかった。
結論と臨床的関連:膀胱切開の閉鎖に対し並置単層縫合パターンは、尿漏出のリスクも最小限の安全で有効な方法で、短期合併症発生率は37%だった。内反二層縫合パターンに明らかな利点がないため、膀胱切開の閉鎖に対する並置単層縫合パターンの臨床における使用を推奨されるかもしれない。(Sato訳)
■健康な猫でオカルト細菌尿の発生
Occurrence of occult bacteriuria in healthy cats.
J Feline Med Surg. October 2011;13(10):800-3.
Anna V Eggertsdottir; Bente K Saevik; Ingvild Halvorsen; Henning Sorum
健康な成猫における発生率の知識は、科学的文献において不足している。この研究は、下部尿路疾患の併発あるいは過去に症状を持ったことがない健康な猫で、細菌尿の発生率を調査することだった。
108頭の猫、53頭オス(49.5%)、55頭メス(50.5%)を研究した。年齢は7か月から18歳、平均年齢4.4歳、中央値4.0歳だった。尿は全ての猫から膀胱穿刺で採取し、細菌学的分析を行った。尿と尿沈渣は標準方法による定量および種の同定のために分離血液寒天培地で培養した。検出≧10(3)コロニー形成単位(cfu)/ml尿を有意な細菌尿とした。
10(5)を超える有意な細菌尿は、エンテロコッカス種とスタフィロコッカス種の組み合わせで1つのサンプルから検出された。107頭(99.1%)の猫の尿サンプルで細菌が発育したものはなかった。
我々の研究は、臨床的に健康な成猫において細菌尿の有病率は低いことを示す。また、膀胱穿刺で尿を採取した時のサンプルの汚染はまれである。(Sato訳)
■1頭の若いテリアに見られた尿管閉鎖による二次的な片側性水腎症および水尿管と単角子宮
Unilateral hydronephrosis and hydroureter secondary to ureteric atresia,
and uterus unicornis in a young terrier.
J Small Anim Pract. August 2011;52(8):441-4.
N Rousset; E Abbondati; B Posch; L J Owen; M Herrtage
9ヶ月のメスのテリア系雑種犬が間欠的食欲不振、嘔吐および最近見られた腹部痛と膨満で来院した。超音波検査と排泄性尿路造影により片側性水腎症を診断したが、原因は確定できなかった。尿管腎摘出後、罹患腎臓の組織検査で閉塞の原因として尿管閉鎖が示された。単角子宮も認められ、卵巣子宮摘出術を実施した。構造異常の組み合わせは、それらの一般的な発生学的前駆体の中腎管の子宮内での発育障害と説明できる。(Sato訳)
■下部および上部尿路結石を管理するための猫とシュウ酸カルシウム戦略
Cats and calcium oxalate Strategies for managing lower and upper tract stone disease.
J Feline Med Surg. September 2011;13(9):651-60.
Carrie A Palm; Jodi L Westropp
臨床関連:シュウ酸カルシウム(CaOx)を含む結石は、猫で確認される尿路結石の一般的なものの1つである。
リスクファクター:シュウ酸カルシウム結石形成に対するリスクファクターは、猫の種類、性別、食餌などを含む;ストレスと肥満はこの疾患のリスクファクターだろうと仮説が立てられている。
管理アプローチ:シュウ酸カルシウム結石再発を予防するために仕立てられた個々の管理戦略は重要で、食餌、環境および他の併発疾患の扱いを含むべきである。猫の水分摂取を増やすことは再発を予防する鍵となるメカニズムの1つである。
臨床チャレンジ:シュウ酸カルシウムの尿管結石症は困難なものと分かっていて、時折猫の命を脅かす問題である。結石が偶発的に見つかったそれらの猫において、周期的モニタリングは疾患進行を評価するために必要と思われる。尿管ステント設置のような介入処置は、再発症例や大きな石がある猫で現在よく行われるようになってきている。より重篤症例に対する周期的なエックス線撮影および頻繁なオーナーとのコミュニケーションは、下部および上部シュウ酸カルシウム結石疾患の猫の予後を良いものにする助けとなるだろう。
エビデンスベース:猫の上部および下部尿路シュウ酸カルシウム結石疾患の管理に関して発表したエビデンスベースの研究は限られており、このことがいくらかの猫の管理を難しい状況にしている。食餌変更の関連、内科管理、ストレス、肥満、外科的方法を評価するように構成された研究が、上部および下部尿路シュウ酸結石の猫に求められる。(Sato訳)
■ネコの細菌尿の正確な検出方法としての乾燥尿沈渣の修正ライト染色の評価
Evaluation of modified Wright-staining of dried urinary sediment as a method for accurate detection of bacteriuria in cats.
Vet Clin Pathol. June 2011;40(2):256-64.
Cheryl L Swenson; Agatha M Boisvert; Suzanne N Gibbons-Burgener; John M Kruger
背景:尿沈渣検査と定量的尿培養結果は逆の結果となることが多い。
目的:この研究の目的は、猫の細菌尿の検出および特性付けに対する定量的好気性細菌培養の結果と、染色しないで濡れたままの顕微鏡標本(wet-未染色)および尿沈渣の風乾修正ライト染色顕微鏡標本(dry-染色)の検査の正確性を比較することだった。また、尿検査により検出された膿尿の存在と潜在的リスクファクターを調査した。
方法:410頭の猫から膀胱穿刺で採取した472の尿サンプルで盲検前向き研究を行った。各猫の年齢と性別を記録した。白血球数の計数を含む完全な尿検査を実施した。各サンプルにおける細菌の定量および形態をwet-未染色(認定された医療技術者により実施)およびdry-染色(獣医臨床病理学者により実施)の顕微鏡検査で判定し、定量的細菌培養結果と比較した。
結果:472の尿サンプルのうち、29は培養により細菌尿陽性で正確に陽性と考えられ、443は正確に陰性と考えられた。
それらの結果と比較し、wet-未染色およびdry-染色尿の検査は、それぞれ感受性は75.9%、82.8%、特異性56.7%、98.7%、試験効率57.8%、97.7%だった。wet-未染色およびdry-染色尿の検査の陽性尤度比はそれぞれ1.8と63.7で陰性尤度比は0.42と0.17だった。29の培養陽性サンプルと比較して、wet-未染色方法の形態一致および誤分類率は37.9%と62.1%、一方dry-染色方法の形態一致および誤分類率は65.5%と34.5%だった。細菌尿のサンプルの34%のみが膿尿だった。細菌尿の頻度は猫の年齢や性別をもとに有意差はなかったが、メス猫や10歳以上の猫で頻度が増える傾向があった。
結論:wet-未染色方法と比較して、乾燥した尿沈渣の修正ライト染色による染色は、顕微鏡による細菌尿の検出および分類の感受性、特異性、試験効率を有意に改善した。膿尿は細菌尿の有無を判定する判断基準にするべきではない。(Sato訳)
■犬の尿を含む前立腺空洞性病変
Prostatic cavitary lesions containing urine in dogs.
J Small Anim Pract. March 2011;52(3):132-8.
J Bokemeyer; C Peppler; C Thiel; K Failing; M Kramer; M Gerwing
目的:この回顧的研究の目的は、犬において尿を含む前立腺空洞性病変(”尿性嚢腫”)の比率を判定し、それらの臨床管理を述べることだった。
方法:最初に前立腺空洞の超音波ガイド経皮ドレナージで治療した、臨床的に妥当な前立腺-貯留嚢胞/膿瘍の犬(n=87)を研究した。前立腺液:血清クレアチニン比をもとに、研究集団を2群に分けた:病変内に尿がある1群(n=16)、病変内に尿がない2群(n=71)。両群の医療記録を再検討した。
結果:尿を含む空洞性病変が87頭中16頭(18.4%;1群)で観察された。1群の10頭(62.5%)は、経過観察中に再び貯留するので腹部外科手術が勧められた。2群で腹部外科が推奨されたのは71頭中11頭(15.5%)だけだった。
臨床意義:犬で前立腺空洞性病変の18.4%(95%信頼区間、10.9-28.1%)が尿を含んでいた。前立腺腔の液体のクレアチニン測定は、術前の前立腺内尿道瘻形成の診断に役立つ手段で、それらの犬は経皮ドレナージ単独よりも積極的な外科療法を必要とする傾向がある。(Sato訳)
■2頭のメス犬の尿管瘤の診断と管理
Diagnosis and management of ureteroceles in two female dogs.
J Am Anim Hosp Assoc. 2011 Mar-Apr;47(2):138-44.
Todd A Green; Jason B Arble; Dennis J Chew; Robert M Dudley
2頭のメス犬を難治性頻尿と有痛性排尿のために検査した。1頭は尿失禁も示していた。2頭とも超音波検査と膀胱鏡検査により異所性尿管瘤と診断した。2頭は尿管瘤切除と新尿管造瘻術を行った結果、臨床症状は完全に解消した。文献ではあまり報告されないが、異所性尿管瘤は尿失禁を伴う、または伴わない再発性下部尿路感染に関係する。正確な診断と適切な治療で、異所性尿管瘤の予後は腎機能の有意な喪失を併発することなく良好である。(Sato訳)
■猫の尿管狭窄:10症例(2007-2009)
Feline ureteral strictures: 10 cases (2007-2009).
J Vet Intern Med. March 2011;25(2):222-9.
M S Zaid; A C Berent; C Weisse; A Caceres
背景:猫の尿管閉塞は一般的な問題として現れてくる。尿管狭窄は原因および疾病素因として報告されており、この状態の臨床経過は述べられていない。
目的:猫の尿管狭窄の症例を評価し、病歴特徴、臨床症状、診断画像検査、外科および内視鏡所見、病理組織、治療様式、短期および長期結果の特徴を述べる
動物:超音波検査、尿管腎盂造影、外科的探査あるいは病理組織検査の少なくとも2つの適合所見をもとにして尿管狭窄と診断された10頭の猫
方法:回顧的研究
結果:年齢、血清クレアチニン濃度、腎盂の大きさの中央値はそれぞれ12歳、3.7mg/dl、11.75mmだった。狭窄部位の超音波検査において高エコーの尿管周囲組織が10頭中6頭に見られた。4頭の猫は手術時に下大静脈後尿管の所見があった。8頭の猫は尿管ステント設置(n=6)および従来の外科手術(n=2)の介入があった。最終検査時、8頭中7頭は退院に先立ち血清クレアチニン濃度および腎盂パラメーターの低下があり、最終検査時6頭は持続的に結果を改善していた。全ての猫は生存して退院した。生存期間中央値は>294日(範囲14->858日)で、10頭中6頭は生存中だった。
結論と臨床意義:尿管狭窄は尿管手術、炎症、下大静脈後尿管、尿管結石のつまり、あるいは原因不明で二次的に猫に発生すると思われる。適切、適時の介入で、長期生存性の予後は良好である。尿管再移植あるいは尿管腎切除に加え、尿管ステント術あるいは皮下尿管バイパスが将来の治療オプションとして考慮されるだろう。(Sato訳)
■猫の尿道閉塞の治療でカテーテル処置と疼痛管理に対する尾骨硬膜外局所麻酔
Coccygeal epidural with local anesthetic for catheterization and pain management in the treatment of feline urethral obstruction.
J Vet Emerg Crit Care. February 2011;21(1):50-2.
Angela K O'Hearn; Bonnie D Wright
目的:低用量鎮痛を用い尿道閉塞のオス猫におけるカテーテル処置を容易にするため、局所麻酔の尾骨硬膜外注射を実施する方法を述べる
意義:来院時に多くの猫が顕著な代謝異常を起こしていると思われるため、尿道閉塞の迅速な診断と軽減が重要である。それらの猫の全身麻酔は、合併症に対する重要なリスクと関係するかもしれない。疼痛管理も重要な治療目的で、この方法は閉塞解除過程の尿道および陰茎の疼痛を軽減する。
結論:尾骨硬膜外麻酔は、陰茎と尿道の鎮痛に安全に使用でき、著者の知識ではオス猫の尿道閉塞の軽減を補助する新しい治療様式である。(Sato訳)
■犬の発情前期子宮内膜出血の形態学的基礎
The morphological basis of proestrus endometrial bleeding in canines.
Theriogenology. February 2011;75(3):411-420.e1.
I Walter; G Galabova; D DIMOV; M Helmreich
発情前期中の子宮内膜出血はメス犬のよく知られている現象である。しかし、細胞レベルの正確な事象は研究されていない。現在の研究において、犬におけるこの周期性事象についての情報を得るために免疫組織化学法と透過型電子顕微鏡検査が利用されている。発情前期中のH&E染色切片において長く伸びた血管が見られた。Ki67免疫染色による所見でそれら血管の有糸分裂活性が示された。ラミニンおよびヴォン・ヴィレブランド因子に対する免疫組織化学染色で示されるように子宮内膜血管の内皮内層と基底膜に連続性が見られるが、透視型電子顕微鏡において子宮内膜小静脈における極度の壁厚減少と血管壁の断絶が認められた。それらの部位において血小板は頻繁に見られ、免疫組織化学でも検出される。興味深いことに、電子顕微鏡で検査した子宮内膜毛細血管は、無傷の壁だった。ゆえに、我々は発情前期出血の主要原因となる血管は上皮下毛細血管というよりも子宮内膜小静脈であると仮定する。(Sato訳)
■尿管結石切除術後の猫の術後死亡率
Postoperative mortality in cats after ureterolithotomy.
Vet Surg. June 2011;40(4):438-43.
Scott F Roberts; Lillian R Aronson; Dorothy C Brown
目的:尿管閉塞の治療のために単一あるいは複数の尿管切開処置を行った猫において、退院前の死亡率に関係する術前リスクファクターを確認すること
研究構成:症例シリーズ
動物:猫(n=47)
方法:尿管結石切除術を行った猫の医療記録(2002-2009)からデータを入手した。生存して退院することに対し、複数の術前ファクターを評価した。
結果:尿管結石切除後に生存して退院したのは79%(37/47)だった。猫の79%以上は術前高窒素血症で、94%は超音波診断時に慢性腎疾患変化が見られた。6頭の猫は尿管結石切除の合併症のため、追加外科処置を必要とした。術後尿腹症の総罹病率は6%(3/47)だった。多変量分析において、生存して退院することに有意に関与する術前変動値はなかった。
結論:猫の尿管結石切除術は退院する前に21%の死亡率を示した。死亡率に関係する術前変動値は確認されなかった。ゆえに、この猫の集団において尿管結石切除後の死亡率に対してより区別された術前特性を確認するための追加研究が必要である。(Sato訳)
■未避妊および避妊済みメス犬の尿道周囲組織のIII型コラーゲンとI型コラーゲンの割合の評価
Evaluation of the ratio of collagen type III to collagen type I in periurethral tissues of sexually intact and neutered female dogs.
Am J Vet Res. June 2010;71(6):697-700.
Julie K Byron, Thomas K Graves, Michael D Becker, Joseph F Cosman, Erin M Long
目的:未避妊および避妊済みのメス犬の尿道周囲組織におけるIII型コラーゲンとI型コラーゲンの割合を判定する
動物:避妊済みメス犬8頭および未避妊メス犬34頭
方法:尿管が関係しない理由で安楽死されたメス犬から組織を入手した。I型およびIII型コラーゲンの間接免疫蛍光抗体検出を、各犬の2箇所の尿道周囲サンプルで共焦点顕微鏡を用いて実施し、III型とI型コラーゲン領域比率を判定した。
結果:未避妊および避妊済みメス犬の尿道周囲組織のコラーゲン比率に有意差は認められなかった。
結論と臨床関連:閉経前および閉経後の女性で、尿道周囲のコラーゲンに違いが見られるのとは対照に、犬でそのような違いは起こらないと思われる。これは、避妊済みメス犬において構造を支持する骨盤臓器の変化は、尿失禁の重要な役割を演じることはないと暗示する。犬の尿失禁の病因においてコラーゲンおよび構造を支持する骨盤臓器に対する年齢の影響を判定する追加研究が必要である。(Sato訳)
■前立腺肥大:犬の治療オプション
[Benign prostatic hyperplasia: Treatment options in the dog.]
Benigne Prostatahyperplasie: Therapiemoglichkeiten beim Hund.
Schweiz Arch Tierheilkd. June 2010;152(6):279-84. German
M Renggli, I Padrutt, E Michel, I Reichler
前立腺肥大は、その上皮と間葉構造の増殖による主に前立腺の非炎症性拡大である。それらの生理学的変化は未不妊の高齢オス犬の95%以上に見ることができるが、漿液血液性尿道分泌物、血尿、扁平な糞便、便秘としぶりなどの一般的な臨床症状は、それらのうち小数が見られるだけである。外科的去勢に加え、GnRHデポー類似物質による精巣機能のホルモン性抑制、抗アンドロゲン剤による5α-還元酵素あるいは末梢アンドロゲン作用の抑制が今日利用できる。これで各患者に対する最適な治療戦略を見つけることが出来る。(Sato訳)
■犬において膀胱穿刺あるいはフリーキャッチで採取した尿サンプルの尿蛋白-クレアチニン比の比較
Comparison of urine protein-to-creatinine ratio in urine samples collected by cystocentesis versus free catch in dogs.
J Am Vet Med Assoc. June 2010;236(11):1221-4.
Laura Beatrice, Francesca Nizi, Daniela Callegari, Saverio Paltrinieri, Eric Zini, Paola D'Ippolito, Andrea Zatelli
目的:犬において膀胱穿刺あるいはフリーキャッチにより採取した尿サンプルで測定する尿蛋白-クレアチニン(UPC)比が同様の診断的情報をもたらすかどうかを調査する
構成:評価研究
動物:尿検査が必要な種々の健康問題で評価あるいはリーシュマニア症の発病地域で蛋白尿のスクリーニング検査を受けた115頭の飼育犬
方法: 115頭の犬から1つは膀胱穿刺、1つはフリーキャッチで230のペア尿サンプルを採取した。UPC比は、尿沈渣分析により活動性炎症の指標がない81頭の犬から採取したペア尿サンプル(n=162)で測定した。膀胱穿刺により採取した尿サンプルのUPC比をもとに、International Renal Interest Society (IRIS)に従い犬を非蛋白尿(UPC比<0.2)、蛋白尿ボーダーライン(UPC比0.2-.0.5)、蛋白尿(UPC比>0.5)に分類した。
結果:膀胱穿刺あるいはフリーキャッチで採取した尿サンプルのUPC比の相関性は強かった(r(2)=0.90)。81頭中75頭(92.6%)の犬の両尿サンプルのUPC比は、カッパ係数0.83の同じIRISサブステージに分類された。
結論と臨床関連:フリーキャッチで採取した犬の尿サンプルでもUPC比は最小限の影響しか受けず、ゆえにこの方法で蛋白尿のグレードの正確判定は可能である。採取が容易なフリーキャッチ尿サンプルで高い信頼性のUPC比が得られることから、蛋白尿を評価するのにもっと使用すべきである。(Sato訳)
■尿石症の犬の管理としてレーザー砕石術と膀胱切開術の比較
Comparison of laser lithotripsy and cystotomy for the management of dogs with urolithiasis.
J Am Vet Med Assoc. May 2009;234(10):1286-94.
John M Bevan, Jody P Lulich, Hasan Albasan, Carl A Osborne
目的:犬における尿石(すなわち尿管膀胱結石および尿道結石)除去に対し、レーザー砕石術および膀胱切開術の効果、必要とされる源、周術合併症を比較すること
構成:遡及症例-コントロール研究
動物:レーザー砕石術(症例犬)で治療した尿石症の犬66頭と膀胱切開(コントロール犬)で治療した尿石症の犬66頭
方法:医療記録を再検討した。膀胱切開群と砕石群の犬で、完全尿石除去率、源(すなわち入院期間、処置時間、麻酔時間、処置費用、麻酔費用)、および合併症(すなわち低血圧、低体温、不完全な尿石除去、補助処置の必要性)を比較した。
結果:膀胱切開群に比べ砕石群の犬の入院期間は有意に短かった。砕石群に比べ膀胱切開群の処置時間は有意に短かった。膀胱切開群の麻酔コストは有意に少なかった。尿石除去率、処置コスト、麻酔時間、評価した合併症のいずれに関しても両群の間で有意差は認められなかった。
結論と臨床関連:レーザー砕石術は、犬の尿管膀胱結石および尿道結石を安全で効果的に除去できる最少侵襲処置である。犬の尿路の下部からの尿石症の除去で膀胱切開と比較し、レーザー砕石術に関して必要とする源あるいは合併症に有意差は見られなかった。レーザー砕石術は、犬の尿道結石および尿管膀胱結石の外科的除去に代わる、適した最小侵襲方法である。(Sato訳)
■ラットのエストラジオール誘発性前立腺炎に対するオリゴマー化されたポリフェノールの予防効果
Preventive effects of oligomerized polyphenol on estradiol-induced prostatitis in rats.
Yonsei Med J. 2009 Jun 30;50(3):391-8. Epub 2009 Jun 23.
Kim DS, Lee EJ, Cho KS, Yoon SJ, Lee YH, Hong SJ.
目的:慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群(CP/CPPS, NIH category III) は前立腺炎症例の90-95%を占める。しかし標準的な治療はまだ確立されていない。ポリフェノールは抗酸化能力で炎症を抑制する効果があり、ポリフェノール誘導体であるオリゴノールは一般的なポリフェノールより生物学的利用率と生物活性がより高いことが知られている。我々はエストラジオール誘発性前立腺ラットモデルにおけるオリゴノールの抗炎症効果とメカニズムを調査した。
材料と方法:Wistar系雄ラット(n = 20)に17β-エストラジオール(E2)とジヒドロテストステロン(DHT)を使って前立腺炎を誘発した。10頭のラットはオリゴノールで治療したグループとし、10頭はE2 + DHTで処置したグループとした。他の10頭のラットも健常コントロールグループとして組み込んだ。経管栄養チューブでオリゴノール (60 mg/kg/day) を4週間投与した。スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)そして腫瘍壊死因子-アルファ(TNF-alpha) を定量化し、前立腺組織においてIκBaのリン酸化と組織学的変化も評価した。
結果:スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)とグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)活性は、健常コントロールグループに比べ、オリゴノールで治療したグループにおいて増加する傾向が見られた。腫瘍壊死因子-アルファ
(TNF-alpha)発現は、オリゴノールで治療したグループにおいて僅かに減少した。オリゴノールで治療したグループにおけるIκBaのリン酸化は、健常コントロールグループに比べ有意に低かったことがウェスタンブロッティングで証明された。E2+DHTで処置したグループは、前立腺における腺房上皮細胞の重度萎縮と白血球およびリンパ球の浸潤が明らかにされたが、オリゴノールで治療したグループは炎症兆候が全体的に減少した。
結論:オリゴノールが IκBaのリン酸化を調節することによって、エストラジオール誘発性非細菌性前立腺炎を改善することがこの研究で証明された。これらの所見はオリゴノールが慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群(CP/CPPS)の予防と治療に有益な効果があることを示している。(Dr.Kawano訳)
■猫における下部尿路のオカルト細菌感染-尿検査と培養所見
Occult bacterial lower urinary tract infections in cats-Urinalysis and culture findings.
Vet Microbiol. April 2009;136(1-2):130-4.
