■犬の口腔メラノーマ:一連の臨床的症例を通した疑問と既存の情報
Canine Oral Melanoma: Questioning the Existing Information through a Series of Clinical Cases
Vet Sci. 2024 May 17;11(5):226.
doi: 10.3390/vetsci11050226.
Carmen G Pérez-Santana , Ana A Jiménez-Alonso , Francisco Rodríguez-Esparragón , Sara Cazorla-Rivero , Enrique Rodríguez Grau-Bassas

この研究で口腔悪性メラノーマ(MM)の犬12頭を評価し、個体群統計で種々の犬種の中で性別、年齢、体重のバランスのとれた分布を示した。腫瘍の位置は様々で、下顎骨切除や上顎骨切除を含む多様な外科処置が実施されていた。リンパ節切除は行われ、領域リンパ節において16.66%の転移率だった。手術時において、臨床ステージングでは、ステージI、II、IIIが確認され、多くの症例は非浸潤性マージンと高い有糸分裂指数だった。フォローアップで局所再発と転移が明らかとなり、追加の手術を促し、生存率に影響した。

この研究は様々な結果を報告し、再発なく1年を経過する犬もいたが、疾患の進行を経験する犬もいて、6頭は口腔メラノーマ関連で死亡した。

有色素性メラノーマと無色素性メラノーマの特徴を、それらの間の違い(侵略性の程度、死亡率、更なる治療ターゲットの可能性)を研究するために観察した。色素が多いことはより良い結果と関連しているが、我々は生存性と無色素性との有意な関連を見つけることができなかった。口腔の良性メラノーマは存在するかもしれず、これはステージと生存性の間の変動性を正当化できた;しかし、それらの予測できない挙動に慎重さが必要とされる。

この所見は、口腔メラノーマ症例の複雑性を強調し、効果的な治療戦略に対する今後の研究の必要性を浮き彫りにしている。(Sato訳)
■口腔悪性メラノーマの犬の広範囲切除あるいは放射線治療をしない場合の化学療法の効果の回顧的研究
A retrospective study of chemotherapeutic effect without wide-margin surgery or radiation therapy in dogs with oral malignant melanoma
Can Vet J. 2024 Apr;65(4):343-350.
Yuanyuan Xia , Albert Taiching Liao , Jihjong Lee

背景:犬の口腔悪性メラノーマに対する効果的な治療(すなわち、根治的外科手術)は実行できず、あるいは放射線治療は利用できないかもしれない。しかし、化学療法は一般的にオプションの1つで、適切な局所治療がない時の使用に関する、より多くの情報が必要とされる。

目的:この研究の目的は、適切な局所コントロールがなされない犬の口腔悪性メラノーマにおける化学療法(小型犬における用量を削減したカルボプラチンとメトロノーム化学療法の使用)の効果を調査することだった。

動物と方法:口腔悪性メラノーマと病理組織学的に診断された飼い犬を、2016年から2022年の間から回顧的に登録した。各症例の化学療法プロトコールは、担当医により判定した。

結果:13頭の犬を含めた。全13頭の無増悪期間中央値は42日(14-953日)だった。それら唯一の全身的治療として化学療法による犬の総生存期間中央値は181日(50-960日;n=11)だった。カルボプラチンの用量中央値は250mg/m2だった。治療への反応と臨床ステージは、有意な予後因子だった。

結論と臨床的関連:化学療法は生存期間中央値6か月をもたらすことから、適切な局所コントロールが実行不可能な時に考慮できる。早期の臨床ステージ、あるいは化学療法中の少なくとも安定疾患の達成は、より良い生存性を指し示すかもしれない。(Sato訳)
■口腔メラノーマの犬の放射線治療の効果に対する予後因子:骨内病変の低酸素の予備研究
Prognostic Factors for the Efficiency of Radiation Therapy in Dogs with Oral Melanoma: A Pilot Study of Hypoxia in Intraosseous Lesions
Vet Sci. 2022 Dec 22;10(1):4.
doi: 10.3390/vetsci10010004.
Shunsuke Noguchi , Kohei Yagi , Nanako Okamoto , Yusuke Wada , Toshiyuki Tanaka

Free PMC article

切除不能な口腔メラノーマは、放射線治療(RT)で治療されることも多く、治療に対し一時的な反応を示すかもしれない。臨床ステージは、犬の口腔メラノーマに対し、よく知られている予後因子の1つである。しかし、RTに対する反応に直接影響する因子は依然不明である。

この研究の目的は、RT後の再発に対するリスク因子を確認することだった。

口腔メラノーマの犬68頭をこの研究に含めた。全ての犬は補助療法を行わず、線形加速器を使用した緩和的RTで治療した。RT後、局所再発までの時間(TTR)、総生存期間(OS)をログランク検定で評価した。

結果として、臨床ステージと治療への反応は、多変量解析で有意な独立した予後因子だった。局所骨融解の存在と、細胞減少性外科手術を併用しないことは、RTに対する悪い反応と関係した。骨に侵入している腫瘍細胞が低酸素状況下にあることを示す低酸素誘導因子-1αに対する免疫組織化学検査は、骨融解を示す犬に対するRTのより効果の悪さを説明するのかもしれない。

結論として、臨床ステージと減容積手術の組み合わせは、RTの効果の改善に必要だった。(Sato訳)
■犬のフットパッドの悪性メラノーマの多施設遡及研究:20症例
Multi-institutional retrospective study of canine foot pad malignant melanomas: 20 cases
Vet Comp Oncol. 2022 Jun 30.
doi: 10.1111/vco.12846. Online ahead of print.
Mark D Jeon , Haley J Leeper , Matthew R Cook , Sarah K McMillan , Tristram Bennett , Caroline A Murray , Chelsea D Tripp , Kaitlin M Curran

フットパッドにできたメラノーマは、犬の珍しい臨床実体である。パッドの悪性メラノーマの生物学的挙動はあまりよく分かっておらず、それらの腫瘍はまれにしか述べられていない。

この研究の目的は、大規模集団で原発性の犬のフットパッドのメラノーマに関する臨床的特徴を評価することだった。

遡及的レビューのため、ACVIM腫瘍リストサーブから適した症例を募集した。含まれた犬は、認定臨床あるいは解剖学的病理医により細胞学的および/あるいは組織学的にフットパッドメラノーマと診断された犬だった。皮膚、口腔、指、爪下あるいは指間メラノーマの犬は除外した。

合計20症例が含まれた。11頭は術後化学療法、放射線療法、および/あるいはONCEPT犬メラノーマワクチンを含む種々の補助的治療を受けていた。診断時に所属リンパ節転移は4頭(20%)で観察された。その後7頭は領域および/あるいは遠隔転移を起こし、総転移率は55%だった。無増悪期間(PFI)は101日(範囲、20-960日)だった。生存期間中央値(MST)は240日(範囲、25-479日)だった。補助的治療を受けていた犬で、MSTは159日(範囲、25-387日)だった。犬のフットパッドメラノーマは、珍しい腫瘍で、悪い挙動を取る可能性がある。(Sato訳)
■抗-犬PD-1治療抗体で治療したステージ4口腔悪性メラノーマの犬の長期生存:フォローアップ症例報告
Long-term survival of dogs with stage 4 oral malignant melanoma treated with anti-canine PD-1 therapeutic antibody: a follow-up case report
Vet Comp Oncol. 2022 May 10.
doi: 10.1111/vco.12829. Online ahead of print.
Masaya Igase , Sakuya Inanaga , Kenji Tani , Munekazu Nakaichi , Yusuke Sakai , Masashi Sakurai , Masahiro Kato , Toshihiro Tsukui , Takuya Mizuno

