■麻酔下の犬の体温測定-鼻、腋下、直腸と食道温度との比較
Body temperature measurement in anesthetized dogs - comparison of nasal, axillary, rectal and esophageal temperature
Tierarztl Prax Ausg K Kleintiere Heimtiere. 2023 Jun;51(3):161-167.
doi: 10.1055/a-2103-3162. Epub 2023 Aug 11.
Rob Ward , Matt McMillan , Claudia Gittel
目的:麻酔をかけた犬の体温のモニタリングの異なる方法と食道プローブで測定した核心温度との比較評価
方法:種々の処置に対し全身麻酔をかけ高い犬を、この観察研究に含めた。体温は10分ごとに連続で直腸、腋下、鼻腔をデジタルサーミスター体温計で測定し、食道核心体温とペアt-検定で比較した。ゴールドスタンダードの食道温度との差は、Bland-Altmanプロットで評価し、さらに、麻酔下の時間のようなファクター、低/正常-あるいは高体温の有無を評価した。加えて、末梢測定部位(鼻腔および腋下)に対する補正因子は、体温の信頼できる値に利用できるかどうかを分析した。全ての検定の有意レベルはp<0.05にセットした。
結果:この研究で、4つの異なる部位での95の同時体温測定値を30頭の犬で入手した。異なる測定方法で食道温度との平均差と誤差の許容範囲は直腸温で0.0±0.72度、腋下で-1.2±1.42度、鼻腔温度で-1.0±2.02度だった。腋下と鼻腔温度は、それぞれ補正因子+1.2度と+1度で食道温度と有意差はなかった(それぞれp=0.5721とp=0.9287)。
結論と臨床関連:麻酔をかけた動物で術中の体温測定は、直腸と食道測定値を置き換えて使用できる。しかし、それらが利用できない場合、腋下や鼻腔部位の使用は、補正因子を応用した後にのみ信頼できる。(Sato訳)
■作業犬のトレーニングにおける運動誘発性の高体温に対する冷却法を比較した無作為化交差試験
A Randomized Cross-Over Study Comparing Cooling Methods for Exercise-Induced Hyperthermia in Working Dogs in Training
Animals (Basel). 2023 Nov 28;13(23):3673.
doi: 10.3390/ani13233673.
Sara C Parnes , Amritha Mallikarjun , Meghan T Ramos , Tesa A Stone , Cynthia M Otto
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作業犬は、犬の非発熱性高体温のリスクが高く、自身で冷却する犬の能力を妨げる身体的努力あるいは環境因子により致死的状況が起こる可能性がある。体温を低下させる2つの良く推奨される冷却方法は、水浸とパッドへのイソプロピルアルコールの適応である。
この交差研究は、トレーニング中の作業犬12頭において運動後熱ストレスに、それらの方法の相対的効果を比較した。各研究日、犬は身体検査を行い、準備運動を実施後、熱ストレスの複数の症状を示す、あるいはコア体温が40.6度に達するまで10分間指定のハンドラー間約25mの、連続の呼び戻しを実施した。各呼び戻しで犬の体温と心拍数を測定した。3日の研究日を完了し、各日、無作為に3つのうち1つの処置を行った:受動的冷却(処置なし)、部分的水浸、イソプロピルアルコール。処置後の犬は20分休ませた。
部分的水浸とイソプロピルアルコールは、処置なしよりも犬を冷却し、水浸はイソプロピルアルコールよりも効果的に冷却した。また、イソプロピルアルコールの適用は、水浸や処置なしよりも犬の心拍数を上昇させ、イソプロピルアルコールの使用過程が潜在的にストレスとなることを示唆している。
このように、部分的水浸は、使用の許容性がより良く、より効果的な冷却から運動後の犬の冷却に優先される。(Sato訳)
■犬の末梢浮腫の病因と臨床的特徴の回顧的評価
Retrospective evaluation of the etiology and clinical characteristics of peripheral edema in dogs
J Vet Intern Med. 2023 Jul 15.
doi: 10.1111/jvim.16815. Online ahead of print.
Bradley D Whelchel , Jean-Sebastien Palerme , Sandy P Tou , Jessica L Ward
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背景:犬の末梢浮腫の異なる病因の有病率と臨床的特徴は不明である。
仮説/目的:末梢浮腫の異なる病院の有病率を判定し、各病因の臨床的特徴を述べ、生存期間を報告する
動物:末梢浮腫のある527頭の犬
方法:回顧的医療記録の再調査。病因群の中の臨床的変数の違いを、Kruskal-Wallis testing with post hoc pairwise Dunn's testingとChi-square testing with Monte Carlo simulationで評価した。
結果:犬の最も一般的な末梢浮腫の病因は、脈管炎(n=193、37%)、リンパ管/静脈閉塞(LVO;114、22%)、低アルブミン血症(94、18%)だった。右側うっ血性心不全(R-CHF)は珍しかった(25、5%)。浮腫は377頭(72%)で局所性、142頭(27%)で全身性、LVOあるいは脈管炎に比べ、低アルブミン血症は全身性浮腫を起こす確率が高かった(P<.0001)。腹水の併発(155、29%)は、胸水(77、15%)や心嚢水(12、2%)よりも一般的だった。腹水や胸水は、LVOや脈管炎と比べて、低アルブミン血症やR-CHFの犬でより一般的に発生した。
結論と臨床的重要性:浮腫の分布、腔内滲出液の併発、臨床病理学的データは、犬の末梢浮腫の基礎病因の予測に役立つ可能性がある。(Sato訳)
■自宅で鼻-食道フィーディングチューブの許容性:119症例の回顧的再調査
Tolerability of naso-esophageal feeding tubes in dogs and cats at home: Retrospective review of 119 cases
J Vet Intern Med. 2023 Oct 25.
doi: 10.1111/jvim.16732. Online ahead of print.
Renaud Dumont , Julie Lemetayer , Loïc Desquilbet , Elodie Darnis
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背景:自宅での鼻-食道フィーディングチューブ(NFE)の使用は、飼い主のコストを削減するための代替法の1つで、自発的食欲回復までの腸管栄養補給を容易にできる。
目的:犬と猫の自宅でのNFTの使用を述べ、飼い主の満足度、その取り扱い能力を評価する
動物:入院中は食欲不振で、最低24時間NFTを付けて退院した119頭の飼われている動物(90頭の猫と29頭の犬)
方法:医療記録を回顧的に再調査し、飼い主には電話で連絡を取った。それら関連の重症度による合併症を報告してもらった(マイナー、メジャー)。飼い主にはNFT管理の経験と快適性を報告するよう依頼した。
結果:鼻-食道フィーディングチューブは、自宅で中央値6日間(範囲1-17)設置を保ち、62.2%の動物(95%CI:53.3-70.7)はNFT設置中に自発的食欲が回復し、60%の残りの動物(95%CI:44.4-75.6)は抜去後に自発的食欲が回復した。全体の合併症率は65.5%(95%CI:57.0-74.0)だったが、18.5%(95%CI:11.5-25.5)は相談を必要とし、命にかかわるような合併症の発生はなかった。94.1%(95%CI:89.9-98.3)の症例の飼い主は満足していた。
結論と臨床的重要性:NFTを付けて退院したほとんどの動物は合併症を呈したが、メジャーな有害事象は報告されず、NFTは飼い主により容易に取り扱われていた。この研究はNFTが自宅で通用できるというエビデンスを提供する。(Sato訳)
■猫のビタミンB12:栄養、代謝、疾患
Vitamin B12 in Cats: Nutrition, Metabolism, and Disease
Animals (Basel). 2023 Apr 26;13(9):1474.
doi: 10.3390/ani13091474.
Gerardo Siani , Beatrice Mercaldo , Maria Chiara Alterisio , Antonio Di Loria
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コバラミンは水溶性分子で、特にDNA合成、メチル化、ミトコンドリアの代謝など細胞代謝に重要な役割を持つ。コバラミンは内因子(IF)と結合し、回腸で吸収される。猫のIFは膵臓組織で独占的に合成される。猫の総血漿コバラミンの約75%は、トランスコバラミンIIと関係するが、この種において、トランスコバラミンIは存在しない。猫におけるコバラミンの半減期は11-14日である。
猫のB12状態に対する診断的バイオマーカーには、循環総コバラミン濃度減少とメチルマロン酸濃度上昇が含まれる。猫の血清コバラミン濃度の参照値は290-1500ng/Lで、血清メチルマロン酸濃度に対しては139-897nmol/Lである。
低コバラミン血症に対する治療は、主に基礎疾患に依存する。場合によっては、250ng/猫の皮下あるいは筋肉注射が経験的に投与されている。近年、経口コバラミン補給も、非経口投与より侵襲性の少ない代替法として、犬と猫でうまく使用できることが証明されている。
このレビューは、B12必要量に関して今わかっていることを述べ、診断法においての改善点と疾患との関連において低コバラミン血症の役割に焦点を当てている。(Sato訳)
■日本の初期および中期SARS-CoV-2流行中の犬と猫のSARS-CoV-2抗体の血清有病率
Seroprevalence of SARS-CoV-2 antibodies in dogs and cats during the early and mid-pandemic periods in Japan
One Health. 2023 Dec;17:100588.
doi: 10.1016/j.onehlt.2023.100588. Epub 2023 Jun 19.
Seiya Yamayoshi , Mutsumi Ito , Kiyoko Iwatsuki-Horimoto , Atsuhiro Yasuhara , Moe Okuda , Taiki Hamabata , Jurika Murakami , Calvin Duong , Tsukasa Yamamoto , Yudai Kuroda , Ken Maeda , Yoshihiro Kawaoka
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2019年の発生からヒトでは、重度急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)が循環し続けている。ヒトで感染が持続している一方で、コンパニオンや動物園の動物を含む少なくとも32の動物種の多数の波及的事象が報告されている。犬と猫はSARS-CoV-2に高い感受性を持ち、飼い主や他の家族と直接接触しているため、犬と猫のSARS-CoV-2の有病率を知っておくことは重要である。
ここで、我々はレセプター結合ドメイン、SARS-CoV-2スパイクとヌクレオカプシド蛋白の外部ドメインに対する血清抗体を検出するELISAを開発した。このELISAを用い、初期パンデミック期間(2020年5月と6月の間)に集めた犬の血清488サンプルと猫の血清355サンプル、中期パンデミック期間(2021年10月から2022年1月の間)に集めた犬の血清312サンプルと猫の血清251サンプルで、血清有病率を評価した。
2020年に集めた2頭の犬の血清サンプル(0.41%)、2020年に集めた1頭の猫の血清サンプル(0.28%)、2021年に集めた4頭の猫の血清サンプル(1.6%)はSARS-CoV-2に対する抗体陽性だったことが分かった。2021年に集めた犬の血清サンプルで、それらの抗体に対して陽性だったものはいなかった。
日本の犬と猫におけるSARS-CoV-2抗体の血清有病率は低く、それらの動物はメジャーなSARS-CoV-2のリザーバーではないと示唆していると結論付ける。(Sato訳)
■健康犬100頭のクレアチニン、対称性ジメチルアルギニン、コレステロール、トリグリセリド、その他の生化学分析物に対する絶食vs給餌の影響
Effect of withholding food versus feeding on creatinine, symmetric dimethylarginine, cholesterol, triglycerides, and other biochemical analytes in 100 healthy dogs
J Vet Intern Med. 2023 Feb 14.
doi: 10.1111/jvim.16630. Online ahead of print.
Katarina C Yi , Johanna C Heseltine , Nicholas D Jeffery , Audrey K Cook , Mary B Nabity
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背景:絶食はその必要性を支持するエビデンスが欠けているにもかかわらず、犬においてルーチンな生化学検査のための採血前に推奨されることが多い。
目的:臨床的に健康な犬において、給餌前後に採取した選択した生化学分析物の測定値を比較する
動物:体重15kg以上のスタッフおよび学生が飼育している臨床的に健康な犬100頭
方法:前向き観察研究。犬は10-26時間絶食した。食餌前血清を収集し、その後に最低2/3安静時エネルギー必要量(RER)と同等の量でいつもの食事を与えた。選択した血清分析物は、食後2-、4-、6-、8-時間で測定した。報告された許容全誤差(TEa)(あるいは対称性ジメチルアルギニン(SDMA)に対し)、基準変化値(RCV)を超過した食後の値の比率を判定した。リパーゼに対してTEaもRCVも得られないときは、比較は参照範囲(RI)の上限でなされた。
結果:少なくとも1つの食後測定値がTEaあるいはRCVを超過した犬の比率は、トリグリセリドで92/100、血中尿素窒素(BUN)で66/100、リンで46/100、グルコースで17/100、ビリルビンで9/100、SDMAで5/100、クレアチニンで2/100、コレステロールとアルブミンで0/100だった。絶食時の正常なリパーゼの犬において、食後リパーゼがRIを決して超えることはなかった。
結論と臨床的重要性:一般に臨床的に健康な犬において、ルーチンな生化学検査実施前に絶食は必要ない。トリグリセリドおよびリンのような給餌に影響を受ける分析物において、絶食は変動を制限するのに役立つかもしれない。(Sato訳)
■入院犬に見られた末梢静脈カテーテルの合併症の発生率とタイプ
Incidence and type of peripheral intravenous catheter complications documented in hospitalised dogs
J Small Anim Pract. 2022 Nov 28.
doi: 10.1111/jsap.13574. Online ahead of print.
S E Simpson , K M Zersen
目的:入院犬において、末梢静脈カテーテルの合併症の発生率とタイプを報告する
方法:前向き観察試験を実施した。末梢静脈カテーテルの合併症をモニターした。合併症を記録し、血管外漏出、静脈炎、移動、閉塞、ライン破損に分類した。静脈炎が存在する場合、Visual Infusion Phlebitis Scaleを用いてグレード(0-5)に振り分けた。フィーシャーの正確検定を用い、集中治療室(CCU)と中間集中治療室(IMCU)との間で合併症の種類を比較した。一変量ロジスティックモデルを使用し、集中治療室と中間集中治療室の間の合併症の発生率を比較し、補正オッズ比はグループの比較に使用した。
結果:末梢静脈カテーテルの合併症の発生率はCCUで24.2%、IMCUで13.1%、全体の発生率は19.9%だった。CCUにおいて、最も多い末梢静脈カテーテルの合併症は静脈炎で、IMCUではラインの破損だった。入院期間の長さと体重は、合併症の確率に有意に影響した。多変量ロジスティック回帰モデルにおいて、末梢静脈カテーテルの合併症のオッズ比は、入院期間の長さと体重についてIMCUよりもCCUで有意に高いというわけではなかった(補正オッズ比、1.84;95%CI、0.98-3.48)。
臨床意義:末梢静脈カテーテルの合併症は入院犬に一般的で、飼い主の費用の増加、定められた治療の失敗、静脈の消耗(静脈カテーテルの設置に対する末梢血管の欠如)、患者が経験する疼痛を起こすかもしれない。末梢静脈カテーテルの合併症を減らす方法を今後評価すべきで、末梢静脈カテーテル設置と維持のチェックリストの使用、force-activated
separationデバイスの使用、患者の鎮静などが含まれると思われる。(Sato訳)
■犬の頚静脈穿刺および末梢静脈カテーテルから採取した生化学および血液学的値の比較
Comparison of biochemical and hematologic values obtained via jugular venipuncture and peripheral intravenous catheters in dogs
J Vet Intern Med. 2022 Aug 27.
doi: 10.1111/jvim.16518. Online ahead of print.
Aria L Guarino , Andrew J Specht , Sarah S K Beatty , Allison L O'Kell
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背景:末梢静脈カテーテル(PIVC)からのサンプリングは、直接静脈穿刺(DV)よりも、血清生化学(SB)あるいはCBCに対する外傷性採血が少なく、より効率的かもしれない。それらの方法で採取したサンプルの結果の一致性は、犬で評価されていない。
目的:主な目的は、犬のDVの代わりにPIVCからのサンプリングが使用できるかどうかを調べることだった。DVおよびPIVCサンプルは、臨床的に同等のSBおよびCBCの結果が得られるだろうと仮説を立てた。
動物:各研究部門で61頭の飼い犬を含めた。
方法:これは部分的無作為化方法比較研究だった。橈側皮静脈にPIVCを設置後1-2分以内、設置後約24時間で入手したペアのDVおよびPIVCサンプルで、percentage difference plots(コンセンサス総許容誤差の先験的応用)、Bland-Altman analysis、Passing-Bablok regression analysis、Wilcoxon signed rank test、McNemar's testを用いて一致性とバイアスを評価した。
結果:統計学的および臨床的に許容可能な一致性があり、サンプリング方法間のバイアスは大多数の結果になかった。もっとも頻度の高い不一致の分析物は、入院したPIVCサンプリング群においてAST、総ビリルビン、カリウム、重炭酸、白血球像、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット値、PCVだった。観察された相違で、臨床的な治療決定を変更したものはほとんどなかった。
結論と臨床的重要性:ほとんどの犬でPIVCサンプリングは、一般的に許容可能なSBおよびCBC結果を提供できるが、臨床医はある値でかけ離れた結果が得られる時があるかもしれないと知っておくべきである。(Sato訳)
■2頭の子犬に対する不適切なマイクロチップ埋め込みにより起きた脊髄傷害の予備報告
Preliminary report of spinal cord injuries resulting from inappropriate microchip implantation in two puppies
J Vet Med Sci. 2022 Nov 9.
doi: 10.1292/jvms.22-0344. Online ahead of print.
Lina Hamabe , Kazumi Shimada , Miki Hirose , Tomohiko Yoshida , Aki Takeuchi , Katsumi Uehara , Ryou Tanaka
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2022年6月1日に施行された日本の動物愛護法改正により、犬と猫の販売前にマイクロチップの埋め込みと登録が義務化された。
子犬への不適切なマイクロチップ埋め込みの結果として起きた脊髄傷害の2症例が、著者らの施設に紹介され、頚髄エックス線写真とCT検査で診断された。
マイクロチップ埋め込み後の有害事象は珍しいが、威厳的脊髄傷害の可能性は依然深刻な合併症である。これは日本でマイクロチップ埋め込み後の有害事象の最初の報告で、不適切なマイクロチップ埋め込みによる二次的な医原性脊髄傷害の可能性に警鐘を鳴らし、特に小さな軽量動物において十分な訓練と特別に注意することが重要である。(Sato訳)
■飼い主との再会後の犬の涙量の増加はオキシトシンによるものである
Increase of tear volume in dogs after reunion with owners is mediated by oxytocin
Curr Biol. 2022 Aug 22;32(16):R869-R870.
doi: 10.1016/j.cub.2022.07.031.
Kaori Murata , Miho Nagasawa , Tatsushi Onaka , Nobuyuki Kanemaki , Shigeru Nakamura , Kazuo Tsubota , Kazutaka Mogi , Takefumi Kikusui
ヒトにおいて感情的な興奮の間に涙の量は増加する。我々の知るところでは、過去に動物において感情的な興奮と涙の量の関連を調査している研究はない。
著者らは、飼い主および見慣れた非飼い主と、犬の再会前後において、シルマー涙試験(STT)を実施し、涙の量を測定した。
涙の量は、飼い主との再会中に有意に増加したが、見慣れた非飼い主とでは増加しなかった。オキシトシン溶液を犬の眼に使用した時も涙の量が増加することで、オキシトシンが飼い主と犬の再会中に涙の分泌を介在するかもしれないと示唆される。最後に、ヒトの参加者は人工的な涙のある犬、あるいはない犬の写真に対する彼らの印象を評価し、彼らは人工的な涙の写真に対してよりポジティブなスコアを付けた。
それらの結果は、感情により引き出された涙は、ヒトと犬の感情的な結びつきを容易にできると示唆する。(Sato訳)
■全身性炎症反応症候群の高圧酸素治療
Hyperbaric Oxygen Therapy in Systemic Inflammatory Response Syndrome
Vet Sci. 2022 Jan 18;9(2):33.
doi: 10.3390/vetsci9020033.
Débora Gouveia , Mariana Chichorro , Ana Cardoso , Carla Carvalho , Cátia Silva , Tiago Coelho , Isabel Dias , António Ferreira , Ângela Martins
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背景:全身性炎症反応症候群(SIRS)は、かなりの数の外傷性あるいは非外傷性疾患により起こり得る。高圧酸素治療(HBOT)は、炎症に対する主あるいは補助治療として使用されると思われ、この研究の主な目的は、SIRS-陽性犬において安全で許容性の高いツールとしてHBOTの適応性を確かめることだった。
方法:この前向きコホート研究では、SIRSの2つ以上のパラメーターを持つ49頭の犬を含め、外傷性研究群(n=32)と非外傷性研究群(n=17)に振り分けた。全ての犬は、2.4-2.8ATAで60-90分のセッションのHBOTを受けた。
結果:この研究は、73.5%の犬が改善を示し、HBOTセッションの最小回数は2で、平均は12.73回だったことを示した。診断からHBOT開始までの日数が、臨床結果に統計学的に有意に関係することを示した(p=0.031)。いずれのメジャーな副作用を示した犬はいなかった。
結論:HBOTはSIRS-陽性犬に対し安全で許容性が良いと思われ、可能な限り早く使用すべきであると結論付ける。(Sato訳)
■獣医療の創傷治癒に対する高圧酸素療法の効果:予備研究
Effects of hyperbaric oxygen therapy on wound healing in veterinary medicine: A pilot study
Open Vet J. Oct-Dec 2021;11(4):544-554.
doi: 10.5455/OVJ.2021.v11.i4.4. Epub 2021 Oct 10.
Débora Gouveia , Sara Bimbarra , Carla Carvalho , Ana Cardoso , Óscar Gamboa , Rute Teixeira , António Ferreira , Ângela Martins
背景:獣医療で、創傷は臨床診療の中において発生率が高い。治癒を促進できる方法は広く研究されており、現在、この事柄で高圧酸素療法(HBOT)による治療は、ベストな補助的治療の1つと認識されている。
目的:この予備的研究の主要な目的は、修正バンクーバースケール(MVS)10-15点の間あるいは15点以上(MVS>10および≦15;MVS>15)に従い分類された重度創傷においてHBOTの治療効果を評価することだった。
方法:41頭の研究集団を犬群と猫群に分け、Lisbon Animal Rehabilitation and Regeneration Centerで100%酸素、2.4絶対気圧、90分で治療した。動物の創傷はMVSを使用して入院時、HBOT後の最初の24時間、48時間、72時間、医療解除時に評価した。また、この研究は各セッション時にメジャーな副作用(SEM)およびマイナーな副作用(SEm)をモニタリングすることにより、HBOTが小動物診療で安全な治療であるかどうかも評価した。
結果:得られた結果は、HBOTがMVS分類において減少可能であることを示した。
結論:HBOTは現在治癒が難しい創傷において使用される興味深い相補的治療であるかもしれないと示唆された。さらに、HBOTの289セッションでSEMが観察されず、SEmの最も多い発生は嚥下の行動だったことから安全な治療と考えられた。しかし、それらの結果を確認するため、小動物臨床でHBOTのより多くの研究を行うべきである。(Sato訳)
■緊急患者においてカテーテル痛の許容を改善するためのバポクーラントスプレーの効果
The efficacy of vapocoolant spray for the improved tolerance of catheter pain in emergency patients
J Small Anim Pract. 2022 May 4.
doi: 10.1111/jsap.13504. Online ahead of print.
