■プラジクアンテル、パモ酸ピランテル、フェバンテルの合剤の投与後に発症した急性膵炎の犬の一例:症例報告
Development of acute pancreatitis after oral administering a praziquantel, pyrantel pamoate, and febantel combination in a dog: A case report
Heliyon. 2023 Jun 12;9(6):e17225.
doi: 10.1016/j.heliyon.2023.e17225. eCollection 2023 Jun.
Masashi Yuki , Hiroto Taira , Takanori Inden

犬の消化管寄生虫に対し、経口プラジクアンテル、ピモ酸ピランテル、フェバンテル合剤(PPFC)は、安全性のより高い駆虫薬で、食欲不振、嘔吐、元気消失、下痢のような軽度の副作用を有する。

12歳の去勢済みチワワは、定期的な健康診断で来院した。通常の身体検査で異常は見られなかったが、血液検査で肝酵素、リパーゼ活性、総胆汁酸、総コレステロール、トリグリセリド濃度の上昇を示した。さらに、基礎に三尖弁逆流があり、治療はしていなかった。消化管寄生虫の疑いに対しPPFCを処方した。

家でPPFCの経口投与に続き、食欲不振と嗜眠を認め、30時間後に嘔吐と下痢に気付いた。疾患の臨床経過とその後の病理結果に基づき、急性膵炎の診断がなされた。入院し静脈点滴を開始したが、金銭的理由で治療を中止した。急性膵炎の発症はPPFCの有害事象を考えられた。

このケースで急性膵炎の発症とPPFC投与との関連は明らかにできなかったが、急性膵炎の発症は、肝機能の低下と/あるいはリパーゼの偽活性の上昇と関係しているのかもしれない。PPFCは犬でかなり安全と考えられているが、基礎疾患があると疑われる犬へ投与する時は注意すべきである。(Sato訳)
■日本のペットショップの子犬や子猫のトリコモナス属の分子的有病率
Molecular prevalence of trichomonad species from pet shop puppies and kittens in Japan
Rev Bras Parasitol Vet. 2020 Nov 20;29(4):e014820.
doi: 10.1590/S1984-29612020098. eCollection 2020.
Naoyuki Itoh , Yuko Iijima , Isao Ogura , Natsumi Yonekura , Satoshi Kameshima , Yuya Kimura

ペンタトリコモナス・ホモニスとトリコモナス・フィータス(猫遺伝子型)は、犬や猫の腸トリコモナスと一般に確認されている。P・ホモニスは多くの哺乳類で非病原性プロトゾアと考えられているが、人獣伝播の可能性を持つ。T・フィータスは人獣伝播のリスクがない猫の下痢の新興病原体と認識されている。

ペットショップは若いコンパニオンアニマルの主要源のため、この研究でペットショップの544頭の子犬と409頭の子猫からP・ホモニスとT・フィータスの分子的有病率を議論する。

結果は、ペットショップの若い動物のP・ホモニス(子犬:7.0%;子猫:0.5%)とT・フィータス(子犬:0%;子猫:2.4%)の有病率は低いことが示唆される。また、P・ホモニスとT・フィータスの感染は常に臨床症状(軟便あるいは下痢)と関係しているわけではない。(Sato訳)
■沖縄の1施設における肺フィラリア症の13症例
Thirteen cases of pulmonary dirofilariasis in a single institution in Okinawa Island.
Virchows Arch. September 2019;475(3):335-340.
DOI: 10.1007/s00428-019-02614-9
Eriko Atsumi , Hirofumi Matsumoto , Naohiro Taira , Tomofumi Yohena , Hidenori Kawasaki , Tsutomu Kawabata , Naoki Yoshimi

肺フィラリア症は、日本の風土病的寄生虫の犬糸状虫による感染である。我々の病院で、肺フィラリア症の13人の外科症例を経験した。

13人のうち61.5%は男性だった。責任病巣は全ての症例で右の肺に位置し、それらの76.9%はより下部の肺葉だった。組織学的に、12症例は肺動脈内部の虫と壊死性結節、周辺肉芽腫を示した。1症例は壊死性結節を示さなかったが、変性した虫を内部に伴う肺動脈壁の肥厚とヒアリン化のみを示した。好酸球は組織学的にすべての症例で見つかった。

1施設でフィラリア症の13症例は、過去の報告を基に日本で最も多い人数と思われる。この増加した有病率の1つの理由は、媒介昆虫として蚊の生態学を考慮すると、沖縄県の高温多湿な気候だからかもしれない。弾性線維染色と周辺肉芽腫の好酸球は、虫が変性していた時の診断に貢献できる。(Sato訳)
■トキソカラ属が自然感染した犬に対する2つの駆虫薬(スピノサド/ミルベマイシンオキシムとイベルメクチン/プラジクアンテル)の治療効果
Efficacy of two anthelmintic treatments, spinosad/milbemycin oxime and ivermectin/praziquantel in dogs with natural Toxocara spp. infection.
Vet Parasitol. November 2017;247(0):77-79.
Rafael Heredia Cardenas , Camilo Romero Núñez , Laura Miranda Contreras

犬回虫は犬の最も重要な人獣共通寄生虫の一つである。

この研究の目的は、トキソカラに自然感染した犬に対するスピノサド/ミルベマイシンオキシムとイベルメクチン/プラジクアンテルの効果を比較することだった。

著者らはトキソカラ属の陽性反応だった犬200頭を研究した。糞便寄生虫顕微鏡検査を通し、2つの研究群に各100頭を振り分けた:スピノサド/ミルベマイシンオキシムをそれぞれ30-60mg/kgと0.75-1.0mg/kg、あるいはイベルメクチン/プラジクアンテルをそれぞれ0.2mg/kgと5mg/kgで投与した。両群共に1回投与した。投与前0日目、投与後14日目、28日目の3回の糞便サンプルを集卵浮遊法で検査した。

両治療で、トキソカラ属の卵数は減少した:スピノサド/ミルベマイシンオキシム投与で14日目に87%減少(P=0.008)、28日目に94%減少、比べてイベルメクチン/プラジクアンテル投与で14日目に88%減少、28日目に88%減少した。

イベルメクチン/プラジクアンテル投与群と比べてスピノサド/ミルベマイシンオキシム投与群は、トキソカラ属陽性犬の数のより大きな減少を示した。(Sato訳)
■ヨーロッパで猫に一般的に寄生する4種のダニに対するセラメクチンとサロラネルの新スポットオン合剤の効果
Efficacy of a new spot-on formulation of selamectin plus sarolaner against four common tick species infesting cats in Europe.
Vet Parasitol. April 2017;238 Suppl 1(0):S3-S7.
Thomas Geurden , Csilla Becskei , Adriano F Vatta , Nathalie Slootmans , Marcela von Reitzenstein , Vickie L King 3, Dan Lin , Douglas Rugg

セラメクチンとサロラネルの新スポットオン合剤(Stronghold(®)Plus, Zoetis)の1回投与を行い、ヨーロッパで猫に寄生する一般的なダニに対する効果を評価した。

7つの実験所研究の各々で、16頭の実験用成猫を投与前のダニの数を基に2つの処置群に振り分けた。Day2、5、12、19、26、33日目のスケジュールで、餌を与えていない50匹のIxodes ricinus (2研究)、Ixodes hexagonus (1研究)、Dermacentor reticulatus (2研究), or Rhipicephalus sanguineus (2研究)を毎週寄生させた。猫にはDay0に最少推奨ラベル投与量6.0mgセラメクチンと1.0mgサロラネル/kg体重のスポットオン製剤、あるいはプラセボを投与した。ダニは処置後と各再寄生後48時間目にカウントした。

この研究のいずれでも処置に関係する副作用は記録されなかった。全てのタイムポイントでプラセボ群と比較し、セラメクチン/サロラネル処置群の相乗平均生存ダニ数は有意に少なかった(P≦0.0012)。I. ricinusとI. hexagonusで、最低5週間、既存期生に対し≧97.2%、毎週の再寄生に対し≧97.4%の効果があった。R. sanguineusで、既存期生に対し100%、最低4週間、≧95.8%の効果があった。D. reticulatusで最低4週間≧94.4%の効果があった。

このように、全てのヨーロッパで関連する猫のダニに対し、最低用量でのセラメクチンとサロラネルの新スポットオン合剤の1回投与は、既存寄生の速やかな処理と再寄生に対する最低1回月の効果を提供する。(Sato訳)
■犬と猫のジアルジア検出に対する診断方法の比較
Comparison of diagnostic techniques for detection of Giardia duodenalis in dogs and cats.
J Vet Intern Med. 2019 Apr 13. doi: 10.1111/jvim.15491. [Epub ahead of print]
Saleh MN, Heptinstall JR, Johnson EM, Ballweber LR, Lindsay DS, Werre S, Herbein JF, Zajac AM.

背景:犬と猫のジアルジアduodenalis感染に対する現在利用可能な院内診断検査の評価は行われていない。また、発表された診断的比較の中に不一致がみられる。ジアルジア検出に対する確かな基準がないことも診断評価を難しくする。

目的:犬と猫のジアルジアduodenalis検出に対し、アメリカで市販されている診断検査を評価することと、広く利用される参照検査である直接免疫蛍光法(IFA)の比較、また分析の2方法の結果の比較:診断検査と参照検査(IFA)の比較とベイズ解析。

動物:コロラド、オクラホマ、バージニアにいる388頭の犬と猫の都合の良いサンプルからの糞便サンプル

方法:糞便サンプルでジアルジアduodenalisに対し硫酸亜鉛遠心糞便浮遊法と4つの異なる市販の診断免疫測定で検査した。結果は、ベイズ解析と参照検査としてIFAとの比較で分析した。

結果:犬と猫のすべての診断検査に対し、IFAと比較した感受性は82%以上、特異性は90%以上だった。ベイズ解析で解析した時、感受性は83%以上、特異性は95%以上だった。ZnSO4遠心糞便浮遊法の結果を免疫測定結果と組み合わせた時、すでに市販院内免疫測定の感受性の間に有意差はなくなっていた。

結論と臨床関連:ベイズ解析は、参照検査としてIFAの使用を確認する。市販の院内免疫測定の感受性の違いは、結果をZnSO4遠心糞便浮遊法の結果と組み合わせれば、少なくすることができる。(Sato訳)
■アフォキソラネルとフルララネル投与は健康な犬の皮膚ニキビダニ集団に影響を及ぼさない
Afoxolaner and fluralaner treatment do not impact on cutaneous Demodex populations of healthy dogs.
Language: English
Vet Dermatol. October 2017;28(5):468-e107.
Christine M Zewe , Laura Altet , Andrea T H Lam , Lluis Ferrer

背景:フルララネルとアフォキソラネルはノミとダニ感染の治療に認可されているイソキサゾリンである。また、イソキサゾリンはニキビダニ症の治療に対しても効果が示されている。健康犬におけるニキビダニ集団に対するそれらの化合物の影響については何もわかっていない。

仮説/目的:この研究の目的は、ニキビダニDNAに対するリアルタイムPCR(RT-PCR)を用い、アフォキソラネルあるいはフルララネルの止痒前後の健康犬の皮膚のニキビダニの普及率を測定することだった。我々は、ラベル記載の用量でイソキサゾリンの使用は、健康な犬の皮膚のニキビダニ集団を排除するだろうと仮説を立てた。

動物と方法:皮膚病歴の無い20頭の健康な犬を募集した。犬を10頭ずつ2群に分け、各群に90日の研究期間でアフォキソラネル、あるいはフルララネルを投与した。薬剤投与前の0日目に体の3カ所から毛を引き抜き、その後30日、90日目に繰り返した。RT-PCR増幅ニキビダニDNAを全てのサンプルで実施した。

結果:0日目(治療前)、20頭中5頭(25%)の少なくとも1つの皮膚部位でニキビダニDNAが陽性を示した。60日目、18頭中3頭(16.7%)が陽性で、90日目、20頭中6頭(30%)が陽性だった。グループあるいはタイムポイント間に陽性犬の頭数の有意差は見られなかった。

結論:アフォキソラネルあるいはフルララネルの投与は、健康な犬で90日間以上、皮膚ニキビダニ集団に影響を及ぼさない。(Sato訳)
■犬の疥癬の治療に対し新しい経口イソキサゾリンのサロラネル(シンパリカ)の効果と安全性
Efficacy and safety of a novel oral isoxazoline, sarolaner (Simparica?), for the treatment of sarcoptic mange in dogs.
Vet Parasitol. 2016 May 30;222:56-61. doi: 10.1016/j.vetpar.2016.02.017. Epub 2016 Feb 20.
Becskei C, De Bock F, Illambas J, Cherni JA, Fourie JJ, Lane M, Mahabir SP, Six RH.

