■デボンレックスの子猫とイングリッシュブルドックの子犬に見られたスイマーシンドローム
Swimmer syndrome in a Devon rex kitten and an English bulldog puppy
J Small Anim Pract. October 2006;47(10):615-9.
G Verhoeven, H de Rooster, M Risselada, P Wiemer, L Scheire, H van Bree
3週齢のデボンレックスの子猫と4週齢のイングリッシュブルドックの子犬が"スイマーシンドローム"で来院した。別の獣医師にこの病気の唯一可能な解決策で安楽死を勧められたと相談を受けた。子犬の理学療法、子猫の理学療法と包帯法により臨床症状の解消に導き、数週間後には正常に歩行するようになった。著者は、集中的な理学療法とオーナーの献身が成功に導くと結論付ける。(Sato訳)
■5頭の犬で外科的に切断したアキレス腱の治癒に対する超音波療法の効果の予備的研究
A preliminary study on the effect of ultrasound
therapy on the healing of surgically severed
achilles tendons in five dogs.
J Vet Med A Physiol Pathol Clin Med 49[6]:321-8
2002 Aug
Saini NS, Roy KS, Bansal PS, Singh B, Simran
PS
この研究は、5頭の臨床的に正常な犬の左アキレス腱で行った。アキレス腱を外科的に露出させ、付着部から近位3−4cmを切断した。1−0のポリアミドを用いた単一ロッキング−ループ縫合で、アキレス腱の異なる単位に3個の縫合を行う腱縫合術を行った。浅指屈筋腱はカットガットで水平マットレス縫合を行った。1群(コントロール)の動物には超音波療法を行わなかった。術後3日目から2群には、0.5W/cm2、10分毎日10日間の超音波療法を始めた。脛足根関節の固定に皮質スクリューを使用し、腱縫合後4週間で除去した。
術後、アキレス腱の治癒は、臨床的観察、超音波検査、肉眼と組織形態学的観察で、両群120日まで様々な間隔でモニターした。臨床的に最初の4−5日はかなりの跛行が見られ、コントロール群(1群)より超音波治療群(2群)の方がより早期に消失した。飛節関節の伸展、屈曲はアキレス腱修復後6週間目にはほぼ正常となった。超音波検査では、3、7日目に無エコーから低エコーとエコー構造を示した。40日目に2群で、エコー構造から改善しはじめ低エコーになったが、1群の無エコー部分はまだ見られた。しかし、120日目には両群、まだらの低エコーから高エコー構造のほぼ正常に近いものを示した。肉眼的観察では、2群のアキレス腱は、1群よりも比較上接合不足のように見えた。組織学的に2群で40日目に、結合は炎症反応を除いて比較的良かった。繊維束形成は、治療群で始まっており、コントロール群に観察されなかった。
90日目、より緻密な平行繊維束形成が最低限の細胞で起こっていた。繊維束の形成は、治療群でその進展期だった。120日目に、腱組織は比較的非細胞性で、正常な腱に見えた。皮質骨スクリューの使用で良好な固定ができ、0.5W/cm2の超音波療法は、犬のアキレス腱治癒を促進した。(Sato訳)
■低出力レーザー光によって誘発された犬の慢性創傷の閉鎖
Low-intensity laser light-induced closure
of a chronic wound in a dog.