R Trinder , K Humm , S Phillips , L Cole
目的:緊急として受診した犬と猫は、生理食塩水のコントロールと比べ、冷却スプレーの使用後に静脈カテーテル設置の許容性を改善するかどうかを調べる。
素材と方法:緊急で来院し、静脈カテーテルの設置を必要とする飼い犬と飼い猫の無作為化コントロール試験を実施した。患者のシグナルメントと精神状態スコアを記録した。全ての動物は拘束し、カテーテル設置部位を毛刈りした。その後無作為に、冷却スプレーを染み込ませたスワブ(処置)、あるいは生理食塩水を染み込ませたスワブ(コントロール)を静脈カテーテル設置前の毛刈りした部位に適用する群に振り分けた。処置はビデオで撮影し、一人の何も知らされていない観察者が動画を見て4つのタイムポイント(最初の拘束、肢のハンドリング、スワブ応用、皮膚の穿刺)で、反応スコア(0-3)を付けた。
結果:2020年10月から2021年1月までの間、合計100頭(犬79頭、猫21頭)を登録し、各群を50頭にした。2群の動物種、年齢、品種、性別あるいは精神状態スコアに有意差はなかった。コントロール群と比べ、処置群のスワブ応用反応スコアが有意に増加したことを除き、どのタイムポイントでも群間の反応スコアに有意差はなかった。
臨床意義:緊急現場において、犬と猫の静脈カテーテル設置前のスワブを通した冷却スプレーの間接的な適用は、反応を有意に減らさなかった。(Sato訳)
■造影剤静脈内投与前後の犬の集団の血清生化学および尿パラメーターの変化
Alterations of Serum Biochemical and Urinary Parameters in a Canine Population before and after Intravenous Contrast Administration
Vet Sci. 2021 Jul 29;8(8):146.
doi: 10.3390/vetsci8080146.
Federica Cagnasso , Barbara Bruno , Claudio Bellino , Antonio Borrelli , Ilaria Lippi , Barbara Miniscalco , Silvia Roncone , Alberto Valazza , Renato Zanatta , Paola Gianella
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静脈内へのヨード造影(IVIC)剤は、犬で日常的に投与される。犬のIVIC投与に関係する血清生化学あるいは尿プロフィールに関して情報がバラバラになって存在する。
この研究の目的は、22頭の犬の通常のCT検査中のIVIC投与前(T0)、および1週間以内(T1)の血清生化学および尿パラメーターの変化に関する過去の研究の展望を述べ、比較し、議論することだった。
術前の腫瘍のステージング/手術計画のためにCT検査で受診した成犬を含めた。T1評価はIVIC投与から1週間以内に実施した。
T1とT0の間で血清総蛋白、アルブミン、クロライド、カルシウム、リン濃度、尿蛋白クレアチニン比、尿比重に統計学的有意差が見つかった。1頭を除き、全ての犬のT1時の血清クレアチニン濃度は参照範囲内だった。尿蛋白クレアチニン比の増加は、4サンプルで観察され、そのうち1サンプルはT0時に蛋白尿ではなかった。T0とT1間の生化学および尿パラメーターの変化に臨床的重要性は考えられなかった。(Sato訳)
■血清の犬C反応性蛋白の測定に対する臨床現場即時検査と自動免疫比濁法の分析的検証
Analytical validation of a point-of-care test and an automated immunoturbidimetric assay for the measurement of canine C-reactive protein in serum
Can J Vet Res. 2021 Oct;85(4):285-292.
Marshal A Covin , Robynne R Gomez , Jan S Suchodolski , Jörg M Steiner , Jonathan A Lidbury
C反応性蛋白(CRP)は、炎症過程の変化に対する生得免疫系の反応の評価とモニターに使用される急性期蛋白である。
この研究の目的は、犬の血清CRP濃度の測定に対し、臨床現場即時検査(IDEXXカタリストCRP検査)と免疫比濁法(Gentian犬CRPイムノアッセイ)の分析的検証を行うことだった。
それらの2つの検査(カタリスト、Gentian)は、過去に検証した酵素結合免疫吸着検定(Tridelta Development EIA Canine
CRP Assay)と比較した。直線性、精度、再現性、正確さを残りの血清サンプルを使用して評価した。検査間の一致度は、残りの血清サンプルと臨床的に健康な犬の血清を用いて評価した。
dilutional parallelismに対する観察期待比(O/E)は、カタリストとGentianに対しそれぞれ83.9-163.1%と108.3-160.6%だった。検査内変動に対する変動係数は、カタリストで6.4-9.5%、Gentianで1.5-2.6%の範囲だった。検査間変動に対する変動係数は、カタリストで3.8-18.2%、Gentianで4.5-5.8%だった。リカバリーに対する平均O/Eは、カタリストで97.9%、Gentianで98.5%だった。
検査間の相関は以下:カタリストとTridelta(R2=0.76)、GentianとTridelta(R2=0.79)、カタリストとGentian(R2=0.98)だった。
犬の血清のCRP測定で、カタリストとGentian検査は両方容認できるものだったが、それらの結果はTridelta検査と直接相当するものではない。(Sato訳)
■2006年1月から2015年12月までにカリフォルニア、デービス大学の獣医療教育病院を受診した猫の過体重および肥満に関係する疾患、リスクファクター、有病率
Prevalence, risk factors, and disease associations of overweight and obesity in cats that visited the Veterinary Medical Teaching Hospital at the University of California, Davis from January 2006 to December 2015
Top Companion Anim Med. 2021 Dec 19;100620.
doi: 10.1016/j.tcam.2021.100620. Online ahead of print.
Chih-Fan Chiang , Cecilia Villaverde , Wei-Chih Chang , Andrea J Fascetti , Jennifer A Larsen
家庭猫において、過体重および肥満は一般的に診断され、過体重および肥満に関係することが知られている種々の疾患プロセスを通し直接あるいは間接的に猫のQOLを徐々に害する。異なる猫の集団の中で疫学研究は様々な全体の有病率を報告しており、不妊のようなリスクファクターが一般的に確認された。しかし、疾患関係に一貫した報告はない。アメリカの獣医教育病院において、猫の過体重および肥満の状態はうまく定義されていないままである。
この研究では記述統計とロジスティック回帰モデルを用い、2006年1月から2015年12月までにカリフォルニアデービス大学の獣医療教育病院で得られた猫の医療記録を解析し、過体重および肥満の有病率、リスクファクター、疾患関連を特徴づけた。
解析した猫9062頭の記録において、過体重(17.2%;n=1560)および肥満(23.8%;n=2160)の総有病率は41.0%だった。3.0歳から14.9歳の年齢群で、整形外科、歯科、泌尿科カテゴリーで疾患過程を呈する不妊済み、オス、雑種猫は過体重、肥満と正の関係があった。
過体重および肥満は、その重要性を強調する継続的獣医教育から利益を得ることができる一般的な問題です。ファクターに関係するそれらを監視する構造化された疾患監視も、今後の研究のガイドに役立ち、理想的に過体重や肥満に対するより良い予防戦略の開発に貢献できる。(Sato訳)
■動物霊園からのデータを用いたコンパニオンドッグの死亡原因の確認
Identifying causes of death of companion dogs in Japan using data from pet cemeteries
J Vet Med Sci. 2021 May 17.
doi: 10.1292/jvms.21-0171. Online ahead of print.
Mai Inoue , Katsuaki Sugiura
Free article
この研究の目的は、動物霊園に埋葬された犬の死亡原因を確認することだった。
2016年4月1日から2017年3月31日までに5118頭の犬のオーナーによるアンケートのデータを基に、平均寿命および、独立した変数として潜在的リスクファクターと複数のロジスティック回帰分析で、死亡の主要原因のオッズ比を算出した。
出生児に判定した平均寿命は13.98歳だった。最も一般的な死亡原因は、老衰だった。老衰で死亡するオッズ比は、ラブラドールレトリバー、シバ、老齢犬で有意に高く、チワワ、室内飼育、不妊した犬で有意に低かった。(Sato訳)
■小動物のインターフェロン療法
Interferon therapies in small animals
Vet J. 2021 May;271:105648.
doi: 10.1016/j.tvjl.2021.105648. Epub 2021 Feb 24.
Ralf S Mueller , Katrin Hartmann
インターフェロン(IFNs)はサイトカインで、動物やヒトの免疫反応において重要な役割を演じる。
ここで概説される多くの研究は、犬と猫の感染、炎症性および腫瘍性疾患に対する治療として、ヒト、イヌ、ネコIFNsの使用を評価している。
組み換え型イヌINF-γは、犬アトピー性皮膚炎に対し効果的な治療と思われ、組み替え型ネコINF-ωは、犬パルボウイルス性腸炎に対し効果があり、犬のアトピー性皮膚炎に対しても推奨されている。
限られたエビデンスを基に、組み替え型イヌINF-αは、歯肉炎及び乾性角結膜炎の犬に対する局所治療オプションの可能性があった。
他の疾患に対しては決定的エビデンスがなく、INFsが他の適応に対して推奨される前に、大規模無作為対照試験が必要である。(Sato訳)
■敗血症性ショックの犬の重症疾患-関連コルチコステロイド不足(CIRCI)の疑いに対するヒドロコルチゾン使用の回顧的評価(2010-2017):47症例
Retrospective evaluation of the use of hydrocortisone for treatment of suspected critical illness-related corticosteroid insufficiency (CIRCI) in dogs with septic shock (2010-2017): 47 cases
J Vet Emerg Crit Care (San Antonio). 2021 Feb 17.
doi: 10.1111/vec.13037. Online ahead of print.
April M Summers , Christine Culler , Page E Yaxley , Julien Guillaumin
目的:重症疾患-関連コルチコステロイド不足(CIRCI)疑いのため、ヒドロコルチゾン(HC)で治療した敗血症性ショックの犬の特徴を、CIRCIの疑いがない敗血症性ショックの犬と比較することで評価する
計画:2010年2月から2017年10月までの回顧的研究
場所:大学教育病院ICU
動物:敗血症性ショックの犬47頭のデータを集めた。21頭の犬はCIRCIの疑いのため、HCで治療した(HC処置)。26頭の犬はHCを投与しなかった(HC無処置)。
処置:CIRCIが疑われる犬に対し、HCは間欠的IVボーラスあるいは定速注入(CRI)で投与した。
測定値と主要結果:有意に高いベースラインAPPLEfull スコアと予測される死亡率が、HC処置犬で検出された(vsHC無処置犬)(予測される死亡率0.87 vs 0.44、P=0.039)。HC処置群の犬は、無処置群の犬より昇圧剤と強心剤を多く使用した(2.5 vs 1.5、P<0.001)。当初、全ての犬は昇圧剤投与に反応し、低血圧の解消までの平均時間は、HC処置群で90分、無処置群で60分だった(P=0.640)。しかし、HC処置犬は、無処置群と比べ、昇圧剤開始後の低血圧の解消が有意に長く持続(最低4時間、収縮期血圧>90mmHgあるいは平均血圧>65mmHg)した(8.5 vs 4時間、P=0.001)。HC処置群の3頭(14.3%)、無処置群の9頭(34.6%)が生きて退院したが、これに有意差はなかった。
結論:HC処置犬は、無処置犬よりも死亡率の基礎リスクがより高かった。HC処置とHC無処置の敗血症性ショックの犬の生存性に有意差はなかった。CIRCIが疑われる犬において、HCの使用を評価する追加研究が必要である。(Sato訳)
■犬の敗血症性ショックの臨床特徴と結果:37症例(2008-2015)
Clinical features and outcome of septic shock in dogs: 37 Cases (2008-2015)
J Vet Emerg Crit Care (San Antonio). 2020 Dec 31.
doi: 10.1111/vec.13038. Online ahead of print.
April M Summers , Noel Vezzi , Tara Gravelyn , Christine Culler , Julien Guillaumin
目的:敗血症性ショックの犬の特徴を述べ、疾患重症度のマーカーを調査し、結果に対する治療の影響を評価する
計画:回顧的研究
場所:1施設、大学獣医教育ICU
動物:敗血症性ショックの犬37頭
介入:なし
測定値と主要結果:臓器機能不全の平均数は3.24±1.0で、心血管(100%)、呼吸器(73%)、血液(68%)、腎臓(49%)、肝臓(32%)機能不全が含まれた。消化管は最も一般的な敗血症の源だった。蘇生前の平均血圧は50±8mmHgだった。全ての犬は昇圧療法前にIV輸液を受け、平均速度は12.1±11.0mL/kg/hだった。全ての犬は抗生物質を、診断後平均4.3±5.7時間以内に投与されていた。ドパミンあるいはノルエピネフリンはそれぞれ51.3%、37.8%の犬にIV投与され、低血圧の平均持続時間は2.6±3.0時間だった。死亡率は81.1%だった。
生存した犬は、フィーディングチューブを設置(P=0.007)、消化管敗血症(P=0.012)である確率が高く、呼吸機能不全である確率が低かった(P<0.001)。APPLEスコア(P=0.014)および抗生物質治療までの時間(P=0.047)は、死亡の予測因子として確認された。敗血症性ショックのヒトの結果を改善するかもしれない7つの介入からなる治療バンドルを評価した。生存した犬は、4.1±1.3の介入を受けていたが、非生存の犬は2.4±1.4の介入を受けていた(P=0.003)。
結論:犬の敗血症性ショックは予後慎重である。早期の抗生物質療法と治療バンドルの利用は、敗血症性ショックの犬の生存能を増加させるかもしれない。生存性に対する特定の介入の影響を調査する今後の研究が求められる。(Sato訳)
■猫の飼育者は喘息有病率増加と関係し、犬の飼育者は肺活量測定値低下と関係する
Cat ownership is associated with increased asthma prevalence and dog ownership with decreased spirometry values.
Braz J Med Biol Res. 2018 Oct 18;51(12):e7558. doi: 10.1590/1414-431X20187558.
Simoneti CS, Ferraz E, Menezes MB, Icuma TR, Vianna EO.
ペット飼育者とアレルギー性および呼吸器疾患の発症との関係は、いくつかの研究の目的とされている。しかし、成人での暴露の影響は不明のままである。
この研究の目的は、犬および猫の飼育者の中で、喘息の有病率および肺機能状態を調査することである。
2つの大学の学生と研究者で横断研究を実施し、前年のペット飼育により3群に振り分けた:猫の飼育者、犬の飼育者、ペットを飼っていない(コントロール群)。被検者は肺活量測定、マンニトールによる気管支チャレンジ試験、皮膚プリックテスト、動物暴露と呼吸器症状に関するアンケートを実施した。
コントロール群は125人、猫の飼育者群は51人、犬の飼育者群は140人から構成された。
コントロール群よりも猫の飼育者群は喘息の有病率(症状と気管支チャレンジ試験陽性で定義)が増えたが、肺機能に変化はなかった。
コントロール群よりも犬の飼育者群は肺活量測定値(1秒量と努力肺活量低下)が低かったが、喘息の有病率は同じだった。猫の飼育者群で、前側が多いことは、著者らがアトピーとの関連を見つけていることから免疫学的根拠を持っているのかもしれない。
著者らはボランティアの家庭のエンドトキシンデータは持っていないが、肺機能の低値は犬のいる環境にあるエンドトキシンの暴露と関係していると想定した。(Sato訳)
■複数回使用バイアルの単回使用の無菌性の評価
Evaluation of the sterility of single-dose medications used in a multiple-dose fashion
Elizabeth P. Martin, Jean Mukherjee, Claire R. Sharp, Virginia B. Sinnott-Stutzman
Can Vet J 2017;58:1187–1190
複数回使用するバイアルで意図的に汚染させたときの単回での細菌汚染を評価した。5回の針刺入したところ75バイアル(50%デキストロース)のうち1つで汚染されていた。意図的に汚染したときにはヒドロキシエチルデンプンとヘパリン加生食での細菌増殖が認められた。これらのことからヒドロキシエチルデンプンとヘパリン加生食は複数回使用することは推奨しない。(Dr.Maru訳)
■犬のオンラインによるQOL測定の短縮版
Shortening of an existing generic online health-related quality of life instrument for dogs
J. Reid, L. Wiseman-Orr and M. Scott
Journal of Small Animal Practice (2018) 59, 334–342 DOI: 10.1111/jsap.12772
目的:webベースのアンケートによるコンパニオン犬の一般健康関連QOL測定をスマホおよびオンライン使用を容易にするための短縮版の開発、正当性、信頼性を検討。
材料と方法:オリジナルの46項目を専門家と因子分析により減らした。項目は健康および疾病の犬のオーナーから得られた反応、因子内相関、英国、米国、オーストラリアにおける可読性、健康と疾病犬での区別を因子分析しその重要性、共通性を元に除かれた。妥当性は因子分析と実際の既知のグループでのトライアルを行なって評価した。試験ー再試験の信頼性はクラス内相関係数を用いて評価した。
結果:項目は22に絞られオーナーによる7点Likert scaleを用いて評価した。因子分析から4つの健康関連QOL領域(活発性、満足、快適、リラックス)でオリジナルは64%の変動制であったものが72%となった。トライアルは153頭の健康および疾病犬で行われ両校は識別特性と高いクラス内相関係数が得られた。
臨床意義:22項目に減らしたフォームはオリジナルよりも優れておりスマホアプリで利用が可能であった。これによりオーナーのアクセスが容易となりルーチンなケアと治療モニターの測定を促進する。(Dr.Maru訳)
■一次動物病院で評価された犬の寿命に関するリスクファクター
Risk Factors Associated with Lifespan in Pet Dogs Evaluated in Primary Care Veterinary Hospitals.
J Am Anim Hosp Assoc. 2019 Mar 14. doi: 10.5326/JAAHA-MS-6763. [Epub ahead of print]
Urfer SR, Wang M, Yang M, Lund EM, Lefebvre SL.
この集団を基とした回顧的コホート研究の目的は、一次動物病院で評価された犬の寿命に関係する因子を確認することだった。
2010年1月1日から2012年12月31日の間に、アメリカの787の病院を2回以上訪れた年齢3か月以上の犬を含めた。
生殖状況、犬種、体のサイズ、純血種(vs 雑種)状況により、犬の生存曲線を作成した。寿命に関する因子を確認するため、多変量Cox比率危険回帰分析を実施した。
2370078頭の犬を研究に含め、179466頭(7.6%)は研究期間中に死亡した。雑種犬は純血犬よりも有意に長く生存し、この差は体の大きさが大きくなるほど顕著になった。他の因子を考慮すると、両性別の犬で不妊しているより不妊していない場合、追跡期間をかけて死亡の危険はより大きかった。2歳生きている犬に対し、死亡の危険は歯のスケーリングの頻度が増すと低下した。
我々の所見は、寿命に対し体の大きさや不妊の影響を報告する過去のものを支持し、超音波スケーリングや雑種犬を支持する新しいエビデンスを提供する。(Sato訳)
■小動物臨床における獣医師リーダーシップの理解
Understanding veterinary leadership in practice
Caroline Elizabeth Pearson, Allan J Butler, Yaqub Paul Murray
Veterinary Record (2018) doi: 10.1136/vr.104485
Vet Futures Reportは産業の長期の持続可能なための重要なこととして「例外的なリーダーシップ」を特定した。この研究では現象解釈分析の定量的手法を用いて小動物臨床における獣医師のリーダーシップについて調査した。7人の参加者のリーダーシップの経験の解釈を通して作業環境、モチベーション、責任への理解を深めた。得られたこととして、多くでリーダーとなるためにもがき、時間とともに解消していった。作業ペースの増加はワークライフバランスの不均衡を持続させた。
その獣医師は高いモチベーションを持ち、仕事を楽しみ、自己決定と違いを作る必要を望んだ。責任の中核である人間関係が、日々のリーダーシップの最大の挑戦であると特定されている。この研究では獣医師に貴重な情報を提供し、獣医療も反映することにより利益を得るであろう。リーダーと部下の複雑な関係をよりよく理解することにより将来の積極的な変化の促進を可能にするであろう。(Dr.Maru訳)
■ACVSレジデントトレーニングプログラムにおける罹患率と死亡率のラウンドのプロフィール
A profile of morbidity and mortality rounds within resident training programs of the American College of Veterinary Surgeons
Veterinary Surgery. 2018;47:343?349.
Philip J. Kieffer, P. O. Eric Mueller
目的:ACVSのレジデントトレーニングプログラムにおける罹患率と死亡率のラウンド(MMR)の構造と役割を調べること。
デザイン:横断分析調査
サンプル:ACVSレジデントプログラム責任者
方法:27個の質問を142人のレジデントプログラム責任者に送付。
結果:45(31.6%)で調査が完了し、小動物は24(53.3%)、大動物21(46.7%)であった。32(71.1%)はトレーニングに正規のMMRを組み込んだ。これらのラウンドの目的はケアの改善(63%)、教育(31%)であった。症例選択は予測しない死亡(80%)、罹患(77.4%)、教育価値(65.7%)、医療過誤のレビュー(63%)であった。26%ではMMR中に議論された話題をフォローアップしたと報告している。95%でMMRは有用であったと報告している。
結論:MMRは外科レジデントプログラムに含まれていることが多い。このラウンドの目的はレジデント教育、動物病院の医療及び運営ポリシーの洗練、ケアの改善を目的としている。大部分のレジデントプログラムはMMRを価値あると考えている。しかし大部分のプログラムではMMR中に発見された問題について改善や評価のための正式なフォローをしていない。(Dr.Taku訳)
■獣医学生の外科手術ビデオの評価方法
Evaluation of a method to assess digitally recorded surgical skills of novice veterinary students
Julie A. Williamson, Robin Farrell, Casey Skowron, Brigitte A. Brisson, Stacy Anderson, Jason Johnson
Veterinary Surgery. 2018;47:378?384.
