■犬と猫の化学療法-関連血管外遊出の回顧的研究
A Retrospective Study of Chemotherapy-Related Extravasation Events in Dogs and Cats
Multicenter Study
J Vet Intern Med. 2025 May-Jun;39(3):e70042.
doi: 10.1111/jvim.70042.
Elise Martens 1, Rachel Hritz , Craig Clifford , Christine Mullin , Corrine Camero , Kai-Biu Shiu , Catherine Chan , Chelsea Del Alcazar , Carol DeRegis , Lindsay Donnelly , Bryan Marker , Katarzyna Purzycka , Kathryn Vickery

背景:化学療法の血管外遊出は重大な合併症の可能性を持つ。血管外遊出事象、治療および結果を調査した獣医の文献において情報は不足している。

目的:犬と猫の化学療法の血管外遊出事象、治療、有害事象(AEs)、全体の結果を評価する

動物:20頭の犬と3頭の猫を含めた

方法:化学療法の血管外遊出が疑われた犬と猫を含む回顧的多施設記述研究。入手して含めた情報:シグナルメント、血管外遊出の詳細と施された治療、VCOG-CTCAE v2基準に従いグレードを付けたAEs、結果。

結果:血管外遊出した最も一般的な薬剤はドキソルビシンで、続いてカルボプラチンだった。カルボプラチンの血管外遊出(n=5)は、グレードIII-IVのAEsを起こし、全て外科的デブリードメントを必要とした。ドキソルビシンの血管外遊出(n=9)は、グレード0-VのAEsを起こし、そのうち2頭は最終的に断脚が勧められ、その2頭のうち1頭は代わりに安楽死された。ビンカアルカロイド(n=5)とラバクフォサジン(n=1)の血管外遊出は、グレードII-IIIのAEsで、全て外来で管理された。ミトキサントロン(n=2)とダカルバジン(n=1)の血管外遊出は、血管外遊出に関係する臨床症状を起こさなかった。78%(18/23)の症例は、化学療法の最初の4処置のうち1つの処置中に、30%(7/23)の症例は最初の化学療法処置中に発生していた。

結論と臨床的重要性:ほとんどの症例(20/23)は、軽度から中程度のAEs、あるいはAEsがなかった。所見は、カルボプラチンが発泡薬と考えるべきだということを支持する。(Sato訳)
■犬の異なる固形腫瘍の治療に対するクロラムブシルとトセラニブの組み合わせの回顧的安全性評価
Retrospective Safety Evaluation of Combined Chlorambucil and Toceranib for the Treatment of Different Solid Tumours in Dogs
Animals (Basel). 2024 Nov 26;14(23):3420.
doi: 10.3390/ani14233420.
Yuk-Yin Lai , Rodrigo Dos Santos Horta , Paola Valenti , Antonio Giuliano

獣医療でクロラムブシルは様々な癌に使用されるが、犬の肥満細胞腫の治療に認可されているトセラニブは、現在、他の固形腫瘍に対し使用される。両薬剤は一般に安全だが、それらの併用は研究されていない。

この研究の目的は、犬の固形腫瘍に対し、クロラムブシル-トセラニブ併用の安全性プロフィールを回顧的に調査することだった。

38頭の犬にこの組み合わせを投与した。クロラムブシルは、投与量強度中央値15.1mg/m2/週で投与し、トセラニブは、月-水-金スケジュールで2.5mg/kgの用量中央値で投与した。用量は市販入手可能な錠剤形態、共存症、有害事象(AEs)により個別に調節した。

結果として生じる臨床利益率(CBR)、総反応率(ORR)は、それぞれ55.3%と10.5%だった。無増悪期間(PFS)中央値と生存期間中央値(MST)は、それぞれ45.5(12-537)日と259(42-1178)日だった。

消化管AEsは39.5%(n=15)、UPC上昇は15.8%(n=6)、血液および生化学AEsは各13.2%(n=5)の症例が経験した。それらAEsのほとんどはグレード1-2だった。AEsにより治療を中断した犬はおらず、この組み合わせは安全と思われた。

我々の所見を確認し、種々の癌にわたるその効果を調査するため、大規模前向き臨床試験が必要である。(Sato訳)
■犬の右室機能に対するドキソルビシンの化学療法の影響
Effects of chemotherapy treatment with doxorubicin on right ventricular function in dogs
J Vet Med Sci. 2024 Jul 3.
doi: 10.1292/jvms.24-0004. Online ahead of print.
Tomoya Morita , Naohiro Uchida , Mayu Kimura

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犬のドキソルビシン(DOX)投与後の左室機能障害は、大規模に調査されている。しかし、右室(RV)機能に対するDOXの影響は不明なままである。

ゆえに、この研究ではDOXの化学療法がRV機能を低下させるのかどうかを調査した。

最低2回のDOXを投与した12頭の犬(5頭は多中心型リンパ腫、4頭は血管肉腫、2頭は甲状腺癌、1頭は肺腺癌)を前向きに登録した。心エコー検査とトロポニンIの測定を、DOXの各投与前と、最終投与後約1か月で実施した。右室機能は、RV機能的領域変化とRV Tei indexで評価した。

DOXは2(n=4)、3(n=3)、4(n=3)、5回(n=2)投与された。RV機能的領域変化に有意な違いは観察されなかったが、RV Tei indexはDOXの2回投与後に有意な障害を受けた。トロポニンI濃度は、4回後に有意に上昇した。DOXの累積投与は、RV Tei indexと相関した(r=0.77、P<0.001)。

この研究結果は、犬へのDOXの化学療法は、用量依存的にRV機能を低下させることを証明した。(Sato訳)
■経口ミルタザピンは猫のドキソルビシン化学療法における消化管副作用を減少させる
Oral mirtazapine decreases the gastrointestinal adverse effects in cats on doxorubicin chemotherapy
Vet J. 2024 Feb 21:106087.
doi: 10.1016/j.tvjl.2024.106087. Online ahead of print.
C H Lee , S L Wang

ヒトと動物における食欲不振、沈鬱、嘔吐は、一般的な副作用である。ミルタザピンは犬と猫の食欲刺激、制吐剤として主に使用される。

よって、我々はドキソルビシン化学療法を受けている猫において、消化器副作用を減らすことに対するミルタザピンの効果を評価した。

この単盲検化プラセボ対照交差研究に、悪性乳腺腫瘍の猫11頭を登録した。猫はドキソルビシン化学療法の開始から2週間、無作為に48時間毎のミルタザピン(1.88mg/頭)あるいはプラセボ投与群に振り分けた。その後、各猫は1週間のウォッシュアウト期間を経て、投与群を交代させた。各ドキソルビシン投与後、飼い主に2週間の食欲スコア、活動スコア、嘔吐及び下痢について記録してもらった。

ミルタザピンを投与した猫は、プラセボを投与した猫よりも有意な体重増加を示した(P=0.010)。ミルタザピン投与中の食欲および活動スコアは、プラセボ投与中よりも有意に高かった(それぞれ、P=0.005、0.018)。さらに、ミルタザピン投与中の嘔吐の有病率は、プラセボ投与中よりも有意に低かった(P=0.026)。

我々の結果は、ミルタザピンがドキソルビシン投与後の猫において、体重、食欲、活動性を有意に増加させ、嘔吐を減少させることができることを示す。(Sato訳)
■担癌犬における経口カペシタビンの血漿薬物動態と許容性を調査した予備研究
A pilot study investigating plasma pharmacokinetics and tolerance of oral capecitabine in carcinoma-bearing dogs
BMC Vet Res. 2024 Jan 31;20(1):36.
doi: 10.1186/s12917-023-03805-y.
Sarah Wetzel , Janean Fidel , Dale Whittington , Nicolas F Villarino

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背景:カペシタビンは、活性代謝物5-フルオロウラシルの経口プロドラッグで、ヒトの結腸直腸、頭頚部、乳癌に効果的に使用されている。カペシタビンは犬に対して魅力的な治療オプションとなるいくつかの特性を持つ:(1)比較的安価、(2)ヒトで半減期は短く、投薬量の調整するための急速な血漿濃度変化が可能、(3)ヒトの癌の治療に効果的で、犬において広く効果的な経口化学療法のオプションがない、(4)チミジンホスホリラーゼの異なる発現のために癌細胞を優先的に標的にすると考えられ、ゆえに標的以外の副作用のリスクを低減する。しかし、カペシタビンは犬の化学療法剤として広く研究されていない。

この研究の目的は、1回の経口投与後の犬のカペシタビンの血漿配置を判定することと、5週間のコースのカペシタビン投与に関係する有害事象を述べることだった。

結果:3-週サイクルで14日連続1日1回750mg/m(公式:テキスト参照)のカペシタビン経口投与で、自然発生の癌の犬5頭に使用した時、5週の研究期間をよく許容した。有害事象や他の原因で研究を中止した犬はいなかった。AUC(公式:テキスト参照)中央値は890h(公式:テキスト参照)ng/ml(範囲750-1100h(公式:テキスト参照)ng/ml)だった;しかし1回の投与後、カペシタビン濃度の最大血中濃度と到達までの時間はかなり変化しやすかった。

結論:カペシタビンは、癌の犬の経口化学療法剤として許容性は良いと思われるが、用量の個別化は必要かもしれず、今後の研究が求められる。(Sato訳)
■種々の起源の切除不可能あるいは転移性癌の治療に対するカペシタビンへの注目
Spotlight on capecitabine for the treatment of unresectable or metastatic carcinoma of various origin: A retrospective study of 25 dogs
Vet Comp Oncol. 2023 Dec 1.
doi: 10.1111/vco.12945. Online ahead of print.
Chiara Agnoli , Sofia Rimondi , Giulia Ghisoni , Dina Guerra , Michele Tumbarello , Simone Perfetti , Alessandro Tirolo , Laura Marconato

カペシタビン(5-フルオロウラシルの経口プロドラッグ)は、ヒトの種々の悪性上皮癌の治療に示されている。犬において、カペシタビンは広く評価されていない。

この回顧的研究の目的は、効果的な治療が存在しない、従来の治療が失敗あるいは拒否された全ての部位の進行した悪性上皮癌の犬において、単剤カペシタビンの毒性および予備的効果を調査することだった。

カペシタビンは1日から14日の間は750mg/m2で経口投与し、続く1週間は休薬という3週間サイクルで投与した。安全性の評価は2サイクル後、その後は2-3サイクルごとに実施した。腫瘍の反応は2-3サイクルごとに判定した。

肝細胞癌(n=6)、肺乳頭癌(n=4)、肛門嚢腺癌(n=3)、結腸腺癌(n=2)、他の個別に現れた上皮癌(n=10)の25頭の犬を含めた。

犬には4サイクルの中央値(範囲、2-43)で、中央値84日間(範囲、42-913)投与した。中毒は17頭(68%)で発生した;もっとも頻度の多い有害事象は消化管で、大多数は自然回復および軽度グレードだった。肉眼で見える疾患の22頭のうち、3頭(13.6%)は部分寛解に達し、16頭(72.7%)は安定、3頭(13.6%)は進行した;総臨床的利益率は86.4%だった。無増悪期間中央値は93日(95%CI42-154日;範囲1-521日)で、腫瘍特異的生存期間中央値は273日(95%CI116-482日;範囲45-913日)だった。

それらの所見は、犬のいくつかのタイプの癌の治療に対し、カペシタビンは魅力的なオプションであることを示唆する。カペシタビンのスケジュールの最適化、その効果の確認を行う前向き研究が正当化される。(Sato訳)
■ビンクリスチンの血管外傷害を起こした犬1例の自己多血小板血漿による治療
Autologous platelet-rich plasma treatment in a dog with vincristine extravasation injury
Acta Vet Hung. 2023 May 12.
doi: 10.1556/004.2023.00730. Online ahead of print.
Basak Boztok Ozgermen

硫酸ビンクリスチン(VS)の血管外漏出は、犬可移植性性器肉腫やリンパ腫や白血病のような他の造血系腫瘍の治療中に遭遇する一般的な合併症の1つである。化学療法剤の漏出は、潰瘍や壊死を誘発する軟部組織のダメージを起こすかもしれない。多血小板血漿は成長因子とサイトカインからなることが研究で示されており、ゆえに傷の治癒に非常に重要な役割を持つ。

この研究の目的は、VS血管外漏出関連の急性全層皮膚創傷の治療において、自己多血小板血漿と抗菌剤創傷包帯の効果を評価することだった。

オスのアクサライ・マラクリ・シェパード犬(3歳)が、VSの静脈内注射後2日目に出現した左前肢に創傷があり、我々の病院に連れてこられた。血管外漏出が疑われた。

合計3.5mLの自己多血小板血漿を傷の縁に注射し、酢酸クロルヘキシジンを含む抗菌剤包帯を1週間に1回使用した。いずれの合併症もなく6週間で創傷は治癒した。

結論として、VS血管外漏出関連の急性全層皮膚創傷の治療に対し、自己多血小板血漿療法は、簡単で、費用対効果の高い方法である。(Sato訳)
■犬の癌に対するカルボプラチンとブレオマイシンの組み合わせによる治療の遡及的評価
Retrospective Evaluation of a Combination of Carboplatin and Bleomycin for the Treatment of Canine Carcinomas
Animals (Basel). 2022 Sep 8;12(18):2340.
doi: 10.3390/ani12182340.
Antonio Giuliano , Angel Almendros

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獣医腫瘍学において、カルボプラチンは、癌を含む様々なタイプの腫瘍の治療に広く使用される化学療法剤である。過去に、カルボプラチンは種々の癌の治療に対し、5-フルオロウラシル(5-FU)あるいはゲムシタビンとの組み合わせで使用されている。ブレオマイシンは、ヒトで一般的に使用される化学療法剤であるが、その使用は犬であまり報告されていない。カルボプラチンとブレオマイシンの化学療法の組み合わせは犬で報告されていない。

二次診療の1施設で、癌と診断されカルボプラチンとブレオマイシンの組み合わせで治療した犬を遡及的に評価した。

30頭の犬が組み込み基準に合致した。カルボプラチンの用量の範囲は200-250mg/m2(中央値240mg/m2)で、ブレオマイシンは15-20IU/m2(中央値15IU/m2)だった。カルボプラチンとブレオマイシンの治療は許容性が良く、16頭(53%)の犬に副作用が発症した。13頭(46%)の犬は消化器症状が発症し、9頭(30%)は血液学的異常が発症した。最も一般的な副作用は、グレード1の食欲不振とグレード1の好中球減少だった。グレード2の好中球減少はまれに見られ、1頭だけがグレード3の好中球減少を発症した。グレード4の有害事象を発症、あるいは入院が必要、あるいは治療により死亡した犬はいなかった。肺毒性を含む長期の副作用の症状は観察されなかった。

客観的な反応は24%の犬(部分的反応6頭)と臨床的利益を達成した76%の犬(部分反応+安定疾患)で観察された。臨床症状は30頭中24頭(80%)で改善した。

この研究の主要目的は、種々のタイプの癌の治療に対し、ブレオマイシンとカルボプラチンの組み合わせの安全性を評価することだった。

ブレオマイシンとカルボプラチンの組み合わせは、安全で、いくつかの癌のタイプに効果がある可能性を持つと思われる。カルボプラチンとブレオマイシンの組み合わせの、安全性と効果を確認する大規模前向き研究が必要である。(Sato訳)
■犬の種々の癌の治療に対する経口パクリタクセルの効果と安全性の回顧的分析(2017-2021)
Retrospective analysis of efficacy and safety of oral paclitaxel for treatment of various cancers in dogs (2017-2021)
Vet Med Sci. 2022 May 27.
doi: 10.1002/vms3.829. Online ahead of print.
Hyung-Kyu Chae , Ye-In Oh , Sumin Park , Ju-Hyun An , Kyoungwon Seo , Kyuyong Kang , Seung-Nam Chu , Hwa-Young Youn

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背景:ヒトにおいて、いくつかの安全性評価は、経口パクリタクセルによる最小の有害事象を示している。しかし、種々の癌の犬においてその治療効果と安全性は十分に確立されていない。

目的:種々の癌の犬において経口パクリタクセルの効果と安全性を回顧的に評価すること。

方法:種々の癌を診断された21頭の犬に、いくつかの投与量の経口パクリタクセル1か月に3回(1群)あるいは1か月に6回(2群)投与した。

結果:全体の反応率は、治療反応が評価できた犬において6.25%(6.25%、完全反応;56.25%、安定疾患;37.5%、進行性疾患)だった。生存期間(OS)中央値と無増悪生存期間(PFS)はそれぞれ74日と60.5日だった。投与群にかかわらず、2群のOS及びPFSは統計学的有意差に届かなかった。ほとんどの犬は治療法によく許容し、数頭でマイナーな有害事象が観察されたが、一時的な投薬中止、用量削減、あるいは対症療法で回復した。2群間で有害事象の有病率に有意差はなかった。

結論:観察された癌の特定のタイプにおける反応と最小有害事象を基に、この研究所見は、犬の経口パクリタクセル投与の効果と安全性を支持した。このように経口パクリタクセルは、犬の癌の治療に役割を果たすことができた。(Sato訳)
■非肥満細胞腫瘍の犬におけるリン酸トセラニブの役割:系統的レビュー
The role of toceranib phosphate in dogs with non-mast cell neoplasia: A systematic review
Vet Comp Oncol. 2022 Jan 4.
doi: 10.1111/vco.12799. Online ahead of print.
Petros Frezoulis , Aaron Harper

チロシンキナーゼインヒビター(TKI)の使用は、ここ10年で動物癌患者においてかなりの重要性を得ている。リン酸トセラニブは、肥満細胞腫の犬の治療に認可を受けている。その分子によく似た人医で使用されるTKIのスニチニブは、多くの獣医腫瘍学者が複数の腫瘍性疾患に対し、この薬剤を使用するように仕向けている。

この研究の目的は、非肥満細胞腫瘍の犬においてトセラニブの使用に対するエビデンスの系統的レビューを実施することだった。

2つの電子データベースを検索した。犬で治療オプションとしてトセラニブを使用した場合に出版物を含めた。トセラニブが複数様式治療プランの一部で使用された場合、トセラニブに関係する反応あるいは結果のデータの記述がない場合は研究及び症例報告を除外した。

122の参考から28の研究が含まれた。確認された腫瘍の一般的な種類は、神経内分泌腫瘍(8)、肛門腺癌(5)、骨肉腫(4)だった。複数の他の腫瘍は1つか2つの研究で、トセラニブの使用の記述を確認した。