ヒトの癌に対し、プログラム細胞死-1(PD-1)をターゲットとするモノクローナル抗体は、最も有望な治療の1つである。ヒトの臨床研究では、抗-PD-1抗体が長期持続の腫瘍反応をもたらすことが証明された。

過去に我々は、抗-犬PD-1治療抗体(ca-4F12-E6)を確立させ、予備的臨床研究で口腔悪性メラノーマ(OMM)の犬でその抗体の有効性を証明した。しかし、その予備的研究が発表された時点で2頭のOMM症例はまだ治療継続中だった。

ここで、その2症例の長期フォローアップを述べる。2症例は完全寛解(CR)で長期生存を示したが、腫瘍反応は異なっていた;1症例目の効果発現は緩やかで、2症例目は治療を中止しても持続的反応が観察された。両症例で第2の悪性腫瘍が治療中に発生した。

このフォローアップ研究で、ca-4F12-E6は1年以上CRを維持することが明らかとなった。また、腫瘍反応パターンは、従来の治療と比べて独特だった。

これらの結果は、獣医療において腫瘍反応に対する新しい評価基準が免疫療法に対して必要かもしれないと示す。短期治療反応性にかかわらず、長期フォローアップが必要である。(Sato訳)
■犬の口腔メラノーマに対するONCEPTを含む多様式治療:131頭の犬の回顧的解析
Multimodality Treatment Including ONCEPT for Canine Oral Melanoma: A Retrospective Analysis of 131 Dogs
Vet Radiol Ultrasound. 2020 Apr 22.
doi: 10.1111/vru.12860. Online ahead of print.
Michelle Turek , Tracy LaDue , Jayme Looper , Koichi Nagata , Keijiro Shiomitsu , Michele Keyerleber , Julia Buchholz , Tracy Gieger , Scott Hetzel

犬の口腔メラノーマ(OM)は高率な転移を伴う攻撃的な癌である。外科および/あるいは放射線治療(RT)が効果的な棘慮治療であるが、多くの犬が遠隔転移に屈する。免疫療法は、この潜在的免疫原性腫瘍に対する魅力的な戦略である。

この多施設回顧的研究の目的は、ONCEPTメラノーマワクチンで治療したOMの犬の臨床結果を調べることだった。また、ほとんどの犬は、手術および/あるいはRT(8 Gy × four weekly fractions)も行った。診断時に遠隔転移がある犬や、化学療法を併用している犬は除外した。

ONCEPTで治療した131頭の犬を含めた:62頭は完全腫瘍切除あるいは、残存の顕微鏡的疾患の放射線照射で定義した適切な局所腫瘍コントロール;15頭は不完全切除で補助的RTをしていない顕微鏡的疾患設定で治療した;54頭は肉眼的疾患があった。

無増悪期間中央値は304日、無増悪生存期間中央値は260日、腫瘍特異総生存期間中央値は510日だった。多変量解析で、肉眼的疾患の存在は臨床結果の全ての測定値に負に相関した。その他の負の予後指標は、原発腫瘍が2cm以上、より高い臨床ステージ(ステージ2及び3)、診断時のリンパ節転移の存在、口腔の尾側に位置することだった。放射線治療は、腫瘍の進行に対する保護作用があった。

現在まで、これは最も大規模なONCEPTで治療したOMの犬の一連の症例報告である。いくつかの過去に報告された予後指標を確認した。(Sato訳)
■犬の口腔悪性メラノーマの治療に対する電気化学療法と治療結果に影響する因子
Electrochemotherapy in treatment of canine oral malignant melanoma and factors influencing treatment outcome.
Radiol Oncol. 2020 Mar 7;54(1):68-78. doi: 10.2478/raon-2020-0014.
Tellado MN, Maglietti FH, Michinski SD, Marshall GR, Signori E.

背景:犬の口腔悪性メラノーマはよく見られるが、攻撃的な口腔癌で予後は悪い。電気化学療法(ECT)は効果的な局所治療としてそのような腫瘍に治療的ポテンシャルを持つ。ゆえに、この前向き臨床研究の目的は、犬の口腔悪性メラノーマに対する第一選択治療としてECTの治療効果を評価し、治療結果に影響を及ぼす因子を調べることだった。

方法:第一選択治療に対する候補が上がっていない原発性口腔悪性メラノーマの犬67頭を登録した。全ての犬にECTを行い、2年の期間、フォローアップ検査を行った。

結果:RECISTの基準で、客観的反応率は、ステージIで100%、IIで89.5%、IIIで57.7%、IVで36.4%だった。部分あるいは完全反応のステージI、II、IIIの犬のみがQOLを改善した。ステージI、II、III、IVの犬でそれぞれ進行までの期間の中央値は、11、7、4、4か月で、治療後の生存期間中央値は16.5、9.0、7.5、4.5か月だった。有意により良かったのは、骨への関与がない(P=0.043)ステージI、II疾患(P=0.0013)の局所反応だった。

結論:電気化学療法は、代替治療が利用できないときの犬の口腔悪性メラノーマの効果的な局所治療である。骨の関与がないステージIおよびIIの腫瘍の犬でより良い反応が期待できる。(Sato訳)
■犬の進行したステージIIIおよびIVの悪性メラノーマに対するメシル酸マシチニブの前向き臨床試験
Prospective clinical trial of masitinib mesylate treatment for advanced stage III and IV canine malignant melanoma.
J Small Anim Pract. 2020 Jan 20. doi: 10.1111/jsap.13111. [Epub ahead of print]
Giuliano A, Dobson J.

目的:犬の進行した悪性メラノーマの治療で、メシル酸マシチニブの効果を調べる

材料と方法:ステージIIIおよびIVの悪性メラノーマ(2頭は指、1頭は肛門、14頭は口腔粘膜)の犬17頭における前向き臨床試験。進行した大きな疾患でオーナーが従来の治療を断った犬、あるいは従来の治療でも進行してしまった腫瘍の犬のみを含めた。

結果:2頭の犬は部分奏功、7頭は安定疾患、8頭の犬は腫瘍が進行した。17頭すべての生存期間中央値は119日(範囲21-255日)だった。マシチニブは一般的によく許容したが、グレード2の貧血、グレード1の好中球減少、グレード1の下痢、グレード2の食欲不振が各1頭で観察された。

臨床意義:末期の疾患には軽度の効果しかなく、メシル酸マシチニブは犬の進行した悪性メラノーマの治療に対し、適した単剤オプションではないことが示される。(Sato訳)
■犬ブドウ膜メラノーマの転移関連マイクロRNA
Metastasis-associated microRNA expression in canine uveal melanoma
M. P. Starkey, L. Compston-Garnett, P. Malho, K. Dunn, R. Dubielzig
Vet Comp Oncol. 2018;16:81?89.

