■骨格が未熟な95頭の犬における閉鎖性脛骨骨幹骨折の内固定vs.外固定の短期合併症
Short-term complications of internal versus external fixation of closed diaphyseal tibial fractures in 95 skeletally immature dogs
Vet Surg. 2025 Feb 6.
doi: 10.1111/vsu.14221. Online ahead of print.
Jake W Chitty , Callum A T Sharp , Daniel Low , Thomas Chapman , David Singleton , Andrew Murdoch , Paul Aldridge

目的:骨格が未成熟な犬において、閉鎖性脛骨骨幹骨折の術後短期合併症に対し、固定法(内vs.外)の影響を調べる

研究デザイン:回顧的観察多施設研究

動物集団:プレート骨接合による内固定(IF)(n=59)および創外固定(ESF)(n=36)で安定化した骨格の未成熟な犬

方法:閉鎖性脛骨骨幹骨折の骨格が未成熟な犬の医療記録を再調査した。シグナルメント、骨折形態、病因、固定法、外科医の状況、合併症、退院までの期間、最終的な退院までの期間を含むデータを集めた。

結果:IFの全体の合併症率は20.3%(p<.001、CI:11.0-32.8)、一方ESFは55.6%(CI:38.1-72.1)だった。外固定の95%の合併症、内固定の75%の合併症がメジャーと考えられた。多変量解析で、閉鎖性脛骨骨幹骨折をESFと比べIFで安定化した時、術後短期合併症のオッズ低下が認められた(p=.004、OR:0.2、CI:0.09-0.63)。ESFに対して最終の退院までの期間中央値は4週間(範囲:2-13)で、IFは6週間(範囲:4-32)(p=.01)だった。

結論:ESFはIFよりも短期合併症の割合がより高く、主にピン-路の障害による。合併症率は、IFよりもESFの方が35.3%高かった。

臨床的意義:外科医はメジャーな合併症を減らすため、骨格の未成熟な犬に対しESF以上にIFの使用を考慮すべきである。(Sato訳)
■トイ犬種の犬の橈骨および尺骨骨折において骨折のギャップとインプラント失敗の関係:多施設回顧的コホート研究
Association of fracture gap with implant failure in radius and ulna fractures in toy breed dogs-A multicenter retrospective cohort study
Vet Surg. 2024 Oct 22.
doi: 10.1111/vsu.14179. Online ahead of print.
Kate A Korchek , Sun Young Kim , Po-Yen Chou , Amy S Kapatkin , Kei Hayashi

目的:トイ犬種の犬の橈骨および尺骨骨折修復後のインプラント失敗に対する術後の骨折のギャップの影響を評価する

研究計画:回顧的多施設コホート研究

動物:合計80頭のトイ犬種の飼い犬

方法:2005年から2019年の間に4か所の施設で橈尺骨の単純横骨折を外科的に修復した<3.5kgの犬の医療記録とエックス線写真を再検討した。集めたデータは、シグナルメント、骨折位置、インプラントのタイプと厚さ、作用するプレートの長さ、尾側皮質の骨折の術後のギャップのエビデンス、術後ケア、インプラント失敗の発生、他の合併症を含めた。潜在的リスクファクターと合併症との関係を多変量ロジスティック回帰で調べた。

結果:尾側皮質の術後の骨折のギャップは、37症例で認められ、10症例はインプラント失敗を経験した。ギャップのない43症例のうち、1症例はインプラント失敗を経験した。他の変数を調整後、骨折のギャップはインプラント失敗と有意に関係した(オッズ比=23.0(95%CI:2.7-197.9)、p=.004)。長期の外接合は、インプラント失敗以外でマイナーおよびメジャーな合併症と関係したが、接合のないことが、インプラント失敗に対する骨折のギャップの影響を混乱させた。

結論と臨床的意義:トイ犬種の犬の橈尺骨横骨折において、橈骨の尾側皮質の整復は、骨治癒を促進し、インプラント失敗を防ぐために必須である。(Sato訳)
■小型犬種の橈尺骨骨折の整復後の再骨折に関係するリスク因子の回顧的研究
A Retrospective Study of Risk Factors Associated with Refracture after Repair of Radial-Ulnar Fractures in Small-Breed Dogs
Vet Comp Orthop Traumatol. 2024 Aug 29.
doi: 10.1055/s-0044-1790218. Online ahead of print.
Norihiro Muroi , Nobuo Kanno , Yasuji Harada , Yasushi Hara

目的:小型犬種の犬の橈骨癒合後の再骨折に対するリスク因子を確認する

研究計画:この回顧的研究において、プレートとスクリューで治療した小型犬の橈尺骨骨折症例の医療記録を再検討した。一般的な情報と術後経過(橈骨骨折治癒までの日数、尺骨癒合の有無、最終フォローアップまでの期間、プレート除去および再骨折の有無)を記録した。術後期間を通して骨折線の位置、スクリューの位置、橈骨の厚さと幅、ピクセル値をエックス線写真から入手した。患肢は非-プレート除去(P)とプレート除去群に分類した。

結果:再骨折はP群の141中5肢で最も遠位のスクリュー、R群の40中5肢の最初の骨折部位で発生した。多変量解析で、P群の再骨折は、最も遠位のスクリューの位置で成長の相対的変化の量と関係し、R群の最初の骨折と同部位で、ピクセル値と橈骨の厚さの比率の相対的変化の量と関係していることが示された。

結論:橈骨の最も遠位端に位置するスクリューが、遠位橈骨成長に比較的近いと予測される症例では、適切な程度で橈骨の幅に相対したスクリュー径の縮小が考慮されるかもしれない;プレート除去中の橈骨の厚さの減少あるいはプレート下の骨ミネラル密度の減少が見られる症例では、プレートを除去しないことが考慮されるかもしれない。(Sato訳)
■15頭の犬の仙骨の外固定による骨折安定化
External Fixation for Fracture Stabilization of the Sacrum in 15 Dogs
Front Vet Sci. 2023 Oct 23:10:1222504.
doi: 10.3389/fvets.2023.1222504. eCollection 2023.
Jose Antonio Flores , Gian Luca Rovesti , Jesus Rodriguez-Quiros

Free PMC article

この研究の目的は、主要固定システムあるいは相補的手段として、犬の仙骨骨折の治療に対する外固定(EF)の可能性、合併症、結果を評価することだった。

仙骨骨折の計15頭の犬を、主要あるいは2つ目の安定化として、異なるEF構造を用いて外科的に治療した。結果は、骨折縮小の程度、治療中の安定性、合併症及び骨治癒に対して評価した。

多くの症例で、結果は骨治癒、神経学的状況、疼痛評価に関し良好だった。骨治癒期間の平均は、9.45±5.66週間だった。1頭(6.66%)はその方法による合併症を呈した。

結論として、仙骨骨折の安定化に対し、その最小侵襲性、安定性、適用の容易さにより、EFの使用を考慮すべきである。(Sato訳)
■萎縮性/栄養不良性癒合不全を自家腸骨皮質海綿骨移植片とサーキュラー創外固定で治療した犬と猫の長期結果:19症例(2014-2021)
Long-term outcomes of atrophic/oligotrophic non-unions in dogs and cats treated with autologous iliac corticocancellous bone graft and circular external skeletal fixation: 19 cases (2014-2021)
J Small Anim Pract. 2023 Nov 7.
doi: 10.1111/jsap.13681. Online ahead of print.
P Camilletti , M d'Amato

目的:犬と猫の生育可能な栄養不良性および生育不可能な萎縮性の癒合不全を、サーキュラー創外固定と自家皮質海綿骨移植片での外科的治療を行い、短期及び長期結果と合併症を調べる

素材と方法:このケースシリーズにおいて、2014年から2021年の間に2か所の二次動物病院において、橈骨/尺骨および脛骨/腓骨の生育可能な栄養不良性および生育不可能な萎縮性癒合不全を、皮質海綿骨骨移植片とサーキュラー創外固定で治療した全ての犬と猫の医療記録とエックス線写真を回顧的に再調査した。長期フォローアップは1年以上だった。

結果:13頭の犬と6頭の猫の19の癒合不全骨折が、この研究の組み入れ基準に合った。18の癒合不全骨折(94.7%)は治癒し、1つは治癒しなかった。5頭(26%)はマイナーな周術期間(<3か月)の合併症があった。骨癒合に至らなかった症例は、内固定(プレートとスクリュー)と自家海綿骨移植で修正外科手術を行った。長期フォローアップ期間で、15症例(78.9%)は完全な機能に回復し、3症例(15.8%)は許容できる機能に回復した。

臨床意義:犬と猫の橈骨/尺骨および脛骨/腓骨の萎縮性/栄養不良性癒合不全骨折に対し、サーキュラー創外固定と自家皮質海綿骨移植片の使用は、大多数の動物で成功すると考えられ、メジャーあるいは破滅的な合併症はなかった。(Sato訳)
■犬の髄内ピンニングにより固定した大腿骨骨折の歩様スコア
Limb Gait Score of Femur Fracture Fixated by Intramedullary Pinning in Dogs
Arch Razi Inst. 2022 Jun 30;77(3):1027-1032.
doi: 10.22092/ARI.2022.357386.2026. eCollection 2022 Jun.
R A Abed , H H Nazht , R A Omar

犬の動物の姿勢、歩様、負重は、歩様スコアによる評価することができる。

この研究では、完全大腿骨骨幹中央横骨折の地域犬種の9頭のオスの成犬を、最初に全身麻酔下の無菌操作で髄内ピンニングにより固定し、術後60日間フォローした。

データは犬の日毎の肢、体重耐性、姿勢の相関を示す5つのグレードを含めて解析した。

結果は、術後1-3日目のグレード5で、立っている間は完全に肢を上げていた。術後4-10日目、グレード4で、立っているときは患肢に体重を乗せて支えており、歩行中は上げていた。術後11-21日目はグレード3で、ゆっくり歩くときは患肢で体重を支えているが、速足や走ると足を上げていた。術後29-35日目は、グレード2で、速足でも肢を使用した。術後36-38日目からグレード1で、走るときも肢を使用できた。実験期間終了(術後60日目)まで、グレード0で、歩行、走る、ジャンプするときも肢を正常に使用していた。

結果は、犬の歩様スコアは、髄内ピンで固定した大腿骨骨折の骨再生プロセス中、日毎の動物の姿勢、歩様、体重負重の相関の評価に使用できることを示した。(Sato訳)
■犬と猫の中手骨および中足骨骨折の安定化に対し開放あるいは閉鎖術式後の術後結果の比較
Comparison of post-operative outcomes after open or closed surgical techniques to stabilize metacarpal and metatarsal fractures in dogs and cats
BMC Vet Res. 2022 Aug 4;18(1):300.
doi: 10.1186/s12917-022-03404-3.
Gabriel Carbonell Rosselló , Jasmin Carmel , Matthew Pead , Victor Vidal Lacosta , Pilar Lafuente

Free PMC article

背景:中手骨/中足骨骨折に対する治療オプションは、保存的および外科的管理が含まれる。

この研究の目的は、解放および閉鎖的治療の間に治癒および合併症率に関する有意差があるかどうかを判定することである。
完全にフォローアップした中手骨/中足骨骨折の犬と猫の医療記録を回顧的に再検討した。動物は2群に振り分けた:開放あるいは閉鎖的安定化。マイナーおよびメジャーな合併症を記録して比較した。骨折の治癒は良好、遅延、癒合不全に分類し、統計学的に比較した。

