■卵巣子宮摘出術を行う犬において生理食塩と比較した複数様式の鎮痛後で腹腔内および切開部ロピバカインは術後鎮痛を改善しなかった
Intraperitoneal and incisional ropivacaine did not improve postoperative analgesia after multimodal anaesthesia compared with saline in dogs undergoing ovariohysterectomy
Schweiz Arch Tierheilkd. 2023 Oct;165(10):634-643.
doi: 10.17236/sat00405.
K Kazmir-Lysak , B Steblaj , P R Torgerson , A P N Kutter , F Restitutti , I S Henze

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局所麻酔の腹腔内投与は、犬の卵巣子宮摘出後の術後疼痛を軽減するかもしれない。

この前向き無作為化盲検プラセボ-コントロール臨床試験の目的は、ロピバカイン vs 0.9%NaCl(生食)の腹腔内および切開部投与後、術後鎮痛とオピオイドの必要性を比較することだった。

この研究に43頭の飼い犬を登録し、アセプロマジン(0.03-0.05mg/kg)、デクスメデトミジン(0.01mg/kg)筋肉内投与の前処置を含む標準化プロトコールを用いて麻酔をかけた。麻酔はプロポフォールの滴定とケタミン(1mg/kg)静脈内投与で導入し、イソフルランで維持した。鎮痛処置はカルプロフェン(4mg/kg)皮下投与とモルヒネ(0.2mg/kg)の静脈内投与が含まれた。

グループ割り当てにより、腹腔内および切開部へのロピバカイン投与(それぞれ2mg/kgと1mg/kg)(R群)、あるいは等量の生理食塩水(S群)のどちらかの処置を受けた。ブプレノルフィン(0.02mg/kg)を1回筋肉内に投与し子宮を摘出した。

鎮静と疼痛は、鎮静スケール、グラスゴー複合疼痛スケールのショートフォーム(CMPS-SF)とダイナミック双方向性ビジュアルアナログスケール(DIVAS)を用い、抜管後0、5、1、2、4、6、8時間目に評価した。術後、犬のCMPS-SFのスコアが6/24の場合、ブプレノルフィン(0.01mg/kg)を静脈内投与した。

順序混合モデルで両群の疼痛スコアに違いを示さなかった。フィッシャーの正確検定を用い、使用した用量でS群(3/22頭)とR群(1/21頭)の間で術後のブプレノルフィン必要性に有意差は示されなかった。また、より低い鎮静スコアは、より高いDIVASスコアと関係していた。

この多様式鎮痛プロトコールにおいて、ロピバカインは生理食塩水と比較して鎮痛を改善できなかった。(Sato訳)
■犬と猫の外科的切開において術中のアドレナリンを含まないリドカインの浸潤後の一次創傷治癒と潜在的合併症の評価
Evaluation of primary wound healing and potential complications after perioperative infiltration with lidocaine without adrenaline in surgical incisions in dogs and cats
Acta Vet Scand. 2023 Jun 13;65(1):21.
doi: 10.1186/s13028-023-00686-x.
Erica Anna Gumpert Herlofson , Francesca Tavola , Karolina Siri Engdahl , Annika Filippa Bergström

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背景:リドカインを使用した先制の局所鎮痛は、創傷治癒に対する影響が議論されているにもかかわらず、多様式鎮痛処置の一部として獣医療で行われることが多くなっている。

この前向き無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験の目的は、外科的切開の一次創傷治癒に対し、リドカインの術中皮下浸潤が負の影響を持つかどうかを評価することだった。

52頭の愛玩動物(猫3頭、犬49頭)を研究に登録した。組み入れ基準は以下とした:American Society of Anaesthesiologists (ASA)スコアIあるいはII、最小体重5kg、最低4cmの計画された切開長。外科的切開の皮下に、アドレナリンが含まれていないリドカイン、あるいはNaCl(プラセボ)を浸潤させた。創傷治癒の評価には、飼い主や獣医師に対するフォローアップアンケート、術創のサーモグラフィーを使用した。