背景:ぶどう膜メラノーマは犬で一般的な眼内腫瘍である。腫瘍の転移を予測する有効な手段はない。ヒトの様々な腫瘍(ぶどう膜メラノーマ含む)でマイクロRNA(miRNA)転移シグナルが同定されている。

目的:本研究ではmiRNA発現レベルによって犬ぶどう膜メラノーマの転移の有無を区別できるか調べる。

材料と方法:miRNAマイクロアレイプロファイリングを用いてぶどう膜メラノーマの転移なし12、転移あり8のパラフィン包埋を比較した。

結果:転移の有無について14のmiRNAで有意差が認められた。クラス予測分析では89%の精度で9つのmiRNAを特定した。識別可能なmiRNAのうち8つはぶどう膜メラノーマの転移にアップレギュレートし、そのうち3つはヒト皮膚メラノーマの「転移活性因子」としての可能性を秘めている。定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-qPCR)で4つのmiRNAを測定し転移腫瘍のアップレギュレーションを確認した。

結論:miRNA表現プロファイルはぶどう膜メラノーマの転移予測の可能性がありアップレギュレーションがあれば転移の治療を行うべきかもしれない。(Dr.Maru訳)
■鼻腔メラノーマ3頭の放射線治療
Intranasal melanoma treated with radiation therapy in three dogs.
Vet Q. 2017 Dec;37(1):274-281. doi: 10.1080/01652176.2017.1387828.
Davies O, Spencer S, Necova S, Holmes E, Taylor A, Blackwood L, Lara-Garcia A.

片側性の慢性鼻汁のために3頭の犬が連れて来られた。CTでは鼻甲介の破壊があったが転移は認められなかった。症例1(雑種、去勢オス、14歳)と症例2(ジャーマンシェパード、去勢オス、5歳)は細胞診にてメラノーマを疑う細胞質の黒色顆粒がある多型細胞が認められた。全例で免疫染色(メランA、ビメンチン、1例でPNL-2)にてメラノーマと診断された。治療はリニアックによる放射線治療が行われた。症例1と症例3(ビーグル、避妊メス、9歳)は小分割照射(8Gy×4回)、症例2は分割照射(4Gy×12回)が行われた。
症例1は5ヶ月後、症例2は7ヶ月後のCTにて完全消失が得られた。症例3では4ヶ月後にSDで10ヶ月間臨床症状はコントロールされていた。症例1は診断から5ヶ月後に腫瘍と無関係の原因で死に、症例2は診断から13ヶ月後に発作のために安楽死、症例3は12ヶ月後にフォローできなくなった。鼻腔腫瘍ではメラノーマは稀であるが放射線治療は効果的である。(Dr.Maru訳)
■一括外科的切除とCSPG4抗原電気的強化ワクチンの補助療法で治療した口腔内悪性メラノーマの犬の生存期間の延長
Prolongation of survival of dogs with oral malignant melanoma treated by en bloc surgical resection and adjuvant CSPG4-antigen electrovaccination.
Language: English
Vet Comp Oncol. September 2017;15(3):996-1013.
L A Piras , F Riccardo , S Iussich , L Maniscalco , F Gattino , M Martano , E Morello , S Lorda Mayayo , V Rolih , F Garavaglia , R De Maria , E Lardone , F Collivignarelli , D Mignacca , D Giacobino , S Ferrone , F Cavallo , P Buracco

報告されている犬の口腔内悪性メラノーマ(canine malignant melanoma:cMM)に対する術後1年生存率は約30%である;補助的化学療法の役割は不明なため、新しい治療が必要である。

この前向き研究は、ヒトコンドロイチン硫酸プロテオグリカン-4( human chondroitin sulfate proteoglycan-4:hCSPG4)-encoded plasmidの補助的電気的強化ワクチンの接種を行った23頭の犬(ステージII/III、CSPG4陽性、口腔内cMMの切除済)と接種しなかった19頭の犬(ステージII/III、CSPG4陽性、口腔内cMMの切除済)を比較した。

ワクチン接種犬で6、12、18、24か月生存率は、95.6、73.9、47.8、30.4%(生存期間中央値(MST)684日、範囲78-1694日、23頭中8頭生存)で、6、12、18、24か月無病期間(DFI)率は82.6、47.8、26.1、17.4%(DFI 477日、範囲50-1694日)だった。

ワクチン未接種犬で6、12、18、24か月生存率は、63.2、26.3、15.8、5.3%(MAT200日、範囲75-1507日、19頭中1頭生存)で、6、12、18、24か月 DFI率は52.6、26.3、10.5、5.3%(DFI 180日、範囲38-1250日)だった。

20kg未満の犬において、ワクチン接種犬の総生存期間およびDFIはより長かった。ワクチン接種犬とワクチン未接種犬の局所再発率は、それぞれ34.8%と42%だったが、肺転移率は、39%と79%だった。(Sato訳)
■犬の肛門嚢悪性メラノーマ:11症例(2000-2015)
Malignant anal sac melanoma in dogs: eleven cases (2000 to 2015).
Language: English
J Small Anim Pract. April 2017;58(4):231-237.
A Vinayak , C B Frank , D W Gardiner , K M Thieman-Mankin , D. R. Worley

目的:肛門嚢悪性メラノーマの犬のシグナルメント、臨床症状、遂行した治療、結果を報告する

方法:2000年1月から2015年12月までの5施設から医療記録を検索し、細胞学的あるいは組織学的に肛門嚢の悪性メラノーマと確定した犬を確認した。シグナルメント、臨床症状、ステージング、細胞学、病理組織学的解析、外科および非外科的治療を医療記録から抽出した。紹介獣医師およびオーナーに追跡データを得るため連絡を取った。

結果:11頭の犬が含まれ、全頭の生存データが得られた。最も一般的臨床症状は、血様の肛門嚢からの滲出物と肛門周囲を舐めるというものだった。行われた初期治療は、外科手術(n=8)、化学療法(n=1)、疼痛薬物療法と便軟化剤による対症療法(n=2)だった。補助的役割で3頭の手術後にメラノーマワクチンを行い、1頭は化学療法を行った。治療にもかかわらず、無憎悪期間(平均92.5日)と総生存期間(中央値107日)は短かった。

臨床意義:このケースシリーズの犬は、治療に関係なく予後注意が必要から予後不良だった。11頭中10頭は局所や遠位への疾患進行により安楽死された。11頭中1頭のみが診断から1年生存した。この部位での腫瘍の挙動を理解することは、早期診断および治療で生存期間の改善をもたらすことができた。(Sato訳)
■先天性皮膚メラノーマの犬の1例
Congenital cutaneous melanoma in a dog.
Language: English
Vet Dermatol. April 2017;28(2):228-e56.
Bruna Meyrer , Simone Passos Bianchi , Saulo Petinatti Pavarini , Daniel Guimaraes Gerardi

背景:メラニン細胞性腫瘍は、メラニン細胞由来で、暗い色素の皮膚の老犬でよく見られる。原発性先天性皮膚メラノーマは家庭哺乳類で述べられているが、犬での報告はない。

仮説/目的:著者らは、急速に進行し、転移して死亡した犬の先天性皮膚メラノーマの1症例を報告する。

動物:オスの雑種犬は左耳の近くに円形の潰瘍化病変を持って生まれた。生まれて12日目には病変はかなり大きくなり、耳の基部の外側に多数の柔らかい円状結節ができた。

方法と結果:病理組織検査で、時折メラニン顆粒を含む好酸性の細胞質の円形で細長い腫瘍細胞の増殖が見られた。免疫組織化学検査でmelan A、S-100蛋白、ニューロン特異エノラーゼ(NSE)、ビメンチンが陽性で、メラノーマの診断を確認した。その腫瘍は急速に進行し、6か月でその犬は突然死亡した。剖検で肺、心臓およびリンパ節転移が見られた。