Annette Litster, Susan Moss, Joanne Platell, Darren J Trott
細菌性尿路感染(UTIs)は、さまざまな状況に対する診断試験の一部として猫の尿を尿検査および培養に供して検出できる。我々の目的は、下部尿路症状の病歴のない猫から尿検体を採取し尿検査および培養所見を調査することだった。研究する基準は、下部尿路症状、不適切な排尿の病歴、過去にUTI(腎盂腎炎を含む)がない猫からの膀胱穿刺検体とした。
132検体のうち、38検体は培養陽性、94検体は培養陰性だった。
培養陽性尿検体は、陰性検体よりも老齢雌猫のもの(それぞれP=0.03、P<0.001)が多く、pH(p=0.001)、赤血球(P=0.013)、白血球数(p=0.003)がより高かった。グラム陰性菌感染検体(n=15)は、グラム陽性菌感染検体(n=21;それぞれp=0.0012、p=0.005)および培養陰性検体(それぞれp=0.003、p=0.0001)よりも尿比重が低く、白血球数が高かった。グラム陰性菌感染検体の尿蛋白:クレアチニン比は、培養陰性検体よりも高かった(p=0.013)。エンテロコッカスfaecalisは最もよく見られた分離菌(合計44分離菌のうち19;43.2%)で、E. coli系統発生群B2は最も一般的なグラム陰性分離菌だった(44分離菌のうち14;31.8%)。
猫細菌性尿路感染は、下部尿路症状のない猫でも発生する可能性があり(特に老齢猫)、尿中赤血球および白血球数の高値に関与すると結論付ける。(Sato訳)
■薬物性尿石症
Drug-induced urolithiasis
Vet Clin North Am Small Anim Pract. January 2009;39(1):55-63.
Carl A Osborne, Jody P Lulich, Laurie L Swanson, Hasan Albasan
犬、猫、他の動物における薬剤、それらの代謝、毒性成分を含む尿石の有病率は不明である。著者は動物集団における特定薬剤およびそれらの使用を研究した。種々の動物における尿石お呼び尿石形成に関してそれらの薬剤を考察し、著者自身の研究および文献からのエビデンスに基づき安全に使用できる薬剤の推奨を作成する。(Sato訳)
■1981-2007年の犬の尿石、猫の尿石、猫の尿道栓子451891検体の分析:ミネソタ尿石センターの展望
Analysis of 451,891 canine uroliths, feline uroliths, and feline urethral plugs from 1981 to 2007: perspectives from the Minnesota urolith center
Vet Clin North Am Small Anim Pract. January 2009;39(1):183-97.
Carl A Osborne, Jody P Lulich, John M Kruger, Lisa K Ulrich, Lori A Koehler
尿石症は尿路のどこにでもできた石の原因および作用を言及する一般的な用語である。尿石症は複数に相互作用する基礎的異常の続発症というよりむしろ、単一の原因を持つ単一の病気として概念的に考えるべきではない。
このように尿石症の症候群は、石(すなわち尿石)を生じる尿の排泄性代謝の析出リスクを進行性に増加させる家族性、先天性あるいは後天的病態生理学的因子の発生と定義されるかもしれない。以下の疫学的考察は、1981-2007年にミネソタ尿石センターに提出された犬の尿石350803検体、猫の尿石94778検体、猫の尿道栓子6310検体の定量分析を基にしている。(Sato訳)
■犬の複合尿石の頻度と管理のパラダイム変化
Changing paradigms in the frequency and management of canine compound uroliths
Vet Clin North Am Small Anim Pract. January 2009;39(1):41-53.
Lisa K Ulrich, Carl A Osborne, Amy Cokley , Jody P Lulich
この文献は犬の複合尿石の組成、形成、治療および個々の患者が呈するかもしれない独特の原因因子の認識の重要性を論ずる。最初にどのような複合尿石で、どのように形成されるのかの詳細分析を述べた後、1981-2007年の間に提出された犬の尿石の例とデータを提供する。
最終的にこの文献は、既存尿石の溶解あるいは尿石の再発を最小限にするため、個々の患者に対する管理戦略を立てる時、このデータの重要性を論じる。(Sato訳)
■猫における尿路感染のリスクファクターとして尿比重と尿沈渣の評価
Evaluation of urine specific gravity and urine sediment as risk factors for urinary tract infections in cats
Vet Clin Pathol. September 2008;37(3):317-22.
Nathan L Bailiff, Jodi L Westropp, Richard W Nelson, Jane E Sykes, Sean D Owens, Philip H Kass
背景:濃縮尿において存在する一般的な静菌特性の欠如のため、等張尿となる疾患は尿路感染の素因を持つと示唆されている
目的:この研究の目的は、慢性腎疾患(CKD)、真性糖尿病(DM)、管理されていない甲状腺機能亢進症(HT)、あるいは下部尿路疾患(LUTD)の猫で、尿培養結果陽性に対する臨床病理学的リスクファクターを評価すること
方法:この遡及研究では、1995年1月から2002年12月の間に、尿検査と尿の好気性細菌培養を行った全ての猫の医療記録を再検討した。徴候、体重、臨床病理学的データを記録した。医療記録をもとに、CKD、DM、HT、あるいはLUTDの診断を下した。罹患率オッズ比および95%信頼区間をロジスティック回帰で算出した。疾患群の交絡効果をコントロールしながら、関心の各変動値に対する多変量モデルを作成した。
結果:614頭の猫がこの研究の基準に合致した。全体で尿培養陽性は、CKDの猫の16.9%、DMの猫の13.2%、HTの猫の21.7%、LUTDの臨床症状を持つ猫の4.9%で確認された。尿比重の低下は、疾患をコントロールした時に尿培養陽性に関与しなかったが、膿尿、細菌尿、血尿はすべて尿培養陽性結果に関与した。ペルシャ猫、雌猫、加齢、体重減少はすべて尿培養陽性結果に関与した。
結論:等張尿の存在のみをもとにした尿培養の実施は是認されるものではないと思われる。それら疾患の猫における尿細菌集落形成に対する宿主疾病素因を確認するのに役立つ更なる研究が必要と思われる。(Sato訳)
■尿石症に関係する遺伝欠損の診断におけるパラダイム変化
Changing Paradigms in Diagnosis of Inherited Defects Associated with Urolithiasis
Vet Clin North Am Small Anim Pract. January 2009;39(1):111-125.
Bannasch , Paula S Henthorn
遺伝疾患の研究に関する考えおよびアプローチする獣医学者の方法は変わっていないが、その利用ツールは変化を続けており、さらに複雑な問題を研究することが可能で、単純な問題の脈絡においてより急速に進歩している。客観的にそれらの進歩により、まずこの文献は特に人における遺伝疾患を研究するためのアプローチに対する歴史的展望を提供し、犬のゲノムシーケンスの有効性の可能性を持つようになっている進歩の概要を述べる。
その後、尿石症に関係する2つの遺伝欠損、特にシスチンおよびプリン(尿酸およびその塩)の尿石形成の原因となるものを述べる。共に、それら2つの状態は広範囲の遺伝アプローチの現代の使用を説明する。(Sato訳)
■砕石術により尿石の治療におけるパラダイムの変化
Changing paradigms in the treatment of uroliths by lithotripsy
Vet Clin North Am Small Anim Pract. January 2009;39(1):143-60.
Jody P Lulich, Larry G Adams, David Grant, Hasan Albasan' , Carl A Osborne
犬の下部尿路から尿石を除去する一般的な方法は依然外科手術である。体内レーザー砕石術および体外衝撃波砕石術の組み込みは、しかしながら獣医師の尿石の管理方法においてパラダイムシフトに対する起動力を提供している。それら最小限の侵襲技術は、外科的尿石摘出の良好な代替療法を提供する。(Sato訳)
■犬および猫の尿石症の管理に対する栄養の役割におけるパラダイム変化
Paradigm changes in the role of nutrition for the management of canine and feline urolithiasis
Vet Clin North Am Small Anim Pract. January 2009;39(1):127-41.
Carl A Osborne, Jody P Lulich, Dru Forrester , Hasan Albasan
実験および臨床調査の結果は、尿石症の溶解、予防を促進するため構成された医療プロトコールにおいて食餌修正の重要性を確認している。尿石の内科管理の目標は、更なる成長の阻止、基礎にある異常の修正あるいは管理により尿石溶解を促進することである。最も効果のある治療のため、結石生成性晶質を持つ尿の不飽和を1)晶質の尿溶解度を増す、2)晶質が溶解あるいは懸濁した尿の量を増す、3)尿中結石生成性晶質の量を減らすことにより促進すべきである。この文献は、ミネソタ尿石センターで実施された犬および猫の実験および臨床研究から得られた尿石症の栄養管理についての所見を概説および適用する。(Sato訳)
■猫特発性膀胱炎のパラダイムの変化
Changing paradigms of feline idiopathic cystitis
Vet Clin North Am Small Anim Pract. January 2009;39(1):15-40.
John M Kruger, Carl A Osborne, Jody P Lulich
1996年から猫における下部尿路疾患に関する知識の既存体を著者が集めるとき、自然発生した猫特発性膀胱炎の生物学的行動および病理学的特徴の理解は増している。単一モデルで特発性膀胱炎の猫に見られる生物学的変動性を全て説明できるものはない。著者の経験と入手可能な所見は、猫の特発性膀胱炎がいくつかの別々の基礎であるが1つの原因の疾患よりむしろ潜在的に相互関係のあるメカニズムから起こる症候群を呈することを示す。猫特発性膀胱炎の安全で効果的な治療および予防戦略の確認は、基礎原因に依存して変化しやすくなるだろう。(Sato訳)
■炎症性慢性前立腺炎-慢性骨盤痛症候群の患者に対する花粉抽出物(セルニルトン):多施設ランダム化前向き二重盲検プラセボコントロールフェーズ3試験
A pollen extract (Cernilton) in patients with inflammatory chronic prostatitis-chronic pelvic pain syndrome: a multicentre, randomised, prospective, double-blind, placebo-controlled phase 3 study.
Eur Urol. 2009 Sep;56(3):544-51. Epub 2009 Jun 3.
Wagenlehner FM, Schneider H, Ludwig M, Schnitker J, Brahler E, Weidner W.
背景:国立衛生研究所(NIH)でカテゴリーIIIとなっている前立腺炎/慢性骨盤痛症候群(CP/CPPS)は、標準化された治療がなく蔓延している状況である。
目的:炎症性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の男性に対する標準化された花粉抽出物の安全性と効果を評価することだった。
デザイン、場所および患者:我々は泌尿器センターに通院する前立腺炎/慢性骨盤痛症候群(国立衛生研究所カテゴリーIIIA)の男性に対して、花粉抽出物(セルニルトン)とプラセボを比較する多施設ランダム化前向き二重盲検プラセボコントロールフェーズ3試験を行った。
介入:患者はランダムに、花粉抽出物(8時間毎に2カプセル)あるいはプラセボを12週間内服した。
測定:この研究の主要評価項目は、NIH 慢性前立腺炎症状指数(NIH-CPSI)に関する痛み領域における兆候改善だった。患者はNIH 慢性前立腺炎症状指数(NIH-CPSI)を使ってそれぞれの領域スコアと総スコア、前立腺マッサージ後の尿内(VB3)の白血球数、国際前立腺症状スコア(IPSS)そして生活満足度質問表の性的能力を基線と6と12週後で評価した。
結果と限界:全例解析において、139名の男性をランダムに花粉抽出物(n=70)あるいはプラセボ
(n=69)に割り当てた。総NIH慢性前立腺炎症状指数スコア(p=0.0126)と同じように個々の領域疼痛(p=0.0086)や生活の質(p=0.0250)は、プラセボと比べて花粉抽出物で12週間治療した後の方が有意に改善した。少なくとも25%あるいは少なくとも6ポイントのNIH
慢性前立腺炎症状指数スコアの減少を“反応”と定義すると、花粉抽出とプラセボはそれぞれ70.6%
と50.0% (p=0.0141)だった。研究に参加した患者すべてにおいて副作用は軽度だった。
結論:プラセボと比べて、花粉抽出物は重度な副作用なしで前立腺炎/慢性骨盤痛症候群(CP/CPPS)の患者において臨床症状、痛みそしてQOLが有意に改善した。(Dr.Kawano訳)
■飼育下の大型猫科動物における子宮蓄膿症:11症例の概要
Pyometra in captive large felids: a review of eleven cases.
J Zoo Wildl Med. March 2009;40(1):147-51.
Stephanie McCain, Ed Ramsay, Matthew C Allender, Carlos Souza, Juergen Schumacher
捕獲した外来猫科動物において3年で7頭のアフリカライオン(Panthera leo)、2頭のトラ(P. tigris)、1頭のライガー(ライオンとトラの交雑種)、1頭のヒョウ(P. pardus)、計11例で子宮蓄膿症を診断した。臨床症状は、食欲不振、嗜眠、外陰部からの分泌物、嘔吐だった。診断は臨床症状、CBC数、血漿生化学および電解質値、エックス線検査、腹部超音波検査をもとになされた。CBCおよび生化学検査における最も一般的な所見は、白血球増多(>15,000/microL)およびグロブリン増加による高蛋白血症(>8.2 g/dL)だった。腹部エックス線検査所見は大部分が非特異的だったが、常に超音波検査は膨張した液体に満たされた子宮を示した。各症例は卵巣子宮摘出術と全身性抗生物質療法で治療した。ライオンは他の種類と比べ、子宮蓄膿症を発症するリスクが高いことが示された。子宮蓄膿症は不妊していないメスの大型猫科動物の食欲不振あるいは嗜眠で鑑別診断に考慮すべきで、非繁殖メスライオンでは卵巣子宮摘出術が正当化されるだろう。(Sato訳)
■犬および猫の子宮の嚢胞性子宮内膜増殖症、偽性胎盤形成子宮内膜増殖症、他の嚢胞性疾患
Cystic endometrial hyperplasia, pseudo-placentational endometrial hyperplasia, and other cystic conditions of the canine and feline uterus
Theriogenology. August 2008;70(3):349-58.
D H Schlafer, A T Gifford
メス犬およびメス猫の子宮における嚢胞性病変は、漿膜包合嚢胞、腺筋腫、子宮内膜ポリープ、中腎管の嚢胞性遺残組織、内膜増殖症(嚢胞腺および”偽性胎盤形成”増殖)に関係する嚢胞など子宮漿膜、子宮筋層、子宮内膜から起こる。
それらのうち、"嚢胞性子宮内膜増殖(CHE)”が最も一般的で、子宮蓄膿症に関与することも多い。子宮内膜増殖症の二次形態がメス犬で起こる。それは100年前に最初に述べられたが、臨床医あるいは診断病理学者で広く認識されているわけではない。高組織化様式で子宮内皮が増殖するこの形態において、子宮の再構築は正常な妊娠における胎盤形成部の子宮内膜の組織にかなり似ている。
この病変はCEHと非常に異なるが、周期の黄体期の間に犬で誘発するのはかなり容易で、おそらくCHEモデリングとして不適切に提唱されている。この病変は多様に”脱落膜種”、偽妊娠における子宮内膜増殖、"母性胎盤様子宮内膜増殖"として言及されている。それに変わる名前は、この病変とCEHの違いに対する注意を述べ、描くことが推奨される。偽性胎盤形成子宮内膜増殖(PEH)という言葉が提唱される。CEHおよびPEHの病理組織、病因を考察する。この文献の目的は、犬の子宮の嚢胞性病変の病態生理学を概説し、自発症例から得た亜群顕微鏡写真を用いてそれらを述べ、各鍵となる診断的特長を示すことである。(Sato訳)
■猫の尿路感染のリスクファクターとして尿比重と尿沈渣の評価
Evaluation of urine specific gravity and urine sediment as risk factors for urinary tract infections in cats
Vet Clin Pathol. September 2008;37(3):317-22.
Nathan L Bailiff, Jodi L Westropp, Richard W Nelson, Jane E Sykes, Sean D Owens, Philip H Kass
背景:等張尿となる疾患は、濃縮尿で存在する一般的な静菌特性の欠如により、尿路感染になりやすいと言われている。
目的:この研究の目的は、慢性腎疾患(CKD)、真性糖尿病(DM)、管理されていない甲状腺機能亢進症(HT)、または下部尿路疾患(LUTD)の猫において、尿培養陽性結果に対する臨床病理学的リスクファクターを評価することだった。
方法:この遡及研究は、1995年1月から2002年12月までに尿検査と好気性細菌性尿培養を行った全ての猫の医療記録を再調査した。徴候、体重、臨床病理データを記録した。医療記録をもとに、猫をCKD、DM、HT、LUTDと診断した。有病オッズ比および95%信頼区間をロジスティック回帰で算出した。多変量モデルは、疾患群の交絡効果に対し管理する間の関心の各変動値で作成した。
結果:研究対象の基準に614頭の猫が合致した。全体で尿培養陽性は、CKDの猫の16.9%、DMの猫の13.2%、HTの猫の21.7%、LUTDの臨床症状を持つ猫の4.9%に認められた。尿比重の低下は、疾患を管理したとき尿培養陽性に関係しなかったが、膿尿、細菌尿、血尿は全て尿培養陽性に関係した。ペルシャ猫、雌猫、老齢猫、体重減少は、全て尿培養陽性に関係した。
結論:等張尿の存在のみを基にした尿サンプル培養の実施は、根拠になるとは思えない。それらの疾患の猫における尿細菌コロニー形成に対する宿主の素因の確認の手助けとなる更なる研究が必要と思われる。(Sato訳)
■雌犬における子宮粘液症、嚢胞性子宮内膜過形成、子宮蓄膿症:将来繁殖可能かどうかの評価と治療の進歩
Mucometra, cystic endometrial hyperplasia, and pyometra in the bitch: Advances in treatment and assessment of future reproductive success
Theriogenology. May 2008;0(0):.
J Verstegen, G Dhaliwal, K Verstegen-Onclin
子宮蓄膿症は10歳までに雌犬のほぼ四分の一が罹患する一般的な生殖疾患である。子宮蓄膿症と最も一般的な雌犬の子宮疾患である嚢胞性子宮内膜過形成の関連は確立されており、後者は発情後期に腟由来の片利共生細菌の子宮での増殖を可能にする。嚢胞性子宮内膜過形成で発生する進行性変性過程は、通常の雌犬の子宮蓄膿症の初期病変として提唱されている。これは、プロゲステロンにより介在され、潜在的にエストロジェンにより悪化する。しかし、栄養膜反応に対する局所子宮刺激が原因の別の過程と細菌増殖は、最近子宮蓄膿症を誘発する代わりのメカニズムとして提唱されている。子宮蓄膿症は、病原、症状、治療、予後で分娩後子宮炎あるいは子宮粘液症と臨床的に異なる。子宮蓄膿症の治療は昔から卵巣子宮摘出術であるが、ここ10年開放性、閉鎖性子宮蓄膿症で多数の効果的な治療が成功し、将来の繁殖も可能と提唱されている。利用可能な治療の中で、プロスタグランジン単独の低用量頻回投与、ドパミン作用薬あるいはプロゲステロン受容体拮抗薬の併用は、貴重な繁殖犬にたいする実行可能な代替法であると述べられている。(Sato訳)
■1頭のヨークシャーテリアに見られた排尿困難および排便困難の原因となるガートナー管嚢胞
A Gartner duct cyst of the vagina causing dysuria and dyschezia in a Yorkshire Terrier
J Vet Sci. December 2007;8(4):427-9.
Hye Jin Kim, Jin Kyung Kim, Ji Hye Choi, Jae Young Jang, Hyun Jung Ban, Jee Min Seo, Min Jung Lee, Hee Yeon Choi, Min Kyu Kim, Hyun Wook Kim
5歳未不妊メスのヨークシャーテリアが排尿困難および排便困難で来院した。エックス線および超音波検査により、膀胱尾側に薄い壁内に無響の液体を含む円形マスを認めた。手術中、その嚢胞は腟の外壁に付着し、腟腔に連絡していなかった。嚢胞の液体を除去し、嚢胞壁を切除した。それから残りの嚢胞壁を再発予防のため大網化した。組織学的検査でその嚢胞はヴォルフ管由来だと確認した。この症例で、泌尿器系問題を起こす大きなガートナー管嚢胞が診断され、外科切除により取り除かれた。(Sato訳)
■犬の前立腺肥大の治療におけるオサテロンおよびデルマジノンの効能
Efficacies of osaterone and delmadinone in the treatment of benign prostatic hyperplasia in dogs
Vet Rec. August 2008;163(6):179-83.
M Albouy, A Sanquer, L Maynard, H M Eun
犬の前立腺肥大の治療における酢酸オサテロン、デルマジノンの治療ポテンシャルを比較するために多施設無作為臨床試験を行った。
オサテロンは73頭の犬に7日間、1日1回0.25mg/kgを経口投与した。デルマジノンは69頭の犬に3mg/kgの筋肉内あるいは皮下注射を1回行った。180日の試験期間中に5回、臨床症状と前立腺の大きさをモニターした。
両薬剤は臨床症状を軽減させる同様の効果を示し、臨床的な完全寛解に導き、また副作用も同様のレベルで、最小のほとんどが一時的なものだった。オサテロンはデルマジノンよりも有意に急速に犬の前立腺の大きさを小さくした。(Sato訳)
■犬の前立腺疾患:解剖、病理、診断、治療の概要
Canine prostatic disease: A review of anatomy, pathology, diagnosis, and treatment
Theriogenology. August 2008;70(3):375-83.
J Smith
犬の前立腺を侵す病態は、小動物診療で頻繁に遭遇する。前立腺を侵す一般的な疾患は、良性前立腺肥大、前立腺炎、前立腺嚢胞、前立腺腫瘍などである。それらの各疾患に関係する臨床症状はオーバーラップすることがおおい。ゆえに、初期治療前の鑑別診断は重要である。
この文献は、犬の前立腺に関与する疾患、それらの診断、その疾患を管理する現在の治療オプションを概説する。強調している点は、前立腺およびその液体の適切な診断サンプリング、所見の解釈、前立腺疾患の治療に対する新しい医療オプションである。(Sato訳)
■犬における尿石の破砕に対するレーザー砕石術の使用:73症例(2005-2006)
Use of laser lithotripsy for fragmentation of uroliths in dogs: 73 cases (2005-2006)
J Am Vet Med Assoc. June 2008;232(11):1680-7.
Larry G Adams, Allyson C Berent, George E Moore, Demetrius H Bagley
目的:犬の膀胱および尿道尿石の破砕に対する経尿道膀胱鏡ガイド下レーザー砕石術の使用を紹介し、処置中および短期、長期結果を判定する
構成:遡及症例シリーズ
動物:膀胱および尿道、あるいはその両方に自然発生の尿石を持つ73頭の犬
方法:全ての犬に経尿道膀胱鏡ガイド下レーザー砕石術を実施し、医療記録から短期および長期結果と合併症について再検討した。
結果:レーザー砕石術は、メス犬全28頭とほとんどのオス犬(39/45、86.7%)の全ての尿石を完全に破砕した。尿道結石の犬は、膀胱結石の犬よりもレーザー使用時間中央値が短かった。レーザー砕石後の尿石の破片はbasketによる摘出および尿水推進排尿により除去できた。膀胱鏡ガイド下レーザー砕石術に関係する合併症はメス犬の5頭(17.9%)およびオス犬の6頭(13.3%)で発生した。
結論と臨床関連:膀胱および尿道結石の破砕に対する経尿道膀胱鏡ガイド下砕石術は、メス犬およびほとんどのオス犬で成功した。短期合併症で一般的なものは尿道の腫脹に関するもので、尿道カテーテルの留置で解消した。長期合併症はなかった。(Sato訳)
■加齢に伴う人の前立腺におけるカベオリン-1およびオキシトシンレセプターの分布変化
Changing caveolin-1 and oxytocin receptor distribution in the ageing human prostate
Anat Histol Embryol. October 2007;36(5):361-5.