研究の結果は、リン酸トセラニブは神経分泌腫瘍、消化管間質腫瘍、肛門腺癌のような確実な状況下の確実な腫瘍に対し効果があるかもしれないと支持し、一方でレビューの所見を基に転移性骨肉腫の治療に対してはおそらく効果がないと支持する。(Sato訳)
■ドキソルビシン1回投与とマロピタントで治療した小型犬種の犬の有害事象の評価
Evaluation of adverse events in small-breed dogs treated with maropitant and a single dose of doxorubicin
J Vet Intern Med. 2022 May 7.
doi: 10.1111/jvim.16439. Online ahead of print.
Fukiko Matsuyama , Kei Harada , Eri Fukazawa , Masanao Ichimata , Yuko Nakano , Tetsuya Kobayashi

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背景:小型犬に対し、推奨されているドキソルビシン(DOX)投与量は1mg/kgである。最近のデータでは、DOXによる消化管(GI)毒性は、マロピタント投与で減少できる。

目的:1回の25mg/m2DOXを投与した小型犬種の犬に、続けてマロピタントを投与した時(DOX25)の有害事象(AEs)の発生率を調査する。1つめの目的は、DOX投与後2週間の骨髄およびGI毒性を評価することだった。2つ目の目的は、DOX25群で見られたAEsの発生率とグレードを、従来のコントロール群(制吐薬あるいは止瀉薬の投与なしでDOX1mg/kg)と比較することだった。

動物:19頭の小型犬種の担癌犬

方法:担癌犬(体重5-10kg)にDOX25mg/m2を1回IV投与し、続いて、5日間マロピタントを投与する前向き観察研究。

結果:食欲不振、嘔吐、下痢は、DOX25の犬のそれぞれ19頭中7頭、2頭、6頭に見られた。好中球減少と血小板減少は、それぞれ19頭中12頭と3頭に見られた。3頭に見られたグレード3、4の食欲不振、4頭に見られたグレード3、4の好中球減少を除き、ほとんどのAEsはグレード1と2だった。さらに、DOX25群において発熱した好中球減少は19頭中3頭に発生した。DOX25と従来のコントロール群に見られたすべてのAEsに有意差はなかった。

結論と臨床的重要性:5-10kgの犬の25mg/m2DOXに続き、マロピタントの投与で、嘔吐と下痢は許容できるものと考えられた;しかし、食欲不振や好中球減少の犬に対し、追加の支持療法が必要と思われる。(Sato訳)
■担癌犬においてロムスチン誘発性好中球減少の発現に関係するリスクファクター
Risk factors associated with the onset of lomustine-induced neutropenia in tumour-bearing dogs
Vet Comp Oncol. 2022 Mar 6.
doi: 10.1111/vco.12809. Online ahead of print.
E Treggiari , G Cossu , P Valenti , A Taylor

ロムスチン(CCNU)はニトロソ尿素サブクラスにおける経口アルキル化剤で、骨髄抑制を引き起こす可能性があり、主な用量規定毒性は好中球減少である。

この研究の目的は、CCNUで治療した担癌犬において、好中球減少の頻度を明らかにし、素因となるリスクファクターを確認することだった。

種々の悪性腫瘍に対しCCNUを投与されている犬を、病院のデータベース検索後に確認した。好中球減少との関連に対し解析した変数は、シグナルメント、体重、腫瘍タイプ、CCNU総用量、ステロイドの使用、プロトコールのタイプ、L-アスパラギナーゼの使用、過去のアントラサイクリン投与、第一選択あるいはレスキューとしての薬剤の使用が含まれた。

115症例が含まれた;年齢中央値は7歳(範囲1-14歳)、体重中央値は27.6kg(範囲3-74kg)だった。CCNU用量の中央値は63.5mg/m2(範囲27.7-84.9mg/m2)だった。好中球減少は75症例(65%)で発生し、グレード1(28%)、2(16%)、3(29.3%)、4(26.7%)で構成された。腫瘍のタイプ(組織球肉腫)、第一選択でCCNUの使用、用量>70mg/m2、共存症の欠如、過去のアントラサイクリン投与は高グレードを含む好中球減少のリスク増加と有意に関係した。報告された死亡率は1.7%だった。

組織球肉腫、第一選択、開始用量>70mg/m2、共存症がない、過去にアントラサイクリンを投与していた犬にCCNUを使用する時、好中球減少発生のリスクが増加するかもしれない。それらのデータは、治療の決断の手助け、処置の遅れ、あるいは潜在的に命を脅かす合併症を最小限にするかもしれない。(Sato訳)
■シクロフォスファミドと低用量フロセミドで治療した犬の無菌性出血性膀胱炎の発生率
Incidence of Sterile Hemorrhagic Cystitis in Dogs Treated with Cyclophosphamide and Low-Dose Furosemide
J Am Anim Hosp Assoc. 2022 Mar 1;58(2):85-90.
doi: 10.5326/JAAHA-MS-7169.
Yoshimi Iwaki, Jerome Gagnon, Valerie MacDonald-Dickinson

シクロフォスファミドはリンパ腫の治療に良く使用される化学療法である。無菌性出血性膀胱炎(SHC)の原因となる可能性があり、フロセミドはSHCの発生を抑えるために使用される。

この研究の目的は、シクロフォスファミドのボーラス最大許容量の経口投与と、フロセミド1mg/kgの経口投与で治療した犬において、SHCの発生率を評価することである。

SHCの発生率、経口シクロフォスファミドの用量と回数、フロセミドの用量を調べるために医療記録を再調査した。シクロフォスファミドの他の副作用も記録した。

リンパ腫の化学療法プロトコールの一部として、単回の最大許容量のシクロフォスファミドとフロセミドの経口投与を受けた81頭の飼い犬を研究に含めた。計252回のシクロフォスファミドを81頭の犬に投与していた。シクロフォスファミドの用量中央値は239.3mg/m2だった。フロセミドの用量中央値は1.08mg/kgだった。SHCは2頭で疑われた(2.46%)。

過去に報告された高用量のフロセミドを使用したものと比較して、シクロフォスファミドとフロセミド1mg/kgの併用で、同様の発生率が得られる。(Sato訳)
■16頭の犬のアントラサイクリン過剰投与の毒性、管理、結果
Toxicity, outcome, and management of anthracycline overdoses in 16 dogs
J Vet Intern Med. 2021 Nov 25.
doi: 10.1111/jvim.16325. Online ahead of print.
Haylie C Lawson , Margaret L Musser , Rebecca Regan , Antony S Moore , Ann Hohenhaus , Brian Flesner , Chad M Johannes

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背景:ヒトや動物では化学療法過剰投与(ODs)の複数の報告があるが、アントラサイクリンのODsはあまり述べられていない

仮説/目的:犬のアントラサイクリンOD後の毒性、治療、全体の結果を述べる

動物:12頭のミトキサントロン(MTX)および4頭のドキソルビシン(DOX)の過剰投与を評価した

方法:多施設回顧的分析。アメリカの大学の獣医内科腫瘍学及び内科学リストサーブで化学療法のODが発生した症例を募った。

結果:16頭のアントラサイクリン症例が集まった。アントラサイクリンのODsは、化学療法の調剤の間違い(n=9)、あるいは用量の計算間違い(n=7)で発生した。ODの全体の中央値は、規定量の1.9倍(範囲、1.4-10倍)だった。多くのODsは薬剤投与後すぐに確認され(n=11)、犬の大多数は支持療法のため(n=11)、平均8日間(範囲、3-34日)入院した。OD後の有害事象は、好中球減少(94%)、血小板減少(88%)、貧血(63%)、下痢(63%)、食欲不振(56%)、嘔吐(38%)、元気消失(31%)、吐き気(25%)が含まれた。2頭は生存しなかった。高グレードの好中球減少は一般的で、フィルグラスチムの投与で緩和するとは思えなかった。

結論と臨床的重要性:全ての犬はODの確認後に支持療法を受け、死亡は一般的ではなかった。追加評価がアントラサイクリンのODの理想の治療ガイドライン判定に必要である。(Sato訳)
■癌の化学療法中の犬に重度有害事象は良く見られるのか?155頭の犬の回顧的研究
Are severe adverse events commonly observed in dogs during cancer chemotherapy? A retrospective study on 155 dogs
Vet Comp Oncol. 2021 Nov 14.
doi: 10.1111/vco.12782. Online ahead of print.
T Chavalle 1, G Chamel , P Denoeux , M Lajoinie , D Sayag , P Berny , F Ponce

獣医療で重度有害事象(sAE)の全体の有病率はあまり研究されておらず、査読付き研究もほとんどがシングルプロトコールに焦点を当てており、一般的な概要を得ることを難しくしている。

この回顧的研究の目的は、犬の種々の化学療法によるsAEの頻度とリスクファクターを評価することだった。

2013年1月から2018年12月までの化学療法で治療した155頭の犬の医療記録を再調査した。有害事象(AE)はVCOG-CTCAE grading systemに従いグレードを付けた。個体群統計、癌のタイプ、化学療法プロトコールがsAEの発症とその結果に関係したかどうかを判定するために統計学的解析を実施した。

AEは124頭(80%)の犬で1回以上報告され、sAEは50頭(32.3%)で認められた。それらのうち、23頭(14.8%)は消化管、31頭(20.0%)は骨髄毒性だった。sAEにより37頭(23.9%)は入院、12頭(7.7%)は化学療法中止、9頭(5.8%)は安楽死あるいは死亡した。造血系の腫瘍は、より高い頻度(p=0.004)、消化管(p=0.009)のsAE、入院(p=0.004)と統計学的に関係した。体重が10kg以上の犬は、血液学的sAEが少なかった(p<0.001)。多剤プロトコールの使用は、sAE(p=0.038)や血液学的sAE(p<0.001)に対するリスクファクターとして強調された。化学療法後のsAEや入院、化学療法中止あるいは死亡となることは比較的一般的だった。化学療法中のフォローアップで、小型犬や多剤プロトコールあるいは、造血系腫瘍に対する治療には特に注意すべきである。(Sato訳)
■犬猫の化学療法過剰投与の回顧的評価
A Retrospective Evaluation of Chemotherapy Overdoses in Dogs and Cats
Front Vet Sci. 2021 Sep 22;8:718967.
doi: 10.3389/fvets.2021.718967. eCollection 2021.
Margaret L Musser , Kaitlin M Curran , Brian K Flesner , Chad M Johannes

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化学療法の過剰投与(ODs)は、抗腫瘍薬の使用後に発生しうる重度の合併症である。しかし、獣医医療で化学療法ODsについてはあまり知られていない。

この回顧的研究の目的は、愛玩動物医療で既知の化学療法ODsの発生、タイプ、原因を報告することだった。

米国獣医内科学会腫瘍および内科リストサーブで、犬と猫の化学療法OD症例を募った。ODは意図した量より10%多く化学療法剤の投与、あるいは計画よりも短い間隔で投与と定義した。11頭の犬で12の非アントラサイクリンODs、猫で3つのODsを集めた。

犬の過剰投与にはカルボプラチン、シクロフォスファミド、L-アスパラギナーゼ、ロムスチン、マスタージェン、ビンクリスチン、ビノレルビンが含まれた。猫のODsにはドキソルビシンとビンクリスチンが含まれた。犬において、ODの中央値は、意図した用量の2.1x(範囲:1.2-10x)だった。全ての犬はODでも生存し、様々なグレードの種々の消化管、血液学的毒性を発症した。2頭の猫は2.4xのビンクリスチンODで、支持療法にもかかわらず死亡した。2xのドキソルビシンの投与を受けた猫は、Veterinary Cooperative Oncology Group-common terminology criteria for adverse events (VCOG)グレードIの血小板減少と貧血、VCOGグレードIIの好中球減少を起こしたが生存した。

獣医療において化学療法ODsは珍しいと思われ、一般に意図した用量の2-3倍である。臨床的影響は、VCOGグレードIおよびIIの消化管障害およびVCOGグレードIIIおよびIVの血液学的影響が含まれた。適切な支持療法で多くの動物は生存するだろう。致死的事象は、猫でビンクリスチン過剰投与後により多く見られる。(Sato訳)
■いくつかのアントラサイクリンで治療した後の多中心性リンパ腫の1頭の犬に見られた心筋症
Cardiomyopathy in a dog with multicentric lymphoma following treatment with several anthracyclines
Open Vet J. Jan-Mar 2021;11(1):6-10.
doi: 10.4314/ovj.v11i1.2. Epub 2021 Jan 7.
Michihito Tagawa , Genya Shimbo , Akiko Uemura , Kotaro Matsumoto

背景:犬のリンパ腫は、発生頻度の高い悪性腫瘍の1つである。犬リンパ腫の治療に対し、アントラサイクリンベースの化学療法背非常に効果的である;しかし、化学療法剤としていくつかのアントラサイクリンを使用した時の心毒性の発症に対してエビデンスは十分ではない。

症例記述:8歳、去勢済み雑種犬が、多中心性リンパ腫と診断され、多剤併用化学療法を受けた。完全寛解に達したが、リンパ腫が再燃した。第3選択エピルビシンの化学療法後、その犬は拡張型心筋症と診断された。ドキソルビシン、ミトキサントロン、エピルビシンの総累積投与量は125、8、125mg/m2だった。心臓薬で治療し、臨床的に安定したが、リンパ腫が再燃し、心筋症の診断後間もなく死亡した。

結論:その犬はアントラサイクリン誘発性の心筋症が疑われた。アントラサイクリンのような心毒性の可能性がある治療を受ける犬に対し、予防及び管理戦略の確率に今後の研究が必要である。(Sato訳)
■犬に対するカルボプラチン点滴静注に対する皮下投与の血清濃度と安全性
Serum concentration and safety of intravenous drip versus subcutaneous administration of carboplatin in dogs
J Vet Med Sci. 2021 Mar 15.
doi: 10.1292/jvms.20-0653. Online ahead of print.
Masataka Iwano , Kohei Sadahiro , Takuya Maruo , Shinpei Kawarai , Hideki Kayanuma , Kensuke Orito
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カルボプラチンは犬と猫の特定の癌の治療に使用され、通常は点滴静注(IVD)で投与される。皮下(SC)投与も述べられているが、その毒性、血清濃度、血中濃度-時間曲線下面積(AUCs)は分かっていない、

この研究の目的は、カルボプラチンのSCおよびIVD投与後の血清カルボプラチン濃度を比較することと、全ての有害事象をモニターすることだった。

このクロスオーバー研究において、5頭の犬にSCあるいはIVカルボプラチン(300mg/m2)を投与した。最低3週間後、各犬は別の方法で投与した。

どの犬にも肉眼的皮膚毒性あるいは異常な臨床症状は観察されなかった。血液検査異常は多くの犬で検出された。好中球及び血小板数の減少、C-反応性蛋白(CRP)濃度の上昇が見られた。グループ間で好中球減少、血小板減少およびCRPスコアに有意差はなかった。SCカルボプラチンの全身性毒性は、IVDカルボプラチンのものと同等だった。

SC後の最大カルボプラチン濃度までの時間は、IVD後のそれより長かった(P<0.001)。SCカルボプラチンは、IVDカルボプラチンより血清に長く残った(P=0.008)。SCのAUCは、IVDのそれより少なかった(P=0.002)。

SCカルボプラチンのAUCと最大血中濃度到達までにかかる時間は、IVDカルボプラチンのそれらよりも少なかった。

この研究は、特にIVD投与が困難な犬の腫瘍の治療に、SCカルボプラチンは効果的なオプションだと示唆する。(Sato訳)
■絶食は犬のビンクリスチン関連有害事象の発生率を抑える
Fasting reduces the incidence of vincristine-associated adverse events in dogs
Vet Comp Oncol. 2020 Jul 20.
doi: 10.1111/vco.12638. Online ahead of print.
Margaret E Duckett , Kaitlin M Curran , Haley J Leeper , Carl E Ruby , Shay Bracha

マウスやヒトにおいて、絶食がインスリン様成長因子(IGF-1)の減少もあって化学療法関連の有害事象(AEs)を抑えることが示されており、化学療法中の正常細胞に対する保護効果を誘発するかもしれない。

この研究の目的は、ビンクリスチンを投与されている犬において、体調、骨髄および消化管(GI)AEs、血清グルコース、IGF-1、インスリンレベルに対する絶食の効果を評価することだった。

この研究は、担癌犬における前向きクロスオーバー臨床試験だった。

犬は無作為に1回目あるいは2回目のビンクリスチン投与前24-28時間、投与後6時間絶食し、その反対の回には食餌をいつも通り与えた。

犬を絶食した時、吐き気、食欲不振、元気消失、血清インスリンの有意な減少が観察されたが、他の消化管徴候、好中球数、血清グルコースあるいはIGF-1に有意差は見られなかった。

担癌犬において、ビンクリスチン投与前の絶食は、体調及びGI AEsを緩和補助する安全で効果的な治療様式である。(Sato訳
■チロシンキナーゼ阻害剤のトセラニブで治療した犬の甲状腺機能の調査
Investigation of thyroid function in dogs treated with the tyrosine kinase inhibitor toceranib
Vet Comp Oncol. 2020 Sep;18(3):433-437.
doi: 10.1111/vco.12538. Epub 2019 Oct 9.
Aaron Harper , Laura Blackwood , Sarah Mason

チロシンキナーゼ阻害剤は、肥満細胞腫や固形腫瘍の治療に、獣医腫瘍学で広く利用されている。ヒトにおいて、それらの薬剤は甲状腺機能不全に関係している:しかし、今日まで、犬でこのことを調査しているのは1つの研究しかない。

この研究の目的は、トセラニブの投与を受けている癌の犬の1群において、甲状腺機能を前向きに評価することだった。

2つの二次診療施設で、34頭の犬を前向きに2群に登録した;トセラニブとプレドニゾロン投与群とトセラニブ単独投与群。総チロキシン(TT4)と甲状腺刺激ホルモン(TSH)を治療中の規則的なタイムポイントでモニターした。

フォローアップデータは19頭の犬で入手できた。全体で、TSH上昇の12の事象が発生したが、同時にTT4濃度が低値だった犬はいなかった。TSHの基礎値と比べ、6週目のTSH中央値に有意差があった。どの研究時期でも甲状腺機能低下症の診断された犬はいなかった。予想よりドロップアウトの頭数が多く、甲状腺機能に対するトセラニブ長期投与の評価を妨げた。

この研究ではトセラニブは甲状腺機能低下症と関係しなかったが、過去に報告されていることを確認するようなTSHの上昇を起こした。

トセラニブは犬の甲状腺機能不全を起こすと考えるべきで、モニタリングを勧める。(Sato訳)
■犬のロムスチン誘発性肝障害の生化学的、機能的、病理組織学的特徴
Biochemical, functional, and histopathologic characterization of lomustine-induced liver injury in dogs
Am J Vet Res. 2020 Oct;81(10):810-820.
doi: 10.2460/ajvr.81.10.810.
Andrea M Dedeaux, Brian K Flesner, Jennifer M Reinhart, Ingeborg M Langohr, Roman Husnik, Shawn N Geraci, Joseph Taboada, Nathalie Rademacher, Lori A Thombs, Jeffrey N Bryan, Lauren A Trepanier, Bonnie B Boudreaux

目的:犬のロムスチン誘発性肝障害に関係する生化学的、機能的、病理組織学的変化の特徴を述べる

動物:健康な目的繁殖の未不妊のメスのハウンド10頭

方法:ロムスチン(約75mg/m2、PO、q21日、5回)単独(n=5)、あるいはロムスチンとプレドニゾン(約1.5mg/kg、PO、q24、12週)は総(n=5)の処置に無作為に犬を振り分けた。各犬に対し、CBC、血清生化学検査、肝機能検査、尿検査、肝臓の超音波検査と肝バイオプシー標本の収集をロムスチン投与前、投与中の決められた日、投与後に実施した。プレドニゾンを投与した犬としなかった犬で結果を比較した。

結果:10頭中7頭は肝不全の臨床症状を発症した。全ての犬の血清ALT、ALP活性、胆汁酸濃度、肝組織学的スコアは増加し、肝臓還元型グルタチオン含有の時間とともに減少した。ピークのALT(r=0.79)およびALP(r=0.90)活性、胆汁酸濃度(r=0.68)は最終的な組織学的スコアと正の相関を示した。プレドニゾンは組織学的スコアに対し保護効果を持つとは思われなかった。

結論と臨床関連:犬において、肝酵素活性、特にALTとALP活性はロムスチン投与中に厳密にモニターすべきで、それらの急激な上昇は肝障害を軽減するため、ロムスチンの中止は仕方がないと言えるかもしれない。非特異的な超音波所見、および肝機能検査の異常な増加は臨床的肝不全の発現まで検出されなかった。グルタチオン消耗は、ロムスチン誘発性肝障害で役割を持つかもしれず、今後の調査を正当化する。(Sato訳)
■犬の腺癌に対するリン酸トセラニブを使用した術後補助治療の評価
Assessment of postoperative adjuvant treatment using toceranib phosphate against adenocarcinoma in dogs.
J Vet Intern Med. 2020 Apr 8. doi: 10.1111/jvim.15768. [Epub ahead of print]
Yamazaki H, Tanaka T, Mie K, Nishida H, Miura N, Akiyoshi H.