Vet Surg 28[4]:292-5 1999 Jul-Aug
Lucroy MD, Edwards BF, Madewell BR
目的:犬の慢性で完全不明瞭な皮膚創傷治療のための低出力レーザー光の適用を記述すること。
研究計画:症例報告
動物:8歳去勢済みのホイペット
方法:無麻酔下の状態で患畜の創傷に、630nMの波長で熱感のない赤色光を4日間連続で1日1回の照射を行った。創傷表面領域の変化は、創傷のデジタル画像のコンピュータ解析によって測定されました。
結果:レーザー処置の過程で、創傷のサイズは減少し、21日で完全治癒を認めました。
また、処置後の合併症も認められませんでした。
結論:低出力レーザー光は犬の慢性創傷の治療に役立つかも知れません。(Dr.Shingo訳)
■犬1頭と猫2頭の皮膚血管腫の処置でレーザー光凝固の使用
Use of Laser Photocoagulation for Treatment
of Cutaneous Angiomatosis in One Dog and
Two Cats
J Am Vet Med Assoc 219[8]:1094-1097 Oct 15'01
Case Report 35 Refs
George M. Peavy, DVM, DABVP; Emily J. Walder,
VMD, DACVP; J. Stuart Nelson, MD, PhD; Mona
Rosenberg, DVM, DACVIM
多発性、進行性に増大している皮膚血管プラークのため、犬1頭と猫2頭の評価を行いました。
生検により、最小の分裂活性をもつ、単層の内皮細胞がつくる薄い繊維性の壁によって完全に囲まれた拡張した空洞に、血液が充満している小さな限局性皮膚結節であることが明らかとなりました。3頭の動物全てが皮膚血管腫と診断されました。皮膚血管腫は犬猫の真皮と皮下組織を含む血管組織の進行性増殖性病変です。
この症例動物における皮膚病変の処置の為に、人でのヘモグロビンを含む皮膚病変の光凝固作用を誘発する為に使用される波長のレーザー;アルゴン
- ポンプ色素とネオジウム:イットリウム-アルミニウム-ガーネットレーザーを選択しました。 獣医患者におけるこのような状況の管理に、幅広い外科切除や四肢切断の時、レーザー治療は選択肢となるかもしれない。(Dr.Shingo訳)
■半導体ダイオードレーザーによる歯肉メラニン色素沈着の除去:症例報告
Yousuf A, Hossain M, Nakamura Y, Yamada Y,
Kinoshita J, Matsumoto K.
J Clin Laser Med Surg 2000 Oct;18(5):263-6
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Removal of gingival melanin pigmentation
with the semiconductor diode laser: a case
report.
目的:この研究は、生体において、半導体ダイオード(SCD)レーザーで犬の歯肉のメラニン色素沈着除去が可能であるかどうかを評価するために実施されました。
要約・背景データ:近年、軟部組織を切除することができるSCDレーザーが開発されてきました。
すでに医科領域だけではなく歯科領域でも使われています。
方法:3Wの照射出力で、犬の歯肉表面の色素沈着領域にSCDレーザーを照射しました。SCDレーザー照射の効果は2回間隔(照射直後と照射後3週間)で評価しました。加えて、レーザーを照射しなかった領域および照射した領域を、照射前と照射直後、照射後3週間目に生検(4マイクロ)し、組織学的検査を実施しました。
結果:SCDレーザーにはメラニン色素の沈着を除去する効果がありました。病理学的検査においては、HE染色にて、どの組織にも損傷はなく炎症細胞も認められませんでした。3週間目には扁平上皮細胞の増殖を伴う連続した治癒過程が見られました。
考察:SCDレーザーの照射はメラニン色素沈着除去のための選択方法として考慮されうるものでした。(Dr.Shingo訳)
■低力超音波を用いた骨折回復の促進
S. J. Warden et al; Source: Vet Comp Ortho
Trauma 13[4]:158-164 Dec'00 Review Article
65 Refs; Facilitation of Fracture Repair
Using Low-Intensity Pulsed Ultrasound
超音波(US)治療における、最近の応用は、骨折に対して行われております。人における、二重無作為コントロール試験では、特定線量のUSが、脛骨と橈骨の新鮮な骨折の治癒を、38%まで速めたとのことです。癒合遅延と、癒合不全に対して、同線量の超音波を適用したところ、症例の80%以上に、癒合が導かれたとのことです。同様に、USは、獣医療における骨折整復を、増大するかもしれません。この論文は、骨折整復過程に、適用したUS線量と、骨折治癒に関する効果を、検討しました。獣医療での、これらの研究結果に関する臨床的、実用的含みと、これらの電気理学療法における、さらなる研究の必要性を考察することで、締めくくります。(訳:K)
■ 診断におけるMRIと犬の脊髄障害の治療
Gopal MS et al; J Small Anim Pract 42[1]:29-31
2001 Jan; Magnetic resonance imaging in the
diagnosis and treatment of a canine spinal
cord injury.