Z Herbert, G Botticher, A Aschoff, E Sendemir, D-H Zermann, R Arnold, G Mall, G F Jirikowski
いくつかの知見は、カベオリン-1が細胞増殖や癌発生のコントロールに重要な役割を持つと示唆される。例えば、オキシトシンはオキシトシンレセプターが主としてカベオリン-1が豊富なドメインに局在する時、前立腺組織の増殖反応を刺激し、同レセプターがカベオラに局在しない時は抗増殖効果を刺激する。さらに、オキシトシン濃度は、良性前立腺肥大(BPH)の患者の前立腺組織で上昇している。
この研究では、カベオリン-1分子、オキシトシンレセプター、アンドロジェンレセプター、p21(細胞周期停止インジケーター)の発現パターンを、BPH患者と若いコントロールの前立腺組織で調査した。カベオリン-1とオキシトシンレセプターが、加齢と共に前立腺の平滑筋および上皮で劇的に増加することが分かった。また特にBPH患者における筋肉および上皮でオキシトシンレセプターとカベオリン-1の共存が有意に増加していることも分かった。アンドロジェンレセプターとp21染色は前立腺全体で認められたが、加齢またはBPH患者で有意な変化はなかった。
オキシトシンはカベオラ関連レセプターを通し、前立腺組織に増殖効果を持ちBPHに貢献するかもしれないと結論付ける。このプロセスはアンドロジェンレセプター非依存と思われる。(Sato訳)
■一般的な犬の前立腺疾患の外科管理
Surgical Management of Common Canine Prostatic Conditions
Compend Contin Educ Pract Vet. November 2007;29(11):656-673. 76 Refs
Thurid Freitag, DVM, PhD, Richard M. Jerram, BVSc, DACVS, Alex M. Walker, BVSc (Dist), MAVS, Chris G.A. Warman, BVSc, MAVS
前立腺疾患は一般的に外科的介入の正当な理由となる。早期去勢は良性前立腺肥大、前立腺炎、空洞化病変(前立腺膿瘍、のう胞)の発生を防ぐと思われる。それら疾患が存在する未去勢の犬において、去勢は治療の成功を高め、再発を防ぐと思われるので、常に特定外科治療の一部とするべきである。空洞性病変に対する選択の現在の治療は、術後死亡率の低下、より早い回復、他の前立腺ドレナージ法より再発率が低い前立腺の大網化である。転移所見がない前立腺腫瘍は、全前立腺摘出、術中放射線療法または術後化学療法を組み合わせた部分的前立腺摘出で管理すると思われる。前立腺や周囲組織の神経脈管分布の理解は、尿失禁、重度出血、無血管壊死のリスクを減らすのに必須である。術後管理は、鎮痛、適した抗生物質療法、部分または全摘の症例では一時的な尿カテーテル設置などである。(Sato訳)
■尿路感染症予防におけるクランベリーとブルーベリーのエビデンスに関する系統的レビュー
A systematic review of the evidence for cranberries and blueberries in UTI prevention.
Mol Nutr Food Res. 2007 Jun;51(6):738-45.
Jepson RG, Craig JC.
この概説で、我々は症候性尿路感染症(UTIs)の予防に関するクランベリーとブルーベリー産物の効果を評価する。
選択基準は症候性尿路感染症の予防に対するクランベリーあるいはブルーベリージュース/産物のランダム化あるいは準ランダム化コントロール試験だった。2006年11月に包括的な検索が実施し、そこで2人の検閲者が独自にデータを評価し抜粋した。コクラン基準を使って実験の質を評価した。適切に相対危険度(RR)を計算した。;さもなければナラティヴな統合を実施した。
ブルーベリー製品の関連試験は特定されなかった。クランベリー商品に関する9つの試験が選択基準を満たした。4つの上質なランダム化コントロール試験(RCTs)において、クランベリー製品はプラセボ/対象群と比べて12ヶ月間における症候性尿路感染症(UTIs)の発生率を明らかに減少(overall RR 0.65, 95% CI: 0.46-0.90)させた。5つの試験は適切なデータが欠如していたためメタアナリシスに含まれなかった。しかし、ある一つの試験からのみ有意な結果が報告された。副作用が一般的で、いくつかの試験において追跡の損失/離脱が高かった(> 40%)。特に再発性尿路感染症に罹患した女性においてクランベリージュースが12ヶ月以上の期間において症候性尿路感染症の発生回数を減少させるかもしれないという4つの上質なランダム化コントロール試験(RCTs)からのいくつかのエビデンスがある。他の影響を受けやすいグループで効果的であるかどうかは不確実である。(Dr.Kawano訳)
■尿失禁を持つ避妊済み雌犬におけるIncontexの効果、耐性、許容度
[Efficacy, tolerance and acceptability of Incontex in spayed bitches with urinary incontinence]
Wirksamkeit, Vertraglichkeit und Akzeptanz von Incontex bei Hundinnen mit kastrationsbedingter Harninkontinenz
Schweiz Arch Tierheilkd. July 2007;149(7):307-13. German
T Burgherr, I Reichler, L Hung, M Hubler, S Arnold
尿失禁を持つ避妊済み雌犬におけるIncontexの効果と許容度についての臨床研究を実施した。避妊手術による尿道括約筋機能不全の雌犬におけるIncontex(Dr. E. Graub AG, Bern, Schweiz)の効果と許容度を臨床の現場において無作為二重盲検により評価を行った。Incontexシロップの活性成分は、アルファ1アドレナリン作用薬のフェニルプロパノールアミン(PPA)である。研究は24頭の避妊済みで失禁を起こす雌犬で実施した。最初の投与期間30日は、雌犬にIncontex1.5mg/kg1日2回、またはプラセボを投与した。2回目の30日の期間は全ての犬24頭に推奨投与量でIncontexを投与した。失禁のどんな変化も研究前の状況と比較して評価した。
結果:24頭中21頭(88%)は自制出来るようになり、2頭(8%)は尿失禁が改善した。薬物投与で1頭(4%)のみ効果がなかった。5頭(21%)は副作用を示した。Incontexの許容性は良好だった。
結論と臨床関連:避妊後尿失禁を示す雌犬の治療で、Incontexは有効でよく許容する薬物療法として推奨できる。フェニルプロパノールアミン1.5mg/kg1日2回の経口投与が認証されている。(Sato訳)
■尿道下裂の犬における逆管双茎皮弁の使用による尿道の再建
Reconstruction of the urethra by use of an inverse tubed bipedicled flap in a dog with hypospadias
J Am Vet Med Assoc. July 2007;231(1):71-3.
Michael M Pavletic
症例記述:1歳去勢済みオスのジャーマンシェパードが、再発性尿路感染による二次的な血尿及び有痛性排尿困難の病歴のため評価した。
臨床所見:身体検査で、陰茎の尿道下裂と包皮形成不全が明らかとなった。尿道開口部は、肛皮線の腹側面のちょうど腹側だった。尿道開口部の糞便汚染による二次的な上行性尿路感染が、周期的抗生物質療法にもかかわらず発生する膀胱炎の再発の原因と思われた。
治療と結果:会陰の正中に沿って位置する残存尿道粘膜から直径1cmの伸展尿道を作成した(尿道溝)。2つの平行した4cmの切開(3cm離して)を尿道溝の側方に作成した。縁は、背側尿道開口部に付着するように逆上皮列管(双茎皮弁)を形作るように縫合した。側方の皮膚マージンは、再建した伸展尿道にかぶせるよう縫合し、処置を終えた。術後の腫脹で膀胱への一時的カテーテル設置を必要とした。再建した尿道分節から小フィステル閉鎖後、3年の間に膀胱炎は2回しか起こらなかった。尿排泄による皮膚刺激を最小にするため、規則的にオーナーによる新規尿道開口部の周りの毛刈りを行ってもらった。
臨床関連:犬における尿道再建による会陰(肛門下)尿道下裂の修復は、治療オプションの中に考慮すべきである。尿道下裂の犬で、逆管尿道伸展の使用により、下部尿路への直接の糞便汚染は効果的に排除し、上行性尿路感染の発生を劇的に減らした。(Sato訳)
■特発性膀胱炎の猫の管理における多様式環境修正(MEMO)の臨床評価
Clinical evaluation of multimodal environmental modification (MEMO) in the management of cats with idiopathic cystitis.
J Feline Med Surg. 2006 Aug;8(4):261-8. Epub 2006 Apr 17.
Buffington CA, Westropp JL, Chew DJ, Bolus RR.
この前向き観察的研究では、多様式環境修正(MEMO)を行った後で、特発性膀胱炎の猫において、飼い主から報告された下部尿路症状(LUTS)の再発と他の異常症状を評価した。再発する下部尿路症状(LUTS)の病歴と尿路結石、あるいは細菌性尿路感染症を伴わない根拠に基づいて診断した特発性膀胱炎に罹患した46頭の飼い主が所有する室内猫を調査した。通常の治療に加え、飼い主に詳細な環境経緯に基づいて多様式環境修正を推奨する提案をした。下部尿路症状(LUTS)と他の症状における多様式環境修正(MEMO)の効果を決定するために飼い主との連絡によって、症例の経過を10ヵ月観察した。下部尿路症状(LUTS)、恐怖、神経質、呼吸器に関連した症状の明らかな(P<0.05)減少と、攻撃的な行動と下部腸管に関連した症状の緩和傾向(P<0.1)が認められた。多様式環境修正(MEMO)は、下部尿路症状(LUTS)を伴う室内猫にとって補助療法となることが期待され、前向きコントロール臨床試験で経過観察するべきである。(Dr.Kawano訳)
■オス犬不妊症の一般原因
Common causes of male dog infertility
Theriogenology. August 2007;68(3):322-8.
M A Memon
完全な交配の十分な評価は不妊オス犬の評価で必須である。限性常染色体劣性形質の停留睾丸は片側性状態として一般的である。無精子症は、精漿を射精するが精子がない。発情中の雌犬の前で繰り返し精液を採取することで、経験不足、性的刺激の欠如が除外されるだろう。カルニチンとアルカリフォスファターゼ(AP)は精巣上体で産生され、精漿AP濃度>5000U/Lは正常な射精を示し、<5000U/Lは不完全な射精を示す。
去勢をしていないオス犬で一般的に見られる年齢関連状態の良性前立腺肥大(BPH)は、血液尿道排出、血尿、血精液症の特徴を示し、診断は前立腺肥大、経腹バイオプシーによる確定をもとに下す。去勢が推奨されるが、貴重な交配犬にはフィナステリドが使用できる。BPHの老犬で前立腺炎は良く見られる。射精第3分画または膀胱穿刺による尿の培養が指示される。細菌性前立腺炎は、高脂溶性を持つ抗生物質で治療される。細菌性前立腺炎の犬は、前立腺膿瘍に発達するものもいる(内科及び外科的緊急疾患)。前立腺膿疱は無症候性のことが多い。前立腺疾患の約5-7%の犬は前立腺腫瘍を持ち、ほとんどが腺癌で転移も多く(未去勢、去勢犬両方で発生する)、予後は非常に悪い。特定の診断が多くのオスの不妊症でなされえるが、全ての原因が治療を受け入れることができるわけではない。(Sato訳)
■猫における尿石組成の傾向:5230例(1985-2004)
Evaluation of trends in urolith composition in cats: 5,230 cases (1985-2004)
J Am Vet Med Assoc. August 2007;231(4):570-6.
Allison B Cannon, Jodi L Westropp, Annette L Ruby, Philip H Kass
目的:猫の尿石組成の傾向を調べる
構成:遡及症例シリーズ
サンプル集団:5230個の尿石
方法:1985年-2004年の猫の全ての検査した尿石を、Gerald V. Ling尿石分析研究所の検査データベースから検索した。送付形式を再調査し、各猫の年齢、性別、種類、石の位置を記録した。
結果:同定したミネラルは、ストラバイト、シュウ酸カルシウム、尿酸塩、乾いた凝固血、燐灰石、ブラシュ石、シスチン、シリカ、ピロリン酸カリウムマグネシウム、キサンチン、ニューベライトだった。ここ20年のシュウ酸カルシウム石とストラバイト石の比率は有意に増加した。研究期間過去3年に限定すると、ストラバイト石の率(44%)はシュウ酸カルシウム石の率(40%)よりも高かった。尿石の両タイプの主な位置は膀胱だった。尿路上部のシュウ酸カルシウム含有結石の数は、研究機関中有意に増加した。全てのほかの石の種類と比べて、燐灰石の数は有意に減少し、乾燥凝固血石は有意に増加した。尿酸石の数に有意差は見られなかった。
結論と臨床関連:シュウ酸カルシウム尿石集団の増加は、他の研究所見と一致し、猫の食事の変更の結果である可能性があった。しかし、過去3年に見られたシュウ酸カルシウム結石の比率の低下、ストラバイト結石の比率の増加は、この尿石の種類の頻度の変化の前兆かもしれない。(Sato訳)
■子宮蓄膿症の犬における子宮摘出は血液学的、免疫学的パラメーターの急速な改善をもたらす
Hysterectomy leads to fast improvement of haematological and immunological parameters in bitches with pyometra
J Small Anim Pract. July 2007;0(0):.
A Bartoskova, R Vitasek, L Leva, M Faldyna
目的:子宮蓄膿症に罹患した雌犬で、子宮摘出と抗生物質療法の組み合わせが、変化した血液学的および免疫学的パラメーターの改善を導くかどうかを調査する
方法:子宮蓄膿症に罹患した13頭の雌犬から、子宮摘出前と7日後に総及び分画白血球数、好中球及びリンパ球活性、総血清免疫グロブリン定量化、リゾチーム及び循環免疫複合体を調査するために採血した。
結果:最も影響を受けたパラメーターは、血液プロフィール(好中球増加による白血球増加、または白血球減少)とリンパ球活性の抑制変化だった。子宮摘出後7日目、全ての影響を受けたパラメーターは、臨床的健常犬に匹敵する正常レベルに戻っていた。
臨床意義:子宮蓄膿症の雌犬における血液細胞数の変化とリンパ球活性の抑制の管理で、免疫刺激療法の応用は必要ない。感染の源である感染子宮の摘出は、改善を導く。(Sato訳)
■犬の前立腺のラジオ波焼灼のためのコントラスト増強超音波
Contrast enhanced ultrasound for radio frequency ablation of canine prostates: initial results
J Urol. October 2006;176(4 Pt 1):1654-60.
Ji-Bin Liu, Daniel A Merton, Gervais Wansaicheong, Flemming Forsberg, Pamela R Edmonds, Xue-Dong Deng, Yan Luo, Laurence Needleman, Ethan Halpern, Barry B Goldberg
目的:犬モデルで前立腺癌の最小侵襲性治療として、前立腺全体のラジオ波焼灼(radio frequency ablation)に対するコントロール増強超音波の可能性を判定する。
素材と方法:Institutional Animal Use and Care committeeの承認を得た。最初の5頭(1群)は、最適なパラメーターを得るために従来のグレースケールパワードップラーとpulse inversion harmonic imagingにおいて、不定の出力(5-30W)、時間(4-12分)、超音波造影剤のボーラス(0.01-0.04ml/kg)および点滴(0.015μl/kgで3-11ml/分)を用い研究した。
その後、1群を基にしたパラメーターを用い、4頭(2群)に全前立腺焼灼を行った。熱的損傷と残存生存組織の大きさは、超音波と病理研究におけるImageJソフト(National Institutes of Health, Bethesda, Maryland)で測定した。統計分析に直線回帰およびスチューデントt検定を使用した。
結果:0.04ml/kgのボーラス、0.015μl/kgの11ml/分での点滴、pulse inversion
harmonic imagingが焼灼のガイドに一番良かった。熱的損傷量は、焼灼出力と時間に正比例した。1群の測定した熱的損傷で、超音波と病理所見(平均+/-
SD 1.51 +/- 0.74 and 1.46 +/- 0.74 cm3, p = 0.56)、または2群の残存生存組織(0.43
+/- 0.043 and 0.41 +/- 0.291 cm3, p = 0.21)に有意差はなかった。2群の前立腺焼灼の平均量は96.3%だった。
結論:コントラスト増強pulse inversion harmonic imagingは全前立腺ラジオ波焼灼のガイド、モニター、管理ができる。(Sato訳)
■尿道閉塞を呈する猫の血圧の評価
Assessment of Blood Pressure in Cats Presented with Urethral Obstruction
J Vet Emerg Crit Care. March 2007;17(1):15-21. 45 Refs
Annie Malouin, DVM, James A. Milligan, DVM, DACVECC, Kenneth J. Drobatz, DVM, MSCE, DACVIM, DACVECC
目的:急性尿道閉塞のオス猫で来院時の動脈圧を測定し、それら測定値とその時の代謝異常に何らかの相関があるかどうかを見極める
構成:前向き単一集団観察研究
場所:プライベート小動物夜間救急病院
動物:他の分かっている併発疾患のない急性尿道閉塞の飼育オス猫28頭
介入:血液採取と治療前に間接オシロメーター血圧測定値を入手した
測定値と主要結果:平均動脈圧(MAP)測定値、身体検査パラメーター、血清血中尿度窒素(BUN)、クレアチニン、カリウム、リン、総カルシウムおよびマグネシウム濃度、静脈pH、II誘導心電図、膀胱内尿量を評価した。来院時低血圧の猫はいなかった。71%(20/28)が正常血圧(MAP中央値=100mmHg、範囲93-140mmHg)、29%(8/28)は高血圧(MAP中央値=153mmHg、範囲145-176mmHg)だった。高血圧の猫に比べ、正常血圧の猫の心拍数(P=0.0201)とカルシウム(P=0.0152)は有意に低かった。28頭全頭で、MAPは血清カリウムと総カルシウムに相関した(P=0.0033)。
結論:尿道閉塞の猫でカリウムと総カルシウムは、それぞれ反比例、および比例して血圧に相関したが、来院時低血圧の猫はいなかった。入院時の正常血圧は、閉塞した猫の生化学および生理学的異常がないことを支持するわけではない。(Sato訳)
■22頭のメス犬の自発子宮蓄膿症の治療でカベルゴリンとクロプロステノールを併用
Treatment of spontaneous pyometra in 22 bitches with a combination of cabergoline and cloprostenol
Vet Rec. March 2007;160(9):293-6.
G C W England, S L Freeman, M Russo
自発子宮蓄膿症と超音波検査で診断した22頭のメス犬を、カベルゴリン1日1回5μg/kgとクロプロステノール3日に1回5μg/kgの併用、および強化スルホンアミド1日2回で治療した。頚管開放型、閉鎖型のメス犬は、共に血漿プロゲステロン濃度低下、外陰部排泄物の増加、子宮直径の縮小に関係する急速な臨床改善を示した。21頭の血液学的プロフィールは治療6日以内に正常に戻り、生化学プロフィールは9日以内に正常に戻った。メス犬の19頭は10日間の治療により管理に成功した。2頭はさらに3日の治療が必要で、部分的子宮捻転の1頭のメス犬は、治療が成功しなかった。治療の副作用は、プロスタグランジン投与直後の60分に限られており、むかつき、嘔吐、軽度腹部緊張、下痢、パンティングだった。副作用の発生は、各プロスタグランジンの継続投与後に減少した。治療に成功した21頭のうち11頭は、次の発情で交配して7頭が妊娠し、それらの産子数は公表されている犬種の平均よりも少なかった。4頭は、次の発情後子宮蓄膿症が再発した。(Sato訳)
■下部尿路疾患の臨床症状を持つ猫で細菌種の罹患率:猫の尿路病原体としてスタフィロコッカス・フェリスの認識
Prevalence of bacterial species in cats with clinical signs of lower urinary tract disease: Recognition of Staphylococcus felis as a possible feline urinary tract pathogen
Vet Microbiol. December 2006;0(0):.
Annette Litster, Susan M Moss, Mary Honnery, Bob Rees, Darren J Trott
この研究でオーストラリアの猫の尿路細菌性病原体の罹患率を調査した。膀胱穿刺により尿を採集し、その後尿検査、細菌培養、感受性試験を実施した。合計126の分離菌が107頭の培養陽性猫から得られた。Escherichia coliが最も一般的に分離され(分離菌の37.3%)、大多数は試験した14種の抗菌剤に感受性を示した。分離菌の1/4以上(27%)はEnterococcus faecalisでセファロスポリンとクリンダマイシンに耐性を示した。試験した全ての抗菌剤に感受性のある、過去に報告のない猫の尿路病原体のStaphylococcus felisが分離菌の19.8%を占めた。S. felisは高比重(p=0.011)と高pH(p=0.006)の尿に有意に関連があり、分離された他の細菌種からの尿よりも結晶を含有してることが多かった(p=0.002)。これは猫の下部尿路疾患の臨床症状とS. felisの分離の関連を示す最初の公表された研究である。(Sato訳)
■尿石を持つ犬の有機結石基質と尿の蛋白プロフィール
Protein profiling of organic stone matrix and urine from dogs with urolithiasis
J Anim Physiol Anim Nutr (Berl). June 2006;90(5-6):192-9.
S Forterre, J Raila, B Kohn, L Brunnberg, F J Schweigert
尿結石の有機基質の三分の二は蛋白質でなる。それら結石起源との関連は、結石形成中の抑制、または促進因子としてそれらの作用について議論されている。この研究の目的は、尿石生成の犬(n=23)とコントロール犬(n=12)の尿のペプチドと蛋白パターンの違い、および表面増強レーザー脱着/イオン化飛行時間計測式マス分光法を使用した異なる尿石(ストラバイトn=11、シュウ酸カルシウムn=8、尿酸n=4)の有機基質のペプチドと淡白パターンの違いを判定することだった。異なるミネラル組成の有機基質に淡白とペプチドプロフィールの特異的差を認めた。罹患犬と健康犬の間で、特に分子量20kDa以下の尿ペプチドと蛋白パターンにも特徴的な違いを認めた。入手した分子量をもとに、いくらかの症例でそれらはヒトで結石形成に関与することが分かっている蛋白として試験的に確認された。この研究で、特異的尿ペプチドおよび蛋白が犬の尿石症に関与するかもしれないことを示す。それら蛋白により予後や治療を診断目的とする可能性のためさらに特徴付ける重要性を示す。(Sato訳)
■嚢胞性子宮内膜過形成-子宮蓄膿症併発メス猫の治療でドパミン作用薬とプロスタグランジン作用薬の併用
Combination dopamine agonist and prostaglandin agonist treatment of cystic endometrial hyperplasia-pyometra complex in the bitch
Theriogenology. October 2006;66(6-7):1557-9.
Y Corrada, D Arias, R Rodr刕uez, M Tortora, C Gobello
嚢胞性子宮内膜過形成-子宮蓄膿症(CEH-P)併発疾患は、繁殖を予定しているメス犬で内科治療を必要とするプロゲステロン依存疾患である。その併用プロトコールの効果と安全性を試験し、また治療に対する年齢、サイクルのステージ、過去のステロイドホルモン投与、経産の影響を評価するため、CEH-P複合疾患と診断された29頭のメス犬に、支持抗生物質および水和療法と共に、1日1回のカベルゴリン5?g/kgPOおよびクロプロステノール1?g/kgSC、7-14日間の投与を行い治療した。治療前、3、7、14日目に全てのメス犬を臨床的に、および経腹部超音波検査で子宮角の直径を測定し評価した。
29頭中24頭は7日目または14日目に治癒した。9頭は軽度の消化管副作用を示した。子宮蓄膿症に関連する臨床症状は、早くて治療2日目から顕著に改善を見せた。3日目の治療で子宮の直径は小さくなり(P<0.05)、14日目の正常な大きさに到達するまで徐々に縮小し続けた。28例中6例が再発した。治療後、交配した若いメス犬2頭中1頭が妊娠した。成功率と年齢、発情サイクルのステージ、過去のホルモン投与、経産の間に有意な相関は見られなかった。治療結果に影響する変動値は確認できなかったが、この薬剤の併用は、CEH-Pの治療に効果があり安全であることが分かった。(Sato訳)
■未避妊および避妊済みのメス犬でエストリオール単独、またはフェニルプロパノールアミンとの併用投与後、泌尿生殖路の下部におこる尿力学、形態学的変化
Urodynamic and morphologic changes in the lower portion of the urogenital tract after administration of estriol alone and in combination with phenylpropanolamine in sexually intact and spayed female dogs
Am J Vet Res. May 2006;67(5):901-8.
