■スイス・バーニーズマウンテンドッグの帝王切開の普及率(2001-2020)とリスクファクターの確認
Prevalence of cesarean sections in swiss Bernese Mountain Dogs (2001-2020) and identification of risk factors
Acta Vet Scand. 2022 Dec 28;64(1):42.
doi: 10.1186/s13028-022-00664-9.
Magdalena Schrank , Marco Sozzi , Antonio Mollo

Free PMC article

背景:難産は、そのコスト、母親のストレス、新生児の死亡リスクによる動物の出産の重要な制限因子の1つである。難産の発生と特徴、帝王切開の固有リスクの評価は主な重要性である。この研究の目的は、スイスのバーニーズマウンテンドッグの繁殖パフォーマンス、特に難産による帝王切開の普及率に焦点を当てた評価と可能性のあるリスクファクターの確認である。

結果: 401頭のメス親、207頭のオス親、1127頭の同腹子を含めた集団を調査した。産子数は年齢や母犬の待遇に有意に影響を受けた。帝王切開の発生率は30.4%で、2.0%の処置は選択的だった。帝王切開の履歴、母親の年齢、少子数は帝王切開のリスクに有意に影響を及ぼした。死産率は12.0%で、死産頭数は、最初の子犬が産まれた後の帝王切開で取り上げられた同腹子で有意に高かった。近交系数は全ての繁殖パラメーター(例えば産子数、死産の子犬の頭数)に対して低い-非有意な影響があった。

結論:我々の研究のバーニーズマウンテンドッグのサンプルは、文献よりも帝王切開の普及率が増加しており、母親の加齢、産子数、母親の繁殖履歴の過去の帝王切開が有意に影響する因子として確認された。子犬の生存率を改善するため、過去の帝王切開歴、加齢、及び/あるいは小胎児数の母犬には選択的帝王切開が必要とされるかもしれない。(Sato訳)
■子宮蓄膿症の犬の卵巣子宮摘出前後の臨床および炎症パラメーターの比較
Comparison of clinical and inflammatory parameters in dogs with pyometra before and after ovariohysterectomy
Can J Vet Res. 2021 Oct;85(4):271-278.
Soomin Ahn 1, Hyeona Bae , Jihu Kim , Suhee Kim , Jinho Park , Sang-Ki Kim , Dong-In Jung , DoHyeon Yu

この研究の目的は、犬の子宮蓄膿症の潜在的バイオマーカーと、それらと臨床的パラメーターの相関を確認することだった。

まず、子宮蓄膿症の犬90頭と健康なメス犬26頭を比較した。その後、最初の集団から子宮蓄膿症の犬22頭と健康なコントロール犬9頭のペアサンプル(卵巣子宮摘出前後)を比較した。

臨床的に健康な犬と比べ、子宮蓄膿症の犬の急性炎症性蛋白(C-反応性蛋白(CRP)、血清アミロイドA(SAA)、cell-free DNA(cfDNA)濃度は有意に高かった。受信者操作特性曲線分析(面積化曲線=0.959)をもとに、全身性炎症に対しcell-free DNAは最も感受性の高いバイオマーカーだった。また、cfDNAとCRPは炎症および臓器傷害関連臨床パラメーターと有意に関係した。

炎症を起こした子宮の外科的切除後、インターロイキン-6(IL-6)、高易動度群ボックスタンパク質1(HMGB1)、プロカルシトニン(PCT)は有意に低下したが、CRP、SAA、cfDNAの変化は有意ではなかった。

それらの所見は、子宮蓄膿症の犬において、cfDNA、CRP、SAAは全身性炎症の臨床的バイオマーカーの可能性があり、PCT、IL-6、HMGB1は臨床的回復のバイオマーカーの可能性があることを示す。(Sato訳)
■78頭の犬の緊急帝王切開後の新生児の生存に対する母性、麻酔、外科的要因の影響:回顧的研究(2002-2020)
Influence of maternal, anesthetic, and surgical factors on neonatal survival after emergency cesarean section in 78 dogs: A retrospective study (2002 to 2020)
Can Vet J. 2021 Sep;62(9):961-968.
Keaton Schmidt , Cindy Feng , Tingxuan Wu , Tanya Duke-Novakovski

新生児死亡率(NMR)は、母犬の身体状況、麻酔、子宮切開あるいは一括新生児摘出による影響を受けるかもしれない。
退院時の選択した要因と子犬が死亡した犬の頭数の関係を、78頭の記録を用いて評価した。

緊急帝王切開で入院時に入手したデータは、年齢、小型あるいは大型の体格、直腸温、PCV、血清総蛋白、血中尿素窒素、グルコース、骨盤腔内の子犬、心拍数だった。オピオイドの投与、プロポフォール、アルファキサロン、イソフルラン、セボフルラン、麻酔/手術時間、術式をFisher's exact testsで評価した。

238頭の子犬が生存し、38頭の犬には58頭の子犬が死亡した;NMRは19.6%だった。死亡率は、骨盤腔内の子犬(P=0.003)、麻酔時間の持続時間>80分(P=0.029)と関係した。年齢>8歳(P=0.054)および導入時間から手術開始>30分(P=0.17)は、死亡率と関係するかもしれない。閉塞性難産の臨機応変な帝王切開、導入時間から手術開始<30分は、子犬の生存に重要である。(Sato訳)
■授乳第1週中の母犬へのメトクロプラミド投与が血清プロラクチン濃度、ミルク成分、ミルク産生、子犬の体重増加に及ぼす効果
Effect of metoclopramide treatment of bitches during the first week of lactation on serum prolactin concentration, milk composition, and milk yield and on weight gain of their puppies.
Am J Vet Res. February 2018;79(2):233-241.
Stefanie R Keller, Zsolt Abonyi-Tóth, Norbert Sprenger, Sean C Austin, Brigitta A C Wichert, Annette Liesegang, Christine H Y Oei, Orsolya Balogh, Iris M Reichler

目的:授乳早期の健康な母犬へのメトクロプラミド経口投与が、血清プロラクチン濃度、ミルク乳糖濃度、総エネルギー、乾物含量、子犬の体重増加に対する影響を調査する

動物:20頭の飼育母犬とその子犬121頭

方法:最後の子犬が産まれた(0日)後、10から24時間で10頭の母犬にメトクロプラミドを投与開始し(0.2mg/kg、PO、q6時間、6日間;処置群)、あと10頭の母犬はコントロール群とした。全ての母犬の血液とミルクサンプルを0、1、2、4、6日目に採取した。1、2日目と4、6日目のミルクサンプルは少量のためプールした。子犬は1日2回体重測定した。

結果:両群で血清プロラクチン濃度は有意に時間とともに増加し、処置効果は検出されなかった。毎日の変化を分析した時、処置群の0日目から1日目にかけてプロラクチン濃度は増加したが、コントロール群はそうではなかった。ミルク乳糖濃度はコントロール群より処置群で有意に増加し、より高かった。ミルク乾物含量は変化がなかったが、ミルク総エネルギー量の時間経過では、処置群とコントロール群に有意差が見られた。子犬の体重増加はメトクロプラミドによる影響はなかった。

結論と臨床関連:分娩後の健康な母犬に対するメトクロプラミドの経口投与は、血清プロラクチン濃度の一時的な増加を誘発し、ミルク乳糖産生を刺激した。ミルク産生が不十分あるいは遅延している母犬は、メトクロプラミド投与の恩恵を受ける可能性がある。(Sato訳)
■生まれたばかりの犬のモニタリングと新生児死亡の予測
Monitoring of the newborn dog and prediction of neonatal mortality.
Prev Vet Med. August 2017;143(0):11-20.
Hanna Mila , Aurélien Grellet , Marine Delebarre , Claire Mariani , Alexandre Feugier , Sylvie Chastant-Maillard

子犬の新生児死亡率は高いにもかかわらず、新しく生まれた子犬の健康評価に関連する基準は明確にされていない。

従って、この研究は犬の新生児の6つの健康パラメーターを測定し、変動の要因の特徴を述べることと、死亡を予測するそれらの値を評価するために計画した。

同一の住環境と管理下で合計347頭の純血子犬を、最初の8時間以内とその後Day1に検査した。最初の健康評価には、アプガールスコア、体重、血糖値、乳酸およびβ-ヒドロキシ酪酸濃度、直腸温と尿比重(specific gravity:SG)が含まれた。Day1の2回目の評価には、アプガールスコアと体重を除く同じパラメーターが含まれた。最初の24時間と21日までの死亡率を記録した。その犬の新生児死亡の早期指標を一般化線形混合モデルと受信者動作特性曲線解析で判定した。

生まれて最初の8時間以内に評価したアプガールスコアが6より低いときは、最初の24時間以内の死亡リスクがより高いことが分かった。Day1での血糖値の低下(≦92mg/dl)は1日から21日齢の間のより高い死亡率に関係することが分かった。生まれた時の体重が少ない子犬は、低い生存可能性(低アプガールスコア)低い血糖値を特徴とし、ゆえに間接的に新生児死亡のリスクが高いことが分かった。

この研究は、子犬の健康評価に対し2つの低コストの使用しやすい検査(すなわち、アプガールスコアと血糖値検査)を活発にさせる。血糖値と新生児生存性の間の強い関係が、初乳摂取からの他の利点あるいは高エネルギー必要量を反映するのか確立する追加研究が必要である。(Sato訳)
■保険会社のデータベースを使用して評価した猫の難産
Dystocia in the cat evaluated using an insurance database.
Language: English
J Feline Med Surg. January 2017;19(1):42-47.
Bodil Strom Holst , Eva Axner , Malin Ohlund , Lotta Moller , Agneta Egenvall

目的:この研究の目的は繁殖に関し、猫の難産の発生率を述べることである

方法:使用したデータは、1999年から2006年のスウェーデンの保険会社のデータベースに登録された猫で、病院診療保険および/あるいは生命保険請求の支払いに使用したものだった。

結果:難産の発生率は10000頭中約22頭リスク猫年、純血種10000頭中67頭、イエネコ短毛種10000頭中7頭だった。年齢中央値は2.5歳だった。繁殖の有意効果が見られた。他の純血種と比べて有意に高い発生率比(incidence rate ratio:IRR)は、ブリティッシュショートヘアー(IRR2.5)、東洋猫群(IRR2.2)、バーマン(IRR1.7)、ラグドール(IRR1.5)、アビシニアン群(IRR1.5)だった。有意に低いIRRはノルウェージャンフォレストキャット(IRR0.38)、メインクーン(IRR0.48)、ペルシャ/エキゾチック群(IRR0.49)、コーニッシュレックス(IRR0.50)に見られた。ハイリスク種の中で一般的なファクターが難産の高リスクを説明できるものはなかった。生活する場所の影響はなかった;都会に住む猫、あるいは田舎に住む猫により発生率に違いはなかった。帝王切開は難産の猫の56%で実施され、症例致死率は2%だった。

結論と関連:純血種の猫の難産発生率は、犬と同じように高かった。IRRは有意に種類で変化し、難産の主要原因は、各猫種で分けて確認すべきである。繁殖プログラムでより簡単な分娩の選択を提案する。(Sato訳)
■犬の帝王切開の麻酔-エビデンスに基づいたアプローチ
[Anaesthesia for canine caesarean section - an evidence-based approach].
Anasthesie fur die Sectio caesarea beim Hund ? ein evidenzbasierter Ansatz.
Language: German
Tierarztl Prax Ausg K Klientiere Heimtiere. February 2017;45(1):27-38.
Michaele Alef