新しいイソキサゾリンであるサロラネル(シンパリカ)の効果を、Sarcoptes scabieiの自然寄生と疥癬に一致する臨床症状の犬で調査した。1つのプラセボ対照実験所研究とイミダクロプリド/モキシデクチンを含む市販比較物(アドボケートスポットオン)で1つの多施設野外研究を行った。経口あるいは局所投与を0日目と30日目に行った。各犬の投与前と実験所研究の14、30、44、60日目と、野外研究の30、60日目に10回皮膚掻爬を行い、S. scabiei寄生の評価を行った。

実験所研究で、効果はプラセボ群と比較し、平均生存ダニ数の減数%を基に算出した。野外研究で寄生虫学的治癒率(%ダニのいない犬)を判定し、コントロール製剤に対するサロラネルの非劣性を評価した。

実験所研究で44頭の雑種犬を4群で登録した。プラセボ処置群でダニの数が減っているため、デキサメサゾンによる免疫抑制(0.4mg/kgを週に3回、2週間)をその時全ての犬(n=6)とその後登録された犬(n=14)で開始した。

野外研究で、犬は2:1の比率(サロラネル:比較物)で登録した;79頭の犬は効果と安全性を評価した;追加の45頭は安全性のみを評価した。
2つの研究で治療に関係する副作用はなかった。

実験研究において、44日目に1匹のダニが見つかった1頭を除き、最初の投与後14日目にはどのサロラネル投与犬にもダニは見つからなかった。

野外研究において、30日目と60日目の寄生虫学的治癒率は、サロラネル群で88.7%と100%、イミダクロプリド/モキシデクチン群で84.6%と96.0%だった。両タイムポイントで統計解析によりサロラネルのイミダクロプリド/モキシデクチンに対する非劣性が示された。

脱毛、丘疹、掻痒、紅斑および鱗屑/痂皮を含む疥癬の臨床症状はこの研究を通して改善した。

サロラネルは安全で、検出したS. scabieiの数で100%減数を達成し、月1回の2回経口投与後に犬の疥癬の臨床症状が顕著に改善した。(Sato訳)
■犬の2種類の一般的なダニ寄生に対する新しい経口イソキサゾリンであるサロラネルの効果:毛包虫種とイヌミミヒゼンダニ
Efficacy of sarolaner, a novel oral isoxazoline, against two common mite infestations in dogs: Demodex spp. and Otodectes cynotis.
Vet Parasitol. 2016 May 30;222:62-6. doi: 10.1016/j.vetpar.2016.02.027. Epub 2016 Mar 4.
Six RH, Becskei C, Mazaleski MM, Fourie JJ, Mahabir SP, Myers MR, Slootmans N.

サロラネル(シンパリカ、ゾエティス)の効果を、全身性毛包虫症の犬のニキビダニ種と寄生を誘発した犬のイヌミミヒゼンダニ(otodectic mange)に対して評価した。

最初の研究で、ニキビダニ種陽性で全身性毛包虫症の臨床症状を持つ16頭の犬を、0日、30日、60日にサロラネル(2mg/kg)を経口投与群と、7日毎に0日から81日までイミダクロプリド(10mg/kg)とモキシデクチン(2.5mg/kg)混合液の局所投与群に無作為に振り分けた。

サロラネル投与犬は、投与前のダニ数が最初の投与後14日目に97.1%、29日目には99.8%減数し、その後は生きたダニが検出されなかった。イミダクロプリドとモキシデクチンの週1回の局所投与で、それら2つのタイムポイントはそれぞれ84.4%と95.6%の減数で、74日目にはダニは検出されなかった。両群の全ての犬は毛包虫症の臨床症状の顕著な改善を示した。

2つ目の研究で、イヌミミヒゼンダニの寄生を誘発した32頭の犬で、0日目にサロラネル(2mg/kg)を1回経口投与、あるいは2回投与法(0日目と30日目)、各投与法のプラセボ群に無作為に振り分けた(8頭/群)。プラセボコントロールと比較して2mg/kgのサロラネル経口投与は30日目に耳ダニが98.2%減数、1か月毎のサロラネル2回投与で60日目に耳ダニが99.5%減数した。

2つの研究で投与に関係する副作用はなかった。

それらの研究で、サロラネル2mg/kgの経口投与は、自然感染のニキビダニ種および期生を誘発したイヌミミヒゼンダニに関係する生存ダニ数を減らすのに非常に効果的だった。また、ニキビダニ寄生犬は全身性毛包虫症の臨床症状で顕著な改善を示した。(Sato訳)
■日本の猫繁殖用施設の猫における腸管寄生虫の有病率
Prevalence of intestinal parasites in breeding cattery cats in Japan.
Language: English
J Feline Med Surg. October 2016;18(10):834-7.
Yoichi Ito , Naoyuki Itoh , Yuya Kimura , Kazutaka Kanai

目的:日本で猫繁殖用施設の腸管寄生虫の有病率に関して、最新の発表されたデータがないため、この研究で調査した。

方法:単発で日本の長野(n=2)、埼玉(n=1)、愛知(n=2)、岐阜(n=1)、宮城(n=1)にある7カ所の猫繁殖用施設の猫342頭(年齢1か月から12歳)から新鮮便サンプルを無作為に収集した。サンプルは市販のELISAキットを用い、ジアルジア属糞便抗原の存在を検査した。他の腸管寄生虫は、ホルマリン-酢酸エチル沈殿法により顕微鏡で検査した。

結果:腸管寄生虫の全体の有病率は20.8%だった;2種類のプロトゾア属(ジアルジア種:18.7%とシストイソスポーラ種:5.0%)のみが検出された。両プロトゾアの重感染は2.9%の猫に見られた。対照的に蠕虫は検出されなかった。1歳未満の猫の総感染、ジアルジア種、シストイソスポーラ種および複数感染は、1歳以上の猫よりも有意に多かった。腸管寄生虫のいる便といない便の状態に有意差はなかった。ジアルジア種感染は1施設を除き全ての繁殖施設のサンプルに存在した。シストイソスポーラ種および重感染はそれぞれ4施設および2施設で認められた。腸管寄生虫の有病率は繁殖施設の中で顕著なばらつきが見られた。

結論と関連:この研究で猫の繁殖施設のジアルジア種およびシストイソスポーラ種感染の重要性を示す。また繁殖施設でプロトゾア感染の有病率に影響する最も重要な要因は、環境汚染だと示唆された。(Sato訳)
■トキソプラズマ誘発性全脳炎の猫の高ナトリウム血症
Hypernatremia in a Cat with Toxoplasma-Induced Panencephalitis.
J Am Anim Hosp Assoc. 2016 Jan-Feb;52(1):63-7.
Christiane Weingart; Achim D Gruber; Mathias Brunnberg; Barbara Kohn

12歳避妊済みのメスのCarthusianの雑種猫が進行性の神経症状を理由に来院した。臨床症状は脱水、昏迷、瞳孔不同だった。血液検査で重度の高ナトリウム血症、高窒素血症、高グロブリン血症、赤血球増多症が見られた。臨床症状と高ナトリウム血症により頭蓋内病変が示唆された。画像検査で大脳、視床下部、下垂体の構造喪失を認めた。予後不良のため、安楽死した。

病理組織検査でトキソプラズマの典型的なプロトゾアを伴う亜急性の肉芽腫、壊死性全脳炎を認めた。

トキソプラズマが誘発した視床下部と下垂体の機能不全は、尿崩症を誘発し、不十分な飲水と合わさって多くは高ナトリウム血症を引き起こす可能性が高い。(Sato訳)
■トキソプラズマ・ゴンヂに対するワクチン開発の近年の進歩:update
Recent advances in developing vaccines against Toxoplasma gondii: an update.
Expert Rev Vaccines. December 2015;14(12):1609-21.
Nian-Zhang Zhang; Meng Wang; Ying Xu; Eskild Petersen; Xing-Quan Zhu

重要な公衆衛生リスクのあるトキソプラズマ・ゴンヂは、ヒトを含む全ての温血動物に感染する可能性があり、産業動物において経済的損失を起こす。

ここ3年で、中間宿主の急性感染の制限、組織内シストを減らす、あるいは排除することを目標としたトキソプラズマ・ゴンヂ感染をコントロールするために多くのワクチン実験が行われている。

この文献で、著者らは2013年からトキソプラズマ・ゴンヂに対する動物用ワクチンの最新の結果を要約する。非復帰変異体の生弱毒化whole organismsの免疫化は、急性および慢性トキソプラズマ症のコントロールに関係する顕著で強力な免疫反応を誘発することを示している。非シスト形成変異体はトキソプラズマ・ゴンヂ感染に対する動物用ワクチンの開発に対する新しいツールとして有望である。(Sato訳)
■犬にインドキサカルブを局所投与し、その後クロルヘキシジン-ケトコナゾールシャンプーを行ったときのノミコントロール効果
Flea (Ctenocephalides felis) control efficacy of topical indoxacarb on dogs subsequently bathed with a chlorhexidine-ketoconazole shampoo.
Aust Vet J. August 2015;93(8):293-4.
R D Armstrong; J E Liebenberg; K Heaney; F Guerino

目的:犬のインドキサカルブの局所投与によるノミコントロール効果に対し、クロルヘキシジン/ケトコナゾールシャンプーの影響を評価する

結果:18頭の健康な雑種犬を3群に無作為に振り分けた:シャンプーのみ;インドキサカルブ処置と薬用シャンプー;インドキサカルブ処置のみ。インドキサカルブを0日目に投与し、9日目と23日目にシャンプーした。処置の2日前に最初に100匹のノミ成虫を寄生させ、7日目から28日目まで毎週1回寄生させた。寄生後48時間目にノミを取り除き、カウントした。

結論:ネコノミに対するインドキサカルブの効果の、薬用シャンプーによる有意な低下は見られなかった。(Sato訳)
■貧血の猫22頭のヘモプラズマ種による感染
Infection with haemoplasma species in 22 cats with anaemia.
J Feline Med Surg. 2015;0(0):.
Christiane Weingart; Severine Tasker; Barbara Kohn

目的:猫の血液向性マイコプラズマ(ヘモプラズマ)の自然感染の臨床経過に関する情報は限られている。この研究の目的は、ヘモプラズマ症に自然感染し貧血の猫の臨床症状と疾患の経過を述べることだった。

方法:貧血を呈し、ヘモプラズマに感染している猫で徴候、臨床症状、検査データ、感染の経路に関するデータを回顧的に解析した。診断は従来のヘモプラズマPCR解析で確定した。

結果:2005年から2014年の間にヘモプラズマ感染は22頭の貧血(ヘマトクリット値5-25%(中央値17%);参照範囲30-44%)の猫('Candidatus Mycoplasma haemominutum'、n=12;Mycoplasma haemofelis、n=3;'Candidatus Mycoplasma turicensis'、n=2;種が判定できない、n=4;全3種の重感染、n=1)で見つかった。13頭の猫に併発疾患があった。全ての猫は抗生物質治療を行った;15頭の猫は血液製剤を投与した。6頭の猫は併発疾患、持続的重度貧血あるいは金銭的制約のために11週以内に安楽死された。

10頭の猫は14-199週(中央値26週)の間経過観察を行った。ヘモプラズマPCRは3-23週後に7頭中5頭で陰性となった。陽性の2頭は18週、および199週後も陽性だった。ヘモプラズマ感染の再活性は2頭で起こり、初診から177週までに1回と3回起こった。さらなる2症例で再活性が疑われた。併発疾患により経過観察の10頭中4頭は、初診から14-180週で安楽死された。

結論と関連:ヘモプラズマ種の感染は慢性が多く、数か月で再活性化する可能性があり、安楽死の理由とはなりにくい。(Sato訳)
■フィプロニル-アミトラズ-S-メトプレンが引き金となる落葉状天疱瘡の21症例:臨床、組織、免疫学的特徴
Fipronil-amitraz-S-methoprene-triggered pemphigus foliaceus in 21 dogs: clinical, histological and immunological characteristics.
Vet Dermatol. April 2014;25(2):103-e30.
Petra Bizikova; Keith E Linder; Thierry Olivry

背景:近年売り出されたフィプロニル、アミトラズ、S-メトプレンを含む外部寄生虫駆除薬は、Promerisが引き金となる落葉状天疱瘡(PF)に似た棘融解性膿疱性皮膚炎の発症に関係している。