背景:リン酸トセラニブ(TOC)が術後の再発を抑えることをエビデンスが示すならば、犬の腫瘍の治療に対し、広く使用されるようになる可能性がある。

目的:TOCの術後補助治療が腫瘍の微環境(TME)をどのように調節するのか、血管形成活性、腫瘍浸潤性制御T細胞(Tregs)、腫瘍内低酸素に対する効果を調査することで評価する

動物:92頭の飼育犬(アポクリン腺肛門嚢腺癌の犬28頭、小腸腺癌の犬24頭、肺腺癌の犬22頭、腎細胞癌の犬18頭)
方法:手術とTOCで治療した42頭と手術のみで治療した50頭の犬の無増悪期間(TTP)を比較する回顧的多施設研究。1回目および2回目(再発)の手術でサンプリングした腫瘍組織内の血管内皮成長因子受容体-2(VEGFR2)の発現、Foxp3+ Tregsの数、低酸素誘導因子(HIF)-1α+細胞の数の違いを分析した。

結果:手術とTOCで治療した犬(360日)のTTP中央値は、手術単独で治療した犬のそれ(298日;危険率、0.82;95%CI、0.65-0.96;P=0.02)よりも長かった。手術とTOCで治療した犬において、VEGFR2発現とTregおよびHIF-1α+細胞の数は最初の手術の組織サンプルよりも2回目の手術のサンプル内で有意に低かった。手術単独で治療した犬において、2つの手術からのサンプル間で有意差が見られた。

結論と臨床的重要性:リン酸トセラニブは、微環境のその調整を理由に、有用な術後補助治療となり得る。(Sato訳)
■犬のビンクリスチン誘発毒性に対する十全大補湯の効果
Efficacy of Juzen-taiho-to against vincristine-induced toxicity in dogs.
J Vet Med Sci. 2019 Oct 22. doi: 10.1292/jvms.19-0401. [Epub ahead of print]
Shinohara Y, Nishino Y, Yamanaka M, Ohmori K, Elbadawy M, Usui T, Sasaki K.

動物診療で使用される抗がん剤の1つのビンクリスチンは、血液および消化管に有害効果がある。十全大補湯は伝統的な漢方で、人医で食欲不振の患者に使用される。しかし、犬の抗がん剤誘発毒性に対し十全大補湯の保護効果は調査されていない。

ゆえに、犬の胃の運動性、ビンクリスチン誘発消化管および血液毒性に、十全大補湯の投与が影響するかどうかを調べた。

研究は3つの試験で構成した。最初の試験は、十全大補湯(450mg/kg/day)を5頭の犬に経口投与した。2つ目と3つ目の試験は、各犬にビンクリスチンを静脈投与した(±十全大補湯(450mg/kg/day))。試験中、胃の運動性と血液パラメーターを調べた。

十全大補湯は胃の運動性を増加させ、ビンクリスチン誘発消化管の有害効果を改善させたが、血液の改善はなかった。

この研究は、化学療法を受けている犬において、消化管ケアに対し十全大補湯が応用できるかもしれないと示唆した。(Sato訳)
■固形腫瘍の犬におけるオクラシチニブとカルボプラチンあるいはドキソルビシン併用の安全性と毒性
Safety and toxicity of combined oclacitinib and carboplatin or doxorubicin in dogs with solid tumors: a pilot study.
BMC Vet Res. 2019 Aug 13;15(1):291. doi: 10.1186/s12917-019-2032-4.
Barrett LE, Gardner HL, Barber LG, Sadowski A, London CA.

背景:オクラシチニブは、犬アトピー性皮膚炎の治療に対して認可された経口の生物利用可能なヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬である。血液内の異常なJAK/シグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)シグナル伝達と固形腫瘍は、数ある中で局所微小環境、血管新生亢進、免疫抑制に対する影響を通して腫瘍成長のドライバーとしてかかわりを持っている。ゆえに、JAK/STAT阻害と細胞傷害性化学療法の併用は、相乗的抗癌活性を起こすかもしれない。この研究の目的は、担癌犬において、カルボプラチン、あるいはドキソルビシンとオクラシチニブを併用した時の安全特性を評価することだった。

結果:カルボプラチン250-300mg/m2あるいはドキソルビシン30mg/m221日毎と共に、オクラシチニブをラベル用量0.4-0.6mg/kgPO12時間毎で投与した。9頭の犬をこの予備研究に登録した(n=4カルボプラチン;n=5ドキソルビシン)。予期せぬ毒性は見られず、併用療法の有害事象の発生は、単剤化学療法で治療した犬で予想されるもの以上に増えることはなかった。深刻な有害事象は、1頭のグレード4血小板減少症と1頭のグレード4好中球減少症だった。客観的な反応は見られなかった。

結論:オクラシチニブのカルボプラチンあるいはドキソルビシンと併用時の許容性はよい。この状況で効果が高まるのか調べる今後の研究が必要である。(Sato訳)
■シクロフォスファミド過剰投与から回復した犬の1例
Recovery from Cyclophosphamide Overdose in a Dog.
J Am Anim Hosp Assoc. 2017 Jul/Aug;53(4):230-235.
Jessica Renee Finlay , Kenneth Wyatt , Courtney North

メスの避妊済みの成犬が、21日(-21-0日)かけて総量1750mg、2303mg/m2に相当するシクロフォスファミドの不注意による経口投与後、評価を受けた。シクロフォスファミドの最終投与から9日後(+9日)、その犬をパース獣医専門医で評価を受けた。

身体検査で粘膜蒼白、グレード2/6収縮期心雑音、重度出血性膀胱炎を認めた。血液検査で重度非再生性汎血球減少が見つかった。

広域スペクトラム抗生物質、2回の新鮮全血輸血、顆粒球コロニー刺激因子、トラネキサム酸を投与した。受診後5日目(+14日)、末梢好中球数は回復し、12日目(+21日)には全血数がほぼ正常となった。2度目の血小板減少症(+51日)はビンクリスチン、プレドニゾロン、メラトニンで対処した。

これを書いている時点でその犬は完全に回復し、長期合併症もなかった。
著者の知識では、これは完全に回復した、最も高用量のシクロフォスファミドの不注意による投与である。(Sato訳)
■現代の犬の腫瘍治療における低用量メトロノーム化学療法の導入
The use of low-dose metronomic chemotherapy in dogs?insight into a modern cancer field
T. B. Gaspar, J. Henriques, L. Marconato, F. L. Queiroga
Vet Comp Oncol. 2018;16:2?11.

前世紀中頃にはじまった化学療法は「最大許容量」の概念に基づき高用量プロトコールが行われていた。この理論はQOLと可能な限りの迅速な腫瘍細胞根絶のバランスをとりつつで行われている。しかしながら新しい世紀に入り従来の高用量プロトコールの代わりにメトロノーム化学療法が検討されている。より少ない投与量を長期間毎日与える方法は新血管形成、免疫反応、腫瘍休眠と名付けられた効果がある。本論文ではメトロノーム化学療法による治療根拠として作用機序、獣医学で行われた研究を紹介し、解決されていない主要課題について解説する。(Dr.Maru訳)
■ドキソルビシンを投与されたイヌにおける臨床的心毒性の発現に関連する発生率と危険因子
Incidence and risk factors associated with development of clinical cardiotoxicity in dogs receiving doxorubicin
J Vet Intern Med. 2019 Jan 29. doi: 10.1111/jvim.15414
Hallman BE, Hauck ML, Williams LE, Hess PR, Suter SE.

【背景】ドキソルビシン(DOX)はイヌに累積的な心臓毒性を引き起こす可能性があるが、DOXを受けているイヌにおける臨床的な心臓毒性の発生率は決定されていない。

【目的と仮説】DOXの投与時間が心毒性の発生率に影響を与えるかどうかを決定すること、DOX化学療法中または後のイヌにおける臨床的心毒性の発生率を特徴付けること、および心毒性に関連する危険因子を特定すること。

【動物】がんの治療のために、少なくとも1回はDOXを投与されたことのある494例のイヌ。

【方法】2006年から2015年までにDOXの投与を受けたイヌの回顧的研究

【結果】494頭のイヌのうち、20頭(4.0%)が臨床的心毒性を発症した。DOX投与時間は臨床的心毒性と有意に関連していなかったが、DOXの累積投与量の増加、体重の増加、DOXの5回投与後の短縮率の減少、および心室性期外収縮の発生は臨床的心毒性と有意に関連していた。 拡張型心筋症を発症する高リスク品種は15.4%の発生率を有し、一方、低リスク品種は3.0%の発生率を有していた。

【結論と臨床的重要性】DOX投与時間は心毒性の発生率に影響を及ぼさなかったが、期外収縮および短縮率の減少は、臨床的な心毒性の発生を注意すべきである。 全体として、臨床的なDOX誘発性の心毒性の発生率は低いが、拡張型心筋症のリスクが高いボクサーおよび他の品種はリスクが高い可能性がある。(Dr.Masa訳)
■リポソーム封入化学療法剤:コンパニオンアニマルにおける現状
Liposome-encapsulated chemotherapy: Current evidence for its use in companion animals
B. Borresen, A. E. Hansen, A. Kjar, T. L. Andresen, A. T. Kristensen
Vet Comp Oncol. 2018;16:E1?E15.

リポソーム封入細胞毒性剤は抗腫瘍効果を高め有害事象を減らすためにデザインされたものであった。最初に承認されたものは20年以上前でありその後まもなく犬での使用が報告されている。しかしながらリポソーム封入化学療法剤の獣医学的な適応は現在のところ示されていない。薬物動態分析と毒性試験の実験モデルとしての犬の汎用性もあり健康犬において様々なリポソーム封入薬の論文が存在する。また犬リンパ腫や脾臓血管肉腫、猫軟部組織肉腫などでの論文も報告されているがその結果は芳しいものではない。この理由はリポソーム自身が持つ透過性と保持効果、リポソーム薬が利用する腫瘍の現象に関連しているのかもしれない。この効果は腫瘍内に不均一に分布しているようである。また考えられているほど有効ではない可能性もありリポソーム封入薬を使用する患者選択は重要かもしれない。

現在開発されている活性放出型リポソームはヒトと同様動物でも治療反応を改善する可能性がある。しかしながら他の課題を解決するものではなくどの患者に適応するのが良いかは今後の検討課題である。(Dr.Maru訳)
■犬の癌の5-フルオロウラシルとカルボプラチンの併用治療
Concurrent 5-fluorouracil and carboplatin for the treatment of canine carcinomas.
Vet Comp Oncol. 2018 Jul 24. doi: 10.1111/vco.12426. [Epub ahead of print]
Menard K, Flesner BK, Glahn A, Boudreaux B, Bryan JN.

5-フルオロウラシル(5-fluorouracil:5-FU)は、ヒトの頭部および頚部癌や他の上皮系腫瘍に対し、多剤化学療法プロトコールとして使用される。しかし、獣医腫瘍学でこの薬剤の使用を述べている文献は少なく、犬と猫両方で主にヒトのクリームを舐めることによる致死的神経毒性の過去の報告によるものと思われる。

この回顧的研究の第一の目的は、犬の癌において5-FUとカルボプラチン併用の安全性を報告することだった。第二の目的は治療した犬の総奏効率を使用し、その組み合わせの有効性を見た目から判断することだった。

2007年から2017年の間に両薬剤で治療した犬を医療記録から検索した;24頭が組み込み基準に合致した。カルボプラチンの用量の範囲は180-250mg/m2(中央値200mg/m2);5-FUの用量は150mg/m2だった。

14頭は骨髄抑制を起こし、グレードIから無症候性グレードIVの範囲だった;血小板減少症は好中球減少症よりもよく見られた。消化管障害はあまりなく、7頭のみがグレードIかIIの悪心、嘔吐あるいは下痢を起こした。上記毒性で入院した症例はいなかった。1頭の犬は運動失調を起こし、耳炎と5-FU神経毒性の鑑別ができなかった。

このプロトコールの許容性は良い。肉眼的疾患における奏効率は43%(3頭は完全寛解、3頭は部分奏功)だった。犬の癌の治療で、この組み合わせのプロトコール、潜在的5-FUと他のプラチナ製剤の前向き分析はする価値がある。(Sato訳)
■リン酸トセラニブで治療した腫瘍のある猫における毒性と反応
Toxicity and response in cats with neoplasia treated with toceranib phosphate.
J Feline Med Surg. 2017 Jun;19(6):619-623. doi: 10.1177/1098612X16643124. Epub 2016 Apr 18.
Harper A, Blackwood L.

目的:リン酸トセラニブはチロシンキナーゼ抑制剤で、犬の切除不能なPatnaikグレードII/IIIの再発性皮膚肥満細胞腫の治療に認可されている。猫でこの薬剤の耐容量、毒性あるいは腫瘍の反応に関する情報はない。この研究の目的は、毒性と反応を確認するためトセラニブで治療した進行腫瘍の猫の集団を回顧的に分析した。

方法:小動物教育病院の医療記録を再調査した。組織学的あるいは細胞学的に確認した腫瘍性疾患の治療で、2週間以上トセラニブを投与し、基礎検査後にモニターとして1回以上血液検査(血液検査と生化学検査)を実施した猫を組み入れた。Veterinary Comparative Oncology Group - common terminology criteria for adverse events(VCOG-CTCAE)に則って毒性にグレードを付け、反応はResponse Evaluation In Solid Tumors (RECIST) criteriaに則って測定した。

結果:14頭の猫が基準に合い、多く(13/14頭)は過去に治療(外科、放射線、化学療法)を受けていた。最も一般的な腫瘍の種類は肥満細胞腫や悪性上皮腫瘍だった。毒性は10/14頭に発生した-10頭は軽度の骨髄抑制あるいは消化管作用だった。2頭は重度肝毒性を起こした。1頭はうっ血性心不全で死亡したが、これがトセラニブ治療に関係したかは不明だった。反応に関して、1頭は完全寛解を達成した;2頭は部分奏功で、5頭は安定疾患を達成した:総生物学的奏効率は57.1%だった。部分あるいは完全奏功した全ての猫は、肥満細胞疾患で治療していた。全体の反応期間中央値は90日(範囲14-570日)だった。扁平上皮癌の猫で奏功したものはいなかった。

結論と関連:猫でリン酸トセラニブの許容性は良く、この研究の症例の多く(10/14頭)で毒性は限定性から軽度の消化管あるいは骨髄抑制作用だったが、肝毒性の懸念がある。この小集団の治療に対する反応は犬で報告されたものと同様だった。(Sato訳)
■受取時および21日貯蔵後の配合およびFDA認可製剤のドキシサイクリンに対する薬剤内容(強度)の評価
Evaluation of drug content (potency) for compounded and FDA-approved formulations of doxycycline on receipt and after 21 days of storage.
Language: English
J Am Vet Med Assoc. October 2017;251(7):835-842.
Kate Kukanich, Butch KuKanich, Tanner Slead, Matt Warner

目的:動物用の配合ドキシサイクリン製剤とヒト用US FDA認可のドキシサイクリン製剤の受け取り後24時間未満(1日)と推奨される状況下で21日貯蔵(21日)後の薬剤内容(強度)を判定する

計画:評価研究

サンプル:FDA認可のドキシサイクリン錠(100mg)、カプセル(100mg)、懸濁液(10mg/mL)と3薬剤会社からの配合ドキシサイクリン製剤(錠(25、100、150mg;1製品/会社)、chews(100mg;1製品/会社)、懸濁液あるいは溶液(6mg/mL(2会社)と50mg/mL(1会社)))。

方法:1日目と21日目に各錠剤、chew、カプセル製剤の5サンプル、液体製剤の5処方/ボトルのドキシサイクリン内容を液体クロマトグラフィーで測定し、US薬局方容認範囲と比較した。

結果:全てのFDA認可の製剤は、1日および21日目も許容できる内容だった。配合3錠剤に対する1日目の平均ドキシサイクリン内容は89%、98%、116%(容認できる範囲内は3/5、5/5、1/5サンプル)だった;21日目の内容範囲は86%から112%(容認できる範囲内は1/5、5/5、4/5サンプル)だった。Chewの1日目の内容は81%、78%、98%(容認できる範囲内は0/5、0/5、5/5サンプル)で、配合溶液の内容は50%、52%、85%(容認できる範囲内の結果なし)だった。21日目のchewおよび配合溶液製剤で薬局方標準に合ったものはなかった。

結論と臨床関連:可能な時はFDA認可のドキシサイクリンを処方すべきである。配合製剤で全ての錠剤は、最も一貫したドキシサイクリン内容だった。(Sato訳)
■犬の血管肉腫細胞株に対するレスベラトロールの抗癌効果
Anticancer effects of resveratrol in canine hemangiosarcoma cell lines.
Vet Comp Oncol. 2017 Dec 13. doi: 10.1111/vco.12375. [Epub ahead of print]
Carlson A, Alderete KS, Grant MKO, Seelig DM, Sharkey LC, Zordoky BNM.