ここ数年で帝王切開に対する麻酔のいくつかの新しい研究が発表されている。

この文献は、それらと子犬に影響するリスクファクターに対する草分け的研究を言及する。利用可能なエビデンスに基づき、麻酔処置の推奨法を示し、加えて代替法も議論する。プロポフォールあるいはアルファキサロンでの導入、吸入麻酔での維持は最もリスクの少ない方法と思われる。術中の適切および低リスクの鎮痛は、硬膜外麻酔で可能である。オピオイドで子犬の出産後と術後の適切な母犬の疼痛管理ができる。導入前の母犬の安定化および最適化した酸素供給は追加の基本的に必要な処置である。(Sato訳)
■超音波検査で判定した犬の嚢胞性子宮内膜過形成の有病率と年齢との関連
Prevalence of ultrasound-determined cystic endometrial hyperplasia and the relationship with age in dogs.
Language: English
Theriogenology. September 2016;86(4):976-80.
Rachel Moxon , Helen Whiteside , Gary C W England

犬の嚢胞性子宮内膜過形成(CEH)の診断と年齢の潜在的関連を調査するため、240頭のメス犬(ラブラドール、ゴールデンレトリバー、ジャーマンシェパード、フラットコーテッドレトリバー、それらの種類の雑種;検査時の年齢1.6-7.2歳)に行った348の超音波検査を研究した。6歳以上で完全な繁殖経歴のある32頭の部分集団も確認した。

18.3%の犬がCEHと診断された;それらの症例は2.5歳から7.3歳の時に新規に診断された。CEHが確認された超音波検査の比率は、2歳で出産したメス犬で検査の6.8%から6歳のメス犬で検査した60.0%に増加した。検査時の平均年齢とCEHの存在に関してロジスティック回帰による正の相関が確認された(x(2)=30.74、自由度=1、P<0.001)。完全な繁殖経歴のある32頭に対し、CEHの有病率は56.3%、診断時の年齢は3.8-7.3歳、CEHに罹患した犬の比率は3歳時6.3%から7歳時56.3%に増加した。

それらのデータはCEHの有病率は年齢とともに増加する主張を支持する。(Sato訳)
■嚢胞性子宮内膜増殖症(CEH)とCEH-子宮蓄膿症複合に罹った犬の子宮血流評価
Uterine blood flow evaluation in bitches suffering from cystic endometrial hyperplasia (CEH) and CEH-pyometra complex.
Theriogenology. April 2016;85(7):1258-61.
P R Batista; C Gobello; A Rube; Y A Corrada; M Tortora; P G Blanco

異なる犬の生殖状態において子宮血流を評価するのにドップラー超音波検査は有効な診断ツールである。

この研究の目的は嚢胞性子宮内膜増殖症(CEH)とCEH-子宮蓄膿症複合(CEH-P)に罹った犬において子宮血流を調べ、比較することだった。
90頭の発情間期のメス犬を臨床、血液、超音波検査で4群に分類した:(1)臨床症状、白血球増加、CEH、子宮管腔内容物(CEH-P、n=31);(2)無症候のCEHと子宮内容物のメス犬(CEH-C、n=15);(3)無症候の子宮内容物の無いCEHのメス犬(CEH、n=16);(4)正常な発情間期のメス犬(ND、n=28)。二次元超音波検査で子宮角の最大横断径と子宮壁厚(W)を測定した。全てのメス犬の子宮動脈の収縮期最大流速と拡張末流速を測定した。

収縮期最大流速と拡張末期流速はCEH-C、CEH、NDと比べてCEH-Pで高かった(P<0.01);しかしその2つのパラメーターは後の3群の中で違いを示さなかった(P>0.1)。逆に抵抗指数(RI)は他の3群よりもCEH-Pで低値が報告され、CEH-CとCEHよりもNDは高く(P<0.01)、それら自身の間で違いはなかった(P>0.1)。全てのメス犬を考慮した時、RIと横断径の相関はr= -0.69(P<0.01)で、RIと子宮壁厚の相関はr= -0.02(P>0.1)だった。
結論として子宮蓄膿症に罹っているメス犬の子宮動脈流速は、正常なメス犬だけでなく子宮内膜増殖症の犬よりも高かった。さらに、管腔内容を伴うあるいは伴わない子宮内膜増殖症は正常な子宮よりも血流速度が高かった。血行力学パラメーターは子宮の病的状況を鑑別するのに有効なマーカーと思われる。(Sato訳)
■メス犬の満期妊娠を評価する1回のプロゲステロン測定の診断価値
Diagnostic Efficacy of a Single Progesterone Determination to Assess Full-Term Pregnancy in the Bitch.
Reprod Domest Anim. December 2015;50(6):1028-31.
A Rota; C Charles; A Starvaggi Cucuzza; P Pregel

臨床現場において、出産が近いメス犬の繁殖歴が交配日に限られているとき、妊娠が満期かどうかを正確に評価できたならば、出産の正しい管理を計画する、あるいは選択的帝王切開が安全に実施できるので、非常に有効である。

この研究の目的は、翌日の分娩を予測するため、化学ルミネセンス免疫検定(CLIA)で1回のプロゲステロン測定の診断価値を評価することだった。
分娩前の51頭のメス犬から出産前3日間の間に最低1回と、出産日に採血を行った。妊娠終了のマーカーとしてプロゲステロンの価値を、受信者操作特性(ROC)解析を用いて検査した。否定的事象、そうではないメス犬を満期と診断するリスクの正しい認識を最大限にするための最適なカットオフ値(95%信頼区間と)を選択するためYouden's indexを算出した。

3.4ng/ml以下のプロゲステロン濃度は、翌日の出産を正確に見分けた;しかし、慎重なアプローチをせざるを得ず、感受性は低く(46.88%)、満期メス犬32頭中17頭は間違った。非常に大きな個体差のため、1回のプロゲステロン測定は、低い診断価値であるが、有効な最初のスクリーニングとなる可能性はある。(Sato訳)
■選択的帝王切開を行うメス犬においてアルファキサロンの完全静脈麻酔とその子犬への影響:無作為化臨床試験
Alfaxalone for total intravenous anaesthesia in bitches undergoing elective caesarean section and its effects on puppies: a randomized clinical trial.
Vet Anaesth Analg. May 2016;43(3):281-90.
Clara Conde Ruiz , Andrea P Del Carro , Emilie Rosset , Emilie Guyot , Laura Maroiller , Samuel Buff , Karine Portier

目的:選択的帝王切開を行うメス犬において、維持麻酔のイソフルランと比較してアルファキサロン持続点滴(CRI)の効果と信頼性を評価する

研究計画:前向き無作為化“盲検”臨床試験

動物:22頭のメスの飼い犬と94頭の子犬

方法:維持麻酔をアルファキサロンCRI(0.2mg/kg/分静脈内(IV)、最後の子犬の娩出後、用量半減;n=11)と2%(気化器のダイヤルセッティング)イソフルラン(n=11)で行う群にメス犬を無作為に振り分けた。全ての犬はアルファキサロン(3mg/kg IV)で導入した。麻酔深度が不十分な場合、追加のアルファキサロン(0.3mg/kg IV)を投与し、総用量を計算した。メス犬は機械的にベンチレートした。鎮痛剤は子犬の娩出後に投与した。生理学的変数は5分ごとに記録した。メス犬の覚醒時間も記録した。導入および覚醒の質を評価した。娩出後5分と60分時に修正アプガールスコアで子犬の活性を評価した。24時間目、48時間目、15日目の子犬の生存率を記録した。データは分散分析、スチューデントT検定、ウィルコクソン順位和検定で解析した。

結果:イソフル単と比較してアルファキサロンで、アルファキサロンのレスキュー用量はより高かった(p=0.01);メス犬の覚醒はより長く(p<0.001)、5分と60分目の子犬のアプガールスコアは有意に低かった(それぞれp<0.001とp=0.003)。しかし、子犬の生存性で群間に有意差は見られなかった。

結論と臨床関連:アルファキサロンの持続点滴は、選択的帝王切開を行うメス犬と子犬に対し、可能性のあるプロトコールと思われる。しかし、イソフルランと比べてメス犬の覚醒はよりゆっくりで、子犬のアプガールスコアは低かった。(Sato訳)
■1頭の妊娠したメス犬に見られたB型ボツリヌス中毒
A case of type B botulism in a pregnant bitch.
J Small Anim Pract. May 2015;56(5):348-50.
A Lamoureux; C Pouzot-Nevoret; C Escriou

2歳の妊娠したゴールデンセッターが弛緩性四肢麻痺と呼吸困難の急性発現を呈した。

神経学的検査で、広範性下位運動ニューロン機能不全が明らかとなった。犬の血清からクロストリジウム・ボツリナム神経毒Bが分離された。
その犬は入院し、支持療法を受けた;呼吸機能はモニターしたが、陽圧ベンチレーションは必要なかった。1か月以内に完全に回復し、入院後49日目に合併症もなく分娩した。生まれた子犬は明らかな先天性欠損もなく、最初の数か月の発育は正常だった。

汚染源は保存の悪いドライフードが疑われた。

著者の知るところでは、1頭の犬におけるC・ボツリナム神経毒B分離の最初の報告で、妊娠犬におけるボツリヌス中毒の最初の報告である。(Sato訳)
■犬の胎児の性判別に対するBモード超音波検査
Use of B-mode ultrasonography for fetal sex determination in dogs.
Theriogenology. October 2015;84(6):875-9.
E M U Gil; D A A Garcia; A T Giannico; T R Froes

犬の胎児の性別の超音波検査による判定は過去に報告されていない。

この研究の目的は、超音波検査を使用した子宮内の胎児の性別判定方法を述べることだった。

妊娠した犬で妊娠期間の第8から第9週の間で、胎児の生殖器の超音波検査を実施するコホート研究を行った。2人の超音波検査技師の一致により子宮内の胎児の性別を判定した。

18頭の妊娠犬を研究し、合計39頭の胎児を評価した。95%信頼区間で性別判定の超音波検査の精度は、メスの胎児で62.24%、オスの胎児で65.48%だった。胎児が2頭までの場合、性別判定の精度は100%に達することが可能だったが、3頭以上存在する場合、技術の精度は低下した(66.7%)。

この研究は、子宮内の犬の胎児の外生殖器の超音波所見は、胎児の特定のポジションに関係したことを示し、妊娠55日目から58日目で性判別が可能だと報告する。(Sato訳)
■ジャーマンシェパード犬における出産日予測に影響する因子と種特異的胎児生体測定
Breed-specific fetal biometry and factors affecting the prediction of whelping date in the German shepherd dog.
Anim Reprod Sci. January 2015;152(0):117-22.
D Groppetti; F Vegetti; V Bronzo; A Pecile

今日まで、メス犬の超音波での胎児測定による分娩予測について多くの研究が発表されている。臨床家やブリーダーに対し予測の精度がキーポイントになる場合、出産日を計算する式は小型や中型犬で主に入手され、そのことは大型犬や超大型犬に応用するとき精度が劣ることを意味する。ヒトで民族性が胎児生体測定に有意に影響するというエビデンスを基に、この研究はジャーマンシェパード犬における出産日の推定に対する犬種特異線形回帰モデルを作ることを目的とした。

この目的のため、絨毛膜腔内径(ICC)および胎児の大横径(BP)の連続超音波測定値を、40頭のジャーマンシェパードの妊娠犬から収取した。出産日を推定する回帰モデルの品質を22頭の他のジャーマンシェパードの妊娠犬でさらに検証した。

出産日の予測に関する精度は過去の報告よりも高かった:±2日間以内でICC測定値を基に94.5%、BPを基に91.7%。

胎児生体測定および出産日推定の精度に関連する母親の体重、年齢、産子数の影響に関して追加の研究を実施した。さらにその研究に出産日の予測に関連するホルモン測定と超音波(ICCとBP)測定の比較を含めた。