Annick J Hamaide, Jean-Guillaume Grand, Fr?d?ric Farnir, Ga?l Le Couls, Fr?d?ric R Snaps, Marc H Balligand, John P Verstegen
目的:メス犬の下部泌尿生殖路に対し、エストリオール単独およびフェニルプロパノールアミン併用投与の尿力学および形態学的影響を比較する
動物:尿失禁のない3頭の性的無傷、3頭の避妊済みメスのビーグル
方法:1日1回7日間エストリオール(2mg、PO)を投与し、続く7日間1日1回エストリオール(2mg、PO)とフェニルプロパノールアミン(1.5mg/kg、PO)を投与した。尿道側圧測定、利尿膀胱内圧測定、腟尿道造影を投与前(0日)、7日目、14日目に実施した。最大尿道圧(MUP)、最大尿道閉鎖圧(MUCP)、尿道機能および解剖学的側面長、統合圧(IP)、MUP前のプラトーと距離、最大道圧、閾値圧、閾値容積、伸展性、尿道長、腟長と幅を測定した。
結果:投与前、2群に尿力学的差は観察されなかったが、腟長と幅は避妊済みの犬の方が有意に短かった。0日目の値と比較して、エストリオール投与は7日目のMUP、MUCP、IP値を有意に増加させたが、14日目のこの効果はフェニルプロパノールアミン投与にもかかわらず低下した。基準からの形態学的変化は、処置後どの犬にも見られなかった。
結論と臨床関連:データは、エストリオールは主に尿失禁のない未避妊、避妊済みメス犬において尿道抵抗を増加させることにより尿道括約筋メカニズムに作用することを示唆する。エストリオールとフェニルプロパノールアミンの投与は、エストリオール単独以上に尿道抵抗を増加させなかった。尿失禁のメス犬におけるエストリオールの尿力学的影響は不明のままである。(Sato訳)
■雌犬の分娩日予測における、2つの超音波検査測定値に関する精度の比較
Comparison of the accuracy of two ultrasonographic measurements in predicting the parturition date in the bitch
J Small Anim Pract. November 2006;47(11):670-3.
M Beccaglia, G C Luvoni
要約
目的:小型、および中型犬における、分娩日予測のための絨毛膜内腔径と大横径の二つの超音波測定値の精度を比較することです。予測の精度に対する、一腹子数と性別割合の影響も調査しました。
方法:妊娠犬に対し超音波検査を行い、妊娠期間のステージにより、絨毛膜腔内径と大横径を測定しました。各構造に関するデータの平均値を計算し、以前我々が異なるサイズの犬で明らかにした成長曲線により得た方程式を適用することで、予測分娩日を算出しました。
結果:妊娠初期で絨毛膜腔内径の測定値により、同様に、妊娠後期で大横径により、類似した精度で分娩日が予測されました。子数は、大横径の精度にのみ影響しましたが、胎児の性別割合は分娩日の評価に影響しませんでした。
臨床的意義:絨毛膜腔内径と大横径は、被検犬がいかなる妊娠期であっても、合理的に正確な分娩日を予測する時、同等に信頼性のあるパラメーターであります。(Dr.K訳)
■ケンネルにおける犬ブルセラ症のエンロフロキサシンによる治療(臨床試験)
Use of enrofloxacin in the treatment of canine brucellosis in a dog kennel (clinical trial)
Theriogenology. October 2006;66(6-7):1573-8.
M M Wanke, M V Delpino, P C Baldi
今日、犬ブルセラ症の根絶に完全に効果的な抗生物質は見つかっていない。この研究の目的は、ブルセラ・キャニスに感染したケンネルでエンロフロキサシンの効果を評価することだった。B.キャニスに感染したオス2頭、メス2頭(1頭発情期、3頭妊娠中、6頭発情休止期)の12頭の犬に、5mg/kgのエンロフロキサシンを12時間毎30日間経口投与した。メス犬には、発情期と黄体期のその後のサイクル(0-2サイクル)中にもエンロフロキサシンを投与した。
感染オスにより繰り返し交配させた。血清学的追跡調査を38ヶ月間実施した。臨床、血清、細菌所見を記録した。この研究開始後試験を実施し14ヶ月で、全ての犬は急速スライド凝集試験(RSAT)が陰性だった。流産は観察されなかった。全ての交配したメス犬は妊娠し、健康な子犬を出産した。産後腟分泌物(悪露)の培養でB.キャニス陰性だった。他の治療同様、エンロフロキサシンは犬ブルセラ症の治療で完全に効果があるわけではないが、受胎能を維持し、流産反復、子犬への病気の伝染、出産中の微生物の散布を回避した。犬ブルセラ症の治療でエンロフロキサシンは代替薬剤として使用できると思われる。(Sato訳)
■特発性膀胱炎の猫におけるストレスの影響を評価する
Evaluation of the effects of stress in cats with idiopathic cystitis
Am J Vet Res. April 2006;67(4):731-6.
Jodi L Westropp, Philip H Kass, C A T Buffington
目的:猫特発性膀胱炎(FIC)の猫で、ストレス期間中と環境を良くした後の膀胱透過性、交感神経系機能、
尿コルチゾール:クレアチニン(C:Cr)比を評価することにより、ストレスの影響を判定する
構成:前向き研究
動物:FICの猫13頭と健常猫12頭
方法:8日間急性な適度のストレッサーを加えた猫にフルオレセインのIV投与を行った。血清フルオレセイン濃度を測定し、膀胱透過性を評価するためコントロールのそれと比較し、視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸の機能を評価するため尿C:Cr比を比較した。一部猫で血漿カテコラミン濃度を分析した。適度ストレスの8日間後、ネコを良い環境に移動させ、21日後に検査を繰り返した。
結果:FICの猫の血清フルオレセイン濃度は全てのタイムポイントで有意に高かった。血漿カテコラミン濃度を測定した猫で、FICの猫のジヒドロキシフェニルアラニン、ノルエピネフリン、ジヒドロキシフェニルグリコール濃度は全てのタイムポイントで有意に高かったが、グループ間の尿C:Cr比に差は見られなかった。
結論と臨床関連:FICの猫は最初のストレス期間中にほぼ気付く膀胱透過性の変化を見て取れた。血漿ジヒドロキシフェニルアラニンの増加は、カテコラミン合成の律速段階を触媒するチロシン水酸化酵素活性のストレス誘発性増加があるかもしれないと思われる。対照的に、C:Cr比に対するストレスの影響は観察されず、ストレスに反応する交感神経系とHPA軸の間に解離があると示唆される。(Sato訳)
■尿管結石の自発的逆行移動:犬2例と猫5例
Spontaneous retrograde movement of ureteroliths in two dogs and five cats
J Am Vet Med Assoc. October 2006;229(7):1118-21.
Anne M Dalby, Larry G Adams, S Kathleen Salisbury, William E Blevins
症例:尿管結石の治療を評価した犬2頭と猫5頭
臨床所見:1つ以上の尿管結石の自発的逆行移動をエックス線、超音波、透視、透視と超音波の組み合わせで検出した。尿管結石は逆行性に4cm移動した。腎盂内への尿管結石の逆行性移動で腎機能を改善を見せた症例もいたが、全ての尿石の完全な外科的除去はより困難だった。
治療と結果:内科管理は成功せず、尿管結石が外科的に除去した。尿管結石の外科管理は、術中尿管結石の逆行性移動により複雑だった。
臨床関連:尿管結石は尿管内で逆行移動が可能で、腎盂内にさえ戻る。尿管結石の逆行性移動は手術プランをより難しくするかもしれない。(Sato訳)
■オス犬の異所性尿管瘤:外科管理の症例報告と再検討
Ectopic ureterocele in a male dog: a case report and review of surgical management
J Am Anim Hosp Assoc. 2006 Sep-Oct;42(5):395-400.
James A Tattersall, Elizabeth Welsh
16週齢オスのボーダーテリアが、尿失禁で来院した。経静脈的尿路造影で右側膀胱外異所性尿管瘤を認めた。新尿管膀胱吻合術と尿管瘤大網処理を実施した。尿失禁は術後も持続した。逆行性尿路造影で、尿管瘤と尿道の連絡を認めた。尿失禁は、部分的尿管切開と近位尿道の再建で解消した。(Sato訳)
■経口グルコサミンと猫の特発性膀胱炎の管理
Oral glucosamine and the management of feline idiopathic cystitis.
J Feline Med Surg. 2004 Aug;6(4):219-25.
Gunn-Moore DA, Shenoy CM.
ランダム化、二重盲目、プラセボコントロール試験で猫特発性膀胱炎(FIC)の猫の管理のため経口グルコサミンとプラセボを比較した。FICによる再発性膀胱炎の経歴を持つ40頭の猫を2グループに分け、125mgのN-アセチルグルコサミンあるいはプラセボのどちらかを6ヶ月間1日1回経口投与で治療した。オーナーに研究の最初と最後の猫の臨床症状を採点してもらい、視覚アナログスケールを使った膀胱炎の兆候を毎日記録してもらった。研究の間、膀胱炎のさらなるエピソードが26頭の猫(65%)で見られた。罹患した猫は平均5回の再発(範囲1-19)を経験し、平均して4日(1-64日の範囲)持続した。飼い主の平均健康スコアの評価 (P>0.5)、平均した毎月の臨床スコア(P=0.22)または臨床的徴候を伴う日の平均日数(P=0.28)を考慮したとき、2つのグループの間には著しい違いが全くありませんでした。2頭の猫は重度再発性の尿閉を被り安楽死した;それらの猫は2頭ともプラセボグループであった。研究開始時と比べて、両方のグループにおける猫の大部分が有意に(P<0.001)改善(研究開始の時点での夫々の平均健康スコアは0.5+/-SD 0.5で、研究終了時点でグルコサミン4.4+/-0.7とプラセボ3.9+/-1.6だった)した。 40頭の猫のうち36頭(90%)の飼い主が缶詰のキャットフードを与え始めたのでこのような結果になったと思われる。試験の始めの尿比重(平均 1.050+/-SD 1.007)が1カ月後の測定値(1.036+/-1.010, P<0.01)より明らかに高かった。(Dr.Kawano訳)
■犬猫の試薬試験紙による血中尿素窒素濃度を評価の信頼性
Reliability of Using Reagent Test Strips to Estimate Blood Urea Nitrogen Concentration in Dogs and Cats
J Am Vet Med Assoc 227[8]:1253-1256 Oct 15'05 Prospective Study 5 Refs
Allyson C. Berent, DVM; Tsuyoshi Murakami, DVM; Richard D. Scroggin, DVM; Dori L. Borjesson, DVM, PhD, DACVP
目的:犬猫の試薬試験紙を使用したBUN濃度の測定の臨床的精度を評価する
構成:前向き研究
動物:116頭の犬と58頭の猫
方法:病院に入院時、血液サンプルを採取した。試薬試験紙(カテゴリー1 [5 to
15 mg/dL],、2 [15 to 26 mg/dL]、 3 [30 to 40 mg/dL]、4 [50 to 80 mg/dL])で測定したBUN濃度の評価を自動分析器の測定値と比較した。犬で、カテゴリー1、2の試験紙結果は陰性結果(非窒素血症)、3、4の結果は陽性結果(窒素血症)と考えた。猫で、カテゴリー1、2、3の試験紙結果は陰性結果(非窒素血症)、4の結果は陽性結果(窒素血症)と考えた。
結果:BUN濃度をもとに、174頭中40頭(23%)(犬20頭、猫20頭)が高窒素と分類された。犬1頭と猫2頭が偽陰性試験紙結果、犬1頭が偽陽性結果だった。犬の感受性と特異性は95%(20/21)、99%(94/95)、猫で感受性と特異性は87%(13/15)、100%(43/43)だった。
結論と臨床関連:犬猫のBUN濃度の即座評価で試薬試験紙は信頼できる方法と思われる。試験紙結果は半定量的で、特に猫で誤分類する可能性があるので、最終的に尿素窒素濃度は標準的な化学的方法で検証すべきである。(Sato訳)
■会陰尿道造瘻術後の尿道開口部外科的修正:猫11例(1998-2004)
Surgical revision of the urethral stoma following perineal urethrostomy in 11 cats: (1998-2004)
J Am Anim Hosp Assoc. 2006 May-Jun;42(3):218-22.
Heidi Phillips, David E Holt
会陰尿道造瘻術後、尿道狭窄のため11頭の猫が尿道開口部修正を必要とした。手術時、8頭に尿道球腺の不適切な切開所見が認められ、3頭は、皮下組織に尿の溢出所見があった。開口部修正後、9頭で長期追跡調査ができた。8頭のオーナーは、修正後合併症はないと報告した。尿道球腺をまたぐ切開失敗、粘膜と皮膚の不適切な付着面で術後狭窄形成が起こった。開口部修正は、初回会陰尿道造瘻術から中央値71日で実施されており、このことから症例の長期評価が必要だと示している。(Sato訳)
■犬の内視鏡腟鏡検査
Endoscopic vaginoscopy in the dog
Theriogenology. May 2006;0(0):.
Jody P Lulich
腟鏡検査はメス犬の前庭や腟の疾患の性質や広がりを評価する有効な診断方法である。フレキシブルまたは硬い内視鏡の使用は、腟拡張を容易にしながら照明や倍率の改善により術者が疾患を検出する能力を増す。スコープの大きさは、犬の大きさに合わせるべきである。種々の姿勢は適しているのだが、我々は操作野の便による不適切な汚染を最小限にするため、麻酔をかけて仰向けで行っている。尿路も検査しようとするならば、最初に尿道、膀胱を評価し、次に腟の評価を行う。生殖道の検査後、顕微鏡評価のために組織バイオプシー標本を入手できる。(Sato訳)
■尿路疾患の臨床症状がない犬における膀胱尿膜管憩室の有病率とX線、組織学的所見
Prevalence and Radiologic and Histologic Appearance of Vesicourachal Diverticula in Dogs Without Clinical Signs of Urinary Tract Disease
J Am Vet Med Assoc 226[3]:383-386 Feb 1'05 Original Study 17 Refs
Karin Groesslinger, DVM; Tanja Tham, DVM; Monika Egerbacher, DVM, PhD; Dragan Lorinson; DVM, PhD
目的:尿路疾患の臨床症状が見られない犬における膀胱尿膜管憩室の普及率とX線、組織学的所見を調査する
構成:オリジナル研究
動物:4ヶ月から17歳までの無関係の原因により安楽死された、尿路疾患の臨床症状、または病歴のない22犬種50頭
方法:逆行性陽性造影検査を実施し、憩室視認のためエックス線検査を行った。光学顕微鏡検査で、膀胱頂の検死標本を、憩室や炎症症状について検査した。
結果:50頭中17頭(34%)に膀胱尿膜管憩室があり、また1頭は尿膜管のう胞があった。17の憩室のうち15は肉眼で確認できた。憩室の表面積は、13頭のX線写真で測定でき、1-90mm2の範囲だった。残りの2つの憩室は顕微鏡的に確認できた。16の憩室は壁内で、1つは壁外だった。膀胱壁炎症の光学顕微鏡像は、5頭の犬で検出でき、そのうち4頭は視認可能な憩室だった。
結論と臨床関連:この結果は、尿路疾患の症状がない犬で高率に膀胱尿道憩室を持つかもしれないと示唆する。犬の膀胱尿道憩室の臨床罹患率を判定する研究が必要である。(Sato訳)
■犬のプロトテカ症の尿路症状
Urinary Tract Manifestations of Protothecosis in Dogs
J Vet Intern Med 19[1]:115-119 Jan-Feb'05 Brief Communication 26 Refs
Barrak M. Pressler, Jody L. Gookin, Jane E. Sykes, Alice M. Wolf, and Shelly
L. Vaden
3箇所の獣医教育病院で、プロトテカ属の全身感染を認めた13頭の犬の記録を再検討した。プロトテカzopfiiの播種性感染による二次的な急性腎不全を2頭で認めた。そのうち1頭は前ぶどう膜炎の治療で、免疫抑制剤投与中に急性腎不全を発症した。この犬の診断検査中、プロトテカ属病原菌を尿沈渣と腎生検標本に認めた。もう1頭は、細菌性膀胱炎の治療後に急性腎不全を診断した。プロトテカ症の診断後、好気性尿培養により病原体の分離に成功した。2頭とも急性腎不全は従来の内科療法に反応しなかった。全体で、8頭中4頭の尿沈渣にプロトテカ属が認められ、7頭中5頭で尿からの培養に成功した。5頭中4頭は腎臓組織病理検査で病原菌が認められた。全頭に分離された種類はプロトテカzopfiiだった。3つの分離菌の感受性試験で、インビトロ薬剤抵抗性の幅広い違いが明らかとなった。尿の検査と培養は、プロトテカ属の全身感染の診断で実践的方法として推奨される。(Sato訳)
■猫の上部尿路におけるシュウ酸カルシウム尿石の頻度傾向
Trends in the frequency of calcium oxalate uroliths in the upper urinary tract of cats.
J Am Anim Hosp Assoc 41[1]:39-46 2005 Jan-Feb
Lekcharoensuk C, Osborne CA, Lulich JP, Albasan H, Ulrich LK, Koehler LA, Carpenter KA, Swanson LL, Pederson LA
19980年から1999年の間に9つのアメリカ獣医教育病院で、尿石と診断された猫の医療記録と、1981年から2000年の間にミネソタ尿石センターに分析を依頼した尿石の猫の記録を評価した。9つの獣医教育病院で20年の間に、猫に発生する上部尿路結石の頻度は10倍となっていた。上部尿路結石で優勢なミネラルタイプとしてシュウ酸カルシウムが良く見られ、この研究期間で50倍以上に増加していた。これらの結果は、ネコの上部尿路結石発生の認識を増す必要性を強調するものである。(Sato訳)
■経口投与後4時間の尿に到達したドキシサイクリンおよびテトラサイクリン濃度に対する尿路感染症を伴う猫と犬から採取した細菌の感受性
Susceptibility of bacteria from feline and canine urinary tract infections to doxycycline and tetracycline concentrations attained in urine four hours after oral dosage.
Aust Vet J. 2006 Jan-Feb;84(1-2):8-11.
Wilson BJ, Norris JM, Malik R, Martin PA, Wigney DI, Baral RM, Govendir M.
目的:慣習的な経口投与後4時間の犬と猫におけるドキシサイクリンと犬におけるテトラサイクリンの尿濃度を測定して、Epsilometerとディスク拡散抗生物質感受性法による試験管内で評価された一般的な犬と猫の尿路病原体に対してこれらの抗生物質が効果的な十分な濃度であるかどうかを決定する。
計画:臨床的に正常な猫と犬にドキシサイクリンとテトラサイクリン(犬のみ)の経口投与および試験管内におけるドキシサイクリンとテトラサイクリンの両方に対するそれらの感受性を決定するため尿路感染を伴う犬と猫からの細菌培養に関する前向き研究
方法:初めの研究では9頭の猫および8頭の犬にドキシサイクリン1水和物(5 mg/kg
12時間毎)とさらに8頭の犬に塩酸テトラサイクリン(20 mg/kg 8時間毎)を72時間投与した。
最後の投薬後、2、4時間で採血し、尿は4時間で採取した。それぞれの薬物の血清そして尿濃度は修正した寒天拡散法で決定した。次の研究では尿路感染症を伴う猫と犬から45の尿検体の細菌培養を実施した。分離されたすべての細菌はEpsilometer(ドキシサイクリンとテトラサイクリン)およびディスク拡散(ドキシサイクリン、テトラサイクリンあるいはクラブラン酸-アモキシシリン)法を使って試験管内で検査した。
結果:2時間での猫と犬の血清における血清ドキシサイクリン濃度は夫々4.2 +/- 1.0 mg/mL と 3.4 +/- 1.1 mg/mLだった。4時間での対応する濃度は3.5 +/- 0.7 mg/mLと2.8 +/- 0.6 mg/mLだった。 そして、4時間での尿中ドキシサイクリン濃度 (猫で53.8 +/- 24.4 mg/mL、犬で52.4 +/- 24.1 mg/mL) は対応する血清値よりかなり高かった。
犬における2、4時間の血清テトラサイクリン濃度そして4時間の尿テトラサイクリン濃度はそれぞれ6.8 +/- 2.8そして5.4 +/- 0.8, 144.8 +/- 39.4 mg/mLだった。尿路病原体(35/45)の大部分はドキシサイクリンの尿濃度に感受性があり、そして、38/45はテトラサイクリンに感受性があった。対照的にすべての分離された細菌の41/45はクラブラン酸-アモキシシリンに感受性があった。
結論:これは慣習的な経口投与後のドキシサイクリンの尿濃度に関する最初の報告である。正常な猫と犬の尿に到達した濃度は、かなりの数の尿路病原体の発育を抑制するのに十分であった。従ってドキシサイクリンはいくつかの尿路感染症に有効な抗生物質かもしれません。(Dr.Kawano訳)
■猫の子宮蓄膿症の管理集団における臨床検査所見、腟細胞診と病理
Clinical Laboratory Findings, Vaginal Cytology and Pathology in a Controlled Study of Pyometra in Cats
Aust Vet Pract 35[1]:10-14 Mar'05 Clinical Study 16 Refs
Deniz Nak, Deniz Misirlioglu, Yavuz Nak and Abdulkadir Keskin
平均年齢(±SE)5歳の猫17頭を子宮蓄膿症と診断した。オーナーにより発見された一般的な症状は、腟の下り物、食欲不振、嗜眠で、身体検査での主要臨床所見は、腟からの下り物、腹囲膨満、脱水だった。超音波検査で、子宮蓄膿症の猫の子宮は線状および乱れた管状構造の、低エコーおよび無エコーとして映し出された。それら猫には正球性正色素性貧血、白血球増加、好中球増加、血小板減少が認められ、健康な猫の結果と比べてALT濃度が低下していた。腟細胞診で傍基底細胞密度の増加が認められた。子宮蓄膿症の組織病理診断はタイプIIIおよびIVに分類され、ほとんどの卵巣は黄体を有していた。(Sato訳)
■未経産、経産ビーグルの子宮角の組織形態、形態計測評価
Histomorphologic and morphometric evaluation of the uterine horns in nulliparous and multiparous Beagles.