目的:獣医学生による犬の死体の閉腹をビデオ撮影して外科技術の評価方法を検討した。
サンプル集団:生体もしくは類似の外科手技を行なった経験のない2年生(19人)について実施した。
方法:各生徒は死体での腹部の3層の閉腹を行なった。各手技はヘッドライトに取り付けられた広角カメラで動画撮影した。パフォーマンス評価は生徒を特定できないようにして5人の訓練された評価者のうち2名があたった。スコアは閉腹に必要な技術として必要なものを8つのルーブリックに基づいて実施した。スコアの信頼性はCronbachのクラス内相関および一般化試験で検討した。
結果:ルーブリックの一貫性はαによって求められ0.76であった。群間信頼度はクラス内相関では0.64であり一般化係数は0.56であった。
結論:0.60以上の信頼性指標は低stake skillの評価には十分であると考えられる。タスク特有のルーブリックを用いて評価を行ったところ首尾一貫しており、評価者間でも信頼性があり、一般化には限界もあった。
インパクト:ルーブリックによる外科評価は正確性を評価するための柔軟性をもたらす。(Dr.Taku訳)
■外科研修における勤務時間の制限:倫理的義務か最悪のアイデアか?
Duty hours restriction for our surgical trainees: An ethical obligation or a bad idea?
Christopher A. Adin, Callie A. Fogle, Steven L. Marks
Veterinary Surgery. 2018;47:327?332.
患者の安全の確保とインターンとレジデントの福祉の保護のため、Accreditation
Council for Graduate Medical Education (ACGME)は内科研修医の勤務時間の制限について2003年にガイドラインとして問題提起した。ACGMEにより様々なゴールが設定されていたが、各施設はプログラムの再構築に奮闘し雇用スタッフが要求された。
過去15年、数多くの研究により患者の予後と内科医のトレーニングについて勤務時間制限による効果が分析されてきた。勤務時間制限により多くで一致していることとして研修医の福祉の改善があるが、これらの改善は継続的な支出があり、患者の受け渡しによる医学上のミスがある。レジデントの教育効果はプログラム特異性があり、勤務時間の制限は外科において悪化が認められた。
獣医専門家は24時間ケアーの提供と同様であり、インターンとレジデントは勤務時間の延長、自宅待機、複雑な患者によるストレスにさらされている。North
Carolina State Veterinary Hospitalでは専門グループごとに100人の研修医を配置している。我々は彼らのQOLとトレーニングの経験について調査した。66%のインターンとレジデントは個人的なことを行う時間が十分ではないと報告し、57-62%は精神的、肉体的な福祉について中立もしくは不満であった。大部分の研修医は勤務時間の減少により学習効果は改善すると信じているが、42%は症例数の低下は教育効果の低下を危惧している。獣医学教育者はインターンとレジデントの良好な学習環境と患者のケアーを維持する卒後トレーニングガイドラインを検討しなければならない。(Dr.Maru訳)
■自然発生の腹腔内出血の大型犬と小型犬の出血の解剖学的部位と原因
Anatomic site and etiology of hemorrhage in small versus large dogs with spontaneous hemoperitoneum.
Vet Surg. 2018 Nov;47(8):1031-1038. doi: 10.1111/vsu.12963. Epub 2018 Sep 23.
Fleming J, Giuffrida MA, Runge JJ, Balsa IM, Culp WTN, Mayhew PD, Steffey M, Epstein SE.
目的:自然発生の腹腔内出血(hemoperitoneum:SH)の大型犬と小型犬の出血の解剖学的部位と基礎原因を比較する
研究計画:回顧的横断研究
動物:2か所の大学施設でSHの飼育犬
方法:医療記録から年齢、犬種、性別、体重、画像検査結果、手術、検死、細胞および病理組織検査結果を調べた。犬を体重で振り分けた(20kg以下=小型、>20kg=大型)。SH集団の小型および大型犬において、脾臓および肝臓の割合を評価するため、信頼区間を計算した。多変量回帰を小型犬と大型犬の出血の解剖学的出所の有病率の比較に使用した。
結果:SHの犬742頭を確認し、出血の解剖学的部位を調査した犬637頭が含まれた。脾臓の出血は小型犬の43.2%(95%CI、34.3-52.4)、大型犬の61.3%(95%CI、57.0-65.6)で診断された。大型犬に対し、小型犬の脾臓出血の有病率はより低く(有病率比、0.70;95%CI、0.58-0.87;P<0.001)、肝臓(有病率比、1.72;95%CI、1.20-2.47;P=0.003)、あるいは後腹膜腔マス、腎臓あるいは副腎(有病率比、2.73;95%CI、1.66-4.47;P<0.001)のような他の部位からの出血の有病率はより高かった。血管肉腫は脾臓出血と関係し、小型犬に対し大型犬でより多く発生した(P=0.011)
結論:大型犬と比較し、小型犬の脾臓出血の割合はより低く、肝臓や他の部位からの出血の割合は高かった。特に体重20kg以下の犬の中で、脾臓血管肉腫よりも他の原因が一般的だった。
臨床意義:SHの犬において、臨床医は仮診断をなす前に体の大きさを考慮すべきである。(Sato訳)
■英国ペットオーナーのペット健康情報に関するオンラインの利用について
UK pet owners’ use of the internet for online pet health information
Lori Kogan, James A Oxley, Peter Hellyer, Regina Schoenfeld, Mark Rishniw
Veterinary Record (2018) doi: 10.1136/vr.104716
インターネットはヒトの健康に関する情報源として重要である。しかしペットオーナーにとってペットの健康に関する情報源としてインターネットの有用性とオーナーと獣医師との関係性についての情報が欠けている。
そこで本研究の目的は英国のペットオーナーのペットの健康におけるオンライン情報の一般的な利用とオーナーと獣医師の関係性について調査することである。
オンライン調査を行い571人から回答を得た。ペット健康情報の入手先としては、インターネット(78.6%)、獣医師(72%)となった。しかし獣医師とオーナーの関係はもっとも信頼できる情報源であった。よく検索されているものは特定の健康の問題(61.3%)、食事(58.5%)であった。
オーナーと獣医師の関係において42.1%では獣医師とオンラインで見つけた情報をときどき話す、とのことであった。獣医師に推奨する特定のwebsiteを質問したとき、約半数(49.6%)の獣医師は答えないだろうと考えているが、90%ではその推奨されたwebを訪れるだろうと回答があった。(Dr.Taku訳)
■小動物臨床獣医師の倫理ジレンマの特徴、反応、結果と安楽死に対する信条
Ethical dilemmas encountered by small animal veterinarians: characterisation, responses, consequences and beliefs regarding euthanasia
Barry Kipperman, Patricia Morris, Bernard Rollin
Vet Rec 2018 doi: 10.1136/vr.104619
倫理的ジレンマとして遭遇する安楽死に関するポリシー、飼い主とペットの利益のバランス、倫理的ジレンマのストレス効果を緩和するための訓練と提案の価値について小動物臨床獣医師に対して調査を行った。
米国484人の回答者の大部分(52%)は少なくとも週1回はクライアントとペットの利益に関するジレンマを経験している。オーナーの金銭上の問題は頻繁に報告されている。他の獣医師がペットの利益を優先するのは20%でしかないと回答しているが、50%は自分自身がペットの利益を優先すると回答している。大部分の回答者(52%)では倫理的ジレンマが仕事関連ストレスの主な原因もしくは同等の原因の一つであると述べている。経験の浅い臨床家、一般臨床家、勤務獣医師は倫理ジレンマを感じやすく女性はとくにそうである。大部分の臨床獣医師は倫理ジレンマを経験しており、これは道徳ストレスにつながる。これらの結果は多くの小動物臨床獣医師は道徳ストレスに対する意識が高まり理論への訓練を提供し倫理ストレスに対応するツールとして道徳ストレスを軽減させることになる。(Dr.Maru訳)
■猫の過体重および肥満に関連する健康状態とボディコンディションスコアの関係
Associations of body condition score with health conditions related to overweight and obesity in cats.
J Small Anim Pract. 2018 Jul 22. doi: 10.1111/jsap.12905. [Epub ahead of print]
Teng KT, McGreevy PD, Toribio JALML, Raubenheimer D, Kendall K, Dhand NK.
目的:猫、犬、ヒトの過体重および/あるいは肥満に関連が示されている糖尿病、皮膚疾患および高血圧のような種々の健康状態と猫のボディコンディションスコアとの関連を探査する
素材と方法:猫のボディコンディションスコアを日常的に評価しているシドニー大都市圏の猫専門一次診療クリニックから、2005年1月3日から2015年6月21日の期間の電子カルテを利用した。年齢、性別、品種を補正後、21項目の健康状況と9ポイントで記録したボディコンディションスコアとの関係を調査するため、Binomial
logistic regression modellingを行った。
結果:検査した21の健康状況のうち14、特に7つ以上はボディコンディションスコア増加と有意に関連を示した。それらは、皮膚疾患、アトピー性皮膚炎、筋骨格疾患、関節炎、高血圧、呼吸器疾患、喘息、口腔疾患、下痢、一般および下部尿路疾患、眼科疾患、糖尿病、アレルギー性疾患だった。また、ボディコンディションスコアが8あるいは9の猫は、5の猫と比較して消化管疾患及び上部尿路疾患に対する確率が有意に高かった。
臨床意義:我々の知る限りで、これは猫のアトピー性皮膚炎、高血圧、喘息、下痢、眼科疾患、アレルギー性疾患とボディコンディションスコア高値との関連を報告する最初の研究である。健康状態とボディコンディションスコア高値との多数の関連は、猫の予防的健康管理において体脂肪量の過多により注意を払うべきだと示している。(Sato訳)
■犬の腹腔リンパ節の超音波検査による嚢胞様病変の有病率、部位、併発疾患
Prevalence, location and concurrent diseases of ultrasonographic cyst-like lesions of abdominal lymph nodes in dogs.
Language: English
Vet Rec. April 2017;180(13):326.
A Liotta , F Billen , M Heimann , A Hamaide , M Rizza , A-L Etienne , G Bolen
犬のリンパ節嚢胞様病変は腹部超音波検査中に偶然確認される。しかし、それらの有病率、臨床意義を評価する研究はない。
この観察横断研究の目的は、腹部超音波検査中に見られた嚢胞様リンパ節の有病率、最も一般的な部位と併発疾患を評価することだった。
1年の間、腹部超音波検査を行って嚢胞様リンパ節病変のある犬の該当リンパ節、犬のシグナルメント、併発疾患を記録した。
553頭中17頭で23個の罹患リンパ節が見られた(有病率3%)。最も一般に影響を受けたのは、腰部リンパ中心(7/23)、続いて腹腔(6/23)、頭側腸間膜(5/23)、腸骨仙骨(5/23)だった。17頭の犬で23の併発疾患が診断され、そのうち16は非腫瘍性(70%)だった。最も一般的な腎不全(8/23)、続いて腫瘍(7/23)、胃腸疾患(3/23)、良性前立腺疾患(2/23)、膵炎(1/23)、腹膜炎(1/23)、神経疾患(1/23)だった。嚢胞様リンパ節病変と特定腫瘍性あるいは非腫瘍性疾患の間に統計学的相関はなかった。
結論として、この研究では嚢胞様リンパ節病変の有病率は低く、異なるリンパ中心に見られ、非腫瘍性および腫瘍性の病因を含む異なる疾患に侵された犬で見つかった。(Sato訳)
■獣医救急および集中治療室における静脈バッグの細菌汚染に対する吊り下げ時間と場所の影響
Influence of hang time and location on bacterial contamination of intravenous bags in a veterinary emergency and critical care setting.
Language: English
J Vet Emerg Crit Care. September 2017;27(5):548-554.
Julien Guillaumin , Nichole M Olp , Karissa D Magnusson , Amy L. Butler , Joshua B Daniels
目的:救急室(ER)および集中治療室(ICU)における静脈バッグにおいて、液体およびポートの細菌汚染率を評価する
計画:実験モデル
場所:大学病院に吊られている乳酸平衡電解質液(1L)の静脈輸液バッグ90個
介入:バッグを11日間、ERの2つの場所(シンクと在庫置場)とICUの1つの場所(シンク)に吊り下げた。臨床現場をシミュレートするため、滅菌針で1日3回刺した。注射ポートのスワブを取り、液体50mLを0、2、4、7、10日目に2組採取した。液体と注射ポートに対し好気性細菌培養を実施した。汚染は2回連続で同じ表現型の細菌成育と定義した。0日目からの液体汚染率の増加は、exact
binomial testを用いた。場所によるポートの汚染率はFisher's exact testを用いた。
主要結果:注射ポートの複合細菌成育は、10日目で平均(95%信頼区間)8.1(0.005-16.2)cfu/ポートだった。複合ポート汚染は0日目で3.3%、2日目で11.1%、4日目で17.8%、7日目で31.1%だった。ポート汚染はERとICUで同じだった。しかし、ポート汚染は在庫置場に対し、シンクでより高かった(16.7%
vs 38.3%、P=0.032)。0、2日目に輸液バッグの汚染はなかった。輸液バッグの汚染率は、4日目に1.1%、7日目に4.4%だった。汚染液の全てのバッグはERのものだった(6.7%、95%
exact binomial信頼区間1.9-16.2%)。
結論:注射ポート汚染は7日目に31.1%に達した。バッグをシンクの隣に吊り下げた時、汚染の起こる確率が高かった。我々のモデルのバッグ穿刺において、液体汚染は2から4日の間に起こった。(Sato訳)
■犬と猫の低体温と目標とする体温管理
Hypothermia and targeted temperature management in cats and dogs.
J Vet Emerg Crit Care (San Antonio). 2017 Jan 25. doi: 10.1111/vec.12572. [Epub ahead of print]
Brodeur A, Wright A, Cortes Y.
目的:ヒト、犬、猫における低体温の影響、治療、予後に関する現在の知識と臨床医学における治療的低体温の応用を概説する
病因:低体温は原発あるいは続発性の状態で、環境での状態、疾病、薬物、麻酔、外傷によることもある。人医では心停止後などの種々の状況で治療的に低体温が応用されている。獣医療では難治性の発作の患者やバイパスが必要な心臓外科で応用されている。
診断:低体温の診断は現体温あるいは臨床症状を基に診断でき、適切な診断は非伝統的な体温計が必要かもしれない。
治療:受動的に表面を温めることから体外を温めることまで強度の範囲で、偶発性の低体温の主な治療は温めることである。目標は全ての体のプロセスの正常な生理学的機能が回復するレベルまでコア体温を戻すことである。輸液のようなほかの支持療法は一般に指示され、心肺停止があるならば、長期蘇生が必要かもしれない。二次的低体温の症例においては、基礎の原因の逆転が重要である。
予後:低体温のヒトや動物において予後指標はほとんどない。心肺停止のような最もひどく影響するものでさえ適切な治療で完全に回復する可能性がある。治療的低体温は心臓停止後の人で結果を改善することが示されている。獣医療でのこの応用を検査するのと、自然発生の低体温の症例で最適な治療および予後を調査する研究が必要である。(Sato訳)
■犬猫の偶発および非偶発の鈍性の外傷による傷害の特徴と比較
Characterization and Comparison of Injuries Caused by Accidental and Non-accidental Blunt Force Trauma in Dogs and Cats.
J Forensic Sci. July 2016;61(4):993-9.
Nida P Intarapanich; Emily C McCobb; Robert W Reisman; Elizabeth A Rozanski; Pichai P Intarapanich
自動車事故(MVA)は、非偶発傷害(NAI)との鑑別が難しいことが多い。
この回顧的対照研究でMVAの外傷と分かっている動物とNAIと分かっている動物を比較した。MVA後に治療した426頭の犬と猫およびNAI後の50頭のカルテを評価した。
顕著にMVAに関係する傷害は、骨盤骨折、気胸、肺挫傷、擦過傷と手袋状皮膚剥奪創だった。NAIに関係する傷害は、頭がい骨、歯、脊椎、肋骨の骨折、強膜出血、鉤爪のダメージ、より古い骨折の所見だった。それら傷害に対するオッズ比を報告した。MVAによる肋骨骨折は体の片方にかたまって発生することが分かり、頭側の肋骨が骨折する可能性が高い一方で、NAIの肋骨骨折は頭側-尾側パターンがなく両側に起こることが分かった。
傷害のエビデンスに基づくパターンの確立は、臨床医の外傷の原因の鑑別に役立ち、動物虐待の立証および告発の助けとなるかもしれない。(Sato訳)
■1滴の量に対する針のゲージ、種類、方向の影響
The effect of needle gauge, needle type, and needle orientation on the volume of a drop.
Vet Ophthalmol. January 2016;19(1):38-42.
Geneva K Tripp; Kathryn L Good; Monica J Motta; Philip H Kass; Christopher J Murphy
目的:この研究の目的は、1滴の平均量に対する針のゲージ、種類、方向の影響を判定することだった。
方法:5種類の針のゲージ(22G、23G、25G、30G)を検査した。各ゲージで標準的な鋭利な角度のチップ、角度の鈍いチップ、ハブから針の切断後のものに対し、先から出る滴の量を測定した。22Gと30Gの先の鋭利な角度の針の滴の量に、針の水平方向、垂直方向からの滴は影響するのかどうかをテストした。
結果:平均滴の量は針のゲージ、針の方向、ハブから針を折っているかどうかにより影響を受けた。直接測定した平均滴の量は30Gで25.0μL(±20.2)、22Gで83.9μL(±16.5)だった。中間のゲージ(27、25、23G)は、中間の滴の量だった。鈍な先の針は、鋭利な角度の針と比べて出てくる滴の量が多い傾向だったが、それらの差は統計学的に有意ではなかった。ハブから針を折ったものは、かなり多い量を滴下し、針のゲージで差はほとんどなかった。1滴の平均量は、鋭利な先の針の22G垂直で20.2μL、22G水平で9.1μL、30G垂直で10.1μL、30G水平で3.3μLだった。
結論:それらの所見は、患者に対する局所眼科薬の調整した送達量に関連がある。(Sato訳)
■個人の小動物病院におけるバリカンの刃の細菌汚染の評価
Evaluation of Bacterial Contamination of Clipper Blades in Small Animal
Private Practice.
J Am Anim Hosp Assoc. 2016 Mar-Apr;52(2):95-101.
Rebecca Mount; Anthea E Schick; Thomas P. Lewis, 2nd; Heide M. Newton
動物病院で院内感染の懸念が増大しており、感染媒介物の確認は、病原体を移すリスクの低減に肝要である。獣医療においては、多くの処置の前に毛刈りが必要である。獣医や人医の病原体を移す可能性のある媒介物として、汚染したバリカンの刃が挙げられている。
この研究の主要目的は、獣医療におけるバリカンの刃の細菌感染を評価することだった。2つ目の目的は、バリカンの刃の細菌汚染と、刃の洗浄液、刃の掃除方法、刃の保管、診療のタイプに関連があるのかどうかを評価することだった。
60軒の動物病院から60個のバリカンの刃を培養した。各病院から刃の洗浄液、掃除方法、保管に関する情報を集めた。
バリカンの刃のサンプルの41%(31/60)は細菌に汚染されていた。洗浄液のカテゴリーは有意に細菌汚染と関係した(P<0.02)。洗浄頻度(P=0.55)、保管場所(P=0.26)、診療のタイプ(P=0.06)と細菌汚染に有意な関連はなかった。
この研究は、獣医療におけるバリカンの刃の細菌汚染を証明し、バリカンの刃は潜在的媒介物と考えるべきである。(Sato訳)
■室内で飼育されている豚の環境を豊かにする氷
The use of ice to enrich the environment of pigs housed indoors.
J Appl Anim Welf Sci. 2015;18(1):32-41.
Jose M Peralta; Vanessa Rizzo
研究に使用される豚は殺風景な環境で飼育されることも多い。単純な充実ツールとして氷の効果を新規に離乳した豚で調査した。
120頭の豚を3つの群に分けた。1群は氷のブロックに自由に行き来できるように与え(氷群)、他の群はClassic
Kong toys(コング群)、3つ目は何も与えなかった(コントロール群)。各群の行動を朝8時から12時まで5分間隔で連続4日間観察した。
Classic Kong toys(2.03%±0.59)以上に氷ブロック(4.85%±1.34)を探索するモチベーションが高かった。処置群間で他の行動に違いはなかった。
氷は効果的で簡単に交換できる環境を充実させる道具である。氷にブロックは研究施設で飼われている豚に対し、環境を充実させる道具として使用できる。(Sato訳)
■日本で保険に加入している犬の生命表と死亡原因
A current life table and causes of death for insured dogs in Japan.
Prev Vet Med. June 2015;120(2):210-8.
Mai Inoue; A Hasegawa; Y Hosoi; K Sugiura
2010年4月1日から2011年3月31日の間で保険に加入している299555頭の犬の寿命と死亡原因を評価し、この期間に4169頭が死亡していた。
犬全体の平均寿命は13.7歳だった。1歳までの死亡率は高く、2歳、3歳は最も低く、3歳以降は指数関数的に増加した。
体重5kg未満群の平均寿命は13.8歳、5-10kg群は14.2歳、10-20kg群は13.6歳、20-40kg群は12.5歳、40kg以上群は10.6歳だった。体重5kg未満の犬を除いて、体重増加と共に平均寿命が短くなる傾向があった。
死亡率は最も多い潜在的死亡原因に対し、年齢を重ねるごとに増加した。腫瘍は死亡率が最も高かった(特に大型や超大型犬種群)。心血管系障害は、2つ目の大きな死亡原因で、12歳以上のトイ犬種群は他の犬種群よりも死亡率が有意に高かった。(Sato訳)
■特定臓器の腹部超音波検査を予定している犬で絶食の重要性
Importance of fasting in preparing dogs for abdominal ultrasound examination of specific organs.
J Small Anim Pract. 2014 Dec;55(12):630-4. doi: 10.1111/jsap.12281. Epub 2014 Nov 7.
Garcia DA, Froes TR.
目的:犬において特に胆嚢、十二指腸、膵臓、副腎および門脈に関する腹部超音波検査の技術的成功への絶食の影響を述べる
方法:種々の身体的特徴を持つ150頭の犬の無作為、前向き研究。犬を75頭ずつ2群に振り分けた。1群の犬は超音波検査前に8から12時間絶食し、2群の犬は処置前10分から2時間食べることはなかった。
結果:腔内のガスは臓器の視感度に影響する可能性があるが、腔内のガスの貯留は絶食の状態にかかわらず発生した。腹部臓器の評価は絶食をしているかどうかにかかわらず影響を受けなかった。
臨床的意義:腹部超音波検査前の犬のルーチンな絶食は必須ではない。(Sato訳)
■猫の体温測定で腋窩、鼓膜、直腸の比較
Comparison of axillary, tympanic membrane and rectal temperature measurement in cats.
J Feline Med Surg. 2015;0(0):.