出産日の予測において一つの犬種から特定の式が、排卵周囲のプロゲステロン血に匹敵する優れた精度を提供し、また同じサイズ/体重でさえ異なる犬種の犬において呈す形態学的変数を避ける可能性が高いと著者らは示唆する。(Sato訳)
■犬の子宮蓄膿症の内科管理で修正投与プロトコールの有効性
Effectiveness of a modified administration protocol for the medical treatment of canine pyometra.
Vet Res Commun. March 2015;39(1):1-5.
Alberto Contri; Alessia Gloria; Augusto Carluccio; Stefania Pantaleo; Domenico Robbe

子宮蓄膿症はメス犬の最もよくある疾患の1つである。

この研究の目的はメス犬の子宮蓄膿症の内科治療に対し、アグレプリストンの修正プロトコールの有効性を評価することだった。

異なる犬種と年齢(2-14歳)の子宮蓄膿症の犬73頭で研究した。無作為に、従来のプロトコール(0、1、6日にアグレプリストン投与-0日は診断した日)で治療するコントロール群(CTG26頭)、異なる投与プロトコール(0、2、5、8日にアグレプリストン投与)で治療する修正治療群(MTG47頭)に振り分けた。

抗プロジェスターゲンのアグレプリストンによる従来のプロトコールでは、CTGの26頭中23頭(88.5%)で有効だったが、修正プロトコールではMTGの犬で47頭全てに有効だった。CTGの犬23頭中1頭は、14日目の追加投与で子宮蓄膿症が解消し、無効だった3症例は卵巣子宮摘出術を行った。
この文献では従来提唱されていたプロトコールと比べ成功率は100%を示し、24か月の経過で再発は記録されなかった。治療後の発情は予測よりも早く発現した(発情間128±32日)。

この研究で修正治療プロトコールは高い有効性と24か月以内の再発がないことを示し、メス犬の正常な受精能を伴う繁殖機能の完全な回復を示唆している。(Sato訳)
■アグレプリストンで内科的に治療した子宮蓄膿症の犬の回顧的研究
A retrospective study of bitches with pyometra medically treated with aglepristone.
Theriogenology. December 2014;82(9):1281-6.
Linnea Ros; Bodil Strom Holst; Ragnvi Hagman

子宮蓄膿症は、子宮のホルモンの影響と細菌感染による避妊手術を受けていないメス犬で一般的な生命にかかわる病気である。

選択される治療は卵巣子宮摘出であるが、いくつかの純粋な内科オプションが利用できる。抗生物質と共に内科治療で使用される一般的な薬剤は、プロゲステロン受容体ブロッカー、プロスタグランジン、ドパミン作用薬である。

この研究の目的は、子宮蓄膿症の犬でプロゲステロン受容体ブロッカーのアグレプリストンによる治療後、長期回復と繁殖力について評価することだった。スウェーデン農業科学大学動物病院で9年間の間に入院した子宮蓄膿症の28頭の犬のデータを回顧的に研究し、飼育者に電話で追跡調査を行った。

メス犬はアグレプリストン10mg/kgで中央値4回の投与を受けていた。また、全てのメス犬は平均23日間の抗生物質を投与されており、よく使用されていたのはエンロフロキサシンだった。腟頭側から最も一般的に分離された細菌は大腸菌だった。結果は治療後6年まで評価した。臨床的に健康な状態に回復と判定した成功率は75%(21/28)で、疾患の再発率は48%(10/21)だった。再発までの平均期間は、治療終了から10.5ヶ月だった。治療後、交配したメス犬の69%(9/13)は出産した。治療がうまくいかなかった7頭のうち、6頭は卵巣子宮摘出術を行い、1頭は安楽死した。

まとめとして、抗生物質とアグレプリストンを組み合わせた内科治療は研究した犬の75%で成功し、その再発率は48%だった。(Sato訳)
■犬の胎児心拍数:加速あるいは減速はメス犬における分娩日を予測するか?
Canine fetal heart rate: Do accelerations or decelerations predict the parturition day in bitches?
Theriogenology. October 2014;82(7):933-41.
E M U Gil; D A A Garcia; A T Giannico; T R Froes

超音波検査は胎児の発育と生存性をモニタリングするために安全で有効な方法である。最も重要で胎児の生存性を確かめるのに広く使用されているものに胎児心拍数(HR)がある。人医で通常胎児HRは、子宮収縮に関係して一時的な加速と減速が分娩中に変動する。

この研究でそれらの変動が犬の胎児でも起こるかどうか、その分娩との関連を調査した。

妊娠の8週から9週目の間に2次元高解像度超音波検査を実施した15頭の妊娠犬によるコホート研究を行った。全ての犬の各胎児のHRを5分間のM-モードにより評価した。またメス犬の切迫した分娩の臨床症状をモニターした。ポアソン回帰分析によりHR、分娩前時間と出産特性の関係を評価した。
犬の胎児でHRの加速と減速が起こり、分娩の最適時間を予測した。
それらの所見は犬の胎児におけるこの現象を、獣医師や超音波検査技師がよく理解するのに役立つ。(Sato訳)
■猫の開放型子宮蓄膿症のクロプロステノールによる治療
Cloprostenol treatment of feline open-cervix pyometra.
J Feline Med Surg. February 2014;16(2):177-9.
Maria C Garcia Mitacek; Maria C Stornelli; Claudia M Tittarelli; Romina Nunez Favre; Rodolfo L de la Sota; Maria A Stornelli

プロスタグランジン合成類似物質のクロプロステノールによる治療を、5頭の開放性子宮蓄膿症の猫で評価した。クロプロステノール(5μg/kg、SC)を3日連続投与し、アモキシシリン(20mg/kg、IM)は7日連続で投与した。
クロプロステノール投与で起こった注射後の一時的反応は、下痢、嘔吐、発声などだった。反応はクロプロステノール投与後10分と急速に始まり、30分は持続した。全ての猫はクロプロステノール治療後臨床的に改善し、治療後1年の研究終了時まで健常を維持した。全頭、追加の処置を必要とせず正常な発情サイクルを再開し、2頭(40%)は正常に出産した。
結論として、開放型子宮蓄膿症の猫に対し、クロプロステノールの使用は容認できる治療である。(Sato訳)
■Bモードとドップラー超音波検査によるメス犬の子宮退縮の評価
Assessment of uterine involution in bitches using B-mode and Doppler ultrasonography.
Anim Reprod Sci. June 2013;139(1-4):121-6.
Claudia da Cunha Barbosa1; Mirley Barbosa de Souza; Luana Azevedo de Freitas; Ticiana Franco Pereira da Silva; Sheyla Farhayldes Souza Domingues; Lucia Daniel Machado da Silva

この研究の目的は、正常分娩あるいは帝王切開後のメス犬の分娩後において、Bモードによる子宮径と子宮動脈のドップラー速度測定パターンを測定することだった。

10頭のメス犬を分娩後0、1、2、3、4週目に評価した。

0週目のみ、正常分娩と比較して帝王切開で分娩したメス犬の子宮体直径と子宮角はより大きかった。週を重ねるごとに、両グループの子宮径の縮小が観察された。一般に帝王切開をしたメス犬の子宮灌流はより少なかった。各グループは明瞭なドップラー速度測定の特徴を示した。

分娩した子宮を評価するときに、Bモードとドップラーによる超音波検査は重要なツールで、分娩のタイプに影響される明瞭な特徴を持つと結論付けられた。(Sato訳)
■メス犬の胎盤部の退縮不全に対するプロゲスターゲンの低用量経口投与による治療
Successful treatment for subinvolution of placental sites in the bitch with low oral doses of progestagen.
Reprod Domest Anim. October 2013;48(5):840-3.
M J Voorhorst; J C van Brederode; C H J Albers-Wolthers; J de Gier; A C Schaefers-Okkens

メス犬の出産後の胎盤部分の退縮不全(SIPS)は、持続性の血様腟分泌物の主要原因である。自然寛解が一般的だが数か月を要すこともあり、その分泌を止めるための処置が要求されることも多い。

この回顧的研究で、そのSIPSの治療における低用量プロゲスターゲンの経口投与の効果を評価した。

SIPSでそれ以外は臨床的に健康な9頭のメス犬を、Department of Clinical Sciences of Companion Animalsのコンピューターデータベースで見つけた。それらのメス犬のうち7頭をプロゲスターゲンの低用量経口投与で治療した(酢酸メゲストロール、最初の1週間は0.1mg/kg1日1回、その後2週目は0.05mg/kg1日1回)。他の2匹は無処置とした。治療の結果を電話の聞き取り調査で評価した。

プロゲスターゲンの治療は治療した犬全てで成功した;治療期間内に血様腟分泌物はなくなった。無処置の1頭は出産から約120日後の次の発情まで症状が残り、もう1頭は出産後270日、次の発情前期の開始6週前まで症状が残った。プロゲスターゲンの治療の副作用は見られなかった。その後5頭の交配したメス犬の妊娠、出産、産褥期は何事もなかった。1頭は交配後妊娠に至らなかった。

結論としてこの研究結果は、プロゲスターゲンの2週間の低用量経口投与は、胎盤部分の退縮不全のメス犬における持続性血様腟分布物の治療に有効で、副作用もその後の繁殖性低下も見られなかったことを示す。(Sato訳)
■メス犬の排卵から分娩までの妊娠期間の推測とその影響を及ぼすファクター:162頭の妊娠例の回顧的研究
Estimated pregnancy length from ovulation to parturition in the bitch and its influencing factors: a retrospective study in 162 pregnancies.
Reprod Domest Anim. December 2011;46(6):994-8.
F Mir; C Billault; E Fontaine; J Sendra; A Fontbonne

分娩の正確なタイミングは、犬の出産の管理に非常に有用である。メス犬の分娩は一般に黄体形成ホルモンピーク後64-66日の間に起こると考えられている。
この回顧的研究において、著者らは異なる犬種における妊娠の長さと、プロゲステロン(P4)の末梢血漿濃度が6ng/mlに達した日から定義した排卵推定日(EDO)から考えられた予定日に影響するファクターを判定した。
2001年1月から2006年12月の間に、53犬種151頭のメス犬の162件の妊娠を追跡調査した。メス犬、産子数、精液のタイプ、繁殖のタイプに関する異なるパラメーターを研究した。
EDOから分娩までの平均推定妊娠長は63.1±2.1日だった。研究した妊娠に対して主に影響するファクターは、犬種、メス犬の大きさ、産子数だった。(Sato訳)
■不妊症のメス犬における腟の細菌叢とそのアンチバイオグラム
Vaginal Microflora and its Antibiogram in Infertile Bitches
Vet Scan. 2011;6(1):79. 15 Refs
Ambili John; Divya Nair; J R Sreejith; L Deepthi; R Praseeda; G Ajitkumar

培養に供された17の腟滲出物サンプルで、71%に発育が認められた不妊症の犬の腟細菌叢を確認する調査を行った。確認された微生物は、E.coli(38.5%)、エンテロコッカス(23.0%)、クレブシエラ(7.7%)、エンテロバクター(7.7%)、プロテウス(7.7%)、β-溶連菌(7.7%)、カンジダ(7.7%)だった。抗菌剤感受性試験を行った6つの微生物で、83.33%に感受性があったのはオフロキサシンとゲンタマイシン、66.67%はアンピシリン/スルバクタム、アミカシン、コトリモキサゾール、50%はクロラムフェニコールとセフォタキシム、33.33%はネチルマイシン、セファレキシン、クロキサシリン、シプロフロキサシン、そして16.67%に感受性があったのはアモキシシリン/クラブラン酸、リンコマイシンおよびノルフロキサシンだった。(Sato訳)

アンチバイオ グラム(antibiogram):様々な薬剤に対する特定の菌の耐性率を表示したデータセット
■メス犬とメス猫の分娩日の予測
Prediction of parturition date in the bitch and queen.
Reprod Domest Anim. October 2011;46(5):926-32.
E Michel; M Sporri; S Ohlerth; Im Reichler