血管肉腫(hemangiosarcoma:HSA)は悪性度のより高い腫瘍で、アグレッシブな生物学的挙動を取る。HSAsは他の家庭動物よりも犬で良く見られる。HSAの犬の生存期間中央値は、化学療法や外科手術をしても短いままである。ゆえに、HSAの犬の臨床結果を改善する補助的化学療法の改善が緊急に必要である。

レスベラトロールはヒトの癌細胞株で強い抗増殖およびアポトーシス促進特性を有することが示されている。それにもかかわらず、犬のHSAsにおいて、レスベラトロールの潜在的抗癌効果は報告されていない。

この研究の目的は、レスベラトロール単独、あるいは化学療法剤でよく使用されるドキソルビシンとの併用で、HSA細胞の発育抑制効果を判定することである。

FrogおよびDD-1犬HSA細胞株を、様々な濃度のレスベラトロール単独あるいはドキソルビシンを併用して処置した。細胞生存性はMTTアッセイで測定した。アポトーシスタンパクの発現、p38 mitogen-activated protein kinase (MAPK)、AMP-activated protein kinase (AMPK)、extracellular signal-regulated kinase 1/2 (ERK1/2)をウエスタンブロット法で評価した。

ヒトの癌細胞株と同様に、2つのHSA細胞株に対し、レスベラトロールは顕著に発育を抑制し、アポトーシスを誘発した。機構的に、レスベラトロールはp38 MAPKを活性化したが、AMPKやERK1/2経路に影響しなかった。追加の実験で、2つのHSA細胞株に対し、ドキソルビシンの発育抑制およびアポトーシス効果のレスベラトロールによる増強を示した。

それらの所見は、犬のHSA細胞に対し、レスベラトロールがアポトーシス促進効果を持つことを示唆する;ゆえに、犬のHSA患者における潜在的補助療法としての使用を今後の調査で求められる。(Sato訳)
■犬28例のドキソルビシン関連脱毛の臨床特性
Clinical characteristics of doxorubicin-associated alopecia in 28 dogs.
Language: English
Vet Dermatol. April 2017;28(2):207-e48.
Elizabeth F Falk , Andrea T H Lam , Lisa G Barber , Lluis Ferrer

背景:化学療法誘発性脱毛(chemotherapy-induced alopecia:CIA)はヒトでよく見られるが、犬のCIAの臨床特徴を述べる報告は限られている。

目的:2012年から2014年の教育病院における犬の症例において、ドキソルビシン関連脱毛(doxorubicin-associated alopecia:DAA)の疫学と臨床特性を述べる

動物:2012年から2014年にドキソルビシンで治療した犬150頭のシグナルメント、診断、治療プロトコール、臨床検査所見を記録した。

方法:「脱毛」および「乏毛」のキーワードで回顧的に医療記録を検索した。脱毛の原因となる関連が不明なものは除外した。

結果:ドキソルビシン関連脱毛は、150頭中28頭(19%)で報告された。2つのパラメーターが統計学的にDAAの発症と関連した:毛のタイプと累積ドキソルビシン投与量。ストレートヘアーの毛のタイプの犬より、カーリーあるいはワイヤーヘアードの毛のタイプの犬は、有意にDAAの発症確率が高かった[χ(2) (1, N = 147) = 30, P < 0.0001]。性別、体重、ドキソルビシン投与量で補正した場合、DAAを発症するカーリーあるいはワイヤーヘアードの毛のタイプの犬のオッズは、ストレートヘアーの毛のタイプの犬よりも22倍高かった(P<0.0001)。DAAを発症した犬のドキソルビシン累積投与量中央値は、DAAを発症しなかった犬よりも有意に多かった(103.0v.s.84.5mg/m(2);P=0.0039)。

結論と臨床意義:ドキソルビシンで治療した犬は、DAA発症のリスクがあるかもしれない。このリスクは、ドキソルビシン累積投与量の増加およびカーリーあるいはワイヤーヘアードの毛のタイプの犬で増加する。(Sato訳)
■イギリスの担癌犬の集団におけるメトロノームシクロフォスファミド化学療法の毒性
Toxicity of metronomic cyclophosphamide chemotherapy in a UK population of cancer-bearing dogs: a retrospective study.
Language: English
J Small Anim Pract. April 2017;58(4):227-230.
A Harper , L Blackwood

目的:メトロノーム化学療法で治療した担癌犬のグループで、毒性の発生率を評価する

素材と方法:シクロフォスファミドのメトロノーム投与で治療した犬の回顧的再検討:腫瘍の治療に対し、5-15mg/m(2)/日、あるいは隔日投与

結果:65頭の犬があてはまり、ほとんどが軽度の毒性症状が32頭(49%)にあった。最も一般的な毒性は無菌性出血性膀胱炎(n=16)と消化管障害(n=12)だった。無菌性出血性膀胱炎の発症までの期間中央値は110日(範囲7-686日)だった。4頭は治療中に細菌感染が疑われた。

臨床意義:犬においてメトロノームシクロフォスファミドは、全般的に許容性は良いが、この研究で無菌性出血性膀胱の発生率は過去の報告よりも高い。早期出血性膀胱炎の検出は、より重大な疾患の発症を防ぐかもしれないので、シクロフォスファミドで治療している全ての犬に定期的な尿検査が推奨される。(Sato訳)
■担癌犬におけるカルボプラチンとリン酸トセラニブ(パラディア)併用の安全性評価:第1相用量設定試験
Safety evaluation of combination carboplatin and toceranib phosphate (Palladia) in tumour-bearing dogs: A phase I dose finding study.
Vet Comp Oncol. 2017 Aug 10. doi: 10.1111/vco.12332. [Epub ahead of print]
Wouda RM, Hocker SE, Higginbotham ML.

従来の細胞毒性の最大耐量(maximam tolerated dose:MTD)化学療法と低用量メトロノームおよび/あるいは血管新生阻害薬の併用は、腫瘍学研究の刺激的な分野の1つである。

この研究の目的は、そのような薬剤併用の1つのMTD、安全性、有害事象プロフィールを確認することである。

この前向き第1相用量設定臨床試験は非盲検3+3コホートデザインを想定した。細胞および/あるいは組織学的に確認し、肉眼的に測定可能で、無治療あるいは再発の悪性腫瘍が1つ以上ある飼育犬を研究登録した。腫瘍の組織学、グレードあるいはステージの選択は見られなかった。

トセラニブは2.75mg/kgで隔日(EOD)経口投与(PO)し、カルボプラチンは初期用量200mg/m2で21日毎に静脈内投与(IV)した。カルボプラチンは最大300mg/m2まで合計25%の用量の段階的増量が提案された。Veterinary Cooperative Oncology Group's common terminology criteria for AEs (VCOG-CTCAE)に従いAEにグレードを付けた。グレード3の血液あるいは消化管AEsが用量制限で候補に挙げられた。治療への反応はVCOG's revised RECIST criteriaに従い評価した。

11頭の犬が登録された。腫瘍の組織学は副鼻腔癌、骨肉腫、甲状腺癌、メラノーマ、アポクリン腺肛門嚢腺癌だった。

カルボプラチンとトセラニブのMTDsは200mg/m2IV21日毎と約2.75mg/kgPO EODと確認した。用量制限毒性は好中球減少だった。2頭は部分反応を示し、6頭は安定疾患を維持した。カルボプラチンとトセラニブ併用化学療法の許容性は良かった。ほとんどの症例で臨床的有益性が観察された。このプロトコールは第2/3相試験において追加の調査が求められる。(Sato訳)
■クロラムブシル、メルファラン、シクロフォスファミドの配合製剤の有効性と安定性
Potency and stability of compounded formulations of chlorambucil, melphalan and cyclophosphamide.
Language: English
Vet Comp Oncol. January 2017;0(0):.
J H Burton , H K Knych , S D Stanley , R B Rebhun

背景:獣医療において、化学療法剤は配合されることが多いが、いくつかの製剤の有効性は、FDA承認製品のそれと相違していることが示されている。

目的:この研究の目的は、長期投与に一般に処方される3つの配合された経口化学療法薬の有効性と安定性を評価する
材料と方法:配合クロラムブシル1mg、シクロフォスファミド5mg、メルファラン1mgを入手し、受取時と6週間後に有効性を検査した。

結果:有効性はクロラムブシルで71から104%、メルファランで58から109%だった;1/4と2/4のサンプルは、両薬剤に対しそれぞれ基準と6週後に表示力価の90%未満だった。シクロフォスファミドの有効性は92から107%で、全てのタイムポイントにおいて全サンプル表示力価の±10%だった。

議論/結論:それらの結果は配合化学療法製剤の変動性を証明し、経口配合化学療法処方時に有効性と安全性を考慮する必要があることを強調する。(Sato訳)
■FDA認可とcompoundedロムスチンカプセルのロムスチン薬物内容物の分析
Analysis of lomustine drug content in FDA-approved and compounded lomustine capsules.
Language: English
J Am Vet Med Assoc. February 2017;250(3):322-326.
Butch KuKanich, Matt Warner, Kevin Hahn

目的:FDA認可とcompoundedロムスチンカプセル内のロムスチン内容物(力価)を調べる

計画:評価研究

サンプル:FDA認可の1つの製造会社とカプセルの3つのcompounderからロムスチンカプセルの2製剤(低量(7-11mg)と高量(40-48mg);5カプセル/量/会社)

方法:ロムスチン内容物を高速液体クロマトグラフィーで測定した。US薬局方ガイドラインを基に、定まったロムスチン内容の90-110%の先験的許容範囲を選択した。

結果:全てのcompoundedカプセルにおいてロムスチンの測定量は、定まった内容よりも少なく(範囲、59-95%)、許容範囲外のことも多かった(欠陥率、2/5-5/5)。ロムスチン内容の変動係数は、compounded低量カプセルで4.1%-16.7%、compounded高量カプセルで1.1%-10.8%だった。全てのFDA認可のカプセルにおいて、ロムスチンの測定した内容は、定まった内容よりわずかに上(範囲、104%-110%)で、一貫して許容範囲内だった。FDA認可のカプセルのロムスチン内容の変動係数は、低量で0.5%、高量で2.3%だった。

結論と臨床関連:FDA認可の製剤がそうであるよりも、compoundedロムスチンは有効薬剤の定まった内容を含まないことが多く、ロムスチン内容の変動の範囲がより広かった。サンプルサイズが小さかったので、より大きな研究がそれらの所見の確認に必要である。;しかし、著者らは適切な投与量にFDA認可のカプセルあるいはその組み合わせで達成できるときは、compounded獣医製剤のロムスチンを使用しないことを勧める。(Sato訳) 
■メトロノーム低用量経口シクロフォスファミドで治療中の犬のシクロフォスファミド関連無菌性出血性膀胱炎の予防に対するフロセミドの効果
Furosemide for prevention of cyclophosphamide-associated sterile haemorrhagic cystitis in dogs receiving metronomic low-dose oral cyclophosphamide.
Vet Comp Oncol. 2017 Feb 14. doi: 10.1111/vco.12292. [Epub ahead of print]
Setyo L, Ma M, Bunn T, Wyatt K, Wang P.

シクロフォスファミドの治療のリスクとして無菌性出血性膀胱炎(SHC)が知られている。最大耐容量でシクロフォスファミドを投与した際の犬にフロセミドによる利尿が効果的である。

この回顧的研究の目的は、フロセミドの経口投与がSHCの発生率を低下させるかどうかを調べることだった。2つ目の目的は、SHCに対する素因を確認することだった。

シクロフォスファミドのメトロノーム療法を行っている115頭を回顧的に解析した。集団は無作為化しなかった。25頭(21.7%)はSHCを発症した。フロセミドの投与は有意にSHC発症の確率を低下させた(P=0.010、シクロフォスファミドのみ投与した犬の30.3%、フロセミドとシクロフォスファミドを投与した犬の10.2%がSHCと診断された)。年齢、性別、犬種、体重、シクロフォスファミドの投与回数、ピロキシカムの使用、過去あるいは既存疾患にSHC発症との関連は見つからなかった。

この研究は、フロセミドはSHCの予防に有効と証明され、メトロノームシクロフォスファミド療法を行う時にその使用を考えても良いかもしれない。(Sato訳)
■化学療法で治療された猫の発熱性好中球減少症
Febrile neutropenia in cats treated with chemotherapy
Vet Comp Oncol. 2016 Apr 20. doi: 10.1111/vco.12198.
Pierro J, Krick E, Flory A, Regan R, DeRegis C, Boudreaux B, Barber L, Saam D, Saba C.

この研究の目的は化学療法治療中に起きた発熱性好中球減少症(Febrile Neutropenia:FN)の臨床徴候・原因となった薬剤・治療と予後について明らかにすることである。

8施設の診療記録を回顧的にレビューした。20例の猫で22回のFNが確認できた。リンパ腫が最も悪性腫瘍の診断で多く認められた。;ロムスチンとビンカアルカロイドが最も多く原因薬剤である可能性が高かった。臨床徴候は食欲低下・元気消失・嘔吐と下痢だった。体温と好中球絶対数の中央値は、それぞれ104.1F;40℃(範囲:103.1-105.1F;39.5-40.6℃)と246/mL(範囲:0-1600/mLだった)。化学療法投与日からFNの発症日までの日数中央値は5日目だった(範囲:4-25日)。1例を除く全ての猫が静脈内点滴を受け、広域スペクトラムの抗菌薬を用いて治療された。全症例で発熱は改善し、19例で好中球絶対数は正常に戻った。

FNに伴う臨床徴候は犬と同様であった。 (Dr.Masa訳)
■パミドロン酸投与に関係する血管外遊出反応:11症例(2008-2013)
Extravasation reactions associated with the administration of pamidronate: 11 cases (2008-2013).
Vet Comp Oncol. 2016 May 13. doi: 10.1111/vco.12191.
Marker BA, Barber LG, Clifford CA, Correa SS, Thalhofer PL, LaDue TA, Mullin CM, Sauerbrey ML, Wood CC.

パミドロン酸は獣医の腫瘍診療において悪性骨溶解の緩和に広く利用されるビスホスホネート製剤である。パミドロン酸は犬の血管外遊出時に組織傷害を起こすと今まで報告されていない。

原発性骨腫瘍の緩和治療を行い、パミドロン酸の血管外遊出反応が分かっている、あるいはその疑いのある11頭の飼育犬の医療記録を調査した。

有害事象のほとんどは実質低グレードだが、いくつかの症例では重度の反応を起こし、1例は安楽死に至った。病変の完全な治癒までの期間は、数日以内から1.5ヶ月以上までの範囲だった。安楽死した犬は除いて、血管外遊出の長期後遺症は確認されなかった。治療は変化にとんだ反応に向けたものを使用した。

パミドロン酸の血管外遊出反応はあまりないが、静脈内投与の重大な合併症の可能性を秘めていると思われる。(Sato訳)
■ピロキシカムの投与を受けている担癌犬における治療関連有害事象のリスクファクター
Risk factors for treatment-related adverse events in cancer-bearing dogs receiving piroxicam.
Vet Comp Oncol. 2016 Oct 6. doi: 10.1111/vco.12276. [Epub ahead of print]
Eichstadt LR, Moore GE, Childress MO.

ピロキシカムは癌の犬に対し抗腫瘍効果を持つが、副作用はその使用を制限するかもしれない。

この研究の目的は、ピロキシカム療法後の有害事象(AEs)を起こす担癌犬の素因となるファクターを回顧的に確認することだった。

2005年から2015年の間にパデュー獣医教育病院を訪れた犬の医療記録を調査し、この研究の基準に137頭の犬があてはまった。それらの犬のピロキシカムの毒性は、確立したシステムに従いグレード分けした。AEsに対するリスクに影響する確かなファクターの程度を見積もるために多変量ロジスティック回帰を使用した。

年齢(オッズ比1.250、P=0.009;95%信頼区間1.057-1.479)と胃保護薬の併用(オッズ比2.612、P=0.025;95%信頼区間1.127-6.056)が有意に消化管AEsのリスクを増加させた。

この研究の結果は、癌の犬の治療にピロキシカムの使用を考慮する臨床医に対し、利益とリスクを計算するときの情報として役立つかもしれない。(Sato訳)
■犬と猫のシトシンアラビノシドとメトトレキサートのくも膜下投与の安全性
Safety of intrathecal administration of cytosine arabinoside and methotrexate in dogs and cats.
Vet Comp Oncol. 2016 Sep;14(3):331-6. doi: 10.1111/vco.12109. Epub 2014 Jul 15.
Genoni S, Palus V, Eminaga S, Cherubini GB.

この研究の目的は、犬と猫においてシトシンアラビノシド単独あるいはメトトレキサートの併用でクモ膜下投与の短期安全性を回顧的に評価することだった。

2008年9月から2013年12月までに、脳あるいは脊髄の炎症(原因不明の髄膜脳脊髄炎)あるいは腫瘍疾患を疑い、シトシンアラビノシド単独あるいはメトトレキサートとの併用でクモ膜下投与により治療した112頭の犬と8頭の猫を調べた。

投与中、麻酔から覚醒中、入院中の有害事象の可能性に関して記録された情報を評価した。

結果は、麻酔から覚醒中にシトシンアラビノシドとメトトレキサートの投与後、全身性強直間代性発作活動を1頭が起こしたが、ジアゼパムの静脈内投与に反応したということだった。

我々の結果を基にすると、犬と猫に対するシトシンアラビノシド単独あるいはメトトレキサート併用のクモ膜下投与は安全な処置であると結論できる。(Sato訳)
■担癌犬におけるドキソルビシンとリン酸トセラニブ(パラディア)の安全性評価:第1相用量-設定試験
Safety evaluation of combination doxorubicin and toceranib phosphate (PalladiaR) in tumour bearing dogs: a phase I dose-finding study.
Vet Comp Oncol. 2016 May 5. doi: 10.1111/vco.12232.
Pellin MA, Wouda RM, Robinson K, Tsimbas K, Kurzman ID, Biller BJ, Vail DM.

悪性腫瘍において単剤アプローチと比較した時、併用化学療法は結果を改善する見込みがある。重複する毒性を避けることや異なる作用メカニズムの薬剤を使用するように注意するべきである。

ドキソルビシン(DOX)量を増量する間、トセラニブ量を約2.75mg/kg経口隔日投与(PO EOD)で維持するトセラニブとDOX併用化学療法の最大耐性量(MTD)を判定するための第1相用量設定試験を実施した。

好中球減少となる用量制限毒性が認められ、併用のMTDはトセラニブ2.75mg/kgPO EODと併用するDOXが21日毎の25mg/m2と判定した。
この組み合わせは良好な許容性を示し、過度な消化管毒性はなく、新しい有害事象(AEs)も見られなかった。多くの症例で抗腫瘍活性が認められた。

さらにこの組み合わせの効果と長期AE特性を調べるため、第2/3相臨床試験の状況で調査することが求められる。(Sato訳)
■自然発生の腫瘍のある犬におけるクロラムブシルによるメトロノーム療法の3つの用量の耐用性と効果に関する回顧的比較
Retrospective comparison of three doses of metronomic chlorambucil for tolerability and efficacy in dogs with spontaneous cancer.
Vet Comp Oncol. 2016 May 2. doi: 10.1111/vco.12222. [Epub ahead of print]
Custead MR, Weng HY, Childress MO.