Victoria A Smith; Valerie Lamb; Alix R McBrearty
目的:猫の体温の測定に通常直腸温(RT)が使用されているが、制限があったり許容性が良くないこともある。腋窩温(AT)や鼓膜温(TMT)は代替方法と報告されている。この研究は猫におけるRTとAT、RTとTMTの違いを調べる目的で行った。もう一つの目的は、それらの差に対する環境および猫の要因の影響を調べることと、各方法への猫の許容性も評価した。
方法:AT、TMT、RTを連続で測定した。測定順は腋窩および鼓膜の左右の選択などもランダムとした。デジタル体温計および動物用赤外線耳用体温計を使用した。各手技の主観的許容性も記録した。
結果:150頭の猫で研究した。かなり意識している猫の許容性はTMT(81.2%)やRT(50.3%)と比べAT(90.6%)が高かった。直腸と腋窩温の差は-1.2℃から1.4℃(中央値0.1℃)で78%の猫において±0.5℃以内だった。多変量解析において、その違いは過体重の猫、不妊している猫、右腋下を使用した猫、RTが上昇した時大きかった。直腸と鼓膜温の差は-1.6℃から3℃(中央値-0.3℃)、51.3%の猫で±0.5℃以内でATと比べると有意に少なかった(P<0.001)。直腸と鼓膜温の差はRTが上昇した時増加した。
結論と関連性:TMTとATは猫においてRTに換えて使用すべきではない。RT測定が不可能な時、臨床的に受け入れがたい差(>0.5℃)がある猫が有意に少なく、許容性も良いためTMT以上にATが勧められる。過体重の猫よりも正常か痩せている猫においてATはRTにより近く反映するかもしれない。(Sato訳)
■ミクロスポルムカニスとトリコフィートン属の分節胞子や分離された感染性胞子に対する加速化過酸化水素水含有消毒剤の効果
Efficacy of disinfectants containing accelerated hydrogen peroxide against
conidial arthrospores and isolated infective spores of Microsporum canis
and Trichophyton sp.
Vet Dermatol. June 2014;25(3):191-e48.
Karen A Moriello; Hanna Hondzo
背景:加速化過酸化水素水は特許で守られた消毒剤で、商業用、家庭用で入手でき抗真菌と表示されている。
仮説/目的:ミクロスポルムとトリコフィートン属に対する加速化過酸化水素消毒剤の抗真菌効果を判定する
方法:すぐに使えるように作られた3つの製剤と3つの濃度を使用した。濃度は1:8、1:16(推奨希釈)、1:32の希釈を使用した。1つの製剤は外科器具の消毒剤だった。滅菌水、次亜塩素酸ナトリウム(1:32希釈)、市販の3%過酸化水素水をコントロールとして使用した。分生子浮遊液は-9.6x10(5)/mlミクロスポルムカニス、-1.0x10(7)/mlM.
gypseum、あるいは-2.0x10(7)/mlトリコフィートン属を含み、1:10の希釈で使用した。治療していない猫からM.カニスと、治療していないハリネズミからのT.
erinaceiの分離感染性胞子の浮遊液を1:10、1:5および1:1の胞子:消毒液希釈液で検査した。
結果:無処置のコントロールのプレートには数えきれないコロニーが出現した。加速化過酸化水素と家庭の過酸化水素は分生子(1:10希釈)と胞子浮遊液(1:10、1:5、1.1希釈)の両病原菌の発育を抑制した。12か月経過した製剤で有効性が無くなることはなかった。
結論と臨床意義:加速化過酸化水素製剤は、洗剤による適切な肉眼的汚染除去および機械的洗浄後にM.
canisやTrichophyton属に暴露された表面の環境消毒に選択できる。分生子検査の結果は、分離された感染性胞子検査のそれと一緒で、トリコフィートンメンタグロフィーテスに対する抗真菌性を主張する表示の加速化過酸化水素製剤は次亜塩素酸ナトリウムに変わる消毒剤として適しているのかもしれない。(Sato訳)
■動物病院の消毒で蒸気クリーニング装置の有効性
Effectiveness of a steam cleaning unit for disinfection in a veterinary hospital.
Am J Vet Res. December 2014;75(12):1083-8.
Cheryl L Wood; Benjamin D Tanner; Laura A Higgins; Jeffrey S Dennis; Louis G Luempert, 3rd
目的:動物病院の種々のタイプの表面の蒸気処理は、細菌数を効果的に減少させるかどうかを評価する
サンプル:5種の表面
方法:動物病院の5種の表面の18か所の消毒に対し、表面の処置として蒸気を用いた。各検査すると決めた表面の左側から拭き取り標本を採取することで処置前のサンプルを入手した。蒸気による消毒は各検査表面の右側で実施し、その後、各表面の処置した右側から同じ方法で処置後サンプルを採取した。処置前と処置後の総細菌数を従属栄養細菌数により、黄色ブドウ球菌、シュードモナス属、総大腸菌に対しては選択培地のカウントにより定量した。
結果:ドッグランおよび犬舎の床への蒸気処置後、従属栄養細菌数で有意な減少が観察された。シンクへの処置後はシュードモナス属の数が有意に減少した。定量に対し適切な処置前の数が見られた多くの他の検査表面で細菌数が減少したが、有意ではなかった。
結論と臨床関連:ヘルスケアに関連する感染の発現は人医や獣医で懸念が大きくなっている。獣医施設内の種々の表面において、蒸気処置は有意に細菌数を減少させた。蒸気消毒は獣医診療内で化学的消毒の代替あるいは補助になると思われる。(Sato訳)
■犬の生理学的数値に対する病院を訪れるストレスの影響を評価する
Evaluation of the effects of hospital visit stress on physiologic variables in dogs.
J Am Vet Med Assoc. January 15, 2015;246(2):212-5.
Ryan F Bragg; Jennifer S Bennett; Annelise Cummings; Jessica M Quimby
目的:動物病院と家庭との環境間で犬の心拍数、直腸温、呼吸数、収縮期動脈血圧の違いを評価する
計画:前向き観察研究
動物:健康な飼育犬30頭
方法:研究犬はそれぞれ家庭環境で呼吸数、心拍数、直腸温および収縮期動脈圧を測定した。その後、動物病院に移動し、測定を繰り返した。
結果:家庭と病院で得られた測定値で、血圧、直腸温および心拍数に有意差が観察された。平均血圧は16%増加(95%信頼区間(CI)、8.8%-24%)、直腸温は<1%上昇(95%CI、0.1%-0.6%)、心拍数は11%増加(95%CI 、5.3%-17.6%)した。病院でパンティングしている頭数(19/30(63%))は、家庭でパンティングしている頭数(5/30(17%))よりも有意に多かった。
結論と臨床関連:この研究の結果は、臨床医は犬の初回健診でバイタルサインに異常があるとき、移動や環境変化からのストレスを考慮すべきで、問題の変数は、病気の確定診断がなされる前、あるいはより進んだ検査を実施する前に再チェックすべきであると示唆する。(Sato訳)
■犬と猫の重症疾患の低カルシウム血症
Hypocalcemia of critical illness in dogs and cats.
Vet Clin North Am Small Anim Pract. November 2013;43(6):1299-317, vi-vii.
Marie K Holowaychuk
犬と猫の重症疾患で低カルシウム血症は発生し、薬物、治療、急性腎疾患、膵炎、上皮小体疾患、敗血症、外傷のような基礎疾患に関係する。低ビタミンD、後天性あるいは関連性上皮小体機能低下症、低マグネシウム血症、キレート化あるいは蛋白結合カルシウムの変化によるカルシウムのイオン化比率の変更などが考えられる基礎メカニズムである。
重度、あるいは急性ならば、筋肉あるいは神経過剰興奮に関係する明らかな臨床症状、あるいは心血管機能障害のより微妙な症状を起こしえる。
臨床症状がある、あるいは中程度から重度の低イオン化カルシウム血症がある場合、グルコン酸カルシウム投与の緊急治療が推奨される。(Sato訳)
■正常体温、低体温、高体温の犬において耳および直腸温度測定の比較
Comparison of auricular and rectal temperature measurement in normothermic, hypothermic, and hyperthermic dogs.
Tierarztl Prax Ausg K Klientiere Heimtiere. 2014;42(1):13-9.
U Konietschke; B D Kruse; R Muller; C Stockhaus; K Hartmann; A Wehner
目的:犬において体温測定をする場合、直腸温の測定が最も一般的な方法で、ゴールドスタンダードと考えられる。今まで大きなケースシリーズで、直腸温測定値と耳の測定値の一致性を比較した研究はない。この研究の目的は、異なる環境、耳の形態を考慮した正常体温、低体温、高体温の犬において、直腸と耳の温度測定値の一致性を評価することだった。
素材と方法:62頭の健康な犬で二つの方法に対する参照値を作成した。様々な疾患の300頭の犬(220頭は正常体温、32頭は低体温、48頭は高体温)をこの前向き研究に登録した。直腸温と耳の温度を比較し、環境温度、相対湿度、異なる耳の形態(垂れ耳v.s.立ち耳)に関する一致性の違いは、Pearson's correlation coefficientとBland-Altman analysisを用いて評価した。
結果:直腸と耳の温度の相関は有意だった(r:0.892;p<0.01)。しかし、Bland-Altmanプロットによると容認できない値の変化が見られた(バイアス:0.300℃;許容範囲:-0.606から1.206℃)。この変化は、最大臨床許容度0.3℃以上で、専門家意見(n=16)により確立された。相対湿度は有意に影響し(p=0.001)、環境温度は影響しなかった。
結論:体温を測定する二つの方法に見られる変動は、臨床的に容認できるものではなかった。
臨床的関連:耳での体温測定は早くて簡単、容認性もよいが、直腸での測定値とは臨床的に容認できない違いが現れる。(Sato訳)
■慢性褥瘡性潰瘍の自家血小板ゲルによる治療:犬の無作為盲検比較臨床試験
Autologous platelet gel to treat chronic decubital ulcers: a randomized, blind controlled clinical trial in dogs.
Vet Surg. August 2014;43(6):726-33.
Adolfo Maria Tambella; Anna Rita Attili; Fabrizio Dini; Angela Palumbo Piccionello; Cecilia Vullo; Evelina Serri; Paolo Scrollavezza; Gilles Dupre
目的:犬の慢性で長期化した褥瘡性潰瘍において自家血小板ゲル(PG)の局所適用の効果を見る
研究計画:前向き無作為化盲検比較臨床試験
動物:長期の褥瘡性潰瘍による慢性の傷を両側に持つ犬(n=18)
方法:各犬の傷を、無作為に5日ごとに5回の包帯交換の時に血小板ゲルで治療し(グループPG)、陰性コントロールとしてパラフィンガーゼ包帯で片方は治療した(グループC)。創傷治癒と創傷表面は入院時に比較し、その後5日ごとに25日まで評価した。結果の変数は、開放創部分、入院時および包帯交換時の各処置創と比較して開放創表面の縮小、完全な上皮化までの時間とした。
結果:5日目に治療プロセスの有意差が観察され、前研究期間を通して継続した(P<0.00001)。25日目の創傷部分の平均縮小率はグループPGで93.5%、グループCで13.2%だった(P<0.00001)。
結論:安価な適切に作成した自家血小板ゲルは容易に血液から入手でき、犬の慢性の治癒しない褥瘡性潰瘍でパラフィンを浸透させたガーゼよりも局所使用でより急速な治癒が得られる。(Sato訳)
■犬の静脈穿刺に使用する針のゲージによる自動測定血小板数および凝固プロフィールに及ぼす影響
Influence of needle gauge used for venipuncture on automated platelet count and coagulation profile in dogs.
Aust Vet J. 2014 Mar;92(3):71-4. doi: 10.1111/avj.12150.
Greenwell CM, Epstein SE, Brain PH.
目的:臨床的に健常な犬において、静脈穿刺に使用する異なるゲージ(G)の針により、自動測定血小板数および凝固プロフィール(プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT))に変化をもたらすかどうかを調査する
デザイン:前向き、観察、無作為化、臨床研究
方法:20頭の臨床的に健常な犬で研究した。無作為な順番で21G、23G、25Gの針を用い頚静脈から直接静脈穿刺で採血した。自動血球計算と自動凝固時間測定を実施した。針のゲージ、採決の順番で値の差を分析した。
結果:サンプル採取の順番、あるいは3種の針のゲージで、自動測定血小板数あるいは自動測定凝固時間に差は見られなかった。
結論:犬の自動測定血小板数およびPT/aPTTに対する採血で結果に影響することなく、静脈穿刺は21G、23G、あるいは25Gの針で実施できる。(Sato訳)
■イギリスで飼育されている犬の寿命と死亡率
Longevity and mortality of owned dogs in England.
Vet J. December 2013;198(3):638-43.
D G O'Neill; D B Church; P D McGreevy; P C Thomson; D C Brodbelt
寿命の認識を更新することは、その比類なき形態学的多様性を持つ家庭犬に対して重要な福祉の機会を意味する。一次動物病院から集めた電子カルテ(EPRs)を用いた疫学的調査は、委託病院、飼い主のアンケート、ペット保険データの多くの固有制限を克服するものである。
イギリスの中央および南東部において、一次診療動物病院(n=86)が受け持つ飼い主所有の犬102609頭の臨床健康データを分析し、死亡が確認された5095頭に注目した。情報が得られた死亡した犬のうち、3961頭(77.9%)は純血種、2386頭(47.0%)はメス犬、2528頭(49.8%)は中性、1105頭(21.7%)は保険に入っていた。
全体の寿命の中央値は12.0歳(IQR8.9-14.2歳)だった。最も長く生きた犬種は、ミニチュアプードル、ビアデッドコリー、ボーダーコリー、ミニチュアダックスフンドで、一方寿命が短かったのは、ボルドーマスティフとグレートデンだった。多く見られた死亡原因は、腫瘍、筋骨格および神経障害だった。多変量モデリングの結果は、雑種犬の寿命が純血犬より1.2年長く(95%信頼区間0.9-1.4歳;P<0.001)、体重増加は寿命と負の相関を持つことを示した。
この所見は、寿命に対する大きな犬種の相違を強調し、犬の雑種強勢の概念を支持するものである。(Sato訳)
■動物の麻酔において吸入麻酔と女性従事者の中で偶発的暴露に関係する生殖リスク
Inhalation anesthetics and the reproductive risk associated with occupational exposure among women working in veterinary anesthesia.
Vet Anaesth Analg. May 2013;40(3):285-9.
Sandra I Allweiler; Lori R Kogan
目的:獣医救命救急で働く女性と比べ、麻酔科で働く女性の生殖に関する健康問題を調査する。生殖に関する健康問題は、妊娠までの時間、不妊治療、流産、子供の先天的欠損に分類した。
研究デザイン:アンケートベースの調査
方法:獣医麻酔下で働く女性職員の生殖に関する状況を評価するため調査した。生殖に関して影響するかもしれない要因(すなわち、ストレス、重いものを持つ、長期労働時間、変動するスケジュール)に関係する他の職を考慮し、救命救急で働く女性を比較群とした。
結果:295の回答があった(獣医麻酔科で働く209人の獣医師およびスタッフと救命救急の86人)。妊娠までの期間、不妊治療を受けたカップルの数、流産、子供の先天的欠損に関して2つの群に統計学的差はなかった。
結論:この研究で獣医救命救急で働く女性と比較した時、麻酔科で働く女性の生殖に関するリスクに統計学的有意差は見られなかった。生殖に関する健康問題に対する全体の発生率は、北アメリカの女性の一般的集団におけるリスクと同じである。(Sato訳)
■犬の直腸、鼓膜、腋窩体温測定方法の比較
Comparison of rectal, tympanic membrane and axillary temperature measurement methods in dogs.
Vet Rec. 2013 Nov 30;173(21):524. doi: 10.1136/vr.101806. Epub 2013 Oct 24.
Lamb V, McBrearty AR.
この研究の目的は臨床的な犬の患者の大規模群において、直腸温と腋窩および鼓膜(TM)温測定値を比較することである。また、著者らは測定値間の違いに影響する確かなファクターがあるかどうか確認すること、測定のしやすさも比較した。
腋窩温度は測定が簡単だが、直腸値よりも低い傾向にあった(差の中央値0.6度)。54.7%の犬において、2回の測定の間に0.5度以上の差があった。体重、皮毛の長さ、ボディコンディションスコア、犬種サイズは直腸と腋窩の温度の差に有意に関係した。鼓膜温度は直腸温とより似ていた(差の中央値0度)が、25%の犬において直腸と鼓膜の値に0.5度以上の差があった。鼓膜測定は腋窩よりも嫌がった。直腸と鼓膜温の違いに関係する因子は調べた中で見られなかった。0.5度以上の差は体温測定の異なる方法の中で容認できないと述べられているため、腋窩も鼓膜温も体温の測定に対し直腸温と換わることはできない。(Sato訳)
■2か所のノーキルシェルターで犬の滞在期間に対する表現型特性の影響
Effects of phenotypic characteristics on the length of stay of dogs at two no kill animal shelters.
J Appl Anim Welf Sci. January 2013;16(1):2-18.
William P Brown; Janelle P Davidson; Marion E Zuefle
ニューヨーク州の2か所のノーキルシェルターの譲渡記録で、それらシェルターの犬の滞在期間(LOS)に年齢、性別、大きさ、犬種群、毛色がどのように影響したか判定した。
若い子犬は最も滞在期間が短かった;犬のLOSは年齢増加と比例して増加した。
大きさの分類のみを考えた場合、中型犬は最も滞在が長く、極小犬や子犬は滞在が最も短かった。
犬種単位で考えた場合、番犬グループの犬種は最も滞在が長く、巨大グループの犬種は最も短かった。毛色の影響がないことは予測できず、他の犬種と比べて“闘争”犬種の滞在がより短いこともそうだった。
毛色や犬種は伝統的なシェルターを含むすべてのシェルターで一般化されない滞在期間に対して局所的影響しか持たないのかもしれない。特定のシェルターで犬の特性を理解することと、里親により望まれるそれらヒト以外の動物の特性を理解することは、シェルターにより与えられる動物の福祉を改善するのに重要である。(Sato訳)
■ファーストオピニオン診療での老齢検診:45頭の犬の結果
Geriatric screening in first opinion practice - results from 45 dogs.
J Small Anim Pract. September 2012;53(9):507-13.
M Davies
目的:ファーストオピニオン診療での老齢犬の健診結果の評価と報告を行う
方法:問診、身体検査、尿検査を含む9歳以上の犬の前向き健診
結果:1つ以上の過去に認識されていなかった問題を45頭の犬の80%に認め、353所見(平均7-8所見/頭)を記録した。オーナーは年齢関連疾患の重大な症状を認識、報告されないことが多かった。しかし、よくオーナーが報告することは、睡眠時間の増加(31%)、聴力喪失(29%)、視力喪失(20%)、硬直あるいは跛行(22%)、「鈍化」(20%)だった。
水晶体混濁の増加(64%)、渇望増加(58%)、疼痛(24%)、排尿回数増加(24%)、変形性関節症の症状(24%)、歯科疾患(22%)が診察時に最も多く認められた。潜在的に、命を脅かす所見は呼吸困難、触知可能な腹部マス、転移性肺疾患だった。健診の結果は、10頭の歯科処置、7頭の薬物治療、2頭の外科処置、2頭の安楽死を含む29頭の追加診断処置となった。
臨床的意義:老齢犬の健診で、生活スタイルの変更や継続モニタリングを必要とする今まで認識されず報告されなかったリスクファクターや、同じようにQOLを改善するため、診断的検査、早期診断および外科、内科治療を必要とする年齢関連疾患の症状を認めた。(Sato訳)
■通常健康診断:見た目健康な中-老齢猫の所見
Routine Health Screening: Findings in apparently healthy middle-aged and
old cats.
J Feline Med Surg. January 2013;15(1):8-19.
Dominique Paepe; Gaelle Verjans; Luc Duchateau; Koen Piron; Liesbeth Ghys; Sylvie Daminet
研究の理論的根拠:動物臨床医は猫の老齢健康診断を行うことが多い。あいにく老齢猫の臨床および検査異常、正常な血圧値に関する科学的情報は足りていない。
この研究の目的は、見た目上健康な中年齢および老齢猫の通常の健康スクリーニング検査を評価した。
プロトコール:6歳以上の100頭の猫で血圧測定、身体検査、血液および尿検査、間接眼底検査、両側シルマー涙試験を実施した。
所見:平均収縮期血圧(SBP)は133.6±21.5mmHgだった。SBP上昇(>160mmHg)は8頭、顎下リンパ節腫脹は32頭、歯肉炎は72頭、心雑音は11頭、甲状腺腫は20頭、クレアチニン上昇は29頭、高血糖は25頭、総チロキシン濃度上昇は3頭、猫免疫不全ウイルス陽性は14頭、クリスタル尿は41頭、ボーダーライン上のタンパク尿は25頭、明白な蛋白尿は2頭に認められた。平均涙産生は両眼で非常に似ており、高血圧による二次的な眼病変のある猫はいなかった。
臨床意義:中年齢の猫(6-10歳)と比較して、老齢猫(>10歳)は有意により高いSBP、心拍数、心雑音の頻度、血小板数、尿蛋白:クレアチニン比、血清尿素、ビリルビン濃度を示し、有意に低いボディコンディションスコア、ヘマトクリット値、アルブミン値、総カルシウム濃度を示した。
見た目上健康な老齢猫における身体検査と検査異常が一般的に出現することから、定期的な健康チェックと年齢に合わせた検査値参照間隔の作成の必要性を強調する。(Sato訳)
■猫の生理学的パラメーターに対する病院を訪れたストレスの影響を評価する
Evaluation of the effects of hospital visit stress on physiologic parameters
in the cat.
J Feline Med Surg. October 2011;13(10):733-7.
Jessica M Quimby; Melissa L Smith; Katharine F Lunn
血圧、直腸温、心拍数、呼吸数のような生理学的パラメーターは、患者の医学的評価の重要な部分である。しかし、それらの要因はストレスにより潜在的影響を受ける可能性がある。
この研究の目的は、家庭環境で測定した生理学的パラメーターデータと、動物病院で測定したそれらのデータを比較することだった。
30頭の健康な猫を、家とコロラド州立大学獣医センターで評価した。ドップラー収縮期血圧、体温、心拍数、呼吸数を記録し、家と病院環境で得られた値の違いをウィルコクソンの符号順位検定で評価した。
家庭及び病院環境で血圧、心拍数、呼吸数に有意差が認められた。
この情報は、時折、生理学的異常が医学的病気よりも輸送、あるいは環境ストレスによる可能性があると認識する助けとなるかもしれない。(Sato訳)
■女性獣医師における早産と非換気麻酔ガスおよび長時間労働との関連
Associations of unscavenged anesthetic gases and long working hours with preterm delivery in female veterinarians.
Obstet Gynecol. May 2009;113(5):1008-17.