妊娠したメス犬あるいはメス猫の臨床管理において、在胎月齢の評価と分娩日の予測は困難であり、いまだ一般的な課題である。おおよその分娩日を知ることは詳細な妊娠モニタリングを行うにあたり重要である。エックス線検査や超音波検査はメス犬やメス猫に適している。さらに、メス犬でLHあるいはプロゲステロン測定法による排卵のタイミング、腟細胞診による腟の発情間期発現の判定、分娩前のプロゲステロン濃度および体温変化による分娩開始時期の認識は実用的な手段である。異なる方法を組み合わせることで分娩日予測の精度が増す。(Sato訳)
■メス犬の最適交配時期を判定する方法として唾液の結晶化
Saliva crystallisation as a means of determining optimal mating time in bitches.
J Small Anim Pract. August 2010;51(8):437-42.
B Pardo-Carmona, M R Moyano, R Fernandez-Palacios, C C Perez-Marin

目的:メス犬の発情前および発情期を通して唾液の結晶化パターンを記録し、交配のタイミングを効果的に見定める方法としての信頼性を評価すること

方法:正常な繁殖活動がある6頭のビーグルのメス犬を使用した。唾液シダ状結晶形成パターンを発情前と発情期中に確定した。腟細胞診、プロゲステロン(P4)濃度、行動学的サインを、最適交配時期判定に使用した。受信者動作特性(ROC)分析を実施した。

結果:異なるシダ状結晶形成パターンは0-2のスコアを付けた。唾液結晶化の変動はメス犬の発情サイクルの卵胞期の間に認められたが、この試験は正確性に欠けた。試験感受性は40.6%だった。すなわち交配適期を確実に判定するには低すぎた。一方特異性は86.1%だった。

臨床意義:この試験はメス犬の交配適期を判定する他の方法の補足として使用できたが、その潜在的能力は述べられているままである。(Sato訳)
■流動-分離精子による卵母細胞の体外受精により作り出した胚移植後、予定した性別の家猫子猫の出産
Birth of domestic cat kittens of predetermined sex after transfer of embryos produced by in vitro fertilization of oocytes with flow-sorted sperm.
Theriogenology. March 2009;71(5):864-71.
C E Pope, E G Crichton, M C Gomez, C Dumas, B L Dresser

我々の目的は:(1)家猫の精子を1晩かけて輸送した後、フローサイトメトリーにより高純度で分離できるかどうかを判定する;(2)インビトロで猫の胚産生に分離精子が利用できるかどうかの有効性を評価する;(3)分離精子を使用して体外受精で派生した胚の移植後、予定した性別の生存子猫が生まれるかどうかを判定することだった。
1頭のオス猫から採取した精子サンプル(n=5)を電解質フリー溶液で希釈し、摂氏4度で1晩かけて分離施設に輸送した。精子は75x10(6)個/mlに調整し、ヘキスト33342で染色した。摂氏34.5度で1時間後、サンプルを4%卵黄TALP+0.002%食物色素で50x10(6)個/mlに調整し、高速フローサイトメトリーで分離した。後の分離分析で、X-およびY-染色体を持つ精子の純度はそれぞれ94%、83%と確認した。分離精子を遠心分離機にかけ、TEST卵黄バッファーに再び浮遊させ、1晩かけて体外受精研究所に輸送した。
X-染色体を持つ精子とインビボ成熟卵母細胞の体外受精後、卵割頻度は62%(54/87)だった。インビボ成熟卵母細胞とコントロール、X-あるいはY-染色体を持つ精子との体外受精後、卵割の発生率はそれぞれ42%(48/115)、33%(40/120)、35%(52/150)で、胚盤胞はそれぞれ53%(21/40)、50%(11/22)、55%(23/42)で発生した(P>0.05)。2日目、インビボ成熟卵母細胞とX-染色体を持つ精子の体外受精による45個の胚をfour Day 1の猫の卵管に移植し、その後そのうち3頭が1、4、7頭のメスの子猫を出産した。
結論として、精子分離技術は家猫に応用可能で、予定した性別の子猫を生み出すことができることを確認した。(Sato訳)
■妊娠、授乳、小児新生児犬猫の疼痛管理
Pain management for the pregnant, lactating, and neonatal to pediatric cat and dog
Vet Clin North Am Small Anim Pract. November 2008;38(6):1291-308.
Karol A Mathews

妊娠、授乳、あるいは極端に若い動物における鎮痛アプローチに関して獣医文献で得られる情報はほとんどない。種々の鎮痛薬と鎮痛様式を論じ、各グループに対する優先および注意事項に重点を置く。疼痛の管理は全ての動物で非常に重要であるが、特に極端に若い動物で、疼痛に対し持続的痛覚過敏反応は、不十分な治療が存在するかもしれない。妊娠および授乳中の母親における不適切な鎮痛剤の選択は、胎児あるいは新生児の先天的異常を引き起こすかもしれない。授乳中の母親への不十分な鎮痛は、子供に向ける攻撃行動を引き起こすかもしれない。この各グループで使用できる種々の鎮痛剤に対する人および獣医文献の概説を論ずる。(Sato訳)
■犬の妊娠中のグルコースホメオスタシス:インシュリン抵抗性、ケトーシス、低血糖
Glucose homeostasis during canine pregnancy: Insulin resistance, ketosis, and hypoglycemia
Theriogenology. December 2008;70(9):1418-23.
C A Johnson

種々のメカニズムを通し妊娠によりインシュリン抵抗性が引き起こされ、グルコースの細胞内輸送が抑制され、血糖濃度が増加する。極端に妊娠糖尿病(GDM)が発症するかもしれない。インシュリン抵抗性に加え、妊娠において低血糖に対する多因子反応が鈍化するため、妊娠したメス犬は糖新生、グリコーゲン分解、脂肪分解を通してグルコースを産生する能力が低下している。単純に妊娠晩期のメス犬の絶食は、血糖およびインシュリン濃度の減少、ケトンの増加を引き起こすのに十分である。この文献の目的は、メス犬のグルコースホメオスタシスにおける妊娠関連変化の臨床での意味合いを概説することである。(Sato訳)
■犬におけるフィトエストロゲン投与による精巣変性誘発。集団コントロールのポテンシャル
Phytoestrogen treatment induces testis alterations in dogs. Potential use in population control
Vet Res Commun. August 2008;0(0):.
Juan-Jose Perez-Rivero, Jose-Juan Martinez-Maya, Mario Perez-Martinez, Alvaro Aguilar-Setien, Maria-Dolores Garcia-Suarez, Hector Serrano

犬の頭数過剰はヒトの健康リスクが考えられ、犬は狂犬病の陸生媒介動物で、他のヒトの疾患の貯蔵庫である。外科的去勢および精巣ない注射がオス犬で使用されている。フィトエストロゲンにより生理学的および形態学的変化が生殖臓器に誘発できる。
我々の目的は犬の精液および精巣組織に対し、経口クメストロールの影響を評価することだった。5頭の健康な成犬の2群を使用した。実験群に4週間、週に1回クメストロール含有ビスケットを投与した。精液を採取し評価した。また処置後、精巣を摘出し組織検査を行った。コントロールと比較すると、精細管(462 +/- 1.4 vs 336 +/- 2 mu(2))、精子形成上皮(49.1 +/- 0.01 vs 13.3 +/- 0.01 mu(2))、腔開口(891 +/- 1.4 vs 530 +/- 26.9 mu)を減少させていた。処置犬の精液は、異常精子数を増加させ、精子濃度を低下させていた。(Sato訳)
■放射線および超音波検査を使用した妊娠月齢の算出および犬の胎児成熟の評価
Estimation of gestational age and assessment of canine fetal maturation using radiology and ultrasonography: A review
Theriogenology. August 2008;70(3):397-402.
C Lopate

メス犬の妊娠期間は比較的短いため、生存するのに分娩前に完全に胎児が成熟するのは危険である。正常な出産に対する準備、緊急症例における医療ケアを整備することができるブリーダーのために、出産日の算出が必要である。排卵時期がわからない症例、単一胎児あるいは大きく成長した胎児の症例で、帝王切開の実施日を決める前に妊娠月齢を確認する必要がある。排卵時期がよくわからない、あるいはまったく分からないハイリスクの妊娠で、胎児の成熟度および妊娠月齢の決定は、生存可能な子犬の分娩が可能なぐらい妊娠が十分経過しているかどうかを判定する補助となるだろう。
妊娠維持のために補助的プロゲステロンを投与しているメス犬の症例で、生存可能な子犬の分娩可能な最適時に薬剤を中止するはずである。メス犬の健康を損なうために妊娠を中止し、その後外科的胎児の娩出を図る場合、胎児の生存の見込みを評価することも可能である。交配日だけによるものは、十分な正確性を持つ分娩日を提供できない。交配管理あるいは排卵日が不十分あるいはまったく管理できていない症例で、分娩日の算出は妊娠診断時、あるいは出産間近に実施できる。エックス線検査は妊娠の確認、妊娠月齢、LHサージ後最初の45日の判定を容易にするのに使用できる。超音波検査はLHサージ後19-21日の期間に妊娠の確認、妊娠月齢の予測、25-26日の期間に胎児の生存性および胎児ストレスの確認に使用できる。(Sato訳)
■家庭および非家庭猫科における尿を使用した妊娠診断に対する市販のベンチトップリラキシン分析の改良
Refinement of a commercial bench-top relaxin assay for pregnancy diagnosis using urine from domestic and nondomestic felids
J Zoo Wildl Med. June 2008;39(2):170-9.
Laurie A Harris, Bernard G Steinetz, Jennifer B Bond, Sally Lasano, William F Swanson

6-kDaポリペプチドホルモンであるリラキシンは、種々の哺乳類で妊娠中に尿中に排泄される。最近の研究で、ベンチトップ血清分析(Witness relaxin kit, Synbiotics Corp., San Diego, California 92127, USA)を使用し、尿中リラキシンの検出で家庭猫(Felis silvestris catus)の妊娠診断が可能であることが示されたが、他の猫種の尿に適用できるのかどうかは不明である。
我々の目的は、
1) 妊娠猫におけるキットの信頼性を改善するために尿処理の検査修正
2) リラキシンに対するフィルターを通す尿の濃縮の影響を評価
3) リラキシン濃度に対するサンプル凍結の影響を評価
4) 非家庭猫科動物における尿中リラキシン濃度定量化の開始
交配後数回にわたり家庭および非家庭猫種(Pallas' cat, Otocolobus manul; sand cat, Felis margarita; cheetah, Acinonyx jubatus; and lion, Panthera leo)から尿および血清を採取した。種々の処理方法を施した尿サンプルをベンチトップキットを使用して検査し、その後リラキシン濃度をラジオイムノアッセイで定量した。家庭猫の尿サンプルで、濾過および蛋白/リン酸緩衝液の追加で早期妊娠診断に対するリラキシンキットの一貫性が改善した。凍結した尿はわずか(約13%)だが、リラキシン濃度の有意な低下を認めた。しかし凍結-解凍サンプルでもベンチトップキットは陽性を示した。
非家庭猫では、妊娠家猫と比べ妊娠中の尿中リラキシン免疫反応は同様あるいは高く、リラキシンは妊娠の信頼できる種間交差マーカーであると思われる。妊娠したPallas' catsの尿中リラキシンがベンチトップキットを使用し検出できたが、他の種の尿サンプルでは処理方法に関わらず陰性だった。
所見は、尿中リラキシンの測定はエキゾチック分野における非侵襲性妊娠診断のアプローチとして有望であるが、猫種間の尿中リラキシンプロフィールの更なる評価、ベンチトップリラキシンキットの修正が種間交差有効性の改善に望まれることを示唆する。(Sato訳)
■妊娠および授乳期メス犬に対する栄養補給
Nutritional supplements for pregnant and lactating bitches
Theriogenology. August 2008;70(3):393-6.
Deborah S Greco