結果:一次創傷治癒に関し、飼い主や獣医師アンケートでトータルスコアあるいは個々の評価ポイントで処置およびプラセボ群間の有意差はなかった(全ての比較でP>0.05)。処置とプラセボ群のサーモグラフィーの結果に有意差はなく(P=0.78)、獣医プロトコールのトータルスコアとサーモグラフィーの結果の間に有意な相関はなかった(Spearman's相関係数-0.10、P=0.51)。手術部位感染は5/53(9.4%)の外科処置で発生し、感染の全ての症例はプラセボ群だったため、処置とプラセボ群間でその発生は有意に変化した(P=0.05)。

結論:この研究の結果は、ASAスコアI-IIの患者で、局所麻酔としてリドカインの使用は、創傷治癒に影響を及ぼさなかったことが示される。この結果は、外科的切開でのリドカイン浸潤は、疼痛低減のために安全に使用できることを示唆する。(Sato訳)
■犬の卵巣子宮摘出術中にトラマドールを持続定量点滴vs1回の静脈ボーラス投与した時の生理学的パラメーターおよびイソフルランの麻酔必要量への影響
Effect on physiological parameters and anaesthetic dose requirement of isoflurane when tramadol given as a continuous rate infusion vs a single intravenous bolus injection during ovariohysterectomy in dogs
PLoS One. 2023 Feb 8;18(2):e0281602.
doi: 10.1371/journal.pone.0281602. eCollection 2023.
Giovanna L Costa , Simona Di Pietro , Claudia Interlandi , Fabio Leonardi , Daniele Macrì , Vincenzo Ferrantelli , Francesco Macrì

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背景:実験状況下の犬で、トラマドールはセボフルランやイソフルランの最小肺胞濃度を有意に減少させる。この研究の目的は、卵巣子宮摘出術を行う犬において生理学パラメーターやイソフルラン必要量に対し、トラマドールの持続定量点滴(CRI)と1回の静脈ボーラス投与の影響を比較することだった。

方法:この研究において、卵巣子宮摘出を行う40頭のメス犬を登録した。メス犬は5mg/kgのチレタミン/ゾラゼパムとアセプロマジン0.05mg/kg静脈投与の組み合わせで麻酔をかけた。麻酔は100%酸素のイソフルランで維持した。A群(n=20)はトラマドール4mg/kgの1回静脈ボーラス投与、対してB群(n=20)はトラマドール1.5mg/kgの静脈ボーラス投与に続き、2.6mg/kg/hのCRIを行った。以下のパラメーターを記録した:心拍数、呼吸数、非侵害血圧、体温、EtCO2、SpO2、イソフルランの吸気及び呼気濃度。パラメーター測定値は前投薬前(基礎値)から皮膚縫合まで実施した。

結果:犬は健康な被験者で、検査に異常はないことが証明された。両群においてチレタミン/ゾラゼパムとアセプロマジンを組み合わせた投与後、有意な頻脈を記録した。両群で挿管後に心拍数は低下したが、基礎値と比べてまだ有意に高いままだった。両群で収縮期血圧は有意に低下したが、記録した値は生理学的範囲内だった。両群で体温は軽度の低下を記録した。SpO2とEtCO2は生理学的範囲内を維持した。A群に比べB群のイソフルラン要求量は有意に低かった。トラマドール投与後にA群に属する2頭において一時的な単収縮を記録した。

結論:チレタミン/ゾラゼパムとアセプロマジンを組み合わせて麻酔をかけた犬において、犬の卵巣子宮摘出術中のトラマドール1回静脈ボーラス投与と比べ、トラマドールのCRIはイソフルラン必要量を減少させる。卵巣子宮摘出術を行う犬においてトラマドールのCRI、1回静脈ボーラス投与共に、心拍数、呼吸数、体温を低下させたが、それらパラメーターの値は、生理学的範囲内を維持する。(Sato訳)
■犬のブトルファノールの効果を増加させるための投与プロトコール
Dosing protocols to increase the efficacy of butorphanol in dogs
J Vet Pharmacol Ther. 2022 Sep 26.
doi: 10.1111/jvp.13095. Online ahead of print.
Dariyan Springfield , Butch KuKanich , Mackenzie Gray , Kate KuKanich , Poyu Lai

この研究の目的は、犬のブトルファノール投与法を改善することだった。

12頭(オス6頭、メス6頭)のビーグルを登録した。6頭を無作為に各ブトルファノール処置に振り分けた:IV(0.4mg/kg)、IV初期量(0.2mg/kg)とIV CRI(0.2mg/kg/h8時間)、SC(0.8mg/kg)と等量の重炭酸ナトリウム(SC-重炭酸ナトリウム)、CYP阻害剤後のIV。