結論と臨床意義:著者の知るところでは、その犬における原発性先天性メラノーマの最初の報告である。腫瘍の状況は、悪性挙動と高い転移の可能性を示した。(Sato訳)
■犬の口腔内悪性黒色腫もしくは未分化肉腫におけるPD-L1を標的とした犬キメラモノクローナル抗体の臨床的効果
A canine chimeric monoclonal antibody targeting PD-L1 and its clinical efficacy in canine oral malignant melanoma or undifferentiated sarcoma
Sci Rep. 2017 Aug 21;7(1):8951. doi: 10.1038/s41598-017-09444-2.
Maekawa N, Konnai S, Takagi S, Kagawa Y, Okagawa T, Nishimori A, Ikebuchi R, Izumi Y, Deguchi T, Nakajima C, Kato Y, Yamamoto K, Uemura H, Suzuki Y, Murata S, Ohashi K

【アブストラクト】
免疫チェックポイント分子を標的とした免疫治療であるPD-1(Programmed cell death 1)とPD-L1(PD-Ligand1)は、ここ5年間でヒトのいくつかの悪性腫瘍に対して広く使われている治療的な抗体である。共刺激受容体であるPD-1はT細胞上に発現しており、そのリガンドであるPD-L1に結合することにより、エフェクター機能の抑制をする。異常なPD-L1の発現は様々なヒトの悪性腫瘍で認められており、免疫回避機構を有すると考えられている。PD-1/PD-L1軸をブロックする抗体は悪性黒色腫や他の悪性腫瘍に罹患した患者での抗腫瘍効果を誘導する。犬ではそのような臨床研究は現在までに行われてはおらず、その理由として、犬で使用できうる治療的な抗体が作成できていないことが挙げられる。
この研究では、犬のキメラ化抗PD-L1モノクローナル抗体であり、免疫調節効果があるc4G12がin vitroにおいてサイトカイン産生と末梢血単核細胞の増殖を有意に高めたことを明らかにした。7例の口腔内メラノーマ(OMM)と、2例の未分化肉腫の犬を対象に前臨床試験を実施した。c4G12 を2もしくは5mg/kg で2週おきに投与された時、客観的な抗腫瘍反応はOMMの犬で1例(14.3%、1/7)、未分化肉腫の症例で1例(50.0%、1/7)に認められた。c4G12は安全で、犬の悪性腫瘍の治療オプションとして効果的である可能性がある。(Dr.Masa訳)

訳者コメント:北海道大学からの発表です。イヌでも免疫チェックポイント阻害剤が使用できれば、特に今回の報告にある口腔内メラノーマに対してのブレイクスルーが期待されます。本報告ではPD-L1発現陽性症例のみが組み入れされていて、反応が認められたのは7例中1例のみと今後の発表が待たれる結果となっています。
■イギリスで犬の口腔悪性メラノーマ69症例に対するOnceptメラノーマワクチンの使用
Use of Oncept melanoma vaccine in 69 canine oral malignant melanomas in the UK.
J Small Anim Pract. 2017 Jan;58(1):10-16. doi: 10.1111/jsap.12613.
Verganti S, Berlato D, Blackwood L, Amores-Fuster I, Polton GA, Elders R, Doyle R, Taylor A, Murphy S.

目的:口腔悪性メラノーマは、局所侵襲性と転移傾向の高さから予後不良から予後慎重である。Onceptメラノーマワクチンは、ステージIIあるいはIIIの局所コントロールされている口腔悪性メラノーマの犬の治療に認可され、この回顧的研究は、イギリスのワクチンで治療した罹患犬の生存性を評価するのを目的とした。

素材と方法:病理組織学的に口腔悪性メラノーマと確認され、治療の一環としてワクチンを投与された犬の医療記録を評価した。潜在的予後因子に対する生存分析を実施した。

結果:69頭が組み込まれた;犬56頭、ステージI-III、過去に局所領域治療をしており、生存期間中央値は455日(95%CI:324-586日)。カプランマイヤー生存解析と関連ログランク検定を基に、この集団に対して有意な予後因子は確認されなかった。ワクチン単独あるいは併用療法で治療した眼に見える腫瘍がある13頭のうち、8頭は臨床反応を示した。ステージIV口腔悪性メラノーマの3頭は、診断後171、178、288日生存した。

臨床意義:我々の研究で、メラノーマワクチンで治療した犬は、アメリカでワクチンを投与された症例と同じような生存期間だった。目に見える腫瘍がある犬において反応は認められ、そのワクチンは、ステージIV疾患の犬の姑息療法として考慮できた。(Sato訳)
■口腔内悪性黒色腫の犬32頭に対する外科手術とアジュバントとして異種DNAワクチンを実施した後の転帰と生存の回顧的レビュー
A retrospective review of outcome and survival following surgery and adjuvant xenogeneic DNA vaccination in 32 dogs with oral malignant melanoma.
J Vet Med Sci. 2016 Jan 15. [Epub ahead of print]
Treggiari E, Grant JP, North SM.

異種DNAワクチンは、口腔内悪性黒色腫 (OMM)の局所コントロールされたステージIIとIIIの犬に対する使用が承認されている。現在のところ、外科手術と免疫療法で治療したOMMの犬の転帰の情報は限られている。

本研究の目的は、外科手術と異種DNAワクチンで治療した(一部は放射線療法を併用している)OMMの32頭の犬の転帰と生存について回顧的にレビューし、外科マージンとワクチン投与の遅れが与える影響について検討することである。

全生存期間の中央値 (MST)は、335日であり(95%信頼区間は301-540日)、全無増悪生存期間は160日であった(平均182日、95%信頼区間は132-232日)。症例数が少ないため、研究についての統計的検出力が低いことを反映していたからかもしれないが、ステージ、サージカルマージンがとれているか、ワクチン投与の遅れがなかったかについては、生存やPFSに有意に影響を与えるようにはみえなかった。免疫療法を含めて、外科手術にアジュバント治療を加えることが、犬の口腔内悪性黒色腫の症例において生存を有意に伸ばすことができるかについて評価するためには、さらなる研究が必要である。(Dr.Taku訳)
■犬の口腔メラノーマに対する根治的手術後の結果:70症例(1998-2011)
Outcome following curative-intent surgery for oral melanoma in dogs: 70 cases (1998-2011).
J Am Vet Med Assoc. 2014 Dec 1;245(11):1266-73. doi: 10.2460/javma.245.11.1266.
Tuohy JL, Selmic LE, Worley DR, Ehrhart NP, Withrow SJ.