メス犬および子犬に対する一般的な栄養補給の使用を包合する。蛋白、ミネラル、ビタミン、必須脂肪酸などの基礎栄養補給を述べる。メス犬や子犬の免疫システムの刺激に対するプロバイオティクスなど新しいサプリメントや離乳期下痢の非医薬品治療もカバーする。(Sato訳)
■犬の精液の凍結保存におけるLDL(低密度リポ蛋白)の利点
The advantages of LDL (Low Density Lipoproteins) in the cryopreservation of canine semen
Theriogenology. December 2008;70(9):1478-88.
D Bencharif , L Amirat , M Anton, E Schmitt, S Desherces , G Delhomme, M-L Langlois , P Barriティre, M Larrat, D Tainturier

LDL(低密度リポ蛋白、鶏卵黄の凍結保護成分)を含む培地を、凍結-解凍過程中の犬の精子の保持に対し卵黄のものと比較した。10頭の犬から20の精子サンプルを採取し、7つの異なる培地を用い液体窒素-196度で凍結した:1つは20%卵黄を含むコントロール培地、それぞれ4%、5%、6%、7%、8%、10%LDLを含む6つのテスト培地。CEROS12ソフトウエアを備えたHamilton-Thorne Sperm Analyserを用い、解凍後の精子運動性を評価した。6%LDL培地(最適濃度)における運動能力のある精子の比率は55.3%で、それに比べ卵黄ベース培地では27.7%だった(p<0.05)。卵黄培地と比較すれば、先体完全性(FITC-PSA test)、鞭毛形質膜の完全性(HOS test)、DNAの完全性(Acridine Orange test)の点から、凍結過程中の精子の保持の改善も見られた(p<0.05)。
さらに、6頭のビーグルに24時間間隔で2度、子宮内経路で人工授精を行った;1度の精子注入に6%LDL培地で凍結しておいた精子200x10(6)を使用した。全てのメス犬は妊娠した(妊娠率100%)。
結論として卵黄のみを含むコントロール培地と比較して、6%LDL培地は凍結-解凍過程中の精子の保護作用を改善し、犬精子の運動性パラメーターの顕著な改善を示した。最後に犬精液に対する凍結保護物質としてLDLの使用は受精能に干渉しない。(Sato訳)
■メス犬の危険度の高い妊娠とhypoluteoidism
High-risk pregnancy and hypoluteoidism in the bitch
Theriogenology. December 2008;70(9):1424-30.
C A Johnson

危険度の高い妊娠は、一般産科集団に比べて母親の罹病率、胎児および/あるいは周産期罹病率あるいは死亡率がより高くなりがちである。母親、胎児および周産期の健康に関係するいくつかの母性の特性は、母親の年齢の進行、短頭種、あるいは過去に妊娠の失敗を経験しているなど受胎前に容易に同定できる。他、妊娠糖尿病あるいは単胎児などは受胎後認識される。
その問題(すなわちリスク)の早期認識、潜在的続発症の予期、積極的管理シェーマの開発は、危険度の高い妊娠を成功に導くのに必須である。過去に妊娠を失敗している母犬は、その後の妊娠中に再発のハイリスク因子を持つ。感染はよくある原因である。いくつかの例では、妊娠失敗の再発は、プロゲステロンの血清濃度が低いことに関係している。これが発生するメカニズムは完全に分かっていないが、その状況はhypoluteoidismと呼ばれている。妊娠にリスクを引き起こすものは何であれ、危険度の高い妊娠の管理の目標は、妊娠、授乳を通して母親の健康を維持し、離乳年齢まで生きる健康な子犬の数を最大にするように、母親、胎児、周産期健康を最適にすることである。(Sato訳)
■犬の胚および胎児発育:概説
Canine embryonic and fetal development: A review
Theriogenology. August 2008;70(3):300-3.
S D Pretzer

受精卵母細胞から新生子犬までの進行は、約2ヶ月の期間で起こる驚くべき現象である。胚は3つの肺葉分化:外胚葉、中胚葉、内胚葉の期間を含んで発育する。臓器系はそれらの肺葉から形成され、生殖路のほとんどは中胚葉から派生する。犬の胚の胎児期前に器官形成は完了するが、性分化は胎児期間中に起こる。性分化は胚および胎児発育の遺伝子型により最初に方向付けられた事象の良く協調した進行である。胎児発育は本質的にメスで、Y染色体がないことでそれなりに発育する。オスの胎児は、メスの管路系の退行、オスの管路系の発達を起こすY染色体をもとに発育する。犬の精巣下降は胎児期に始まるが、出産後までに完了するわけではない。(Sato訳)
■犬および豚に関係する潜在睾丸と性比
Cryptorchidism and sex ratio are associated in dogs and pigs
J Anim Sci. June 2008;0(0):.
G Dolf, C Gaillard, C Schelling, A Hofer, E Leighton

この研究の目的は、同腹子内の潜在睾丸の発生が、その同腹子の性比に関係するかどうかを調査することだった。分析したのは4犬種1339同腹子で、そのうち12.8%が1つ、3.1%が2つの潜在睾丸があり、豚は14の異なる集団119920同腹子で、そのうち2.2%が1つ、0.2%が2つの潜在睾丸があった。SASパッケージのGLIMMIX処理でデータを分析した。
犬において同腹子内の潜在睾丸の存在は、同腹子数あるいは死産率に影響しない。豚において同腹子数は、同腹子内の潜在睾丸の数が増加するのに伴い有意に増加する。豚における死産率は、潜在睾丸がいない同腹子よりも潜在睾丸がいる同腹子の方が大きい。
同腹子の性別の不均衡を特徴付けるため、生きているオスの数/生存子頭数と定義した性比、生きているオスの数-生きているメスの数と定義した性差を分析における従属変数として使用した。
犬および豚共に、同腹子内の1あるいは2個の潜在睾丸の存在は、オスの子が多いように同腹子内の性比および性差両方が明らかにシフトした。犬および豚における我々の結果は、他の哺乳類に同様に当てはまるかもしれない潜在睾丸および性比両方に影響する共通の基礎にあるメカニズムを示唆する。(Sato訳)
■犬における妊娠の内分泌学:概説
Endocrinology of pregnancy in the dog: A review
Theriogenology. August 2008;70(3):291-9.
K Verstegen-Onclin, J Verstegen

犬の妊娠制御はまだ完全に明らかにされていない。妊娠動物および非妊娠動物は同様の血漿プロゲステロン濃度であるため、黄体(CL)機能およびプロゲステロン代謝に対する反映は少ない。妊娠動物で着床および胎児胎盤ユニットからのリラキシン分泌後、CLからのプロゲステロン分泌が増加する。プロゲステロンは妊娠維持に絶対的に必要で、プロゲステロンの胎盤源は確認されていない。妊娠はプロゲステロン投与により人工的に維持できる。プロラクチン分泌はリラキシン産生増加に反応して増加すると思われ、CLによるエストロゲン産生と無関係に起こる。LH、FSH、プロラクチンのそれぞれの役割はいまだ不明で、研究間で相反する所見が存在する。しかしプロラクチンは絶対的に必要と思われ、一方LHは妊娠中のCL機能を許容的あるいは促進するものである。メス犬着床前の事象はいまだ定義が不十分であり、胚因子は分離あるいは精製されておらず、早期妊娠診断の妨げとなっている。他の種と同様の過程で分娩前36時間に始まるプロスタグランジンF(2α)の放出から黄体分解後に分娩が起こる。分娩時のエストロゲンの役割は未定義のままである。(Sato訳)
■メス犬の妊娠管理
Pregnancy management in the bitch
Theriogenology. December 2008;70(9):1412-7.
C A Johnson

母親および新生児の健康状態を最適にする妊娠管理は、交配管理および理想的な体の状態における正常で健康な種用資源の選択から始まる。交配後、繁殖および授乳に適した市販食を与えるべきである。典型的にそれらは、動物源の蛋白29-32%、最低18%の脂肪、炭水化物20-30%、必須ビタミン、ミネラル、脂肪酸を含む。交配後約25日で妊娠は確認できる。“産科病室”および出産箱を設置すべきである。カロリー摂取と体重の着実な増加は妊娠の進行として予想される。体重減少は起きるはずがない。
妊娠中のメス犬の態度、活動性、食欲、体重、身体所見の変化はオーナーがモニターすべきである。食欲および体重が増加し続けない場合、あるいは病気の症状が出た場合、母親の健康を完全な身体検査、CBC、生化学プロフィール、自由採取尿検査で評価すべきである。胎児の健康は超音波検査で評価すべきである。母親あるいは胎児の異常は妊娠にリスクを持たせるだろう。分娩が近いこと、分娩の進行、出産は直腸温、血清プロゲステロン濃度、および・あるいは子宮および胎児モニターを評価することでモニター可能である。この文献は犬の妊娠生理学、分娩、母親および子犬の健康を最適にする正常な犬の妊娠の管理に使用する一般的なシェーマを概説する。(Sato訳)
■珍しいおよび異常な犬の発情周期
Unusual and abnormal canine estrous cycles
Theriogenology. October 2007;0(0):.
V N Meyers-Wallen

排卵前期の血清プロジェステロン濃度は、LHピーク(0日)の推定、正確な受精および分娩日予測だけでなく、卵巣機能不全による異常あるいは珍しい発情周期の確認に使用される。それら障害の早期確認は治療および経済的重要性を持つ。
この概説は、無排卵、緩慢な排卵前期のプロジェステロン上昇、”split heat”、不十分な黄体期、持続発情期について述べる。それらのいくつかは一時的な機能不全だった。それは適切な繁殖管理で、妊娠が達成できる。しかい、他の症例では、不妊症、潜在的致死的続発症に関与する重度、永続的な機能不全の症状だった。(Sato訳)
■犬の妊娠のタイミングと分娩予測
Parturition prediction and timing of canine pregnancy
Theriogenology. September 2007;0(0):.
Yeunhee Kim, Alexander J Travis, Vicki N Meyers-Wallen

雌犬の分娩日を予測する正確な方法は、タイムリーな介入により繁殖の損失を最小限および予防するのに臨床的に有効である。同様に排卵および妊娠の時期を計る正確な方法は、卵または精子に対する操作法すなわち発情同期と胚移植の発展に重要である。この概説は、犬の在胎齢の正確な時期を計る現在の方法とハイリスクな妊娠および胚移植研究の臨床管理にそれらを使用するアウトラインを述べる。(Sato訳)
■犬猫の流産診断学
Canine and feline abortion diagnostics
Theriogenology. August 2008;70(3):327-31.
D H Schlafer

犬猫の流産の原因として分かっているものは限られており、確定診断が出来る割合は案外低い。それらの事実は失望するものであるが、診断率を改善するためにできることもある。
この文献は、限界があるだろうが改善の方法を探索する。微生物感染による流産で、その病原体をなぜ確認できないかという多くの理由がある。
"非感染性"の原因はさらに診断が難しく、それらの相対的重要性は不明である。それらには内分泌不全、基礎的子宮内膜疾患、遺伝異常、栄養欠乏、薬物あるいは環境源による毒性などがある。遺伝異常はヒトの流産の主要原因の1つであるが、まだ動物の流産を誘発する遺伝疾患について特定の情報はほとんどない。この文献は診断性をともに改善するように努力する臨床医と診断医に向けるものである。
胎児の検死方法、胎盤検査、サンプリングは手短に概要する。この一連の文献が流産の原因および病因に対する議論の刺激になり、流産診断学が改善する分野に注意を集中させるようになることを願う。(Sato訳)
■犬および猫の難産の外科的管理
Surgical management of canine and feline dystocia
Theriogenology. May 2008;0(0):.
A M Traas