9才のメスの雑種犬が、四肢麻痺に続く、起立不能を呈し来院しました。頚椎の単純レントゲンでは、いかなる脊柱の異常も、認められませんでした。MRIスキャンで、実質外圧迫、および、頚部脊髄内の浮腫領域が、無いことを明らかにし、予後良好であることが示唆されました。看護と理学療法で、犬は、左足に軽度な神経障害を残しつつも、歩行機能を回復しました。(訳:K)
■獣医医療重症患者における理学療法第1部:胸郭理学療法
Ann Marie Manning, DVM et al; Compend Contin
Educ Pract Vet 19[6]:675-689 Jun'97 Review
Article 24 Refs; Physical Therapy for Critically
Ill Veterinary Patients. Part 1: Chest Physical
Therapy
理学療法は、酷評を受けた人患者で、重要でありますが、動物面は、まだ発展、あるいは確立されておりません。長期の固定は、初期疾患をさらに悪化させ、健康な身体組織で、有害な結果を導き得るものです。理学療法は、長期固定による合併症が、機能的限界に至っていないとして、重篤な病気になった動物の管理において、めったに早期実行されません。また、理学療法は、獣医師が、多数の外傷や重篤な疾患に直面した時、些細なことと、思われるかもしれません。2部構成の1部であるこの論文は、獣医療の非常時における、理学療法の役割を検討し、胸郭理学療法の手順を、詳細に述べました。パート2は、酷評を受けた動物の、筋骨格組織に対しての理学療法を考察します。(訳:K)
■獣医医療における理学療法第2部:筋骨格系
Ann Marie Manning, DVM et al; Compend Contin
Educ Pract Vet 19[7]:803-806;826 Jul'97 Review
Article 11 Refs; Physical Therapy for Critically
Ill Veterinary Patients. Part II. The Musculoskeletal
System
理学療法は、小動物の酷評された疾患の管理において、しばしば、早期に用いられます。すでに、合併症予防、患畜の不快改善、そして入院期間の長さと、費用を軽減することの重要な役割をしています。2部構成の論文の第1部は、6月に概論として発行され、小動物の酷評を受けた疾患に対する、理学療法の重要性を考察し、胸郭理学療法に関して、詳細に説明しました。今回は、筋骨格系に対する、理学療法手技を考察しました。マッサージは、間質と関節間の、過剰な体液を減らし、麻痺した筋肉組織への循環を増大させ、異常に隣接どうし固着した組織を起動させます。マッサージはまた、全身緩和と疼痛軽減をもたらし得ます。バンデージは、四肢における浮腫の改善、または予防ができ、特に低蛋白血症や、血管炎の患者に有用です。運動範囲は、現存の可動性と、筋肉収縮性を維持することを果し、循環改善、そして浮腫を減少します。立ったり、歩いたりできる、いかなる患者にも、その様にするよう奨励するべきです。スタッフの時間を補うためにも、入院した動物に対し、これらの手順のいくつかを実行するよう、クライアントに奨励すべきです。(訳:K)
■電気療法または電気虚言学?電気療法の可能性と限界
Seichert N; Source: JOURNALS ABSTRACT (Tierarztl
Prax 25[1]:1-7 1997 Jan; [Electrotherapy
or electrommythology? Possibilities and limitations
of electrotherapy]
電気療法の、確立された手法の全ては、臨床的、科学的に確立された次にあげる3つの作用原理の、少なくとも1つを基礎とします。それは、電気無痛法、筋肉刺激、そして組織加熱作用です。現行の、異なる電気療法に関する、良いように定義を下された徴候は、この論文で簡単に説明したこれらの3つの原理から推断されます。電気療法の、いくつかの「補足的」枠組みを提示することで、ますます擁護されています。それらは、臨床的に確立されてなく、しかも、作用原理の科学的裏付けに乏しいものであります。「電気虚言学」と呼ばれるようなこれらの方法は、仮定や誤った推測に基づくものです。それらの治療学的目的は、細胞代謝の非特異的刺激であると思われ、それらの特徴的終着点は、非特異的で、万能的なものであります。しばしば、これらの応用は、電流に内在する、万能な治癒力という意味で推測されます。現在、獣医療に押し寄せる「電気虚言学」に関し、この論文は、実際の期待と、過大な期待を識別するのに助けとなったら幸いです。(訳:K)