Am J Vet Res 65[5]:552-8 2004 May
Augsburger HR, Kurzi M
目的:未経産、経産犬の子宮組織の肉眼的、組織形態学的、形態計測比較を行うこと
動物:2つの同種群からなる12頭のイヌ(7頭の未経産ビーグルと5頭の最低7回妊娠した経産ビーグル)
方法:プロゲステロンとエストラジオール-17ベータの血清濃度を測定した。子宮組織のサンプルを固定し、パラフィン包埋し、連続横断切片にカットした。形態計測分析を、系統選択トリクローム染色切片で実施した。
結果:子宮壁の平均絶対容積はグループ間の相違がなかった。経産犬の血管の量は有意に高く、子宮筋結合組織の相対平均値は有意に低かった。経産犬の子宮筋の動脈は、脈管内膜の明らかな肥厚を見せ(すなわち妊娠硬化)、同時に平滑筋層が薄くなっていた(中膜)。さらに、それら動脈の弾性内膜は崩壊を見せ、より高度に不規則に折り重なっていた。経産犬の子宮筋静脈の外膜は、多数の弾性線維の層を含んでいた。しかし、未経産犬の対応静脈の外膜は少数の層しか認められなかった。
結論と臨床関連:この研究で、他の種と対照的に、非妊娠犬の子宮は最低7回妊娠した後でさえもその大きさや容積の増加がないことを述べた。さらに、子宮動脈の硬化変化は、1回の出産で見られる。この研究結果は、子宮疾患の評価に有用と思われる。(Sato訳)
■長期グルココルチコイド治療を受けた掻痒性疾患の犬に起こる尿路感染の頻度
Frequency of Urinary Tract Infection Among Dogs with Pruritic Disorders Receiving Long-Term Glucocorticoid Treatment
J Am Vet Med Assoc 227[2]:239-243 Jul 15'05 Observational Study 18 Refs
Sheila M. F Torres, DVM, PhD, DACVD; Sandra F. Diaz, DVM, MS; Sandra A. Nogueira, DVM, MS; Carl Jessen, DVM, PhD; David J. Polzin, DVM, PhD, DACVIM; Sophie M. Gilbert, DVM, PhD, DACVD; Kim L. Horne
目的:長期グルココルチコイド投与を受けている、または受けていない掻痒性疾患の犬の尿路感染(UTI)の頻度を判定する
構成:観察的研究
動物:6ヶ月以上グルココルチコイド投与を受けた犬127頭とグルココルチコイドが投与されていない犬94頭
長期グルココルチコイドを投与されている犬で尿の細菌培養を実施し、薬物投与、投与量、投与頻度、グルココルチコイド処置期間、UTIの臨床症状についての情報を集めた。グルココルチコイドが投与されていないイヌは、尿の細菌培養を一度実施した。
結果:グルココルチコイドを投与された犬127頭中70頭(55%)は、複数回(2-6)尿サンプルを採取した。よって240の尿サンプルを分析した。127頭中23頭(18.1%)の細菌培養結果は、最低1回は陽性だったが、UTIの臨床症状を呈した犬はいなかった。膿尿と細菌尿(あるvs.なし)はそれぞれ89.9%、95.8%細菌培養結果を正確に予測した。グルココルチコイドの種類、投与量、投与頻度、投与期間はUTIの頻度に関与しなかった。グルココルチコイドを投与されていない犬の尿サンプルで、細菌が増殖したものはなかった。グルココルチコイドを投与されていない犬より、投与された犬のUTI頻度は有意に高かった。
結論と臨床関連:以上から長期グルココルチコイドの投与を受けていた犬はUTI発症リスクが増加すると思われる。これをもとに、そのような犬の最低年1回の尿細菌培養を推奨する。(Sato訳)
■小動物ICUで、イヌのカテーテル関連尿路感染の発生率
Incidence Of Catheter-Associated Urinary Tract Infection Among Dogs in a Small Animal Intensive Care Unit
J Am Vet Med Assoc 224[12]:1936-1940 Jun 15'04 Prospective Study 19 Refs
Sean D. Smarick, VMD, DACVECC; Steve C. Haskins, DVM, DACVECC, DACVA; Janet Aldrich, DVM; Janet E. Foley, DVM, PhD; Philip H. Kass, DVM, PhD, DACVPM; Mack Fudge, DVM, MPVM, DACVECC; Gerald V. Ling, DVM
目的:ICUに入院したイヌのカテーテル関連尿路感染(UTI)の発生率と考えられるリスクファクターを判定し、カテーテルチップの細菌培養の結果と尿サンプルの細菌培養結果を比較する
構成:前向き研究
動物:39頭のイヌ
方法:無菌カテーテル設置と維持の標準プロトコールを使用した。尿サンプルを毎日採取し、細菌培養を行った。可能なときは、カテーテル除去のときに無菌的に尿カテーテルチップを採取し、細菌培養を行った。採取した最近を分離し、抗菌剤感受性の検査を行った。
結果:39頭中4頭(10.3%)はUTIを発症した。ICUで1日後、UTIにならない状態を維持する確立は94.9%、4日後は63.3%だった。分離細菌は、一般的な尿路病原菌で、ほとんどの抗菌剤に感受性があった。抗菌剤投与を行わない以外のカテーテル関連UTIの特定リスクファクターは確認されなかった。尿カテーテルチップの細菌培養の陽性適中率は、ほんの25%だった。
結論と臨床関連:結果は、イヌの留置尿カテーテル設置は、無菌カテーテル設置と維持に適切な注意を払ったカテーテル設置最初の3日間はカテーテル関連UTIのリスクは少ないと示唆する。尿道カテーテルチップの細菌培養結果は、イヌがカテーテル関連UTIを発症するかどうかを予測するのに使用すべきではない。(Sato訳)
■マグネシウム配合の市販フードを食べている健常猫の尿の変化における猪苓湯摂取の影響
Effects of choreito consumption on urine variables of healthy cats fed a magnesium-supplemented commercial diet.
Am J Vet Res. 1997 Feb;58(2):146-9.
Buffington CA, Blaisdell JL, Kawase K, Komatsu Y.
目的:無機マグネシウムを0.5%加えた市販の缶詰を摂取している猫において、ストラバイト結晶形成と下部尿路疾患(LUTD)の徴候に関して猪苓湯摂取 (500mg/kg/d)の効果を観察する。
検体母集団: 身体検査所見、CBC、血清生化学分析、尿検査、および尿の培養の結果に基づき、さらに尿道膀胱鏡検査
(雌)あるいは尿道膀胱造影検査(雄)の所見に基づいて尿路結石症に罹患していない臨床的にすべて正常であると考えられた成猫(雄6頭と雌6頭)
方法: 食餌は12週間あるいは排尿困難、血尿、尿pH>7そして重度のストラバイト結晶尿などLUTDの兆候が現れるまで与えた。少なくともこれらの兆候の2つが今回の研究で取り除かれるのに必要であった。尿検体は電解質、ストルバイト結晶構成、そして血尿の有無について検査した。
結果: 研究からの除外に起因する猫の数の減少のため 、研究で尿変数の結果は4週間でグループの間にて比較した。24時間の尿検体のストラバイト結晶含有は、猪苓湯を含んでいる食餌を与えられた猫で有意に低かった。さらに、血尿の頻度と重傷度は猪苓湯を含んでいる食餌を与えられた猫で有意に減少した。血尿とストラバイト結晶含有との間の相関関係はどちらのグループでも観測されなかった。
さらに、猪苓湯の入っていない食餌を与えられた6頭すべての猫はLUTDの兆候のため58日で研究から除外した。猪苓湯を含んでいる食餌が与えられた6頭の猫のうち2頭は12週間の研究を完遂した。
臨床関連: 猪苓湯は猫のストラバイト関連性LUTDのいくつかの兆候の緩和に有益かもしれない。(Dr.Kawano訳)
■イヌの細菌尿の正確な検出方法として尿沈渣のライト染色変法の評価
Evaluation of Modified Wright-Staining of Urine Sediment as a Method for Accurate Detection of Bacteriuria in Dogs
J Am Vet Med Assoc 224[8]:1282-1289 Apr 15'04 Prospective Study 28 Refs
Cheryl L. Swenson, DVM, PhD, DACVP; Agatha M. Boisvert, MS, DVM, DACVP; John M. Kruger, DVM, PhD, DACVIM; Suzanne N. Gibbons-Burgener, DVM, PhD
目的:尿沈渣の通常非染色ウェットマウント標本と風乾、修正ライト染色標本の光学顕微鏡評価所見と、尿の好気性細菌培養の定量結果と比較すること
構成:Masked前向き研究
サンプル集団:441頭のイヌから膀胱穿刺により459サンプルを採取した。
方法:尿検査と定量細菌培養を実施した。非染色ウェットマウント標本と風乾、修正ライト染色尿沈渣標本で細菌の存在を光学顕微鏡により検査した。
結果:定量細菌培養結果と比べ、通常の非染色標本と修正ライト染色標本で、それぞれ感受性82.4%、93.2%、特異性76.4%、99.0%、陽性適中率40.1%、94.5%、陰性適中率95.8%、98.7%、検査有効性77.3%、98.0%だった。細菌培養で菌が生育した74サンプルで比較すると、通常の非染色法の一致率と誤分類率はそれぞれ39.2%と60.8%に対し、ライト染色法のそれらは、78.4%と21.6%だった。尿のライト染色沈査検査と定量細菌培養により検出された細菌尿の、尿中潜血、膿尿、メス、尿比重低下間に有意な関連が認められた。
結論と臨床関連:尿沈渣の修正ライト染色標本の検査は、迅速でコストも安い方法ということが分かった。その方法は、通常の非染色方法と比べ、細菌尿の光学顕微鏡検出の感受性、特異性、陽性適中率、検査有効性を有意に改善するものだった。(Sato訳)
■犬猫の血尿に対する診断アプローチ
Diagnostic approach to hematuria in dogs and cats.
Vet Clin North Am Small Anim Pract 34[4]:849-66 2004 Jul 90 Refs
Forrester SD
血尿は犬猫の泌尿生殖器疾患の存在を示す。持続的血尿(肉眼的または顕微鏡的)は、適切な治療が薦められる様に、出血の源や潜在的原因を突き止める評価をすべきである。経過や身体検査結果は、尿路(上部、下部とも)または生殖道の疾患を予想する助けとなることも多い。検査所検査(すなわち尿検査、尿培養)、画像診断(すなわち腹部エックス線、超音波)、および細胞診または組織検査に供する組織採取などの追加の診断評価は、根底にある原因を確認するのに必要かもしれない。完全な評価で血尿の源や原因が明らかにならない場合、特に特発性腎性血尿の可能性がある場合、試験開腹が考慮されるべきである。(Sato訳)
■犬の尿管結石の診断と外科的管理: 16 症例(1990-2003)
Diagnosis and surgical management of ureteral calculi in dogs: 16 cases (1990-2003).
N Z Vet J. 2005 Feb;53(1):19-25.
Snyder DM, Steffey MA, Mehler SJ, Drobatz KJ, Aronson LR.
目的:犬の尿管結石の外科的除去が上向きの臨床結果をもたらすかどうかを決定するために、尿管結石症において外科的に管理した犬における臨床症状、検査所そしてX線検査所見、外科的技術、尿管結石組成物、そして術後の予後を調査する。
方法: 1990年から2003年の間に閉塞性尿管結石を除去するための手術を受けた犬を、ペンシルバニア(米国)の大学動物病院の医療記録から探した。
臨床兆候、病歴、検査所見、X線検査と検査所検査結果、外科的技術、および結石分析に関した記録を再検討した。飼い主あるいは担当獣医師への電話調査、もしくはその後の病院に来院して得られた医療記録を再検討して追跡調査の情報を得た。
結果: 16頭の犬がこの研究に含まれた; 避妊雌が10頭、インタクトの雌が2頭、去勢雄が4頭だった。腹部X線検査で尿管結石(14/16頭)、腎結石(8/16)、膀胱結石(8/16)、尿道結石(1/16)、腎腫大(6/16)、腎の石灰化(5/16)が明らかになった。尿管結石のタイプはストラバイト(6頭)、シュウ酸カルシウム(5頭)、リン酸カルシウム(1頭)、ストラバイト・リン酸カルシウム、シュウ酸カルシウムの混合(その他)であった。
非ストラバイト尿管結石の犬と比較して、ストラバイト尿管結石の犬は術前に白血球数がより高く(25.6,
SD 7 vs 17.6, SD 6 x 103 cells/mul; p=0.046)、手術時に尿管の切開部位からの化膿性分泌物に気付くことが多かった(p=0.015)。退院後、14/16頭の犬を再評価した。中央生存期間は904日(2~1876日の範囲)だった。
2頭の犬が尿路での追加手術が必要だった。 術後8、90、333、904日においてと尿路系あるいは疾患の非特異的な兆候(嘔吐、虚脱)と関連した高窒素血症と臨床症状のため、4頭の犬は死亡あるいは安楽死した。
結論:尿管結石の外科的管理は成功し、この小規模研究母集団において検討した犬の大部分において長期間の良好な生存をもたらした。シュウ酸カルシウムとストラバイト尿管結石に関しては同様の比率が見られた。
臨床関連: 犬の尿管結石を診断する頻度が増加するのに従って、尿管結石手術が増加するかもしれない。(Dr.Kawano訳)
■臨床上正常なネコで、尿中ストラバイト結晶形成と多量ミネラルバランスに対する食餌中炭水化物の影響を評価する
Evaluation of effects of dietary carbohydrate on formation of struvite crystals in urine and macromineral balance in clinically normal cats.
Am J Vet Res 65[2]:138-42 2004 Feb
Funaba M, Uchiyama A, Takahashi K, Kaneko M, Yamamoto H, Namikawa K, Iriki T, Hatano Y, Abe M
目的:臨床上正常なネコの尿量、ストラバイト結晶形成、カルシウム、リン、マグネシウムバランスに対する食餌中炭水化物の影響を評価する
動物:21頭の健康な成猫(オスネコ15頭、メスネコ6頭)
方法:炭水化物源が含まれない食餌(コントロール食)、コントロール+でんぷん、コントロール+繊維を3×3ラテン方陣構成で給与した。研究1(n=12)は食餌を制限なしに与え、研究2(9)は制限下で与え、3群の粗タンパク質の1日摂取量を等しくした。ストラバイト結晶の形成とカルシウム、リン、マグネシウムのバランスを測定した。
結果:研究1で、でんぷん群と繊維群の尿量はより低かったが、研究2の群間に差は認められなかった。尿pHとストラバイト活性産物は、両研究ででんぷん群が高く、研究2で繊維群もストラバイト活性産物が高かった。両研究で、HCl不溶性沈査の尿中濃度は、でんぷん群と繊維群でより高かった。研究2の繊維群で、体カルシウム、リン、マグネシウムの正味喪失が検出された。
結論と臨床関連:食餌中のでんぷんと繊維は、ストラバイト結晶形成を刺激する可能性がある。ゆえに、食餌中炭水化物の減量は、ストラバイト尿石形成予防に望まれる。また、繊維食給餌中の体カルシウム、リン、マグネシウムの正味喪失は、不溶繊維を含む食餌がネコの多量ミネラル要求量を増す可能性があることを示唆する。(Sato訳)
■犬のポリープ状膀胱炎の診断超音波検査
Diagnostic ultrasound of polypoid cystitis in dogs.
J Vet Med Sci 67[1]:57-61 2005 Jan
Takiguchi M, Inaba M
犬の膀胱でポリープ状膀胱炎はまれな疾患であり、慢性炎症、上皮増殖、腫瘍の組織病理所見のないポリープ状マスや複数のマスを特徴とする。ポリープ状膀胱炎の犬8頭の超音波所見を紹介する。全頭に超音波で膀胱のマス、または複数のマスを確認した。超音波所見は粘膜の突出、ポリープ状から有茎の不定な大きさと形を示す。ポリープ状マスは頭腹側膀胱粘膜に位置する傾向にあるが、ポリープは頭背側膀胱粘膜にも起こる可能性がある。超音波画像は造影エックス線検査や肉眼形態所見と良く相関する。超音波は膀胱ポリープ検出に対する非侵襲性で非常に有効な診断ツールであるが、確定診断には組織病理検査が必要である。(Sato訳)
■犬猫の腸内乳酸菌によるシュウ酸分解
Oxalate degradation by intestinal lactic acid bacteria in dogs and cats.
Vet Microbiol 101[3]:161-6 2004 Jul 14
Weese JS, Weese HE, Yuricek L, Rousseau J
インビトロで犬猫の糞中乳酸菌(LAB)成分によるシュウ酸分解能力を評価した。個々の犬由来乳酸菌によるシュウ酸分解も評価した。シュウ酸を分解する犬乳酸菌を選択することにより、インビトロシュウ酸分解に対する種々のプレバイオティクスの影響も評価した。犬の糞サンプルは、シュウ酸濃度78 12.2%(平均S.D.;範囲:44-97%、中央値81%)低下させた。猫の結果も同様でシュウ酸削減は69.7 16.7%(平均S.D.;範囲:40-96%、中央値73%)だった。犬の糞サンプルから37の乳酸菌を分離した。平均シュウ酸分解は17.7 16.6%(平均S.D.;範囲:0-65%、中央値13%)だった。4つ(11%)の分離菌でシュウ酸分解は検出されず10/37はシュウ酸の10%以下を分解した。犬の5つの分離乳酸菌によるインビトロシュウ酸分解に対するラクチトール、アラビノガラクタン、ガールガム、アラビアガム、イヌリン、マルトデキストリンまたは市販フルクトオリゴサッカライド(FOS)製剤の影響は、同じ細菌種でも高度に変動した。全体で、インビトロ分解は、アラビノガラクタン(P<0.05)、アラビアガム(P<0.05)、ラクチトール(P<0.01)と比較してガールガムが有意に大きかった。この研究は、犬猫胃腸細菌叢の乳酸菌の操作で腸管シュウ酸の低下、それに関する腸管シュウ酸吸収と腎臓排泄の低下により、シュウ酸尿石症の可能性を低下させるかもしれないと思われる。(Sato訳)
■前立腺嚢胞や膿瘍の大網化による治療
Omentalisation as a Treatment for Prostatic Cysts and Abscesses
Aust Vet Pract 34[4]:157-160 Dec'04 Clinical Study 16 Refs
M Apparicio, WRR Vicente, EA Pires, APC Ribeiro, GJ Covizzi, CRF Gadelha, LF Stefanoni, GQ Mostachio and MB Carvalho
前立腺貯留性嚢胞の犬7頭と前立腺膿瘍の3頭に前立腺大網化を施し、72時間後に退院させた。8頭のイヌは無事回復し、1頭は2日間最小限の失禁を認めた。1頭はそれまでの長期敗血症により死亡した。術後合併症の低発生率と短期入院を考えると、大網化は、前立腺嚢胞や膿瘍の外科的治療選択となる。(Sato訳)
■ネコ特発性膀胱炎に関与すると思われる環境、行動因子の研究
A study of environmental and behavioural factors that may be associated with feline idiopathic cystitis.
J Small Anim Pract 45[3]:144-7 2004 Mar
Cameron ME, Casey RA, Bradshaw JW, Waran NK, Gunn-Moore DA
多くのネコで膀胱炎の原因は不明なままである。この研究目的は、特にストレスが多いと考えられる全ての環境または行動因子が、ネコ特発性膀胱炎に関与するかどうかを判定することだった。アンケートベースの研究で、特発性膀胱炎のネコ31頭と同じ家庭の膀胱炎ではないネコ24頭の比較を行った。また臨床上健康な125頭のネコのコントロール集団とも比較した。
一緒に生活しているコントロール、そしてコントロール集団と比較して、ネコ特発性膀胱炎のネコは、オス、過体重、純血種であることが有意におおかった。いくつかのストレス因子がネコ特発性膀胱炎に関与していた。最も顕著に目立つ因子は、攻撃的な他のネコと生活していることだった。その所見は、ストレスがネコ特発性膀胱炎の症例に関与しているものもあるという仮説を支持する。(Sato訳)
■オス猫の性成熟過程における、精子形成能の発達
Development of spermatogenic function in the sex maturation process in male cats.
J Vet Med Sci 66[9]:1125-7 2004 Sep
Tsutsui T, Kuwabara S, Kuwabara K, Kugota Y, Kinjo T, Hori T
性成熟過程における、精子形成能とテストステロン(T)濃度を、去勢するまでの4ヵ月齢から2才齢におよぶ、180頭の雑種猫に関して調査しました。睾丸/副睾丸重量は、それぞれ10ヵ月齢、そして8から9ヵ月齢で、ピークに達しました。睾丸において、精子は5ヵ月齢で出現しました。7ヵ月齢で、猫の96.2%に精子が観察されました。副睾丸後部においては、6ヵ月齢で猫の46.9%に、そして8ヵ月齢以上で、全ての猫に精子が出現しました。さらに、平均血漿T濃度は、8ヵ月齢で急速に増加し、10ヵ月齢で、ピーク(2.64+/-0.68(SE)ng/ml)に達しました。180頭中3頭(1.67%)が、片側性停留睾丸でした。これらの結果は、オス猫における精子形成能は、8から10ヵ月齢で、成熟するということを示唆しております。(Dr.K訳)
■ネコ特発性膀胱炎の管理としてネコ合成フェイシャルフェロモンを使用した予備研究
Pilot Study Using Synthetic Feline Facial Pheromone for the Management of Feline Idiopathic Cystitis
J Feline Med Surg 6[3]:133-138 Jun'04 Pilot Study 33 Refs
D.A. Gunn-Moore & M.E. Cameron
合成ネコフェイシャルフェロモン(FFP)(フェリウェイ)を、再発性ネコ特発性膀胱炎(FIC)のネコの管理に関し評価した。12頭中9頭が無作為二重盲目プラセボ-コントロールクロスオーバー予備試験を完了した。環境にFFPまたはプラセボを2ヶ月間毎日処置し、その後、処置を逆にして行った。ビジュアルアナログスケールで、それらネコの臨床症状と行動変化を見極めてもらった。5頭(56%)のオーナーは、FFPを使用したとき、ネコの総体的な健康が向上したと申告した。
4頭(44%)のオーナーは、FFPを用いたときとプラセボを用いたときの差に気付かなかった。2つの治療群に統計学的有意差はなかったが、FFPを処置したネコに、膀胱炎の臨床症状がより少ない日数(FFP合計、平均/頭±標準偏差、30、4.3±6.7;プラセボ69、9.9±19.1)、全体の臨床スコアーがより低い(1667、238±476;2009、287±425)、膀胱炎発生回数の低下(9、1.3±2.0;10、1.4±2.1)、悪い行いが減る(例えば攻撃性、不安が減る)(-128、-18.3±65.8;-73、-10.4±35.1)などの傾向が見られた。(Sato訳)
■尿管閉塞が疑われるネコへの順行性腎盂造影検査:11症例(1995-2001)
Antegrade Pyelography for Suspected Ureteral Obstruction in Cats: 11 Cases (1995-2001)
J Am Vet Med Assoc 222[11]:1576-1581 Jun 1'03 Retrospective Study 28 Refs
*Christopher A. Adin, DVM, DACVS; Eric J. Herrgesell, DVM, DACVR; Thomas G. Nyland, DVM, DACVR; Joanne M. Hughes, DVM; Clare R. Gregory, DVM, DACVS; Andrew E. Kyles, BVMS, PhD, DACVS; Larry D. Cowgill, DVM, PhD, DACVIM; Gerald V. Ling, DVM
目的:ネコの尿管閉塞の検出で、エックス線検査、超音波検査、順行性腎盂造影の感受性と特異性を判定する
構成:回顧的研究
動物:11頭のネコ
方法:尿管閉塞の疑いでエックス線検査、超音波検査、順行性腎盂造影を行ったネコの医療記録を調査した。11頭のネコの18個の腎臓に対し、超音波ガイドの腎盂穿刺と透視による順行性腎盂造影を行った。閉塞性の尿管病変は、外科的、または検死で全頭確認された。尿管閉塞を確認するためのエックス線検査、超音波検査、順行性腎盂造影の感受性と特異性を算出した。外科、または検死所見は比較基準とした。
結果:全頭高窒素血症だった。平均±SD血清クレアチニンとBUN濃度は、10.2±6.1、149±82mg/dlだった。18の尿管中15は、外科、または検死で閉塞が見つかった。尿管閉塞の確認で、エックス線検査の感受性と特異性は60%、100%で、超音波検査で100%、33%だった。順行性腎盂造影中、18のうち8で造影剤の漏れが生じ、18のうち5で診断解釈の妨げとなった。13の診断できたもので、順行性腎盂造影法の使用による特異性と感受性は100%だった。尿管閉塞の解剖学的部位の正確な確認は、診断的順行性腎盂造影検査で100%、X線、または超音波検査で60%だった。
結論と臨床関連:順行性腎盂造影は、高窒素血症のネコの尿管閉塞の診断と部位の確認に有効な代替方法になりえるが、造影剤の漏れが、検査の解釈の妨げとなるかもしれない。(Sato訳)
■クランベリージュースと尿路感染症
Cranberry juice and urinary tract infection.
Clin Infect Dis. 2004 May 15;38(10):1413-9. Epub 2004 Apr 26.
Raz R, Chazan B, Dan M.
クランベリーは長い間、尿路感染症(UTIs)を防止する際の有益性に注目されている。クランベリーはふさ状大腸菌が尿路上皮細胞へ付着することを防ぐ、抗付着特性をもつ2つの化合物を含む。おおよそ十数回の臨床試験で尿路におけるクランベリーの効果を試験している。しかしこれらの試験は幾つかの制限がある。最も重要な点で、この研究はクランベリージュース濃縮物、クランベリージュースカクテル、そしてクランベリーカプセルなど多種多様なクランベリー製品を使い、異なる量を摂取している。一般的に、そして特に解剖学上、異常を持つ女性において、尿路感染症に対する保護においてクランベリーの役割に関する不明な点を明瞭にする更なる研究が必要とされる。(Dr.Kawano訳)
クランベリーのプロアントシアニジンと尿路衛生の維持
Cranberry proanthocyanidins and the maintenance of urinary tract health.
Crit Rev Food Sci Nutr. 2002;42(3 Suppl):273-8.
Howell AB.