仮説/目的:我々の目的は、このPF様皮膚有害薬剤反応の臨床、組織および免疫学的特徴を述べることである。

動物:2012年5月から2013年2月の間に認めたPF様皮膚有害薬剤反応の仮診断あるいは確定診断を受けた21頭の犬

素材と方法:研究目的に合わせた組織検査、直接および間接免疫蛍光検査を行った。

結果:ほとんどの犬は中年以上(中央値、9歳)で大型犬(中央値、23kg)だった。6頭(29%)の犬において、PF様病変は投与部位に限られていたが、15頭(71%)は離れた部位に病変があった。1回あるいは2回の薬剤投与はPF様病変の引き金となるに十分で、それぞれ7頭(33%)と6頭(29%)だった。全身症状は9頭(43%)で報告され、投与部位から離れた部位にまで広がっていた。組織-結合アンチケラチノサイトIgGは直接免疫蛍光検査で19頭中8頭(42%)の損傷性表皮で検出された一方で、血清アンチケラチノサイトIgGは間接免疫蛍光検査で14頭中10頭(71%)に検出された。14頭中11頭(79%)で犬のデスモコリン-1に向けられた自己抗体を認めたが、形質移入した細胞に対する間接免疫蛍光検査で犬のデスモグレイン-1には認められなかった。それらの免疫学的所見は限局した病変と離れた病変で変わらなかった。

結論と臨床意義:この新しいフィプロニル、アミトラズ、S-メトプレンを含む外部寄生虫駆除薬は、犬のPromerisが引き金となる落葉状天疱瘡および自然に発生する自己免疫性落葉状天疱瘡に臨床、組織、免疫学的にかなり似た棘融解性膿疱性皮膚炎発症の引き金となりかねないものである。(Sato訳)
■アベルメクチン感受性のボーダーコリーにおける犬眼虫症の解消
Resolution of canine ocular thelaziosis in avermectin-sensitive Border Collies from Spain.
Vet Parasitol. February 2014;200(1-2):203-6.
Rafael Calero-Bernal; Jose Marin Sanchez-Murillo; Pedro Maria Alarcon-Elbal; Jose Sanchez-Moro; Maria Stefania Latrofa; Filipe Dantas-Torres; Domenico Otranto

東洋眼虫による目の眼虫症は新興疾患で、主に犬だけでなく猫、キツネ、他の野生肉食動物と同様に人でも見られる。

テラジア線虫により起こる片側性の結膜炎の大環状ラクトンに不耐性の犬種であるボーダーコリー3症例を発見した。ポルトガルとの境界の南西部スペインから来た犬で、8匹の虫体を収取し、一部チトクロームオキシダーゼサブユニット1遺伝子の増幅および配列により東洋眼虫と分子的に確認した。メベンダゾール(Telmin(R))20mg/kgの経口投与が効果的だった。(Sato訳)
■米国獣医寄生虫学会の動物糞便浮遊法の概要とそれらの精度と使用に影響する要因:本当に一番良い方法はあるのか?
American Association of Veterinary Parasitologists' review of veterinary fecal flotation methods and factors influencing their accuracy and use-Is there really one best technique?
Vet Parasitol. July 2014;204(1-2):73-80.
L R Ballweber; F Beugnet; A A Marchiondo; P A Payne

糞便浮遊の原理は、密度が低い物質(寄生虫要素を含む)を一番上に浮かせることができる溶液の能力を基にしている。しかし、そのような理論的に単純な方法の精度と使用に影響するだろうと思われる多くの要因が存在する。遠心分離を使用するかどうかは、ある寄生虫の検出能力に影響すると思われるものもあるし、そうでないものもある。
比較的高比重の浮遊液の使用は、多くの異なる寄生虫の診断ステージの同時浮遊に有利だが、同時に標本にゆがみとゴミの量が増えるため認識がより難しくなるものもある。希釈法は外挿を必要とするため精度が落ちる傾向にある;しかし、ある程度標本がきれいなのでより早くできる。タイミングは全ての浮遊法で重大な要因であり、操作の技術力も大事である。

このように、簡単、低コスト、時間節約は重力の浮遊法(McMasterやその変法を含む)で一般に好まれている。それくらいの精度がその方法に必要とされるかは、その使用目的に依存し、方法の選択は分析の感受性と卵排泄予測レベルを理解することが必要である。

いくつかの例で、1グラム当たり卵が0と50の違いは、判断の対応に関してとるに足らないものであり、精度が低い方法で十分だろう。一方、寄生虫の存在は、卵の数にかかわらず動物の治療を意味し、より高い分析感受性の方法は、特にあまり卵を排泄しない寄生虫に対して必要だろう。Fecal Egg Count Reduction試験のような他の使用で精度は決定的となるかもしれない。

ゆえに、標準化した糞便浮遊法に対する推奨が過去に促進されているのだが、要因が全ての目的に対する1つあるいは2,3の方法の推奨に対して可能となるには数が多すぎることが明らかである。(Sato訳)
■猫の腸管トリトリコモナス・フィータス感染:104症例の回顧的研究
Intestinal Tritrichomonas foetus infection in cats: a retrospective study of 104 cases.
J Feline Med Surg. December 2013;15(12):1098-103.
Panagiotis G Xenoulis; Danielle J Lopinski; Sarah A Read; Jan S Suchodolski; Jorg M Steiner

トリトリコモナス・フィータスに感染した猫の臨床症状や治療への反応は、大規模な数の飼育猫では十分述べられていない。

この研究の目的は、腸管Tフィータス感染と診断された猫の臨床データを集め分析することだった。

PCR法でTフィータス陽性を示した104頭の猫から臨床情報を収集した。

最も一般的な臨床症状は、持続期間中央値が135日(範囲1-2880日)の下痢(98%)だった。83頭中49頭(59%)の下痢は譲渡されてから始まった。他の臨床症状は食欲不振(22%)、沈鬱(24%)、体重減少あるいは体重が増えない(20%)、嘔吐(19%)、腹部痛(9%)、食欲増加(3%)だった。

合計45頭の猫はロニダゾールによる治療を行い、そのうち29頭(64%)は治療に対する良好な臨床反応を示した。16頭(36%)は部分的反応あるいは改善せず、または治療をやめるとすぐに再発した。(Sato訳)
■オーストラリアの犬と猫のダニ麻痺に対する分布、季節性、危険因子
Distribution, seasonality and risk factors for tick paralysis in Australian dogs and cats.
Vet Parasitol. September 2013;196(3-4):460-8.
K R Eppleston; M Kelman; M P Ward

ダニ麻痺は麻痺マダニ(Ixodes holocyclusとIxodes cornuatus)により誘発され、オーストラリアのコンパニオンアニマルにおいて重大で致死的状況の可能性を秘めるものである。犬と猫のダニ麻痺死亡率に対し、分布、季節性、危険因子に関して発表された情報は限られている。

この研究は、リアルタイム疾患監視プログラムから抽出したデータを用い、オーストラリアの犬と猫のダニ麻痺の3479症例を述べる。

死亡率に対するリスクファクターを確認し、症例の分布の地図を作製した。クラスター分析をspace-time permutation scan statisticで行った。
ダニ麻痺には明白な季節性があり、ほとんどの症例は春に報告された。ほとんどの症例はニューサウスウェールズとクイーンズランドを含むオーストラリアの東海岸で、大多数の報告された症例を占めた。症例の集団はニューサウスウェールズの南海岸で確認された。年齢が6か月以下、あるいはトイ犬種が有意に死亡のリスクが高かった(P<0.05)。猫では有意な死亡の危険因子は確認されなかった。ダニ寄生の化学的予防処置を受けていて、その製剤の有効期間中にダニ麻痺を経験した動物もいた。

オーストラリアの東海岸で春の間に犬と猫のダニ麻痺のリスクが高い。犬のダニ麻痺の症例で、確認された死亡に対する危険因子は、予後判定や症例の治療を改善させる可能性があるため獣医師が利用できる。全集団を通して化学的予防剤を通してダニ麻痺を防ぐことは100%保障されるわけではないので、ペットのダニを毎日探す(特にハイリスク地域および高いリスクの季節中)ことが推奨される。(Sato訳)
■ダニ麻痺の犬の肺の病理組織学的変化:25症例(2010-2012)
Histopathological changes in the lungs from dogs with tick paralysis: 25 cases (2010-2012).
Aust Vet J. August 2013;91(8):306-11.
Ra Webster; Jt Mackie; Sc Haskins

目的:ダニ麻痺の犬の組織学的肺病変の有病率と特性を調べる

方法:ダニ麻痺の治療中に死亡した、あるいは重度疾患経過あるいは経済的理由により安楽死された25頭の飼育されていた犬の前向き研究を、オーストラリアクィーンズランド大学獣医緊急病院で行った。病理組織検査のため、剖検で肺標本を採取した。

結果:25頭の犬全てに有意な肺の変化があった:9頭は明らかな炎症細胞浸潤がないうっ血と肺胞水腫;1頭はうっ血と肺胞水腫に加え、肺胞マクロファージの数が軽度増加;残りの15頭は中程度あるいは重度の気管支肺炎でその中の2頭は吸引性肺炎の所見を示した。

結論:臨床的に重度のダニ麻痺を伴う犬は、肺実質疾患を持つ可能性がある。気管支肺炎は症例のかなりの比率で見られ、吸引性も反映しているのかもしれない。(Sato訳)
■猫のトリトリコモナス症:予防と管理のABCDガイドライン
Tritrichomoniasis in Cats: ABCD guidelines on prevention and management.
J Feline Med Surg. July 2013;15(7):647-9.
Tim Gruffydd-Jones; Diane Addie; Sandor Belak; Corine Boucraut-Baralon; Herman Egberink; Tadeusz Frymus; Katrin Hartmann; Margaret J Hosie; Albert Lloret; Hans Lutz; Fulvio Marsilio; Karin Mostl; Maria Grazia Pennisi; Alan D Radford; Etienne Thiry; Uwe Truyen; Marian C Horzinek

概要:トリトリコモナスfoetusはプロトゾア生物で、猫に特異で大腸性下痢の原因となることもある。他のトリトリコモナス属とは異なり、人畜共通と考えられない。感染は複数飼育の若い猫に最も一般的で、特に繁殖猫舎である。

疾患症状:罹患した猫は頻繁に悪臭の下痢を起こし、粘液や鮮血を伴うことも多くしぶるが、一般に元気なままで体重減少もない。

診断:感染の診断は、通常、新鮮便の直接鏡検を基になされる。PCR検査はより感受性がありますが、下痢に関係ない感染が見つかるかもしれず、ゆえに解釈に注意が必要である。

治療:治療はロニダゾールで、猫に対する安全域が狭く認可されていない薬剤なので注意して使用すべきである。臨床症状は一般に治療しない症例で自己治癒的だが、解消に数か月かかるかもしれない。(Sato訳)
■猫のトキソプラズマ・ゴンヂ感染:予防と管理のABCDガイドライン
Toxoplasma Gondii Infection in Cats: ABCD guidelines on prevention and management.
J Feline Med Surg. July 2013;15(7):631-7.
Katrin Hartmann; Diane Addie; Sandor Belak; Corine Boucraut-Baralon; Herman Egberink; Tadeusz Frymus; Tim Gruffydd-Jones; Margaret J Hosie; Albert Lloret; Hans Lutz; Fulvio Marsilio; Karin Mostl; Maria Grazia Pennisi; Alan D Radford; Etienne Thiry; Uwe Truyen; Marian C Horzinek

概要:猫でトキソプラズマ・ゴンヂ感染は一般的だが、臨床的疾患は珍しい。猫の50%、特に自由に歩き回る猫では感染と嚢胞ステージを示す抗体を持つ。

疾患症状:猫が免疫抑制になったときにだけ、臨床症状が現れる猫もいる-それらの状況で、嚢胞ステージは再び活性化する可能性がある。一般的に影響を受けるのは中枢神経系(CNS)、筋肉、肺、眼である。

ヒトの感染:猫はオーシストを排泄しているとき、ヒトに対してリスクを持つ可能性がある。しかし、これは通常組織シストを食べた後3-10日の間だけで、猫の生涯の中で1度しか起きない。このようにトキソプラズマ・ゴンヂに対する抗体を持った猫はオーシストを排泄せず、ヒトに対してリスクを持つこともない。(Sato訳)
■飼い猫におけるCytauxzoon felisの潜在的伝播のエビデンスの欠如
Lack of evidence for perinatal transmission of Cytauxzoon felis in domestic cats.
Vet Parasitol. August 2012;188(1-2):172-4.
Kristin M Lewis; Leah A Cohn; Adam J Birkenheuer