難産の内科管理が失敗または勧められないならば、帝王切開が適応となる。外科手術の必要性は、主に母犬のコンディション、分娩の進行、胎児の心拍数を基にする。最適な胎児と母犬の生存に重要なのはタイムリーな介入である。各個症例の必要性に応じ、外科手技は変化すると思われる。麻酔プロトコールの選択、腹部アプローチ、子宮切開部位、術後疼痛管理など手術の各要所で多くの選択が存在する。外科の適応および手技の各ステップのオプションを紹介する。難産で会陰切開の使用はまれなので、それは簡単に述べる。(Sato訳)
■犬猫の難産の内科管理
Medical management of canine and feline dystocia
Theriogenology. May 2008;0(0):.
S D Pretzer

雌犬や雌猫で難産が診断されたとき、内科または外科の2つの治療選択枝が存在する。難産の内科管理は、外科または麻酔なしで出産過程の完了を助ける利点がある。しかし、全ての難産の症例が内科的に管理できるわけではないので、内科管理開始前に、根拠に基づき注意深い決断が必要とされる。特に外科管理が臨床的に示されるような時に、不用意な内科管理は、母親および胎児を危険にさらし、さらには死亡させるような結果をもたらす可能性がある。この文献は、犬猫の難産の症例における内科管理開始前に必要な意思決定に焦点を当て、利用可能な手技を述べる。(Sato訳)
■妊娠中のメス犬における抗酸化剤化合物と酸化ストレス
Antioxidant compounds and oxidative stress in female dogs during pregnancy
Res Vet Sci. October 2007;83(2):188-93.
C I Vannucchi, A A Jordao, H Vannucchi

妊娠は異なる代謝系路に変化し、より多くの酸素消費およびエネルギー基質の消費変更を起こし結果的に多くの酸化ストレスの暴露を受ける生理学的時期である。この研究の目的は、健康犬の妊娠中に抗酸化生物マーカーおよび酸化ストレスマーカーの血清プロフィールを測定し、述べることだった。20頭の非妊娠(NP)および20頭の妊娠(P)メス犬を使用した。抗酸化分子(ビタミンE、ビタミンA、亜鉛、マグネシウム)および酸化ストレスマーカー(TBARS、カルボニルプロテイン)の計量のため、妊娠または発情間期の1、3、5、7週目に採血を行った。PとNP群で3週目と5週目のビタミンAおよびビタミンE(NP>P)、1週目と3週目のマグネシウム(NP>P)の結果に統計学的有意差が見られた。同群内、群間で他のパラーメーターに差は見られなかった。
この研究は、妊娠犬の抗酸化分子の濃度は、非避妊犬のそれと異なることを示す。それらのメカニズムは、この種の妊娠期間中、酸化ストレスに対する防御を示すかもしれず、さらに限定的に研究する価値がある。また他の防御メカニズムの関与、酸化ストレスを伴う胎児-胎盤ユニットの影響もまだ不明である。(Sato訳)
■犬および猫の新生児蘇生
Resuscitation of canine and feline neonates
Theriogenology. May 2008;0(0):.
A M Traas

難産および帝王切開の後の新生児の状態低下は2つの主要な原因を持つ。1つ目(しばしば最も重要)の原因は低酸素、2つ目は母親に与えた麻酔薬による抑制である。蘇生努力は以下の順で行うべきである:加温、気道、呼吸、サーキュレーション、薬物。胎児出産前に母親に対し、逆麻酔および鎮痛剤を投与する以外、薬物を用いる前にベンチレート、循環サポートを用いた低酸素の補正に十分時間をとるべきである。(Sato訳)
■犬猫の性発達障害
Disorders of sexual development in the dog and cat
Theriogenology. August 2007;68(3):338-43.
S K Lyle

正常な性分化は3つの経時的ステップで起こる--染色体(遺伝子的)性の確立、生殖腺の性発達、表現型の性発達。染色体、生殖腺、表現型の性確立の障害は、異常な性的分化が原因である。影響を受けた個体は、外性器異常から生殖不能または不妊症を伴う見た目正常な性器まで幅広い変化のパターンを認める。性発達障害を持つと疑われたときは、染色体構造の分析、生殖腺、内及び外性器の完全な肉眼及び組織病理学的描写が障害のタイプを正確に分類するのに必要である。(Sato訳)
■犬の繁殖効率における交配時期と妊娠期間の影響
Effect of time for mating and gestation length on reproductive efficiency in dogs
Reprod Domest Anim. December 2007;42(6):664-5.
Y Shimatsu1, H Yuzawa, K Aruga, M Nakura

この研究の目的は、犬の妊娠効率に対し、交配時期および妊娠期間の影響を研究することだった。8頭、6頭および6頭の群のビーグルの雌犬を黄体形成ホルモン(LH)サージ後それぞれ3、5、7日目に合計3頭の雄犬と交配させた。全ての雌犬は出産に成功した。
妊娠期間(LHサージから出産までの期間)はそれぞれ65.1±1.9日、65.5±1.9日、68.0±1.8日だった。LHサージ後7日目に交配したときの期間は、LHサージ後3および5日目に交配させたものより有意に長かった(p<0.05)。産子数はそれぞれ、5.5±2.2頭、6.2±1.9頭、4.8±2.1頭で、群間有意差は認められなかった。
結論として、雌犬のLHサージ後3-7日目の交配は、良好な繁殖効率をもたらし、LHサージ後7日目に交配したLHサージから出産までの期間は、LHサージ後3および5日目に交配させたものと比べ有意に延長することを示す。(Sato訳)
■メス犬の繁殖に対する短期甲状腺機能低下症の影響
Effect of short-term hypothyroidism on reproduction in the bitch
Theriogenology. May 2007;0(0):.
D L Panciera, B J Purswell, K A Kolster

メス犬の甲状腺機能低下症は、発情間隔の変異、不妊、流産、死産を引き起こすと報告されている。この研究の目的は、メス犬の受胎能、妊娠、分娩、新生児の健康に対し、実験的に誘発した甲状腺機能低下症の影響を評価することだった。18頭の経産メス犬を研究した。9頭は甲状腺機能低下症を誘発させ(放射性ヨウ素投与)、残りの9頭は無処置コントロールとした。
交配後、妊娠、胎児吸収、妊娠の長さ、産子数、子宮収縮の持続と強さ(分娩中)、出産間隔、出生時の子犬の生存可能性、周分娩生存性、出生から4週までの子犬の体重を評価した。甲状腺機能低下症誘発後、中央値19週で交配させた。全てのメス犬は妊娠し、分娩日に出産した。発情間隔、産子数、妊娠の長さに群間の違いはなかった。コントロール犬よりも甲状腺機能低下症の犬は、子宮収縮の持続がより長かったが、収縮の強さは弱かった。しかし、子犬の出産間隔に影響はなかった。周分娩子犬死亡率は、甲状腺機能低下症の子犬で有意に高く、生存可能性スコア及び出生時の体重は有意に低かった。最初の4週間、出生から目が開くまでの期間、歩き出すまでの期間で子犬の体重増加に群間の違いはなかった。比較的短期間の甲状腺機能低下症は受胎能に影響しなかったが、周分娩期の分娩の延長、子犬生存性の低下が認められた。(Sato訳)
■出生から6週齢の仔犬の鼻汁中の免疫グロブリン
Immunoglobulins in nasal secretions of dog puppies from birth to six weeks of age.
Res Vet Sci. 2005 Apr;78(2):143-50.
Schafer-Somi S, Bar-Schadler S, Aurich JE.

犬の局所免疫防御機構を観察するため、42頭の健常な新生児のロットワイラーの仔犬の鼻汁(NS)と血清からIgG,IgAそしてIgM濃度を測定した。生後6週齢までの免疫グロブリンを市販で利用可能な犬特異的ELISAを使って測定した。平均的に、生後3日間はIgGが有意な免疫グロブリンアイソタイプだった。1週~3週の間でIgG濃度は著しく低下するため、IgA/IgG比は変化した。4~6週齢でIgGは再び優位となる。はじめの1週間に仔犬の21~39%しかNS中のIgM量が測定可能ではなく、2週目でこの割合は69%まで増加した。同腹子間と同腹仔の個々の仔犬の間における著しい違いが見られた。観察期間中に病気になった子犬はいなく、全てが健康に育った。(Dr.Kawano訳)
■メス犬の分娩日を予測する2つの超音波測定値の精度を比較する
Comparison of the accuracy of two ultrasonographic measurements in predicting the parturition date in the bitch
J Small Anim Pract. November 2006;47(11):670-3.
M Beccaglia, G C Luvoni

目的:小型および中型犬の分娩日を予測するのに、内側絨毛膜腔径および両頭頂骨径の2つの超音波測定値の精度を比較する。予測の精度に対する産子数と胎児の性別比の影響も調査した。

方法:妊娠犬に超音波検査を実施し、妊娠ステージに応じ、内側絨毛膜径と両頭頂骨径を測定した。各構造のデータの平均値を計算し、我々が過去に異なる大きさのメス犬で作成した成長曲線から算出する方程式を応用し、分娩予測日を決定した。

結果:分娩日の予測は、妊娠初期の内側絨毛膜腔径測定値によるものと、妊娠後期の両頭頂骨径測定値によるもので同様の精度を示した。産子数は両頭頂骨径の正確性にのみ影響したが、胎児の性別比は分娩日の評価に影響しなかった。

臨床意義:内側絨毛膜腔径と両頭頂骨径は、検査したメス犬でどの妊娠期間でも適度に正確な分娩日を予測するのに、同等に信頼できるパラメーターだった。(Sato訳)
■飼育猫の電気刺激射精に対するプロポフォールの使用
The use of propofol for electroejaculation in domestic cats
Theriogenology. October 2006;66(6-7):1615-7.
Kaywalee Chatdarong, Suppawiwat Ponglowhapan, Suppawiwat Ponglowhapan, Sukanya Manee-in, Kunchit Pongphet

目的は、家庭猫の電気刺激射精に対する麻酔薬としてプロポフォールを評価することだった。20頭のオス猫のコルチゾール濃度、心拍数、呼吸数を調査した。猫を無作為に3群に振り分けた。A群(n=8)はプロポフォール(10mg/kg)で麻酔し、電気刺激射精を行った。B群(n=6)はブプレノルフィン(0.01mg/kg)で前処置し、プロポフォール(5mg/kg)で麻酔をかけて電気刺激射精を行った。C群(n=6)はプロポフォール(10mg/kg)で麻酔をかけ電気刺激射精は行わなかった(コントロール群)。4つのタイムポイント(プロポフォール投与前30分、麻酔導入直後、電気刺激射精直後、麻酔覚醒開始時)で血液サンプルを採取した。コントロール群は電気刺激射精終了時にサンプリング時間を合わせ、麻酔導入後21分とした。
電気刺激射精の平均(±SEM)持続時間は18±3分だった。3群とも麻酔の持続時間(26±2分)に違いはなかった(P>0.05)。ほとんどの猫は穏やかに覚醒した(17/20)。ブプレノルフィンによる麻酔前処置は、麻酔に対するプロポフォールの必要量を低下させなかった。3群でコルチゾール濃度、心拍数、呼吸数に違いはなかった(P>0.05)。コルチゾール濃度の顕著な低下は、電気刺激射精後すぐに観察された。猫の電気刺激射精に対し、プロポフォールは有効な麻酔薬で、急速な発現、電気刺激麻酔を行うにあたり適度な麻酔持続時間、スムースな覚醒をもたらす。(Sato訳)
■妊娠真性糖尿病の犬2例
Pregnancy-related diabetes mellitus in two dogs
N Z Vet J. December 2006;54(6):360-4.
E J Norman, K J Wolsky, G A Mackay