クランベリージュースを飲むことの主要な健康利益の1つは尿路衛生の保守である。伝統的にクランベリージュースは静菌作用をもたらす尿の酸性化を惹起すると考えられていた。しかし最近の研究によって細菌の抗付着機構によることが立証された。珍しい分子構造を持つプロアントシアニジンが、強い細菌の抗付着活性を示すクランベリーフルーツより分離された。クランベリーのプロアントシアニジンの生物学的利用能や構造-活性関係についてはほとんど知られていない。分子のある一定の構造上の特徴がどのように生物活性や生物学的利用能に影響するかというデータが再検討される。(Dr.Kawano訳)
腎結石形成と関連する尿路結石の危険因子におけるクロスグリ、クランベリー、そしてプラムジュース摂取による効果
Effect of blackcurrant-, cranberry- and plum juice consumption on risk factors associated with kidney stone formation.
Eur J Clin Nutr. 2002 Oct;56(10):1020-3.
Kessler T, Jansen B, Hesse A.
目的;尿路結石の危険因子におけるクロスグリ、クランベリー、そしてプラムジュース摂取による影響を評価する。
計画;調査は18~38歳の12人の健常男性被験者で実施した。すべての被験者はドイツ栄養協会の食事の推奨に従って作られた標準化食を摂取した。被験者はコントロール、3つのローディング期における24時間の尿採取をした。各ローディング期において、自然ミナラルウォーターは特別なジュース330mlに代用した。
結果;クランベリージュースは尿pHを低下させた。一方シュウ酸の排泄、及び尿酸の相対的過飽和が増加した。クロスグリジュースは尿pHを上昇させ、クエン酸の排泄を増加させた。シュウ酸の排泄も増加させた。全ての変化は統計学的に有意であった。プラムジュースは尿の構成に有意な効果を与えなかった。
結論;クロスグリジュースがそのアルカリ化効果のため尿酸結石の治療と後防御を補助するという結論が下された。クランベリージュースは尿を酸性化するので、尿路感染と同様にブラッシュ石やストルバイト結石の処置において有効であろう。
提供;我々の大学の個々の学部によって資金が供給された。(Dr.Kawano訳)
■多飲と多尿に対する診断的アプローチ
Diagnostic approach to polydipsia and polyuria.
Vet Clin North Am Small Anim Pract 19[2]:327-41 1989 Mar REVIEW ARTICLE 20 Refs
Feldman EC, Nelson RW
種々の代謝障害は、多飲と多尿の症例の大部分を占めます。この章は、中枢性尿崩症、腎性尿崩症、そして心因性尿崩症の原発症例に関する、病因論と臨床像の考察に加え、鑑別診断する為の指針を提供します。(Dr.K訳)
■皮膚消毒を前もって行う、そして行わない膀胱穿刺により採取した正常尿サンプルの比較
Comparison of Normal Urine Samples Collected by Cystocentesis With and Without Prior Skin Disinfection
Aust Vet Pract 34[1]:2-5 Mar'04 Clinical Research 13 Refs
D. R. Fry and S. A. Holloway
無作為な22頭の明らかに臨床上健康なネコから膀胱穿刺で尿サンプルを採取した。最初のサンプルは、穿刺部位の毛を刈り、消毒した後に採取した。2回目のサンプルは、家を刈ったり、皮膚の準備をしたりせずに同じネコの他の部位から採取した。尿検査と定量尿培養結果を、その2つの採取方法で比較した。どのサンプルにも有意な細菌は検出されなかった。この結果は、明らかに健康なネコで、皮毛を刈ったり、皮膚を消毒しなくても膀胱穿刺で採取した尿サンプルの汚染は起こらないと示唆する。(Sato訳)
■イヌの尿道閉塞の救済で、low-profile膀胱造瘻チューブの使用
The Use of a Low-Profile Cystostomy Tube to Relieve Urethral Obstruction in a Dog
J Am Anim Hosp Assoc 39[4]:403-405 Jul-Aug'03 Case Report 7 Refs
Brenda Jo Salinardi, DVM; Steven L. Marks, BVSc, MS, MRCVS, DACVIM; Jacqueline R. Davidson, DVM, MS, DACVS; David F. Senior, BVSc, DACVIM, DECVIM
10歳の避妊済みダルメシアンが尿道閉塞の疑いの評価で紹介されてきた。紹介前、膀胱結石は外科的に除去されていたが、イヌは術後有痛排尿困難を示し、尿道カテーテルは設置不可能で紹介された。紹介時、直腸に、堅く厚くなった尿道が触知された。CBC、血清生化学検査、尿検査、腹部超音波検査に目立った異常は無かった。イヌに麻酔をかけ、膀胱鏡検査で外尿道口と遠位尿道に結節性、糜爛性病変が認められた。圧力をかけた水の注入を行っても、遠位尿道は膨張せず、膀胱鏡は膀胱まで進めることができなかった。
細菌、真菌培養、細胞病理、組織学検査のためにバイオプシーを行い、原因が未確認の肉芽腫性尿道炎の診断がなされた。結果が出るまでの間は、経尿道フォーリーカテーテルを設置した。膀胱鏡検査中に到達できなかった基礎疾患の可能性のため、外科的尿の迂回排泄を実施する治療目的で、試験的開腹と膀胱切開を行った。肉眼所見とその後の組織病理検査で、肉芽腫性尿道炎の早めの診断を確認した。尿道部分を広範囲に巻き込んでいるため、尿道造瘻は不可能だった。
内科管理を試みる間の尿排泄維持のため、市販入手可能なシリコンlow-profile胃瘻チューブを恥骨前膀胱瘻チューブとして設置した。イヌは膀胱瘻チューブにうまく許容し、術後3ヶ月間外来通院でオーナーによるチューブの維持、膀胱からの排泄が可能だった。プレドニゾン療法に最初反応したにもかかわらず、臨床症状は8ヵ月後に再発し、イヌは安楽死された。剖検で、重度肉芽腫性尿道炎が明らかとなり、組織学的に病因は解明されなかった。
恥骨前膀胱瘻チューブとしてフォーリーカテーテルの管理は難しいことが知られているため、著者はlow-profile胃瘻チューブの使用をこの症例で選択した。そのチューブは使用が簡単で、一方向のバルブを持ち、皮膚の縁にぴったりと収まり、ゆえに偶然の抜去の発生を抑える。著者は長期に尿の排泄路を変える有用な方法としてこのチューブを考慮すべきと結論付ける。(Sato訳)
■中枢性尿崩症の犬における、極端な高ナトリウム血症:症例報告
Extreme Hypernatremia in a Dog with Central Diabetes Insipidus: A Case Report
J Am Anim Hosp Assoc 26[1]:89-92 Jan/Feb'90 Case Report 16 Refs
Thomas H. Reidarson, DVM; Doug J. Weis, DVM, PhD; Robert M. Hardy, DVM, MS
極端な高ナトリウム血症は、多量のナトリウム摂取、または水の過剰喪失のいずれかの状況にある動物で起こります。動物において、後者はより一般的で、下垂体性尿崩症、尿路閉塞の解除に続く閉塞後性段階、あるいは浸透圧利尿薬の過剰使用のような病態とともに観察されます。小動物における、あまり一般的ではないメカニズムとして、塩類の過剰摂取、無飲症、そして高アルドステロン症があります。これに反して、人における食塩中毒は、不適当な処方箋投与、重度な胃腸炎、塩類吐薬、saline abortion(食塩中絶)中の高張生食静脈注入に伴うのがきわめて一般的であります。この報告は、不十分な水摂取により極端な高ナトリウム血症性、高浸透圧性昏睡へと展開した、中枢性尿崩症の若い犬に関したものです。(Dr.K訳)
■坐骨切除を利用した11頭のネコの経骨盤尿道造瘻術
Transpelvic urethrostomy in 11 cats using an ischial ostectomy.
Vet Surg 33[3]:246-52 2004 May-Jun
Bernarde A, Viguier E
目的:ネコで、経骨盤尿道造瘻術(TPU)と名づけた骨盤下尿道造瘻術変法の可能性と長期結果を調査すること
研究構成:前向き臨床研究
動物:治療不可能な閉塞性下部尿路疾患で、外科的尿路変更が必要でTPUを選択したオスネコ11頭
方法:ネコを仰臥位で、陰経を露出させ、内転筋挙上により腹部骨盤を露出させた。約12mm×15mmの坐骨を除去した。尿道球腺頭側8-20mmの骨盤尿道を縦切開し、尿道造瘻のために皮膚に縫合した。
結果:全てのネコは去勢したオスネコだった(2-9歳)。入院時、尿毒症や高カリウム血症のネコはいなかった。白血球尿、亜硝酸塩尿、そして/または細菌尿があるとき、尿を培養した。細菌は2サンプルから分離された。開存性尿道造瘻を手術合併症なく全てのネコに作成できた。臨床症状の関与がない1頭を除き、術後9-42ヶ月の間狭窄の所見は認められなかった。1頭のネコは術後尿失禁(UI)を呈し、4週間以内に解消した。2頭のネコは、6ヶ月の追跡期間後、特発性下部尿路疾患を1回起こした。2頭とも内科療法に反応した。
結論:TPUは、合併症もほとんどなく尿路閉塞の症状解消、さらなる閉塞の予防する尿路変更法としてうまく使用できた。TPU後のUIの発生率は最小だった。
臨床関連:TPUをネコの尿路変更救済処置として考慮すべきである(骨盤前、骨盤後法の代替として)。またTPUは、ネコの閉塞性下部尿路疾患の主要な尿路変更方法(会陰尿道造瘻の代替として)としての可能性も考慮できるかもしれない。(Sato訳)
■視床下部形成異常の犬における、高ナトリウム血症、無飲症、そして尿崩症
Hypernatremia, Adipsia, and Diabetes Insipidus in a Dog with Hypothalamic Dysplasia
J Am Anim Hosp Assoc 29[3]:267-271 May/Jun'93 Clinical Reports 27 Refs
*Rodney S. Bagley, DVM; Alexander de Lahunta, DVM, PhD; John F. Randolph, DVM; Sharon A. Center, DVM
背景:飲水の無能、または意欲喪失は、高ナトリウム血症を導くかもしれません。尿崩症のような極端な水喪失を引き起こす疾患と同時に起これば、重症度は増大します。しかしながら、もし渇きが正常で、水がいつでも飲めて、動物の飲水能力があるならば、尿崩症が高ナトリウム血症を起こすことはないでしょう。抗利尿ホルモン産生部位と浸透圧受容器中枢部位の視床下部中枢は独立しておりますが、視床下部内にお互い隣接して位置しております。単独病変は、両者を破壊し得ます。
要約:4.5ヵ月齢のメスのダルメシアンが、一時的な痴呆、異常運動、右への旋回運動、渇きの欠損の病歴を呈しました。臨床徴候は、最初、3週齢で発見されました。血清ナトリウム(176mEq/L)、クロール(136mEq/L)、そしてコレステロール(373mg/dl)濃度が上昇しました。脱水の程度と血漿浸透圧(324mOsm/kg)に対し尿比重(1.017)の濃縮は、不十分でした。副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の投与前後の血漿コルチゾール濃度は正常でしたが、ACTH刺激後の血漿アルドステロン濃度は上昇しました(1,926pmol/L)。
甲状腺刺激ホルモン(TSH)投与前後のT4濃度は正常でした。抗利尿ホルモン(ADHオイル)反応試験の結果(ADH投与後尿比重>1.040)は、内因性ADHの欠損である、中枢性尿崩症と一致しました。静脈内テクネシウム99mを用いた原子核画像と、常用の頭蓋レントゲン写真は正常でした。脳脊髄液解析は正常限度内でした。脱水期間中、犬は無気力、見当識喪失となりました。徘徊と旋回は、再水和後消散しました。食欲の増加または低下、体温の上昇または低下、異常心拍数のような、視床下部疾患と関連し得る、他の臨床徴候は観察されませんでした。安楽死が施されました。剖検で、頭側間脳の奇形が明らかとなりました。著者は、先天的な間脳の異常が原因で、これが無飲症、尿崩症、そして高ナトリウム血症を引き起こしたと、結論付けました。一時的な神経学的臨床徴候は、脱水に伴う高ナトリウム血症によるものでした。
臨床関連:無飲症と高ナトリウム血症は、以前、ミニチュア・シュナウザーにおいて、詳しく報告されておりますが、間脳における病変とみなされた報告はありません。明白な血漿高浸透圧の状況で、1.017という相対的に高い尿比重は、典型的な中枢性尿崩症を予測するものではありません。部分的ADH欠損は原因となり得ますが、腎間質血流の低下、高ナトリウム血症による腎髄質の浸透圧上昇、あるいは尿細管透過性の増大は、より重要であると思われます。(Dr.K訳)
■イヌ尿石症:1998年2月から2003年4月の間にカナダ獣医尿石センターに送られてきた16000以上の尿石の考察
Canine urolithiasis: a look at over 16 000 urolith submissions to the Canadian Veterinary Urolith Centre from February 1998 to April 2003.
Can Vet J 45[3]:225-30 2004 Mar
Houston DM, Moore AE, Favrin MG, Hoff B
この研究目的は、1998年2月から2003年4月の間にカナダ獣医尿石センターに提出されたイヌの膀胱結石16647個に関する年齢、性別、犬種、ミネラル組成を報告することだった。各尿石依頼にアンケートが付随していた。提出物のうち、約43.8%がストラバイト、41.5%がシュウ酸塩だった。ストラバイト結石はメスイヌに多かった。雑種が優勢で、シーズ、ビションフリーゼ、ミニチュアシュナウザー、ラサアプソ、ヨークシャーテリアがそれに続いた。シュウ酸結石はオスによく見られ、ミニチュアシュナウザー、ビションフリーゼ、ラサアプソ、シーズ、ヨークシャーテリアに多かった。尿酸結石はオスのダルメシアンに多かった。シスチン、キサンチン、シリカ、燐酸カルシウムなどの他のタイプの結石はあまり報告されなかった。種々結石に対するリスクファクターの再検討を、いくつかの治療、予防の推奨と共に述べている。(Sato訳)
■3頭の犬における、胃腸疾患と原発性多飲との因果関係
A potential causal association between gastrointestinal disease and primary polydipsia in three dogs.
J Small Anim Pract 44[6]:280-4 2003 Jun
Henderson SM, Elwood CM
多飲症は、100ml/kg/day以上の水分摂取として定義されますが、犬における一般的な内科病訴であります。多飲は不可避的水分喪失に対する反応として説明できない水分摂取の増加で、起源的に、二次性(例えば;中枢性、あるいは腎性尿崩症によるもの)、または原発性で起こり得ます。原発性多飲は、多飲を起こす他の原因を除外し、腎の濃縮能の障害がないことを証明することで確証します。犬における原発性多飲の関連と原因の定義は不十分です。
この報告は、併発した多飲と胃腸疾患の徴候を呈した3頭の犬について記述しております。検査(水制限試験を含めた)は、腎の尿濃縮能が正常で、原発性多飲であることを示しました。胃腸徴候に対する治療により、それぞれの症例で多飲が解消しました。これは、胃腸疾患と犬の原発性多飲症との可能性ある関連を記述した最初の報告で、病態生理学はあいまいなままである。(Dr.K訳)
■デスモプレッシン酢酸塩
Desmopressin Acetate
Compend Contin Educ Pract Vet 24[12]:962-963 Dec'02 Pharm Profile 6 Refs
Traci W. Suber, PharmD
デスモプレッシン酢酸塩(1-ジアミノ-8-D-アルギニン バソプレッシン;DDAVP)は、抗利尿ホルモン バソプレッシンの合成類似化合物です。これは、小動物におけるフォン・ウィルブラント病(血管血友病)のような出血障害や、中枢性尿崩症(DI)に関連した多尿症を治療するのに有用です。
DDAVPの特異的な作用機序は、腎臓の集合尿細管における、水の再吸収を増大することです。DDVAPは、腎臓の尿細管細胞にあるV2抗利尿受容体と結合し、アデニルシクラーゼ活性増大を刺激し、次々に腎尿細管透過性増大と自由水の再吸収増大をもたらす、cAMP濃度の増加を導きます。この結果、正味の尿産生量減少と、尿浸透圧増加をもたらします。治療量で、DDAVPは、尿中へのナトリウムやカリウムの排泄に干渉しません。
DDAVPは、小動物における中枢性DIの診断と治療に使用されます。飲水制限試験と組み合わせたDDAVPは、多尿と多飲を呈する動物の中枢性ID、腎性DI、心因性多飲症を鑑別するのに用いることが出来ます。飲水制限試験の目的は、脱水期間中の内因性バソプレッシンの適切な放出と、バソプレッシンに対する腎臓の反応を評価することです。もし、動物が少なくとも5%体重を失った後も、尿を濃縮できてないなら、このテストの後に、DDAVPを投与します(2μg、SCまたはIV、または20μg鼻腔内、または結膜のいずれか)。それから6から10時間、2時間ごとに尿浸透圧を測定します。もし、浸透圧が少なくとも10%増加したなら、中枢性DIが強く疑われます。
心因性多飲症の動物では、水制限試験だけで1.035以上の尿濃縮となるはずです。腎性DIの動物では、DDAVPにまったく反応を示さないのに対し、中枢性DIの動物では、1.035以上の尿濃縮を示します。一度、中枢性DIの診断がくだされたら、DDAVPが治療の要となります。DDVAPは、完全にバソプレッシン欠損を補正し、短期そして長期間、多尿と多飲を消散させます。
DDVAPはまた、ドーベルマン・ピンシャー、シェットランド・シープドック、スコッチ・テリア、ゴールデン・レトリバー、そしてプードルなどの犬種に好発するフォン・ウィルブラント病を治療するのに使用されます。猫におけるDDVAPの止血作用特性は、あまり研究されておりませんが、いくつかの研究では、正常犬にDDAVPを投与した場合、凝固因子VIIIとvWFの血漿濃度が2~4倍まで増加しました。別の研究では、犬におけるVIII因子とvWF因子における控えめな増加を認めておりますが、所見はDDAVPがvWF濃度の増加とは無関係に、出血時間を補正していると言うことを示唆しております。このようにDDAVPは、たとえvWF濃度が劇的に増加しなくても、異常な出血時間の患者において、止血機能を増大させるのに使用することができます。DDAVPは、鼻出血や血尿などの出血の初期徴候で、オーナーが投与する時などに最も有用です。DDAVPは、VIII因子よりもvWFの濃度を増加させます。VIII因子は血友病Aの病因において重要ですが、犬では血友病Aは稀であり、DDAVPの効果は不明です。DDAVPは、これらの因子が欠損している受血患者への輸血の際、vWF因子とVIII因子の濃度を上昇させるのに、採血30分前に、供血犬へ投与することもできます。
DDAVPの副作用は、小動物では稀です。ジャーマン・ショートヘアード・ポインターへDDAVPを投与する時は、注意するべきです。この犬種では、タイプIIのフォン・ウィルブラント病が良く見られ、タイプIIの患者に対し、DDAVPを投与すると、血小板減少症を引き起こす可能性があります。血栓症を引き起こす危険性のある患者にDDAVPを投与する時も注意が必要です。中枢性DIの犬におけるDDAVPの使用は安全です。渇きメカニズムの抑制機能障害により導かれ得る水中毒は、中枢性DIの患者における、DDAVP使用の主な合併症ですが、この問題は稀です。同様に、過敏反応も可能性ありますが、一般的ではありません。
妊娠犬におけるDDAVP使用の安全性は、確立されておりません。しかしながら、人の標準投与量の125倍量をラットとウサギに投与した場合でも、胎児に対して、いかなる有害作用も認められませんでした。
DDAVPは、10μg/0.1ml、または1.5mg/mlを含有する鼻腔溶液として入手可能です。規格は2.5mlと5mlボトルで、2つの目盛りつき鼻腔チューブアプリケーター(1.5から4μg/1滴)か、1回噴射で10μg のDDAVPが投薬される鼻腔加圧ポンプのいずれかがあります。1.5ml/ml濃度は、2.5mlボトルのみの製品です。(Dr.K訳)
■犬における中枢性尿崩症:20症例(1986-1995)
Central diabetes insipidus in dogs: 20 cases (1986-1995).
J Am Vet Med Assoc 209[11]:1884-8 1996 Dec 1
Harb MF ; Nelson RW ; Feldman EC ; Scott-Moncrieff JC ; Griffey SM
目的:中枢性尿崩症(CDI)の犬における、臨床徴候、生化学所見、修正飲水制限と他の診断的検査の結果、治療に対する反応、そして生存期間を評価することです。
計画:回顧的研究
動物:CDIの犬20頭
手順:特徴、病歴、身体検査、診断的検査の結果、治療に対する反応、そして生存期間をそれぞれの犬の医療記録から抜粋し、電話によりオーナーから得た情報を追加しました。
結果:等張尿または低張尿が一貫した所見でした。修正飲水制限試験の結果をもとに、7頭の犬が完全CDIで、13頭の犬が部分的CDIと鑑別しました。酢酸デスモプレッシンで治療した犬は、治療に良く反応しました。7頭は診断後18から72ヵ月間(中央値36ヵ月)生存し、10頭は診断後1週間から2年(中央値、2ヵ月)までに、死亡または安楽死となりました。死亡した10頭中7頭の犬は、CDIの診断後、神経学的徴候が発現しました。コンピューター断層撮影法により、7頭中5頭の犬で、下垂体領域における腫瘤が明らかとなりました。コンピューター断層撮影法を行った2頭を含めた6頭の犬に関する剖検で、下垂体にける腫瘍形成が明らかとなりました。
臨床関連:中高齢の犬におけるCDIの診断後の神経学的徴候の発現は、CDIが容易に治療される良性疾患でないと考えられるということを示唆しております。脳画像検査は、CDIと診断された中高齢犬で推奨されます。また、多くの犬が最初の検査で等張尿なので、低張尿でないことを基準に、多尿と多飲の原因としてCDIを除外することはできません。(Dr.K訳)
■イヌの尿石のレーザー砕石術
Laser lithotripsy for treatment of canine uroliths.