Cytauxzoon felisは急性感染中に重度、時には致死的疾患を引き起こす能力のある猫のヘモプロトゾア寄生虫であるが、急性期を生存した猫は慢性キャリアーとなる。その他それらの健康なキャリアーは、媒介ダニに咬まれることを通して他の猫に感染を伝搬する能力がある。他の種々のヘマトプロトゾア寄生虫は母親から子供に垂直感染可能である。もしこれがCytauxzoon felisで可能であれば、広い地域で発生率増加を伴うこの疾患の明らかな出現を説明する重要な部分となりえる。

著者らは慢性的に感染した猫から子猫にCytauxzoon felisの周産期感染の可能性を調査した。2頭の母猫は3回の出産で合計14頭の健康な子猫を出産した。全ての猫は約12週齢で個人宅に譲渡されるまで顕微鏡スライド観察およびPCRによりCytauxzoon felisが陰性だった。これは周産期感染の可能性を除外できるわけではないが、一般的な現象ではなさそうである。(Sato訳)
■猫から分離されたトリトリコモナスfoetusの水、猫の尿、猫の餌、猫トイレでの生存性
Survival of a feline isolate of Tritrichomonas foetus in water, cat urine, cat food and cat litter.
Vet Parasitol. April 2012;185(2-4):279-81.
Alexa C Rosypal; Allyson Ripley; Heather D Stockdale Walden; Byron L Blagburn; David C Grant; David S Lindsay

世界中のいろいろな場所で、トリトリコモナス・フィータスによる猫の腸管トリトリコモナス症は大腸性下痢に関与する。牛に早期流産を引き起こす経済的に重要な性感染症として長く認識されている。牛から分離されたT.フィータスは猫の大腸に感染性で、猫から分離されたものは牛の生殖器系に感染性である。猫でその寄生虫は糞-経口伝播を維持する。

この研究は猫の糞-経口伝播に関連のあるさまざま状況下で、猫から分離したT.フィータス、AUTf-12の生存性を検査した。

トロフォゾイトをTYM培地で成長させ、それから水、猫の尿、ドライのキャットフード、猫の缶詰、トイレの砂、あるいはペットシーツに暴露し、種々の時間経過の後にTYM培地で再培養した。トロフォゾイトは蒸留水あるいは水道水に暴露して30分は生存したが60分は生存しなかった。尿中では180分以上生存した。ドライのキャットフードで30分生存し、缶詰では120-180分生存した。猫砂でトロフォゾイトの生存性は観察されなかったが、ペットシーツに置いたとき15分は生存した。

我々の結果は、T.フィータスは水、尿、ドライのキャットフード、缶詰で生存でき、感染の可能性を持つ。(Sato訳)
■ヨーロッパにおける犬のノミ寄生の経口治療とコントロールに対するスピノサドの評価
Evaluation of spinosad for the oral treatment and control of flea infestations on dogs in Europe.
Vet Rec. January 2012;170(4):99.
S Wolken; M Franc; M Franc; E Bouhsira; S Wiseman; B Hayes; B Schnitzler; D E Jacobs

新しい外寄生虫駆除薬スピノサドは、発酵プロセス中に生じたスピノシンAとDの混合で自然発生する。スピノシンは独特の環系をもつ四環系マクロライドである。それらの作用様式は、他の市販の寄生虫駆除薬と型が異なる。

ヨーロッパの犬のノミ寄生の治療およびコントロールに対し、45-70mg/kgの投与量で、チュアブルタブレットのスピノサドを評価するために実験および野外試験を行った。

ネコノミを実験的に寄生させた犬の実験研究で、投与後3週間でのノミに対する持続活性は99%以上、4週目で96.5-97.8%を確認した。5つのヨーロッパの国で、自然に寄生した飼育動物の2つの多施設野外試験で比較としてセラメクチンを使用した。多くの家庭がひどく蔓延する夏の間毎月投与した。スピノサドを投与した犬の家庭は、14及び30日目は約97%、60および90日は約99.6%のノミの減少を伴う累積する利点を示した。対応するセラメクチンの値はどのタイムポイントでも有意に低かった(P<0.05):14及び30日目は88.5-91%、60および90日目は97.8-98.2%。

このように、スピノサドのパフォーマンスは、定評のある基準製品よりも好ましかった。(Sato訳)
■犬におけるイヌノミ(ノミ目: Pulicidae科)感染の治療とコントロールに関するスピノサド錠の効果のスピードと持続期間の評価
Evaluation of speed and duration of efficacy of spinosad tablets for treatment and control of Ctenocephalides canis (Siphonaptera: Pulicidae) infestations in dogs.
Parasite. 2009 Jun;16(2):125-8.
Franc M, Bouhsira E.

犬において実験的に誘発したイヌノミ感染のコントロールのため、新しい経口殺虫薬であるスピノサドの効果の期間を決定するコントロール臨床試験を実施した。
12頭のビーグル犬(6頭ずつの2つの群)が研究に使われた。
治療群の犬には、市販の投与量で第0日にスピノサド錠を経口投与した。 すべての犬は、-7、-1、7、14、21、28そして35日に100匹のノミを感染させた。犬はそれぞれの寄生後4時間目にコームで被毛をとかし、ノミの寄生数をカウントし、再びノミを皮膚に戻した。それぞれの寄生後24時間目にコームで被毛をとかし、ノミ数を数えて除去した。
薬物の効果は治療後4時間と24時間で算出し、新しい寄生後4時間と24時間で算出した。コントロール群の犬の平均ノミ数はそれぞれ4時間計測で65.1匹から83.3匹、24時間計測で58.3匹から75.3匹であった。薬物にはよく耐えることが出来た。
治療によって、皮膚に既に存在したノミを4時間で81%、24時間では100%の効果でコントロールした。毎週の寄生において、製品の作用のスピードは高かった:4時間での効果は7日で100%、14日で96%、21日で74%、28日で42%、35日で12.90%、42日で12.8%であった。それぞれの寄生24時間で評価した効果は3週間では約100%で、39日で90%、36日で81.4%、43日で80.4%であった。
新しいスピノサド錠の単回投与は、主張(登録で48時間に実行された評価)に示されるように4週間、犬のノミをコントロールするはずである。スピノサド錠は、成ノミに対してとても長く、そしてとても迅速に作用する経口投与の最初の製品である。(Dr.Kawano訳)
■糞便サンプルからの犬消化管寄生虫の回収に対する3つの集中法の比較
Comparison of three concentration methods for the recovery of canine intestinal parasites from stool samples.
Exp Parasitol. October 2010;126(2):214-6.
S Katagiri; T C G Oliveira-Sequeira

本研究の目的は、犬の消化管寄生虫の検出で糞便濃縮法の市販されている検査と2つの従来の方法の有効性を比較することだった。254頭の犬の糞便サンプルを遠心-沈殿法(CS)、遠心-浮遊法(CF)および糞便濃縮に対する市販の分析法(TF-テスト)で処理した。以下の寄生虫が検出できた:鈎虫(37.8%)、ジアルジア(16.9%)、イヌ回虫(8.7%)、イヌ鞭虫(7.1%)、イソスポーラ(3.5%)、住肉胞子虫(2.7%)。算出した検出感度は、CFが鈎虫、イヌ回虫、犬鞭虫、ジアルジア感染の検出でより正確(P<0.01)だった。しかし、CFは他の2つの方法と比べて鈎虫にしか有意に高い感受性を示さなかった。TF-テストとCFの診断一致のカッパ指数値はイヌ回虫(83%)で高く、ジアルジア(72%)と鈎虫(63%)で中程度だった。各方法の利点と限界を個々の診断と疫学的調査で評価した。(Sato訳)
■ヒト鞭虫に対するアルベンダゾールおよびメベンダゾール単独投与あるいはイベルメクチンとの併用:無作為コントロール試験
Albendazole and Mebendazole Administered Alone or in Combination with Ivermectin against Trichuris trichiura: A Randomized Controlled Trial.
Clin Infect Dis. December 2010;51(12):1420-8.
Stefanie Knopp; Khalfan A Mohammed; Benjamin Speich; Jan Hattendorf; I Simba Khamis; Alipo N Khamis; J Russell Stothard; David Rollinson; Hanspeter Marti; Jurg Utzinger

背景:アルベンダゾールおよびメベンダゾールの単剤投与は、鞭虫症の治療において限られた効果しかない。アルベンダゾールとイベルメクチンの併用は効能を改善するが、メベンダゾール-イベルメクチンの併用は過去に調査されていない。

方法:我々はタンザニア、ザンジバルの2つの学校のヒト鞭虫感染が寄生虫学的に確認された子供達において、アルベンダゾール(400mg)+プラセボ、アルベンダゾール+イベルメクチン(200μg/kg)、メベンダゾール(500mg)+プラセボ、メベンダゾール+イベルメクチンの効能と安全性を評価するため、無作為コントロール試験を実施した。治癒率(CR)、卵減数率をintent-to-treat解析により評価した。投与後48時間以内の有害事象をモニターした。

結果:完全なデータの記録が548人の子供達から入手できた。ヒト鞭虫に対して最も高いCRはメベンダゾール-イベルメクチン併用で認められた(55%)。それより低いCRはアルベンダゾール-イベルメクチン(38%)、メベンダゾール(19%)、アルベンダゾール(10%)で観察された。プラセボと比較して、イベルメクチンの使用はCR14%から47%に統計学的に有意に増加させた(オッズ比、0.19:95%信頼区間(CI)、0.12-0.28)。最も高い卵減数率はメベンダゾール-イベルメクチン併用(97%;95%CI、95%-98%)で観察され、続いてアルベンダゾール-イベルメクチン(91%;95%CI、87%-94%)、メベンダゾール(67%;95%CI、52%-77%)、アルベンダゾール(40%;95%CI、22%-56%)だった。有害事象は136人の子供たちで報告され、一般に軽度で投与方法の間に有意差はなかった。

結論:ヒト鞭虫に対し、アルベンダゾールおよびメベンダゾールへのイベルメクチンの追加は治療結果を改善させ、土壌伝搬性蠕虫コントロールプログラムおよび個々の患者の管理への使用で考慮されると思われる。(Sato訳)
■成虫と未熟な段階のネコノミ(Ctenocephalides felis)に対する犬のスピノサド(コンフォティス)の経口投与の効果
Effects of orally administered spinosad (Comfortis) in dogs on adult and immature stages of the cat flea (Ctenocephalides felis).
Vet Parasitol. 2010 Mar 25;168(3-4):312-7. Epub 2009 Dec 1.
Blagburn BL, Young DR, Moran C, Meyer JA, Leigh-Heffron A, Paarlberg T, Zimmermann AG, Mowrey D, Wiseman S, Snyder DE.