結果:63頭の動物(犬35頭、猫28頭)を含めた。31頭はオープンアプローチ、32頭は閉鎖的安定化で治療した。骨折治癒に関し、遅延/癒合不全の有意に高い比率が閉鎖的群に認められた(12/32 vs 2/31)。術後合併症に関し、開放群の合併症を発症した頭数も有意に少なかった(12/31 vs 3/32)。閉鎖的群において有意に高い確率でマイナーな合併症が報告された(27/32 vs 12/31)。しかし開放群においてメジャーな合併症は有意に多く報告された(7/31 vs 2/32)が、統計学的に有意ではなかった。骨折のアライメント不良は、閉鎖的安定化を行った動物でより有意に認められた(11/32 vs 2/31)。

結論:結果によると、より良い治癒、骨折アライメント、より低い合併症率は開放的手術で骨折を安定化した時に見られた。しかし、骨折の形状、軟部組織関与、動物のキャラクター、飼い主の状況のような他の因子も安定化の方法の決断に考慮に入れる必要があるだろう。(Sato訳)
■犬の骨端軟骨骨折の個体群統計、治療および結果(103症例)
Demography, management and outcomes of canine physeal fractures (103 cases)
Vet Rec. 2022 Oct 20;e2279.
doi: 10.1002/vetr.2279. Online ahead of print.
Alex J Currie , Richard Meeson

背景:この研究は、犬の骨端軟骨骨折の個体群統計、管理、合併症および結果の遡及的再調査である。

方法:四肢の骨端軟骨骨折の犬の臨床記録を再検討し、記述的統計解析をデータセットに応用した。

結果:103の骨折を含め、68はフォローアップできた。遠位上腕骨の骨折が最も多く(n=57)、続いて近位脛骨骨折(n=16)だった。遠位上腕骨のほとんどの結果が良好ということを除き、全ての部位でほとんどの骨折の結果はまあまあだった。エックス線検査のフォローアップで、脛骨遠位を除き、全ての部位のほとんどの骨端軟骨は閉鎖した。骨端軟骨の成長を継続するためのインプラント除去は3/18(17%)の骨折のみで実施し、15/18(83%)のインプラント除去は、合併症と関係した。

制限:短期のフォローアップデータしか存在せず、ゆえに、機能回復の長期指標を与えることはできない。

結論:犬の骨端軟骨骨折の管理と個体群統計は、過去の発表からかなり進展している。成長を継続可能にするためのルーティーンなインプラント除去は、この集団の全ての部位で規則的に実施されなかった。(Sato訳)
■犬の上腕骨顆骨折の配置、外科的管理、結果に対する犬種の影響
Impact of Breed on Canine Humeral Condylar Fracture Configuration, Surgical Management, and Outcome
Vet Surg. 2020 Apr 20.
doi: 10.1111/vsu.13432. Online ahead of print.
Carlos Sanchez Villamil , Andrew S J Phillips , Camilla L Pegram , Dan G O'Neill , Richard L Meeson

目的:犬の上腕骨顆骨折(HCF)の有病率、配置、リスクファクター、固定方法、修復後の結果を報告する

研究計画:回顧的ネステッドコホート研究

サンプル集団:112頭の犬

方法:2010年1月から2018年8月の間に紹介されてきた犬の医療記録からHCFを検索した。医療記録から個体群統計、骨折配置、修復、合併症を入手した。骨折整復、インプラントの位置、骨治癒についてエックス線写真を評価した。短期のエックス線写真と臨床的結果、長期のオーナーによる結果の評価を判定した。それらの変数間の関係を統計学的に解析した。

結果:HCFの犬は、43325頭の紹介症例のうち112頭(0.26%、95%CI、0.22-0.31)だった。フレンチブルドッグとスパニエル犬種にHCFの素因があった(P<0.02)。フレンチブルドッグは、他の犬種よりも内側HCFの確率が6.58倍(95%CI、1.62-26.7)高かった。上顆プレート固定は、ラグスクリューとキルシュナーワイヤーでの治療と比べ、合併症低減と関係した(P=0.009)。HCF修復後最初のフォローアップ(中央値6週間)ができた85頭において跛行のスコアは5のうち1(中央値)だった。長期フォローアップ(中央値36か月)ができた31頭中26頭の結果は良好と考えられた。

結論:フレンチブルドッグとスパニエルはHCFの素因があり、内側HCFはフレンチブルドックでより多く見られた。上顆プレート固定は、合併症を少なくすることと関係した。

臨床意義:フレンチブルドッグは内側HCFを含むHCFの素因がある。上顆プレート固定は、合併症を少なくするため、他の上顆固定法以上に推奨される。(Sato訳)
■骨格が未成熟な犬の上腕骨顆骨折に対するリスクファクターとして犬種の影響
Effect of Breed as a Risk Factor for Humeral Condylar Fracture in Skeletally Immature Dogs
J Small Anim Pract. 2020 Apr 23.
doi: 10.1111/jsap.13144. Online ahead of print.
M A J Smith , G Jenkins , B L Dean , T M O'Neill , N J Macdonald

目的:イギリスの骨格がまだ未成熟な犬の上腕骨顆骨折に関係するリスクファクターとして、犬種の影響を調査する

素材と方法:2015年から2018年の間に、3か所の専門二次診療施設に上腕骨顆骨折で来院した12ヶ月齢以下の犬の回顧的研究。犬種、年齢、性別、不妊状態、骨折した肢、骨折形態と骨折の原因を含むデータを医療記録から抽出した。犬種の集団比率をイギリスケンネルクラブに記録されたそれらと比較した。

結果:118か所の骨折がある115頭のうち、フレンチブルドッグ(41%)、イングリッシュスプリンガースパニエル(15%)は多く見られた:雑種犬と比較して、フレンチブルドッグ(オッズ比=5.86)とイングリッシュスプリンガースパニエル(オッズ比=5.66)で上腕骨顆骨折がより一般的に診断された。外側骨顆骨折が70%の症例で起こり、内側骨顆骨折が9%、Y/T骨折が21%を占めた。骨折時の年齢中央値は4ヶ月齢(範囲2-10か月)だった。

臨床意義:骨格が未成熟な犬で、フレンチブルドッグとイングリッシュスプリンガースパニエルは、上腕骨顆骨折のリスクが潜在的に上昇していることを確認した。(Sato訳)
■外固定せず内側プレート固定で総足根関節固定を行った後の長期結果:30頭の犬
Long-term outcomes after pantarsal arthrodesis with medial plate fixation without external coaptation in 30 dogs.
Vet Surg. 2019 Nov 26. doi: 10.1111/vsu.13354. [Epub ahead of print]
Anesi S, Clarke S, Gemmill T, Oxley B, Pink J, Smith K, Rutherford S.

目的:外固定を行わず、内側プレート固定を用いた総足根関節固定(PTA)で治療した犬の長期結果を報告する

研究デザイン:回顧的ケースシリーズ

動物:飼育犬(n=30)

方法:補助的な堅い外固定を用いず、内側にプレートを用いたPTAを行った犬の医療記録を再検討した。シグナルメント、合併症、最終身体検査時の機能の評価に関するデータを集めた。経過の情報はオーナーとの電話連絡で入手した。合併症はマイナー、メジャーII、メジャーIと破局的に分類した。

結果:30頭の犬で36のPTAを実施した。記録されていた合併症は、8頭(22.2%)がマイナー、11頭(30.6%)がメジャーII、11頭(30.6%)がメジャーIの合併症だった。1頭(2.8%)は破局的な合併症のため、断脚を必要とした。26頭のオーナーから、術後期間中央値1215日(範囲、325-3495日)で経過の情報を入手した。12頭の犬は完全な機能回復、14頭の犬は許容できる機能で、許容できないと報告したオーナーはいなかった。断脚を必要とした犬のオーナーには連絡しなかった。他の3頭は間違った連絡項目でオーナーに経過を聞けなかったが、最終の獣医師による経過観察時には3頭とも許容できる機能だった。

結論:内側にプレートを用いたPTAで治療した犬は、外科あるいは内科管理を必要とする合併症の発生率が高いが、30頭中29頭で完全あるいは許容できる機能を回復した。

臨床意義:総足根関節固定は、高い合併症のリスクにもかかわらず、予想通り良好な中-長期結果が得られる。(Sato訳)
■犬の骨切術の治癒に対する非ステロイド性抗炎症剤の短期及び長期投与の影響
Effects of short- and long-term administration of nonsteroidal anti-inflammatory drugs on osteotomy healing in dogs.
Vet Surg. 2019 Jul 10. doi: 10.1111/vsu.13282. [Epub ahead of print]
Gallaher HM, Butler JR, Wills RW, Priddy LB, Elder SH, Heller SM, Brinkman E, Baumgartner W.

目的:犬の骨治癒に対するカルプロフェンの短期投与の影響を調べる。

研究計画:無作為化抽出実験研究

動物:18頭の研究用成犬ハウンドドッグ

方法:脛骨骨切を実施し、犬を3群に振り分けた:カルプロフェンなし(n=6)、2.2mg/kg1日2回でカルプロフェンを2週間投与(n=6)、2.2mg/kg1日2回でカルプロフェンを8週間投与(n=5)。骨治癒を術後4週と8週目にレントゲン検査で評価した。検死時、骨折の治癒は生体力学検査(3点屈曲)、組織学的軟骨:仮骨比と定量CTで骨ミネラル密度(BMD)により評価した。

結果:カルプロフェンなしの犬と2週間投与された犬、2週間投与された犬と8週間投与された犬の間に生体力学の差は見られなかった。堅さ(P=0.035)と最大ストレス(P=0.042)は、8週投与された犬よりも投与されなかった犬の方が高かった。レントゲン検査による治癒は、2週投与された犬と投与されなかった犬の間に違いはなかった(P=0.9923)。しかし、術後4週目と8週目には、投与されなかった犬と2週間投与した犬の脛骨は、8週投与した犬よりも治癒していた(P=0.0011)。軟骨:仮骨比あるいはBMDに治療の影響は見られなかった。

結論:カルプロフェンの長期投与は、短期投与や投与しないものと比較して骨治癒に対し負の影響があった。
臨床意義:非ステロイド性抗炎症剤は、骨治癒遅延のリスクがある犬には注意して使用すべきで、骨折あるいは骨切の犬で投与は周術期を超えたら中止すべきである。(Sato訳)
■電気刺激を基にした骨折治療、よい働きをするのになぜ多くの外科医は使用しない?
Electrical stimulation-based bone fracture treatment, if it works so well why do not more surgeons use it?
Eur J Trauma Emerg Surg. 2019 Apr 6. doi: 10.1007/s00068-019-01127-z. [Epub ahead of print]
Bhavsar MB, Han Z, DeCoster T, Leppik L, Costa Oliveira KM, Barker JH.