Adeleh Shirangi, Lin Fritschi, C D'Arcy J Holman
目的:女性獣医師において早産(妊娠37週前)に、獣医診療での麻酔ガス、放射線、殺虫剤、労働時間などの職業上の危険が関与するかどうか調査する
方法:Health Risks of Australian Veterinarians projectは1960-2000年の40年間にオーストラリアの獣医大学を卒業した全ての獣医師にアンケートベースの調査を行った。約1200人の女性獣医師が調査に参加した。妊娠を分析の単位とした。妊娠したときに雇用されていると報告し、臨床にのみ携わっていた女性の妊娠に限定して分析した。ファイル中合計1355件の妊娠のうち、744件が最終分析に適合した。
結果:一般集団の5.7%と比較し、非換気麻酔ガスに暴露された女性の早産の罹患率は7.3%だった。潜在的交絡を調整するCox比例ハザードモデルにおいて、非暴露群(手術を行わない女性および換気システムのあるところで手術を行う女性)と比較して非換気麻酔ガスに週1時間以上暴露された女性は早産のリスクが有意に2.5倍増加した(危険率比2.56、95%信頼区間(CI)1.33-4.91)。暴露を細かいカテゴリーで分けた場合、この群内で用量反応関連も認められた。週の労働時間が45時間以内の獣医師と比較して、週に45時間以上働く獣医師の1週間毎の働く時間数と早産のリスクに強く、単調な増加も見られた(危険率比3.69、95%CI 1.40-9.72)。
結論:長時間勤務と麻酔ガスの換気システムのない所で外科手術を行うことは、女性獣医師の早産の重要なリスクファクターである。(Sato訳)
■体重管理に対するlorcaserinの多施設プラセボ-コントロール試験
Multicenter, placebo-controlled trial of lorcaserin for weight management.
N Engl J Med. July 2010;363(3):245-56.
Steven R Smith, Neil J Weissman, Christen M Anderson, Matilde Sanchez, Emil Chuang, Scott Stubbe, Harold Bays, William R Shanahan, Behavioral Modification and Lorcaserin for Overweight and Obesity Management (BLOOM) Study Group
背景:lorcaserinは選択的セロトニン2C受容体作用薬で、体重減に有効な可能性がある。
方法:この二重盲検臨床試験において、3182人の肥満あるいは過体重の成人(平均ボディ-マス指数(体重kg/慎重m(2))36.2)を無作為に52週間1日2回10mg lorcaserin処置あるいはプラセボ処置に振り分けた。全ての患者に食事および運動カウンセリングも行った。52週目、プラセボ群の患者はそのままプラセボを継続し、lorcaserin群の患者はプラセボあるいはlorcaserin継続群に無作為に振り分けた。主要結果は1年目の体重減少と2年目の体重減少の維持をみた。弁障害(FDAで定義)発症の患者を確認するために逐次心エコー検査を使用した。
結果:1年目、lorcaserinを投与した患者の55.4%(883/1595)およびプラセボを投与した患者の45.1%(716/1587)が試験を維持し、1553人が2年目を継続した。1年目、lorcaserin群の患者の47.5%、プラセボ群の20.3%で体重の5%以上の減少が見られ(P<0.001)、それは1年間、lorcaserinで5.8±0.2kg、プラセボで2.2±0.1kgの平均減少に一致した(P<0.001)。1年間
lorcaserinの投与を受け、1年目に基準の体重の5%以上減量した患者の中で、2年目にプラセボを投与された患者(50.3%、P<0.001)よりも、2年目もlorcaserinの投与を継続した患者(67.9%)のほうが減量を維持できた人が多かった。1年目に評価した2472人の患者と2年目に評価した1127人の患者の中で、lorcaserinを使用しても心臓弁障害の比率は増加しなかった。Lorcaserinで報告された最も頻度の高い副作用は、頭痛、めまい、悪心だった。両群の重篤な有害事象の比率は同じだった。
■犬および猫の肥満:代謝および内分泌障害
Obesity in Dogs and Cats: A Metabolic and Endocrine Disorder.
Vet Clin North Am Small Anim Pract. March 2010;40(2):221-239.
Debra L Zoran
肥満は体において脂肪組織の過剰な蓄積と定義され、西側諸国では犬の一般的な栄養疾患と呼ばれている。多くの研究者は動物病院に来院する犬の少なくとも33%が肥満で、ヒトの肥満が増加するのと同じように全体の集団での発生率も増加していることに同意している。肥満は脂肪組織がただ大量に蓄積するだけではなく、体における重要な代謝およびホルモン変化に関与し、この概説ではそれに焦点を当てている。
肥満は変形性関節症、呼吸困難、糖不耐性および真性糖尿病、高血圧、難産、耐暑性の低下、いくつかの癌形成、麻酔や手術合併症のリスクの増加などの種々の状態に関与する。肥満の予防および早期認識、肥満の矯正は適切な健康管理、ペットのクオリティおよびクオンティティオブライフに増加に重要である。(Sato訳)
■歯および耳洗浄処置後の犬猫の術後聴覚消失
Post-anesthesia deafness in dogs and cats following dental and ear cleaning procedures.
Vet Anaesth Analg. July 2010;37(4):347-51.
Cathryn K Stevens-Sparks, George M Strain
目的:この研究は、麻酔下で実施する処置後の犬猫における聴覚障害を実証するために実施した。聴覚障害が報告された多くの症例は、歯および耳の洗浄処置後だった。
研究構成:前向きおよび回顧的症例調査
動物:対象は個人的に連絡を受けた聴覚消失の犬猫、獣医情報ウェブサイトで議論された症例、一般開業および歯科専門獣医師の調査を通して連絡を受けた症例
手順:報告された聴覚消失症例を、動物種(犬、猫)、種類、性別、年齢、体の大きさで特徴付けた。
結果:麻酔後の聴覚障害症例62頭が2002年から2009年の間に報告された。5頭の追加症例がアンケートの回答者から報告された。
43症例は歯の処置後に発生した。16症例は耳の洗浄後に発生した。聴覚障害と犬あるいは猫、性別、使用した麻酔薬、犬の大きさに関連は見られなかった。老齢動物は麻酔後、処置後聴覚障害により感受性があるのは明らかだった。
結論:犬や猫で歯科および耳洗浄処置のための麻酔後に聴覚消失が起こるかもしれないが、その発生率は低い。聴覚障害は永久的と思われる。
臨床関連:聴覚消失は歯あるいは耳洗浄処置のための麻酔後の結果として起こりえる。老齢動物はより大きな感受性を持つと思われる。(Sato訳)
■犬の肥満と関連した環境要因に関する疫学研究
An epidemiological study of environmental factors associated with canine obesity.
J Small Anim Pract. 2010 Jul;51(7):362-7.
Courcier EA, Thomson RM, Mellor DJ, Yam PS.
目的:犬の肥満に関する社会経済的要因とその他の環境要因の関係を評価すること
方法:これは、イギリスの5つの一次動物病院を受診した犬の飼い主の横断アンケート研究であった。飼い主に犬の年齢、中性化、給餌習慣、犬の運動、収入そして飼い主の年齢について質問した。犬のボディーコンディションスコアも評価した。肥満に関連すると仮定される要因について調査した。
結果:全部で696のアンケートからのデータを評価した。これらの評価したデータから、35.3%(246頭)の犬は理想的な体系であると分類され、38.9%(271頭)は過剰体重、20.4%(142頭)が肥満で、5.3%(37頭)は過小体重であった。肥満と関連した認識されたリスク因子は飼い主の年齢、1週間の運動時間、スナック/おやつを与える頻度そして飼い主の収入であった。
臨床重要性:犬の肥満と関連した環境リスク要因は多因子性であり、飼い主の収入、飼い主の年齢、スナック/おやつを与える頻度そして犬が散歩する時間である。犬の肥満と関連した健康リスクに関する認識はより低所得層の人で有意に少ない。この現象は人の肥満で認識されている。(Dr.Kawano訳)
■デンマークのバーニーズマウンテンドックにおける悪性組織球腫症と死亡の他の原因
Malignant histiocytosis and other causes of death in Bernese mountain dogs in Denmark.
Vet Rec. February 2010;166(7):199-202.
L Nielsen, S N Andreasen, S D Andersen, A T Kristensen
バーニーズマウンテンドックの死亡原因の判定、デンマークのバーニーズマウンテンドック集団における悪性組織球腫症の罹病率の算出、この疾患の遺伝パターンの存在の有無を評価するため、デンマークバーニーズマウンテンドッククラブのメンバー756人にアンケートを送付し、寿命および死亡原因に関する情報を収集した。回答率は57.7%で、812頭の情報が得られ、そのうち290頭は死亡していた。平均寿命は7.1歳だった。死亡原因の多いものから、腫瘍(42.1%)、老齢(10.3%)、腎疾患(6.9%)、感染(5.9%)、骨格系疾患(5.2%)、心疾患(3.8%)、行動の原因(3.5%)だった。13頭は悪性組織球症と診断され、そのうち11頭は血縁だった。(Sato訳)
■顔面神経および周囲軟部組織に対する携帯電話の熱の影響
Thermal effects of mobile phones on facial nerves and surrounding soft tissue.
Laryngoscope. March 2009;119(3):559-62.
Gul Ozbilen Acar, H Murat Yener, Feray Karaali Savrun, Tunaya Kalkan, Ibrahim Bayrak, Ozgun Enver
目的:顔面神経(FN)および周囲軟部組織に対する携帯電話からのマイクロ波の熱の潜在的影響を調査する
研究構成:前向き研究
方法:我々は、携帯電話から放出される高周波放射(RFR)の暴露前に、12羽のウサギのFN伝導率および複合筋活動電位(CMAP)を研究した。またFNの周りの軟部組織における温度変化も4チャンネルLuxtron fiber opticシステムにより調査した。1900MHz周波数の携帯電話をウサギの同側の耳に25分間設置し、FNおよび周囲組織は1.5ワットパルス変調(217 packets/s)電磁場に曝した。RFRの暴露中、携帯電話の遮断直後、暴露から25分後、FNの周囲組織の温度変化を記録し、暴露前の値と比較した。またFN機能に関する他の記録を行い、暴露前の値と比較した。
結果:暴露中および携帯電話遮断直後の周囲軟部組織の平均温度は暴露前の値よりも0.39K高く、暴露後25分で正常レベルに低下し、統計学的に有意であった。高周波放射暴露後FN
CMAPの振幅は、暴露前の振幅よりも有意に小さく、25分後の測定値は正常になった。
結論:携帯電話から放射されるRFRは、FN周囲の軟部組織の一時的な温度上昇により、一時的顔面神経機能不全を引き起こすことがある。(Sato訳)
■猫の圧迫(Pinch)誘発行動抑制('clipnosis')
Pinch-induced behavioral inhibition ('clipnosis') in domestic cats.
J Feline Med Surg. 2008 Feb;10(1):82-7. Epub 2008 Jan 28.
Pozza ME, Stella JL, Chappuis-Gagnon AC, Wagner SO, Buffington CA.
一般的には頚部クリップあるいは反転(“動物催眠“)など機械的手段によってげっ歯類、ウサギ、モルモットそして犬の不動化については研究されている。対照的に、文献ではいくつかの成功が報告されているが、猫の機械的な不動化に関する研究は限られる。猫は背部に沿ってクリップをとめることによって効果的に不動化できるかもしれない。この行動に対し、我々はより擬人化した言葉である'催眠'をさけ、方法と反応の両方について述べる'圧迫誘発行動抑制' (PIBI)という言葉を使う。
我々は健常猫および特発性膀胱炎(IC)の猫において、'圧迫誘発行動抑制' (PIBI)の効果、その神経学的効果および習慣的効果を観察した。すべての猫で'圧迫誘発行動抑制' (PIBI)が期待できるわけではなく、その効果は固体によって様々であったが、'圧迫誘発行動抑制' (PIBI)はほとんどの猫でやさしく拘束するのに役に立った。(Dr.Kawano訳)
■獣医師はどれくらいの頻度で体重とボディコンディションを評価しているか
How often do veterinarians assess the bodyweight and body condition of dogs?
Vet Rec. October 2008;163(17):503-5.
A J German, L E Morgan
体重とボディコンディションの測定は、コンパニオンアニマルの健康状態をモニターするのに有効であるが、一般診療で獣医師によりどれくらいの頻度で行われているかは不明である。148頭の情報を分析し、どれくらいの頻度で体重およびボディコンディションが測定されていたのかを判定した。103頭(70%)の犬は少なくとも1回体重を測定されていた。測定ごとの期間の中央値は114日(範囲5日-6.8年)、測定ごとの対診数の中央値は4回(範囲1-44回)だった。
43頭(29%)の犬で主観的に身体組成を評価していた。評価の間隔の中央値は216日(21日-6.26年)で、評価ごとの対診数の中央値は7回(2-43回)だった。ボディコンディションスコアの認識は、ある機会に1頭の犬のみ評価されていた。(Sato訳)
■なぜいまだ本当に身体検査は必要なのか
Why the physical exam is still really necessary
Vet Med. Oct 2008;103(10):534-536. 3 Refs
David Robbins, DVM
我々の多くの基礎的診断ツールは価値が下がっている。身体検査は我々の五感、例えば内視鏡ではなく聴診器を使用した最小限の侵襲技術による患者のルーチンな評価である。患者の病歴と共に、身体検査は追加の診断検査が必要か、それならばどの検査がもっとも有効か判定する補助となる。各国で訓練した各獣医師により診療され、獣医療においてわずかな共通性の中に身体検査がある。経済的に困難な場面において獣医療を実践、あるいは観察している誰もが、身体検査がしばしば患者の疾病を診断する唯一の方法であることを認識している。疑いなく今日の獣医療は過去十年の獣医療ではない。しかし、テクノロジーの多くの進歩にもかかわらず、病歴および身体検査は獣医療で不変であり続けるだろう。身体検査、患者の病歴、テクノロジーの融合は、獣医師-患者-オーナーの重要な絆を維持する一方、獣医師が正確でより迅速な診断医、治療者になる助けとなるだろう。(Sato訳)
■なぜ犬や猫は草を食べるのか
Why do dogs and cats eat grass?
Vet Med. Dec 2008;103(12):648-649. 9 Refs
Benjamin L. Hart, DVM, PhD, DACVB
オーナーにペットが草を食べる傾向について尋ねられたとき、ペットはかなり典型的に-ほとんどの犬猫はある植物を食べると教えている。また、草を食べることは常に胃腸疾患と関係するわけではないが、その代わりに野生の先祖からの体質遺伝かもしれない。オーナーには草を食べる犬猫を薬剤で管理している芝生や毒性植物から離すようにアドバイスしましょう。(Sato訳)
■健常犬における直腸温度と酸素消費に対する全身スパンデックス衣服の効果
Effects of a whole-body spandex garment on rectal temperature and oxygen consumption in healthy dogs.
J Am Vet Med Assoc. 2004 Jan 1;224(1):71-4.
Reimer SB, Schulz KS, Mason DR, Jones JH.
目的:全身スパンデックス衣服が暑熱環境と寒冷環境における休息時における健常犬の直腸温度を変化させるかどうかを確認する。
設計:前向き研究
動物:10頭の健常犬
方法:市販で購入可能である犬用全身スパンデックス衣服を着る、あるいは着ない時に、それぞれの犬を低い外気温(20-25℃)あるいは高い外気温(30-35℃)で評価した。Flow-through型間接カロリーメーターを90-120分間設置して酸素消費量を測定した。カロリーメーター設置前と取り去った後で、直腸温度を測定した。
結果:直腸温度は低い外気温より高い外気温で、衣服を着ている時より着ていない時の方が有意により上昇した。より高い温度に比べ、より低い外気温で酸素消費率は有意に高かった。
結論と臨床関連:ぴったりとしたスパンデックス衣服を着ることで、犬が適度の外気温においてオーバーヒートとなる可能性は増加しない。それどころかガーメントのような衣服を着る事で、適度の温度負荷において、体温を良好に維持することを可能にするかもしれないと結果から示唆される。これらの結果からガーメントのような衣服を着る事で、オーバーヒートすることなく外傷や縫合した場所の保護などの目的で利用可能かもしれないと示唆される。(Dr.Kawano訳)
■カルシウム:総あるいはイオン
Calcium: total or ionized?
Vet Clin North Am Small Anim Pract. May 2008;38(3):497-502.
Patricia A Schenck, Dennis J Chew
カルシウムの状況の評価は血清総カルシウム(tCa)の測定に頼っているが、実際生物学的活性を持つのはカルシウムイオン(iCa)分画である。多くの臨床的状況で血清tCaは正確にiCaの状況を予測しない。iCaの状況の正確な評価には、iCaを直接測定すべきである。管理状況下の血清iCaの無気的測定は、カルシウムの状況のもっとも信頼できる測定値である。種特異pH修正でのiCa有気測定は、無気測定値に高い相関を見せる。(Sato訳)
■犬猫に関連する非致死性転倒関連外傷-アメリカ、2001-2006
Nonfatal fall-related injuries associated with dogs and cats--United States, 2001-2006.
MMWR Morb Mortal Wkly Rep. March 2009;58(11):277-81.
Centers for Disease Control and Prevention (CDC)
アメリカにおいて転倒は非致死性外傷を誘発する原因である。2006年には約800万人の人が救急治療部(EDs)で転倒外傷の治療を受けている。ペットは転倒を引き起こす危険があると思われるが、この推定を支持するのに得られるデータはほとんどない。犬猫が関係する転倒関連外傷の発生率を評価するため、2001-2006年の間の国立電子外傷監視システム-全外傷プログラム(NEISS-AIP)のデータを疾病管理予防センター(CDC)が分析した。
この報告は分析結果を述べ、それは犬および猫に関連する各年の平均転倒外傷数は86629件にのぼり、毎年の外傷率の平均は100000集団の29.7%ということを示した。約88%の外傷は犬に関係し、傷害を受けた人の中で、女性は男性よりも2.1倍外傷を受けやすかった。
予防戦略は、1)転倒の危険因子としてペットおよびペットアイテム、転倒外傷を引き起こす可能性のある状況の社会意識を高める、2)犬の服従訓練を強調するアメリカ獣医師会推奨を強化することに焦点を置くべきである。(Sato訳)
■女性獣医師の子供における出生時欠損
Birth defects in offspring of female veterinarians.
J Occup Environ Med. May 2009;51(5):525-33.
Adeleh Shirangi, Lin Fritschi, C D'Arcy J Holman, Carol Bower
目的:獣医療における放射線、麻酔ガス、殺虫剤のような職業上の危険に暴露される女性獣医師の子供における出産時欠損のリスクを調査する
方法:オーストラリアの獣医師の健康リスクプロジェクトを、1960-2000年の40年間にオーストラリアの獣医学校を卒業した全ての獣医師にアンケート形式の調査という形で行った。
結果:交絡の可能性を調節する多ロジスティック回帰において、主に小動物診療で働く獣医師において、高線量放射線の職業被曝(1週間に10枚以上のエックス線撮影、オッズ比:5.73、95%CI:1.27-25.80)後、女性獣医師の子供に出生時欠損のリスクが増加し、最低一週間に1回の殺虫剤の職業被爆後出生時欠損のリスクが増す(オッズ比:2.39、95%
CI:0.99-5.77)ことを示した。
結論:女性獣医師は放射線および殺虫剤の職業被曝の出産への影響の可能性を認識しておくべきである。(Sato訳)
■犬の睡眠発作の病態生理と臨床管理
Review of pathophysiology and clinical management of narcolepsy in dogs
Vet Rec. September 2007;161(11):375-80. 30 Refs
M Tonokura, K Fujita, S Nishino
睡眠発作は人や動物で見られる慢性睡眠障害である。17犬種が散発的に、ドーベルマン、ラブラドールレトリバー、ダックスフントでは家族性に発生する。それらの犬が呈する特性は、人の睡眠発作に著しく似ており、脱力発作(感情的刺激に対する反応で突然の筋緊張喪失)、より短い睡眠潜伏などである。最近では家族性(無発現変異レセプター)、散在性(リガンド産生減少)両方による犬睡眠発作の病因は、ヒポクレチン/オレキシン神経伝達の欠損に関与するといわれている。ヒポクレチン欠損は、脳脊髄液中のヒポクレチン-1の測定により検出可能で、これは臨床でヒポクレチン、リガンド欠損症例の診断に使用できた。睡眠発作は進行性でも命を脅かすものでもないが、臨床症状は生涯持続し、終生治療とケアが必要とされる。この文献は、犬の睡眠発作研究の最近の進歩を概説し、その疾患の診断と治療を紹介する。(Sato訳)
■アイリッシュウルフハウンドの寿命と疾病素因:概説
Lifespan and disease predispositions in the Irish Wolfhound: a review
Vet Q. September 2007;29(3):102-11. 76 Refs
S R Urfer1, C Gaillard, A Steiger
アイリッシュウルフハウンドのいくつかの疾病素因が述べられるが、それらのリストは異なる文献で大きく変化する。この論文は、文献で報告されている疾病素因と共に寿命に対する所見を概説する。これまで見つかった遺伝性メカニズムは、繁殖用の健康な犬に対するそれらの関わり、動物福祉面で強調されるその倫理的必要性などが論じられる。繁殖価値の評価と組み合わせたオープンな健康登録は、もっとも有望なアプローチに思える。
さらに通常オスの去勢手術は、骨肉腫のリスクを増加させるとして賛成されない。アイリッシュウルフハウンドの平均寿命は4.95-8.75歳と幅広いが、正しく検閲したデータによる偏りは一般的である。最も多く発生が報告された疾患は、拡張型心筋症、骨原性肉腫、胃拡張および捻転、骨軟骨症性範疇の疾患である。さらに肝内門脈体循環シャントは重要な役割を演じる。いくつかの他の疾病が文献で報告されており、鼻炎、てんかん、進行性網膜萎縮、フォンウィルブランド病、若年性線維軟骨塞栓症がある。(Sato訳)
■犬と猫の腹部超音波と試験開腹の結果の比較
Comparison of the results of abdominal ultrasonography and exploratory
laparotomy in the dog and cat
J Am Anim Hosp Assoc. 2007 Sep-Oct;43(5):264-9.
Gina E Pastore, Christopher R Lamb, Victoria Lipscomb
術前の超音波検査と試験開腹結果について100例の動物で回顧的検討を行い、超音波所見と外科所見の一致性、超音波検査での見落としについて評価を行った。超音波所見と外科所見の良好な一致は64%の動物で認められ、術前超音波検査の有用性を支持する結果となった。所見が大きく異なったものは25%で認められた。様々な病理検査結果が得られているが、消化器潰瘍や穿孔は超音波検査で見落とされやすい病変であった。(Tako訳)
■犬と猫の緊急診察所の受診と太陰周期:11940症例(1992-2002)
Canine and feline emergency room visits and the lunar cycle: 11,940 cases (1992-2002).
J Am Vet Med Assoc. 2007 Jul 15;231(2):251-3.
Wells RJ, Gionfriddo JR, Hackett TB, Radecki SV.