スピノサドの犬に寄生した成ノミ(Ctenocephalides felis)に対する効果を3つのコントロール盲検研究で評価した。ひとつの研究では実験的に外寄生させた犬に対する殺虫速度を決定するために行った。さらなる二つの追加研究は、ノミの卵での環境汚染を予防することに対するスピノサドの効果を評価するために企画された(アメリカとヨーロッパの研究)。アメリカでの研究のさらなる目的は、C. felisの卵や幼虫に対してスピノサドを投与した犬の皮膚や被毛の組織片の効果を評価することだった。
最小投与量である30mg/kgのビーフフレーバーのスピノサド錠あるいはプラセボを経口投与する犬をランダムに振り分けた。初めの研究において、殺虫速度はスピノサド投与後、0.5、1、2、4、8、12、24そして48時間で実施したノミ駆除コームによるカウントで決定した。スピノサドを投与した犬の幾何平均ノミ数の減少はプラセボと比較して、投与後53.7%(0.5時間)、64.2%(1時間)、85.8%(2時間)そして100%(4-48時間)であった(1時間以上でp<0.05 )。2つの卵産生に関する研究において、第0病日でスピノサドあるいはプラセボを犬に1回投与し、投与後3時間で約600匹のノミを寄生させ、1ヶ月以上の間隔で約600匹のノミを再寄生させた。それぞれの寄生後約72時間でノミの卵の採取を開始した。卵の生存率に関してスピノサドの全ての効果のために卵を検査した。スピノサドの効果は3、7、14、21、そして 30病日において採取した犬の被毛の組織片に対して環境の卵や幼虫を暴露することでも評価した。
スピノサドは両方の卵を採取する研究において、コントロールの犬に比べてノミの卵産生の減少に関し高い効果(全体の研究期間で99.8%以上)があった。スピノサドを投与した犬から回収した卵の数は、それらの卵の生存性を決定するには不十分だった。環境のノミのライフステージに関する全ての効果に対するエビデンスはなく、スピノサドを投与した皮膚の組織片にスピノサドは存在しないことを示唆している。多数の成ノミを寄生させた後、急速に成ノミを殺し、卵産生をおおいに抑える能力は、ノミのライフサイクルを破壊し、家庭において新しいノミ寄生の導入と確立を防ぐことにおいて重要である。(Dr.Kawano訳)
■1頭のピットブルの子犬にみられた寄生虫性脊髄炎
Verminous myelitis in a pit bull puppy.
J Vet Diagn Invest. May 2009;21(3):400-2.
Eric R Snook, David G Baker, Rudy W Bauer

10週齢のオスのピットブルが後肢不全麻痺および軸上筋萎縮で紹介されてきた。肉眼的検死で脊髄病変は認められなかったが、組織学的にT13-L2の脊髄に顕著な肉芽腫性脊髄炎が見られ、時折病巣内に線虫子虫が認められた。形態学的特徴をもとに、その線虫子虫は糞線虫属と同定され、Strongyloides stercoralisと思われた。(Sato訳)
■犬においてイヌノミ(Siphonaptera: Pulicidae)寄生の治療とコントロールに対するスピノサド錠の効果のスピードと持続期間の評価
Evaluation of speed and duration of efficacy of spinosad tablets for treatment and control of Ctenocephalides canis (Siphonaptera: Pulicidae) infestations in dogs.
Parasite. June 2009;16(2):125-8.
M Franc; E Bouhsira

犬において実験的にイヌノミを寄生させたコントロールに対し、スピノサドの新しい経口殺虫製剤の効果の持続期間を判定するため、対照臨床試験を実施した。
12頭のビーグル犬(6頭ずつの2群)で研究した。処置群の犬は、市販の薬用量で0日目にスピノサド錠を経口投与した。全ての犬に100匹のノミを-7、-1、7、14、21、28、35日目に寄生させた。犬は寄生させた後4時間目に櫛ですき、皮膚上のノミをカウントし元に戻した。寄生させた後24時間目にノミを櫛ですき、カウントして排除した。製剤の効果は処置後4時間目と24時間目に、それから新しく寄生させるたびに、その後4時間目と14時間目に算出した。
コントロール犬のノミの平均数は4時間目で65.1-83.3匹の間、24時間目で58.3-75.3匹の間だった。製品に対し犬はよく許容した。その処置で皮膚にすでに存在するノミを4時間で81%の効果、24時間で100%の効果を持ってコントロールした。毎週の寄生に対し、製品の作用スピードは速く、7日目で4時間目の効果は100%、14日目で96%、21日目で74%、28日目で42%、35日目で12.90%、45日目で12.8%だった。各寄生後24時間目に評価した効果は、3週間は100%、29日目で90%、36日目で81.4%、43日目で80.4%だった。
新しいスピノサド錠剤の1回投与で、主張(評価は記載で48時間目に実施)で言われるように4週間犬のノミをコントロールするはずである。スピノサド錠はノミの成虫に対し長く、速く効く経口投与の最初の製品である。(Sato訳)
■4頭の猫に見られた線虫感染による髄膜脊髄炎
Meningomyelitis due to nematode infection in four cats.
Vet Parasitol. June 2010;170(3-4):327-30.
M Gomez, M Mieres, M Moroni, A Mora, N Barrios, C Simeone, D S Lindsay

猫の脊髄で寄生虫の体内移行は珍しい。この報告は、線虫感染に関する慢性後肢不全対麻痺の猫4症例を述べる。全ての猫で完全神経学的、血液学的、血清化学、エックス線検査を実施した。1頭の猫で腰部のCT造影検査により脊髄のわずかな腫脹を認めた。
3頭の猫の胸部脊髄の剖検で広範囲の浮腫と顕著な髄膜下出血を認めた。組織病理学的検査で、全ての猫の病的脊髄領域の組織学的切片に、成熟した線虫と卵の多数の切片が存在した。線虫の形態学的特徴、病変の位置、出現は、それらの猫の麻痺の原因である寄生虫がGurltia paralysansであると示唆される。(Sato訳)
■犬の住血線虫の診断に対する気管支肺胞洗浄液の細胞学および寄生虫学的分析
Cytological and parasitological analysis of bronchoalveolar lavage fluid for the diagnosis of Angiostrongylus vasorum infection in dogs
Vet Parasitol. November 2008;158(1-2):93-102.
J M P Barcante, T A Barcante, Ribeiro , Oliveira-Junior , S R C Dias, Negrao-Correa , W S Lima

気管支肺胞洗浄(BAL)は、評価のために肺から細胞および他の要素を回収する方法で、多くの肺疾患の診断に役立つ。この研究の目的は、住血線虫感染の急性および慢性期の犬において細胞学的分析のためにこの方法を実施することと、この肺-心臓寄生虫に対する診断方法として、この方法の潜在能力を評価することだった。7頭の住血線虫感染犬とコントロール群として配置した5頭の非感染犬に対し、気管内チューブを使用してBAL処置を実施した。すべての感染犬の気管支肺胞液(BALF)から感染後60日の活動および生存子虫を回収した。さらに1頭の犬から出現期間前の子虫をBALFに回収できた。
この研究は、住血線虫感染が相対的好中球および好酸球数の増加を起こすことを報告する。対照的に感染後60-330日に肺胞マクロファージ相対数が有意に減少した。この研究はBALが犬の住血線虫症の正確な診断方法であることを示す。さらに、この方法は肺表面に配列する細胞や他の要素を回収して細胞学的評価を可能にし、炎症性疾患および住血線虫のような肺寄生虫の診断および予後についての情報が得られる。(Sato訳)
■実験状況下でニワトリダニ(Dermanyssusgallinae)に対するダニ駆除薬としてラベンダーエッセンシャルオイルの長期活性の欠如
Lack of prolonged activity of lavender essential oils as acaricides against the poultry red mite (Dermanyssusgallinae) under laboratory conditions
Res Vet Sci. December 2008;85(3):540-2.
D R George , K Callaghan , J H Guy, O A E Sparagano

ニワトリダニDermanyssusgallinae (De Geer)の従来の手段(すなわち合成ダニ駆除薬)による管理は、ますます問題となっている。可能性のある代替法としてD. gallinaeに毒性を持ついくつかの植物エッセンシャルオイルを研究で確認している。しかし、エッセンシャルオイルは揮発性が高く、どのダニ駆除効果も実際は短期間しか発揮できない。
この研究はD. gallinaeに対する6つのラベンダーエッセンシャルオイルの短期毒性を調査した。密封したペトリ皿で濃度0.14mg/cm(3)のエッセンシャルオイルを浸み込ませたフィルターペーパーにダニを暴露した。含浸後すぐにフィルターペーパーを使用したとき、使用したエッセンシャルオイルに依存して24時間後66-90%の死亡率が観察された。含浸したフィルターペーパーを使用前24時間通風室に放置した場合、D. gallinaeの死亡率は11%以下まで落ちた。(Sato訳)
■眼球結膜下腔からの東洋眼虫の摘出
Removal of Thelazia callipaeda from the subconjunctival space.
Eur J Ophthalmol. 2007 Mar-Apr;17(2):266-8.
Yagi T, Sasoh M, Kawano T, Ito K, Uji Y, Ando K.

目的:人の眼球結膜下腔に寄生した東洋眼虫の発見に関する報告

方法:2年前に外傷性結膜裂創の病歴がある81歳の女性の右眼の眼球結膜下腔に白い虫体が見られた。

結果:検査中注目するような結膜の裂創がなかったので、眼球結膜下腔から局所角膜周囲切開で5匹の虫を取り出した。これらの虫体は、東洋眼虫と同定した。

結論:東洋眼虫は口の中に鉤あるいは鋭い棘がないため眼に穴を掘ることが出来ない。従って、2年前の結膜裂創部からこれらの虫体が眼球結膜下腔に進入したと推測する。(Dr.Kawano訳)
■実験的にトキソプラズマゴンヂに感染させた猫におけるオーシストの排泄および再排泄の経口クリンダマイシン投与による予防:予備的研究
Prevention of Shedding and Re-Shedding of Toxoplasma gondii Oocysts in Experimentally Infected Cats Treated with Oral Clindamycin: A Preliminary Study
Zoonoses Public Health. September 2008;0(0):.
A Malmasi, Mosallanejad , Mohebali , Sharifian Fard , Taheri

この研究の目的は、トキソプラズマゴンヂに感染した猫における予防的経口クリンダマイシンの効果を評価することだった。12頭の短毛猫を2つのグループに分けた(1群および2群)。実験前にそれらの猫でT. gondii抗体の力価は検出されなかった。1群の猫にはT. gondiiの組織シストを感染させ、2群は感染させてクリンダマイシン(20mg/kg/day)を投与した。感染は0日目に各猫にほぼ40-50組織シストで実施した。2群の猫はクリンダマイシン経口投与を24日間(-3日目から21日目)行った。45日目、1群と2群を3頭ずつの2つのサブグループに振り分けた。サブグループ1Aと2Aは30日間デキサメサゾン(1 mg/kg/day)で免疫抑制を行い、サブグループ1Bおよび2Bは免疫抑制を行わなかった。
オーシスト検出の糞便検査をT. gondii感染後30日目、免疫抑制後30日目に行った。感染後1群の全ての子猫はオーシストを排泄し、2群の猫は排泄しなかった。免疫抑制期間後、1A群の全ての猫はオーシストを再排泄し、2A群の猫は排泄しないままだった。しかしサブグループ2Bの子猫のうち2頭(66.6%)は、再チャレンジ後19-20日でオーシストを排泄した。この予備研究をもとに、クリンダマイシンは猫のオーシスト排泄に対し、極度の免疫抑制下でさえも完全な抑制効果を持ち、これは他で報告されていない新しい所見である。(Sato訳)
■メキシコシティの家猫におけるトキソプラズマゴンヂに対する抗体の普及率
Prevalence of antibodies against Toxoplasma gondii in domestic cats from Mexico City
Vet Parasitol. November 2008;157(3-4):310-313.
Besne-Merida, Figueroa-Castillo , Martinez-Maya , Luna-Pasten , Calderon-Segura , Correa

家猫における抗トキソプラズマゴンヂIgG抗体の頻度を判定するため、また陽性リスクファクターを確認するのに、メキシコシティの16の地方自治体の家猫169頭を研究した。血清を間接ELISAで検査し、オーナーには年齢、性別、トイレの衛星状況、他の猫との接触、住居(屋内、屋外)、食餌についての質問に答えてもらった。我々は、年齢に応じて頻度が増加するT.ゴンヂに対する血清陽性猫37頭(21.8%)を認めた。主なリスクファクターは、メス、生の餌の給餌、トイレの清掃不足だった。メキシコシティの家猫に見られたT.ゴンヂ抗体の頻度は、都市環境内への活動的な伝播を示唆する。(Sato訳)
■東洋眼虫に自然感染した犬に対するミルベマイシンオキシム(Interceptor)の治療効果と予防効果
Therapeutic and prophylactic efficacy of milbemycin oxime (Interceptor) against Thelazia callipaeda in naturally exposed dogs.
Vet Parasitol. 2008 Jul 4;154(3-4):351-3. Epub 2008 Mar 18.
Ferroglio E, Rossi L, Tomio E, Schenker R, Bianciardi P.