背景:電気刺激(EStim)は、実験で骨治癒を促進することが証明されており、長年臨床で利用されているが、臨床的治療の主流になっていない。

方法:この矛盾をよく理解するため、1978年から2017年の間に発表された69の臨床研究と72頭の動物を再検討し、別に骨折した動物の治療に対し、世界中の161人の整形外科医にEStimの認識、経験、採用について質問した。

結果:72頭の動物研究のうち、77%はポジティブな結果を報告し、もっとも一般的なモデル、骨、骨折のタイプ、EStimの使用方法は、それぞれ犬、脛骨、大きな骨欠損、DCだった。
69の臨床研究のうち、73%はポジティブな結果を報告し、もっとも一般的に治療した骨、骨折のタイプ、使用方法は、脛骨、遅延/癒合不全、PEMFだった。
161人の回答者のうち、多くの人(73%)は文献で報告されたポジティブな結果を知っていたが、EStimを使用しているのは32%に過ぎなかった。彼らが治療したもっとも一般的な骨折は、遅延/癒合不全で、もっとも大きなEStimの問題は、高コストと一貫性のない結果だった。

結論:EStim のプロ骨折治癒効果の認識がありながら、治療に使用している整形外科医は少ない。この文献の再検討と調査は、これは報告された方法の広いバリエーション、この治療アプローチに関係する一貫性のない結果から文献の混乱によるということを示す。この外科医にかかわらず、骨折症例でEStimを使用するのに使用しやすく費用対効果が良い方法をこの技術の進歩により提供できるならば、この治療の使用に前向きになると思われる。(Sato訳)
■ハチミツで保存した皮質骨同種移植片による長骨骨折の外科管理 フルテキスト
Surgical management of long bone fractures in cats using cortical bone allografts preserved in honey.
Can Vet J. April 2018;59(4):393-396.
Marcio P Ferreira , Marcelo M Alievi , Isis S Dal-Bo , Paula C S Gonzalez , Fernanda S Nobrega , Aline S Gouvea , Carlos A C Beck

この報告は、ハチミツで保存していた皮質骨移植片を使用して修復した2頭の猫の粉砕骨折を述べる。

2頭の猫は十分な術後負重を示した。

ハチミツによる骨の保存は、骨バンクの簡単で広く利用できる代替法である。
これは、ハチミツで保存した骨で修復した猫の骨欠損の最初の報告である。(Sato訳)
■低侵襲性プレート骨接合術でorthogonal platesを使用した猫脛骨骨幹骨折の治療
Management of feline tibial diaphyseal fractures using orthogonal plates performed via minimally invasive plate osteosynthesis.
Language: English
J Feline Med Surg. January 2018;20(1):6-14.
Andrew Craig , Philip G Witte , Tristram Moody , Karen Harris , Harry W Scott

目的:低侵襲性プレート骨接合術(minimally invasive plate osteosynthesis:MIPO)でorthogonal plate固定を施した猫の脛骨骨幹骨折の中期-および長期結果(エックス線検査とオーナーへの聞き取り)を評価することだった。

方法:orthogonal plateで脛骨骨幹骨折固定を行った猫の医療記録とエックス線写真を入手した(2012-2016)。術後すぐのエックス線写真を配置構成の評価に再検討し、経過のエックス線写真(入手できれば)は骨治癒とインプラント関連合併症の評価に使用した。オーナー記入のアンケート(猫筋骨格疼痛指数(feline musculoskeletal pain index:FMPI))を猫の正常な活動実施能力を評価するため、術後最低6か月で使用した。

結果:8頭の猫脛骨骨幹骨折が組み込み基準に合致した。1つのメジャーな合併症が観察され、術者の技術的エラーの可能性が高かった。修正手術後の更なる合併症はなかった。経過のエックス線写真がある8頭中6頭は臨床的骨癒合あるいは骨治癒のエビデンスを示した。全ての症例はFMPIに従うと成功に分類された。

結論と関連:MIPOアプローチによる猫脛骨骨幹骨折のorthogonalプレーティングは首尾よい結果をもたらし、過去に報告された方法よりも合併症率は低かった。(Sato訳)
■ミニチュア犬種の犬の橈骨尺骨骨折において自家海綿骨移植に対し自己大網遊離移植片の無作為化管理化前向き臨床試験
Randomized, controlled, prospective clinical trial of autologous greater omentum free graft versus autogenous cancellous bone graft in radial and ulnar fractures in miniature breed dogs.
Vet Surg. 2018 Feb 19. doi: 10.1111/vsu.12774. [Epub ahead of print]
Ree JJ, Baltzer WI, Nemanic S.

目的:自家海綿骨移植(autogenous cancellous bone graft:BG)あるいは自己大網遊離移植片(free autologous omentum graft:OG)で治療した6kg未満の犬の橈尺骨骨折整復後、エックス線検査上治癒率、合併症、血管新生化、骨密度を調べる

研究計画:オーナー/放射線医師に治療を隠した前向き、無作為化、管理化臨床試験

動物:自然発生の外傷性橈尺骨骨折の犬25頭

方法:骨折にOGあるいはBGを併用したプレート固定を行った。罹患前腕のパワードップラー超音波、CT、エックス線検査を術前と、術後治癒まで3週間ごとに実施した。Pressure-sensitive walkway歩行分析とオーナー、獣医師の評価を術前(0週)、術後3、6、9、12、24週目に入手した。

結果:オーナー/獣医師評価は術後改善したが、群間に有意差はなかった。術後3週までのpeak vertical force/vertical impulseはBGで治療した犬よりもOGの犬でより大きかった。エックス線検査上の治癒は、BGで治療した骨(中央値、12週間)よりOGで治療した骨(9週間)の方が早かった。尺骨遠位のCTによる皮質骨密度はOGの骨と比較してBGの骨で高かった。超音波検査の結果によれば骨折仮骨において信号強度と脈管の数は両群共にずっと低下した。しかし、術後6週と9週目の多重ビューによるとBGと比べ、OGで治療した時、骨はより多い脈管とより大きな信号強度を保持した。

結論:犬において大網移植はメジャーな合併症に関係せず、骨治癒と負重への回復を加速させた。

臨床意義:トイおよび小型犬種の犬において、前腕骨折の固定の補助として大網移植を考慮すべきである。(Sato訳)
■ミニチュアおよびトイ犬種における橈骨尺骨の遠位面にわたる骨折の観血的整復と頭側骨プレート固定:102症例(2008-2015)
Open reduction and cranial bone plate fixation of fractures involving the distal aspect of the radius and ulna in miniature- and toy-breed dogs: 102 cases (2008-2015).
Language: English
J Am Vet Med Assoc. June 2017;250(12):1419-1426.
Rebecca De Arburn Parent, Jerome Benamou, Matthieu Gatineau, Pierre Clerfond, Jerome Plante

目的:ミニチュアおよびトイ犬種の橈骨および尺骨の遠位面にわたる骨折の観血的整復および頭側骨プレート固定の結果と合併症率を調べる

計画:回顧的ケースシリーズ

動物:2008年から2015年の間に橈骨および尺骨の遠位面にわたる骨折の観血的整復と頭側骨プレート固定を行った体重7kg以下のミニチュアおよびトイ犬種の犬102頭(105骨折)

方法:医療記録を再調査し、犬と骨折の特徴、外科的変数、経過検査データ(術後合併症を含む)に関して情報を得た。術後エックス線写真で、遠位の骨片の大きさ、インプラント設置、並置、アライメント、治癒ステージを調べた。術後最低6か月以上経過してから犬のオーナーに、長期経過のアンケートを電話で回答してもらった。

結果:全ての骨折の遠位骨片の平均長は19.2mmで、遠位と総橈骨長の平均比率は0.21だった。最終経過検査時(通常術後5週間)、97頭(95%)の犬に跛行の症状はなかった;5頭(5%)の犬に最小の跛行を確認した。合併症は26(25%)の骨折に発生した(23(22%)はマイナー、3(3%)はメジャーな合併症)。71人中68人(96%)のオーナーは、全体および長期結果を優良とし、3人(4%)は良とした;71頭中68頭(96%)は残存跛行の症状はないと聞いた。

結論と臨床関連:ミニチュアおよびトイ犬種の犬の橈尺骨骨折の治療で、観血的整復と頭側骨プレート固定は合併症率も低く、優秀な結果を提供する。(Sato訳)
■橈尺骨骨折の小型犬種の犬に対するCuttableプレート固定:31頭の犬の回顧的研究
Cuttable plate fixation for small breed dogs with radius and ulna fractures: Retrospective study of 31 dogs.
Language: English
Can Vet J. April 2017;58(4):377-382.
Gwyneth K Watrous , Noel M M Moens

この回顧的研究は1.5mmから2.7mmのcuttable骨プレートを内固定に使用した、橈尺骨骨折の小型犬種の犬に対する合併症率を評価した。

著者らの病院を2004年から2011年の間に訪れた全ての症例の医療記録を再調査した。

組み入れ基準は:体重9kg未満、観血的整復を行った橈尺骨骨折、cuttable骨プレートを利用した内固定。

31頭の犬の34カ所の骨折が組み入れ基準を満たした。追跡調査ができた25頭の犬のうち、全頭癒合を達成し、9頭はマイナーな合併症、8頭はメジャーな合併症を起こした。8症例の合併症は外固定に問題があり、その固定の必要性に調査が求められる。マイナーな合併症を除き、32%の犬は少なくとも1回の追加手術、あるいは追加の入院が必要だった。2頭を除き、全ての犬が完全な機能に回復した。1.5mmストレートプレートは、体重0.9-2.6kgの全ての犬にうまく使用できた。(Sato訳)
■37頭の小型およびトイ犬種におけるIMEXミニチュア輪状創外固定による橈骨および尺骨骨折修復:回顧的研究
Radius and ulna fracture repair with the IMEX miniature circular external skeletal fixation system in 37 small and toy breed dogs: A retrospective study.
Language: English
Vet Surg. May 2017;46(4):587-595.
Denise Bierens , Marcos D Unis , Sady Y Cabrera , Philip H Kass , Tina J. Owen , Maureen G Mueller

目的:小型およびトイ犬種における変更したIMEXミニチュア輪状創外固定(miniature circular external skeletal fixation:MCESF)による橈骨および尺骨骨折修復後の結果と予後因子を判定する

研究計画:回顧的研究

サンプル集団:37頭の若い小型およびトイ犬種の犬(41件の橈尺骨骨折)

方法:修正IMEX MCESFによる橈尺骨骨折の修復の記録を再検討した。構成は3-4のコンプレートリング、2本のthreadedロッド、4mm径のナット、6-8本のtransfixationワイヤーだった。MCESFの配置、骨折整復の種類、装置のダイナミゼーション、ドウエル(dowel)ピンの包含、同種移植片のインプラントを記録した。結果は合併症、趾のアライメント、臨床的癒合までの時間、機能的結果、スコア(優良、良、まずまず、不良)を含めた。

結果:40/41の骨折でエックス線学的癒合を達成した。骨折は修復後33-84日以内に骨癒合に達した。癒合までの時間は骨折整復の種類(P=0.11)、dowelピンの使用(P=0.099)、同種移植片のインプラント(P=0.45)に影響されなかった。骨折ダイナミゼーションはエックス線学的癒合を遅らせた(P=0.0005)。インプラント除去時、平均前額面アライメント(frontal plane alignment:FPA)と平均矢状面アライメント(sagittal plane alignment:SPA)はそれぞれ7.9度±6.5度と7.5度±5.8度だった。前額面(P=0.062)あるいは矢状面(P=0.14)において、術後すぐに撮影したエックス線写真とエックス線学的癒合時の写真の肢のアライメントに違いはなかった。最終検査時の機能回復を基に、95%の症例は良から優良の結果だった。