症例概要:妊娠に関連して真性糖尿病が発症した2頭のメス犬を報告する。最初の症例は先端巨大症が疑われたメス犬が出産予定日の2週間以内に真性糖尿病を発症した。インシュリン療法にもかかわらず、正常血糖値に回帰しなかった。選択的帝王切開により2頭の生存している小さな子犬を出産したが2日以内に死亡した。先端巨大症に一致する症状は解消したが、真性糖尿病は持続した。2例目は、難産のため帝王切開を実施した2日後、重度胃腸疾患を伴う糖尿病性ケトーシスと診断された。出産した子犬は全頭5日以内に死亡した。2週間以内に真性糖尿病から完全に回復し、少なくとも18ヶ月はインシュリンなしで正常血糖値を維持している。

臨床関連:それら2症例は、犬で妊娠に関連して真性糖尿病が起こる可能性があり、一過性真性糖尿病の間に糖尿病性ケトーシスが起こる可能性を示し、犬の妊娠関連発情休止期中に先端巨大症が起こるかもしれないと示唆する。しかし、この現象の過去の報告がないことから、そのような症例は珍しいと思われる。高血糖の迅速な解消が見られない場合は、二次的真性糖尿病が持続するかもしれない。管理は即座のインシュリン療法、またはこのリスクを最小限にするため卵巣子宮摘出術に焦点を当てるべきである。妊娠中は軽度の高血糖でも無視するべきではない。妊娠、ストレスの多い疾患、手術、難産のインシュリンに拮抗的な影響は、持続しない糖尿病性ケトーシスを起こすのに十分である可能性がある。犬で母親の高血糖は、胎児の予後を悪くするかもしれないが、そのリスクの特質に関するさらなる研究が求められる。(Sato訳)
■犬の射精特性に対するオキシトシン、またはプロスタグランジンF2アルファ投与の影響
Effect of administrating oxytocin or prostaglandin F2alpha on characteristics of the canine ejaculate.
Can Vet J 45[12]:999-1002 2004 Dec
Traas AM, Kustritz MV

平滑筋収縮薬を投与したオス犬は、精子の直線運動性、形態的に正常な精子の比率のような他の射精特性を変化させることなく、精子の合計数だけ増加させるという仮説を検証するため、犬にオキシトシン、またはプロスタグランジンF2アルファを投与し、生食を投与した犬と比較した。各3頭の犬から3-4日おきに1回、合計6回精液を採取した。各採精10分前に投与した(オキシトシン10IU(0.5ml)、IM;PGF2アルファ2.5mg(0.5ml)、IM;生食0.5ml、IMのうちどれか)。生食コントロールと比較し、発情期のメス犬が存在するこの方法で採取したとき、どの測定値にも有意な影響を示さなかった。ゆえにそれら薬剤の使用は、精子数を増加させる現実的な処置とは思えない。(Sato訳)
■犬における妊娠期間と交配または排卵の関連
Relation between mating or ovulation and the duration of gestation in dogs
Theriogenology. February 2006;0(0):.
Toshihiko Tsutsui, Tatusya Hori, Nobuyuki Kirihara, Eiichi Kawakami, P W Concannon

犬の妊娠期間に対する交配日と子犬の数の影響を、36頭のビーグルメス(年齢2-10歳)で研究した。血漿プロゲステロン濃度が2ng/mlを超えた日を排卵日と考えた。排卵日を評価したあと1-5日のどれかに、1度だけ交配するよう振り分けた。
交配から分娩までの期間は、評価した排卵日から交配までの日数に負の相関を示した(P<0.01)。妊娠期間(排卵から分娩までの期間)はほぼ63.9±0.2日(平均±SEM)で一致し、胎児の数と妊娠期間の間に有意な関連は見られなかった。(Sato訳)
■帝王切開による生まれた子犬の神経、心肺変動に対する4つの麻酔プロトコールの影響
Effects of four anaesthetic protocols on the neurological and cardiorespiratory variables of puppies born by caesarean section.
Vet Rec 154[13]:387-9 2004 Mar 27
Luna SP, Cassu RN, Castro GB, Teixeira Neto FJ, Silva Junior JR, Lopes MD

12時間以内に分娩する24頭のメスイヌを、6頭ずつ4つの群に無作為に振り分けた。全てのイヌに、前処置として0.5mg/kgクロルプロマジンを静脈内投与し、その15分後に8mg/kgチオペンタール静脈内(1群)、2mg/kgケタミンと0.5mg/kgミダゾラム静脈内(2群)、5mg/kgプロポフォール静脈内(3群)、アドレナリン含有2%リドカイン2.5mg/kgとアドレナリン含有0.5%ブピバカイン0.625mg/kg硬膜外(4群)投与した。4群をのぞき、気管挿管を行い、エンフルランで維持した。子宮から取り出したとき、子犬の心拍数、呼吸数、彼らの痛み、吸引、肛門、有頭骨、屈曲反射を測定した。子犬の呼吸数は硬膜外麻酔で最も多かった。通常子犬の神経学的反射は、ミダゾラム/ケタミンで最も弱く、チオペンタール、プロポフォール、硬膜外麻酔と続いた。(Sato訳)
■イヌの子宮外妊娠
Ectopic Pregnancy in a Dog
Vet Med 99[3]:225-226 Mar'04 Clinical Exposures 7 Refs
Claus D. Buergelt, DVM, PhD, DACVP and Kavin Russell, DVM

犬猫の子宮外妊娠はまれである。犬猫に対する子宮外妊娠の臨床関連は不明であるが、外科的除去が推奨治療である
このイヌに子宮の外傷履歴はないので、受精卵が卵管から脱出し、腸間膜、または大網に着床したと仮説を立てた。腸間膜や大網は、初期胎盤としての機能を有すると思われ、各受胎産物に母親の血を供給する。そのような胎盤構成は、不完全で不十分なため、胎児は死亡し、ミイラ化するか被包化する。ミイラ化した組織は母犬に臨床症状を起こすことはなく、また再吸収されることもなく、腹部X線検査や超音波検査を行うとき、思いがけない病変として確認されるかもしれない。(Sato訳)
■胎児骨格石灰化を用いたネコの分娩日の予測
Use of Fetal Skeletal Mineralization for Prediction of Parturition Date in Cats
J Am Vet Med Assoc 223[11]:1614-1616 Dec 1'03 Prospective Trial 9 Refs
Davida R. Haney DVM; * Julie K. Levy, DVM, PhD, DACVIM; Susan M. Newell, DVM, MS, DACVR; John P. Graham, MVB, MS, DACVR; Shawn P. Gorman, MS

目的:ネコで、エックス線検査による胎児骨格石灰化と分娩日の関係を判定する

構成:前向き臨床研究

動物:31頭の母ネコと49回の妊娠

方法:17頭の母ネコで、腹部触診により確認した妊娠後1週間から2,3日毎に分娩まで、コンピューターエックス線撮影システムによりエックス線撮影を行った。各妊娠期間中、16個の骨構造物と歯で、最初に石灰化を認めることができた時点を判定するためにエックス線写真を評価した。この情報は、胎児石灰化をもとにした分娩日を予測する表を作成するために使用した。追加の32頭の妊娠ネコから撮影した1枚のエックス線写真を評価し、分娩日の予測を石灰化の表をもとに行った。

結果:分娩前25-29日に最初の石灰化が認められた。脊柱(分娩前22-27日)、頭骨(21-27日)、肋骨(20-25日)、肩甲骨(17-24日)、上腕骨(20-24日)、大腿骨(19-23日)、橈骨(15-22日)、脛骨(15-21日)、尺骨(5-21日)、骨盤(8-20日)、腓骨(0-17日)、尾骨(8-16日)、中手骨と中足骨(3-14日)、指節骨(0-11日)、踵骨(0-10日)、歯(1-6日)の石灰化が判定された。分娩日3日以内の予測は、75%のネコで可能だった

結論と臨床関連:胎児の骨構造物の確認は、雌ネコの分娩日時の評価に有用である。(Sato訳)
■超音波検査による胎児測定を用いた犬の分娩日予測の精度
Accuracy of canine parturition date prediction using fetal measurements obtained by ultrasonography.
Theriogenology 60[7]:1309-17 2003 Oct 15
Kutzler MA, Yeager AE, Mohammed HO, Meyers-Wallen VN

犬の妊娠期間は、黄体形成ホルモン(LH)サージから65日です。在体月齢を早期に、そして正確に決定することは、分娩を管理、予測するのに有効です。われわれは、在胎期間を評価するため、83頭のメス犬(32犬種)の経腹部超音波検査により得た、胎児測定に関し、回顧的研究を行いました。在胎月齢は、 (1).妊娠中期のビーグル犬における、LHサージに対する、胎芽小胞直径(EVD)、頭臀長(CRL)、胴体直径(BD)、大横径(HD)、または(2).妊娠後期のレトリバー犬における、分娩に対するBDとHD のどちらか一方に相関している2つの発表された表を用いて評価しました。分娩日は、在胎月齢評価と65日との差で予測しました。メス犬は非妊娠体重をもとに、4つの体重(BW)群に分割しました:小型(9-20 kg)、中型(>20-40 kg)、大型犬(>40 kg)。
平均±S.D.同腹子サイズ(LS)を、それぞれのBW群で計算しました。BW群をそれから、小型、平均、そして大型LS群に分割しました。予測の精度は、LSによって影響されませんでしたが、小型と大型BW群だけに関し、母体重によって影響を受けました。体重を補正した時、±1日と±2日間隔内の予測精度は、それぞれ75%と87%でした。段階的ロジェスティック回帰を用いて、胎児がLHサージ後30日で測定された時、体重またはLSにかかわらず、もっとも正確な分娩日の予測が得られました。大横径とBD胎児測定だけ用いた妊娠39日後に行った分娩日予測は、±2日の範囲内で50%以下の精度でした。(Dr.K訳)
■子宮横軸切開の非閉鎖対閉鎖:イヌにおける実験的研究
Gul A, Kotan C, Ugras S, Alan M, Gul T.
Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol 2000 Jan;88(1):95-9
Transverse uterine incision non-closure versus closure: an experimental study in dogs.

この研究は、下位横軸帝王切開中の子宮全層の非閉鎖が、術中もしくは手術直後とそれ以後の合併症の増加に関係していないという仮説を分析するために実施された。手術直後もしくは手術後早期とそれ以後の合併症と、組織における縫合の影響における子宮の全層閉鎖と非閉鎖の評価のため、11頭の妊娠犬が帝王切開をなされた。
統計解析は連続変数と質的変数の分析のためStudent's t-検定を用いて実施された。有意差はP < 0.05として定義した。創傷感染、他の病的状態、死亡率の範囲はグループ間で類似していた。平均手術時間は、閉鎖グループ(92.00+/-6.12分)よりも非閉鎖グループで有意に短かった(71.00+/-7.11分 P < 0.005)。癒着は閉鎖グループよりも非閉鎖グループで有意に少なかった(P < 0.001)。子宮筋層の壊死(5/5: 100% versus 0/5: 00%; P < 0.001)と繊維化(2/5: 40% versus 0/5: 00%;P < 0.01)の範囲は非閉鎖グループよりも閉鎖グループで有意に高かった。イヌの手術直後とそれ以後の合併症において、下位横軸帝王切開における子宮全層非閉鎖は、不利な影響をもたらさないことが認められた。
私たちのデータは、下位横軸帝王切開において、閉鎖グループよりも子宮全層非閉鎖グループが有意に筋肉壊死と繊維化を少なくさせると示している。私たちは、適当な場合の下位横軸帝王切開において、非閉鎖もしくは少なくとも強力な閉鎖ではなく、いたってシンプルな子宮全層閉鎖が優遇されるであろう、と提案する。 (Dr.Yoshi訳)
■小児科の健康管理と取り扱い
Hoskins JD.; Vet Clin North Am Small Anim Pract 1999 Jul;29(4):837-52,; Pediatric health care and management.