東洋眼虫(旋尾線虫目、テラジア科)感染に対してミルベマイシンオキシム(Interceptor, ノバルティスアニマルヘルス社)の治療および予防活性を評価するために2つの試験を行った。1つめの試験では、最低0.5mg/kgの投与量のミルベマイシンオキシムで治療した55頭の自然感染犬で、その治療効果を評価した。治療前と治療7日後で眼虫の存在を臨床的に検査した。まだ寄生していた犬には2回目の治療を行い、1週間後に再検査した。治療した55頭中48頭が治療後1週間で陰性になった(感染率が87.3%減少)。2回目の治療に続いて、治療した7頭の犬のうち6頭が1週間後に陰性となり、2回の治療における感染率の減少は98.2%となった。
2つ目の試験でミルベマイシンオキシムの予防効果を感染していない60頭の犬で評価した。30頭の犬は6月-11月まで月に1回、フィラリア症の予防推奨投与量(0.5mg/kg以上)のミルベマイシンオキシムで治療し、30頭の犬は無治療のコントロールとした。試験終了時、治療したグループの1頭とコントロールグループの10頭は試験中に感染していた。感染率は治療した犬とコントロールの犬では明らかに違った(p=0.0056)。ミルベマイシンオキシムの月1回の予防的使用効果はT. callipaeda感染率の軽減において90%の効果であった。(Dr.Kawano訳)
■ミルベマイシンオキシムによる食道虫症の治療
Treatment of esophageal spirocercosis with milbemycin oxime
Vet Parasitol. June 2008;0(0):.
P J Kelly, M Fisher, H Lucas, R C Krecek

6頭の雑種中型犬をミルベマイシンオキシムで治療し(11.5mg、0、7、28日目とそれから毎月)、3-44日後に血色食道虫卵の便中排泄がなくなった。最初の治療から31-133日の間に実施した再検査(約5回/犬)でその後の虫卵排泄の所見はなかった。全頭の食道結節は95-186日以内に消失し、検査した5頭のエックス線像は85-127日以内に解消した。この予備データは、食道虫症の治療に対するミルベマイシンオキシムを更に評価する価値があることを示す。(Sato訳)
■妊娠犬に対するイミダクロプリド10%に加えモキシデクチン2.5%局所用液の投与による子犬の新生児犬鈎虫感染予防の調査
Investigations into the Prevention of Neonatal Ancylostoma caninum Infections in Puppies by Application of Imidacloprid 10% Plus Moxidectin 2.5% Topical Solution to the Pregnant Dog
Zoonoses Public Health. September 2008;0(0):.
Kramer , C Epe, Mencke

この調査の目的は、妊娠犬へのイミダクロプリドとモキシデクチンを組み合わせた1回の局所投与が、再活性化した犬鈎虫子虫の新生児感染を予防できるかどうかを検査することだった。
犬鈎虫に感染した3頭の妊娠ビーグルに、妊娠56日目に混合薬剤を局所投与した。追加の3頭は無処置コントロールとした。処置は子犬への新生児感染を完全に予防した。同腹子毎で検査した2頭の子犬で腸管ステージあるいは体子虫ともに見られなかった。処置群のすべての子犬および母親は糞便検査陰性を維持した。母親あるいは子犬で副作用は観察されなかった。無処置の母親3頭中2頭は、分娩後明白な感染を示した。各陰性コントロール同腹子のうち2頭の子犬の剖検で、合計5匹の腸管および7匹の体犬鈎虫ステージが明らかとなった。無処置母親のうち1同腹子は、分娩後33日間明白な感染を示した。他の2同腹子で、代表的なサンプルサイズを収集できなかった。(Sato訳)
■三鞭毛トリコモナスfoetusに実験的に感染させた猫のチニダゾールによる治療効果
Efficacy of tinidazole for treatment of cats experimentally infected with Tritrichomonas foetus
Am J Vet Res. October 2007;68(10):1085-8.
Jody L Gookin1, Stephen H Stauffer, Maria R Coccaro, Matthew F Poore, Michael G Levy, Mark G Papich

目的:Tritrichomonas foetus感染を実験的に誘発させた猫の治療に対するチニダゾールの効果を判定する

動物:8頭の特定病原体がいない子猫

方法:インビトロで猫分離T foetusに対するチニダゾールの活動性を試験した。子猫に同分離体を口胃的に感染させ、チニダゾールで治療(30mg/kg、PO、24時間毎14日間)、または治療しなかった。下痢を誘発させるためにチニダゾール投与中止後28週目にアモキシシリンを投与した。33週間、糞便をPCR法および微生物培養で繰り返し検査した。

結果:インビトロでチニダゾールは10μg以上の濃度でT foetusを死滅させた。実験的に感染を誘発し、4頭中2頭の猫で30mg/kgのチニダゾール投与により分子検出限界以下にT foetusを減少させた。アモキシシリンで下痢を誘発させたとき、T foetus排泄の再燃は、チニダゾール投与を受けていた猫で減少した。

結論と臨床関連:チニダゾールはT foetus検出を低下させ、治療した猫は、感染を刺激する試みに抵抗したが、チニダゾールが多くの猫で感染を根絶できないことは、臨床で薬剤の有効性に重大な障害となる。(Sato訳)
■犬の肝吸虫とプラジクアンテルによる治療
Liver flukes in dogs and treatment with praziquantel
Vet Parasitol. December 2007;150(4):362-5.
R K Schuster, J Heidrich, A Pauly, K Nockler

オピストルキス卵が27頭中6頭(22%)のハスキーから見つかり、一方でELISAにより猫肝吸虫およびMetorchis bilisに対する抗体が、それら犬の血清からそれぞれ24頭(89%)、25頭(93%)で検出された。全ての犬はグルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性上昇を示したが、ASTは正常だった。プラジクアンテル投与後10週目には、どの犬の糞中にも吸虫卵は見られず、抗体価も落ちた。(Sato訳)
■実験的犬リーシュマニア症の治療におけるリポソームトリフルラリンの効果
Efficacy of the liposome trifluralin in the treatment of experimental canine leishmaniosis
Vet J. September 2007;0(0):.
C Marques, M Carvalheiro, M A Pereira, J Jorge, M E M Cruz, G M Santos-Gomes

リポソームは運搬薬剤のキャリアーとして、リーシュマニア症の症例のような単核食細胞系細胞に感染が存在する疾患の治療に使用される。トリフルラリンはインビトロで抗リーシュマニア活性を持つジニトロアニリンである。リポソームトリフルラリン(LIP/TFL)の効果は、5頭のメスのビーグル犬の骨髄内、リンパ節、皮膚および末梢血単核球細胞における限界希釈アッセイ、間接蛍光免疫学的検定による抗リーシュマニア抗体、逆転写酵素-PCRによるサイトカイン発現の追跡調査を利用した寄生虫負荷量の定量を通して実験的犬リーシュマニア症の治療で研究した。治療後、臨床症状の全身寛解を示した犬は、寄生虫負荷量の減少およびTh1サイトカインmRNA発現と関連したが、抗体レベルは有意な減少ではなかった。LIP/TFLの代替治療シェーマは、最適な結果を出すのに必要である。(Sato訳)
■ポーランド中央の都会および田舎において診断された子供のトキソカラ症に対する環境および個人的リスクファクター
Environmental and personal risk factors for toxocariasis in children with diagnosed disease in urban and rural areas of central Poland
Vet Parasitol. August 2008;155(3-4):217-22.
Jakub Gawor, Anna Borecka, Hanna Zarnowska, Magdalena Marczy?ska, Sabina Dobosz

ヒトトキソカラ症の疫学を調査するため、ポーランド中央で診断された194人の子供(田舎80人、都会114人)の家庭で現地調査を実施した。リスクファクターの可能性を言及するアンケートをその両親に依頼した。検査した家庭で、トキソカラ卵による土壌の総汚染率は、田舎で27.5%、都会で21.1%で有意差はなかった(カイ二乗=1.08、p=0.2986)。田舎の居住地における家の周りの囲い地の29.3%に汚染が見つかり、都会では、家の庭の25.0%、個人の囲い地の26.4%、公的砂場の10.7%が陽性だった。陽性サンプルの頻度は、田舎の囲い地および都会の砂場でのみ相違があった(カイ二乗=3.85、p=0.0499)。
この研究は、彼らの居住地の場所で疾患の子供に対する再感染のリスクが高いことを示した。トキソカラ症が診断されたにもかかわらず、さらに感染を避けるような処置をしない両親により子供に適切に管理がなされてなかった。それらのデータから、子供のトキソカラ感染を予防することを実行すべき教育プログラムが強く必要とされることを示す。(Sato訳)
■猫の眼トキソプラズマ症:症例研究と文献レビュー
Feline Ocular Toxoplasmosis: A Case Study and Literature Review
Aust Vet Pract. March 2008;38(1):2-8. 48 Refs
SM Hughes, F Hill

6歳メスの家猫短毛種が右眼の視力喪失、角膜浮腫、虹彩色素変化を呈した。オーナーは眼球摘出を選択し、その後組織病理検査で、アピコンプレックス門ブラディゾイトが強膜内に見つかった。IgMに対する標準ラテックス凝集がトキソプラズマに対し1/128の希釈で生じた。左眼に同続発症が発生するのを予防するためにクリンダマイシン(15mg/kg、PO、BID、28日間)で治療を開始した。猫トキソプラズマ症の病因、診断、治療の概要を考察で述べる。(Sato訳)
■雌の日本猫における皮膚トキソプラズマ症
Cutaneous toxoplasmosis in a female Japanese cat
Vet Pathol. September 2007;44(5):683-7.
C-H Park, H Ikadai, E Yoshida, H Isomura, H Inukai, T Oyamada

16歳雌の日本猫に、直径約3cmの単一乳腺結節を認めた。組織学的にその結節は、遊離および群をなした原生動物を含む壊死性肉芽腫性皮下脂肪組織炎、脈管炎、乳腺炎に一致した。原生動物は、マクロファージ、線維芽細胞、内皮細胞、乳腺上皮の細胞質に存在した。原生動物は抗Toxoplasma gondiiおよび抗Neospora caninum抗体に陽性だった。電子顕微鏡検査で、単一およびグループのタキゾイトを示し、それはT. gondiiのそれの形態学的特徴に類似していた。ポリメラーゼ連鎖反応およびデオキシリボ核酸配列分析はT. gondii感染に一致した。これは日本猫における皮膚トキソプラズマ症の最初の報告である。(Sato訳)
■犬の皮毛の犬回虫卵汚染
Contamination of dog hair with eggs of Toxocara canis
Vet Parasitol. March 2008;152(1-2):85-93.
Gillian Roddie, Peter Stafford, Celia Holland, Alan Wolfe

犬や狐の一般的な腸管線虫の犬回虫は、人のトキソカラ症の原因寄生虫である。最近は犬が犬自身の毛に寄生虫の卵を忍ばせているかもしれないと示されている。 この主張をさらに調査するため、腸内の成熟した回虫感染と皮毛中に忍ばせている虫卵の罹患率と程度を確立するのに野良犬100匹の集団で検査した。皮毛から虫卵を洗い出す新しい方法を使用した。67%の犬が犬回虫卵を皮毛に忍ばせていることがわかり、陽性犬から平均約584個/gの虫卵が回収された。犬の年齢は虫卵の罹患率および程度に影響する唯一の有意な因子だとわかり、全ての虫卵の95%は子犬から回収された。39%の犬の腸に犬回虫が見つかったが、成犬(22.5%)よりも子犬(80%)において有意に高い比率で感染していた。また、子犬は成犬よりも1感染あたりの虫体数が多く、成犬では見られない虫卵と虫体数の強い陽の相関があった。それらの研究は、野良犬、特に子犬で土壌または一般環境で報告されるものよりもかなり高密度で皮毛にかなりの虫卵を潜ませている可能性を示す。(Sato訳)
■イギリスの下痢をしている猫のTritrichomonas foetus感染の罹患率
Prevalence of Tritrichomonas foetus infection in cats with diarrhoea in the UK
J Feline Med Surg. April 2007;0(0):.
D A Gunn-Moore, Theresa M McCann, Nicki Reed, Kerry E Simpson, Bryn Tennant

イギリスの下痢を呈す111頭の猫の糞便サンプルで、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)による三鞭毛トリコモナス foetausの評価を行った。16検体(14.4%)が陽性だった。アメリカの研究と一致し、感染猫は大部分が1歳以下および純血種でシャムおよびベンガル猫が特にこの集団で目立った。(Sato訳)
■ロンドンの獣医中毒情報サービス(VPIS)に報告された猫ペルメトリンスポットオン中毒の臨床的影響と結果
Clinical effects and outcome of feline permethrin spot-on poisonings reported to the Veterinary Poisons Information Service (VPIS), London
J Feline Med Surg. August 2007;9(4):335-9.
Nicholas M Sutton, Nicola Bates, Alexander Campbell

ペルメトリンは、スポットオンのノミ治療で皮膚に用いられるピレスロイド系殺虫剤である。ペルメトリンベースのスポットオン製剤は、中毒のリスクが高いため猫で禁忌である。獣医中毒情報サービス(VPIS)は、イギリスで獣医専門医が中毒の動物の管理に対する情報を提供する24時間アクセス可能な電話サービスである。ペルメトリンスポットオン(PSO)製剤の不適切な猫への暴露に関し、VPISに報告された286件の再検討で、96.9%は症候性だった。筋肉活性の増加(単収縮、震顫、筋線維束攣縮、または痙攣)は一般的で、87.8%の症例に発生した。筋肉活性増加の時間は長く、痙攣は平均38.9時間、震顫は32時間続いた。回復は典型的に2,3日以内に見られたが、5-7日かかる症例もいた。10.5%の症例は死亡した。(Sato訳)
■2005年のイギリスで犬猫のノミ寄生の調査
Survey of flea infestation in dogs and cats in the United Kingdom during 2005
Vet Rec. April 2007;160(15):503-6.
R Bond, A Riddle, L Mottram, F Beugnet, R Stevenson