CRIはIVボーラスよりも長期に持続する処置で、SC-重炭酸懸濁液はSCよりも長期に持続する処置だろうと仮説を立てた。

低体温(犬で抗侵害受容に対応するオピオイド効果)と鎮静を評価した。薬物動態とブトルファノール薬物動態に対するCYP阻害効果を判定した。

直腸温は基礎から1.5-4h(IV)、1-5h(CRI)、2-7h(SC-重炭酸)で有意に低かったが、SC後はそうではなかった。全ての処置で犬は鎮静化した。ブトルファノールの半減期は1.5hまでだった。SC-重炭酸は、SCに関して生物学的利用が低く(61%)、徐放はなく、CRI平均定常血漿濃度は43.1ng/mlだった。CYP阻害はブトルファノールに対して最小の薬物動態効果だった。0.4mg/kgIVと0.2mg/kg初期投与+0.2mg/kg/hCRIは直腸温を低下させたが、0.4mg/kgSCは低下させなかった。ブトルファノールの臨床的鎮痛を判定する追加研究が必要である。(Sato訳)
■犬の卵巣子宮摘出後の急性疼痛と炎症に対してカルプロフェンと比較したグラピプラントの効果の予備的評価
Preliminary evaluation of the effects of grapiprant compared with carprofen on acute pain and inflammation following ovariohysterectomy in dogs
Am J Vet Res. 2022 May 28;83(7):ajvr.21.10.0162.
doi: 10.2460/ajvr.21.10.0162.
Brittany L Southern , Sarah M Long , Danielle N Barnes , Hiroko Enomoto , Kristen M Messenger

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目的:卵巣子宮摘出術(OVH)後の犬において、術後疼痛と炎症の治療に対して、グラピプラントとカルプロフェンの鎮痛効果の比較

動物:研究ビーグルのメスの成犬12頭

方法:犬を無作為に2つの処置群に振り分けた:卵巣子宮摘出術前1.5時間にグラピプラント(2mg/kg、PO;n=6)、あるいはカルプロフェン(4.4mg/kg、PO;n=6)を投与し、その後24時間毎に合計3回投与した。間質液(ISF)採取のため、OVH切開内に限外濾過プローブを設置した。疼痛と炎症は何も知らされていない観察者により、薬剤投与前と、手術と投与後72時間まで複数のタイムポイントで、機械的侵害受容域値検査とグラスゴー複合疼痛スケールの簡易型で評価した。ISFは炎症の部位でプロスタグランジンE2濃度を評価するため、同じタイムポイントで採取した。

結果:両群ともに疼痛スケールスコアは、術後すぐの期間で最も高く、次第に低下した。両処置群において、基準と比較して全ての時間の機械的侵害受容域値の結果に有意差(P=0.003)があったが、群間で違いはなかった。ISFのプロスタグランジンE2濃度は、カルプロフェンに比べグラピプラントを投与した犬の方が高かった。カルプロフェンの1頭は、レスキューの鎮痛を必要とした。

臨床関連:この予備研究の結果は、カルプロフェンとグラピプラント両方とも、犬のOVH後の術後疼痛に効果的かもしれないと示唆した;しかし、より大きく、多様な犬の集団でグラピプラントの有効性を判定する追加研究が求められる。(Sato訳)
■卵巣子宮摘出を行う犬においてブトルファノール抗酸化および鎮痛のポテンシャル
Antioxidant and analgesic potential of butorphanol in dogs undergoing ovariohysterectomy
Theriogenology. 2022 Jul 11;190:1-7.
doi: 10.1016/j.theriogenology.2022.07.002. Online ahead of print.
Nilgün Gültiken , Hande Gürler , Gül Fatma Yarım , Firdevs Binli , Müge Tuncay , Fatih Büyükbudak , Ayris Gökçeoğlu , Elvan Anadol