結論:この修正IMEX MCESF装置は若い小型およびトイ犬種の犬の橈尺骨骨折の治療で、有効な代替療法だった。(Sato訳)
■新しく作られたインターロッキングネイルシステムTargon(R) Vetの早期臨床経験
Early Clinical Experience with a Newly Designed Interlocking Nail System-Targon(R) Vet.
Language: English
Vet Surg. August 2016;45(6):754-63.
Michael Bruckner , Martin Unger , Markus Spies

目的:猫や小型犬の骨幹骨折において、新しく設計されたインターロッキングネイルシステム(Targon(R) Vet)の早期臨床経験を述べる

研究計画:回顧的ケースシリーズ

動物:飼育猫(n=49)と犬(n=8)

方法:60の長骨骨折のある57頭の連続症例(猫49頭、犬8頭)を研究に含めた。経過観察のエックス線検査は術後4週、8週、6か月に行った。合併症はマイナー、あるいはメジャーと定義した。臨床結果は、完全な整形外科検査と経過のエックス線写真により主観的に評価した。記述データは報告した。

結果:猫の年齢中央値は18か月(範囲、3-220ヶ月)で、犬は28か月(範囲7-115ヶ月)だった。猫の体重中央値は3.7kg(範囲、1.67-8.41kg)、犬は8.15kg(範囲2.68-13.6kg)だった。経過観察のエックス線検査中央値は16週間だった。経過のエックス線写真が得られた全ての骨折(n=46)は感染の報告もなく治癒した。合計12件の術後合併症が発生した:3件はマイナー(ロッキングスクリューの滑り)で9件はメジャー(坐骨神経の大腿-刺激5件、ストレスプロテクション、失敗した亀裂による骨折、大腿骨頚骨折、ロッドとプレートの術中修正;4件頚骨-3件皮膚を通して遠位ロッキングスクリューの突出と1件髄内ネイルのingrowth)だった。

結論:Targon(R) Vetシステムのインプラントは全ての症例で実行可能だった。猫と小型犬の骨幹骨折修復において代替システムを提供する。(Sato訳)
■小型犬の橈尺骨骨折整復におけるミニロッキングプレートシステムの臨床評価
Clinical evaluation of a mini locking plate system for fracture repair of the radius and ulna in miniature breed dogs.
Language: English
Vet Comp Orthop Traumatol. November 2016;29(6):522-527.
Byung-Jae Kang, Hak Hyun Ryu, Sungsu Park, Yongsun Kim, Oh-Kyeong Kweon, Kei Hayashi

目的:小型犬の橈尺骨骨折の治療において、新しい1.2mmミニロッキングプレートシステムの有効性を回顧的に評価する

方法:1.2mmミニロッキングプレートシステムで骨折を治療した小型犬の医療記録とエックス線写真を再検討した。組み入れ基準は、体重2.5kg未満、橈骨および尺骨の横骨折あるいは短斜骨折、骨折の唯一の固定法としてミニロッキングプレートシステムで治療していることだった。各犬のシグナルメント、エックス線上の癒合までの期間、骨移植あるいは他の物質の使用、過去試みた整復などのデータを記録した。結果と合併症は、その後の臨床およびエックス線検査で判定した。

結果:平均橈骨幅4.5mm(±0.8mm)の14症例をこの研究に組み入れた。全ての症例の骨折は固定の失敗なく治癒した。適切なエックス線上の癒合までの平均期間は8.4週(±2.6週)だった。どの症例にもメジャーな合併症は見られず、マイナーな合併症は3症例で発生した。肢の機能は10症例が正常、4症例が時おり跛行に分類された。

臨床意義:この研究で評価したミニロッキングシステムは、橈骨幅が5.5mmよりも狭い小型犬において橈骨尺骨骨折の効果的な治療法だった。(Sato訳)
■1本の経腸骨仙骨ピンを用いた両側仙腸関節脱臼固定:8頭の猫の術式と臨床結果
Bilateral sacroiliac luxation fixation using a single transiliosacral pin: surgical technique and clinical outcomes in eight cats.
Language: English
J Small Anim Pract. March 2017;0(0):.
A Parslow , D J Simpson
目的:猫で経腸骨仙骨インプラント設置に対し、安全な解剖学的部分は非常に限定的である(<0.5cm 2)。ラグスクリュー固定は両側に複数のインプラントを必要とし、医原性の外傷やインプラントの干渉リスクが増える。著者らは局所構造への不注意な医原性のダメージを最小限にし、骨盤腔径を回復させるため、単一のインプラントを用い猫の両側仙腸関節固定について安全で有効な方法を述べる。

素材と方法:8頭の猫の外傷性両側仙腸関節脱臼に対し、1本の髄内スムースピンを用いて外科的固定を行った。ピンは腸骨翼と仙骨両方にかかるようにした。インプラントはUniversal C-guideを用いて適応した。術前術後の骨盤腔径比を計算した。短期の追跡調査を術後10日から14日目に実施した。長期追跡調査はFeline Musculoskeletal Pain Index Questionnaireを用いて実施した。長期のエックス線検査は2症例で入手できた。

結果:この方法は安全で正確なインプラントポジションを達成し、正確な仙腸関節整復ができた。骨盤径比は全ての症例で正常に回復した。正常な後肢機能への急速な回復、優良な長期臨床結果を達成した。

臨床意義:この方法は透視の補助なく猫の両側仙腸関節脱臼の治療に関し、単純、安全、繰り返し可能で手ごろな方法である。この方法は、一般的な小動物診療所で既にある外科的ツールと在庫を用いて実施できる。(Sato訳)
■猫の創外固定の術後合併症
Postoperative complications associated with external skeletal fixators in cats.
Language: English
J Feline Med Surg. July 2017;19(7):727-736.
Lee Beever , Kirsty Giles , Richard Meeson

目的:この研究の目的は、猫の創外固定(external skeletal fixators:ESFs)に関する合併症を数量化することと、潜在的リスクファクターを確認することである。

方法:ESF設置後の医療記録とエックス線写真の回顧的再検討を実施した。

結果:140頭の猫の症例記録を再検討した:固定装置に関わる合併症(fixator-associated complications:FACs)は19%の猫で発生した。ESF適応部位は有意に合併症発生と関係した。合併症の発生が多かったのは、大腿骨(50%)、足根骨(35%)、橈骨/尺骨(33%)だった。表層ピン刺入部感染(superficial pin tract infection:SPTI)とインプラント破損はそれぞれ全てのFACsの45%と41%を占めた。SPTIは大腿骨、上腕骨、脛骨で多く、インプラント破損は足根骨で多かった。猫種、年齢、性別、体重、骨折の型(解放vs閉鎖)、ESF分類、骨節に対するピンの本数、骨折負荷分割の程度とFACの発生あるいは種類、合併症発生までの時間に関連は見られなかった。

結論と関連:猫の総外固定後の合併症は珍しいものではない。大腿骨、足根骨、橈骨/尺骨におけるより高い合併症率は、骨折管理のオプションの再検討時に考慮すべきである。しかし、猫は犬と比べてピン刺入部位感染の率がより低いと思われる。(Sato訳)
■犬の上腕骨遠位骨折の順行髄内ピンニングに対するピンサイズの選択
Pin Size Selection for Normograde Intramedullary Pinning of Distal Humeral Fractures in the Dog.
Vet Surg. July 2015;44(5):565-70. 9 Refs
Anna Shipov; Erez Biton; Shachar Shati; Rotem Joseph; Joshua Milgram

目的:上腕骨遠位の開放および経皮順行ピンニングに対する最適な髄内(IM)ピンの大きさを判定する

研究計画:生体外解剖学的研究

サンプル集団:16頭の犬の屍体

方法:体重25-35kgの犬の屍体から16対の前肢を採取した。ラテラルのエックス線写真から、その長さの遠位80番目の百分位数の上腕骨髄腔の頭尾径を測定した。前肢の各ペアを開放あるいは経皮ピンニング法に振り分けた。髄腔直径に相対するIMピン直径をもとに屍体を3群に振り分けた:25-35%群、36-45%群、46-55%群。ピンは内側上顆に順行性に刺入し、上腕骨近位に出るまで進めた。ピンの通り道を切開し、軟部組織のダメージ、骨の構造、入り口と出口の位置を記録した。上腕骨も内側上顆の薄いポイントでカットし、骨へのダメージを評価した。

結果:開放と経皮方法の間で結果に全く違いはなかった。皮質のダメージは46-55%群でより多く見られ、内側上顆皮質のblanchingおよび、あるいは骨折が含まれ、この群において6/10の肢に骨折が発生した。46-55%のピンは最適な出口ポイントから最も遠く、最も遠位に出て、全ての肢で設置が難しかった。

結論:この研究は、上腕骨の長さの遠位80番目の百分位数で測定した髄内腔径の36-45%のIMピンで、上腕骨の開放および経皮ピンニングを行う推奨を支持する。(Sato訳)
■犬の顎顔面骨折の外科的管理において経顎舌骨経口気管内挿管:咽頭切開気管内挿管の代替法
Transmylohyoid orotracheal intubation in surgical management of canine maxillofacial fractures: an alternative to pharyngotomy endotracheal intubation.
Vet Surg. May 2015;44(4):432-6.
Jason W Soukup; Christopher J Snyder

目的:犬の顎顔面骨折の外科管理において、経顎舌骨経口気管内挿管の方法を述べる

研究計画:ケースシリーズ

動物:顎顔面骨折の犬(n=4)

方法:経顎舌骨経口気管内挿管を、顎顔面外傷の外科的修復を行う犬の気道管理で使用した。下顎第一臼歯のレベルで下顎の舌皮質の内側に隣接する皮膚、皮下組織、顎舌骨筋に切開により小孔を外科的に作成し、歯列を迂回し、下顎骨体間から口腔に気管チューブを出すことができた。

結果:経顎舌骨経口気管内挿管により口腔の優れた外科的視認性と、術中の咬合のコントロールを可能にした。処置中の合併症には遭遇せず、小孔も合併症なく治癒した。

結論:顎顔面骨折の外科的管理中に、経顎舌骨経口気管内挿管は吻側口腔や歯列を迂回するための安全で、簡単、有効な方法である。(Sato訳)
■猫の大腿骨頭および骨頚切除:18頭の猫の中-長期の機能的結果
Femoral head and neck excision in cats: medium- to long-term functional outcome in 18 cats.
J Feline Med Surg. August 2015;17(8):704-10.
Fui W Yap; Andrew L Dunn; Paloma Maria Garcia-Fernandez; Gordon Brown; Ross M Allan; Ignacio Calvo

目的:オーナーが全て記入するアンケート結果を用い、猫の大腿骨頭および骨頚切除(FHNE)後の中期-長期の機能的結果を評価する

方法:FHNEを行った猫で、寛骨大腿関節の研究以外に、それらの可動性に影響しえる他の整形外科あるいは医療を行っていないものとした。術後最低4か月目にオーナーが全て記入するアンケートを用いた。アンケートは正常な猫の活動を行える能力、様子あるいは行動の変化、長期鎮痛剤の必要性、正常な活動を再び始めるまでの期間を評価するものだった。

結果:片側あるいは両側FHNEを行った18頭の猫が基準に合った。追跡調査時に1頭を除き、わずかな困難を伴うあるいは伴わず、正常な猫の活動ができていた。前述の1頭はよじ登る際に顕著な持続的困難を抱えていた。ほとんどの猫は1月から2月の間に正常な活動ができるようになっていた。様子や行動の変化が見られた猫はなく、長期鎮痛剤を必要とした猫もいなかった。