2005年の間、31のイギリスの動物病院がノミ寄生の調査に参加し、2653頭の犬と1508頭の猫でノミ寄生所見とノミアレルギー性皮膚炎(fad)に匹敵する皮膚疾患を検査した。猫のノミ寄生率は21.9%で有意に犬(6.82%)よりも高かった(P<0.001)。fadに一致する皮膚病変の罹患率も、犬(3.32%)より猫(8.02%)で有意に高かった(P<0.001)。ノミ寄生は1頭以上のペットがいて、猫のいる家庭でより一般的だった。猫で同定したノミ457匹のうち、462匹(98.93%)はネコノミ、1匹はイヌノミ、1匹はArchaeopsylla erinacei、2匹はヒトノミ、1匹はSpilopsyllus cuniculiだった。犬で同定した336匹のノミのうち、313匹(93.15%)はネコノミ、5匹はイヌノミ、12匹はA erinacei、5匹はヒトノミ、1匹はCeratophyllus (Nosophyllus) fasciatusだった。犬猫のオーナーのほぼ半数は、ペットのノミ寄生に気づいていなかった。ノミおよび潜在的にfadに匹敵しえる皮膚病変の全体の罹患率は、犬で7.46%、猫で22.28%だった。(Sato訳)
■feline Tritrichomonas foetus感染の治療に関するロニダゾールの有効性

Efficacy of ronidazole for treatment of feline Tritrichomonas foetus infection
J Vet Intern Med. 2006 May-Jun;20(3):536-43.
Jody L Gookin, Christina N Copple, Mark G Papich, Matthew F Poore, Stephen H Stauffer, Adam J Birkenheuer, David C Twedt, Michael G Levy

要約

目的:in vitroでのTritrichomonas foetuに対するロニダゾール(RDZ)、チニダゾール(TDZ)、そして、メトロニダゾール(MDZ)の有効性と、猫の自発性あるいは実験的T. foetus 感染の治療に関するRDZの有効性を明らかにすることです。
動物:T.foetusに自然感染し下痢を起こしている猫1頭。特定病原体フリー(SPF)の子猫10頭。
手順:RDZ、TDZ、そしてMDZに関し、in vitroで3つの異なったT.foetusの猫分離株に対する活性を検査しました。それからRDZは自然感染猫に対し、10mg/kgPOq24hで、10日間投与しました。SPF子猫にfeline T. foetusを口胃的に感染させ、プラセボ、またはRDZ(10mg/kgPOq12h 14日間)のいずれかで治療しました。再発した猫、あるいはプラセボを受けた猫は、その後RDZ(30mg/kgあるいは50mg/kgのいずれかPOq12 h14日間)で治療しました。毎週、糞便を直接鏡検、培養、およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により検査しました。
結果:RDZとTDZの両方とも、in vitroで>0.1μg/ml濃度でT.foetusを殺菌しました。 自然感染猫において、RDZは、再感染と下痢の再発した治療後85日間、T.foetusの感染と下痢を完全に消散させました。RDZの再治療で、下痢とT.foetus感染を407日以上にわたり根絶しました。実験感染猫において、RDZ10mg/kgで最初改善をもたらしましたが、治療後2から20週で、5頭全てが再発しました。30あるいは50mg/kgで、治療後21から30週の追跡期間で、10/10の猫がT.foetus陰性でした。
結論と臨床関連:RDZの30から50mg/kg q12h、14日間の経口投与は、下痢を消散させ、1頭の自然感染猫とT.foetusの異なる分離株を実験的に接種された10頭の猫において、(ポリメラーゼ連鎖反応[PCR]検査に基づいた)感染を根絶しました。(Dr.K訳)
■台湾の鳩(Columba livia)のトキソプラズマ・ゴンヂ抗体罹患率
Prevalence of antibodies to Toxoplasma gondii in pigeons (Columba livia) in Taiwan
J Parasitol. August 2006;92(4):871.
Yu-Jen Tsai, Wen-Cheng Chung, Hsien Hsien Lei, Ying-Iing Wu

2004年1月から2004年12月まで、台湾の11郡20地域の44の鳩飼育所から665の鳩の血液血清サンプルを採取した。それらのサンプルのトキソプラズマ・ゴンヂ抗体をラテックス凝集試験(LAT)により調査した。LAT力価1:32以上で鳩の4.7%(31/665)に抗体が見つかった。台湾での罹患率は北部(6.0%;13/216)で最も高く、東部(1.8%;2/111)で最も低かった。(Sato訳)
■飼育猫のジアルジアとコクシジウムの有病率とリスクファクター:2003-2004
Prevalence and risk factors for Giardia and coccidia species of pet cats in 2003-2004
J Feline Med Surg. May 2006;0(0):.
Andrea C De Santis-Kerr, Malathi Raghavan, Nita W Glickman, Richard J Caldanaro, George E Moore, Hugh B Lewis, Peter M Schantz, Lawrence T Glickman

猫コクシジウムとジアルジア種感染の有病率とリスクファクターを、2003-2004年に40州434の病院を訪れた猫で調査した。評価した631021頭は1456712回病院を訪れ、211105回糞便検査を行っていた。コクシジウムとジアルジアの総糞中有病率はそれぞれ1.4%と0.58%だった。コクシジウム感染のリスクが高い猫は、4歳以下、未不妊で、冬よりも夏、秋、春の間に見られた。ジアルジア感染のリスクが高い猫は4歳以下だった。リスク低下は雑種で、夏、秋、春の間に見られた。コクシジウムとジアルジア感染の最も高いリスクの地域は、South Pacific地域に比べEast South Central地域とMountain 地域だった。(Sato訳)
■イヌにおけるイベルメクチンとドラメクチンの皮下投与と経口投与後の血漿性質の比較
Comparative plasma dispositions of ivermectin and doramectin following subcutaneous and oral administration in dogs.
Vet Parasitol. 2006 Feb 18;135(3-4):347-54. Epub 2005 Nov 8.
Gokbulut C, Karademir U, Boyacioglu M, McKellar QA.

この研究では40日の間、イベルメクチン(IVM)とドラメクチン(DRM)を 犬に経口そして皮下投与(200microg/kg)した後の血漿性質の比較を評価した。20頭のメス犬を体重によりそれぞれ5頭の4つのグループ(グループI-IV)に分けた。最初の2つのグループ(グループIとII)の動物に、それぞれIVMとDRMの注射液を200microg/ kgの投与量で経口的に投与した。他の2つのグループ(グループIIIとIV)では同じ投与量で皮下注射した。治療後1時間と40日の間に血液検体を採取し、血漿検体は蛍光検出を使用した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析した。
両方の薬物の経口投与後のドラメクチン(C(max) 86.47+/-19.80 ng/ml, t(max): 0.12+/-0.05 day, AUC: 183.48+/-13.17 ng day/ml)と比べて、イベルメクチンはよりゆっくり(最大血中濃度到達時間t(max): 0.23+/-0.09 日)吸収され、より大きい血漿濃度―時間曲線下面積 (AUC: 236.79+/-41.45 ng day/ml)と共に明らかに高い最大血漿濃度(C(max): 116.80+/-10.79 ng/ml)を示した。しかし皮下投与後のイベルメクチンとドラメクチンの薬物動態学的パラメーターにおいて有意差は観察されなかった。さらにイベルメクチンとドラメクチンの経口投与に比べて、イベルメクチンとドラメクチンの皮下注射のほうがゆっくり吸収(t(max): それぞれ1.40+/-1.00 day と 1.70+/-0.76 day)され血漿濃度―時間曲線下面積はより大きく(AUC:それぞれ 349.18+/-47.79 ng day/ml and 292.10+/-78.76 ng day/ml)、明らかに最大血漿濃度(C(max):それぞれ 66.80+/-9.67 ng/mlと54.78+/-11.99 ng/ml)が高かった。両方の分子に半減期((t(1/2lambda(z))と平均滞留時間(MRT)に違いは見られなかった。薬理学的パラメーターを考えると、イベルメクチンとドラメクチンは寄生虫感染した犬のコントロールに経口投与と皮下投与によって利用できる。(Dr.Kawano訳)
■犬にセラメクチン局所投与後の薬物動態
Pharmacokinetics of selamectin in dogs after topical application.
Vet Res Commun 28[5]:407-13 2004 Jul
Dupuy J, Derlon AL, Sutra JF, Cadiergues MC, Franc M, Alvinerie M

セラメクチンの薬物動態パラメータのいくつかを、ビーグルオス(n=5)、メス(n=5)に6mg/kgで局所投与後測定した。薬剤に対する血漿濃度v.s.タイムデータを1-区画モデルを用い分析した。投与から約5日、オスの最大血漿濃度は12.72±5.13ng/ml、メスは22.65±11.95ng/mlだった。濃度-時間曲線下面積(AUC)はオスで192.08±63.85ng.day/ml、メスで370.97±146.87ng.day/mlだった。平均滞留時間はオス、メス同様だった(12.55日)。この研究は、犬の血漿でセラメクチンの性質に性別の影響があることを示し、犬の効能研究の相関するさらなる研究が必要であることを意味する。(Sato訳)
■ネコノミ(Ctenocephalides felis)を実験感染させたフェレットに対するイミダクプリドの有効性

Efficacy of Imidacloprid on Ferrets Experimentally Infested with the Cat Flea, Ctenocephalides felis
Compend Contin Educ Pract Vet 23[4]:8-10 Apr'01 Symposium 7 Refs
M.A. Fisher, BVetMed, CBiol, MIBiol, MRCVS; D.E. Jacobs, BVMS, PhD, FRCVS, FRCPath; M.J. Hutchinson, BSc, HND(Agric); J.W. McCall, MS, PhD

10mg/kgの用量、もしくは0.4mlの10%ピペットをフェレットあたり1本での局所イミダクプリド(アドバンテージ)投与は、総計26用量を受けた合計20頭のフェレットによく許容されました。処置は定着したノミを除去するのに有効で、効果は次のノミチャレンジまでの、10mg/kgで投与後1週間と10%w/vイミダクプリドの0.4mlピペット1本投与後3週間まで、持続しました。
注解:これはコンペンディウム(Vol23,No4)の付録です。2001年北アメリカ獣医カンファレンスで、シンポジウムのプロシーディングに含まれました。(Dr.K訳)
■神経性トキソプラズマ症が疑われた4頭の犬の救急外来
Emergency presentations of 4 dogs with suspected neurologic toxoplasmosis
J Vet Emerg Crit Care 15[2]:119-127 Jun'05 Case Series 34 Refs
Jeremy M. Tarlow, DVM, Elke Rudloff, DVM, DACVECC, Marla Lichtenberger, DVM, DACVECC and Rebecca Kirby, DVM, DACVIM, DACVECC

目的:トキソプラズマ症感染と一致した症状を伴う犬の特色、臨床的徴候、異常な検査データ、治療、および治療への反応を再検討する。

一連の要約:神経症状を呈し、Toxoplasma gondii に対する高い抗体価を持った、1998年1月から2000年2月の間に動物緊急センターに来院した4匹の犬に関する記録に基づいて回顧的検討を実行した。トキソプラズマ症の仮診断は以下の評価基準の1つ以上に基づいて下された。: (1) 血清T.gondii IgG抗体価が連続で4倍以上の大きい変化2)血清T.gondii IgG抗体価の増加と共に血清T.gondii IgM 抗体価の連続した減少または、3)脳脊髄液(CSF) におけるT.gondii 抗体価陽性。

さらに、症例は抗原虫薬による治療に続いて神経学的徴候の改善が見られた犬に限定した。トリメトプリムースルファメトキサゾールによる治療はすべての犬において臨床症状の改善と関連した。2頭の犬がトリメトプリムースルファメトキサゾール(TMS)によるものと考えられる副作用に発展し、抗原虫薬による治療はクリンダマイシンで続けた。