本研究の仮説は、メトロノーム療法のクロラムブシルはより用量が高いほど、副作用を増やすことなく予後を改善する、というものである。回顧的および前向きのデータを使用して、4, 6, 8mg/m2を毎日経口投与するメトロノーム療法を比較し、クロラムブシルの耐用性と反応性を評価するために88頭の犬を調査した。

耐用性と効果について78頭と70頭の犬をそれぞれ評価した。4mg/m2よりも6mg/m2において、消化器症状の副作用はより悪く、そうなるまでの期間も有意に短かった(両者とも P<0.001)。4mg/m2で治療した犬においてよりも、6mg/m2で治療した犬においてより早期にクロラムブシルを中止した(P?=?0.015)。血小板減少症は、4mg/m2よりも8mg/m2においてより早期に有意に生じた(P?=?0.017)。

高用量のクロラムブシルによるメトロノーム療法は反応を改善することもなく、より副作用が生じやすい。(Dr.Taku訳)
■猫におけるリン酸トセラニブ(パラディア)の毒性の回顧的評価
Retrospective evaluation of toceranib phosphate (PalladiaR) toxicity in cats.
Vet Comp Oncol. 2016 Apr 4. doi: 10.1111/vco.12211.
Merrick CH, Pierro J, Schleis SE, Sones EA, Wright ZM, Regan RC, Siedlecki CT, Bergman PJ.

本研究の目的は、担がん猫におけるリン酸トセラニブの毒性プロファイルを明らかにすることである。

7施設よりカルテを調査した。カルテ内容が十分でない場合と化学療法またはNSAIDSを併用していた場合は、除外した。

55頭の猫が組み入れ基準を満たした。55%の症例は腺癌と診断されていた。トセラニブの経口投与の用量の中央値は、2.7mg/kgであり、月曜、水曜、金曜に投与されていたものが最も多かった。血小板減少症(16.3%)と好中球減少症(9.1%)が最も多い血液学的な副作用であった。生化学的な変化では、高窒素血症(14.5%)とALT(7.2%)の上昇が最も多かった。消化管障害は、21.8%の猫に認められ、犬で以前に報告があったよりも少なかった。

本研究の結果は、トセラニブによる猫への治療は、耐用性があり、毒性は多くはなかったことを示している。より計画的な用量のスケジュールを決定することと猫の腫瘍の治療におけるトセラニブの効果を評価するためのさらなる研究が必要である。(Dr.Taku訳)
■癌の犬へのパクリタキセルの皮下投与:予備研究
Subcutaneous administration of paclitaxel in dogs with cancer: A preliminary study.
Can Vet J. August 2015;56(8):823-30.
Daniella M Silva; Aline I Franciosi; Paula C F Pezzini; Simone D Guerios

犬へのパクリタキセルの静脈内投与は重度で急性の過敏反応のため、あまり使用されていない。パクリタキセルの皮下(SC)投与とその安全性は不明である。

この予備研究において、21頭の進行性の癌を持つ犬へのパクリタキセルの皮下投与で過敏反応と毒性について評価した。

犬に85-170mg/m2の範囲のパクリタキセル投与量で、14日あるいは21日ごとに1から5回皮下投与した。合計40回のパクリタキセルを投与し、21頭の中で全身あるいは急性局所過敏反応を起こした犬はいなかった。2頭の犬で同じ場所への4回の注射後、その注射部位に重度皮膚病変が発症した。115mg/m2で最初に投与(n=14)した後、5日目で50%の犬にグレード4の好中球減少が観察された。2頭の犬はグレード5の下痢を発症し、血行動態不全あるいは敗血症により死亡した可能性が高かった。

パクリタキセルは過敏反応を起こすことなく犬の皮下に投与できる。(Sato訳)
■犬の様々な悪性腫瘍の管理におけるビノレルビンの臨床効果:58症例(1997-2012)
Clinical effects of vinorelbine administration in the management of various malignant tumor types in dogs: 58 cases (1997-2012).
J Am Vet Med Assoc. 2015 Jun 1;246(11):1230-7. doi: 10.2460/javma.246.11.1230.
Wouda RM, Miller ME, Chon E, Stein TJ.

目的:犬の様々な悪性腫瘍の管理におけるビノレルビンの有効性を評価する

計画:回顧的ケースシリーズ

動物:肺癌(n=31)、組織球肉腫(9)、肥満細胞腫(5)、リンパ腫(4)、メラノーマ(2)、他7つの腫瘍タイプ(各1)の悪性腫瘍を持つ58頭の犬

方法:1997年12月から2012年12月の間にビノレルビンで治療した犬のカルテから、シグナルメント、臨床症状、身体検査所見、臨床病理検査結果、診断画像検査結果、ビノレルビンの用量、投与回数、適用した場合の外科および放射線療法の詳細、他に使用した化学療法、転帰に関するデータを再検討した。全ての犬および腫瘍の組織学的サブタイプによる犬に対し、記述、比較および生存統計を計算した。

結果:ビノレルビンを緩和的に44頭(76%)の犬に投与した。1頭(2%)は162日間完全反応を示し、5頭(11%)は91日間の中央期間で部分反応、19頭(43%)は68日の中央期間で安定疾患、19頭(43%)は21日の中央期間後進行性疾患となった。補助療法としてビノレルビンの投与を受けていた残り14頭(24%)は臨床的有益性を評価するのはより難しかった。全体の腫瘍進行までの時間の中央値は103日(範囲、5-1533日)だった。

結論と臨床への関連:ビノレルビンは犬のいくつかの腫瘍タイプの治療に有効だと思われた。特定の臨床的シナリオにおいてその薬剤の臨床的有益性の継続した前向き研究が、この結論を支持するために必要だろう。(Sato訳)
■血小板減少の犬の化学療法のリスクの評価
Evaluation of the risks of chemotherapy in dogs with thrombocytopenia.
Vet Comp Oncol. 2015 Apr 10. doi: 10.1111/vco.12146. [Epub ahead of print]
Finlay J, Wyatt K, Black M.

獣医腫瘍学において血小板減少症はよく見られる。今のところ血小板減少症の動物に対する化学療法使用に関する標準的なガイドラインはない。

血小板減少の犬に化学療法の標準投与量の投与後、消化管副作用(嘔吐、下痢、食欲不振)あるいは出血のリスクが増加するかどうかを観察疫学コホート研究で判定した。

血小板減少症(血小板200000/μL未満)の前向きに確認した77の事象後の副作用を、回顧的コホート(血小板>200000μL)において経験した副作用と比較し、統計学的解析で評価した。

血小板減少の犬とコントロールの犬で、全体的に消化管副作用あるいは出血の発生率に統計学的有意差はなかった。リンパ腫の犬のコントロール群は化学療法の副作用として嘔吐を経験する確率が統計的に高かった(P=0.028)。

ここで示された結果は、化学療法の標準投与量を投与された後の血小板減少の犬において、消化管副作用あるいは出血のリスクが増すというエビデンスは示されなかった。(Sato訳)
■悪性腫瘍の猫においてシクロフォスファミドの低用量メトロノーム療法の毒性
Evaluation of low-dose metronomic (LDM) cyclophosphamide toxicity in cats with malignant neoplasia.
J Feline Med Surg. August 2014;16(8):671-8.
Chiara Leo; Anneliese Stell; Juan Borrego; Elena Martinez de Merlo; Katja Ruess-Melzer; Ana Lara-Garcia

自然発生した悪性腫瘍を持つペットにおいて、低用量シクロフォスファミドの経口投与は獣医療で一般的なものとなっている。

この回顧的研究の目的は、最低1か月のメトロノーム療法としてシクロフォスファミドの投与を受けた自然発生の悪性腫瘍を持つ猫において、毒性を調査することだった。

臨床的、血液学的、生化学的副作用の回数と程度を、有害事象v1.1分類シェーマに対するVeterinary Cooperative Oncology Group's Common Terminology Criteriaに則って記録した。

合計27の腫瘍のある24頭の猫がこの研究に登録された:13は肉腫、12は癌、1はメラノーマ、1は神経内分泌腫瘍だった。17頭の猫は肉眼的疾患で、7頭は顕微鏡的疾患だった。登録時に7頭(29%)は領域リンパ節および/あるいは遠隔部位に転移があった。同時に投与した追加薬剤は、非ステロイド性抗炎症薬(17)、トセラニブ(4)、サリドマイド(7)だった。

4頭の猫は治療の最初の1か月の間にグレードI胃腸毒性を示し、制吐剤によりコントロールした。全体で最初の4週間のうちに24頭中2頭(8%)はグレードI血液学的毒性を示し、24頭中1頭(4%)はグレードI腎毒性を示した。全ての猫の追跡調査の中央値は30日(30-360日の範囲)だった。1か月以上追跡調査した15頭で、追加の毒性は、治療から2か月後に起きた2頭のグレードIIIおよび1頭のグレードII高窒素血症が観察されただけだった。

原発あるいは転移性腫瘍のある猫に対し、低用量シクロフォスファミドの使用は耐容性良好なオプションと思われる。まだ長期投与後の毒性の評価が必要である。(Sato訳)
■猫におけるシクロフォスファミドとビンクリスチンの腹腔内投与後の生物学的利用能
Bioavailability of cyclophosphamide and vincristine after intraperitoneal administration in cats.
Anticancer Drugs. 2014 Nov;25(10):1211-4. doi: 10.1097/CAD.0000000000000162.
Voorhorst MJ, van Maarseveen EM, van Lankveld AJ, Teske E.

シクロフォスファミドとビンクリスチンは、ヒトや動物で広く使用される静脈注射用化学療法薬である。それらの化学療法薬の静脈内投与は多くの治療プロトコールのゴールドスタンダードであるが、この投薬ルートは不利な面もある(例えば長い点滴時間と血管外漏出の危険)。ゆえに、これまで代替えとなるルートが探究されている。

最近、猫においてシクロフォスファミドとビンクリスチンの腹腔内(i.p.)投与による良好な臨床結果が達成された。しかしながら、成分を証明するシクロフォスファミドとビンクリスチンの腹腔内投与後の生物学的利用能は調査されておらず、この研究でそこに焦点を置く。

6頭の猫において、ビンクリスチン0.6mg/mとシクロフォスファミド200mg/mを同時投与後のシクロフォスファミドとビンクリスチンの血漿濃度を測定することで、i.p.および静脈投与後のシクロフォスファミドとビンクリスチンの薬物動態を交差試験で調査した。

i.p.投与に対する生物学的利用能中央値は、シクロフォスファミドで76%、ビンクリスチンで100%だった。i.p.と静脈投与に対する曲線下面積の中央値はシクロフォスファミドで11.4と16.0ng h/ml、ビンクリスチンで16.7と16.5ng h/mlだった。i.p.投与後、特異的なi.p.投与による有害事象は観察されなかった。

シクロフォスファミドとビンクリスチンのi.p.投与後の高い生物学的利用能と特異的なi.p.投与による副作用がないということは、両化学療法薬にとってi.p.投与は全身的化学療法に適したルートであることを示唆する。それらの結果は有望で、ヒトにおけるシクロフォスファミドとビンクリスチンのi.p.投与の薬理、安全性、有効性を調査する踏み台となるかもしれない。(Sato訳)
■最大耐量以下の用量で固形腫瘍の犬に対してリン酸トセラニブを投与した時の副作用と薬力を評価する
Evaluation of the adverse event profile and pharmacodynamics of toceranib phosphate administered to dogs with solid tumors at doses below the maximum tolerated dose.
BMC Vet Res. 2013 Sep 30;9:190. doi: 10.1186/1746-6148-9-190.
Bernabe LF, Portela R, Nguyen S, Kisseberth WC, Pennell M, Yancey MF, London CA.

背景:受容体キナーゼ抑制剤リン酸トセラニブ(Palladia)は2009年に犬での使用を認可され、3.25mg/kgの量の隔日投与で使用されている。低用量のトセラニブは、生物学的活性を得るために十分な薬剤暴露を維持している間の有害事象プロフィールを減少させるかもしれないと予備データは示唆している。

この研究の目的は、固形腫瘍のある犬で、トセラニブ2.5-2.75mg/kg隔日投与した場合のトセラニブのCmaxを測定することと、この用量での副作用を調べることだった。もう一つの目的は、投与した犬の血漿中血管内皮細胞増殖因子(VEGF)濃度と治療に対する反応の定量だった。

結果:固形腫瘍の犬に2.5-2.75mg/kgの予定された投与量でトセラニブを隔日投与し、0、7、14、30日目に投与から6時間と8時間後、採血してトセラニブおよびVEGF血漿濃度を解析した。また、Cmax確定のため、30日目の犬から0、1、2、6、8、12時間目の血漿サンプルを入手した。治療の反応は標準RECISTで解析し、副作用はVCOG-CTCAEで特徴付けた。

2.4-2.9mg/kgの量でトセラニブの隔日投与で、平均6-8時間血漿濃度の範囲が100-120ng/mlとなり、目標抑制の40ng/mlを大きく上回った。治療期間30日で血漿VEGF濃度は有意に上昇し、ほとんどの犬でVEGFR2抑制が達成される見込みがあると示された。この研究で使用したトセラニブのより低い投与量は、3.25mg/kg、隔日投与の確立されたラベル投与量と比較して副作用プロフィールがかなり減少した。

結論:2.4-2.9mg/kgの量でトセラニブの隔日投与で十分な目標抑制が得られると考えられ、ラベル投与量での有害事象プロフィールよりもかなり減少できた。今後、癌の犬の使用でトセラニブのより低いこの投与量を考えてみるべきである。(Sato訳)
■担癌犬におけるCCNUと連続性リン酸トセラニブ(Palladia)併用の安全性評価:第I相用量設定試験
Safety evaluation of combination CCNU and continuous toceranib phosphate (Palladia ) in tumour-bearing dogs: a phase I dose-finding study.
Vet Comp Oncol. 2014 Apr 16. doi: 10.1111/vco.12091. [Epub ahead of print]
Pan X, Tsimbas K, Kurzman ID, Vail DM.

標準のトセラニブ投与量を維持しながら、用量を3段階に増やし60mg/m2、PO、3週間毎で完了した。

併用に対する用量制限毒性(DLT)は好中球減少で、トセラニブ連続投与と併用するときのCCNUに対する最大耐量(MTD)は50mg/m2、3週間毎と判定した。

活性は第I相試験の第一目的ではないが、著者らは1頭の完全寛解(リンパ腫)、4頭の部分寛解(リンパ腫、肉腫、未分化癌、前立腺癌)と2頭の6週間以上の不変疾患(胃腺癌、転移性多胞性骨軟骨肉腫(MLO))を観察し、客観的反応率は38.4%、生物学的反応率は53.8%だった。

トセラニブ(2.75mg/kg、EOD)連続投与とCCNU(50mg/m2、3週毎)のパルス投与の併用は耐容性良好だった。第II相有効性と第III相前向き無作為化試験で、この組み合わせの潜在的活性をさらに調べるべきである。(Sato訳)
■犬におけるマロピタント投与ありなしの場合のビンクリスチンまたはシクロフォスファミド投与後の消化器毒性:前向きランダム化コントロール研究
Gastrointestinal toxicity after vincristine or cyclophosphamide administered with or without maropitant in dogs: a prospective randomised controlled study.
J Small Anim Pract. 2014 Jun 11. doi: 10.1111/jsap.12237.
Mason SL, Grant IA, Elliott J, Cripps P, Blackwood L.

目的 ビンクリスチンおよびシクロフォスファミドの化学療法を受けている犬における消化器毒性の頻度およびマロピタントのこれらの予防への効果を評価すること

方法 シクロフォスファミドまたはビンクリスチンで化学療法を行なった犬を、治療後すぐからその後4日間マロピタントありとなしのどちらかにランダムに組み入れた。飼い主は治療後の副作用を毎日観察した。

結果 副作用はビンクリスチン群では58頭中40頭(69%)に認められた。これらの副作用の多くは軽度であり、元気低下(62%)、食欲低下(43%)、下痢(34%)、嘔吐(24%)などであった。シクロフォスファミドで投与した犬では42頭中34頭(81%)に副作用が認められた。これらの副作用の多くは軽度であり、元気低下(62%)、下痢(36%)、食欲低下(36%)、嘔吐(21%)などであった。ビンクリスチン群またはシクロフォスファミド群の両方においてマロピタントの使用あるなしで、全臨床スコア、嘔吐、下痢、食欲低下、元気低下のスコアに違いはなかった。

臨床的意義 化学療法誘発性の副作用は多く認められるが、ビンクリスチンやシクロフォスファミドで投与している犬において通常は軽度である。マロピタントを予防的に投与することで副作用の頻度は低下せず、マロピタントは個々の症例で必要に応じてのみ使用されるべきである。(Dr.Taku訳)
■犬の悪性高グレード固形腫瘍の治療でパクリタキセルの新規水溶性製剤の用量設定試験
A dose-finding study with a novel water-soluble formulation of paclitaxel for the treatment of malignant high-grade solid tumours in dogs.
Vet Comp Oncol. 2013 Dec;11(4):243-55. doi: 10.1111/j.1476-5829.2011.00314.x. Epub 2012 Mar 9.
von Euler H, Rivera P, Nyman H, Haggstrom J, Borga O.

新しい水溶性パクリタキセル製剤(Paccal Vet)が癌の犬用に開発され、前処置の必要が無くなった(従来の非水溶性パクリタキセル製剤では必要)。

この研究の目的は、担癌犬においてPaccal Vetの臨床的安全性と有効性を判定し、無進行および全体の生存性を見積もり、1回投与の薬物動態を評価することだった。

ポジティブなリスク:利益比は、3回以上の治療サイクルでPaccal Vetを150mg/m2静脈投与(IV)に対して確立した。一番良い客観的反応率(86%)、反応までの時間の中央値(14日)、無進行生存期間中央値(131日)で予備的有効性が証明された。Paccal Vetは予想された有害事象(AE)に関与した(たとえば、骨髄抑制)が、大多数は一時的で、臨床的には無症状で管理可能だった。

これは、パクリタキセルの水溶性製剤が犬にうまく投与できることを示唆し、前処置なしで安全だということの最初の臨床報告である。(Sato訳)
■犬のシクロフォスファミド誘発性の無菌性出血性膀胱炎の予防に対するメスナとフロセミド-回顧的研究
Mesna and furosemide for prevention of cyclophosphamide-induced sterile haemorrhagic cystitis in dogs - a retrospective study.
Vet Rec. 2014 Jan 23. doi: 10.1136/vr.101574.
Laberke S, Zenker I, Hirschberger J.