Vet Surg 33[1]:56-61 2004 Jan-Feb
Davidson EB, Ritchey JW, Higbee RD, Lucroy MD, Bartels KE
目的:過去に評価した生体外の砕石で生体内の最適なレーザーエネルギーの設定を確認、Ho:YAGレーザー砕石方法を開発、レーザー砕石術の急性、慢性の組織への影響を評価すること
研究構成:前向き無作為臨床前研究
動物またはサンプル集団:19頭の未去勢成犬
方法:膀胱切開を行い、陰茎骨の閉塞をシュミレートするレベルの1個の尿石を尿道内に挿入した。尿石(シュウ酸カルシウム、尿酸、または燐酸マグネシウムアンモニウム)を、2.8mmフレキシブル内視鏡のオペレーティングチャンネルを通し、320マイクロオプティックファイバーの接触モードで、Ho:YAGレーザーにより粉砕した。粉砕までの時間と総エネルギーを記録した。砕石後すぐ(3頭)、または3日目(7頭)に安楽死し、尿道損傷、石の残余を評価した。10日目に他の9頭も尿道の正常性を評価した。それらは、臨床的に30日間モニターもした。
結果:十分な粉砕に要した平均時間は、166.7秒(範囲、47-494.5秒)だった。使用したエネルギーの平均±SDは1418±851.2Jだった。パート1で、検死時、2頭に結石の破片が観察された。8頭は、尿道内に結石の破片が最小限(<30mg)か、または認められなかった。4頭の粘膜面は、肉眼的に限局した、または周囲の糜爛、潰瘍、または出血が見られた。2頭の病変はレーザー照射部位に関与していなかった。30日間観察したイヌで、血尿、頻尿、有痛排尿困難が、砕石術後全頭5日間観察された。内視鏡検査で粘膜病変はなく、閉塞を起こしたイヌもいなかった。
結論:イヌの閉塞性尿石をHo:YAGレーザーの接触モードを使用した砕石術でうまく破壊できる。
臨床関連:レーザー砕石術は、オスイヌの尿石症の治療として臨床的関連技術と思われる。尿道粘膜に対する長期影響を評価する研究と、再発で繰り返し治療する役割の評価が求められる。(Sato訳)
■子宮蓄膿症による二次的な敗血症性ショックのイヌの治療で高張性食塩液とデキストラン、または等張性食塩液の静脈内投与
Intravenous Administration of Hypertonic Sodium Chloride Solution with Dextran or Isotonic Sodium Chloride Solution for Treatment of Septic Shock Secondary to Pyometra in Dogs
J Am Vet Med Assoc 215[9]:1283-1287 Nov 1'99 Clinical Study 32 Refs
Denise Tabacchi Fantoni, DVM, PhD; Jose Otavio Costa Auler, Jr., MD, PhD; Fabio Futema, DVM; Silvia Renata Gaido Cortopassi, DVM, PhD; Elton Rodrigues Migliati, DVM; Marcelo Faustino, DVM; Clair Mottos de Oliveira, DVM
目的:子宮蓄膿症による二次的な敗血症性ショックのイヌに対する、6%デキストラン70を加えた高張性生食液(7.5%NaCl)(HSSD)、または等張性生食(0.9%NaCl)液(ISS)のIV投与効果を判定する
構成:前向き、無作為、臨床研究
動物:子宮蓄膿症の二次的敗血症性ショックを呈す飼育犬14頭
方法:緊急卵巣子宮摘出術の前に、血行動態と酸素化状態を評価するため、各イヌの肺動脈と大腿動脈にカテーテルを設置した。手術直前に7頭には、HSSD(4ml/kg、IV)を投与し、7頭にISS(32ml/kg、IV)を5分間投与した。血行動態と酸素化変動値は、薬液投与前と投与後5分、20分に測定した。
結果:HSSD投与後5分と20分に平均動脈圧(MAP)は有意に上昇し、一方ISSはMAPに変化をもたらさなかった。しかし、両薬剤投与で、心拍出量、心指数、酸素運搬量は増加し、ヘマトクリット値は低下した。酸素消費量と抽出率、アシドーシスの程度は、両薬剤投与後改善しなかった。
結論と臨床関連:子宮蓄膿症の二次的敗血症性ショックのイヌに対する少量のHSSDの静脈内投与は、血行動態、酸素化状態の改善をもたらした。HSSD量の8倍に相当するISS量の投与後、心拍出量、心指数、酸素運搬量は改善したが、HSSDの投与後しか、MAPが>80mmHgまで上昇しなかった。敗血症性ショックのイヌにHSSDの投与は、効果的な治療と思われる。(Sato訳)
■真性糖尿病のネコのカンジダ尿の治療としてクロトリマゾールの膀胱内投与
Intravesicular Administration of Clotrimazole for Treatment of Candiduria in a Cat with Diabetes Mellitus
J Am Vet Med Assoc 223[8]:1156-1158 Oct 1'03 Case Report 16 Refs
* Jeffrey Toll, VMD, DACVIM; Carolyn M. Ashe, BS; Lauren A. Trepanier, DVM, PhD, DACVIM, DACVCP
12歳の避妊済み長毛家ネコが、真菌性膀胱炎(カンジダ種)を発症した。そのネコは、慢性真性糖尿病、副腎皮質機能亢進症、大腸菌による細菌性膀胱炎の病歴があった。抗真菌剤(イトラコナゾール、フルコナゾール)を経口投与したが、カンジダ尿に顕著な効果を示さなかった。それら治療が無効なため、クロトリマゾール1%溶液を膀胱内に毎週3回投与した。尿のカンジダ症の完全な解消は、3回の注入後に認められた。クロトリマゾール溶液の膀胱内投与は、真菌性膀胱炎のネコの安全で効果的な治療であると思われる。(Sato訳)
■成猫の生殖器官の細菌集団特性
Characterization of the bacterial population of the genital tract of adult cats.
Am J Vet Res 64[8]:963-8 2003 Aug
Strom Holst B, Bergstrom A, Lagerstedt AS, Karlstam E, Englund L, Baverud V
目的:成猫の生殖器官の細菌を特徴付けること;メスネコのそれらの微生物に発情、交配、プロゲスチンの投与がどう影響するのか評価すること;腟スワブの細菌学的培養結果が、サンプリング前の外陰部の洗浄、またはサンプリングの繰り返しに影響されるかどうかを評価すること
動物:通常の卵巣子宮摘出術または去勢手術を実施するメス66頭とオス29頭
方法:無菌生食液(0.9%NaCl)で湿らせた綿棒を用い、腟と子宮または包皮粘膜から検体を採取した。9頭のネコで外陰部をエタノールで清拭前後に腟の検体を採取した。7頭のメスネコで、2回間断なく腟の検体を採取した。
結果:ネコの腟と包皮から一番よく分離されたのは好気性菌だった。嫌気性菌はオスで頻繁に分離された(41%)がメスではまれだった(5%)。通常、外陰部の清拭や腟検体採取の繰り返しに培養結果は影響されなかった。ネコの腟の細菌集団は、発情周期のステージに影響を受けたが、交配やプロゲスチンの投与に影響されなかった。どのネコの子宮からも最近は分離されなかった。
結論と臨床関連:ネコで、メスの生殖器官の細菌は、大部分好気性菌である。オスでは、好気性と嫌気性菌が認められる。腟の細菌集団は、発情周期のステージに影響を受ける。生殖器官検体の培養で細菌の純粋増殖は正常な所見である。生殖器感染の臨床症状がある場合のみ、抗菌剤を投与すべきである。(Sato訳)
■100頭のイヌで持続性尿路感染と再感染(1989-1999)
Persistent Urinary Tract Infections and Reinfections in 100 Dogs (1989-1999)
J Vet Intern Med 17[5]:622-631 Sep-Oct'03 Retrospective Study 37 Refs
M. Alexis Seguin, Shelly L. Vaden *, Craig Altier, Elizabeth Stone, Jay F. Levine
1989-1999年にノースキャロライナ州立大学(Raleigh, NC)獣医教育病院に来院した、持続性尿路感染、または再感染のイヌ100頭で回顧的研究を行った。選択基準は、6ヶ月以内の尿培養で2つ以上陽性だった。徴候、素因疾患の存在、尿検査と尿培養結果、治療方法を医療記録から抽出した。
尿路感染が最初に診断されたとき、年齢の中央値は7歳だった。イヌが3歳以下で再感染、または持続性尿路感染のリスクは増加し、10歳以上で低下した。
尿路感染集団で多く見られたのは避妊したメスだった。イヌの半数以上は、最初の来院時尿路感染について無症候性だった。尿沈渣検査で、サンプル中の血尿、膿尿、細菌尿はそれぞれ47、72、85%に確認された。一般的によく分離された病原体は、E.coliとストレプトコッカス/エンテロコッカス種だった。複数の分離菌も良く見られた。分離菌のうち、29.5%は経口投与で通常処方される全ての抗生物質の達成血清濃度に抵抗性を示した。
異常な排尿を呈すイヌは、通常処方される抗生物質に抵抗性を持つ病原体により感染している傾向があった。潜在性素因疾患は71頭のイヌで確認された。それら疾患の矯正は71頭のイヌの35%で達成できた。素因疾患に取り組むことなく標準の抗生物質療法を行うと、尿路感染のコントロールが悪かった。それらのイヌの74.5%は病気フリー期間が<8週間だった。比較すると、素因疾患を矯正した、または低用量、長期抗生物質投与で治療したイヌは、主観的によりよく管理できた。(Sato訳)
■イヌの尿路から分離した細菌のフルオロキノロン抵抗性の動向
Trends in fluoroquinolone resistance of bacteria isolated from canine urinary tracts.
J Vet Diagn Invest 15[4]:338-43 2003 Jul
Cohn LA, Gary AT, Fales WH, Madsen RW
フルオロキノロン(FQ)抗菌剤は、ヒトや獣医療で広範囲に使用される。どんな抗菌剤も広範囲に使用すると、バクテリア集団に選択的プレッシャーを与え、結果、抗菌剤抵抗分離菌を増加させるかもしれない。ミズーリ州コロンビアのミズーリ-コロンビア大学獣医診断研究所で、イヌの尿路から分離した細菌の抗菌剤感受性データを、時間の経過と共にFQ抵抗性細菌の普及率が増してきているのかどうか判定するのに使用した。
1992年1月から2001年12月の間に、シプロフロキサシン(1992-1998)と、エンロフロキサシン(1998-2001)の最小抑制濃度を、イヌの尿路から分離した1478個の菌で判定した。分離細菌種で多かったものは、E.coli(547分離菌)、プロテウス・mirabilis(156)、スタフィロコッカス・インターミディウス(147)だった。全体で、各25分離以上あったものは13細菌種だった。1992年から2001年にかけて、耐性菌分離の全体集団は有意に増加した(傾向のコクラン-アーミテージ法、P<0.0001)。
同様の耐性菌の増加は、シプロフロキサシンとエンロフロキサシンを別々に分析した時に示された(それぞれP<0.0001とP<0.0002)。細菌が分離されたイヌの性別にかかわり無く、FQ耐性菌の比率に差は見られなかった。分離されたいくつかの細菌種の頻度は、罹患犬の性別で違っていた。プロテウス・mirabilisはメスでよりよく見つかった(P<0.0001)が、ベータ溶血ストレプトコッカス種はオスでよく見つかった(P=0.0003)。全体的FQ抗菌剤の効果は、分離菌の80%以上が感受性を持つと高かったが、データは、イヌの尿路から分離された耐性菌集団の増加を示した。(Sato訳)
■0-24週齢の子犬の定性尿検査
Qualitative Urinalyses in Puppies 0 to 24 Weeks of Age
J Am Anim Hosp Assoc 39[4]:369-378 Jul-Aug'03 Original Report 20 Refs
Rhonda D. Faulks, DVM; India F. Lane, DVM, MS, DACVIM
開業獣医師は、時々尿路疾患の子犬に遭遇する。尿検査が診断検査の主軸となる。しかし、臨床での子犬の定性尿検査の解釈に対する示唆は、検査所から入手した限られた結果がもとになっている。この研究の目的は、臨床の子犬(0-24週齢)で、尿比重(USG)、生化学的尿試験紙所見、尿沈渣所見など定性尿検査結果を判定することだった。
この研究で、149の排尿サンプルを、6ヶ月かけて集めた無作為の場所からの、見た目に健康な188頭の子犬から採取し評価した。115頭の性別は記録されており、69頭はメス(7頭は避妊済み)、46頭はオス(7頭は去勢済み)だった。比較を目的とし、0-3、4-6、7-9、10-12、13-15、16-20、21-24週齢群をもとに結果を分析した。
主要所見は、0-3週齢の子犬の平均USGが、4-24週齢の子犬と比較して有意に低く、全年齢群の平均USGは>1.030だった。尿試験紙により蛋白尿はほぼ全サンプル(145/148;98%)で検出された。それらのうち69(47%)のタンパクは微量と記録された。どの尿にも肉眼的血尿は無かったが、評価した138中23(17%)の尿試験紙検査で、潜血が微量から1+陽性だった。どの検査したサンプルにも、糖、ケトン、ビリルビン、ウロビリノーゲン反応陽性は無かった。フリーキャッチ法で採取した41サンプルで尿沈渣を検査した。多く認められた沈査所見は上皮細胞と白血球(WBCs)で、それぞれ34(83%)、18(44%)サンプルに見られた。
高倍率1視野中>10WBCs見られた18サンプルのうち、16サンプルはメスの子犬のものだった。細菌を疑われるものは4/41サンプルで観察され、<12週齢のメスの子犬のものだった。そのWBCと細菌所見は、臨床的に下部尿路疾患の子犬はいなかったため、排尿サンプルで遠位尿道、生殖道、皮膚からの汚染と考えられた。結晶は15サンプルで観察され、13はストラバイト結晶を含み、2はシュウ酸カルシウム結晶を含んだ。少数の顆粒円柱が7サンプルで観察された。
著者は、定性尿検査指標が成犬のように4週齢以上の子犬で解釈できると結論付ける。過去の報告に反し、8週以下の子犬で糖尿とUSGsの低下は一般的でない。4週齢以下の子犬のUSG測定値を除外すると、子犬の無作為な定性尿検査結果は、健康な成犬のそれらと同様と思われる。(Sato訳)
■犬と猫の潜在睾丸発生率
Vet Rec 152[16]:502-4 2003 Apr 19
Yates D, Hayes G, Heffernan M, Beynon R
54ヵ月間にわたり、3518頭の犬と、3806頭の猫を去勢しました;犬の240頭と、猫の50頭が、潜在睾丸でした。血統は、特にジャーマン・シェパード、ボクサー、そしてチワワが、平均以上の発生率でした。犬では、右側鼠ケイ部潜在睾丸が、最も一般的で、次いで、右側腹部潜在睾丸でした。罹患した睾丸の位置は、ボクサーで、最も可変的でした。猫では、左、または右側鼠ケイ部潜在睾丸が、最もよく見られました。(Dr.K訳)
■犬と猫の尿サンプルにおける、PH、比重、そして結晶形成に関する保存時間および温度の影響
Effects of Storage Time and Temperature on pH, Specific Gravity, and Crystal Formation in Urine Samples from Dogs and Cats
J Am Vet Med Assoc 222[2]:176-179 Jan 15'03 Random Block Design 7 Refs
Hasan Albasan, DVM, MS; Jody P. Lulich, DVM, PhD, DACVIM; Carl A. Osborne, DVM, PhD, DACVIM *; Chalermpol Lekcharoensuk, DVM, MPH, PhD; Lisa K. Ulrich; Kathleen A. Carpenter
目的:犬と猫からの尿サンプルにおける、Phと比重、そして結晶のサイズと数に関する、保存温度と時間の影響を評価することです。
計画:無作為完全ブロック計画
動物:31頭の犬と8頭の猫
手順:それぞれの尿サンプルの一定量を、回収後60分以内、または室温、冷蔵(20度、6度)で保存し6または24時間後に解析を行いました。
結果:39頭中11頭(28%)の尿サンプルで、結晶を形成しました。1頭の猫と8頭の犬からのサンプルにおいて、シュウ酸カルシウム(CaOx)結晶が、試験管内で形成されました。燐酸アンモンマグネシウム(MAP)結晶が、試験管内で、2頭の犬で結晶化しました。室温で保存したサンプルと比較すると、冷蔵の試験管内で結晶化した結晶の数とサイズは増加しました。保存尿サンプルにおける、燐酸アンモンマグネシウム結晶の数とサイズの増加は、有意ではありませんでした。保存時間の延長と保存温度の低下は、CaOx結晶化の数の有意な増加と関連がありました。6時間保存したものより、24時間保存した尿において、より多くの結晶が形成されました。保存時間と温度は、Phまたは比重に関して、有意な影響を及ぼしませんでした。
結論と臨床関連:尿サンプルは、試験管内結晶化に関する、温度依存性作用、時間依存性作用を最小限にするために、60分以内に解析をするべきです。保存サンプル内で観察された結晶の存在は、新鮮尿の再評価によって、確認するべきです。(Dr.K訳)
■健康なミニチュアシュナウザーとラブラドールレトリバーで、尿組成とシュウ酸カルシウムの相対過飽和に対し食餌中の水分とナトリウム含有がどう影響するか
Effect of dietary moisture and sodium content
on urine composition and calcium oxalate
relative supersaturation in healthy miniature
schnauzers and labrador retrievers.
Res Vet Sci 74[2]:145-51 2003 Apr
Stevenson AE, Hynds WK, Markwell PJ
この一連の研究の目的は、健康犬の2犬種で、シュウ酸カルシウム(CaOx)のリスク軽減手段として2つの実行可能な給餌手段を評価することだった。ラブラドールレトリバーとミニチュアシュナウザーの尿組成に対する食餌中水分(研究1)と食餌中ナトリウム(Na)(研究2)の影響を比較した。栄養学的に完全なドライのドックフードを16頭(LR8頭、MS8頭;研究1)に24日間、そして15頭(LR7頭、MS8頭;研究2)に36日間与えた。犬には餌(水分7%、0.06g
Na/100kcal)のみ与え、それに脱イオン水を水分73%になるまで加える(研究1)か、0.20または0.30g
Na/100kcalになるように食餌中Naを添加した(研究2)。尿pH、尿量、比重、12種の分析物の濃度を各イヌで測定した。シュウ酸カルシウムの尿中相対過飽和(RSS)をそれらの値から算出した。Naまたは水を加えた影響は、t-検定(研究1)、または分散分析、多範囲試験(最も少ない有意差)(研究2)を用いて確立した。そしてP<0.05を有意と考えた。
ミニチュアシュナウザーで、食餌中水分の増加は、有意に総水分摂取量を増加させ(P=0.001)、尿比重(P=0.003)、尿中シュウ酸濃度(P=0.04)、シュウ酸カルシウム相対過飽和(P=0.04)を低下させた。ラブラドールレトリバーで尿のパラメーターは変化しないままということが、高水分食の給餌は、ハイリスク犬種で、シュウ酸カルシウム形成リスクを低下させるかもしれないことを示した。両犬種で、食餌中Naの増加が、シュウ酸カルシウム尿中相対過飽和の有意に低い尿を産生させ、このことは、ドライ食にナトリウムを添加する事がシュウ酸カルシウム形成リスクを減少させるかも知れないと示している。それらの給餌計画は、ハイリスク犬種でシュウ酸カルシウム形成予防手段を評価する時に考慮するべきである。(Sato訳)
■犬における非感染性前立腺疾患
Noninfectious Prostatic Disease in Dog
Cristina Gobello, Yanina Corrada
Compend Contin Edu Pract Vet 24(2):99-107,2003
前立腺-犬の生殖器系唯一の副腺-は、アンドロゲンの支配下にある。一般的な犬の前立腺疾患は、良性の前立腺肥大(BPH)、前立腺炎、嚢胞
、そして腺癌が含まれる。BPHは、通常一般に、9歳以上のオス犬の95%に起こる、年齢依存性の病態である。ジヒドロテストステロンが前立腺の成長を刺激する重要な因子として知られているが、犬のBPHの正確な病因論は完全には理解されていないが、ジヒドロテストステロンが前立腺の成長を刺激するキーファクターである事が知られている。BPHの臨床症状は、血液が混じる包皮内の分泌、便秘、裏急後重を含む。臨床徴候は、去勢またはテストステロンからジハイドロテストステロンへの変換を阻害する抗アンドロゲン療法(例えば、フィナステリド)に反応する。(その結果、前立腺は退縮する。)
繁殖用の犬におけるいくつかの研究では、ある抗アンドロゲンは、臨床的に副作用、または精液の質そして受精能を変化させることなく臨床応用への可能性が示された。超音波検査でのガイドバイオプシーは、診断を容易にする。前立腺の腺癌は、しばしば早期での診断が困難で、そして管理がより難しい。前立腺切除、去勢の両者とも、生活の質の改善させたり、効果的にそれを治癒させるということは認められていない。さらに、他の疾患での正確な役割を明らかにする必要があるが、血清そして精液のマーカーは、前立腺疾患の早期の非侵襲診断を高めている。(Dr.Boo訳)
■ネオジウム:イットリウム-アルミニウム-ガーネットレーザー(Nd:YAGレーザー)による犬のほぼ完全な前立腺切除術
Subtotal canine prostatectomy with the neodymium
: Yttrium-aluminum-garnet laser
Vet Surg 19[5]:348-355 Sep/Oct'90 13 Refs
E. M. Hardie, DVM, PhD, Dipl ACVS; E. A.
Stone, DVM, MS, Dipl ACVS; K. A. Spaulding,
DVM, Dipl ACVR; J. M. Cullen, VMD, PhD, Dipl
ACVP;
背景:9匹の正常犬における実験的研究と、前立腺の膿瘍そして/あるいは嚢胞のある12匹の犬における臨床的研究。
実験計画および 実験的研究:9頭の犬において、ネオジウム:イットリウム-アルミニウム-ガーネットレーザー[
Nd : YAG レーザー;Nd : YAG laser; Fiberlase
100 medical laser system : Living Technology
Inc. ]を使用し、35 - 90ワットの連続波モードで前立腺包と組織を除去し、ほぼ全面的な前立腺切除を行った。残りの6頭の犬では、前立腺包と前立腺組織は前立腺膀胱部の5ミリ以下の範囲内で剪刀を使って切開を行い、そして次に6カ所の部分で、35ワット2秒間、60ワット1秒間、60ワット0.5秒間、レーザーをそれぞれの側面から照射し、前立腺表面のカットを行った。レーザー照射スポットの大きさは1.5mm以下でレーザー繊維(レーザーファイバー)は組織から1cmであった。同時に去勢手術が行われた。
犬は 術後7日に安楽死された。
臨床的研究:前立腺疾患を持っている犬は、ランダムに2つの処置グループに割り当てられた。つまり、前立腺ドレナージを施すグループとNd
: YAG レーザーでほぼ完全な前立腺切除を行うグループである。
前立腺ドレナージを、前立腺嚢胞あるいは膿瘍の部分に、2-4センチ、0.6センチのペンロースドレーンを同側体壁から排液されるように配置した。
前立腺全摘出術は、大部分の組織は電気メスと鋭利な切開によって行われ、残りの部分は、組織面と接触しない35ワット連続波モードのNd
: YAG レーザーによる光学切除を行った。 メチレンブルー液を膀胱内に注入し、尿道に穴が開いていないかを確認し、穴が開いている場合はその部分を修復した。
それぞれのグループの中で1頭の犬の前立腺が会陰ヘルニアの中に認められた。
( 実験的研究の結果):レーザーは最初の3匹の犬で、前立腺組織の大部分を除去するには時間がかかり、非効率的であることがわかった。
剪刀切除は前立腺組織を除去するのに効率的な手段であった。しかしながら、レーザーは膀胱付近の前立腺組織を正確に除去することができた。
尿道に入る排出管がある精丘部分は、前立腺組織の余分な薄い層があるため、その部位の側面では注意を払わなければならなかった。術後1週間、尿失禁は9頭の犬のいずれにも認められなかった。両方のグループで、前立腺を切除した表面で
前立腺周囲組織との癒着が認められた。剪刀切除の行われた犬6頭のうち2頭で、尿道からの固定液の漏出が認められた。
(臨床的研究の結果):前立腺ドレナージ設置(手術)が完了するまでには、78-215分[平均167分]を要し、入院は4-18日であった[平均11日]。
すべての犬は外科手術から回復した。 6頭の犬に関して、3頭が術後1年経っても生存していたが、3匹は術後11日目、2.5ヶ月目、3.5ヶ月目で死亡した。術後の合併症では、ドレーンの感染、重篤な血尿
、貧血、衰弱、下痢、敗血症と肺の血栓塞栓症が見られた。
6頭中2頭は尿失禁、6頭中1頭に排尿障害が見られた。術後2週間以上生存していた5頭のうち4頭は再発性の尿管感染症を起こした。
前立腺膿瘍あるいは嚢胞が5頭中2頭に再発した。
前立腺完全切除術はドレナージの設置より技術的にはいっそう難しく、125-265分[平均
= 192分]と、より長い手術時間を要した。
しかし入院は短く、5-16日間[平均6.5日]であった。
6頭の犬に関して、3頭は術後1年経過してもまだ生存していたが、2頭はショックのため術中に死亡した。そして1頭の犬は皮膚リンパ腫のため術後10カ月で死亡した。
手術後の合併症では、高ナトリウム血症、高クロール血症
、乏尿 、 多飲多尿 、膵炎および尿漏出が見られた。生存している4頭中3頭で
尿失禁が見られ、4頭中2頭には、術後、一過性の尿管感染症が見られた。生存している4頭の犬では
前立腺疾患の再発は認められなかった。(Dr.Shingo訳)
■繁殖障害のイヌにおける診断手段としての睾丸針吸引細胞診
Dahlbom M, Makinen A, Suominen J.
J Small Anim Pract 1997 Nov;38(11):506-12
Testicular fine needle aspiration cytology
as a diagnostic tool in dog infertility.