独自の情報提示:トキソプラズマ症は中枢性あるいは末梢性神経症状を伴う緊急疾患として来院したすべての犬において重要な鑑別診断である。影響を受けた犬がトキソプラズマ症の臨床的徴候を示すのに免疫無防備状態というわけではない。 TMSかクリンダマイシンによる適切な処理で臨床的徴候の解決につながる。(Dr.Kawano訳)
■虫卵、オーシストの回収における一般的な糞便浮遊法の比較
Comparison of Common Fecal Flotation Techniques for the Recovery of Parasite Eggs and Oocysts
Vet Ther 6[1]:15-28 Spring'05 Clinical Trial 13 Refs
M. W: Dryden, DVM, PhD; P. A. Payne, DVM, PhD; R. Ridley, DVM, PhD; V. Smith, RVT

糞便中の虫卵やオーシストの検出にさまざまな方法が利用できる。この研究は単純浮遊法、市販の検査、種々の遠心沈殿法、3種の一般的な浮遊法溶液の効果を比較した。結果は他の方法より多くの卵を遠心沈殿法がコンスタントに回収することを示す。浮遊液の比重を補正し、カバーガラスで検査する前に十分な時間をおくなど適切な方法が重要である。多くのコンパニオンアニマルの寄生虫による人畜共通の健康リスクのため、獣医師やスタッフは、通常の診断プランに糞便検査をうまく活用すべきである。(Sato訳)
■フィプロニル製剤を使用したハジラミの効果的治療とコントロール
Effective treatment and control of biting lice, Felicola subrostratus (Nitzsch in Burmeister, 1838), on cats using fipronil formulations.
Vet Parasitol 121[1-2]:157-65 2004 May 7
Pollmeier M, Pengo G, Longo M, Jeannin P

0.25%フィプロニルスプレー(フロントラインスプレー、Merial)、10%フィプロニルスポットオン(猫用フロントラインスポットオン、Merial)、10%フィプロニル/12%(S)-メトプレン(猫用フロントラインプラス、Merial)のネコのハジラミFelicola subrostratusに対する効果を実験状況下で評価し、確認した。野外研究は、ネコの寄生虫に対するフロントラインスプレーとスポットオンの単剤局所投与の効果を評価した。実験研究で、治療群に対し治療前のシラミ数を基準にネコを振り分けた。(1)無治療コントロール、(2)実験研究で10%フィプロニルスポットオン、または確認研究で (1)無治療コントロール、(2)0.25フィプロニルスプレー、6ml/kg、(3) ラベルどおりの10%フィプロニルスポットオン、(4)ラベルどおり10%フィプロニル/12%(S)-メトプレンとした。
治療群2-4の猫は、0日目と28日目に2回投与した。どの治療後の検査でも、フィプロニル製剤を投与したネコで生きているハジラミは見つからなかった。コントロールとの差は、各検査時各製剤に有意に見られた。42日目の全頭の寄生数をもとに、各製剤の効果を100%と判定した。野外研究で、ネコを来院時の厳密な順番で振り分けた。ネコを無作為に3つの治療に振り分けた。(1)プロポクサー首輪(ボルホ、Bayer)、(2)0.25%フィプロニルスプレー、6mg/kg、(3)ラベルどおりの10%フィプロニルスポットオン)だった。ネコは0日目に一度治療した。フィプロニル製剤で治療したネコのハジラミ数は、プロポクサー首輪を付けたネコと違いはなかった。全ての治療群で、2日目の効果は>98%、28、42日目は100%と判定した。それら研究結果は、
フィプロニルの局所性剤が、ネコのハジラミ(Felicola subrostratus)寄生の効果的な治療とコントロールが可能であると示している。(Sato訳)
■猫の自然発生のツメダニ症におけるセラメクチンの効果
Can Vet J 43[10]:767-70 2002 Oct
Chailleux N, Paradis M
Efficacy of selamectin in the treatment of naturally acquired cheyletiellosis in cats.

この研究の目的は、猫のツメダニ症の治療で、セラメクチンの局所製剤の効果を評価することです。Cheyletiella spが自然発生している同家族からの成家猫15頭を研究に用いました。それぞれの猫に対し、セラメクチン45mgを、0日、30日、そして60日に投与しました。試験中、他の治療や環境対策は、一切、行いませんでした。0日、30日、60日、そして120日に全ての猫を検査し、顕微鏡検査のために、ノミ取りコームを使って、背側領域から上皮片を回収し、また糞便浮遊法も実施しました。臨床徴候は、15頭全ての猫で60日目に治まり、1年後の追跡調査で、再発徴候も認めませんでした。全ての上皮、糞サンプルは、60日までには陰性でした。いかなる副作用も観察されませんでした。我々の研究の条件下で、局所セラメクチンは、猫におけるツメダニ症に対する治療手段として適応可能でした。(Dr.K訳)
■大型ヘモバルトネラ・フェリスを実験的に感染させた猫のエンロフロキサシンによる治療
Use of Enrofloxacin for Treatment of Large-Form Haemobartonella felis in Experimentally Infected Cats
J Am Vet Med Assoc 221[2]:250-253 Jul 15'02 Prospective Study 20 Refs
Kristy L. Dowers, DVM; Christine Olver, DVM, PhD; Steven V Radecki, PhD; Michael R. Lappin, DVM, PhD, DACVIM

目的:実験的にヘモバルトネラ・フェリスを感染させた猫で、エンロフロキサシン、ドキシサイクリンによる治療と無治療を比較する事

構成:前向き対照試験

動物:猫16頭

方法:慢性感染ドナーから大型ヘモバルトネラ・フェリスを接種した。猫を4つの治療群に振り分けた:ドキシサイクリン(5mg/kg、経口12時間毎)、低用量エンロフロキサシン(5mg/kg、経口24時間毎)、高用量エンロフロキサシン(10mg/kg、経口24時間毎)、そして無治療コントロール群。臨床症状、Hct、血液塗抹、PCR法を使用し感染の進行をモニターした。

結果:血液塗抹評価とPCR法の結果により、全頭ヘモバルトネラ・フェリス感染を確認した。低容量エンロフロキサシン群の治療中はHctは変化しなかったが、治療期間後にコントロール群より有意に上昇した。治療期間中に、ドキシサイクリン群と高用量エンロフロキサシン群は、コントロール群に比べ、赤血球1000個中の病原体の数が有意に速い割合で減少した。治療期間後、ドキシサイクリン、低容量、高用量エンロフロキサシン群の病原体数は、コントロール群より有意に速い割合で減少した。PCR法陽性結果数に治療の影響はなかった。グルココルチコイドによる免疫抑制を行っても、エンロフロキサシンの2頭とドキシサイクリンの1頭にヘモバルトネラは見られなくなった。

結論と臨床関連:これら結果は、エンロフロキサシンに抗ヘモバルトネラ・フェリス効果があるという仮説を支持する。(Sato訳)
■家ネコにおけるヘパトゾーン種感染:回顧的研究
Baneth G et al; Vet Parasitol 1998 Oct;79(2):123-33; Hepatozoon species infection in domestic cats: a retrospective study.

ヘパトゾーン種はネコにおける末梢血好中球の寄生原虫である。ネコヘパトゾーン症は稀に報告されており、この感染症の病原についてほとんど知られていない。家ネコにおけるヘパトゾーン症の臨床病理学的な特徴を更に明らかにするため、Hebrew 獣医療大学の1989-1995年間の家ネコにおけるヘパトゾーン症の回顧的研究を行った。研究は、この7年間に顕微鏡検査を伴うCBCを含む臨床記録のあるすべてネコ(n=1229)を比較した。ヘパトゾーンのガメトサイトは1~6歳の7頭のネコ(0.57%) において識別された。 感染していたネコは様々な疾病と臨床徴候を伴い、主に交雑種(5/7)のオス(6/7)であった。臨床病理学的な所見は血清LDH活性の上昇(5/6)とCK活性の上昇(5/6)がみられた。ヘパトゾーン症のネコにおいて上昇した酵素は筋肉の損傷を示唆する。レトロウイルスの検査をされたヘパトゾーン症のネコの67%(4/6)ではFIV もしくは FELV の感染が発見された。加えて、2/7のネコではHemobartonella felis の感染も伴っていた。要するに、イスラエルではネコにおけるヘパトゾーン種の血液寄生は稀にみられる。ヘパトゾーン症のネコのうちでレトロウイルス病を伴うものは、免疫抑制とヘパトゾーン感染進行の間の起こりうる関係を示す。(Dr.Yoshi訳)
■非典型的な血液異常を伴うHemobartonella felis 感染
VanSteenhouse JL et al; J Am Anim Hosp Assoc 1995 Mar-Apr;31(2):165-9; Hemobartonella felis infection with atypical hematological abnormalities.

劇的な血液変化を伴うネコヘモバルトネラ症を2例、報告する。1例目は著しい有核赤血球数の増加を伴う深刻な溶血性急性貧血で死亡した。2例目は顕著な白血球数上昇を伴い、テトラサイクリンによる治療によく反応した。両方の例において、最初の血液データはネコヘモバルトネラ症としては非常に珍しいものであった。これらの例は、ヘモバルトネラ感染でみられる血液変化は非常に変化するものであり、ときおり誤診を招くという良い例となる。(Dr.Yoshi訳)
■ネコヘモバルトネラ症
Carney HC et al; Vet Clin North Am Small Anim Pract 1993 Jan;23(1):79-90; Feline hemobartonellosis.

H. felis はネコ赤血球への隠退と溶血の原因となるリケッチア属の寄生体である。それは倦怠感から急性貧血虚脱などの徴候を伴うすべてのネコにおいて、主要な病原、もしくは日和見感染の可能性があると考えられるべきである。診断には適切に準備された血液塗抹標本においての寄生体像が必要とされる。治療には抗リケッチア薬、コルチコステロイド、支持療法が使用される。臨床上の回復には寄生体の免疫の封じこめが必要である。治療は宿主から寄生体を駆除しない。キャリアのネコはFeLVのような他の疾病によって免疫が深刻に傷害されたとき、ぶり返すかもしれない。伝播は吸血寄生虫とネコ同士の噛み傷によるものと考えられる。予防にはネコの慎重な健康管理が必要である。主に診断技術の発達に関連した疾病の知見における将来の進歩は、すべての感染しているネコの識別を可能にするであろう。(Dr.Yoshi訳)
■ニテンピラム
Kimberly Chatellier, PharmD; Compend Contin Educ Pract Vet 23[8]:748-749 Aug'01 Pharm Profile 6 Refs ; Nitenpyram

ニテンピラムは、ノミの成虫駆除薬として犬と猫で使用が認可された、ネオニコチノイド系化合物です。それは特定のニコチン様アセチルコリンレセプターに結合する、全身性ネオニコチノイド化合物(浸透殺虫剤ネオニコチノイド化合物)で、ノミの正常な神経伝達を妨げ、死滅させます。ニテンピラムは経口投与後、胃腸内からすばやく吸収されます。フードと一緒に与えても、その吸収に変化はありません。
ニテンピラムは投与してから犬で4時間以内、猫で6時間以内に、ノミの成虫に対して90%以上の効果を示します。ニテンピラムは犬と猫のノミ成虫駆除として、4週齢の子犬や子猫、高齢、最低2lb. の体重でも同様に使用できます。ニテンピラムは、ノミアレルギー性皮膚炎や寄生虫(条虫)の伝播の原因となる、ノミの成虫を死滅させます。動物に存在あるいは環境における幼若なノミ、さなぎ、卵は死滅させません。この研究はニテンピラムがルフェヌロンと一緒に、安全に投与できるということを示しています。ニテンピラムは、ダニは殺しません。4週齢ほどの若い成長期の子犬や子猫、そして妊娠中、授乳中の成犬、成猫にも使用できるという広い安全域があり、ルフェヌロンや一般的なノミ駆除剤とも同時に使用できることが証明されています。
ニテンピラムを、推奨量および推奨量の10倍以上投与した場合の、重大な副作用の報告はありません。投与後、処置された犬や猫は引っかくような行動をし始め、それと同時にノミが死に始めます。この行動はノミに対する一時的な反応で、薬によるものではありません。ニテンピラムはコルチコステロイド、抗生剤、ワクチンなど、ほかの薬物製剤と同時投与ができます。また、駆虫薬、フィラリア予防薬やシャンプー、ほかのノミコントロール製剤と同時に使用しても安全です。ニテンピラムは犬や猫にノミの成虫が見られたとき、1日に1回というような頻度で使用されるかも知れません。処置されていないペットがいると、そこでノミが繁殖するという理由から、同居のノミがいるペット全てに処置をすることが必要となります。 (Dr.Shingo訳)