この研究の目的は、術前あるいは術後早期に投与したブトルファノールの術後鎮痛および抗酸化効果を評価することだった。

卵巣子宮摘出を行う27頭の健康なメス犬を無作為に3群に振り分けた:術前群(BSG、n=7)は麻酔前処置の30分前にブトルファノールを投与、術後群(ASG、n=10)は最終の皮膚縫合中にブトルファノールを投与、コントロール群(CG、n=10)はブトルファノールを投与しなかった。疼痛はグラスゴー複合ス疼痛ケールのshort form(CMPS-SF)で評価した。マロンジアルデヒド(MDA)、スーパーオキシドジムスターゼ(SOD)、グルタチオン ペルオキシダーゼ活性(GPx)の血清濃度は、酸化ストレス状態を評価するため、分光光度法で定量した。

全ての群において、疼痛スコアは術後1時間で急速に上昇し、その後24時間かけて漸進的に低下した。CMPS-SFスコアに関して群間の統計学的差はなかった(P>0.05)。

術後1時間から24時間までのMDAの血清濃度は、BSGやCGに比べてASGで高かった(P<0.05)。術後1時間から24時間までのSODの血清活性は、BSGやCGに比べてASGで高かった(P<0.05)。ASGの異なるタイムポイントで血清SOD活性は、術前レベルと比べて違いはなかったが、CTとBSGでは1時間以降有意に低下した。

結果は、術前あるいは術後の1回のブトルファノール投与では、十分な鎮痛を提供できないかもしれないと示すが、抗酸化のポテンシャルはあると思われ、卵巣子宮摘出の早期術後期間に投与した時には酸化ストレスの低下により組織を保護するかもしれない。(Sato訳)
■11頭の犬の非ステロイド性抗炎症剤に関係する全層消化管潰瘍の一次修復
Primary repair of nonsteroidal anti-inflammatory drug-associated full thickness gastrointestinal ulcers in 11 dogs
Vet Surg. 2022 Jul 22.
doi: 10.1111/vsu.13853. Online ahead of print.
Rachel E A Dobberstein , Michelle L Oblak , Brigitte A Brisson , Ameet Singh , Noel M M Moens , Sabrina Ayoub

目的:非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)の投与に関係する胃十二指腸穿孔の一次修復を行った犬の結果を報告する。2つ目の目的は、術後死亡の素因を持つ犬の臨床病理所見を確認することだった。

研究計画:遡及的研究

動物:NSAIDの投与に関連する完全な胃あるいは十二指腸穿孔があり、一次外科的修復を行った犬11頭

方法:2011年11月から2021年1月までにNSAIDsの投与中、完全な胃十二指腸穿孔により、腹膜炎を呈した犬の医療記録を再検討した。収集したデータには、犬の特徴、臨床症状、臨床病理学的結果、手術の詳細、術後管理、結果を含めた。

結果:全ての犬は大型犬種(平均体重42kg;範囲22-75kg)で、平均年齢は7.35歳だった。11頭中9頭(82%)は、コルチコステロイドとNSAIDの併用、あるいはNSAIDを製薬会社の推奨よりも高用量/高頻度/長期に投与されていた。全ての胃十二指腸穿孔は、上部消化管で発見された。11頭中8頭(73%)は生存して退院した。術後のフォローアップ期間の中央値は444日(範囲2-1460日)だった。潰瘍の大きさあるいは部位と死亡率に関係は見られなかった。

結論:完全な胃十二指腸潰瘍の一次修復を行ったほとんどの犬は生存した。胃十二指腸穿孔は、一般的にNSAIDsの高用量あるいは長期投与、または他のNSAIDあるいはコルチコステロイドの併用投与によるものだった。

臨床意義:全層胃十二指腸潰瘍の犬において、一時閉鎖の成功率は高いかもしれない。(Sato訳)
■卵巣子宮摘出術を行う犬で術後の鍼は術前の鍼あるいはメロキシカムと同じように効果的である
Postoperative Acupuncture is as Effective as Preoperative Acupuncture or Meloxicam in Dogs Undergoing Ovariohysterectomy: a Blind Randomized Study
J Acupunct Meridian Stud. 2022 Jun 30;15(3):181-188.
doi: 10.51507/j.jams.2022.15.3.181.
Ana Carla Zago Basilio Ferro , Caroline Cannolas , Juliana Cristianini Reginato , Stelio Pacca Loureiro Luna

背景:鍼は非ステロイド性抗炎症薬およびオピオイドと同じような鎮痛効果を持つ。制御できない動物において術前の鍼の実施は困難だが、術後の麻酔効果が残っている間に、術後の鍼の実施は容易である。