目的: 太陰周期に関係した犬と猫の緊急診察所の受診頻度を決定すること。
方法:回顧的症例シリーズ
動物:11年間で緊急対応として評価した11940頭の犬と猫
方法: 緊急受診日、シグナルメン、そして主訴を診療記録データベースから検索した。緊急のタイプを動物による咬傷、心停止、てんかん、眼科、胃拡張―胃捻転、外傷、多発性疾患、腫瘍あるいは中毒に分類した。月相との関連性を評価し、新月、既朔、上弦、幾望、満月、既望、下弦を記録した。緊急対応の頻度における月相の影響を、相対的なリスクを算出することで評価した。
結果: 11940頭のうち9407頭が犬で2533頭が猫だった。相対的なリスク補正によると、すべての他の日と比べて、より満ちた月の日(幾望から既望)における犬と猫の緊急対応は明らかに増加していた。
結論と臨床関連:より満ちた月の日は犬と猫の緊急処置の対応がより多いことが結果から示唆された。緊急症例が少ない病院で行ったこの研究で観測された来院数(それぞれ0.59と0.13のより多くの犬と猫)が断片的に増加していることには主治医は気付きにくい。緊急症例の多い病院でこの研究を繰り返すと、これらの結果はより満ちた月の日に勤務した再編成を導くかもしれない。臨床関連を決定するためには緊急症例が多い施設でのこれらの調査結果を評価する前向き研究が必要である。(Dr.Kawano訳)
■低体温、正常体温、高体温の犬で3つの体温測定法の比較
Comparison of three methods of temperature measurement in hypothermic, euthermic, and hyperthermic dogs
J Am Vet Med Assoc. June 2007;230(12):1841-8.
Rebecca J Greer, Leah A Cohn, John R Dodam, Colette C Wagner-Mann, F A Mann
目的:犬でさまざまな体温の状況における深部体温の測定のため、予測直腸体温計、動物用赤外線耳介体温計、皮下温度感知マイクロチップの信頼度と精度を評価する
構成:前向き研究
動物:8頭の特別目的のため繁殖された犬
方法:研究開始前最低7日に、各犬の3部位(肩甲間、肩の外側面、仙椎部位)の内1つに皮下温度感知マイクロチップを埋没した。直腸体温計、赤外線耳介体温計、マイクロチップにより測定した体温の比較のため、深部体温を、サーミスタを先端に取り付けた肺動脈(TTPA)カテーテルで測定した。低体温はTTPAカテーテル設置時の麻酔中に誘発した。カテーテル設置後、高体温はエンドトキシンの低用量投与で誘発した。低体温、正常体温、高体温中に、ほぼ同時に2回TTPAカテーテル、直腸体温計、耳介体温計、皮下マイクロチップの体温測定値を記録した。各機器の体温測定値の信頼度(変動性)、各機器測定値と深部体温の一致を評価した。
結果:2回のほぼ同時体温測定値の変動性は、耳介体温計でもっとも大きく、TTPAカテーテルで最低だった。直腸体温計を使用した測定値は、深部体温と最も近い一致を見せた。他の機器すべて、温度をコア体温よりも典型的に低く測定した。
結論と臨床関連:体温測定の3つの方法の中で、直腸検温が犬の深部体温を最も正確に測定した。(Sato訳)
■ニューファンドランド犬で血漿タウリン濃度低下は血漿メチオニンおよびシスチン低濃度とタウリン低合成に関与する
Low plasma taurine concentration in Newfoundland dogs is associated with low plasma methionine and cyst(e)ine concentrations and low taurine synthesis
J Nutr. October 2006;136(10):2525-33.
Robert C Backus, Kwang Suk Ko, Andrea J Fascetti, Mark D Kittleson, Kristin A MacDonald, David J Maggs, John R Berg, Quinton R Rogers
犬でタウリンは食餌中に必須なものではないが、タウリン欠乏と拡張型心筋症は大型犬種で時々報告される。タウリン状態と管理を、個人的に飼育している特発性拡張型心筋症が高発生率(1.3-2.5%)の大型犬種ニューファンドランド216頭で調査した。同様の年齢、性別、栄養状態、体重、ボディコンディションスコアーにわたり、血漿タウリン濃度と血漿シスチン(r=0.37)、メチオニン(r=0.35)濃度は明確に相関した(P<0.01)。血漿タウリン濃度は8%の犬で低かった(40?mol/l以下)。
低血漿タウリンの犬は他の犬と比べ、老齢、低活動、より医学的問題を持ちそれを治療し、低血漿アルブミン、シスチン、トリプトファン、アルファアミノn酪酸濃度だった(P<0.05)。9頭のタウリン欠乏犬を臨床的に評価し、3頭はタウリン添加で戻るDCMがあり、1頭は網膜変性があった。3週間サルファアミノ酸(5.4kg/kg)で明らかに適切な食餌を与えたとき、6頭のビーグル(13.2±2.3kg、5.5歳)と比べ、ニューファンドランド(52.5±2.3kg、3.5-7歳)の血漿タウリン(97±25vs.49±16?mol/l)、シスチン、血中グルタチオン濃度がより低値(P<0.01)、新規タウリン合成(124±27vs.59±15mgxkg(-0.75)xd(-1))がより低く(P<0.01)、糞中胆汁酸排泄(1.4±0.2vs.1.7±0.2?mol/l)はより大きかった(P<0.05)。ニューファンドランドは、栄養要求定量で使用されるモデル犬種のビーグルよりも、食餌中サルファアミノ酸をより多く必要とすることが明らかだろう。(Sato訳)
■獣医師の手および前腕の皮膚病
Hand and forearm dermatoses among veterinarians
J Eur Acad Dermatol Venereol. March 2007;21(3):360-3.
Dm Bulcke, Sa Devos
背景:感染性および非感染性の手および前腕の皮膚病が日々の獣医療でしばしば見られる。この専門職で、獣医師の生活および職業に対し皮膚疾患の重大な影響がある。
目的:この研究は、ベルギーおよびオランダの異なる皮膚パッチテスト専門センターで収集したデータを使用し、獣医師の手および前腕に対する異なる職業上の皮膚病を明らかにする。
方法:過去に異なる研究で行っている獣医師自身に質問する代わりに、ベルギーとオランダの皮膚科医にコンタクトをとり、獣医師の皮膚病に関する経験について質問した。
結果:7人の皮膚科医が、合計58人の獣医師について述べた。感染性皮膚病は12人(20.7%)みられた。非感染性皮膚病(46人、79.3%)は、接触蕁麻疹、刺激性またはアレルギー性接触皮膚炎に分類できた。
結論:獣医師で刺激性接触皮膚炎は手および前腕の皮膚病の大多数を占め、一方で蕁麻疹およびアレルギー性接触皮膚炎も職業上の病的状態にかなり貢献していた。繰り返し手を洗う、ゴム手袋による閉鎖、産科手技中の動物蛋白液への接触、防腐剤、全身および局所コルチコステロイド、抗生物質との接触は、手および前腕皮膚病を起こしやすい。(Sato訳)
■疾病猫のコバラミン、葉酸、無機リン異常
Cobalamin, folate and inorganic phosphate abnormalities in ill cats
J Feline Med Surg. March 2007;0(0):.
Nicola Reed, Dani?lle Gunn-Moore, Kerry Simpson
猫の低コバラミン血症は過去に認められているが、発生報告はさまざまで、葉酸欠乏頻度は不明である。この研究の目的は、大部分が消化器(肝臓、膵臓を含む)の疾患を患っている猫集団で、低コバラミンおよび葉酸濃度の発生率を評価することと、疾患の程度が欠乏の程度(体重とボディコンディションスコアー(BCS)により評価)に関連するかどうかを確認することだった。研究集団は103頭の猫で、そのうち16.5%は低コバラミン濃度で38.8%は低葉酸濃度だった。思いがけず発見した所見は、症例の48%の無機リン濃度が正常範囲以下だった。正常以下のコバラミン濃度と中央BCSの間(P=0.049)、低葉酸と低コバラミンの組み合わせと体重(P=0.002)、BCS(P=0.024)と無機リン(P=0.003)に有意な関係が認められた。臨床症例で葉酸とコバラミンの低濃度所見は、現在思われているよりもより高頻度に補充する方がいいかもしれないと示唆される。(Sato訳)
■牛皮膚乳頭腫症にイベルメクチンは効果的な治療である
Ivermectin is an effective treatment for bovine cutaneous papillomatosis
Res Vet Sci. March 2007;0(0):.
M K B?rk?1, O Atalay, M Kibar, Y Cam, A Atasever
牛皮膚乳頭腫症の治療としてイベルメクチンの効果を評価した。皮膚乳頭腫症を持つ9-17ヶ月のホルスタインの子牛24頭を3つの群に分け、1群に6頭、2群と3群に9頭とした。1群はコントロールとし、治療しなかった。皮下にイベルメクチンを0.2mg/kgで投与し、2群の牛には1回、3群の牛には15日間隔で2回投与した。最初のイベルメクチン投与を0日と考え、15日間隔で3ヶ月間モニターした。
コントロール群(1群)に寛解は観察されなかった。2群の9頭中8頭(88.8%)と3群の9頭中7頭(77.7%)は、観察期間の3ヶ月以内に完全な回復を見せた。イベルメクチンは1回、および2回投与共に皮膚乳頭腫症の治療として効果的だと締めくくる。(Sato訳)
■調節T細胞
Regulatory T Cells
Journal of Investigative Dermatology (2006) 126, 15-24. doi:10.1038/sj.jid.5700004
Stefan Beissert, Agatha Schwarz and Thomas Schwarz
免疫学的自己寛容は決定的に誘導だけではなく、免疫反応のダウンレギュレーションにも依存します。何年も無視され、なおざりにされてきたが、抑制性T細胞が新しく命名された調節T細胞(Tregs)は、免疫反応の負の調節において重要な役割を演じる。調節T細胞のいくつかのサブセットが記述されています。自然に発生したCD4+CD25+調節T細胞は、自己免疫疾患の予防において重要な役割を果たします。誘導性調節T細胞の他のサブセットである1型調節T細胞はIL-10の放出を経て、主にそれらの抑制活性を与える。これらの細胞の表現型や作用形態に関する詳細な知識で、自己免疫疾患の病因の理解が明らかに深まり、新しい治療戦略の認識にも役立つだろう。(Dr.Kawano訳)
■獣医師で犬の乳汁に対する職業上接触蕁麻疹と鼻結膜炎
Occupational contact urticaria and rhinoconjunctivitis from dog's milk in a veterinarian
Contact Dermatitis. March 2007;56(3):169-71.
Caterina Foti, Annarita Antelmi, Gianni Mistrello, Fabrizio Guarneri, Raffaele Filotico
犬の乳汁に接触後、鼻結膜炎と手と前腕に接触性蕁麻疹(CU)を発症した46歳の獣医師の症例を報告する。プリックテストの結果、ヒカゲミズ花粉、コナヒョウダニ、ヤケヒョウダニ、猫のフケ、草、オリーブ(+++)、生の犬の乳汁(++++)に陽性反応を示した。5人の健康な獣医師に実施した犬の乳汁でコントロールピックテストは陰性だった。獣医師のCUの原因物質に犬の乳汁がなりえる可能性を考慮に入れることが重要と考える。(Sato訳)
■猫咬傷の発生率とリスクファクター:猫攻撃性の予防と治療のファーストステップ
Incidence of and risk factors for cat bites: a first step in prevention and treatment of feline aggression
J Feline Med Surg. December 2006;0(0):.
Jorge Palacio, Marta Le?n-Artozqui, Eliseo Pastor-Villalba, Fernando Carrera-Mart?n, Sylvia Garc?a-Belenguer
人々に向けた猫の攻撃性は、犬の攻撃性よりも発生率が少ないが、重要な公衆衛生的問題がある。この研究の目的は、ヒトに向けられたと報告された猫の攻撃性を分析、その発生率の評価と関与するリスクファクターを分析することだった。バレンシア地域(スペイン)の公衆衛生センターから情報を得た。猫の攻撃性合計936件を分析した。猫は報告された全ての動物咬傷の8%を占めた。年平均で人100000人に対し6.36の猫の攻撃性の出来事があった。最も攻撃的な出来事は夏季の間に起こった。子供(0-14歳)と女性はより咬まれる傾向にあった。傷は主に穿刺、単一および軽度のものがほとんど腕にできた。子供では大人よりも頭や頚部が咬まれやすかった。咬傷に関与する猫は、ほとんどがシャム、メス、飼育されている猫だった。それらの猫は、主にオーナーに攻撃した。ほとんどの咬傷は猫の防衛反応によるものだった。(Sato訳)
■犬に咬まれた経験:獣医と獣医看護学生の調査
The experience of dog bites: a survey of veterinary science and veterinary nursing students
N Z Vet J. June 2006;54(3):141-6.
A A F Wake, K J Stafford, E O Minot
目的:ニュージーランドで犬に咬まれた人の状況を調査する
方法:2003年にマッシー大学に在籍する獣医学、獣医看護学生に今まで犬に咬まれた経験の詳細と、犬管理法律制定の彼らの見解についてアンケートをとった。
結果:回答率は100%だった。完全な228の回答があり、87(38%)が犬に咬まれていた。ほとんどの咬傷は最小限の傷だったが、17(20%)は医療措置が必要だった。男性はより咬まれている機会が多かった。回答で最も多い比率(27;31%)は、6歳から10歳の間にほとんどが手を咬まれていた。18(21%)の咬傷は見知らぬ犬によるものだったが、ほとんどの咬傷は咬まれた人が知っている犬によるものだった。田舎に住んでいる人からの回答は、都会に住む人より3倍咬まれやすいようだった。
咬まれた人の家が、多くの咬傷の起きた場所だった(31;36%)。人を咬むのはオス犬(38;44%)のほうがメス犬(24;28%)より多かった。残りの咬んだ犬(25;29%)は、咬まれた人が性別を覚えてなかった。家を守る、遊び、アクシデント、ラフな扱い、痛みが、一般的に犬が咬む理由として確認された。ほとんどの回答者(46;52%)は法律がそれら咬む事を防ぐことが出来ると信じてなかった。4件(5%)のみが関係当局に報告した。
結論:田舎に住んでいる人、犬とのより経験が多い人、11歳以下の子供、男性は犬に咬まれることがより多かった。犬のオーナーの土地に垣根を作ることに関する法律制定のみ、ここに報告された咬傷の適度な割合(25;29%)を防ぐかもしれない。(Sato訳)
■猫における不適切なマイクロチップ設置により起こった脊髄傷害
Spinal cord injury resulting from incorrect microchip placement in a cat
J Feline Med Surg. September 2006;0(0):.
Simon Platt, Lara Wieczorek, Ruth Dennis, Alberta De Stefani
2歳去勢済みオスの家猫短毛種が、ペット確認マイクロチップ移植後すぐに起きた急性四肢不全麻痺の調査で来院した。主要鑑別診断に脊髄傷害をあげ、神経学的検査から左側C6-T2脊髄分節部分が疑われた。脊髄造影でC5-C6椎間板腔にマイクロチップによるコントラスト柱の遮断を認めた。背側ラミネクトミーを実施し、マイクロチップの除去に成功した。術後11ヶ月で、ネコは全ての足で負重できるようになったが、前肢に軽度不全麻痺が残った。(Sato訳)
■動物病院における複数回使用するバイアルの汚染
Contamination of multiple-dose vials in a veterinary hospital
Can Vet J. August 2006;47(8):779-82.
Catherine V Sabino, J Scott Weese
獣医教育病院で複数回使用する生食ボトルおよび薬剤バイアルの最近汚染を評価した。88個の容器中16個(18%)で最近汚染が認められ、大動物診療所、小動物診療所、反芻動物移動診療所に差は見られなかった。注射のための物質を含む複数回使用する容器の汚染は一般的で、可能性のある病原菌は多くの環境に存在した。この時点で臨床意義は確かめられていないが、感染コントロール診療を、この院内感染の可能性のある原因に向けるべきである。(Sato訳)
■犬のトラベル誘発性興奮に対するアロマセラピー
Aromatherapy for travel-induced excitement in dogs
J Am Vet Med Assoc. September 2006;229(6):964-7.
Deborah L Wells
目的:犬のトラベル誘発性興奮に対する治療としてラベンダーの香りの効果を評価する
構成:臨床試験
動物:オーナーの車でトラベル誘発性興奮の病歴を持つ32頭の犬
方法:よく行く散歩道にオーナーの車で移動中、2つの嗅覚刺激状況下で各犬を研究した。最初の状況はコントロールで、環境から自然に起こる臭い以外、他の臭いはなかった。2つ目の状況は実験的に作り、環境にラベンダーの香りがあるようにした。3日間連続でコントロール状況下、3日間連続で実験環境下において車の移動中に犬の行動を記録した。嗅覚刺激の状況下で移動、立つ、座る、安静、泣く時間の比率を定量化した。
結果:実験状況下では、犬は有意に休息および座っている時間が多くなり、移動および鳴いている時間は少なくなった。犬の行動と性別、去勢実施の有無、日にち、各嗅い状況暴露順番に有意な相関はなかった。
結論と臨床関連:犬のトラベル誘発性興奮のこれまでの治療は時間がかかる、高価、副作用が関係するかもしれない。ラベンダーの臭いを拡散させる形のアロマセラピーは、犬のトラベル誘発性興奮の臨床的代替療法になると思われる。(Sato訳)
■犬の寿命に対する体高と体重の影響に関する統計分析
Statistical analysis regarding the effects of height and weight on life span of the domestic dog
Res Vet Sci. August 2006;0(0):.
Kimberly A Greer, Sarah C Canterberry, Keith E Murphy
この研究は、ペット集団からのデータをもとに犬の寿命と犬種サイズの関係を判定するため行った。77種のアメリカンケンネルクラブ犬種を、700頭以上のデータで分析した。多変線形回帰分析を従属変数として寿命、非従属変数として体高または体重で実施した。体高と寿命(r=-0.603, p<0.05)、体重と寿命(r=-0.679, p<0.05)に負の相関が観察された。体重は寿命の重要な予測値で(P<0.001)、体重のより小さい犬種は、一般に重い犬種より長く生きる事を示している。それらのデータは、モデルとして犬を利用する加齢の調査の基礎を形作り、オーナーに犬種の寿命を予測する計量的方法を提供し、それによりペット選択の助けとなるものである。(Sato訳)
■犬の発熱の回顧的研究:検査所での臨床検査、診断、治療前の影響
Retrospective study of fever in dogs: laboratory testing, diagnoses and influence of prior treatment
J Small Anim Pract. July 2006;47(7):370-6.
I A Battersby, K F Murphy, S Tasker, K Papasouliotis
目的:発熱の調査で委託されてきた犬の個体群統計情報を分析、種々の診断調査の有効性を判定、委託時の発熱の存在に対し委託前の治療の影響、調査期間および最終診断に達する能力を評価すること
方法:委託獣医外科医により述べられた臨床症状の一部が発熱だった犬66頭の臨床記録を再調査した。初回診察時の体温および診断までの時間に対する委託前24時間の治療の影響を評価した。費用および診断までの時間に対する初回診察時の体温の影響も判定した。費用に対する保険の効果を査定した。異なる診断調査の有用性を記録し、最終診断により症例を分類した。
結果:免疫介在性疾患と診断された犬は34.8%だけで、多く診断されたのは、ステロイド反応性髄膜炎と多発性関節炎だった。紹介前24時間の治療は、診断までの時間を有意に延長させ(P=0.004)、紹介時の発熱の存在に影響を及ぼした(P=0.006)。保険の状態は、オーナーにより支払われた費用に有意に影響を及ぼさなかった。
臨床意義:この研究は、熱の調査で紹介された犬の免疫介在性疾患の高い発生率を示す。また以前報告されたものより発熱した犬の炎症性中枢神経系疾患の高い発生率も述べている。大多数の症例で使用された診断様式のうち、エックス線検査、細胞および細菌学検査、真菌培養(液体/組織)は最も有効だった。発熱の診断調査開始前に、治療は中止、または控えることを示唆する。(Sato訳)
■フランスのコリーのサンプルで複数の薬剤感受性に関与する変異MDR1対立遺伝子の頻度分布
Frequency of the mutant MDR1 allele associated with multidrug sensitivity in a sample of collies from France.
J Vet Pharmacol Ther 27[4]:227-9 2004 Aug
Hugnet C, Bentjen SA, Mealey KL
フランスで生活するコリーのサンプルで、イベルメクチン感受性に関与する変異MDR1対立遺伝子の頻度分布を判定するため研究した。MDR1遺伝子型を調べるため、約83頭のコリーの頬スワブサンプルを採集した。DNAを抽出し、148bp(野生型MDR1遺伝子型)またはMDR1変異を含む144bp(変異MDR1遺伝子型)単位複製配列をPCRで増幅した。各犬の遺伝子型を判定するため配列分析を行った。明白な遺伝子型決定に十分なDNAの量が得られたのは83のうち25検体だけだった。
研究したコリーの25%(5/25)は、正常な対立遺伝子に対しホモ接合(正常)で、32%(8/25)はヘテロ接合(キャリアー)、48%は変異対立遺伝子にホモ接合(罹患)だった。この研究結果は、フランスの動物病院に来院するコリーは、高率にMDR1変異をもち、ゆえに治療方針に影響する場合があることを示す。(Sato訳)
■非致死性-自動車事故-関連傷害2001-2002アメリカ
Nonfatal motor-vehicle animal crash-related injuries--United States, 2001-2002.