結論と関連性:オーナーに記入してもらったアンケートによると、FHNEを適切に行った後の中期から長期機能的結果は良好から優良である。(Sato訳)
■犬の清潔な整形外科のインプラント手術で術後抗生物質使用の効果:連続100症例の前向き無作為化研究
Efficacy of Postoperative Antimicrobial Use for Clean Orthopedic Implant Surgery in Dogs: A Prospective Randomized Study in 100 Consecutive Cases.
Vet Surg. July 2015;44(5):653-60.
Andrea Pratesi; Andrew P Moores; Ciara Downes; James Grierson; Thomas W Maddox

目的:ステンレスのプレート設置システムを含む清潔な整形外科手術において、術後の経口抗生物質投与は手術部位感染(SSI)に対し有益な効果があるかどうかを調査すること

研究デザイン:無作為化前向き臨床研究

動物:犬97頭

方法:ステンレスのプレート固定を必要とする清潔な整形外科手術を行った連続100症例(97頭)を無作為にランダム・ナンバー・ジェネレーターを用いてYES群(術後抗生物質経口投与)とNO群(術後抗生物質経口投与なし)に振り分けた。YES群の犬には経口セファレキシンあるいは強化アモキシシリンを7日間投与し、NO群は経口抗生物質なしで退院させた。最低経過観察期間は12か月だった。SSIに対するリスクファクターを多変量ロジスティック回帰で判定した。

結果:全体の術後感染率は12.9%だった。術後経口投与をした2症例(4.3%)と抗生物質を投与しなかった10症例(21.3%)で感染が起こった。総麻酔時間と使用した経口抗生物質だけがSSIに関係する有意なファクターだった。術後抗生物質の使用は、感染のリスクを最大84%有意に減少させ、麻酔時間は1分伸びるごとに最大2%増加させた。

結論:インプラントを用いた清潔な整形外科において抗生物質の術後投与はSSIの発生に対し予防効果を持つ(Sato訳)
■インプラントを使用する整形外科を行った犬の手術部位感染に対する2つの抗菌剤療法の前向き無作為化比較
Prospective, Randomized Comparison of the Effect of Two Antimicrobial Regimes on Surgical Site Infection Rate in Dogs Undergoing Orthopedic Implant Surgery.
Vet Surg. July 2015;44(5):661-7.
Miranda J Aiken; Thomas K Hughes; Ralph H Abercromby; Mark A Holmes; Angus A Anderson

目的:金属インプラントを使用する清潔な犬の整形外科手術において、術後期間の長期予防的抗菌剤投与は手術部位感染(SSI)率を低下させるのかどうかを検討する

研究計画:無作為化前向き臨床試験

サンプル集団:金属インプラントを使用する清潔な整形外科手術を行った犬の連続症例(n=400)

方法:症例を無作為に2群に振り分けた。1群は術中にのみ抗菌剤を投与し、2群は術中と術後5日間抗菌剤を投与した。全てのSSIを確認するため、術後2週目と6週目にオーナーに質問し、あるいは犬を検査した。術後1年以上経過して紹介獣医外科医のアンケートにより長期経過観察を行った。

結果:6週間以内のSSIの発症は1群で191頭中10頭(5.24%)、2群で198頭中7頭(3.54%)だった。術後6週以上の感染の発症は1群で7.22%、2群で8.24%だった。

結論:この犬の集団で、抗菌予防は術中3時間あるいは6日間のコースで投与したSSI率は似たものだった。(Sato訳)
■犬の観血的骨折整復後の骨肉腫のリスク
Risk of Osteosarcoma in Dogs After Open Fracture Fixation.
Vet Surg. 2015 Nov 23. doi: 10.1111/vsu.12416.
Arthur EG, Arthur GL, Keeler MR, Bryan JN.

目的:観血的骨折固定は潜在的骨肉腫発症の有意なリスクファクターかどうかを批判的に評価する

研究計画:症例-コントロール研究

サンプル集団:観血的骨折修復を行った犬と骨肉腫と診断された犬

方法:骨折の外科的修復を行った犬と骨肉腫と診断された犬の記録をVeterinary Medical Database VMDB(1970-2000)から抽出した。関節脱臼の観血的整復を行った犬、細菌性膀胱炎と診断された犬、膀胱移行上皮癌(UBTCC)と診断された犬は比較集団とした。骨肉腫発症の相対危険度を判定した。

結果:外科的に治療した19041の骨折の集団のうち、その後同じ骨が骨肉腫に侵されたとVMDBで認められたのは15頭だった。骨折整復と関連する整形外科用インプラントと骨肉腫発生の相対危険度は、観血的関節整復と骨肉腫発生の相対危険度と同等だった(95%信頼区間;0.998-1.00)。細菌性膀胱炎があることと、VMDBに再び膀胱移行上皮癌で認められることの相対危険度は、観血的骨折修復とその後の骨肉腫の診断を受ける危険度よりも高かった(P<0.02)。

結論:骨折関連骨肉腫の発生は、過去にVMDBで調べた症例を基に評価したものより有意に少ないかもしれない。インプラント関連骨肉腫の可能性のある症例が確認できたが、それらの発生は珍しかった。骨折修復後の骨肉腫のリスクを低減する目的での選択的インプラント除去は、正当な理由とならないかもしれず、さらに調査する価値がある。(Sato訳)
■ヒト組み替え骨形成蛋白(rhBMP-2)を用いた下顎骨の再生:パート2-慢性欠損癒合不全骨折の治療
Regenerating Mandibular Bone Using rhBMP-2: Part 2-Treatment of Chronic, Defect Non-Union Fractures.
Vet Surg. May 2015;44(4):410-6.
Frank J M Verstraete; Boaz Arzi; Daniel J Huey; Derek D Cissell; Kyriacos A Athanasiou

目的:決定的な大きさの骨欠損非癒合下顎骨骨折の再建に対し、再生アプローチと内固定を用いる術式を述べる

研究計画:ケースシリーズ

動物:欠損非癒合下顎骨骨折の内固定をした犬(n=6)

方法:5頭の犬において修復が計画され最初の処置で抜歯した。21-98日(平均27日)後、咽頭切開挿管と一時的上下顎固定を実施した。口腔外アプローチを用い、ロッキングチタンミニプレートの形を合わせ、下顎を安定させた。rhBMP-2を染み込ませた耐圧迫基質(CRM)を欠損部に埋め込んだ。その後インプラントを軟部組織で覆い、手術創を閉じた。

結果:全頭下顎骨折部位欠損の上を覆う歯肉は無傷のまま治癒し、すぐに正常な機能と正しい咬合に戻った。2週間以内に臨床的に硬い組織構成が観察され、3か月以内に充実した皮質骨形成を認めた。術後3か月目の1頭のCT所見では新しく再生した下顎骨は、反対側の骨密度と多孔性と比べて92%の状態だと分かった。長期追跡調査で良好な結果が明白だった。

結論:内固定とrhBMP-2を染み込ませたCRMを用いた、決定的な大きさの欠損がある犬の下顎骨の非癒合骨折の再建は良好な解決策である。(Sato訳)
■猫の脛骨骨幹骨折の外科的安定化後の術後合併症率に対する固定方法の影響
Impact of fixation method on postoperative complication rates following surgical stabilization of diaphyseal tibial fractures in cats.
Vet Comp Orthop Traumatol. 2015 Mar 17;28(2):109-15. doi: 10.3415/VCOT-14-08-0120. Epub 2015 Feb 4.
Perry KL, Bruce M.

目的:猫の脛骨骨幹骨折に対し、開放整復と内固定(ORIF)および創外固定(ESF)の合併症率を比較する

方法:10年間に及ぶ回顧的研究で、脛骨骨折をESFあるいはORIFで安定化した猫57頭を分析に含め、2つの方法の合併症率を比較した。

結果:全体の研究集団のうち、23症例が合併症を経験した(メジャー9症例、マイナー20症例、両方6症例)。メジャーな合併症の全てがESF群で発生した。合併症はESFの猫でより一般的(50.0%)で、ORIF症例は1頭(7.7%)のみだった(OR12.0(CI:2.09;228.10)、p=0.02)。術後抗生物質の使用は交絡因子として確認された。交絡に対する補正後、ESFを使用した安定化は高率な合併症の関連を維持した(OR=13.71(CI:2.18;274.25)、p=0.02)。ESFの猫(15.6週;95%CI:13.0;18.3)は長期間経過観察がORIF(9.5週;95%CI:6.4;12.7)よりも必要で(p=0.003)、再来院の回数(平均3.0;95%CI:2.4;3.6)もORIF群(平均1.6;95%CI:0.9;2.3)より多かった(p=0.002)。

臨床意義:この研究は安定化の方法において合併症率の有意差を証明し、ESFはORIFと比べ有意に高い合併症率を示す。この結果を基に、猫の脛骨骨折の安定化で実際ORIFを選択することは賢明かもしれない。(Sato訳)
■重度顎顔面骨折の犬の内固定
Internal fixation of severe maxillofacial fractures in dogs.
Vet Surg. May 2015;44(4):437-42.
Boaz Arzi; Frank J M Verstraete

目的:チタンミニプレートを用いた顎顔面骨折の内固定を述べることと7症例の結果を報告する

研究計画:前向きケースシリーズ

動物:顎顔面骨折の骨格的に成熟した犬(n=7)

方法:骨折配置のCT評価後、口腔外、必要ならば口腔内アプローチを組み合わせ、非ロッキングチタンミニプレートを骨折した骨の正常な骨格に合わせるようにした。プレートは非ロッキングチタンスクリューで固定し、その後軟部組織で多い、通常の方法で口腔内および口腔外を閉鎖した。

結果:骨折は再建後急速に治癒し、すぐに正常な機能と咬合に回復した。94ヶ月までの経過観察で良好な長期機能と一般的な合併症がないことが示された。1頭は術後1.5年で鼻腔アスペルギルス症にかかり、ミニプレートを除去し、悪い結果とならなかった。
結論:チタンミニプレートを用いた犬の顎顔面再建に対する内固定は、粉砕およびずれた骨折の治療に対し優秀な解決方法である。(Sato訳)
■犬の骨折モデルにおいて骨折治癒に対する異種皮質骨の効果
Effect of xenogenic cortical bone on fracture healing in a canine fracture model.
Acta Vet Hung. June 2013;61(2):149-59.
Suyoung Heo; Kyoungmin So; Sehoon Kim; Minsu Kim; Haebeom Lee; Namsoo Kim

この研究目的は犬の尺骨において骨折修復に対する異種皮質骨(XCB)の影響を調査することだった。研究した犬(n=12)は右の尺骨骨間中央部に5mm長の横断切除を行った。

A群(8頭)の骨折はXCBと金属の骨スクリューで治療した。B群(4頭)の骨折は金属の骨プレートとスクリューで治療した。

X線、マイクロCT、組織検査、力学的検査で骨治癒およびホスト骨におけるXCBの反応を評価した。

A群で骨癒合は8頭中6頭(75%)で見られ、4週以降に始まった。マイクロCTと組織検査でXCBの吸収とホスト骨への結合が見られた。XCBの取り込みは7症例(88%)で見られた;それは術後10週目から始まり32週目まで継続した。骨折部位の生体力学強度はA群の方が高く、正常な骨のものと同じだった。