無菌性出血性膀胱炎 (SHC)は、シクロフォスファミドによるおこりうる副作用であり、生活の質を重度の損なえる可能性がある。SHCを防ぐのに医学領域ではメスナと利尿は効果的である。

この研究の目的は、悪性リンパ腫の多剤併用化学療法を用いた導入プロトコール中のシクロフォスファミドで治療した犬においてSHCを防ぐため、メスナとフロセミドによる利尿の効果を比較することである。

1997年から2009年の間にMunichの小動物病院で治療した犬のカルテを回顧的に調査した。131頭の犬のうち、33頭は、何も予防的治療をしておらず(グループ1)、43頭はメスナの投与を受けており(グループ2)、55頭はフロセミドの投与(グループ3)を受けていた。年齢、性別、品種、体重、体表面積、シクロフォスファミドの用量と投与方法、SHCの予防の方法を、SHCがある犬とない犬で比較した。

6頭の犬(4.6%)がSHCに罹患した。グループ1, 2, 3におけるSHCの頻度は、それぞれ33頭中4頭(12.1%)、43頭中1頭(2.3%)、55頭中1頭(1.8%)であった。メスナまたはフロセミドのどちらかを投与された犬は、有意にSHCに罹患する可能性が低かった(p=0.03)。それ以外には有意差はなかった。

結論として、この研究によって、シクロフォスファミド誘発性のSHCを防ぐのに、メスナとフロセミドの効果および適応が証明された。(Dr.Taku訳)
■犬の悪性高グレード固形腫瘍の治療においてパクリタキセルの新規水溶性製剤の用量設定試験
A dose-finding study with a novel water-soluble formulation of paclitaxel for the treatment of malignant high-grade solid tumours in dogs.
Vet Comp Oncol. 2013 Dec;11(4):243-55. doi: 10.1111/j.1476-5829.2011.00314.x. Epub 2012 Mar 9.
von Euler H, Rivera P, Nyman H, Haggstrom J, Borga O.
水溶性パクリタキセルの新製剤(PaccalR Vet)が、癌の犬用に開発され、前処置(従来非水溶性パクリタキセル製剤で必要だった)が必要なくなった。
本研究の目的は、担癌犬においてPaccal Vetの臨床的安全性と有効用量を判定し、無進行期間および総生存期間を査定、1回投与の薬物動態を評価することである。

正の危険度:受益度比は、Paccal Vetを150mg/m2(IV)で3回以上の治療サイクルにより評価した。
最良客観的反応率(86%)、反応までの時間中央値(14日)、無進行生存中央期間(131日)により予備的効果が証明された。

Paccal Vetは見込み通りの副作用(AE)(例えば骨髄抑制)を起こしたが、ほとんどは一時的で臨床的に無症状の管理可能なものだった。

これは犬にうまく投与でき、前処置が必要なく安全に使用できることを示したパクリタキセルの水溶性製剤の最初の臨床報告である。(Sato訳)
■化学療法を行っている担癌犬の好中球機能の連続評価
Serial evaluation of neutrophil function in tumour-bearing dogs undergoing chemotherapy.
Vet Comp Oncol. 2013 Jan 20. doi: 10.1111/vco.12015.
Leblanc AK, Leblanc CJ, Rohrbach BW, Kania SA.

担癌犬の好中球の機能は、化学療法により負の影響を受けるという仮説を立てた。

フローサイトメトリー法を使用して、リンパ腫の犬20頭の基線、化学療法導入後7日、21日目の好中球酸化バーストと食活性を評価した。
健康なコントロール犬と比較して、E.coli(7日;P=0.009)と酢酸ミリスチン酸ホルボール(PMA)(7日と21日;P=0.0003とP=0.01)で刺激後の酸化バースト活性を示す好中球の比率は低かった。0日から7日まで、E.coli(P=0.016)とPMA(P=0.0006)で刺激後、酸化バースト活性を示す好中球の比率は低下した。

リンパ腫の犬における化学療法の導入は、次第に食活性の改善を伴い酸化バーストの能力がある好中球の比率を抑制する(P=0.03)。化学療法中の犬における敗血症の発生および重症度に対する好中球機能障害の影響を調査すべきである。(Sato訳)
■リンパ腫の化学療法の一部としてフロセミドの併用なしに3日間のシクロフォスファミドの経口投与を行なった犬における無菌性出血性膀胱炎の発生率:57症例 (2007年-2012年)
Incidence of sterile hemorrhagic cystitis in dogs receiving cyclophosphamide orally for three days without concurrent furosemide as part of a chemotherapeutic treatment for lymphoma: 57 cases (2007-2012).
J Am Vet Med Assoc. 2013 Oct 1;243(7):1025-9. doi: 10.2460/javma.243.7.1025.
Best MP, Fry DR.

目的 フロセミドの併用をせずに、リンパ腫の治療に対して多剤併用化学療法の一部としてシクロフォスファミドの単回最大耐用量を3日に分けて経口投与した犬における無菌性出血性膀胱炎 (SHC)や他の副作用の発生率を評価すること。

デザイン 後向き症例シリーズ。

動物 57頭の犬。

方法 上記のシクロフォスファミドの治療を行なったリンパ腫の犬をみつけるために、カルテを調査した。シグナルメント、リンパ腫のステージ、併発症、シクロフォスファミドの投与量、副作用 (SHCを含む)、寛解率、転帰について情報を得た。SHCの頻度を、フロセミド投与ありまたはなしの1日の単回の用量としてシクロフォスファミドの最大耐用量を投与された文献に記載されている過去のコントロール群と比較した。

結果 試験期間の間にSHCを生じた犬は57頭中1頭もいなかった。57頭の犬のうち47頭(82%)はリンパ腫が完全寛解した。他の副作用はあまりなく、自己限定的だった。骨髄抑制を示した犬は1頭もなく、5頭だけが軽度の消化器症状を示した。SHCの発生率は、フロセミドなしでシクロフォスファミドを単回で投与された過去のコントロール犬の報告(219頭中24頭)よりも有意に少なく、フロセミドありでシクロフォスファミドを単回で投与された過去のコントロール犬の報告(139頭中2頭)と有意な違いはなかった。

結果と臨床的意義 フロセミドなしで単日のシクロフォスファミドの最大耐用量を3日にわけて経口投与した場合、本研究ではSHCを発症した犬は全くいなかった。このシクロフォスファミドの投与方法が現在の単回投与と比較して同等かよりよいかについては、今後の研究で確認する必要がある。(Dr.Taku訳)
■ボーダーコリーに対してビンクリスチンによる骨髄抑制の評価
Evaluation of vincristine-associated myelosuppression in Border Collies.
Am J Vet Res. February 2013;74(2):257-61.
Denise L Lind; Janean L Fidel; John M Gay; Katrina L Mealey

目的:ボーダーコリー(ATP結合カセットサブファミリーB1遺伝子(ABCB1)野生型)が他の犬種よりもビンクリスチンによる骨髄抑制(VAM)を発生しやすいかどうか、もしそうならば、そのことはABCB1-1Δとは別のABCB1の変異により起きたのかどうかを判定すること

動物:第1相は、過去にビンクリスチンで治療したリンパ腫の犬26頭(ボーダーコリー5頭、他の13犬種21頭)を含むABCB1野生型の36頭の犬で構成し、第2相はVAMを発症した3頭と表現型のわからない7頭を含む10頭のボーダーコリーを追加した。

方法:第1相では、ABCB1-野生型ボーダーコリーにおけるVAMの有病率を、過去の研究データがあるABCB1-野生型の他の犬種の犬と比較した。第2相はボーダーコリーを追加した。血液学的副作用にVeterinary Co-operative Oncology Group基準でグレードを付けた。犬ABCB1の全て27エクソンを増幅、配列決定するためにゲノムDNAを使用した。罹患犬の配列を罹患していない犬や表現型不明の犬のものと比較した。

結果:ABCB1野生型のボーダーコリー5頭中3頭がVAMを発症した;これはVAMを発症した他の犬の比率よりも有意に高かった(0/21)。ボーダーコリーにおけるVAMの原因となる変異は確認できなかったが、8の一塩基遺伝子多形性を検出した。

結論と臨床関連:ABCB1に関係なくビンクリスチンに対する犬種が関係する感受性がボーダーコリーに検出された。獣医師はVAMに対するこの犬種素因を知っておくべきである。この明白な犬種の関係する感受性に対する原因は探究されるべきである。(Sato訳)
■犬の大規模集団におけるエピルビシンに関係する毒性
Toxicity associated with epirubicin treatments in a large case series of dogs.
Vet Comp Oncol. June 2012;10(2):113-23.
A M Marrington; D R Killick; I A Grant; L Blackwood

エピルビシンはドキソルビシンの立体異性体でヒトの腫瘍学で広く使用されている。
この研究の目的は、犬に対するエピルビシン投与に関係する毒性を評価することだった。

139頭の犬に315回投与した。犬は1回から7回投与された。81頭に投与した116回は、毒性に関係した(嗜眠50事象、下痢49、嘔吐42、食欲不振40、過敏症反応2、血管外漏出の疑い2)。36(11%)の有害事象により33頭(24%)が入院し、そのうち15件は好中球減少、9件は発熱だった。入院の平均期間は3.4日で33頭は無事に回復した。11頭の犬のオーナーは毒性が発生した後、さらなる治療を断った。毒性に関係する25の処置後、投与量を少なくすると毒性は低下した。予防的抗嘔吐剤、胃保護剤、抗生物質の使用で消化管毒性の頻度は減らなかった。(Sato訳)
■CCNU(ロムスチン)に関連した臨床的な肝毒性の明らかなリスクは猫において低い
Low apparent risk of CCNU (lomustine)-associated clinical hepatotoxicity in cats.
J Feline Med Surg. 2012 Dec;14(12):871-5. doi: 10.1177/1098612X12453836. Epub 2012 Jul 6.
Musser ML, Quinn HT, Chretin JD.

この研究の目的は、CCNU(ロムスチン)で治療した猫においてALTの上昇がどの程度生じるかを評価することである。

CCNUで治療した95頭の猫のカルテを調査し、そのうちの29頭が研究の基準(少なくともCCNU単独で1回治療しており、治療前後に最低1回は血液生化学パネルを実施していること)を満たした。プレドニゾロンまたはデキサメサゾンを併用している猫も含んでおり、肝保護薬や肝毒性のある薬を併用していた猫は除外した。この研究に用いられた猫は、肝細胞癌、乳腺癌、リンパ腫、肥満細胞腫、形質細胞腫、消化管平滑筋腫に罹患していた。
CCNUは、単剤として31-60mg/m2で4-8週おきに使用した。少なくともCCNUを1度投与した後に血清ALT活性を測定した。4頭(13.7%)の猫が治療開始前に基準範囲以上のALT活性を持っていた。さらに2頭の猫(6.8%)はCCNU治療開始1ヶ月後に基準値以上のALT活性を示した。1頭の猫は、CCNUの最後の投与後3週間で、ALTの上昇を伴う事なく、肝毒性と関連している可能性のある臨床症状を呈した。投与の頻度、蓄積量、初期投与量、併用している薬剤とALTの上昇の関連はなかった。臨床的に明らかな肝傷害は、CCNU投与した猫においてあまり一般的ではないようである。(Dr.Taku訳)
■テモゾロミド単独あるいはドキソルビシンと併用して治療した担癌猫における治療関連毒性
Treatment-related toxicities in tumor-bearing cats treated with temozolomide alone or in combination with doxorubicin: a pilot assessment.
J Feline Med Surg. August 2012;14(8):560-5.
Jerome Gagnon; Nikolaos G Dervisis; Barbara E Kitchell

テモゾロミド(TMZ)単独あるいはドキソルビシンと併用して治療した担癌猫において、治療関連毒性を評価する後ろ向き研究を行った。TMZは用量20mg/kgで3週間ごとに5日間1日1回経口投与した。腫瘍反応は標準WHO基準で評価し、毒性はVCOG?CTCAE基準でモニターした。

種々の悪性腫瘍を持つ10頭の猫をTMZベースの化学療法で治療した。8頭の猫は反応を評価できた。2頭の猫は完全な反応、1頭の猫は安定疾患、5頭の猫は部分反応に達した。

4頭はグレードIII、1頭はグレードIVの血液学的毒性、1頭はグレードIVの消化管毒性を認めた。4頭の猫は明らかな毒性の結果として安楽死された。1頭の猫は発熱を伴う重度の持続性骨髄抑制の結果として安楽死された。3頭はグレードIIIの胸水および心嚢水のため安楽死された。浸出液はより高いTMZの累積量で治療した猫に見られた(P=0.0046)。計画していた追加の症例動員は、いくらかの猫で効果のエビデンスは得られたものの、毒性の容認できないレベルのために中止した。この予想できない明らかな累積的毒性を解明するため追加調査が必要である。(Sato訳)
■4頭の犬におけるドキソルビシン血管外遊出傷害のデクスラゾキサン療法
Dexrazoxane treatment of doxorubicin extravasation injury in four dogs.
J Am Vet Med Assoc. February 2012;240(3):304-7.
Rachel O Venable; Corey F Saba; Melissa M Endicott; Nicole C Northrup

症例記述:ドキソルビシン遊出が分かっている、あるいは疑われる4頭の犬をデクスラゾキサンで治療した。記録を回顧的に再調査した。デクスラゾキサンの用量と使用回数はさまざまだった。3頭は血管外遊出が分かった後2時間以内にデクスラゾキサンを投与され、1頭は血管外遊出が疑われてから48時間で投与された。追加で行った治療は全ての犬で患部冷却、3頭でジメチルスルフォキシド軟膏の局所塗布、1頭でピロキシカムの経口投与だった。

臨床所見:遊出後2時間以内にデクスラゾキサンを投与した3頭の犬で、1-6日以内に軽度紅斑および浮腫が遊出部位に見られた。遊出が疑われて48時間で投与した犬では、広範な組織壊死が起こった。
治療と結果:重度組織壊死を起こした犬のみ外科的介入が必要だった。他3頭の病変は内科管理のみで解消した。全ての犬は生存した。

臨床的関連:今までドキソルビシン血管外遊出の管理でデクスラゾキサンの使用は犬で報告されていない。4頭中3頭で治療は成功した。最も有効な投与量とそのタイミングは不明だが、その事象後6時間以内の投与を推奨するエビデンスはある。獣医療でアントラサイクリン血管外遊出傷害の予防と治療において、この薬剤の効果および適切な使用を確認する研究が必要である。(Sato訳)
■担癌犬におけるカルボプラチン静脈内投与と併用した経口ロシグリタゾンの第1相臨床試験
Phase I clinical trial of oral rosiglitazone in combination with intravenous carboplatin in cancer-bearing dogs.
Vet Comp Oncol. 2012 Feb 24.
Allstadt Frazier S, McKemie DS, Guerrero TA, Lachapelle H, Skorupski KA, Kass PH, Rodriguez CO Jr.

ロシグリタゾンはヒトにおいてFDAが承認したペルオキシソーム増殖因子活性化ガンマレセプター(PPARγ)作用薬および抗糖尿病薬で、腫瘍細胞増殖を減ずる能力について研究されている。
この研究の目的は、癌の犬において経口ロシグリタゾンをカルボプラチンと一緒に使用した時の最大許容量、最大血漿濃度、副作用プロフィールを調査することだった。

ロシグリタゾンを7頭の犬に6および8mg/m(2)で投与した。それと併用し、240-300mg/m(2)でカルボプラチンを投与した。毒性評価について、この研究の7頭の犬の毒性データを、方法論研究で過去に報告された3頭の犬のデータと比較した。

ロシグリタゾンの最大血漿濃度は投与量で変化した。用量制限毒性は8mg/m(2)の用量で肝臓だった。3頭の犬は軽度から中程度のALT上昇を示したが、総ビリルビン、ALP、血糖値、あるいはγ-GPT値に変化はなかった。(Sato訳)
■担癌犬における低用量シクロフォスファミドと併用したトセラニブの臨床効果および免疫調節効果
Clinical and Immunomodulatory Effects of Toceranib Combined with Low-Dose Cyclophosphamide in Dogs with Cancer.
J Vet Intern Med. 2012 Feb 4.
Mitchell L, Thamm DH, Biller BJ.