MMWR Morb Mortal Wkly Rep 53[30]:675-8 2004 Aug 6
2000年に約610万件にものぼる自動車(例えば乗用車、スポーツカー、バン、小型トラック)事故がアメリカの道路で起こっていると警察から報告された。それらの事故のうち、247000件(4.0%)は、自動車(MV)が直接道路の動物に当たっていた。毎年約200人が動物に関連した事故(すなわち直接クルマと動物が衝突して死亡、または運転手が動物を避けようとして道路の外に飛び出す事故で死亡)で亡くなっている。
それらの事象から非致死性傷害を特徴付けるため、疾病予防管理センター(CDC)は、全国電子傷害監視システム-全傷害プログラム(NEISS-AIP)からのデータを分析した。この報告は、2001-2002年の間に推定26647人の運転手/年が道路で動物と出くわし事故を起こし、アメリカ病院救急治療部(EDs)で非致死性障害の治療を受けたという分析結果をまとめたものである。運転手(例えばスピード削減と早期警戒)と、動物(塀や地下道)に向けられた費用の割に効果の高い方法は、動物を巻き込む自動車事故に関する傷害を減ずるために必要である。(Sato訳)
■犬と猫の難聴:被毛色、目の色、そして性別
Deafness in Dogs and Cats: The Role of Coat Colour, Eye Colour and Gender
Aust Vet Pract 35[1]:30-33 Mar'05 Essay 5 Refs
Fiona Cox
犬と猫における難聴の最も一般的な原因は先天性で、生後まもなく展開する有毛細胞喪失による遺伝的感音性難聴であり、色素関連型と非色素型に分類できます。色素関連型において、白色素産生性は、重要な危険因子です。犬においてS(piebald)とM(merle)遺伝子は重要であると考えられ、同様に、猫では、W(white)遺伝子が重要であると考えられます。犬と猫における遺伝様式は、これから顕在化されていません。繁殖勧告は保守的で、遺伝様式としては不明であり、絶対的な保証が出来ません。(Dr.K訳)
■4日から80日齢の仔犬68頭における、一連の血漿乳酸濃度
Serial Plasma Lactate Concentrations in 68 Puppies Aged 4 to 80 Days
J Vet Emerg Crit Care 15[1]:17-21 Mar'05 Original Study 37 Refs
* Maureen A. McMichael, DVM, DACVECC, George E. Lees, DVM, MS, DACVIM, Jennifer Hennessey, BS, Mary Sanders and May Boggess, PhD
目的:健康な新生児犬における、静脈血乳酸濃度の基準値を明らかにすることです。
計画:前向きコーホート研究
環境:全ての作業を、テキサスA&M獣医大学で行いました。
動物:臨床的に健康な犬:仔犬68頭と成犬30頭
測定および主な結果:4,10,16,28,70,80日齢で、仔犬から頚静脈より、ヘパリンリチウム内に血液サンプルを回収しました。一様の静脈サンプルを、それぞれの成犬から回収しました。各サンプルにおける乳酸濃度を、自動解析機を用いて、直ちに測定しました。277血液サンプルを解析しました。成犬の血液乳酸濃度は1.80±0.84mmol/L(平均±SD)でした。仔犬の平均血液乳酸濃度は、成犬に比べて4,10,16、および28日齢で有意に高くなりました。4日齢の仔犬に関する乳酸値の基準値は、1.07-6.59、そして10日から28日齢の仔犬に関しては、0.80-4.60でした。
結論:灌流の査定は、正常な生理的変動と小さなサイズのために、新生児において努力が必要となり得ます。乳酸の測定は迅速で、最小限の侵襲であり、犬の新生児における、灌流マーカーとして有用である可能性があります。しかしながら、今回の研究における新生児犬の乳酸濃度は、成犬より有意に高値でした。成犬における静脈乳酸濃度の基準値は、70日齢より若い仔犬に適用すべきではありません。(Dr.K訳)
■画像デジタル化における7つのデジタルカメラの比較
Comparison of seven digital cameras for digitizing radiographs.
Vet Radiol Ultrasound 45[4]:298-304 2004 Jul-Aug
Brault B, Hoskinson J, Armbrust L, Milliken G
この研究目的は、X線画像の十分なキャプチャーの質、それに関するコスト有効性の能力に関し、7つのデジタルカメラを評価した。線対(LP)ファントム(範囲0.6-16.6LP/mm)と20段階コントラストファントムのエックス線写真を、30.0cmの近景、遠景(各カメラに定められた)、ファインダーにフィルムいっぱいフル14×17で撮影した。試験した7つのカメラのうち、CanonEOS-D30がLP/mm解像(近景7.7.遠景1.4)、コントラスト寛容度(近景、遠景で20段階すべて)で一貫して一番良かった。またX線画像を撮影するこの研究で使用した一番良いカメラと判定したCanonEOS-D30は、使用したカメラで一番高価だった。Nikon Coolpix995とSony DSC-F707は、かなり安価でCanonのパフォーマンスに非常に近かった。本当に安いカメラは、遠隔放射線学に許容できる選択とはならないかもしれない。(Sato訳)
■自然な加齢は行動に対して直接的そして間接的な影響を与える。
Natural aging can have direct and indirect effect on behavior
Mar 1, 2002
Dr. Johnny Hoskins
Q.高齢犬のいくつかの神経学的疾患について再検討していただけませんか?
A.老齢医学および自然の加齢過程と疾患に関連した潜在的な健康と関連した変化の良い実用的知識は、犬がなぜ自宅で異常な行動を起こしているかという質問を最初に受けた時、臨床獣医師が効果的に問題を解決するのに不可欠となる。犬の自然な加齢過程は多くの体機構において進行的で通常不可逆的変化と関連している。
老犬はめったに単一の病気もしくは器官機能障害で苦しむことはなく、むしろ様々な程度の多重疾患および/または機能障害に悩まされる。
癌、退行性疾患、免疫介在性疾患、神経学的疾患、認知減退、内分泌症が老齢犬においてより一般的に発生する。このため自然加齢と病状は、中枢神経系そして犬の毎日の行動に直接的もしくは間接的な影響をしばしばあたえる。
特発性三叉神経炎
特発性三叉神経炎もしくは下顎麻痺(ITN)はあらゆる犬種に影響を与え、性別もしくは年齢に偏りがない。病歴は繰り返され、下垂した顎と口を閉じることが出来ない急性発現(通常24時間以内)からなる。
病歴が数日から数週間に渡って発生する進行性の顎の虚弱が明らかであれば、その時その犬はこの脳神経症候群にかかっていない。神経学的検査は下顎神経の両側性機能障害を示す。片側の下顎神経障害は下顎が下垂することはないと覚えておきましょう。
頭部や顔面の知覚欠損、歩行不能もしくは姿勢検査欠損を認め、そして他の脳神経障害はないはずである。さらにITNの犬は用心深くとても敏感で、もし舌の付け根に食べ物があれば問題なく飲み込む。
治療は始めの7日から10日までの支持療法からなる。限られた治療が必要である理由は、ほとんどの犬が7日以内に改善し、3~4週間ですべて正常になるはずだからである。コルチコステロイドは7~10日間プレドニゾロン1 mg/kg/dayで使われるかもしれないが、臨床的に回復時間は短くならないように思われる。
犬の末梢性前庭症候群
犬の末梢性前庭症候群は通常は特発性症候群である。病歴は斜頚、協調不能、眼振という超急性(通常数時間以内)の発症が特色である。
協調不能は犬が歩行できないほど重度である。めまいによる二次的な嘔吐が症状発現の24~48時間で見られるかもしれない。神経学的検査で斜頚、斜頚している側への転倒そして/もしくは回転、水平もしくは回転眼振(自発性眼振そして斜頚している側から離れた方への急速相)を示す。
眼振の種類は変わらない。全身性の協調不能と足元が広い姿勢となるかもしれない。他の脳神経欠損は気付かれないであろう。そして虚弱もしくは姿勢検査欠損もない。
これらの徴候がみられたら、そのときは前庭系を含む脳幹病変がもっとも有り得る。眼振の種類が垂直であれば脳幹病変が最も有り得る。
症状出現の初日では、協調不能と見当識障害はとても重度で、筋肉の強度や姿勢検査反応の適切な評価ができないということを知っておくべきである。従って中枢性(脳幹)前庭疾患と末梢性(内耳)前庭疾患を区別するのを手助けするため、この評価実施を48時間待つべきである。
前庭症状が末梢性前庭系であれば、2つの主な鑑別は中耳/内耳炎と、側頭骨錐体骨折の結果として起こる頭部外傷である。もし顔面神経麻痺とホルネル症候群が斜頚と同側に起これば、これは内耳/中耳炎が併発している手掛かりとすべきである。完全な耳の検査と頭蓋/骨胞のレントゲン検査は、これらの鑑別疾患を除外する手助けとして必要となる症例もあるかもしれない。
治療
前庭の問題は全ての犬において独自に改善するので治療は補助的である。改善の予測は、通常首尾一貫しており、犬がこの予測どおり改善しなければ、最初の診断が間違っていたという事を考慮すべきである。眼振は4日以内に消失するはずである;犬は7日以内にかなり良く歩き回ることができ、歩行は3週間以内に正常になるはずである。
機敏さを必要とする迅速な動きを遂行する時、少数の犬は斜頚そして/もしくは協調不能が残存するかもしれない。脱水補正のための輸液療法、見当識障害が重度であれば鎮静のためのジアゼパム(5-15 mg 1日3回)、めまいのためのメクリジン(25 mg 1日1回)そしてジフェンヒドラミン4-8 mg/kg 経口投与など始め2~3日役立つかもしれない。これらの治療は通常72~96時間後は必要ない。
特発性顔面神経麻痺の発症は急性である。しかしその障害は飼い主に不安を抱かせるほどでもないので、飼い主は発症が急激でも顔面の問題を認識しないかもしれない。顔面の問題は主に成犬で見られ、コッカースパニエルが他の犬種よりさらによく影響を受ける。
主訴は犬が瞬きをすることが出来ないで、唇そして/または耳が下垂し、口の片側から涎をたらし、そして/もしくは過剰な流涙もしくはドライアイである。神経学的検査で第VII脳神経機能障害のみに関連した欠損を示す。広い眼瞼裂、威嚇そして眼瞼反射の消失、唇/耳の下垂、影響した側の涎、そして涙の産生が減少する犬もいるかもしれない。
顔面の感覚は正常である。解消しなかった長年にわたる症例において、顔面の筋肉の拘縮が進行しているかもしれない。主な鑑別は中耳炎、末梢性第Ⅶ脳神経の腫瘍(一般的ではない)、脳幹疾患(1つは他の脳神経障害を検出されるはずで、運動障害かつ/または姿勢検査反応欠損が存在する)そして重症筋無力症と関連した第Ⅶ脳神経障害、クーンハウンド麻痺、肉芽腫性髄膜脳炎(GME)が含まれる。
診断
特に慢性外耳道炎の病歴を持った犬において、骨胞のレントゲン検査は中耳疾患の評価に行われるだろう。
シルマーティアー検査は、涙の補充の必要性を評価するため、実施されるべきである。甲状腺機能低下症と脳神経障害に関連する原因と影響は証明できなかったが、甲状腺機能が低下し治療すべき犬もいるので甲状腺機能検査は行うべきである。治療は涙の補充、もし指示されるのであれば甲状腺の置換療法、ステロイドを14~21日処方する。ステロイド療法が回復に影響を与えることは立証されていない。吉報はかなりの犬が顔面神経障害と共にうまく機能しうることである。そして長期の涙の補充だけを必要とするかもしれない。
咀嚼筋筋炎
咀嚼筋筋炎(MMM)は、咀嚼筋だけを侵す特異性免疫介在性筋肉疾患(主に側頭筋と咬筋)である。犬は通常顎の痛み、頭部と顎の腫脹した痛みのある筋肉、眼球突出そして/もしくは開口障害(顎もしくは口をあけることが出来ない)の一連の症状を呈する。犬は開口障害の代りに顎を下垂し、そして時に発熱するであろう。
一般的にこの筋群は単独で影響を受けやすいことを心に留めておくことが重要である。咀嚼筋は多発性筋炎症候群の一部として関与するかもしれないが、この場合筋線維の自己抗体は認められない。MMMの鑑別診断は顎骨折、側頭下顎関節そして/もしくは骨胞疾患、球後膿瘍、恐らくは破傷風、外眼筋筋炎そして多発性筋炎症候群の一部としてなどが含まれる。明らかな開口障害があるかもしれず、古典的な所見は麻酔下で顎を開けることが出来ないことである。MMMの特異検査は、筋生検と2M型線維の血清自己抗体の検出である。
MMMの治療
治療は免疫抑制量(2 mg/kg/day; 3-4 mg/kg /day必要となる犬もいる)のコルチコステロイド(プレドニゾンなど)で開始する。この量は臨床症状が軽減し、顎機能がさらに改善するまで使用する。コルチコステロイド療法のいくつかの様式は3~4ヶ月維持すべきである。
コルチコステロイドで最適な反応がなく、もしくは明らかな副作用がある犬において、アザチオプリン(2 mg/kg /day, プレドニゾンの投与と交互に)の使用が、コルチコステロイドの量を減らすために利用できる。
水和の維持のための皮下補液、そして積極的な栄養状態維持のための胃造瘻チューブによる支持療法は、始めの2~3週間必要かもしれない。
炎症や筋線維の崩壊が特にサモエド、ドーベルマンピンシャーそしてロットワイラーで重篤である。早期診断と治療が必須となる。(Dr.Kawano訳)
■小動物の心肺脳蘇生-診療再検討パート2
Cardiopulmonary Cerebral Resuscitation in Small Animals - A Clinical Practice Review. Part II
J Vet Emerg Crit Care 13[1]:13-23 Mar'03 Clinical Practice Review 48 Refs
* Steven G. Cole, DVM, Cynthia M. Otto, DVM, PhD, DACVECC, Dez Hughes, BVSc, MRCVS, DACVECC
目的:獣医療で、心肺脳蘇生(CPCR)の原理と実際を再検討し、心肺蘇生と緊急心血管治療に対するヒト国際ガイドライン2000会議の推奨を組み込むこと
データ源:ヒトと獣医の文献から臨床と実験研究両方を再検討した
要約:心肺脳蘇生は基本的な救命処置、二次救命処置、蘇生後の処置からなる。この文献のパート1は、人医療の裏づけある推奨と基本的な救命処置を紹介した。この文献のパート2は薬物療法、心肺停止時(CPA)の心電図律動をもとにした電気的除細動などの二次救命処置を再検討する。蘇生後のケアは、特に脳、腎臓、胃腸管の最適な局所灌流に焦点を当てて議論する。さらに救命率を改善すると思われるいくらかの現在の調査方法も述べている。
結論:二次救命処置方法は、心肺脳蘇生活動を増大させるものである。基本的な救命処置とともに、ヒトでの二次救命処置を改善する最近の推奨は、獣医療にも応用できるかもしれない。しかし、獣医療の心肺脳蘇生でそれらの調査を評価する臨床研究が必要である。蘇生後のケアは、細心のモニタリングと生命を維持する器官の灌流を確保する積極的な支持が必要で、救命率を最大限にする。(Sato訳)
■心肺停止状態から生存するイヌネコの心肺停止の原因、蘇生管理、機能的結果
Causes of Cardiopulmonary Arrest, Resuscitation Management, and Functional Outcome in Dogs and Cats Surviving Cardiopulmonary Arrest
J Vet Emerg Crit Care 14[1]:22-29 Mar'04 Retrospective Study 27 Refs
Jennifer E. Waldrop, DVM, DACVECC, * Elizabeth A. Rozanski, DVM, DACVECC,
DACVIM (Internal Medicine), Erica D. Swanke, DVM, Therese E. O'Toole, DVM
and John E. Rush, DVM, MS, DACVECC, DACVIM (Cardiology)
目的:心肺停止(CPA)から生存したイヌネコの機能的結果とそれら蘇生にまつわる臨床特徴を述べる
構成:回顧的研究
場所:獣医教育病院
動物:心肺停止の飼育犬(15)と飼育ネコ(3)
処置:なし
測定と主要結果: CPA後生存して退院したことを18頭で確認した。心肺停止に関与したのは、10頭が既存の疾患がある、またはなく麻酔に関与、5頭は心血管虚脱、3頭はストレスを課された慢性疾患からだった。全てのCPAは病院内で起こった。CPAで最初によく認められた調律は、不全収縮(72%)だった。自発循環の回帰(ROSC)は、全ての動物で心肺大脳蘇生(CPCR)の発現から15分以内に達成された。最初のCPA後にCPAを再発した動物はいなかった。動物の年齢(0.5-16歳)と種類は幅広かった。退院時、2頭は神経学的異常を呈し、そのうち1頭はCPAから2ヶ月時に正常となった。
結論:CPCR後良い機能回復が、この研究のCPA少数生存者で示されていた。これは、CPAを扇動する原因、CPAの早期検出、そして/または動物の基礎正常健康状態の可逆的特性によるかもしれない。(Sato訳)
■ビーグルとラブラドールレトリバーの血液、血漿生化学検査結果に対する年齢関連変動
Age-Related Variations in Hematologic and Plasma Biochemical Test Results in Beagles and Labrador Retrievers
J Am Vet Med Assoc 223[10]:1436-1442 Nov 15'03 Prospective Study 21 Refs
E. Jean Harper, PhD; Rachel M. Hackett, PhD; Joy Wilkinson, MSc; Paul R. Heaton, PhD
目的:2つの一般的な犬種に実施した血液と血漿生化学検査結果に年齢に応じた変動があるか調査すること
構成:前向き集団研究
動物:34頭のビーグルと44頭のラブラドールレトリバー
方法:血液サンプルをイヌの生涯を通し採取した。ビーグルから589サンプル採取し、ラブラドールレトリバーから964サンプル採取した(サンプル採取時の年齢範囲は、22日から15歳)。白血球、赤血球数、ヘモグロビン濃度、HCT、平均細胞容積、平均細胞ヘモグロビン濃度、ALP、ALT、AST、カルシウム、リン、コレステロール、尿素、タンパク、アルブミン濃度を測定した。
結果:すべての検査で、検査結果に対し、年齢は有意な影響を及ぼした。ヘモグロビン、アルブミン、リン濃度を除くすべての検査に対し、年齢と犬種に有意な相互作用があった。
結論と臨床関連:それらの2犬種で、血液、血漿生化学検査結果に年齢に応じた変化があることを示唆した。子犬の成長や成熟を反映する生涯の最初の時期に変化がもっとも明確だった。一例として、子犬の値は、成犬の値と著しく異なり、臨床データの解釈に、年齢に応じた基準範囲の使用を必要とする。(Sato訳)
■猫保守の教旨と芸術
Zen and the Art of Cat Maintenance I & II 2004
February 2004
Internal Medicine @ Feline Focus
Alice M. Wolf, DVM, DACVIM, ABVP (Feline Practice)
特に猫の診療において一般に、獣医学の診療では科学と同程度の“芸術”がある。下記は猫に関連する実践的な獣医診療から集積した(私が期待する)いくつかの有益な思考である。
全般
1. 猫を扱うとき、あまり抑えすぎない。
2. 猫の飼い主及び猫と親密な関係を強めれば、とても忠実で熱狂的な顧客に急速に発展するであろう。しかし、その逆も同じく真である。
3. トーティ種と三毛猫は“悪魔”遺伝子を持っている。
4. 多くの真っ黒な猫はシャムの遺伝子を持っている。尻尾先端の縮れはシャムの特徴である。
筋骨格筋系
1. 股関節異形成は猫において珍しくない。
2. アキレス腱断裂(ACL)はアビシニアンにおいてより一般的で、股関節構造の乏しい猫でもよく見られる。“関節鼠”はアキレス腱断裂の猫でしばしば見られることがある。
3. 膝蓋骨内側脱臼は股関節構造の悪さとも関連するかもしれず、先天性異常かもしれない。
4. 片方もしくは双方の大腿骨頭/頚の無菌性壊死性/自発性(非外傷性)骨端骨折は若い通常雄の体重超過の猫に発生する。外傷性骨折と混同するかもしれない。片側性もしくは両側性に発生する。片脚は他方の前に影響を受ける。
5. CPKの増加のほとんどは猫における食欲不振が原因である。
6. メロキシカム(0.1 mg/kg 4~5日、その後0.1 mg(総量)24時間毎)は猫に有益で安全な非ステロイド系抗炎症薬である。
血液リンパ系
1. ヘモバルトネラ症は珍しい原発臨床疾患で、民間の獣医検査センターで過剰診断される。患畜が貧血でなければ、例え” 免疫蛍光検定 (FIA)”が陽性でも、いくつかの原発性問題を探せ!新しい名前はMycoplasma haemofelisやMycoplasma haemominutumである。
2. あなたがQBC機械を使うならば、血液塗抹の細胞診を見て確かめなさい。さもなければ機械で検出できない重要な細胞異常を見逃すかもしれない。
3. 猫がレンガやセメントを舐めたり、子猫のトイレを食べると飼い主が訴えてきたら、その猫はおそらく貧血してるであろう。(私はなぜ猫がそれらをするか解からないが、猫はそれをする)
4. 有核赤血球は貧血に対する反応性を反映しない...網状赤血球数をチェックするほうが確かである。
5. 末梢血において1細胞系以上の異常を認めたら、骨髄検査をしなさい!もし重度の血球減少症があれば、細胞学的検査と同様に組織病理学検査のためコアサンプルを採取しなさい!
6. 骨髄吸引する時は猫白血病ウイルス(FeLV)の免疫蛍光検定(IFA)のために何枚か染色しない骨髄塗抹をとっておきなさい!
7. 好中球減少症(±)、発熱(+)、慢性疾患....トキソプラズマ症を考慮せよ!活動性疾患のためIgM力価を検査せよ!
8. 頚静脈から採血するために猫を側横臥位にさせると、いくらかの猫はより快適である。
9. 特発性乳び胸にルチン治療を試せ!:50 mg/kg 経口投与 8時間毎 GNC及び他の健康食品ストアで入手できる。
呼吸器系
1. 猫は1回換気量がとても少なく、非常に重症になるまで有意な肺の病状を聴取することは困難である。呼吸器疾患の非常に微妙な手掛かりを提供してくれるので、呼吸様式を観察せよ!
2. レントゲン検査は猫において呼吸器異常が疑われるときに最も良い最初の診断ツールである。レントゲン検査中の呼吸困難に十分注意して実施しなさい。
3. 主なレントゲン上の異常を伴わない重度の呼吸困難は機能的気道疾患(喘息など)が示唆される。気道の“ドーナツ”を探しなさい。他に可能性のある原因は肺血栓塞栓症であるが稀である。
4. 猫における肺の右中葉の虚脱はいくつかの慢性肺疾患による後遺症が一般的である。
5. 外傷性による気管断裂や破裂に関する所見は、外傷後数日から1週間経過しないと現われない。
6. 皮下気腫(皮膚の傷から入ったのでなければ):気管の破裂、気縦隔症を探しなさい。
7. 猫のボルデテラ感染症は鼻及び眼の分泌物や咳を伴う上部気道感染症の原因かもしれないが、猫の一般的な疾患ではない。
皮膚病
1. 猫の皮膚疾患において、通常の診断技術(皮膚掻剥、ウッド灯、真菌培養、滲出液の細胞診、生検)の使用を忘れてはいけない。
2. 非定型性の細菌感染(マイコバクテリウム、ノカルジア、アクチノマイセス)は猫の鼡径部に起こりやすく、通常抗生物質療法に抵抗性である。
3. L型細菌感染は典型的な猫の咬傷による膿瘍によく現れ、しばしば関節に関与するが、テトラサイクリン製剤のみ反応を示す。
4. 猫の毛包虫症を見張りなさい!見つけ出せるなら基礎免疫抑制疾患もしくは慢性疾患を探しなさい。
5. 猫免疫不全ウイルス症(FIV)陽性猫にグリセオフルビンを使ってはいけない!