目的:卵巣子宮摘出術後の鎮痛に関し、術前の鍼あるいはメロキシカムと、術後の鍼を比較した

方法:これは水平前向きポジティブコントロール盲検無作為化実験研究である。36頭を無作為に3つの群に振り分けた:GA(先制鍼)、GPA(術後鍼)、GM(メロキシカム0.2mg/kg IV 術前)。アセプロマジン(0.05mg/kg IM)で鎮静後、プロポフォール(5.3±0.3mg/kg)で麻酔導入し、イソフルラン/O2で維持した。フェンタニル(2μg/kg IV)を手術直前に投与した。Acupont大腸4、脾臓6、胃36で両側鍼を術前に20分間(GA)、術後すぐ(GPA)に実施した。術前と術後24時間、処置を知らせていない観察者により疼痛をGlasgowスケールで評価した。スコア6以上のスコアの犬には、レスキューとしてモルヒネ(0.5mg/kg IM)を投与した。ノンパラメトリックデータはKruskal-Wallis testに続きDunn's testで解析し、パラメトリックデータはANOVAに続きTukey's testで解析した。

結果: GAの2頭およびGPAの1頭はレスキューの鎮痛を1回行った。GMの犬2頭はレスキューの鎮痛を受け、そのうち1頭は2回受けた。群間でレスキューの鎮痛を受けた犬の頭数に差はなかった(p=0.80)。

結論:卵巣子宮摘出を行うメス犬において、術後の鍼は、術前の鍼あるいはメロキシカムと同じように効果的だった。(Sato訳)
■健康なオス犬におけるブプレノルフィンの静脈内、経口経粘膜、鼻腔内投与の薬物動態
Pharmacokinetics of intravenous, oral transmucosal, and intranasal buprenorphine in healthy male dogs
J Vet Pharmacol Ther. 2022 Apr 21.
doi: 10.1111/jvp.13056. Online ahead of print.
Hiroko Enomoto , Lydia Love , Melanie Madsen , Amber Wallace , Kristen M Messenger

動物の疼痛の効果的な管理は非常に重要であるが、外来の犬に対する急性疼痛の治療に対してはオプションが限られている。

この研究の目的は、健康なオス犬に対しブプレノルフィンの濃縮液1.8mg/kg(Simbadol™)を静脈内、鼻腔内、経口経粘膜(OTM)ルートで投与した時の血漿濃度、薬物動態を比較することだった。

5頭の健康な去勢済みオスのビーグルの雑種犬を、この任意配列ブロック交差試験に含めた。犬には、0.03mg/kgのブプレノルフィンを静脈内、鼻腔内、OTMルートで投与し、処置間は最短72時間ウォッシュアウト期間を設けた。採血は投与後24時間まで、複数の間隔で行い、ブプレノルフィン血漿濃度は、液体クロマトグラフィータンデムマス分光測定で測定した。

非区画薬物動態解析で、静脈内、鼻腔内、OTMルートの曲線下面積は、それぞれ28.0 (15.1-41.3) h × ng/ml、16.1 (3.4-28.7) h × ng/ml、10.8 (8.8-11.8) h × ng/mlだった。鼻腔内とOTMルートの生物学的利用能は、それぞれ57.5 (22.7-93.7)% と41.1 (25.5-69.4)%だった。

犬に対する濃縮ブプレノルフィンの鼻腔内およびOTMルートの投与は、自宅での鎮痛ケアを提供可能だと思われる。(Sato訳)
■犬の卵巣子宮摘出後の術後疼痛に対するリドカインあるいはトラマドールの単独あるいは組み合わせの腹腔内投与
Intraperitoneal administration of lidocaine or tramadol alone or in combination on postoperative pain after ovariohysterectomy in dogs
Vet Med Sci. 2021 Feb 2.
doi: 10.1002/vms3.437. Online ahead of print.
Behnam Farokhzad , Soroush Sabiza , Mohammad Razi Jalali , Ali Baniadam

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この前向き無作為化実験研究の目的は、犬の卵巣子宮摘出術後の疼痛管理に対し、リドカインあるいはトラマドールの単独あるいは組み合わせの腹腔内(ip)投与を評価する。