目的:犬の口腔メラノーマの根治的切除後、無進行期間(PFI)と総生存期間(ST)の面で結果を評価する

計画:回顧的ケースシリーズ

動物:70頭の飼育犬

方法:電子カルテの検索と再検討を、口腔メラノーマの根治的切除を行った犬に対して実施した(1998年5月1日-2011年12月31日)。シグナルメント、腫瘍の位置、ステージ、術式、補助療法の種類、組織学的評価の所見、結果に関する情報を集めた。

結果:70頭の腫瘍でステージIは36頭(51.4%)、ステージIIは16頭(22.9%)、ステージIIIは13頭(18.6%)、ステージIVは1頭(1.4%)だった。4頭(5.7%)のステージは大きさの情報がなかったために判定できなかった。51頭(72.9%)の犬は完全に切除されていた。29頭(41.4%)は補助療法を受けていた。PFIとSTの中央値は508日と723日だった。32頭(45.7%)の疾患は進行した。PFIあるいはSTと有意に関係したのは、補助療法の投与、診断時の転移の存在、より高い腫瘍ステージ(IIIあるいはIV)、腫瘍の大きさの増加(>3cm)、避妊していないメス犬で認められた。補助療法の投与は、疾患進行の危険を130%増加させ(危険率、2.3;95%CI、1.0-5.0)、診断時の転移の存在は死亡の危険を281%増加させた(危険率、3.8;95%CI、1.5-9.6)。

結論と臨床関連:結果は、口腔メラノーマの犬は広範なマージンを取って切除した後、長期PFIとSTを得ることができると示した。(Sato訳)
■犬の口腔悪性黒色腫の補助的な治療法としてのOnceptワクチンの効果についての後向き研究
A retrospective analysis of the efficacy of Oncept vaccine for the adjunct treatment of canine oral malignant melanoma.
Vet Comp Oncol. 2013 Sep;11(3):219-29. doi: 10.1111/vco.12057.
Ottnod JM, Smedley RC, Walshaw R, Hauptman JG, Kiupel M, Obradovich JE.

犬の口腔悪性黒色腫(OMM)は局所的で進行性であり転移することが多く、この疾患の予後を改善することが証明されている治療の選択肢はほとんどない。この研究の目的は、Oncept黒色腫ワクチンによる補助的な治療が、局所的な腫瘍の制御が出来ているOMMの犬の転帰に影響を与えるかを決定することである。Animal Cancer and Imaging Centerに来院した45頭の犬のカルテを調査し、その中にはステージIIとステージIIIの犬が30頭含まれていた。ワクチンを受けた犬は、ワクチンを受けていない犬と比較して、無増悪生存、無再発期間、生存期間の中央値がより長い訳ではなかった。(Dr.Taku訳)
■外科的切除後の口腔悪性メラノーマの犬に対する補助的カルボプラチンの使用
Use of adjuvant carboplatin for treatment of dogs with oral malignant melanoma following surgical excision.
Vet Comp Oncol. September 2012;0(0):.
G Dank; K M Rassnick; Y Sokolovsky; L D Garrett; G S Post; B E Kitchell; R K Sellon; M Kleiter; N Northrup; G Segev

メラノーマは犬の最も一般的な口腔悪性腫瘍である。

この後ろ向き研究は外科的切除後の悪性口腔メラノーマの犬17頭において、補助的カルボプラチン化学療法(放射線療法を行う、または行わない)を評価した。17頭に使用されたカルボプラチンの投与量と投与回数の中央値は、それぞれ300mg/m(2)(範囲、150-300mg/m(2)と4回(範囲、2-11回)だった。全ての犬の全体で無増悪生存期間中央値は259日(95%信頼区間、119-399日)だった。最初の無増悪生存事象は7頭(41%)の犬で局所再発、7頭(41%)の犬で転移だった。

全ての犬の総生存期間中央値は440日(95%信頼区間、247-633日)だった。その腫瘍は10頭(59%)の犬の死亡原因となった。

この研究を基に、カルボプラチンの全身療法は、犬の悪性メラノーマに対する局所治療の適切な補助となるかもしれないが、この攻撃的な腫瘍に対する治療様式を比較するため、さらに前向きコントロール研究が必要である。(Sato訳)
■63頭の犬の悪性黒色腫(2001-2011年):カルボプラチンによる化学療法の生存への影響
Malignant melanoma in 63 dogs (2001-2011): the effect of carboplatin chemotherapy on survival.
N Z Vet J. 2012 Aug 23.
Brockley L, Cooper M, Bennett P.

目的:この研究の目的は、悪性黒色腫と診断された犬に対して、局所コントロール後または単独治療として用いたカルボプラチンによる化学療法の生存への影響を比較することである。

方法:手術およびまたは化学療法で治療した口腔、肢端、皮膚の悪性黒色腫の63頭の犬を後向きに調査した。悪性黒色腫の発生部位に基づいてグループ分けした。口腔の黒色腫では、さらに限局性の病変と大きな病変の2つのグループに分けた。肢端と皮膚のグループの全ての犬は、手術による局所制御を行なっていた。発生部位のそれぞれのグループに対する生存データの間の比較を行なった。局所制御を行なったグループの中で、手術後に化学療法を行なったまたは行なわなかったグループの間で生存期間を比較した。大きな病変のある口腔黒色腫では、化学療法と緩和療法の間で生存の比較をした。カルボプラチンの化学療法の毒性については全頭で評価した。

結果:口腔、肢端、皮膚の悪性黒色腫の患者の全生存期間中央値は(追跡調査の日数の中央値は776日)、それぞれ389日、1350日、中央値なしであった。調査期間の終了時にその疾患で亡くなった犬が50%以下であった場合もしくは追跡できなくなった時に、生存期間の中央値を「中央値なし」と定義した。それぞれの発生部位について生存を評価した場合、局所制御した場合でも、手術に対して化学療法を追加しても生存に対して効果をもたらさなかった。大きな病変のある口腔黒色腫の犬では、化学療法と緩和療法で治療した犬の生存に差はなかった。しかし、化学療法に反応した3頭の犬(978日)は、8頭の反応しなかった犬(147日)と比較して生存は改善していた(p=0.039)。単変量解析と多変量解析では、発生部位のみが、生存に有意に関連する変数であった(それぞれp=0.0002および0.009)。

結論:口腔、肢端、皮膚の犬の黒色腫の局所治療へ化学療法を加えることは、生存期間を有意に延長させることはなかった。カルボプラチンは、耐容性があり、治療に反応する大きな病変をもった犬の一部には、口腔黒色腫に対して活性があるように見えた。

臨床的な意義:ピロキシカムとカルボプラチンは、手術や放射線療法のようなより従来の治療が却下された場合や実施できないときに、大きな病変をもった犬に対して用いることができる。局所制御を行なう場合、化学療法がこれらの種類の腫瘍に対する治療において役割があるかを検討するためには、対象コントロール群を用いた前向きの無作為盲試験が必要である。(Dr.Taku訳)
■犬の皮膚、口腔、眼のメラニン細胞の腫瘍におけるCOX-1およびCOX-2発現
COX-1 and COX-2 expression in canine cutaneous, oral and ocular melanocytic tumours.
J Comp Pathol. 2010 Aug-Oct;143(2-3):142-9.
I Pires; A Garcia; J Prada; F L Queiroga