犬においてXCBは骨の治癒プロセスを高め、長骨骨折の管理に対し吸収性の内固定として使用できる。(Sato訳)
■猫の大腿骨骨幹骨折の固定方法の比較:回顧的研究
A comparison between fixation methods of femoral diaphyseal fractures in cats - a retrospective study.
J Small Anim Pract. May 2013;54(5):248-52.
T Konning; R J Maarschalkerweerd; N Endenburg; L F H Theyse

目的:大腿骨骨幹骨折の猫で3つの異なる固定法の結果を比較することと予後因子を判定すること

方法:大腿骨骨幹骨折の猫で外固定、骨プレート、プレート-ロッド構成で外科的に修復した症例記録を回顧的に分析した。骨治癒までの推定時間、合併症発生率の算出により結果を評価した。

結果:全体で、外固定は30症例、骨プレートは20症例、プレート-ロッド構成は56症例に使用されていた。全ての方法は有意差なく骨治癒を達成した。治療グループ間で分類分けした合併症発生率の中に有意差があった。全体的に外固定グループは最も合併症があった。メジャーで破局的な合併症を考慮した時のみ、最も合併症が少なかった。プレート-ロッド構成は全体的に最も合併症が少なく、メジャーな合併症は最も多かった。骨プレートグループの合併症発生率は中間だった。相対的見地から最も破局的合併症が多かった。

臨床意義:骨治癒するまでの時間には統計学的有意差はなかったが、分類分けした合併症発生率で各グループに有意差が現れた。(Sato訳)
■犬の四肢骨折の安定化でFixinロッキングプレートシステムを使用した経験:臨床的およびレントゲン写真の回顧的評価
Experiences using the Fixin locking plate system for the stabilization of appendicular fractures in dogs. A clinical and radiographic retrospective assessment.
Vet Comp Orthop Traumatol. 2012;26(1):.
T Nicetto; M Petazzoni; A Urizzi; M Isola

目的:Fixinロッキングプレートシステムを使用した犬の四肢骨折の安定化を回顧的に評価する

素材と方法:2005年5月から2010年9月の期間で、Fixinシステムにより骨折治療を行った犬のカルテとエックス線写真を再検討した。各犬に対し、シグナルメント、骨折の質、使用したインプラント、骨折治癒のエビデンスに関するデータを記録した。結果と合併症は、臨床およびエックス線撮影による追跡検査から判定した。肢の機能を術後40-90日の間に評価した。合併症の出た犬のオーナーに長期経過観察のため電話で連絡を取った。

結果:75頭の犬の82か所の骨折がこの研究の基準に合った。術後のエックス線撮影を8日から2年の間(中央値60日)に実施した。82か所の骨折のうち73か所(89%)は合併症なく癒合した。大きな合併症は6頭(7%)に見られた。肢の機能は”正常”に分類されたのが75頭中73頭(97%)、”軽度跛行”は75頭中2頭(3%)だった。

臨床的意義:適度の合併症率もかかわらず、Fixinロッキング骨プレートシステムは、犬の四肢骨折の治療に満足なインプラントの選択と思われる。(Sato訳)
■急性および慢性期骨病変の低出力レーザー療法による修復
Low-power laser therapy for repairing acute and chronic-phase bone lesions.
Res Vet Sci. February 2013;94(1):105-10.
F C D Mota; M A A Belo; M E Beletti; R Okubo; E J R Prado; R V P Casale

ウィスターラットの骨病変の急性および慢性期修復のプロセスに対し、低出力レーザー(InGaAlP:670nm/30mW)90J/cm(2)の治療活性を評価すること。

成体オス63匹を以下の処置を編成するため、骨傷害を条件に9群に振り分けた:T1(コントロール);T2(急性期);T3(慢性期)をそれぞれ3つのサブグループに細分化(n=7)し、術後9日目、17日目、28日目、レーザーによる1日1回の処置期間後分析した。

急性期処置を行ったラットは、より広範な軟骨内骨化プロセスを示した。レーザーで治療した動物は、血清ALP濃度の有意な上昇を示し、生体力学特性に影響し、骨の硬度を徐々に増加させる。

レーザー療法は骨の硬化プロセスを助け、骨組織修復に関係する生理病理メカニズムを支持し、そして傷害の急性期中に治療を開始すればその効果はより顕著だった。(Sato訳)
■片側半円形外骨格固定器を用いた犬の大腿骨骨折の管理
Management of femoral fractures in dogs with unilateral semicircular external skeletal fixators.
Vet Surg. May 2011;40(3):379-87.
Cenk Yardimci; Ahmet Ozak; H Ozlem Nisbet

目的:犬の大腿骨骨折の管理に対して半円形外骨格固定器(ESF)の使用を報告する

研究構成:前向き臨床研究

動物:大腿骨骨折(n=18)の犬(n=16)

方法:6-hole 45°あるいは5-hole 40°カーボンファイバーアーチ、6mmスレッドロッド、ハーフピン固定ボルト、6mmナット、negative profileエンドスレッドハーフピンからなる半円形ESFシステムを大腿骨骨折の開放修復に使用した。ESF配置、合併症、肢の使用、固定器除去時間、機能的結果を評価した。結果は優良、良、フェアー、不良とグレード分けした。

結果:17の骨折は治癒まで十分経過観察できた。8頭の犬は麻酔から覚めるとすぐに肢を使用し始めたが、その他の犬が使用し始めたのは術後1-4日目だった。固定器除去の時期は28-63日(平均、38日)だった。機能的結果は13症例で優良、4症例で良、1症例の偽関節で不良だった。

結論:開放性の外科的修復と半円形ESFの組み合わせは、若い成長期の犬の大腿骨骨端および骨幹の骨折修復にうまく使用できる。(Sato訳)
■前腕骨骨折の治療で尺骨rod設置後の橈骨プレートの最小侵襲適用。方法と症例シリーズ
Minimally invasive application of a radial plate following placement of an ulnar rod in treating antebrachial fractures. Technique and case series.
Vet Comp Orthop Traumatol. September 2010;23(6):.
T H Witsberger; D A Hulse; S C Kerwin; W B Saunders

目的:前腕骨折の治療で、尺骨rodの適用後、細小侵襲橈骨プレート(MIPR)を設置する術式を述べる。

方法:医療記録(2005年11月-2009年6月)からMIRPで安定化させた橈尺骨骨幹骨折の犬を検索した。抽出したデータは徴候、体重、罹患肢、骨折の原因、開放あるいは閉鎖骨折、骨片の数、インプラントの大きさ、使用したスクリューおよび噛み合った皮質の数、開放したスクリューの穴の数、手術時間、rodの除去、合併症およびエックス線検査での治癒までの時間だった。含めたものは、経過観察中にエックス線検査での治癒の証拠があった犬とした。

結果:MIPRで治療した橈尺骨骨幹骨折の犬8頭を症例シリーズに入れた。全ての骨折は外傷によるもので、2例は開放性(グレード1)だった。1症例で尺骨のrodの緩みと骨髄炎が発生し、rodの除去で解消した。インプラントの失敗はなく全ての症例は治癒した。エックス線検査で癒合までの時間中央値は10.5週間(平均±Std.Dev.=17±16週間;範囲4-52週間)だった。

臨床関連:橈尺骨骨幹骨折に対するMIPR構築の使用は、それらの骨折の管理に生物学的骨接合の原理を使用する有効な方法である。尺骨の髄内rodは骨折の整復と安定化を補助し、骨折が治癒すればrodの除去が推奨される。(Sato訳)
■骨欠損モデル犬におけるベータリン酸三カルシウムを混ぜた犬の臍帯血由来間葉幹細胞の移植は骨形成を促進する
Implantation of canine umbilical cord blood-derived mesenchymal stem cells mixed with beta-tricalcium phosphate enhances osteogenesis in bone defect model dogs
J Vet Sci. December 2008;9(4):389-95.
Byung Jun Jang , Ye Eun Byeon, Ji Hey Lim, Hak Hyun Ryu, Wan Hee Kim, Yoshihisa Koyama, Masanori Kikuchi, Kyung Sun Kang, Oh Kyeong Kweon

正所性移植でベータリン酸三カルシウム(ベータ-TCP)を混ぜた同種間犬臍帯血由来間葉幹細胞(UCB-MSCs)の骨形成効果を評価した。0.5mlの生理食塩水で希釈した1x10(6)のUCB-MSCs(CM群)およびコントロールとして同量の生理食塩水(C群)に7000mgのベータTCPを混ぜ、ビーグル犬の橈骨の1.5cm骨幹欠損に移植し、PLGC膜で被覆した。術後前腕のエックス線撮影を行った。移植後12週間でインプラントを収集し、標本の組織学的検査および新生骨形成の組織形態計測的分析のためHE、トルイジンブルー、Villanueva-Goldner染色を行った。またUCB-MSCsは骨折癒合不全の犬にも応用した。
12週目のエックス線検査で、C群のインプラントと宿主骨の間の連続性は6つの接合面のうち1つにしか認められなかったが、CM群で6つの接合面のうち3つに認められた。移植から12週目にC群の骨端近くのみエックス線透過性が認められたが、CM群は移植全体に認められた。組織学的に両群のインプラントの縦断面で、ベータ-TCPの周りに骨形成が観察された。組織形態計測分析で、移植後12週目のCM群に有意な新生骨形成増加を認めた(P<0.05)。癒合不全の骨折に使用したとき、UCB-MSCsの注射後6週間で骨折治癒を認めた。この研究は、UCB-MSCsとベータ-TCPの混合物は、骨欠損の修復に対し有望な骨形成剤であることを示す。(Sato訳)
■犬猫の髄内インターロッキングネイル固定:臨床応用
Intramedullary Interlocking Nail Fixation in Dogs and Cats: Clinical Applications
Compend Contin Educ Pract Vet 26[7]:531-544 Jul'04 Review Article 32 Refs
Jason L. Wheeler, DVM, MS; Daniel D. Lewis, DVM, DACVS; Alan R. Cross, DVM, DACVS; W. Preston Stubbs, DVM DACVS; Robert B. Parker, DVM, DACVS

インターロッキングネイルの使用は大型犬に限られていたが、より小さい直径のネイルシステムが開発され、現在はより小さな犬や猫に応用できる。 インターロッキングネイルは閉鎖様式で挿入できるが、多くは従来の開放、または限定開放アプローチを用いて挿入される。髄内腔に入る最大直径のネイルを選択すべきである。大きな斜骨折またはらせん骨折片や骨端は、遠位骨折端にネイルを進める前に締結ワイヤーを用いて解剖学的に整復、安定化できる。こりひどく粉砕された骨折で、中間部の骨片は、支持様式でネイルを設置する間、邪魔にならないところにおいておく。合併症を伴わない96%と高い癒合率が、インターロッキングネイル安定化で報告されており、足機能が良い-すばらしい回復を90%の動物が示している。この方法の合併症は、インターロッキングスクリューの偏位、ネイルまたはスクリュー破損、癒合遅延または癒合不全である。(Sato訳)
■骨盤骨折による二次的な猫の便秘の管理
Managing Feline Obstipation Secondary to Pelvic Fracture
Compend Contin Educ Pract Vet 27[9]:662-670 Sep'05 Review Article 23 Refs
Sara A. Colopy-Poulsen, DVM; Nichole A. Danova, DVM; Robert J. Hardie, DVM, DACVS, DECVS; Peter Muir, BVSc, MVetClinStud, PhD, DACVS, DECVS