6. 慢性的(明らかに反応性で無い)な瘻管のあるすべての猫の組織から生検!!!そして培養せよ。
7. 猫の生検標本は常に特異染色(抗酸性、真菌)を求めなさい。そしてあなたが何を疑っているか検査室に述べなさい。
8. 猫における皮下の肥満細胞腫の振る舞いは、犬より良性で通常は予後良好である。
胃腸系
1. 炎症性腸症は猫においてとても一般的で嘔吐や下痢などの典型的な徴候を伴わないで起こるかもしれない。
2. Ollulanus tricuspus(胃虫)は糞便中に卵を産まず、幼虫は猫の吐物に見られるはずである。
3. 好中球+発熱+下痢...サルモネラを考慮せよ(特に北東部の秋では)
4. 猫における慢性“感染性”下痢...クロストリジウム性下痢はメトロニダゾールに反応しないかもしれない、クラバモックスを試してみなさい
5. 猫のフィラリア症(HWD)...風土性地域において鑑別にいれておきなさい
6. すべての吐き気のある猫において舌の下を確認しなさい
7. ジアルジアは見つけるのが難しい。抵抗性ジアルジア症例にはフェンベンダゾールもしくはアルベンダゾールを試しなさい。
8. 猫の抵抗性LPSには経口インターフェロンもしくはアザチオプリンを試しなさい。コルチコステロイド療法に失敗した猫に、クロラムブシルは別の良い補助となる。経口ラクトフェリン(ラクトフェリン- Allergy Research Group (800) 654-4432)もLPSのいくつかの猫に役に立つかもしれない。用量は350mg(1カプセル)24時間毎、ミルクに混ぜるか歯茎に塗る
肝臓
1. 黄色の猫は必ずしも死亡する猫であるとは限らない。
2. 肝酵素は有意な肝疾患の猫の25%以上で上昇しない。
3. 流涎症(涎をたらす)は門脈体循環シャントの猫で最も一般的である。尿酸カルシウムの幾つかの猫においても門脈体循環シャントを考慮せよ。シャントはペルシャやヒマラヤンにおいてより一般的である。
4. 生化学パネルに騙されるな!ビリルビン値が2.0 mg/dl以上で臨床的な黄疸が存在する。(脂血症と溶血は偽高値を示す)
5. 猫のSAPの半減期は6時間で、ステロイド性アイソエンザイムは存在しない。その値が有意に上昇しているなら注意を払いなさい.
6. もしSAP >>>, ALT >, GGT≧正常なら肝リピドーシスを考えなさい。
7. もしALT>>>, SAP>, GGT>なら肝炎/胆管肝炎を考えなさい。
8. AST (SGOT)は猫において肝特異的ではない。
9. 猫の尿におけるあらゆるビリルビンは異常である。
10. 血清ビリルビンが3.0 mg/dl以上であるなら、猫の患者の90%以上が肝疾患である。血清ビリルビンが3.0 mg/dl以下であるなら、患者の50%は非肝疾患である。
11. 大部分の症例で針生検は肝リピドーシス(HL)において診断的であり、猫におけるいくつかの他の肝疾患の鑑別に有益である。
眼科
1. 非外傷性ブドウ膜炎:猫伝染性腹膜炎(FIP)、トキソプラズマ症、全身性真菌症を考えなさい
2. 慢性ヘルペスウイルス性角膜炎の猫に経口のインターフェロンを試しなさい。
3. 間欠的に動揺する瞳孔不対称は猫白血病ウイルス(FeLV)感染症を考えなさい
4. シャムやシャムの雑種猫における“揺れる眼球”(眼球振動)は視路の欠陥によってもたらされる、(しかし視覚異常をもたらさず、ただ珍しい品種の奇異なものである)
5. 多くの慢性肉芽腫性疾患(猫伝染性腹膜炎、全身性真菌症など)は網膜炎を引き起こすので、原因不明熱(FUO)を呈するどんな猫の網膜も確認しなさい。
6. 急性網膜剥離は通常高血圧によって引き起こされる。これは腎不全や甲状腺機能亢進症と最も関連がある。
7. エンロフロキサシンは猫において盲目の原因となることがある。特に高用量は可逆性でないかもしれない。網膜変性の原因となる。注意して使いなさい。
泌尿器系
1. 猫白血病ウイルス(FeLV)感染症と猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症は、猫における非外傷性尿失禁の最も一般的な原因である。
2. 尿検査は常に膀胱穿刺より尿を採取すべきである。無菌容器(無菌で上部が赤い血液菅)に1mlの尿を保存しなさい。...沈渣が感染を示唆するならば、すぐに検体を培養したほうがいい。
3. 我々が何をする(或いは、行わない)でも、大部分の猫下部尿路疾患(FLUTD)の症例は7~10日以内にクリアになる。
4. 真の細菌性尿路感染症(UTI)は猫において稀である。しかし老齢猫においてはより一般的で...そしてこれらは同じく腎盂腎炎になる可能性がある。
5. シュウ酸塩尿道結石は酸性化食のために?より一般的になってきている。
6. 閉塞が存在しない限り... 多くの患者で腎結石の手術は望ましくない。
7. 低カリウム血症は腎疾患に起因するかもしれない、かつ/または腎病変の進行の一因となる。...低カリウム血症を呈す老齢猫には補充しなさい。
繁殖
1. 悪い繁殖家はより悪い繁殖家を生じさせる。
2. 子宮蓄膿症は若い猫の病気であり、診断は犬より難しい。
3. 子宮蓄膿症の治療にプロスタグランジンFを使うなら、次のサイクルに交配させなさい。
4. 乳腺肥大性過形成は、かなりの対称性の乳腺発育を起す。卵巣子宮摘出術は治効的であるが、乳腺の拡大は消散するのに数ヶ月かかるかもしれない。
5. 猫における乳腺腫瘍はほとんど悪性である。
6. 前立腺炎は未去勢猫に発生する。前立腺を触診できたら、それは異常である。
内分泌
1. 甲状腺機能亢進症はとても一般的である。ルーチンな検査を実施するとき、8歳以上のすべての猫のT4をチェックしなさい。
2. フリーT4は“ボーダーライン”もしくは早期の甲状腺機能亢進症症例における診断において役に立つかもしれない。
3. 真の真性糖尿病とストレス性高血糖を区別する補助として血清フルクトサミン濃度を使いなさい。
4. ヒト組み替えインスリンを使いなさい。著者は猫において最も信頼できるインスリンとしてNPHを好む。
5. 微量のシリンジを使いなさい。最も良い結果を得るため希釈してはいけない.
6. いくつかの新しい反射率血糖メーターは、静脈血検体(毛細血液が必要)では不正確である。購入する前に、説明書と使用法をチェックしなさい。
7. インスリン活性と時間を正確に反映するために血糖曲線を作成しなさい。
8. 併発症は猫における明白なインスリン抵抗性の最も一般的な原因である。感染は全般的に、最も一般的なインスリン抵抗性の原因で、常に尿培養をしなさい!内分泌障害のなかで甲状腺機能亢進症と副腎皮質機能亢進症(HAC)は最も一般的である。
9. 猫において合成副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を使ってACTH刺激副腎検査を実施するなら、ACTH刺激後、30分と1時間後の検体をコルチゾール分析しなさい。
10. 高用量デキサメサゾン抑制試験は、猫における副腎皮質機能亢進症(HAC)を診断するため選択するべき検査である。
神経学
1. 狂犬病に用心しなさい!風土性の地域において狂犬病は猫における異常な神経徴候の鑑別リストに常にあるべきである。MLV狂犬病ワクチンを決してネコに使用しない。
2. 流涎(特に若い猫)±行動変化もしくは発作、門脈体循環シャントを考えなさい。
3. 猫伝染性腹膜炎(FIP)は中年齢から老齢猫において神経学的異常の最も一般的な原因である。
4. 髄膜腫は老齢猫の最も一般的な脳腫瘍であり、外科的にかなり治療出来る可能性が高い。旋回かつ、またはペーシングは一般的な症状である。
5. 尿失禁と 周期性の瞳孔左右不同は猫白血病ウイルス(FeLV)感染症もしくは猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症を考慮しなさい
6. 異所性糸状虫の遊走は神経機能異常を引き起こすかもしれないので、風土地域ではこれを考慮しなさい。
感染症
1. 病気の猫には常に猫白血病ウイルス(FeLV)感染症と猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症を検査しなさい。
2. 猫白血病ウイルス(FeLV)感染症のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)-骨髄検査以外にこの技術には、この病気に対する利益はない。
3. 猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIP)感染症のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)-血液検査を行う時、より特異性があるわけでもなく、他の検査より感受性が低いかもしれない。
"猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIP)感染症-特異的"な酵素免疫法(ELISA)はない。
4. 猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIP)感染症の確定診断は、侵された組織の生検標本の蛍光分析(FA)もしくは免疫組織化学が信頼できる。
5. ボルデテラは猫施設、もしくは室内飼育の猫のグループにおける上部気道感染症(URI)に原因であるかもしれない
6. 風土地域における不明熱(FUO)を伴う病的な猫においてペストや野兎病に注意しなさい!あなたが病気になった場合、お医者さんに暴露の可能性に付いて申告しなさい。
心臓
1. 多くの猫における後天性心雑音は胸骨付近で最もよく聞かれる。
2. 高血圧は腎不全や甲状腺機能亢進症などに罹患した老齢猫で一般的である。血圧のチェックを始めなさい!
3. リズム障害が原発性の問題でない限り、超音波は心電図(ECG)よりさらに有益である。(Dr.Kawano訳)
■4頭のイヌで、木製異物の摂取、穿孔の超音波検査での検出
Ultrasonographic Detection of Ingested and Perforating Wooden Foreign Bodies in Four Dogs
J Am Vet Med Assoc 223[2]:206-209 Jul 15'03 Case Report 16 Refs
* Dominique Pennick, DVM, DVSc, DACVR and Susan L. Mitchell, DVM, DACVS
木製異物を摂取した4頭のイヌを検査した。4頭とも若く、抗生物質投与に部分的反応を示す左側腹部のマスと嗜眠のために検査した。側腹部マスの超音波検査で、漿液、水腫、反応性組織と思われる不均質な皮下組織が明らかとなった。木製異物を思わせる長く、直線的な、明るいインターフェイスを3頭の胃と1頭の腹腔に認めた。3頭でインターフェイスは均質の影となっていた。限局性の腹膜炎を示唆する局所大網と腸間膜変化は、1頭で認められた。4頭で試験的開腹により異物を除去した。全頭合併症も無く回復した。(Sato訳)
■心肺停止でバソプレッシンの使用:議論と見込み
Use of Vasopressin in Cardiopulmonary Arrest: Controversy and Promise
Compend Contin Educ Pract Vet 25[6]:448-451 Jun'03 Review Article 18 Refs
Tony Johnson, DVM
心肺停止(CPA)で心肺脳蘇生はしばしば不成功に終わる。ゆえに心肺停止に関するかなりの死亡率を低下させることができるどんな方法も価値があるだろう。心肺停止の現在の薬理管理は、心拍出量を増加させ全身の血管を収縮させるエピネフリンの使用を必要とする。しかし、この薬剤は副作用がかなり多く、心筋酸素消費量の増加と不整頻脈などである。バソプレッシンは、実験研究小動物モデルのいくつかで、エピネフリンよりも優れていることが解っている。ヒトで大規模な臨床研究も進行中である。(Sato訳)
■イヌネコの化膿性腹膜炎の診断ツールとして、腹水と末梢血液pH、重炭酸、血糖値、乳酸値の比較
Comparison of peritoneal fluid and peripheral blood pH, bicarbonate, glucose, and lactate concentration as a diagnostic tool for septic peritonitis in dogs and cats.
Vet Surg 32[2]:161-6 2003 Mar-Apr
Bonczynski JJ, Ludwig LL, Barton LJ, Loar A, Peterson ME
目的:腹水と静脈血でpH、重炭酸、乳酸、グルコース濃度を使用したイヌネコの腐敗性腹膜炎の信頼できる診断ツールを確立すること
研究構成:前向き臨床試験
動物:腹水のある18頭の犬と12頭のネコ
方法:pH、重炭酸、電解質、乳酸、グルコース濃度を、入院時に採取した静脈血と腹水1-2mlのサンプルで測定した。血液と腹水のpH、重炭酸、グルコース、乳酸濃度の差は血液濃度から腹水濃度を引く事により計算した。腹水は細胞学的検査と細菌培養を行った。腹膜炎を細胞学、細菌培養結果により化膿性、非化膿性と分類した。
結果:化膿性滲出液を伴うイヌで腹水グルコース濃度は、血液グルコース濃度よりも常に低かった。20mg/dl以上の血液-腹水グルコース(BFG)の差は、イヌの化膿性腹水の診断で100%感受性があり、100%特異性があった。評価した7頭の犬で、<-2.0mmol/lの血液-腹水乳酸値(BFL)の差も、その診断で100%感受性があり特異性もあった。ネコでは、血液-腹水グルコースの差は、86%感受性があり100%の特異性だった。イヌネコで、血液-腹水グルコースの差は、腹水のグルコース濃度単独測定よりも化膿性腹膜炎の診断でより正確であった。
結論:血液と腹水のグルコース濃度>20mg/dlの差は、イヌネコの化膿性腹水か、そうでないかを鑑別するすばやく、信頼性のある方法である。
臨床関連:血液と腹水のグルコース濃度の差は、腹水のグルコース濃度単独よりも化膿性腹膜滲出液のより確かな診断指標として使用するべきである。(Sato訳)
■食道造瘻術と経皮的内視鏡による胃造瘻フィーディングチューブを行ったネコ67頭のオーナー管理と合併症の比較
A Comparison of Owner Management and Complications in 67 Cats With Esophagostomy and Percutaneous Endoscopic Gastrostomy Feeding Tubes
J Am Anim Hosp Assoc 39[3]:241-246 May-Jun'03 Retrospective Study 30 Refs
Lisa M. Ireland, DVM; Ann E. Hohenhaus, DVM; John D. Broussard, DVM; Brenda L. Weissman
食欲がない患者の栄養管理に関する即座の処置は発病率や死亡率を低下させることがわかっている。経腸栄養補給は、可能なときはいつでも行われ、鼻、咽頭、食道、胃、空腸フィーディングチューブなどがよく使用される。経皮的内視鏡による胃造瘻(PEG)チューブは、伝統的に最もよく許容する経腸フィーディング装置と考えられている。しかし、合併症の可能性がないわけではなく、高価な器材や設置の練習も必要である。最近の食道造瘻(E)術の発達とその使用は、その設置の容易さと合併症発生率の低さでPEGチューブに変わるものとして人気が出てきている。
この研究の目的は、経腸栄養補給を必要とするネコに、疾患管理の補助的両方としてEそしてPEGフィーディングチューブを使用し、オーナーの管理の複雑さ、簡単さを比較評価した。
この研究を行う基準に67頭のネコが合致した。21頭はPEGチューブ、46頭はEチューブを設置した。よく見られた基礎疾患は、腫瘍(n=24)、肝リピドーシスまたは肝胆管炎(n=22)、炎症性腸疾患(n=4)だった。
両タイプのチューブは、体重の維持やオーナーの扱いやすさに関して等しく効果的だった。PEGチューブでよく見受けられた合併症は、嘔吐と瘻口部の感染だった。Eチューブの合併症は嘔吐(チューブ嘔吐も含む)、チューブや包帯を引っ掻く、患者がチューブを抜く、機械的トラブル(例えば、チューブ閉塞、チューブノズルの移動)などだった。しかし、2つのタイプのチューブで、合併症発生率に相違は見られなかった。
PEGチューブを設置したネコの12人のオーナーと、Eチューブを設置したネコのオーナー24人を調査した。全員が、もし医学的に指示されるならば、今度も喜んでフィーディングチューブを使用したいということを示した。
著者は、PGEチューブがネコの長期経腸栄養補給のうまく行く方法であったと結論付ける。Eチューブは設置に対する技術や時間を必要とせず、PEGチューブに対するすばらしい代替療法である。(Sato訳)
■犬の慢性瘻管や膿瘍に関する異物の超音波診断
Ultrasonographic diagnosis of foreign bodies associated with chronic draining tracts and abscesses in dogs.
Vet Radiol Ultrasound 44[1]:66-70 2003 Jan-Feb
Armbrust LJ, Biller DS, Radlinsky MG, Hoskinson JJ
これは、6頭の犬の非胃腸管、気管外異物に関する病歴、身体検査、エックス線検査、瘻管造影、超音波検査、外科的所見を述べた回顧的研究である。全頭、慢性瘻管、または膿瘍があった。6頭中5頭でエックス線写真を撮影したが、この方法で異物は認められなかった。6頭中4頭に瘻管造影を行い、異物に一致した充満欠損像は2頭に見られた。超音波検査により6頭中5頭の異物が確認できた。6頭中5頭の異物は外科的に取り除かれた。この報告は、犬の慢性瘻管や膿瘍の評価で超音波検査の重要性を明らかにするものである。(Sato訳)
■イヌネコの横隔膜破裂の診断で超音波検査の使用
Use of ultrasound to diagnose diaphragmatic rupture in dogs and cats.
Vet Radiol Ultrasound 44[2]:226-30 2003 Mar-Apr
Spattini G, Rossi F, Vignoli M, Lamb CR
初診診療所で呼吸困難と心音が聴取しにくい症状で来院した21頭のネコと6頭のイヌで、横隔膜破裂を探査するため、超音波検査を行った。横隔膜破裂のあるなしは、後の明らかなエックス線像、外科的所見、または検死をもとに判定した。横隔膜破裂で一致した所見は、不規則、または非対称的な肝臓の頭側外観、胸腔内の腹部臓器だった。超音波検査の正確性は25/27(93%)だった。1つの偽陰性となった症例は、肝臓と肺の癒着が、横隔膜が無傷なように見せた慢性の横隔膜破裂の症例だった。もう1つは左肺と胸膜腔を巻き込んだ膿瘍を持つ犬で、胃と誤解した。この研究の結果は、横隔膜破裂を疑われる動物に超音波検査の使用を支持するものである。(Sato訳)
■獣医課程に入学し、大学卒業から10年後までの獣医師の長期調査:仕事、生涯の仕事、専門職の捉え方
Longitudinal study of veterinarians from
entry to the veterinary course to 10 years
after graduation: attitudes to work, career
and profession.
Aust Vet J 80[8]:474-8 2002 Aug
Heath TJ
目的:大学卒業後10年間の彼らの仕事、生涯の仕事、専門職に対する獣医師の感じ方を述べる
構成:1985年と1986年にクィーンズランドの大学の課程に入学した学生と、学生として1年目と5年目、卒業1年後、5年後、10年後にアンケートに完全回答した獣医師の長期調査
方法:獣医師として10年後に完全回答した質問表129(96%)のデータと共に、以前の質問表のデータを、SAS
System 7 for Windows 95でコード化し、数字として分析した。
結果:10年後、ほとんどの回答者は、獣医学を学んだ事を大変満足か、一般的に満足していたが(57%)、疑念を抱いているものもいた(37%)。この事にもかかわらず、「もう一度しなければならない」ならば明確に獣医師になると言った人は55%しかいなかった。1/3の回答者は、5年前に回答してもらったものと異なっていた。多くの見解は、卒業後最初の仕事で受けた支持や奨励(刺激)のレベルに関連していた。獣医師として半日勤務以下の仕事をしている人が42%おり、その主な理由は、子供の養育のため、長時間の仕事、ボスやオーナーの態度、低賃金というものだった。大多数は、倫理観やある同僚の能力について関心を持ち、ほとんどの人はコストの考慮は、動物が受ける治療の種類に左右されるべきだと信じている。
結論:多くの獣医師は獣医課程を専攻したことを喜んでいたが、1/4の者にとって、生涯の仕事として見込みを裏切っていると感じ、ほぼ半数は生まれ変わっても今の職業をしないだろうと答えた。ストレス、仕事の時間、仕事と個人の生活とのバランス、低収入は多数が考慮する重要点だった。低収入は獣医専門家に進む男性の進学率の低さに影響しているのかもしれない。
■虐待されたペット:性的悪癖
Munro HM et al; J Small Anim Pract 2001 Jul;42(7):333-7;
'Battered pets': sexual abuse.
イギリスの小動物における非偶発的負傷の研究で、小動物開業医からの無作為の回答を基に、事実上448のケースの6%が性的なものであると判明した。21例はイヌにおいて、5例はネコにおいて、2例は特記されていない種で起こった。性的虐待が疑われる理由は、負傷のタイプ、飼い主のふるまい、目撃者からの証言、犯人による自認であった。負傷のタイプは、膣と肛門直腸の貫通傷(ペニスとペニスでないもの)、肛門周囲のダメージ、性器への外傷であった。いくつかの負傷(去勢のような)は極端であり、いくつかは致命的であった。対照的に、他のケースは明らかなダメージがないことが判明した。負傷のタイプと激しさは、子供の虐待とヒトの法廷病理学のテキストに記述されているものと類似していた。(Dr.Yoshi訳)
コメント:う~ん。そんなこともあるんですね。心に留めておきます。
補足:動物を「みだりに殺傷した場合」、1年以下の懲役または100万円以下の罰金。
飼えなくなって捨てたとき、30万円以下の罰金。
■アメリカ合衆国の個人開業獣医師におけるイヌネコの健康状態と集団特徴
Lund EM et al; J Am Vet Med Assoc 1999 May
1;214(9):1336-41; Health status and population
characteristics of dogs and cats examined
at private veterinary practices in the United
States.
目的:アメリカ合衆国の個人開業獣医師において1995年中に診察されたイヌネコの食餌、年齢、品種、性別、ボディコンディションスコアを判定し、これらの動物において最も一般的な疾病の発生率を評価すること
意図:クロス-セクショナル研究
動物:52の個人開業診療所で診察されたイヌ31484頭、ネコ15226頭
方法:年齢、品種、性別、ボディコンディションスコア、食餌に関する情報、割り当てられた診断コードを開業医から電子的に収集し、関係を示すデータベースに移した。全頭の疾病の発生率は統計ソフトを用いて評価した。
結果:歯石と歯肉炎は最も一般的に再発がみられる疾病であった。調査期間中、開業医により診察されたイヌのおよそ7%、ネコの10%が健康であると思われた。多くの症状が両方の種で一般的にみられた(例えばノミ寄生、結膜炎、下痢、嘔吐)。イヌでは歩行異常、椎間板疾患、脂肪腫、アレルギー性皮膚炎のための診察が多かった。ネコでは腎臓疾患、膀胱炎、ネコ泌尿器症候群、食欲不振のための診察が多かった。
臨床との関連:結果は診察されるイヌネコにおいて、健康問題の重要性をより良く理解し予期するために、開業獣医師が使用することができ、イヌネコにおいて最も多くみられる疾病について、クライアントにより良く伝えることができる。(Dr.Yoshi訳)