犬の悪性メラノーマの治療において非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の潜在性有用性を評価するため、20例の皮膚、9例の口腔、2例の眼の悪性メラノーマと9例の皮膚褐色細胞腫においてシクロオキシゲナーゼ(COX)-1およびCOX-2の発現を判定した。
ほぼ全ての腫瘍にCOX-1は発現したが、COX-2発現は悪性腫瘍に限られ、皮膚悪性メラノーマの11例、全ての口腔悪性メラノーマ、眼の悪性メラノーマの1例に認められた。COX-1発現は良性および悪性皮膚病変において有意差はなかったが、COX-2発現は皮膚褐色細胞腫と比較して皮膚悪性メラノーマの方が有意に大きかった(P=0.047)。COX-2のラベリングはより悪性度の強い口腔腫瘍で特に強かった。
この研究結果は、NSAIDs、特にCOX-2抑制剤は犬の悪性メラノーマの治療に有効かもしれないと示唆するものである。(Sato訳)
■犬のブドウ膜のメラニン細胞性腫瘍におけるシクロオキシゲナーゼ-2発現
Expression of cyclooxygenase-2 in canine uveal melanocytic neoplasms.
Am J Vet Res. October 2009;70(10):1284-90.
Danielle Paglia, Richard R Dubielzig, Helen K Kado-Fong, David J Maggs

目的:犬のブドウ膜のメラニン細胞性良性腫瘍あるいは悪性腫瘍において、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)が発現するかどうか、および発現が悪性病変と関連するかどうかを判定する

サンプル集団:71個の眼球の組織切片;57個は良性(n=15)、悪性(34)、混合(8)ブドウ膜メラニン細胞性腫瘍;10個は非腫瘍性疾患;4個は正常

方法:犬の腎臓および全ての眼球からのbleached切片を、ラットCOX-2蛋白に対するマウスモノクローナル抗体、あるいはマウス抗体イソタイプコントロールと培養した。免疫標識細胞の部位、強度、比率にスコアを付けた。

結果:5個の眼球を除き、全てにCOX-2の発現を検出し、それら全てに腫瘍があった。21個の眼球で、腫瘍の浸潤部位にCOX-2発現が認められたが、腫瘍細胞の確定標識化はそれらのうち2個しか検出できなかった。残りの19個の眼球において疾患がない眼球および非腫瘍性疾患の眼球において、特に水流出路および毛様体でも標識された部位にCOX-2発現が検出された。しかし、ブドウ膜悪性メラノーマがある眼球だけ、その虹彩に検出可能なCOX-2発現が見られた。正常(1/4)、非腫瘍性疾患(4/10)、褐色細胞腫(3/15)あるいは混合腫瘍(3/8)の眼球と比べ、ブドウ膜悪性メラノーマの眼球の毛様体(20/34)により多くCOX-2発現が検出された。

結論と臨床関連:ブドウ膜メラニン細胞性腫瘍の犬の眼球は、腫瘍以外の眼球と同様の部位および同様の強さでCOX-2を発現すると思われた。犬ブドウ膜メラニン細胞性腫瘍の悪性と良性の鑑別は不可能だった。(Sato訳)
■口唇および口腔粘膜の組織学的高分化型メラニン細胞性腫瘍の外科的切除後の犬の生存期間
Survival of dogs following surgical excision of histologically well-differentiated melanocytic neoplasms of the mucous membranes of the lips and oral cavity.
Vet Pathol. November 2008;45(6):889-96.
D G Esplin

口唇および口腔の粘膜に発生した69件の組織学的に高分化型メラニン細胞性腫瘍の犬64頭から術後経過情報を入手した。それらの犬は補助療法を受けていなかった。64頭中60頭(95%)は研究終了時に生存、あるいは腫瘍に関係のない原因で死亡しており、術後の平均生存期間は23.4ヶ月、生存期間中央値は34ヶ月だった。研究終了時に生存していた28頭の犬は、術後の平均生存期間が31.3ヶ月だった。2頭は腫瘍の再発があったが研究終了時には生存していた。腫瘍関連原因で死亡した全ての犬(3)および腫瘍が再発した全ての犬(2)は、口腔に腫瘍があった。
この研究の結果は、口唇および口腔の粘膜に出来た組織学的に高分化型メラニン細胞性腫瘍のほとんどの犬は、補助療法を行わず病変の局所切除のみでも良好な臨床経過および長期生存期間を期待できることを示す。(Sato訳)
■犬のメラニン細胞腫瘍の予後予測における組織学的・疫学的根拠
The histologic and epidemiologic bases for prognostic considerations
in canine melanocytic neoplasia
Vet Pathol. March 2006;43(2):136-49.
W L Spangler, P H Kass

<要約>
本研究では、黒色腫もしくは黒色細胞腫と診断された384例を選別した。メラニン細胞腫瘍患者の生存期間を短くする有意性のある決定因子として、1)転移2)分裂指数 3)核異型 4)スコア 5)腫瘍径・容積の増大 6)重度の炎症の存在7)局所の壊死、があった。さらに年齢も皮膚の腫瘍については有意性のある決定因子であった。肢端と口唇では、8)年齢9)関節の可動性も生存期間に負の影響を与えた。メラニン細胞腫瘍の術後の結果を予測する為にこれらの有意性のある決定因子に基づく数学的モデルを作成した。メラニン細胞性口腔腫瘍は19%(73/384)含まれており、これらの92%が病理検査報告で悪性と分類されていた。しかし悪性の挙動(転移や再発)は59%でしか観察されなかった。
核異型に基づいた口腔腫瘍の予後モデルが最も正確に(89%)挙動を予測した。肢端と口唇のメラニン細胞腫瘍も19%(73/384)を占めていた。74%が悪性と報告されているが38%だけが実際に悪性の挙動をたどった。分裂指数と核異型に基づいた予後モデルによりにより81%で挙動と合致した。皮膚のメラニン細胞腫瘍は切片の調査で59%(227/384)含まれており、39%が悪性と報告されている。しかし、12%のみで悪性の挙動がみられた。分裂指数を使用して満足が出来る予後予測モデルを構築することは出来なかったが、核異型を使用することにより、93.3%の症例で正確な分類を行うことが出来た。(Dr.Tado訳)
■犬における口唇、被毛皮膚、爪床部位のメラノーマの組織特性と臨床結果
Histologic features and clinical outcomes of melanomas of lip, haired skin, and nail bed locations of dogs
J Vet Diagn Invest. July 2006;18(4):422-5.
Patricia C Schultheiss

犬の口唇、爪床、被毛皮膚にできたメラノーマの転帰、徴候、組織特性と転帰の相関を再検討した。それらのメラノーマは組織特性をもとに良性または悪性と診断した。口唇のメラノーマは、ほとんどの症例で粘膜から発生していた。悪性の組織特性を持つ口唇メラノーマの犬32頭は、22頭が1年以内に腫瘍で死亡し、10頭は切除後1年以上腫瘍フリーだった。口唇の粘膜に出来た組織学的に良性のメラノーマの犬10頭のうち、9頭は1年以上腫瘍フリーだった。口唇の被毛の良性と思われる腫瘍の犬4頭中3頭は1年以上腫瘍フリーだった。悪性の組織特性を持つメラノーマは、被毛皮膚の多くの場所に発生し、24頭中11頭は1年以上腫瘍フリーだった。全ての爪床メラノーマは組織学的に悪性で、全て第三指節骨を侵襲していたが、14頭中6頭は指の切断後1年以上腫瘍フリーだった。それら犬の中で、組織特性により悪性と分類された腫瘍の1年生存率は口唇で69%、被毛皮膚で46%、爪床で43%だった。しかし、個別腫瘍の臨床結果は、どの特定の組織特性でも正確に予測することはできなかった。(Sato訳)
■犬の足のメラノーマ:30症例(1992-2004)。Part1.徴候、臨床および組織学的特徴と家系分析
Canine limbal melanoma: 30 cases (1992-2004). Part 1. Signalment, clinical and histological features and pedigree analysis
Vet Ophthalmol. 2006 Mar-Apr;9(2):115-9.
D Donaldson, J Sansom, T Scase, V Adams, C Mellersh