背景:チロシンキナーゼ阻害剤(TKIs)とシクロフォスファミド(CYC)のメトロノミック療法は、ヒトとマウスにおいて、制御性T細胞(Treg)を抑制し、T細胞介在性の免疫反応を賦活化することによって腫瘍の制御を改善する。犬においては、TKIであるトセラニブの単独またはメトロノミックなCYCとの併用療法の免疫調節効果についてはこれまでに検討されていない。

仮説:この研究の主な目的は、担癌犬においてトセラニブとメトロノミックなCYC療法のTregを含むリンパ球サブセットと、インターフェロンガンマ(IFN-γ)分泌への影響を検討することである。トセラニブは選択的にTreg数を減少させ、IFN-γの産生を増加させ、CYCを加えるとこれらの効果が増強すると仮説した。

動物:進行した腫瘍をもった15頭の飼い犬を前向き臨床試験に用いた。

方法:各犬は、トセラニブを2.75mg/kgで1日おきに1回ずつ使用した。2週間後から、CYCを経口で15mg/m2で毎日追加した。8週の研究期間を通じて、フローサイトメトリーによって血液中のTreg数とリンパ球サブセットを測定した。IFN-γの血清濃度をELISAで測定した。

結果:担癌犬の末梢血において、トセラニブの投与によってTregの数と割合が有意に減少した。トセラニブとCYCを投与された犬では、IFN-γの血清濃度が有意に増加し、併用療法を6週間行なった後、Treg数と反比例していた。

結論:これらのデータによって、トセラニブは抗腫瘍効果に加えて、担癌犬に対して単独使用またはCYCと併用することによって認められる免疫調節効果をさらに研究する意義を示唆している。(Dr.Taku訳)
■ドキソルビシン化学療法後に突然死した犬の1例
Sudden death in a dog after doxorubicin chemotherapy.
Vet Pathol. September 2011;48(5):1035-7.
B Banco; V Grieco; F Servida; C Giudice

脾臓血管肉腫に対するドキソルビシンの標準的化学療法を行った後、8歳メスのジャーマンシェパードに起きた致死的心筋症を報告する。主な肉眼病変は、散在性に蒼白な心筋を伴う中程度の両側性心室拡張だった。組織検査で心筋細胞の重度多病巣性空胞変性、筋細胞融解、筋原繊維喪失、心筋繊維症、浮腫を認めた。心筋繊維空胞形成、筋細胞融解は、非常にドキソルビシン心毒性を示唆するものだった。(Sato訳)
■自然発生した癌を持つ犬におけるメトロノミッククロラムブシル化学療法の前向き研究
Prospective trial of metronomic chlorambucil chemotherapy in dogs with naturally occurring cancer
Veterinary and Comparative Oncology
Article first published online: 9 SEP 2011
T. N. Leach, M. O. Childress, S. N. Greene, A. S. Mohamed, G. E. Moore, D. R. Schrempp, S. R. Lahrman, D. W. Knapp

この研究の目的は、自然発生の癌を持つ犬において4mg/m2、1日1回の投与量のメトロノミッククロラムブシルの毒性と抗腫瘍活性を評価することだった。36頭の犬で研究した。グレード3あるいは4の中毒が見られず、プロトコールに良く許容した。3頭の犬(肥満細胞種、軟部組織肉腫、甲状腺癌)は完全寛解に達し、35週間以上持続した。部分寛解は組織球肉腫の1頭の犬で認められ(39週間持続)、総寛解率は11%(36頭中4頭)だった。種々の他の癌の犬17頭(47%)に安定病態を認めた。無進行期間中央値は61日、生存期間中央値は153日だった。
メトロノーム様プロトコールで投与するクロラムブシルは、種々の自然発生の癌を持つ犬に抗腫瘍活性を示した。(Sato訳)
■犬のCCNU(ロムスチン)毒性:回顧的研究(2002-07)
CCNU (lomustine) toxicity in dogs: a retrospective study (2002-07).
Aust Vet J. April 2011;89(4):109-16.
K L Heading; L K Brockley; P F Bennett

目的:1-(2-クロロエチル)-3-シクロヘキシル-1-ニトロソウレア(CCNU)の投与を受けた担癌犬における血液、腎臓、肝臓、消化管毒性の発生率を述べる

構成:2002年2月から2007年12月の間にメルボルン獣医専門医センターにおいてCCNUで治療された206頭の犬の医療記録を回顧的に評価した。

結果:CCNUで治療した206頭のうち、185頭が1つ以上の毒性のクラスに対する含有基準に合致した。CCNUは一般にリンパ腫、肥満細胞種、脳腫瘍、組織球性腫瘍、上皮向性リンパ腫に使用された。治療を通し、56.9%の犬は好中球減少、34.2%の犬は貧血、14.2%が血小板減少を経験した。消化器毒性は37.8%の犬で検出され、一般的なものは嘔吐(24.3%)だった。潜在的腎毒性、ALT濃度の上昇が、それぞれ12.2%、48.8%で報告された。肝不全の発生率は1.2%だった。

結論:CCNU-関連毒性は一般的であるが、通常命にかかわるものではない。(Sato訳)
■癌の犬に対するロムスチンのメトロノーム投与の許容性
Tolerability of metronomic administration of lomustine in dogs with cancer.
J Vet Intern Med. March 2011;25(2):278-84.
C D Tripp; J Fidel; C L Anderson; M Patrick; C Pratt; R Sellon; J N Bryan

背景:アルキル化剤のメトロノーム化学療法は、いくつかの現場で腫瘍血管新生の抑制、腫瘍再発の予防が示されている。犬においてメトロノーム様式で投与された補助的ロムスチンの使用は評価されていない。

仮説:自然発生した悪性腫瘍のある犬で、ロムスチンのメトロノーム経口投与は良く許容するだろう。

動物:ロムスチンのメトロノーム投与を受けた自然発生の原発あるいは転移腫瘍を持つ81頭の犬

方法:切除不能、不完全切除、化学療法に不応、あるいは転移の細胞あるいは組織学的診断を受けた後に前向き研究に登録した。犬には1日1回ロムスチンを投与した(2.84mg/m2PO)。その試験の終了ポイントは毒性の臨床的、血液学的、生化学的所見、腫瘍の進行、あるいは死亡だった。

結果:開始投与量(中央値)は2.84mg/m2PO1日1回で、治療期間は98日(中央値、範囲、1-770日)だった。毒性のため22頭で投与中止した。13頭は消化管毒性、4頭は血小板減少、3頭はALT上昇、1頭は好中球減少、1頭は進行性の高窒素血症だった。8頭は投与中にある程度の高窒素血症を発症した。肝臓毒性は11頭の犬で、中央値265日で観察された。血小板減少は投与から中央値432日で確認された。

結論と臨床意義:腎障害のない転移あるいは末期腫瘍の犬において、ロムスチンのメトロノーム投与は良く許容した。これは他に標準的治療オプションがない犬に対する治療戦略となり、プライマリー療法の評価を正当化する。(Sato訳)
■担癌犬(肥満細胞種を除く)におけるリン酸トセラニブ(Palladia)とピロキシカム併用の安全性評価:第I相用量-所見研究
Safety evaluation of combination toceranib phosphate (Palladia) and piroxicam in tumour-bearing dogs (excluding mast cell tumours): a phase I dose-finding study
Veterinary and Comparative Oncology、Article first published online: 21 MAR 2011
E. Chon, L. McCartan, L. N. Kubicek, D. M. Vail

リン酸トセラニブとピロキシカムは、個々に抗腫瘍活性が示されている。さらに、非ステロイド性抗炎症療法は、老齢担癌犬において同時に発病した変形性関節症の管理に使用されることも多い。併用は、個々の投与が正当化され、各有害事象(AE)プロフィール(消化管)が重なる可能性があるため、第I相試験を標準3+3コホート構成で併用の安全性を確立するために担癌犬(非肥満細胞)で実施した。トセラニブの認証されたラベル投与量およびピロキシカムの標準投与量を含む量までの5つの用量増大コホートを、コホート閉鎖を必要とする用量制限AEsの頻度を観察することなく完遂した。
ゆえに、両薬剤の標準投与量(トセラニブ、3.25mg/kg隔日投与;ピロキシカム0.3mg/kg1日1回)の併用は一般的に安全である。いくつかの抗腫瘍反応が観察された。トセラニブ単剤使用の時、ラベル指示の治療休薬および減量(例えば2.5-2.75mg/kg)は、消化管事象のために時々必要となるかもしれない。(Sato訳)
■カルボプラチン単剤化学療法による皮膚過敏症が疑われた犬の1例
Probable cutaneous hypersensitivity to carboplatin single-agent chemotherapy in a dog.
J Small Anim Pract. December 2010;51(12):654-6.
D Lanore; D Sayag

カルボプラチンは一般によく許容される薬剤で、獣医腫瘍学で広く使用されている。文献で述べられているカルボプラチンの副作用は、骨髄毒性、腎毒性、消化および食欲障害などである。カルボプラチンの単剤化学療法により治療した114頭の犬において、我々は19.3%の割合で非血液学的毒性を観察した(個人観察)。
この症例報告は、1頭の犬において疑われた製品と報告された反応(A=probable, B=possible, O=unclassifiable and N=unlikely)の因果関係を決定する公式ABONシステムおよび実験的皮内試験に従い診断されたカルボプラチンに対する皮膚遅延過敏症の最初の症例を述べる。その反応の治療に抗ヒスタミン剤を使用し、さらにカルボプラチンの治療はコルチコステロイドによる前処置、注入の延長、カルボプラチン初期投与量の20%減量などの調整を行った。その後の治療中に更なる反応は起こらなかった。(Sato訳)
■犬におけるビンブラスチンとリン酸トセラニブ併用の安全性評価
Safety evaluation of combination vinblastine and toceranib phosphate (Palladia) in dogs: a phase I dose-finding study
Veterinary and Comparative Oncology Article first published online: 31 JAN 2011
C. Robat, C. London, L. Bunting, L. McCartan, N. Stingle, K. Selting, I. Kurzman, D. M. Vail

投与量制限毒性(DLT)の重なりがなく、異なるメカニズムを通して抗腫瘍活性を発揮し、単剤活性が分かっている薬剤の併用は、臨床結果を改善する可能性がある。トセラニブとビンブラスチンはそれら要求に合致するため、肥満細胞種の犬への併用で第一相試験を実施した。
同時併用に対するDLTは好中球減少で、最大許容量はトセラニブ(3.25mg/kgPO隔日)と併用でビンブラスチン(1.6mg/m2隔週)だった。これはビンブラスチンに対する用量強度において50%以上の減量を示し(単剤使用と比較して)、それ自体は現行の薬剤併用パラダイムをもとにしたこの併用を支持しない。用量パラダイムに対する厳密な遵守はその併用に反対だが、有意な活性 (71%客観的応答)および骨髄抑制の増強所見は相加あるいは相乗活性を示唆する。この併用と標準単剤治療を比較する前向き無作為評価は、この併用のポテンシャルを慎重に評価すると思われる。(Sato訳)
■抗癌化学療法を行っている犬の尿中細胞毒性薬剤残留物
Cytotoxic drug residues in urine of dogs receiving anticancer chemotherapy.
J Vet Intern Med. 2010 Mar-Apr;24(2):384-90.
A Knobloch, S A I Mohring, N Eberle, I Nolte, G Hamscher, D Simon

背景:犬の尿中細胞毒性薬剤残留物の存在は、飼育者や他の人に対する暴露のリスク、環境汚染の可能性があるかもしれない。しかし、臨床患者の排泄における細胞毒性薬剤残留物に対する研究は獣医腫瘍学で欠如している。

仮説:不定な濃度の剤棒毒性残留物が尿サンプル中に存在し、サンプル採取時間と薬物に依存する。

動物:標準化学療法プロトコールで治療したリンパ腫あるいは肥満細胞腫の飼育犬

方法:化学療法開始前、化学療法後の直接採取、数日後の尿サンプルを採取した。犬の尿中のビンクリスチン、ビンブラスチン、シクロフォスファミド、ドキソルビシン残留物の測定を、定量液体クロマトグラフィータンデム型質量分析(LC/MS/MS)法で行った。

結果:シクロフォスファミド残留物質濃度の中央値は、投与後直接採取(d0)したとき398.2μg/Lで、1-3日目(d1、d2、d3)に検出した濃度はより低かった。ビンクリスチン残留物質濃度中央値は、投与後直接で53.8μg/L、1,2,3日目はそれぞれ20.2、11.4、6.6μg/Lだった。ビンブラスチン残留物質濃度中央値は、144.9(d0)、70.8(d1)、35.6(d2)、18.7μg/L(d3)で、7日目は低濃度が検出可能だった。尿中ドキソルビシン濃度の中央値は、354.0(d0)、165.6(d1)、156.9(d2)、158.2μg/L(d3)だった。投与後21日目まで低濃度のドキソルビシンが測定できた。

結論と臨床意義:化学療法剤の種々の濃度が尿サンプルで測定でき、サンプル採取時間と薬物に依存した。所見は現行の化学物質防御ガイドラインに情報を与え、暴露リスクを最小限にする手助けとなるだろう。(Sato訳)
■抗がん剤療法を行っている犬の血清における薬剤残留物
Drug residues in serum of dogs receiving anticancer chemotherapy.
J Vet Intern Med. 2010 Mar-Apr;24(2):379-83.
A Knobloch, S A I Mohring, N Eberle, I Nolte, G Hamscher, D Simon

背景:血液サンプル中の薬剤残留物の存在は、職業ハザードとなる可能性がある。しかし、犬の血清中の細胞毒性薬剤残留に対する研究は、獣医腫瘍学で乏しい。

目的:腫瘍崩壊性薬剤を投与した後7日目の犬の血液サンプルの取り扱いに関する職業ハザードの可能性を評価する

動物:ビンクリスチン、ビンブラスチン、シクロフォスファミド、ドキソルビシンでリンパ腫あるいは肥満細胞腫を治療した27頭の飼育犬

方法:前向き観察的研究。ビンクリスチン、シクロフォスファミド、ドキソルビシン(リンパ腫)およびビンブラスチン(肥満細胞腫)の投与後7日目、あるいはシクロフォスファミドの併用最終経口投与(肥満細胞腫)後1-2日目に血液サンプルを採取した。また投与から5分以内の血清も採取した。血清中薬剤残留の測定は、液体クロマトグラフィータンデム型質量分析(LC/MS/MS)で行った。

結果:投与後5分以内に採取した33サンプルで、血清濃度中央値は、ビンクリスチン:37μg/L(範囲:11-87μg/L)、ビンブラスチン:13μg/L(範囲13-35μg/L)、シクロフォスファミド:2484μg/L(範囲1209-2778μg/L)、ドキソルビシン:404μg/L(範囲:234-528μg/L)だった。
投与後7日目に採取した81の血清サンプルで、1サンプルにビンブラスチン(7μg/L)が検出され、シクロフォスファミドの経口投与後1-2日目に採取した2サンプルでシクロフォスファミド(7と9μg/L)が検出された。その他のサンプルはいかなる薬剤も検出されなかった。

結論と臨床意義:腫瘍崩壊性化学療法を行っている犬で、ビンクリスチン、ビンブラスチン、シクロフォスファミド、ドキソルビシンの投与後7日目の血液サンプルの取り扱いにおいて、健康ハザードは引き起こされないだろう。(Sato訳)
■化学療法中の犬において敗血症(好中球減少および発熱)の発症に対するリスクファクターを評価する症例-対照研究
Case-control study to evaluate risk factors for the development of sepsis (neutropenia and fever) in dogs receiving chemotherapy.
J Am Vet Med Assoc. March 2010;236(6):650-6.
Karin U Sorenmo, Lisa P Harwood, Lesley G King, Kenneth J Drobatz

目的:化学療法で治療中の犬における敗血症発症のリスクファクターを確認し、転帰に対する敗血症の影響を評価する

構成:症例-対照研究

動物:ペンシルバニア大学病院で標準的な化学療法による治療を行っている種々の担癌飼育犬

方法:医療記録データの検索で39頭(症例)の敗血症の犬を確認した。同期間に来院した犬から無作為にコントロール(n=77)を選択した。分析した項目は、患犬の個体群統計、腫瘍タイプ、ステージ、寛解状態、治療期、使用した化学療法、転帰に関してであった。

結果:体重減少およびリンパ種の犬は、大型犬あるいは固形腫瘍の犬と比較して、敗血症に有意になりやすかった。また、敗血症はコントロールよりもドキソルビシン(オッズ比、12.5;95%信頼区間、2.4-66.0)、あるいはビンクリスチン(オッズ比、9.0;95%信頼区間、1.6-52.0)を投与されている場合が有意に多かった。39症例のうち、28症例(71.8%)はプロトコールの導入期で、39症例中19症例(48.7%)は初めて化学療法を投与した後に敗血症になった。症例の生存期間中央値(253日)は、コントロール(371日)と有意差がなかった。

結論と臨床関連:体重減少の犬は、化学療法誘発敗血症のリスクが増加した。また腫瘍の種類と使用する化学療法剤も重要なリスクファクターだった。特にリンパ種の小型犬の導入期にドキソルビシンあるいはビンクリスチンを使用するとき、上記の結果から予防処置を実行できるかもしれない。(Sato訳)
■癌療法において他の姑息的治療と併用したカルボプラチンに対するオーナーの認識
Owner's perception of carboplatin in conjunction with other palliative treatments for cancer therapy.
J Small Anim Pract. February 2010;51(2):104-12.
D B Bowles, M C Robson, P E Galloway, L Walker

目的:犬と猫の様々な腫瘍に対し、カルボプラチンで治療中のペットのクオリティオブライフに対するオーナーの認識を調査する

方法:オーナーにアンケートを郵送し、ペットにおける化学療法の認識、および彼らのペットにおけるカルボプラチン治療の認識について質問した。

結果:28人(59%)のオーナーから回答があった。43%のオーナーは、治療前にペットにおける化学療法を考えていなかったが、治療後、89%のオーナーはその使用を支持した。16頭(57%)の罹患動物は軽度から重度の副作用があった。ほとんどの罹患動物は嗜眠および食欲減退などの軽度副作用を経験していた。治療中のクオリティオブライフは、診断前よりも低下したが、ベストのときは治療前のクオリティオブライフよりも有意に改善した。回答者の89%は彼らのペットの治療について後悔していなかった。

臨床意義:カルボプラチンはオーナーおよびペットでうまく許容できるものである。ほとんどの治療した動物は副作用がないか、あるいは軽度嗜眠、食欲不振を経験する。単独、あるいは他の薬物との併用でカルボプラチン療法は、感受性のある腫瘍を持つ犬猫において姑息療法として考慮すべきである。(Sato訳)
■1頭の猫に見られたビンブラスチンの過剰投与後の毒性と救助療法
Toxicities and salvage therapy following overdose of vinblastine in a cat.
J Small Anim Pract. February 2010;51(2):127-31.
I A Grant, K Karnik, K E Jandrey

リンパ腫の化学療法を行っていた1頭の猫に、間違って4倍量のビンブラスチンを投与した。重度の急性で生命を危うくするような毒性が発生した。抗利尿ホルモン分泌異常症候群(SIADH)が電解質障害をもとに疑われた。積極的な支持療法により良好に回復した。小動物の化学療法投与にかかわる人物は、患畜に間違いない薬剤、適切な投与量を各治療前にチェックすべきである。(Sato訳)
■シスプラチン:毒性と治療応用の概説
Cisplatin: a review of toxicities and therapeutic applications.
Vet Comp Oncol. 2008 Mar;6(1):1-18.
Barabas K, Milner R, Lurie D, Adin C.