小児科の健康管理は、誕生から6ヶ月齢の子犬と子猫の全般的な健康のために欠かせない部分である。子犬と子猫育成の成功は、適正な環境、成長のための適切な栄養素の質と量、食事・睡眠・グルーミング・運動の規則正しいスケジュール・排尿と排便を起こさせる刺激によって得られる。鈎虫、回虫、鞭虫、条虫、ジアルジア、クリプトスプリジウムのような腸管内寄生虫は、子犬と子猫で一般的にみられる。若齢での避妊・去勢の利点はそのリスクよりも遥かに重要である。(Dr.Yoshi訳)
■帝王切開で取り出された子犬の手術前後の危険因子
Paula F. Moon et al;J Am Anim Hosp Assoc 36[4]:359-367 Jul/Aug'00; Perioperative Risk Factors for Puppies Delivered by Cesarean Section In the United States and Canada

帝王切開は犬ではよく行われる外科手術ですが、新生児の生存に影響する麻酔や手術関連要因は十分に評価されていません。新生児の生存に影響する産科もしくは環境要因に加えて、胎児の生まれたときの生存能力や最終的な生存は、術中使用する麻酔にも関係していると考えられています。この麻酔プロトコールは注目されているにもかかわらず、手術にまつわる文献には種々雑多な方法が紹介されています。この研究の目的は、帝王切開後の新生児生存に影響する手術関連危険因子を評価することです。
 807腹の帝王切開(全子犬数3,908頭;帝王切開から得られた子犬数3,410頭)についてアメリカとカナダの109の開業医からデータを得ました。帝王切開で、取り出された時、取り出されてから2時間、2時間から7日間の生存率が、手術要因と関連していると考えました。いくらかの例は追跡調査できませんでしたが、帝王切開で取り出されたとき、2時間後、7日後の累積的な新生児生存率はそれぞれ、92%(3,410頭中3、127頭)、87%(3,392頭中2951頭)そして80%(3、301頭中2,641頭)でした。生まれた時に死んでいるものは8%;生まれてから2時間までに死亡するものは6%;2時間から7日までに死亡するものは11%でした。母犬に関しましては757頭の情報が得られました。7日までの死亡率は1.2%、緊急的に帝王切開が必要となったものは58%(776頭中453頭)でした。最初から帝王切開を予定していたものおよび緊急的に帝王切開が行われたものとしては、ブルドックが最たるものでした(17%;138頭)。
同腹子が全て生存する可能性が増える要因として以下ものがあります:緊急の手術ではないこと;母犬が短頭種ではないこと;子犬は4頭もしくはそれ以下;自力娩出した胎児がいないこと(出産の途中で難産となり帝王切開したということではないという意味)、もしくは奇形の子犬がいないこと;全ての子犬は生まれた時自然に呼吸したこと;少なくとも1頭は生まれた時自然に声を出したこと;メトキシフルランやキシラジンを麻酔プロトコールとして使用しなかったことです。麻酔薬のイソフルランやプロポフォールは7日目の新生児の生存に悪影響を与えていませんでした。(訳Sato)

コメント:帝王切開の子犬の生存率は結構高いです。分娩時に慌てないように分娩前から計画を立てるのがよいと思います。子犬が何頭いるのか、子犬の大きさ、母犬の骨盤の大きさなどは分娩前にレントゲンで検査しておくのがよいでしょう。そして難産になると思われたなら、帝王切開を計画するのが良いと思われます。途中で生まれないからってことで、緊急帝王切開になるのは飼い主さんや母犬、我々獣医師にも負担やプレッシャーが大きくなると思います。

■帝王切開で取り出された後の、子犬の活力に関連する術中因子
Paula F. Moon-Massat, DVM, DACVA et al; J Am Anim Hosp Assoc 38[1]:90-96 Jan-Feb'02 Original Report 15 Refs; Perioperative Factors Associated With Puppy Vigor After Delivery by Cesarean Section

帝王切開後の新生児生存に影響を与える、術中危険因子に関しての肯定的あるいは否定的な論議が進行中であり、しばしば、使用される麻酔プロトコールに焦点があてられます。最近の研究では、出生後2分以内の自発呼吸と発声で、特徴づけられる子犬の「活力」が、2時間齢と7日齢で生存している全ての子犬に、肯定的に関連付けられております。これらの結果は、この同じデータの再分析が、「子犬の活力」と関連する術中条件、または因子を判定するのに役立つかもしれません。そして、帝王切開後の子犬の生存率を、最終的に向上させるかもいれない推奨麻酔管理法を導くかもしれません。
この予測的研究は、帝王切開で生まれた3,410頭を含む897同腹子の臨床個体群において、子犬の活力に関連する術中危険因子を調査しました。子犬の活力は、新生児が生まれて2分以内の、自発呼吸、動き、あるいは発声するかどうかを評価することにより判定しました。生きて生まれてきた子犬の自発呼吸、動き、発声のパーセンテージは、それぞれ、85%、73%、そして60%でした。取り出した時、取り出して2時間後、取り出して7日後での、新生児累積生存率は、それぞれ、92%、87%そして80%でした。70の危険因子が明らかにされ、子犬の活力に対するそれらの影響について評価しました。子犬の活力特性に関連する因子を、個々の活力パラメーターにおけるそれらの影響について、さらに統計的に評価し、これらの関係を明らかにするために確率を算出しました。イソフルラン吸入麻酔、ケタミン、そしてチオバルビタールの全ては、出生時で、自発的呼吸または、運動に、負の影響を指示する確率となりましたが、イソフルランは、自発的発声において、正の関連があるという結果になりました。このデータから、子犬の活力を増大させる、麻酔因子は、ケタミン、サイアミラール、そしてチオペンタールを回避し、イソフルランを使用することであると思われます。(Dr.K訳)

コメント:同じデータを使って、異なる視点から、帝王切開における、新生児の生存率に、関連する影響を調査したものです。Dr.satoが訳した文献①からは、緊急手術にならない様、出産を計画立てて行うことが、大切であると、あらためて、実感させられました。難産が予想される場合は、帝王切開を計画するのも、良いかもしれません。2つ目の文献②では、気になる麻酔ですね。新生児の活力が少しでも良いものになるよう、参考にしてください。出産は、不安と希望に満ちた2ヶ月間の最終結果となりますから、帝王切開、どうせやるなら、喜びを大にしたいですもんね。これには、やはり飼い主さんにも、ある程度、理解して頂く必要がありますね。分娩時に慌てることがないように。
■2サイズの品種の飼い犬(家庭犬)における授乳のエネルギー論
Scantlebury M et al; Comp Biochem Physiol A Mol Integr Physiol 2000 Feb;125(2):197-210; Energetics of lactation in domestic dog (Canis familiaris) breeds of two sizes.

飼い犬2種における授乳のエネルギー論を、授乳ピーク期間中に評価した。ラブラドールレトリーバー(30kg)の子犬は、ミニチュアシュナウザー(6kg)の子犬よりもサイズが大きかった。7日の実験期間中、ラブラドールの子たちはシュナウザーの子たちよりも絶対的・相対的にその質量において増加した。結果として、母犬の代謝に関連して、子犬のエネルギー要求はラブラドールにおいてシュナウザーよりも高かった。ミルクの組成とミルク産生の全体効率は品種間で有意差はみられず、授乳で足りない分はフード摂取の増加によって供給された。代謝可能なエネルギー摂取は、シュナウザーにおいては低く、ラブラドールにおいては高いと予測された。これらのパターンは種間の予測とは異なり、大きな動物はよりゆっくりと成長し、子はより小さく、より少ないエネルギーで成長すると思われた。(Dr.Yoshi訳)

コメント:大型種の子犬は小型種に比べて体重増加が早いが、ミルク自体に差はなく、大型種の子犬は小型種に比べて多くの量のミルクを必要とする。そのミルク供給のため、大型種の母犬はより多く食べるのであろう、とのことです。産子数にもよるのでしょうが、授乳中の大型種の母犬には、小型種よりも食餌量をより多い割合で増やしてやる必要があるようです。

■メス犬の交配適期を決めるための膣スメアーの信頼性
[The reliability of vaginal cytology in determining the optimal mating time in the bitch]
Tijdschr Diergeneeskd 126[21]:685-9 2001 Nov 1
Hiemstra M, Schaefers-Okkens AC, Teske E, Kooistra HS

交配適期決定のための膣スメアーの信頼性は、議論の的となっています。スメアーを得る場所(膣前庭や膣)の重要性、一番よい染色方法も不明です。それゆえ、血漿プロゲステロン濃度と比較することで、膣スメアーの信頼性を調査しました。またスメアーを得た場所の違いや染色方法(すなわち、ギムザやパパニコロー、表層細胞のケラチン染色法)による影響も調査しました。卵胞期の犬35頭の膣スメアーを、125Iラジオイムノアッセイ法でプロゲステロンを測定し交配適期が確立するまで、週3回調査しました。
結果は、膣スメアーはメス犬の交配適期を決めるのに有効なものでないと示します。それは、スメアー結果による交配で、適正な時期に交配できる犬はたった28%しかいないと思われるからです。スメアーの部位や染色方法は精度に影響しません。よって、スメアーは交配適期を決める繁殖管理で有効なものでないと結論付けます。しかし、一般には繁殖周期のステージ、例えば、卵胞期の初期、発情後期、卵胞周期障害の発見などを知るために使用可能で、この目的には、膣前庭のスメアー、形態学的な染色方法で、十分な情報が得られます。(Dr.Sato訳)

■末梢血のプロゲステロン濃度を基にした交配適期:3種類のELISA試験キットと125Iラジオイムノアッセイ法との比較
van Klaveren NJ et al; Tijdschr Diergeneeskd 126[21]:680-5 2001 Nov 1 ; [The optimal mating time in the bitch based on the progesterone concentration in peripheral blood: a comparison between three elisa test kits and a 125I RIA]

発情中の血漿プロゲステロン濃度で、犬の交配適期を決定できます。この研究では、3種類のELISA試験キットと125I-ラジオイムノアッセイ法(125I-RIA)でプロゲステロン濃度を測定し、26頭のメス犬の交配適期を決めました。2人の観察者が、同時にELISAの結果を判定しました。その結果を独立的に分類し、試験された犬を知りませんでした。
両観察者共に、Progesterone Small Rapid ELISA test と Status-Pro testで測定したプロゲステロン濃度による交配適期と、125I-RIAで測定による交配適期に有意な違いがありました。それに対し、Ovucheck Premate testを使用したときには有意な違いがなく、観察者1では14頭中3頭(21%)、観察者2では14頭中4頭(29%)が、125I-RIAで得られた結果と違う日に交配させることになります。RIAの結果を基にした交配時期を2日間延ばしたときも、結果は変わりませんでした。ERISA試験キットで測定したプロゲステロン濃度は、臨床の交配時期を決定するには不正確すぎます。交配時期を決定するためには、RIAで測定したプロゲステロン濃度を用いる時だけ唯一確かなものとなります。(Dr.Sato訳)

コメント:交配日を決定するのに、膣のスメアー検査を行いますが、信頼性がすごく低いみたいです。信頼性では、排卵前後の黄体ホルモン濃度を測定する事で、確実な交配時期を予測できますが、外国で販売されている測定キットも不正確なようです。今のところ発情前期の平均期間は9日、発情期の平均期間は9日間といわれています。犬の精子は子宮の中で4-6日間生存するという事なので、膣スメアー検査で、発情ステージを把握し、発情期に何回か交配させることで、受胎率を上げていくしかなさそうです。