目的:(1)犬の足のメラノーマの徴候、臨床、組織学的特徴を再検討;(2)共通の祖先が存在するか確認するため足のメラノーマの素因を持つ犬種に対し家系分析を実施;(3)犬の足のメラノーマと犬の前ぶどう膜炎メラノーマ(CAUM)の間に祖先の関連が存在するかどうか調査する

構成:回顧的研究

研究した動物:足のメラノーマの犬30頭

方法:両親の医療記録を再調査した。犬の再検査または委託獣医師、オーナーへの電話により追加情報を入手した。罹患犬の中で共通の祖先を家系分析した。

結果:診断時の平均年齢(±SD)は6.2歳(±2.75)で範囲は1-11歳だった。年齢に二峰性分布があり、ピークは3-4歳と7-10歳だった。性別または毛色に眼の偏りまたは素因が認められなかった。足メラノーマの25頭(83%)は背側正中から腹側外側縁の背面弧内に発生した。ゴールデンレトリバーは、Animal Health Trust集団と比べ、メラノーマ群の中で4倍、より一般に見られた(P<0.0001)。ラブラドールレトリバーはメラノーマ群で3倍一般的だった(P=0.01)。8頭のゴールデンレトリバー(足メラノーマ(n=5)、CAUM(n=2)、瀰漫性眼メラノーシス(n=1))に対する家系分析で、少なくとも一部の遺伝子突然変異によりおこる状況と一致する相関パターンが明らかとなった。相互関連性の同様のレベルが6頭のラブラドールレトリバーで明白となり、悪性度を示唆する組織学的特徴は、22例中4例(18%)の腫瘍内壊死、22例中1例(5%)の細胞異型性などの存在だった。

結論:ゴールデンとラブラドールレトリバーで、足メラノーマ、CAUM、眼メラノーシスは、少なくとも部分的遺伝性で同じ遺伝子突然変異が異なる眼の部位でメラニン細胞性疾患の原因となるかもしれない所見がある。同じ遺伝子突然変異はそれら2犬種に存在するかもしれない。より悪性である可能性を確認するため、全ての症例で組織学検査を実施すべきである。(Sato訳)
■犬メラノーマにおける肥満細胞と血管新生:悪性度および臨床病理的要因
Mast cells and angiogenesis in canine melanomas: malignancy and clinicopathological factors
Vet Dermatol. April 2006;17(2):141-6.
Sydney Mukaratirwa, Lynne Chikafa, Rachel Dliwayo, Ndumiso Moyo

犬メラノーマにおける肥満細胞および血管新生の生物学的意義は不明である。犬メラノーマ80例(悪性56例、良性24例)で肥満細胞数(MCC)、微細血管密度(MVD)、臨床病理の関連を判定するため調査し、悪性メラノーマでMCCおよびMDV数が有意に多いことが明らかとなった。悪性メラノーマにおけるMCCとMVDの予後意義の評価は、腫瘍内および腫瘍辺縁共にMCCとMVDの間の有意な関連を示した。多変量分析で、MCCとMVDは生存性に無関係の予測値であったが、前者は有意に良い予後マーカーだった。肥満細胞と微細血管の数がより多いものは、予後が悪い悪性メラノーマに認められた。犬のメラニン細胞性の腫瘍において、それらの所見はMCCおよびMVDの予後意義を証明する。(Sato訳)
■犬における肛門周囲悪性メラノーマ
Perianal Malignant Melanoma in a Dog
J Vet Intern Med 19[4]:610-612 Jul-Aug'05 Case Report 9 Refs
Dae Young Kim, Glenna E. Mauldin, Giselle Hosgood, and Doo-Youn Cho

肛門周囲悪性メラノーマはこれまで犬で報告されておらず、その予後も不明である。人では、まれに肛門悪性メラノーマが発生し、全ての悪性メラノーマ症例の0.2-3%を占め、また予後は極端に悪い。
犬における肛門周囲悪性メラノーマの生物学的素行はほとんど不明だが、犬の口腔悪性メラノーマが激しい局所浸潤性と高い分裂指数を伴う急速な成長、遠隔転移を示すことから、その予後は悪いと思われる。その腫瘍の解剖学的位置から早期検出と治療が遅れることがある。しかし、早期に発見され治療されたイヌは、治療結果を改善するかもしれない。(Sato訳)
■悪性メラノーマの高カルシウム血症と高PTHrP濃度
Hypercalcemia and High PTHrP Concentration with a Malignant Melanoma
Sm Anim Clin Endocrinol 13[1]:20-21 Jan'03 Review Article 0 Refs
C. B. Chastain, DVM, MS, Dip ACVIM (Internal Medicine) & Dave Panciera, DVM, MS, Dip ACVIM (Internal Medicine)
Pressler BM, Rotstein DS, Law JM, et al. Hypercalcemia and high parathyroid hormone-related protein concentration associated with malignant melanoma in a dog. J Am Vet Med Assoc 2002;221:263-265

イントロダクション

背景:イヌの高カルシウム血症は、悪性腫瘍により一般に起こり、上皮小体ホルモン関連ペプチド(PTHrP)を腫瘍が産生することで介在される。イヌの高カルシウム血症に関与する一般的な悪性腫瘍は、リンパ肉腫や肛門嚢のアポクリン腺癌である。悪性メラノーマはある種のイヌでよく見られるが、メラノーマは悪性腫瘍の高カルシウム血症に関与するといった報告はなされていない。

目的:この報告目的は、悪性メラノーマ、高カルシウム血症、血清PTHrP濃度上昇を示すイヌを述べることである。

サマリー

症例報告:12歳の去勢済みコッカースパニエルが、2週間にわたる進行性の嚥下困難、嗜眠、食欲不振で紹介されてきた。堅く固着した直径2cmの分葉した黒い腫瘍が、右下顎第2、3臼歯舌側に認められた。右側下顎リンパ節は拡大していた。バイオプシーにより、黒い腫瘍は悪性メラノーマと確認された。血清生化学検査で見られた最も顕著な異常は、重度高カルシウム血症(16.8mg/dl)だった。下顎リンパ節の吸引で、メラノーマ細胞所見のない反応性リンパ球が認められた。上室性頻脈があり、持続性だった。
オーナーにイヌの安楽死を依頼された。安楽死前に、PTH、PTHrP、カルシウムイオン濃度測定のため血清を採取した。検死を行った。転移は、領域リンパ節、肺、心臓に認められた。PTHrPの免疫組織化学染色で、原発腫瘍、そのリンパ節転移巣に中程度から顕著な陽性反応があった。血清PTH濃度は、正常低値だった。PTHrP血清濃度は、顕著に上昇していた(15.3pmol/l;正常、0.2pmol/l以下)。