猫の骨盤骨折の多くは、同時に起こる荷重領域の骨折を含め、一般的に多骨折のため、力学的に不安定である。仮骨形成とあわせた腸骨と寛骨臼の軸の変位は、骨盤腔の狭小化を起こす可能性があり、結果として便秘と巨大結腸を誘発する。6ヶ月以上便秘状態がある場合、結腸の不可逆的ダメージのため、全結腸切除が望ましい。骨盤拡張方法は、便秘の臨床症状が6ヶ月以内の場合推奨される。骨盤拡張のオプションは、侵害している骨の骨切除、矯正骨切術と安定化、骨盤結合伸延骨切術による骨盤骨折の修正などである。骨盤結合伸延骨切術は、便秘軽減に対し、骨盤腔拡張に良好で安全な方法である。(Sato訳)
■エポキシレジンとアクリル製創外固定を用いた犬猫の下顎骨折修復
Mandibular Fracture Repair in Dogs and Cats Using Epoxy Resin and Acrylic External Skeletal Fixation
Vet Comp Ortho Trauma 17[4]:189-197 Dec'04 Retrospective Study 34 Refs
* M. R. Owen, S. J. Langley Hobbs, A. P Moores, D. Bennett, S. Carmichael

17頭の犬と8頭の猫の下顎骨折を、アクリルまたはエポキシレジン連結バーを用いた創外固定(ESF)を用いて管理した。骨折修復中の歯の咬合を維持するため、12頭の犬と6頭の猫は喉頭切開、または気管切開を実施し術中吸入麻酔を実施した。犬2頭以外は、全ての骨折は治癒した。犬猫は下顎創外固定に良く許容し、歯や下顎内の神経血管組織に医原的損傷を与えることはなかった。インプラントの緩みは固定器除去の際に良く認められたが、結果に影響しなかった。(Sato訳)
■猫の体肢骨格の骨折偽関節の発生と素因:18例(1998-2992)
Incidence Of and Predisposing Factors for Nonunion of Fractures Involving the Appendicular Skeleton in Cats: 18 Cases (1998-2002)
J Am Vet Med Assoc 226[1]:77-82 Jan 1'05 Retrospective Study 28 Refs
Dawn M. Nolte, DVM; Jason V. Fusco, DVM, DACVS; Mark E. Peterson, DVM, DACVIM

目的:体肢骨格を骨折した猫で、偽関節となる可能性のある素因と、その一般的な部位を確認すること

構成:回顧的研究

動物:1998年-2002年の間に骨折を治療した猫344頭のうち偽関節を起こした18頭

方法:特徴、傷害の種類(骨折部位、配位、種類)、置換と粉砕の程度、治療、転帰などの情報を医療記録から収集した。

結果:脛骨と近位尺骨が偽関節の一般的な部位として認められた。偽関節に有意に関与した因子は、年齢、体重、罹患骨、骨折タイプ、粉砕の程度、固定のタイプ、より年齢の高い猫、より重い猫、脛骨、または近位尺骨を骨折した猫、開放骨折の猫、粉砕骨折の猫、II型創外固定により安定化させた骨折の猫が有意に偽関節になりやすかった。偽関節の猫18頭の内11頭は、偽関節の治療で治癒した。

結論と臨床関連:これら結果は、猫で脛骨や近位尺骨部位は他の部位の骨折よりも偽関節を起こしやすく、また多くの因子が偽関節のリスクを増加させることを示唆する。過剰に大きく強固なII型創外固定器の使用は偽関節発症に関与するかもしれないが、II型創外固定器は、偽関節を起こしやすい部位の骨折安定化によく使用されていた。(Sato訳)
■イヌの肩甲骨遠位1/3横断骨切に対するシングルvs.ダブル半管状プレート固定の生体外力学評価
An ex vivo mechanical evaluation of single versus double semitubular plate fixation of a transverse distal-third scapular osteotomy in the dog.
Vet Surg 32[6]:580-4 2003 Nov-Dec
Mair JJ, Belkoff SM, Boudrieau RJ

目的:肩甲骨体骨折に対するシングルvs.ダブル半管状プレート固定を比較する

研究構成:生体外力学研究

サンプル集団:死体のイヌの18対の肩甲骨

方法:肩甲骨体横骨切を肩甲骨18対の遠位1/3に行った。各ペアの肩甲骨1方をシングルプレートで修復し、対の肩甲骨を2つのプレートで修復した。最初の構成の強度と堅固さを肩甲骨10対で測定した。8対の肩甲骨に周期的負荷を加え、それから破損試験を行った。

結果:ダブルプレート固定は、シングルプレート固定(強度3,238 +/- 935 N、堅固さ537 +/- 202 N/mm)に比べ、有意に強かった(3,899 +/- 632 N)が堅固(614 +/- 130 N/mm)というわけではなかった。周期的負荷の変動値は、2方法で有意差がなかった。周期的負荷をかけた後、ダブルプレート固定(2,916 +/- 618 N)は、シングルプレート固定(2,347 +/- 495 N)よりも有意に強かった。ダブルとシングルプレート固定の間の堅固さに有意差はなかった(P=.11):734 +/- 247 N/mmと595 +/- 139 N/mm。

結論:ダブルプレート固定は、シングルプレートよりも一般に強く、堅固であった。臨床で起こると思われる負荷を大きく超えたときにすべての構成は破損したため、それらの2つの固定方法の差は、おそらく臨床にかかわることはない。

臨床とのかかわり:シングルプレート固定で強度は、肩甲骨体骨折の固定に十分と思われる。(Sato訳)
■橈骨、尺骨、脛骨骨折に対する創外固定の使用
Using External Skeletal Fixation for Fractures of the Radius and Ulna and Tibia
Vet Med 93[5]:463-467 May'98 Review Article 24 Refs
Mary Jean Gorse, DVM, MS, Dipl. ACVS

犬猫の橈尺骨骨折は、全骨折の8.5-18%を占める。多くの橈骨尺骨骨折は、骨の中央から遠位1/3で発生する。小動物で脛骨骨折は全骨折の約20%である。脛骨骨折の多くは、骨幹である。
橈骨、尺骨、脛骨の骨折は、しばしば粉砕で、多くは骨折修復後に治療を必要とする傷を伴う開放骨折である。癒合遅延、癒合不全、骨髄炎などの合併症が良く起こる。
創外固定(ESF)は、橈骨、尺骨、脛骨の骨折に良く選択される修復方法である。それは多用で、しっかりとした固定で、骨折部に金属インプラントを使用せず、傷の管理で傷害部に簡単にアプローチできる。また治癒したならば、簡単に除去できる。この文献で、私は創外固定の術前、術式、術後の考慮を再検討し、橈骨、尺骨、脛骨への固定装置の応用方法を述べる。(Sato訳)
■腰仙椎と骨盤の損傷
Lanz OI.
Vet Clin North Am Small Anim Pract 2002 Jul;32(4):949-62, vii-viii
Lumbosacral and pelvic injuries.

ネコにおける骨盤骨折は、自動車誘発の外傷を受けた後によく観察され、しばしば他の器官組織に影響を与える。効率の良い体系的なアプローチは、骨盤骨折の評価の後に続くべきである。ネコにおける一般的な骨盤骨折の型は、片側の腸骨骨折、片側の仙腸関節脱臼、両側の仙腸関節脱臼、反対側の腸骨体骨折の組み合わせである。骨盤腔の狭小は正常な便の通過を妨げ、巨大結腸の原因となるであろう。タイムリーで正確な外科介入が良好な予後のために必要である。(Dr.Yoshi訳)
■開放性骨折と関節損傷の管理
Steven Schrader, DVM, Dipl. ACVS
キーワード・開放性骨折・複雑骨折・骨感染・骨髄炎・挫傷
定義と分類

開放性骨折は、閉鎖性骨折が単純骨折として言及されるがゆえに、複雑骨折とも呼ばれる。骨、または関節構造が、環境中に暴露された状態を、開放性骨折・関節損傷と言います。軟部組織の損傷と、感染の程度が、これらの開放性損傷をタイプ1,2,3(以下にさらに詳しく説明)に分類するのに用いられます。この分類は、症例管理に対する、一般基礎として、獣医師に提供されます。

一つは、開放性骨折のさまざまなタイプが一連の表現であることと、骨と関節が影響を受けている多くの開放性損傷が、いずれかのタイプにあてはまるということを、理解すべきです。さらに、軟部組織の損傷の程度は、いつも、汚染の程度と関連があるものではありません。軟部組織損傷が殆どないと思われる貫通性の関節損傷は、汚染と感染の高い危険性があります(例えば、農場のような高度に汚染された場所における損傷で、見られるようなもの)。このような境遇では、開放性骨折を重度疾患の高い範疇として、分類することが適しています。

Type1

Type1は、軟部組織損傷と、汚染が最も少ないものであります。それらは、自らの骨折端によって、起こった軟部組織破壊における損傷です(すなわち、内側から外側への力で傷ついたもの)。Type1では、一般的に、重要な軟部組織欠損が殆どなく、傷の外観検査によっても、骨や関節を見ることができません。大部分の骨折に、粉砕骨折は認めません。

Type2

Type2は、Type1とType3の中間にあたる、組織破壊と汚染により、特徴付けられます。Type2の大部分は、損傷を受けた骨、あるいは関節を認めるような皮膚欠損があります。傷は一般的に、裂傷や擦傷のような、外部からの力によるものです(剪断創)。Type2における骨折の大部分は、粉砕骨折はないか、または、あっても、最小限の粉砕骨折であります。

Type3

Type3は、最も重度な軟部組織損傷と汚染を持つものです。Type3は、しばしば、貫通傷(弾丸)、摩擦力(剪断傷)、挫傷のような、外部からの力によるものです。しばしば、相当な軟部組織の欠損があります。特に挫傷によるものでは、軟部組織損傷の程度は、最初、明白でないかもしれません。農場のような汚染された環境で、維持されていた、開放性骨折または関節損傷は、軟部組織損傷の程度が、このタイプに相当しなかったとしても、Type3とみなすべきです。Type3の開放性骨折の大部分は、粉砕骨折であり、骨片は、しばしば、欠損しているか、あっても主要な固定に使おうとするには、あまりに細かいものとなっております。

治療の基本方針

次の基本方針(順番にリストアップしたもの)は、人における開放性骨折の治療で、成功するために必須とされるもので、Gustiloにより、提言されたものです。

1. 骨そして関節に対する開放性損傷は、急患として処置をするべきである。
2. 患者を、生命にかかわる重大な損傷が、他にないかを、注意深く診断するべきである。
3. 適切で十分な抗生物質の全身投与を直ちに開始するべきである。
4. 傷は、完全に掻爬と洗浄をするべきである。
5. 骨折または、関節損傷を安定化するべきである;海綿骨移植は、直ちに、または延期して行うことも可能。
6. 傷は、適切に保護、あるいは閉鎖するべきである;基準は、排液を促進するものであること
7. 手足、および患者は、リハビリをするべきである。

上記の基本方針は、犬と猫に、同じようにうまく当てはまります。治療の最初の数時間は、しばしば、開放性骨折、または関節損傷を経過していた動物における、結果を左右するでしょう。タイプ分けと、存在しているかもしれない他の損傷を明らかにするためには、注意深い評価が必要です。