繁殖障害の履歴のある患者からの睾丸吸引細胞診の結果を、臨床的、組織学的結果と比較した。無精子症はもっとも一般的であるし、試験のためのもっとも価値ある指標である。サンプルは睾丸腫瘍、睾丸炎、副睾丸炎、重度の少数と奇形精子症、性欲欠如、片側睾丸萎縮が疑われる症例から採取された。組織学、細胞学的結果はよく関連していることがわかった。正常な胚上皮からの細胞タイプの同定は比較的簡単であった。吸引の即座副作用は認められなかった。5頭の正常精液犬を吸引後2~6ヶ月間モニターしたが、睾丸の硬さ、睾丸の組織学、あるいは精液の性状に顕著に有害な影響はなかった。針吸引により得られる睾丸細胞学は、少なくともある程度まで、特に無精子症のイヌと睾丸組織の明白な変化を伴うイヌにおいては、臨床診断の補助に使われるであろう。(Dr.Yoshi訳)
■猫の下部尿路疾患:まだ餌が原因なのか
Lower urinary tract disease in cats: Is diet
still a cause?
J Am Vet Med Assoc 205[11]:1524-1527 Dec
1'94 Review Article 35 Refs
C A. Buffington, DVM, PhD; Dennis J. Chew,
DVM; Stephen P. DiBartola, DVM
猫下部尿路疾患の歴史、餌の変化、新しい問題、猫の慢性膀胱炎の新しい考え方を論ずる文献の論評
-猫の泌尿器症候群/ストラバイト尿石の原因として餌が関係付けられており、その反応で猫の餌メーカーは、餌の灰分やマグネシウム濃度を減らし、尿の酸性化を促進する成分(例えば、コーングルテンミール、卵、メチオニン、燐酸)を追加する修正を行った。アルカリ化カルシウム塩を酸性化のもの(例えば、CaCl2,
CaSO4)に代えることもした。それらの変化と同時に、猫のストラバイト尿石の発生率が減少したと報告されている。
しかし、食餌の酸性化は、いくらか問題を起こす可能性もあった。下限まで落としたカリウム濃度と酸性化を行った食餌は、カリウムの枯渇、低カリウム血症、慢性腎不全を起こすかもしれない。だがほとんどの市販キャットフードメーカーは、この問題を防ぐためにKClの添加をはじめた。ある餌は1.5%塩化アンモニウムを含んでおり、尿中カルシウム排泄と骨の脱灰の増加を見せている。2種の異なる方法で酸性化したキャットフードを給餌した猫の研究は、両方とも非代償性慢性代謝性アシドーシスを誘発するとしていた。またカルシウム、リン、カリウム、マグネシウムの体バランスの低下や骨形成の減少を認めた。さらに、近年のシュウ酸カルシウム尿石の増加は、酸性化低マグネシウム食に関係しているのかもしれない。
ストラバイト尿石の発生率の低下にもかかわらず、いまだ下部尿路疾患の症状を呈している猫が存在する。それらの猫の尿は、無菌、酸性、血漿や尿石を含まない事が多い。下部尿路疾患について解剖学的欠陥が見つかる事もない。それらの猫は、特発性下部尿路疾患として分類される。
著者は、女性の間質性膀胱炎に類似している事から、現在それらの猫を猫間質性、または特発性膀胱炎と呼んでいる。有痛性膀胱炎のいくらかの症例は、神経学的炎症を伴っているかもしれない。猫の慢性膀胱炎のメカニズムに関する新しい考え方は、食餌の役割を原因となるものを減らすとする必要がある。(Sato訳)
■猫の高カルシウム血症とシュウ酸カルシウム結石:5頭の症例報告
Hypercalcemia and Calcium Oxalate Urolithiasis
in Cats: A Report of Five Cases
J Am Anim Hosp Assoc 35[4]:297-301 Jul/Aug'99
Case Report 12 Refs
Heidi M. McClain, DVM; Jeanne A. Barsanti,
DVM, MS, Dipl. ACVIM; Joseph W. Bartges,
DVM, PhD, Dipl. ACVIM, Dipl. ACVN
シュウ酸カルシウム結石は、ネコ下部尿路疾患の主要な原因で、発生頻度は増加しており、現在ストラバイト結石の数に肩を並べている。このような罹患率の増加にもかかわらず、シュウ酸カルシウム結石の原因、治療、予防について劇的な進歩がなされていない。シュウ酸カルシウム結石の約35%は、同時に総血清カルシウム濃度が増加しており、原因は解っておらず、結石形成との関連性も不明である。
この研究では、高カルシウム血症が同時に起こっている、シュウ酸カルシウム結石のネコ5例(3頭は家猫短毛種、1頭はペルシャ、1頭はヒマラヤン)について述べ、高カルシウム血症については、血清カルシウムイオン濃度と上皮小体ホルモン(PTH)濃度を測定した。
全頭、血清カルシウムイオン濃度は上昇し、血清PTH濃度はネコの正常範囲よりも低かった。また結石診断時には酸性化食を与えており、治療や予防の一環として全頭の食餌を変更した(4頭は高繊維食、1頭は不明な市販のメンテナンスキャットフード)。
4頭追跡調査が出来、結石の再発は報告されておらず、3頭で行われた血清生化学検査では、高カルシウム血症は改善していた。論議を呼んでいるが、高繊維食はヒトのシュウ酸カルシウム結石のリスクを下げると報告されている。
著者は、酸性化食は下部尿路疾患の症状を持つ全ての猫に適切ではなく、それらの食餌はシュウ酸カルシウム尿石のリスクを生みえると締めくくる。(Sato訳)
■猫の細菌性前立腺炎
Bacterial Prostatitis in a Cat
J Vet Intern Med 16[5]:593-597 Sep-Oct'02
Case Report 12 Refs
Xavier Roura, Maria A. Camps-Palau, Albert
Lloret, Felix Garcia, Ivonne Espada
この猫の経過、身体検査、検査所見、画像所見は以前報告されている前立腺腫瘍に似ており、その結果から種々の前立腺疾患の鑑別を行った。外科的に採取した前立腺サンプルの組織病理学検査や培養で腫瘍は除外された。診断的所見は、慢性細菌性前立腺炎の犬で見られたものに似ていた。培養所見は前立腺炎を示し、単一の細菌(E.coli)の感染によるものだった。
良性の前立腺肥大がまれで、下部尿路の解剖学的生理学的特性で細菌の増殖に不利な環境を作り出すため、猫の細菌性前立腺炎はほとんどないかもしれない。
前立腺炎のほとんどの犬と同じく、この猫は去勢していなかった。試験的に去勢は細菌性前立腺炎の犬の感染を早く解消するようになる事がわかっており、通常推奨される。組織病理検査結果で、前立腺肥大の所見はなかったが、この猫の補助療法として去勢を行った。猫の症状は完全に改善した。犬のように、細菌性前立腺炎を、未去勢の猫の前立腺疾患の鑑別に加えるべきである。(Sato訳)
■再発性細菌性尿路感染の管理
Management of Recurrent Bacterial Urinary
Tract Infections
Compend Contin Educ Pract Vet 16[12]:1565-1570
Dec'94 Review Article 11 Refs
David J. Polzin, DVM, PhD
再発性尿路感染を持つ患畜の管理には、よく同じ、または異なる抗生物質を使用した抗菌剤療法が繰り返し行われる。治療が成功しないのに原因について取り組まないため、このアプローチは良く失敗する。最初の尿路感染の診断は、臨床所見と尿検査結果をもとに成されるが、抗菌剤療法で改善しない時や、尿路感染が再発する時には診断を確認するべきである。再感染、ぶり返し、重複感染は、再発性感染を起こしえる。
抗菌剤療法は通常再感染をなくすのだが、宿主防御機構の障害の結果再発するのかもしれない。防御機構の障害の確認と修正は再感染を予防できる。長期間の低用量抗菌剤療法は、宿主の防御障害が見つけられなかったり、修正できない場合、尿路感染の更なる発生を防ぐと思われる。同様の感染の再発(ぶり返し)は、不十分なオーナーの服薬率、根強い感染、不適切な治療を示唆する。そして不適切な治療は再評価すべきである。治療過誤が再発の原因でないならば、感染部位を突き止める努力をするべきである。抗菌剤療法中に起こった感染は、重複感染といえる。抗菌剤の選択は、抗菌剤感受性試験をもとに行うべきである。(Sato訳)
■猫特発性下部尿路疾患。パート4.治療オプション
Feline Idiopathic Lower Urinary Tract Disease.
Part IV. Therapeutic Options
Compend Contin Educ Pract Vet 21[6]:497-507
Jun'99 Review Article 75 Refs
Tina S. Kalkstein, DVM, MA; Carl A. Osborne,
DVM, PhD; John M. Kruger, DVM, PhD
多くの治療薬が特発性下部尿路疾患(iLUTD)の猫に提唱されている。しかし、それらの効果や安全性に対する臨床試験はほとんど行われていない。その問題は、iLUTDの臨床症状は、しばしば短期間で自己制御可能であることにより複雑になる。従って、どの形式の治療も有害でない限りは、有効となっているのかもしれない。この文献は、iLUTDに関する臨床症状と続発症の可能性に対する様々なオプションを調査する。
特発性下部尿路疾患(iLUTD)のオス、メス猫の効果的な治療は謎のままである。ILUDTの多くの猫の臨床症状が自己制御的現象である事が、さまざまな治療法の効果を証明する対照、前向き、二重盲目臨床研究の必要性が強調される。この文献や他の中で論じられている治療法は表1に要約した。
非閉塞性iLUTDの猫の治療選択は次のことをもとに行うべきである。
(1) 診断検査を通し、下部尿路疾患(LUTD)の他の原因を除外する
(2) オーナーに提唱されている治療効果の確実な研究がない事を告げる
(3) 尿道閉塞に関係するリスクファクターが最小限になるよう計画する
(4) 医原性の疾患を予防するよう計画する
(5) 臨床症状の再発や持続に対する対症療法の薬理学面を考慮する
この論文で議論されている非閉塞性猫iLUTDの治療法は、実験や、または臨床調査で実証されておらず、ある程度慎重に行うべきである。これは猫iLUTDに関する現在の概念を再検討する4つから構成される文献の最後のパートである。パートⅠ、Ⅱ、Ⅲは臨床特質、原因の可能性、診断評価をそれぞれ再検討している。(Sato訳)
■若齢犬から停留睾丸を摘出するかどうかを判断するための判断分析図
Peters MA, van Sluijs FJ.
Vet Rec 2002 Mar 30;150(13):408-11
Decision analysis tree for deciding whether
to remove an undescended testis from a young
dog.
判断分析図を、1歳齢で潜在睾丸のイヌにおいて、予防的睾丸摘出を受けた、もしくは受けなかったイヌに予期されるであろう寿命を評価するために作成した。図は、文献からの潜在睾丸に関する危険因子、手術後の合併症の発生率に対するデータを用いて作成された。睾丸摘出をせずに予想される寿命は、睾丸摘出後の予想される寿命と有意差はなかった。(Dr.Yoshi訳)
■猫特発性下部尿路疾患。パート1.臨床症状
Feline Idiopathic Lower Urinary Tract Disease.
Part I. Clinical Manifestations
Compend Contin Educ Pract Vet 21[1]:15-26
Jan'99 Review Article 39 Refs
Tina S. Kalkstein, DVM, MA; John M. Kruger,
DVM, PhD; Carl A. Osborne, DVM, PhD; * College
of Veterinary Medicine, Michigan State University,
East Lansing, MI
原因不明の自然発生した下部尿路疾患の猫を、特発性下部尿路疾患(iLUTD)と分類した。ILUTDに特徴的な診断試験や処置は現在のとことない。猫の尿路は予測可能な様式で様々な疾患に反応するため、iLUTDの臨床症状は、他の原因による猫下部尿路疾患の症状と同じである。猫iLUTDは、ヒトで間質性膀胱炎と呼ばれるiLUTDと多くの類似点を持つが、両疾患の原因はほとんど解っていない。この文献は4つからなるうちのまず最初で、猫iLUTDの臨床特質、原因、診断評価、管理を再検討する。また発生率、徴候、臨床症状や続発症の可能性について論じる。(Sato訳)
■猫の下部尿路疾患の危険因子に対する疫学調査
Epidemiologic Study of Risk Factors for Lower
Urinary Tract Diseases in Cats
J Am Vet Med Assoc 218[9]:1429-1435 May 1'01
Case-Control Study 22 Refs
Chalermpol Lekcharoensuk, DVM, MPH; Carl
A. Osborne, DVM, PhD, DACVIM; Jody P. Lulich,
DVM, PhD, DACVIM
目的:猫の下部尿路疾患の比例した罹患率と危険因子を調査すること
構成:症例対照研究
供試動物:下部尿路疾患の猫22,908頭とそうでない猫263,168頭の記録
方法:Purdue獣医医療データベースからデータを集めた。記述的な統計と一変量の曲線回帰分析で、種類、年齢、性別、不妊状態が下部尿路疾患の違った原因となるかどうか調査を行った。
結果:原因に関係なく下部尿路疾患の平均比例罹患率は、100頭中8頭(範囲、2-13頭/100頭)だった。膀胱結石のリスクの増加(ロシアン・ブルー、ヒマラヤン、ペルシャ猫)、尿路細菌感染(UTI;アビシニアン)、先天性尿路欠損(マンクス猫、ペルシャ猫)、そして尿失禁(マンクス猫)が認められた。2歳から7歳までの猫は、尿道栓塞、神経障害、先天的欠損、医原性の傷害の危険性が、4歳から10歳の猫は膀胱結石、尿道閉塞、特発性下部尿路疾患の危険性が、10歳以上の猫では、尿路感染症や腫瘍の危険性が増加していた。去勢したオス猫は、尿路感染症や失禁を除いた下部尿路疾患の各原因の危険性、避妊したメス猫は、膀胱結石、尿路感染症、腫瘍の危険性が増加していた。避妊していないメス猫では、神経障害、医原性の障害を除いて、下部尿路疾患の各原因の危険性が減少していた。
結論と臨床関連:特定の種類、年齢、性別、不妊の状況は猫の下部尿路疾患の特定タイプに関連しているかもしれない。下部尿路疾患猫の危険因子の知識は、早期発見を助ける監視の基準作成を容易にするもしれない。(Dr.Sato訳)
■猫の結晶尿の診断で貯蔵の影響に対する調査
An Investigation Into The Effects Of Storage
On The Diagnosis Of Crystalluria In Cats
J Feline Med Surg 3[2]:81-85 Jun'01 Original
Article 10 Refs
C.P. Sturgess; A. Hesford; H. Owen; R. Privett
尿管疾患の病歴のない41頭の猫で尿検査を行った。サンプルを一定に分け、異なる状況で貯蔵し、結晶尿の有無を検査した。ウエット/ドライフード混合食を与えている猫で、新鮮尿サンプルで24%の猫に結晶尿が見られたのに対し、貯蔵した少なくとも1つの尿サンプルで結晶尿が検出されたのは猫の92%となった。完全にウェットフードを与えている猫からは結晶尿が全く検出されなかった。(Sato訳)
■外傷性尿管破裂:10症例
Traumatic Rupture of the Ureter: 10 Cases
J Am Anim Hosp Assoc 38[2]:188-192 Mar-Apr'02
Retrospective Study 10 Refs
Chick Weisse, VMD; Lillian R. Aronson, VMD,
DACVS; Ken Drobatz, DVM, DACVIM, DACVECC
尿路障害は、膀胱、尿道、あるいは腎臓によく見られます。
外傷性の尿管破裂と診断されるのはまれで、著者の知る限り、現存する獣医学文献には、その予後や生存率に関する情報がない。この報告の目的は、最小限の罹患率と最良の結果、この傷害の処置、すばやい認識(早期診断)を狙いとし、鈍性外傷による二次的な片側性尿管破裂の存在した10症例の一連の臨床パラメーターを記述することである。外傷性尿管破裂の10例(犬8頭、猫1頭、フェレット1頭)の医学的な記録が再検討されました。
最も普通に見られた身体検査結果は、腹部膨満
/ 不快(5/10匹の動物)とひどい血尿 (検尿がされた5/6匹の動物)でした。多臓器傷害もよく見られました。
ただ2匹だけの動物が 排尿障害、無尿、血尿
あるいは、これら併発した尿管と関係がある徴候を持っていた。10頭の動物のうち4頭が血液尿素窒素、血清クレアチニン
、あるいは両者の上昇に伴う高窒素血症を示していたけれども、
臨床病理学的検査の結果は、しばしば 非特異性を欠いていた。後腹膜の欠如と腹腔細部はごく普通のレントゲン結果(レントゲン検査を行った6頭のうち4頭の動物)でした。そして
腹膜後の液体は、腹部の超音波検査を行った2例で識別されました。排泄尿路造影が行われた4頭全ての動物で診断が得られました。9頭の動物で尿管病理症状が述べられた。
7例で完全裂離(6例が右側の尿管)があり、2例で部分的な断裂(2例とも左側の尿管)がありました。4例の尿管傷害は
腎盂尿管接合部の近くにあり、3例は尿管膀胱接合部の近くにありました。そして2例は
尿管の中央にありました。7頭の動物には外科的処置が施されました。
尿管腎切除術は(7頭のうちの5頭)最も一般に行われる外科的処置であり、これらすべての症例は生き残りました。全体的に、5頭は生存し5頭は死亡しました。
著者は、外傷性尿管破裂は獣医学領域では稀な状況であると考えます。
重度の鈍性外傷を受けた動物に、クレアチニンの上昇、血尿、あるいは腹部レントゲン上での腹膜後の滲出液の所見がある時は、この状況を考慮されるべきであり、レントゲン造影検査と超音波検査を含む画像診断は、一貫してこの状況の診断の手助けとなります。
動物が初期段階で尿管腎切除術を受けると予後は良いようです。(Dr.Shingo訳)
■特発性下部尿路疾患の猫から分離された、2つの新しい猫カリシウイルスの遺伝学的特徴
Genetic Characterization of 2 Novel Feline
Caliciviruses Isolated from Cats with Idiopathic
Lower Urinary Tract Disease
J Vet Intern Med 16[3]:293-302 May-Jun'02
Retrospective Study 51 Refs
Cheryl C. Rice, John M. Kruger *, Patrick
J. Venta, Aivars Vilnis, Kara A. Maas, Jennifer
A. Dulin, Roger K. Maes
猫カリシウイルス(FCVs)は、猫の特発性下部尿路疾患(I-LUTD)における、潜在的病因であります。修飾ウイルス分離法によって、非閉塞性のI-LUTDを持つオス、メス28頭の猫、閉塞性I-LUTDを持つ12頭のオス猫、そして臨床的に健康なオス、メス18頭の猫から得た尿を検査しました。全ての猫は、通常のFCVの予防接種を受けていました。2つのFCVsが分離され、一つ(FCV-U1)は、非閉塞性のI-LUTDを持つメス猫から、もう一つ(FCV-U2)は、閉塞性I-LUTDのオス猫からでした。他のFCVsに対する、FCV-U1とFCV-U2の遺伝子学的関係を明らかにするため、カプシッド蛋白遺伝子RNAを、cDNA内に逆転写し、増幅、シークエンスを行いました。
多様なアミノ酸配列と系統発生図を、高変異領域E、そして保存領域(非変異領域)A,B,D,Fの、全体のカプシッド蛋白に関して作図しました。生物型が分かっている23のFCVと比較すると、83から96%の範囲で、FCV-U1とFCV-U2のカプシッド蛋白の全体のアミノ酸配列は一致していました。高変異領域CとEの一致性は58から85%でした。系統発生学的に、非高変異領域を基にしたフェノグラム内で、FCV-U1は明らかに他のFCV株と分かれました。対照的に、FCV-U2は、一貫して、全てのホノグラム内でUrbana株と分かれました。地理学的起源による分離株形成は、非高変異領域のホノグラムで最も明瞭でした。生物型による分離株形成は、いかなるホノグラムにおいても認められませんでした。我々の結果は、FCV-U1と、FCV-U2が遺伝的に他の知られているワクチン株や、野外株のFCVとは、別個のものであるということを示唆しております。(Dr.K訳)
■犬のカンジダ尿の治療で、膀胱内の断続的クロトリマゾール注入
Use of Intermittent Bladder Infusion with
Clotrimazole for Treatment of Candiduria
in a Dog
J Am Vet Med Assoc 220[10]:1496-1498 May
15'02 Case Report 9 Refs
Zoe A. Forward, DVM; Alfred M. Legendre,
DVM, MS, DACVIM; Hari Dharm Singh Khalsa,
DVM
14歳4.3kgの避妊済みミニチュアプードルを、頻尿、微小黄色顆粒で満たされた粘液の膣分泌物のため検査した。尿分析で、多数の卵形発芽酵母菌を認め、真菌培養でカンジダアルビキャンスと同定した。3週間フルコナゾールの経口投与で治療したが、カンジダ尿はなくならなかった。
フルシトシンの5週間経口投与に続き、塩酸テルビナフィンの経口投与で3週間治療したが、カンジダ尿は解消しなかった。
クロトリマゾール超音波ガイド下膀胱穿刺で断続的に4回、直接膀胱に注入した。2回目の治療で、尿路感染の臨床症状は改善し、最後の治療後その真菌の除去に成功した。真菌尿路感染の治療として抗真菌剤の断続的膀胱内注入は、経口投与療法に変わるものである。(Sato訳)
■異所性尿管瘤を伴うイヌにおける尿失禁
Lautzenhiser SJ, Bjorling DE.
J Am Anim Hosp Assoc 2002 Jan-Feb;38(1):29-32
Urinary incontinence in a dog with an ectopic
ureterocele.
7ヶ月齢メスのイングリッシュコッカースパニエルを尿失禁のため診察した。排泄性尿路造影により、小さな右腎、右側水尿管症、異所性尿管、尿管瘤が明らかとなった。尿管腎切除術と卵巣子宮切除術が実施されたが、遠位の尿管と尿管瘤はそのまま残された。外科処置後、再発性尿路感染症と断続的な尿失禁は残った。膣尿路造影が、尿管瘤に関係する尿道憩室の存在を証明した。尿管瘤切除術が実施され、そのイヌは切除術後4年間、自制して排尿しつづけている。頑固な尿失禁、尿路感染症は尿管瘤部分切除の失敗のためであると考えられた。(Dr.Yoshi訳)
コメント:尿管瘤とは、尿管の膀胱に入る最終部分の小嚢であり、尿管出口の狭窄の結果生じるそうです。頑固な尿失禁、尿路感染症では尿路造影も考えてみたいと思います。
■イヌから分離された非腸管由来Escherichia
coli :674症例(1990~1998)
Oluoch AO et al; J Am Vet Med Assoc 2001
Mar 1;218(5):732 ; Nonenteric Escherichia
coli isolates from dogs: 674 cases (1990-1998).
目的:イヌにおいてEscherichia coli が分離される非腸管部位と、分離されたEscherichia
coliの抗菌感受性を決定すること
意図:回顧的研究
サンプル数:イヌ症例17000頭
方法:イヌ症例17000頭のサンプルを細菌培養にかけたの診療記録を調査し、E
coli の分離数を決定した。更にこれらの症例について、体組織との関連、性別、他の細菌種との混合感染、そして抗菌感受性について記録を調査した。
結果:674のE coli が分離された(尿から424、皮膚から62、呼吸器から52、耳から45、雌の生殖器から43、雄の生殖器から25、その他の器官から23)。避妊雌の尿からの分離数は、未避妊雌または雄と比較して有意に多かった。症例の65.9%からEscherichia
coli が単独で分離された。多くの分離されたE
coli はノルフロキサシン(90%)、エンロフロキサシン(87.5%)、ゲンタマイシン(90.7%)、アミカシン(85.9%)に感受性であった。
結論と臨床関連:イヌにおいて最も多い非腸管由来E
coli 感染は尿路に関連があった。アミカシン、ゲンタマイシン、ノルフロキサシン、エンロフロキサシンはイヌから分離されたE
coliに対して最も高い効果があった。in vitroにおけるイヌから分離されたE
coliについて、過去から10年間、一般に使用されている抗菌因子への感受性はかなり安定を保っている。(Dr.Yoshi訳)