シスプラチンは様々な悪性腫瘍に使われる白金の化学療法剤である。抗腫瘍活性は、DNAの架橋結合と付加物、さらにスーパーオキサイドラジカルの産生で起こる。腎毒性は最もよく知られており、臨床的に明らかな毒性となる可能性が高い。残念ながら、シスプラチンによる腎毒性のメカニズムは完全には解明されていない。しかし、多くの理論が考えられている。胃腸管毒性、骨髄抑制、聴器毒性そして神経毒性など他の副作用もある。シスプラチンの腎毒性を防止するための現在最も推奨されている方法は生理食塩水による利尿である。研究者は、長期利尿への代替手段として、医薬品と酵素/分子改変に焦点を合わせている。現時点ですべての毒性から保護する物質は見つかっていない。シスプラチンは、犬の骨肉腫、移行上皮癌、扁平上皮癌、メラノーマ、中皮腫、癌腫症そして胚細胞腫瘍に対して活性を示している。猫においては、シスプラチンは標準用量で劇症肺水腫が起こるため使用できない。シスプラチンの病巣内注入は馬の扁平上皮癌とサルコイドの治療で使用されている。(Dr.Kawano訳)
■犬におけるCCNU誘発骨髄抑制のchemoprotectantとしてデキサメサゾンの評価
Evaluation of dexamethasone as a chemoprotectant for CCNU-induced bone marrow suppression in dogs
Vet Comp Oncol. March 2009;7(1):69-77. 32 Refs
J. L. Intile, K. M. Rassnick, D. B. Bailey, R. Al-Sarraf, J. D. Chretin, C. E. Balkman, A. B. Flory, M. A. Kiselow, J. J. Wakshlag

マウスや人において、化学療法前にコルチコステロイドを投与することは、抗腫瘍効果低下がなく骨髄抑制の程度を低くできる。この研究で、CCNUを投与している犬において、デキサメサゾンの前処置がグレード4の好中球減少の発生を抑えるのかどうかを調査した。25頭の犬に5日間デキサメサゾンを投与し(0.1mg/kg経口12時間毎)、6日目にCCNUを投与した(90mg/m2経口)。病歴の分かっている犬(n=67)にCCNU(90mg/m2経口)のみを投与した。
病歴の分かっている犬の45%はグレード4好中球減少を起こし、デキサメサゾンを前処置した犬の64%がグレード4好中球減少を起こした(P=0.16)。3頭の健康な犬でデキサメサゾン血漿濃度をELISAにより定量した。1回の0.1mg/kg経口投与後の最大血漿濃度は、人におけるデキサメサゾンのchemoprotective効果に関与する最低濃度80ng/ml以下だった。CCNUを投与する犬においてデキサメサゾンの前処置はグレード4好中球減少の発生を抑えることはなかった。(Sato訳)
■CCNU(ロムスチン)で治療した犬におけるALT活性上昇の有病率
Prevalence of elevated alanine transaminase activity in dogs treated with CCNU (Lomustine)
K. Hosoya , L. K. Lord , A. Lara-Garcia , W. C. Kisseberth , C. A. London and C. G. Couto

この研究の目的は、ロムスチン(CCNU)を投与している犬における血清ALT上昇の有病率を評価することと、発生パターンと潜在性リスクファクターを分析することだった。CCNU単剤化学療法中の犬109頭の血清ALT活性を遡及的に分析した。初回投与量、dose-intensity、蓄積投与量中央値は、それぞれ64mg/m2、21mg/m2/週、171mg/m2だった。大規模なALT上昇(>参照値上限(URL)の5倍)の総有病率は29%(32/109)で、ほとんどCCNUの1-3回目以降に発症した。症例の53%(17-32)は先行する軽度ALT上昇が見られないまま、それらのALT上昇が発生した。3頭(2.8%)は臨床的肝障害を発症した。重度ALT上昇(>10倍URL)となるリスクが高かったのは、年齢が5歳以下だった。この研究所見は、ALT上昇は犬のCCNU化学療法中に一般的で、重度上昇は突発的に見られることを示した。(Sato訳)
■健康犬におけるゾレドロネート単回投与の骨代謝効果
Bone Metabolic Effects of Single-Dose Zoledronate in Healthy Dogs
J Vet Intern Med 19[6]:924-927 Nov-Dec'05 Laboratory Study 25 Refs
Louis-Philippe de Lorimier and Timothy M. Fan

骨の抗再吸収活性能力を持つゾレドロネートは、犬における悪性骨融解や高カルシウム血症の治療に対する可能性を持つ。この研究目的は、健康犬におけるゾレドロネート単回投与の骨代謝効果を評価することだった。4頭の骨格的に成熟した未去勢の犬に、0.25mg/kgの量を15分間IV点滴した。尿中タイプIコラーゲンのN-テロペプチド(NTx)排泄は、7、14、21、28日目にそれぞれ76%、63%、77%、73%と基準値より有意に低下した(P<.0125)。血清骨特異アルカリフォスファターゼ(bALP)は、21、28日目に36%、42%と基準値から有意に低下した(P<.0125)。カルシウムの恒常性に変化は見られなかった(カルシウムイオン、インタクトPTH、尿中カルシウム排泄)。健康で骨格的に成熟したイヌにおいて、ゾレドロネート0.25mg/kgの単回IV投与は恒常性骨融解活性を明らかに抑制する。さまざまな年齢群の健康犬と疾患犬において反復投与の安全性と活性を、前向き研究で評価すべきである。(Sato訳)
■担癌猫に対しImatinib Mesylate (Gleevec)を評価する第I相臨床試験
A Phase I Clinical Trial Evaluating Imatinib Mesylate (Gleevec) in Tumor-Bearing Cats
J Vet Intern Med 19[6]:860-864 Nov-Dec'05 Clinical Trial 35 Refs
Joshua L. Lachowicz, Gerald S. Post, and Edwin Brodsky

imatinib mesylate経口投与の毒性を評価する第I相臨床試験を9頭の担癌猫で実施した。Imatinibは小分子、チロシンキナーゼ阻害剤で、種々の悪性腫瘍に関係する過剰発現蛋白の機能を選択的にブロックする。この研究に供した猫は、線維肉腫、扁平上皮癌、肥満細胞腫の診断を受けており、CBC、血清生化学;数頭に実施した尿検査、胸部エックス線検査、腹部超音波検査により病期判定を行った。ほとんどの猫は、過去に外科手術、放射線療法、化学療法、それら治療の組み合わせで治療されていた。共通の化学療法を受けていた猫はいなかった。
6頭の猫は1-2mg/kgPO q24h時間で投与した。5頭の猫は2、4、10mg/kgPO q24hに投与量を段階的に増やした。2頭は10mg/kgPO q24h、1頭は15mg/kgPO q24hで開始し、その投与量を維持した。CBC、血清生化学で評価した時、9頭中8頭で毒性症状は観察されず、最低限の胃腸毒性が見られた。副作用の頻度が少ないので、imatinib10mg/kgPO q24hの追加評価を継続中である。(Sato訳)
■臨床的に正常な犬におけるシスプラチンのリポソーム被包性製剤の前臨床評価
Preclinical evaluation of a liposome-encapsulated formulation of cisplatin in clinically normal dogs.
Am J Vet Res 65[11]:1474-8 2004 Nov
Marr AK, Kurzman ID, Vail DM

目的:臨床的に正常な犬で、非被包性シスプラチンで分かっている最大許容量(MTD)の2倍までリポソーム被包性製剤の用量を増やして投与し、急性および短期副作用を判定する

動物:4頭の健康な2.5歳の未避妊メスのハウンドタイプ犬

方法:4種の投与量(70、100、125、150mg/u)を評価し、4頭に合計9回注入した(1-3回注入/頭)。犬の臨床、臨床病理状態の変化をモニターした。身体検査、CBC、血清生化学検査、尿検査による評価を各注入前、7日後、21日後に実施した。

結果:リポソーム被包性シスプラチンに対する急性アナフィラキシー様反応が一般的だったが、臨床的に管理可能なものだった。非被包性シスプラチンによく関係する腎毒性、かなりな骨髄抑制、毒性作用は、非被包性シスプラチンで分かっているMTDと同等から2倍量のリポソーム被包性シスプラチンを投与しても観察されなかった。

結論と臨床関連:リポソーム被包性シスプラチンは、同時に水和プロトコールも必要とせず150mg/uまでの投与量で臨床上正常な犬に安全に投与できる。これは、シスプラチンの投与量を段階的に拡大することで、理論的に利益が出来るような癌を自然発症した犬で、第I相臨床試験が可能にするために必然的に前もって必要なものだった。MTDの決定、蓄積および長期毒性、そして効果は腫瘍のある犬で第I相試験の状況で現在実施可能である。(Sato訳)
■原発、または二次性骨関与を伴う担癌犬33頭に行ったパミドロン酸静脈内投与の評価
Evaluation of Intravenous Pamidronate Administration in 33 Cancer-Bearing Dogs with Primary or Secondary Bone Involvement
J Vet Intern Med 19[1]:74-80 Jan-Feb'05 Retrospective Study 43 Refs
Timothy M. Fan, Louis-Philippe de Lorimier, Sarah C. Charney, and John G. Hintermeister

この研究は、腫瘍がある犬33頭に平均投与量1.0mg/kgIV28日毎に、パミドロン酸を投与したときの臨床安全性を評価するため実施した。腎機能の生化学検査を各継続的パミドロン酸投与前に測定した。パミドロン酸を投与した犬33頭のうち、1頭は血清クレアチニンと血中尿素窒素濃度の増加があった。パミドロン酸IV投与の生物学的活性を付属肢骨肉腫の犬10頭で前向きに調査し、また尿中N-テロペプチド排泄減少(P=.042)に対する評価、デュアルエネルギーX線吸光光度法により原発腫瘍の骨ミネラル密度増強(P=.024)を認めた。加えてそれら10頭で、パミドロン酸治療活性は4頭の主観的疼痛管理改善により支持された。パミドロン酸IV投与は腫瘍のある犬で臨床的に安全と思われ、病理学的骨吸収に関与する腫瘍合併症の管理に対し、中程度の生物活性を獲得すると思われる。(Sato訳)
■骨肉腫のイヌのシスプラチンとドキソルビシン中毒
Cisplatin and Doxorubicin Toxicosis in Dogs with Osteosarcoma
J Vet Intern Med 17[5]:668-673 Sep-Oct'03 Retrospective Study 32 Refs
Carol J. DeRegis, Antony S. Moore *, William M. Rand, John Berg

骨肉腫による断脚後、2または10日目にドキソルビシン、そしてシスプラチンの投与を開始し、それに関する中毒をイヌで回顧的に研究した。目的は、最初の治療投与後の中毒の割合に、化学療法の投与量とタイミングが影響するかどうかを判定することだった。転移、または併発疾患所見の無い四肢骨肉腫のイヌ100頭の記録を検証した。イヌは断脚後、2日目(n=51)、または10日目(n=49)に治療を開始し、3週間ごとに3回のドキソルビシンとシスプラチンの化学療法を受けていた。シスプラチンの投与量は60mg/uで、6時間の生食による利尿とブトルファノールの投与を受けた。ドキソルビシンは輸液中に12.5-25mg/uで投与されていた。
血液学的データを、投与前と投与後毎週採集した。オーナーへの問診は、治療と治療の間の胃腸毒性を評価するために行った。報告された毒性は、0-4にグレード分けした。ドキソルビシン25mg/uの投与を受けていたイヌ(67%;n=6)は、12.5-20mg/uの投与を受けていた群(<25%;n=94、P=.03)よりもグレード4の毒性を経験する割合が高かった。2日目の群(35%)は、10日目の群(12%、P=.007)よりもグレード4の毒性を経験する割合が高かった。我々は、術後2日目の化学療法の投与は、顕著に用量を減じない限りは、容認しがたいレベルの毒性を起こし、投与を遅らせたとしてもドキソルビシン25mg/uとシスプラチン60mg/uの併用は、通常の使用には毒性が強すぎると結論付けた。(Sato訳)
■犬の多中心型リンパ腫に対するドキソルビシン+ピロキシカムもしくはドキソルビシン単独の効果について
Anthony J. Mutsaers, DVM et al; J Am Vet Med Assoc 220[12]:1813-1817 Jun 15'02 Clinical Trial 35 Refs; Evaluation of Treatment with Doxorubicin and Piroxicam or Doxorubicin Alone for Multicentric Lymphoma in Dogs

目的:犬の多中心型リンパ腫に対するドキソルビシン+ピロキシカムもしくはドキソルビシン単独の効果について検討する。

動物:75頭の多中心型リンパ腫

方法:33頭はドキソルビシン(30 mg/m2 IV, q 21 d, for 3 doses) およびピロキシカム(0.3 mg/kg [0.14 mg/Ib], PO, q 24 h)を投与、残り42頭はドキソルビシン(30 mg/m2, IV, q 21 d, for 3 doses) 単独投与した。

結果:寛解率はドキソルビシン-ピロキシカム(79%)、ドキソルビシン単独(74%)で、有意差はなかった。寛解の中央値はそれぞれ130日、147日で有意差はなかった。副作用はそれぞれ22%、17%であった。

結果ならびに臨床的意義:ともに効果があり耐えうるものであった。ドキソルビシン-ピロキシカム群は、ドキソルビシン単独群と比べて、寛解率、寛解期間、生存期間とも差がなかった。(Dr.T訳)
■獣医臨床における化学療法の安全性:危険な薬物の投与
Chemotherapy Safety in Veterinary Practice: Hazardous Drug Administration
Compend Contin Educ Pract Vet 24[2]:140-146 Feb'02 Review Article 15 Refs
Michael D. Lucroy DVM, MS, DACVIM

現在、癌患者に化学療法を提供している獣医師が増加している。ある化学療法薬は漏出すると突然の組織損傷の原因となり、これら薬の大多数は過量に投与すると死亡するかもしれない;それ故に臨床現場での化学療法時には特別の警戒が必要である。どの様な危険な薬物調製でも、個人防護の装備と正しい薬物取り扱い技術が、従業員の化学療法施術中に有害薬物に曝されることを最小にすることができる。
(Dr.Massa訳)
■担癌犬における癌化学療法と犬ジステンパーウイルス、パルボウイルス、狂犬病ウイルス抗体価との関連

Carolyn J. Henry, DVM, Ms, DACVIM et al; J Am Vet Med Assoc 219[9]:1238-1241 Nov 1'01 Prospective Study 23 Refs ;Association Between Cancer Chemotherapy and Canine Distemper Virus, Canine Parvovirus, and Rabies Virus Antibody Titers in Tumor-Bearing Dogs

目的:担癌犬における癌化学療法と血清犬ジステンパーウイルス(CDV)、犬パルボウイルス(CPV)、狂犬病ウイルス抗体価との関連を決定するため
構成:将来に関する研究
動物:様々な悪性腫瘍を持つ21頭の飼育犬とリンパ腫の16頭の飼育犬
方法:研究Aにおいて抗体価は血球凝集阻害(CPV抗体)、または血清中和(CDV抗体)を使用して化学療法前または少なくとも1ヶ月後に計測された。基準価は、型どおりのワクチン再接種をしていると判断された、122頭のコントロール群から得られた値と比較された。抗体はCDVでは1:96以上CPVでは1:80以上で防護すると考えられた。
研究Bでは血清IgG抗体を免疫蛍光法(CDV抗体とCPV抗体)とfluorescent focus inhibition試験(RFFIT、狂犬病抗体)を用いて基準値を計測し、再びリンパ腫の治療のための標準化学療法プロトコールの5週目、8週目、24週目に計測した。
>1:50のIgG抗体はCPVとCDVから防護可能と考えた。> 0.5 U/ml のRFFIT抗体は狂犬病ウイルスから防護可能と考えた。

結果:担癌犬の化学療法に続くCDV、CPV、狂犬病ウイルス抗体に有意な変化は認められなかった。

結論と臨床との関連:結果は、以前の予防接種からのCDV、CPV、狂犬病ウイルスの確立した免疫は担癌犬の治療のために用いられる標準的化学療法によって有意に、障害を受けない事を示唆している。

コメント:化学療法実施中に免疫抑制や骨髄抑制を起こす事がありますが、ワクチンで得られた抗体価は落ちない、と言う文献です。

■犬の悪性黒色腫に対するカルボプラチンの使用:27症例(1989-2000):
Use of Carboplatin for Treatment of Dogs with Malignant Melanoma: 27 Cases (1989-2000)
J Am Vet Med Assoc 218[9]:1444-1448 May 1'01 Retrospective Study 50 Refs

目的:カルボプラチンによる犬の悪性黒色腫の治療の反応率と反応期間を評価するため。

計画:追想的研究

動物:クライアントに飼育されており、自然発生した悪性黒色腫が認められる27頭の犬。

行程:1989年10月から2000年6月までに、カルボプラチンによって治療された犬の黒色腫の記録を再検討しました。カルボプラチンは体表面積で300または350mg/m[2]の用量で静脈内投与を施しました。治療への反応と薬物毒性の形跡を測定しました。

結果:治療への反応は25匹の犬において評価されました。それらの中で全体の反応率は28%でした。1匹の犬が寛解、6匹 (24%)の犬が部分寛解(腫瘍容積の50%以上の減少)でした。部分寛解の中央値は、165日でした。18匹の犬が、安定している疾病(n = 9、36%)、または進行性疾患(n = 9、36%)を持っていました。治療への反応は体重あたりのカルボプラチン用量とかなり関連しました(15.1mg/kg[6.9mg/lb]vs 12.6mg/kg[5.7mg/lb])。胃腸毒性は27匹の犬において評価できました。胃腸毒性が現れた5匹の犬の平均体重は、毒性の認められなかった22匹の犬の体重より有意に低かったです (9.9kg[21.8lb] vs 19.3kg[42.5lb])。

結論&臨床関連:カルボプラチンは犬に自然発生する肉眼で見える悪性黒色腫に対する活性を持っており、局所的な、あるいは転移性の微細な腫瘍への補助的な治療として考慮されるべきです。胃腸への毒性は体重と関連しました。小さい犬がより反対の胃腸への副作用が発生しやすいので、胃腸保護剤の使用はこれらの患者のために考慮されるべきです。(Dr.Massa訳)

■犬の口腔扁平上皮癌の治療におけるピロキシカムの評価
Bradley R. Schmidt, DVM, DACVIM et al; J Am Vet Med Assoc 218[11]:1783-1786 Jun 1'01 Prospective Study 36 Refs ;Evaluation of Piroxicam for the Treatment of Oral Squamous Cell Carcinoma in Dogs

目的:犬の口腔扁平上皮癌の治療におけるピロキシカムの使用を評価することです。

構成:見込みのある症例系列。

動物:測定可能な口腔扁平上皮癌を持つ17頭の犬。

行程:犬は、進行性疾患や受け入れられない中毒症状の発現、または犬が死亡するまでピロキシカム(0.3mg/kgPO、SID)によって治療されました。

結果:1頭の犬が完全緩解(上顎腫瘍)となり、2頭の犬が部分緩解となりました。(舌腫瘍および扁桃腺腫瘍)。付け加えた5頭の犬は安定している疾病を持っており、1頭の上顎腫瘍、2頭の下顎腫瘍、および2頭の扁桃腺の腫瘍を含んでいました。腫瘍反応に関連した変数は確認されませんでした。
寛解した3頭の犬の障害発生までの中央および平均期間は、それぞれ180および223日でした。安定している疾病を持つ5頭の犬の障害発生までの中央および平均期間は、それぞれ102および223日でした。障害発生までの時間は腫瘍応答と明確に関連し、腫瘍サイズとの関連は否定的でした。1頭の犬で、穏やかな胃腸管副作用があり、食事療法治療としてmisoprostolの添加で改善しました。

結論&臨床関連:結果は口腔扁平上皮癌の犬の治療においてピロキシカムが有用であるかもしれないことを示唆します;応答率は、他に報告されている細胞毒性治療と同様でした。より大きな規模の研究は、犬口腔扁平上皮癌の治療においてピロキシカムがどんな役割を有しているか、単独または他の治療との組み合わせ、を決定するために必要とされます。(Dr.Massa訳)

コメント:ピロキシカムは当初は疼痛緩和、抗炎症作用を期待して使用されていましたが、ここ数年では移行上皮癌などでは抗腫瘍効果があると報告されています。抗腫瘍効果への機序についてはまだ議論の余地があるようですが、補助的な腫瘍治療薬剤としては導入しやすいのではないでしょうか。