全身抗生物質療法は、長期に露出した骨と関節を持つ全ての患者に、直ちに開始するべきです。大部分の専門家は、抗生物質療法の開始と共に、培養することを提唱しております。セファロスポリン系は、殺菌作用、広域スペクトラム、腸管外と経口型で利用可能であり、毒性が低いことなどから、一般的に、第一選択薬として適しております。抗生物質療法は、外科管理を通して、続けるべきであり、時に、その後も2~3日間、用います。より長期の抗生物質使用は、傷がひどく汚染されていたり、軟部組織がひどく壊死を起こしている場合、必要かもしれません。抗生物質選択は、培養結果が出た後、あるいは、局所、全身における、感染徴候の展開を認める時に、再評価するべきです。 

適切な外科的掻爬と、多量の洗浄液による洗浄は、開放性骨折と関節損傷の治療に、最も重要な行程です。傷の管理は、動物が安定化するまで、延期したくなるかもしれませんが、延期することは、重大な不利な結果をもたらし得ます。初期の掻爬と洗浄は、しばしば、動物を蘇生している間や、他の治療を施している間に、行うことが可能です。ショック、気胸、あるいはその他の問題を早期に適切に処置することは、全身麻酔に関連するリスクを低くします。追加掻爬は、それ以上の組織壊死や、滲出液の貯留、または破片などがあれば、必要かもしれません。もし、洗浄効果に、疑問があれば、鮮創した傷を部分的に、開放したままにしたり、他の排液する管理法を用いることが、望ましいです。適切な創傷管理の重要性は、Louis Pasteurによる次の引用文で、強調されます。「芽(細菌)が、全く無い。全ては、地勢あるいは環境である。」抗生物質療法は、適切な創傷管理をすることなしに、その代わりとして用いるべきではありません。

骨折または関節を安定化させるのに用いる方法の選択は、損傷タイプと、損傷部位、軟部組織損傷と汚染の程度(すなわちタイプ1,2,3の、どのタイプのものか)、そして獣医師に、高く左右されます。たいてい、開放性損傷の重度な状態が増すにしたがい、選択する固定法は、しぼられます(以下に記述)。

傷を二次癒合によって、閉鎖する様、開放したままにする時は、見込みが絶対に必要です。二次癒合により、治癒した傷は、たいてい、上皮で覆うことで、治癒したものより、構造的、美容的に、より望ましいものです。獣医師は、癒合過程に影響する不利益な因子(すなわち健康な肉芽{感染}、創縁の緊張、そして接触抑制)を改めることにより、創傷治癒を左右することができます。肉芽の肉眼検査により、見分けることができる感染は、しばしば、肉芽組織の形成遅延、膨張、不整、変色(紫色)、そして産出性(滲出液)が、ある時に存在します。感染は、傷の癒合がゆっくり進行している時にも、存在するかもしれません。完全な再掻爬と、頻繁な包帯交換が、感染を消散するのに有効でしょう。被着性非閉鎖性保護(wetまたはdry)を、肉芽が発達するまで使用します。その後は、非被着性非閉鎖性保護法を用います。過度な創縁の緊張は、皮膚を貫通しているピンの抜去、緊張緩和切開、または外固定による関節不動化によって、緩和することができるでしょう。

タイプ別推奨

Type1
必ず用心して取り掛かれば、Type1の治療は、まるで、骨と関節が、露出していないかのように、続けることが可能です。骨と関節の固定に取り掛かるまでに、傷ついた軟部組織を詳しく調べ、壊死組織と破片を取り除くべきです。骨固定法は、さまざまな方法を選択することが出来ます;ただし、キャストによる外固定は、通常、傷の評価の妨げになるので、使用しません。傷の初期閉鎖は、汚染物質が除去されたという確信がある限りでは、通常、行うことも可能です。全身的抗生物質療法は、必要です。

Type 2
適切な創傷管理は、Type2の開放性骨折、または関節損傷で、特に重要です。軟部組織は、完全に掻爬、洗浄するべきです;排液は、少なくとも部分的開放で、傷をおいておくことや、ドレナージ・チューブ(ペンローズなど)を使用することで、維持するべきです。骨折、または関節の治療は、一般的に、傷の初期管理と同時に行います。キャストによる外固定は、推奨されません(Type1と同様の理由から)。厳密な固定は、汚染と、軟部組織損傷のために、感染と、癒合遅延の可能性が増大するため、重要です。適した固定の重要性は、Sir.Reginaid Watson-Jonesの提言により、強調されます。「感染が癒合不全の原因ではない。癒合不全が起こり得る原因は、感染ではなく、感染により、不適切な不動化が、起こるためである。」全身性抗生物質療法は、全てのType2において、必要です。

Type3
Type3では、軟部組織に注意を集中します。人では、規範通りに、Type3の開放性骨折の初期固定は、軟部組織の治癒が始まるまで(すなわち、肉芽が形成されるまで)、延期します。軟部組織の傷は、完全に、外科的掻爬と洗浄をするべきです。軟部組織は、排液、そして更なる外科的掻爬、手入れ除去を考慮して、通常、開放したままにしておきます。時に、部分的、または完全な初期閉鎖が、外科的な排液法(ペンローズチューブ、sumpドレーン)を装着することで、可能となります。粘着性(付着性)非密封包帯(wetまたはdry)は、傷に応用され、包帯により局所に保持されます。包帯は、分厚いもの(ロバート・ジョーンズ包帯法)や、それに添え木を併用した場合など、固定効果を持ち得ます。いったん、健康な肉芽が、形成されたら、非粘着性非密封包帯を用い、骨折、または関節の治療を開始します。全身的抗生物質療法は、Type3の術前、術中、術後に、推奨されます。

残念ながら、犬と猫におけるType3では、骨癒合遅延に関連する現実問題があります。不適切な骨折端の不動化や、不安定な関節の存在が、さらに軟部組織を損傷し、早期の機能回復を妨げ、そして麻酔下にない、動物における包帯交換を妨げているものと、考えられます。褥瘡性皮膚潰瘍、四肢浮腫、肺炎が、歩行を妨げる他の損傷を持つ時に、展開するかもしれません。骨折と関節障害の治療を遅延させること自体、典型的に、現実的ではなく、大抵、疾病率の増大と、改善時間を遅延することになります。

Type3の動物における、早期、初期固定は、通常、創外固定や、骨プレートで、行います。プレートは、骨の再建があり得そうもない時、有意な軟部組織障害がそれ以上起こるかもしれない時、バットレスプレートを用います。この注意点は、創外固定の使用が、損傷部位における、さらなる軟部組織の障害を避けるためのプレート固定より、有益であるということです。創外固定の不利益な点は、より注意深い術後管理(ピンからの感染)が、必要であるということです。さらに、皮膚を通しての固定は、傷の閉鎖(癒合)を妨げます。(Dr.K訳)

REFERENCE1. Gustilo RB: Management of open fractures and their complications, vol IV. Saunders Monographs in Clinical Orthopaedics. Philadelphia, WE Saunders, 1982, pp 15-54, 133, 159.
■犬の脛骨粉砕骨折の治療における骨プレート固定を用いた観血的整復と創外固定を用いた非観血的整復の比較:47症例(1980-1995)
Open Reduction and Bone Plate Stabilization, Compared with Closed Reduction and External Fixation, for Treatment of Comminuted Tibial Fractures: 47 Cases (1980-1995) in Dogs
J Am Vet Med Assoc 211[8]:1008-1012 Oct 15'97 Retrospective Case Series 17 Refs
Melissa Dudley, DVM; Ann L. Johnson, DVM, MS

目的:脛骨の重度粉砕骨折に対する治療として骨プレート固定を用いた観血的整復と、創外固定を用いた非観血的整復を比較することです。四肢のアライメント、骨折整復、手術所要時間、入院期間、術後ケアー、非制限運動の日数、骨治癒、合併症、そして外科処置の回数を評価しました。

計画:回顧的症例検討

動物:激しい脛骨の粉砕骨折を伴う47頭の犬のうち、骨プレート法を用いた観血的整復で治療した犬22頭、創外固定を用いた非観血的整復で治療した犬25頭です。
手順:この研究に含まれる、全ての犬の医療記録を再調査しました。術後、そして追跡X-Ray検査所見を、2人の観察者により評価しました。

結果:骨プレートで治療した犬と、創外固定で治療した犬の間に、入院期間、非制限運動期間、骨癒合を示すレントゲン所見までの時間に差は認めませんでした。創外固定で治療した骨折は、より尾側のアライメントが不良となり、骨プレートで治療した骨折は、より外反のアライメントが不良となりました。アライメント不良は、臨床上問題にならないとみなしました。創外固定で治療した骨折は、手術時間がより短く、より多くの再検査が必要でした。骨プレートで、治療した骨折は、より合併症が多く発生しました。

結論と臨床関連:骨プレートを用いた観血的整復と、創外固定を用いた非観血的整復は、両者とも脛骨の粉砕骨折の治療に有効でした。創外固定は、手術時間短縮をもたらしましたが、より多くの術後ケアーを必要としました。骨プレートは、より多くの合併症と関連がありました。(Dr.K訳)

■外固定による橈骨の単純骨折と多骨折:犬における、橈骨の単純骨折と多骨折に対して、創外固定を用いた治癒の比較:56症例(1983-1999)
Vet Comp Ortho Trauma 15[2]:97-103 Mar'02 Clinical Communication 40 Refs
P H. Laverty, A. L. Johnson, J. P Toombs, D. J. Schaeffer
Simple and Multiple Fractures of the Radius Treated With An External Fixator: Comparison of Healing of "Simple" Fractures and Multiple Fractures of the Radius Treated with External Skeletal Fixation in Dogs: 56 Cases (1983-1999)

橈骨と尺骨の骨幹骨折を、創外固定タイプⅠb、またはタイプⅡにより整復した、56頭の犬の医療記録を再検討しました。症例は、1983年から1999年までに、イリノイ州(アイダホ)獣医科大学、またはPurdue獣医科大学に紹介されたものです。内訳は、32頭の単純骨折と、24頭の多骨折でした。単純骨折は、24頭を、タイプⅡで、8頭をタイプⅠbで整復しました。多骨折は、20頭をタイプⅡで、4頭をタイプⅠbで整復しました。

単純骨折32頭のうち8頭と、多骨折24頭のうち12頭が開放性骨折でした。開放性骨折は、「bridging」の遅延と有意に関連し、観血的整復は、単純骨折の犬により多く適用されました。観血的整復は、骨折部位をどうし多く接触させる結果となりました。骨折部位の接触は、外固定を除去する時間をより短縮しました。臨床的癒合は、56頭のうち、50頭での骨折で達成し、外固定は平均14.2週で除去されました。「bridging」の平均時間、または外固定除去の平均時間における、単純骨折と多骨折との間の有意差は認めませんでした。

合併症が、骨折の25%(14/56)に発生しました。骨折治癒の合併症は18%(9/56)に起こり、合併症と関連した骨折は9%に発生しました。合併症は、5kg以下の犬により多く発生しました。単純骨折と多骨折との間に、合併症のタイプや発生率に関して、いかなる差もありませんでした。この研究結果は、外固定による安定化が、橈骨と尺骨の単純骨折と多骨折に対して、適切な処置であるということを示しています。(Dr.K訳)