結論:これは、過剰なPTHrP産生によるイヌの高カルシウム血症を起こした、悪性メラノーマの最初の報告だった。

臨床への影響
リンパ肉腫は、イヌの悪性腫瘍の高カルシウム血症を頻繁に引き起こす。ほとんどの症例でリンパ肉腫は簡単に検出されない。縦隔胸部エックス線写真、骨髄生検は、腫瘍の検出に必要と思われる。しかし、悪性腫瘍の他の種類の多くも高カルシウム血症を起こしえる。リンパ肉腫の広範囲な診断調査を行う前に、メラノーマのように容易に検出できる腫瘍を見つけ、高カルシウム血症を起こしやすいリンパ肉腫のオカルト症例を探す前に悪性かどうかを確かめるため完全な身体検査を実施すべきである。(Sato訳)
■低分画放射線療法とプラチナベースの化学療法によるイヌの口腔メラノーマの治療(1987-1997)
Treatment of Dogs with Oral Melanoma by Hypofractionated Radiation Therapy and Platinum-Based Chemotherapy (1987-1997)
J Vet Intern Med 17[1]:96-101 Jan-Feb'03 Retrospective Study 33 Refs
Kim P. Freeman, Kevin A. Hahn* , F. Dee Harris, Glen K. King

口腔メラノーマ不完全切除のイヌ39頭での回顧的研究で、低分画放射線療法とプラチナ含有化学療法の効果を研究した。全頭完全にステージングを行い、大多数はステージ1に分類された。コバルト-60ユニット、または4-MeV(メガ電子ボルト)リニアアクセレーターで、6-gray(Gy)メガボルテージ照射を6週分画で行った。また放射線照射60分前にシスプラチン(10-30mg/㎡、IV)、またはカルボプラチン(90mg/ml、IV)化学療法を行った。局所コントロール期間、転移フリー生存期間、全体の生存期間を記録した。
カプラン-メイヤー法により、15%のイヌが139日の中央値以内に局所再発を起こした。51%のイヌは311日の中央値(範囲、24-2163日)以内に転移性疾患を起こした。全39頭の生存期間中央値は363日だった。このプロトコールで化学療法と放射線療法を組み合わせた場合、過去の研究と一致する局所コントロールが得られた。低用量化学療法は、不完全切除の腫瘍の局所コントロールで、放射線療法を高める目的で使用された。生存期間は、口腔悪性メラノーマのイヌの過去の報告よりも延長した。それらの結果が、顕微鏡的疾患に対する化学療法の効果によるものか、化学放射線療法により局所コントロールが高められたのか判定する追加研究が必要である。(Sato訳)
■口腔内に悪性黒色腫を持つ犬におけるリンパ節の大きさと転移の関連:100症例(1987-2001)
Association Between Lymph Node Size and Metastasis in Dogs with Oral Malignant Melanoma: 100 Cases (1987-2001)
J Am Vet Med Assoc 222[9]:1234-1236 May 1'03 Retrospective Study 13 Refs
Laurel E. Williams, DVM, DACVIM, and Rebecca A. Packer, MS, DVM

目的:口腔内に悪性黒色腫を持つ犬において、リンパ節サイズと遠隔転移の関連を決定し、正確で信頼性のある腫瘍の進行度評価方法としてのリンパ節の大きさを評価するため

デザイン:回顧の研究

動物:口腔内悪性黒色腫が組織学的に確認されている100頭の犬

方法:口腔内悪性黒色腫の犬のカルテが、チェックされました。大きさに関するデータと、リンパ節の細胞学的または組織学的検査の結果が評価されました。リンパ節の大きさと遠隔転移の関連を決定しました。

結果:47頭の犬(47%)のうち、23頭(49%)で下顎リンパ節が大きくなっており、細胞学的、組織学的に転移の証拠を持たなかった。下顎リンパ節転移が細胞学的、組織学的に証明された53頭の犬(53%)の中で、37頭(70%)の下顎リンパ節が大きくなっており、16頭(30%)が正常な大きさの下顎リンパ節であった。全体では、正常な大きさのリンパ節であった40頭(40%)中16頭は、遠隔転移の顕微鏡的証拠があった。遠隔転移の予測としてのリンパ節サイズの感度と特異性は、それぞれ70と51%であった。肯定的または否定的予測値はそれぞれ62と60%であった。

結論と臨床への関連性:リンパ節の大きさとリンパ節転移との間に重要な関係が確認されたが、この関係は臨床への関連性に十分とはいえない。結果は、悪性黒色腫をもつ犬で、リンパ節の大きさ単独では、正確な臨床ステージングには不十分である事を示唆している。所属リンパ節の細胞学的、組織学的検査が、それらの大きさに関わらず、ルーチンに行われるべきであろう。(Dr.Massa訳)
■転移を伴う犬脈絡膜黒色腫
Canine Choroidal Melanoma with Metastases
Vet Ophthalmol 5[2]:113-117 Jun'02 Case Report 26 Refs
Jennifer A. Hyman, Seth A. Koch, Brian P. Wilcock

3歳メスの避妊済みゴールデンレトリバーを、眼球突出を伴う一側性の網膜はく離のため検査した。超音波検査で、眼の内外に拡張したマスを検知した。眼窩の内容を除去し、犬は何事もなく回復した。病理組織的診断は、眼窩に拡張を見る原発性脈絡膜メラノーマだったが、その性質や細胞学的特徴は良性だった。術後の通常検診で、目立った動きは無かった。術後21ヶ月に、X線写真で転移像を伴う呼吸虚脱により安楽死した。剖検で肺と肝臓に黒い病変が見られた。病理組織診断は、原発性脈絡膜メラノーマと同一の性質や形態を伴う転移性メラノーマだった。これは転移を伴う犬脈絡膜メラノーマの最初に確定した症例である。(Sato訳)
■犬の悪性黒色腫に関わる高カルシウム血症と高濃度の上皮小体ホルモン関連タンパク
Hypercalcemia and High Parathyroid Hormone-Related Protein Concentration Associated with Malignant Melanoma in a Dog
J Am Vet Med Assoc 221[2]:263-265 Jul 15'02 Case Report 23 Refs
Barrak M. Pressler, DVM; David S. Rotstein, DVM, MPVM; Jerry M. Law, DVM, PhD, DACVP; Thomas J. Rosol, DVM, PhD, DACVP; Bruce LeRoy, DVM, DACVP; Bruce W. Keene, DVM, MS, DACVIM; Mark W. Jackson, DVM, PhD, DACVIM, MRCVS

口腔悪性黒色腫を持つ12歳のコッカースパニエルを、進行性の嗜眠と食欲不振で検査しました。生前評価で転移はなかったが、重度高カルシウム血症を認めた。生前の診断検査でその原因は分からなかった。検死で、黒色腫以外の腫瘍は認められなかった。血症上皮小体ホルモン関連タンパク濃度は著しく高く、黒色腫はこのタンパクに中程度から顕著な免疫染色を示した。腫瘍随伴症候群は悪性黒色種の犬でまれである。(Sato訳)