18頭の健康なメスの雑種犬、年齢1-2歳、体重16.7±3.8kgを使用した。犬はアセプロマジン(0.1mg/kg、筋注)で鎮静をかけた。40分後、ジアゼパム(0.5mg/kg)とケタミン(10mg/kg)の静脈点滴で麻酔を導入し、イソフルラン1.5%で維持した。その後、卵巣子宮摘出を実施し、白線の閉鎖前、エピネフリン含有リドカイン(8.8mg/kg、ip)をL群に、トラマドール(4mg/kg、ip)をT群に、エピネフリン含有リドカイン(8.8mg/kg、ip)とトラマドール(4mg/kg、ip)をLT群に投与した。コルチゾール、バイタルサイン、疼痛スコアリングシステムを異なるタイムポイントで評価した。

バイタルサインは群間で変化がなかった。LT群のコルチゾール濃度は、LおよびT群と比べて術後1、3、6時間目に有意に低下していた。Sammarco and Simple descriptive (SDS) scoring methodを基に、群間の疼痛スコアも変化がなかった。しかし、University of Melbourne pain scale (UMPS) とthe short form of Glasgow pain scale (CMPS-SF)によると、LT群の疼痛スコアは、他の2群よりも高かった。

得られた結果から、リドカインとトラマドールの組み合わせは、別々の投与と比べ、より良い鎮痛を提供できると思われた。ゆえに、卵巣子宮摘出後、最終的な量0.2ml/kgのリドカイン(8.8mg/kg)とトラマドール(4mg/kg)の組み合わせの腹腔内投与が勧められる。(Sato訳)
■避妊手術を行ったメス犬に対するレーザー穿刺とメロキシカムの術後鎮痛効果
Postoperative Analgesic Effects of Laserpuncture and Meloxicam in Bitches Submitted to Ovariohysterectomy
Vet Sci. 2020 Jul 21;7(3):E94.
doi: 10.3390/vetsci7030094.
Rubia M Tomacheuski , Marilda O Taffarel , Guilherme S Cardoso , Ana A P Derussi , Marcos Ferrante , Rodrigo Volpato , Stelio P L Luna

背景:この前向き、無作為化盲検で、犬の術後疼痛管理に対するレーザー穿刺の効果を調査した。

方法:16頭のメス犬にアセプロマジンで鎮静をかけ、避妊手術の前に無作為にメロキシカム0.2mg/kg筋注、あるいはレーザー穿刺(波長904mm、周波数124Hz、強度10ジュール、各経穴で100秒)の処置を行った。麻酔はプロポフォール、イソフルラン/O2、フェンタニルで実施した。グラスゴー複合測定疼痛スケール(GCMPS)、ダイナミック・インタラクティブ・ビジュアル・アナログ・スケール(DIVAS)で術前および術後24時間の疼痛を評価した。疼痛スコアが3.33以上(GCMPS)の時、レスキュー鎮痛としてモルヒネを投与した。処置間、タイムポイント間の差、グループ間のレスキュー鎮痛の量をマン-ホイットニー検定、GCMPSに対する曲線下面積(AUC)、フリードマン、カイ二乗検定で調査した(p<0.05)。

結果:レーザー穿刺で処置した犬は、24時間のGCMPS AUCがより少なく、術後2時間、4時間のGCMPSスコアがより低かった(P=0.04)。メロキシカムで処置した3頭が術後レスキュー鎮痛を必要としたのに対し、レーザー穿刺で処置した犬で必要とした犬はいなかった。

結論:この予備研究において、レーザー穿刺は避妊手術後の犬の疼痛を軽減した。この方法は軟部組織手術を行う犬において周術疼痛管理の有望な補助処置である。(Sato訳)
■犬の椎間板疾患の外科的治療後の鎮痛に対しプレガバリンの無作為化対照試験
Randomized Controlled Trial of Pregabalin for Analgesia After Surgical Treatment of Intervertebral Disc Disease in Dogs
Vet Surg. 2020 Apr 23.
doi: 10.1111/vsu.13411. Online ahead of print.
Philipp A Schmierer , Julia Tünsmeyer , Andrea Tipold , Sonja Hartnack-Wilhelm , Piotr Lesczuk , Sabine B R Kästner

目的:椎間板手術後の疼痛反応に対する周術プレガバリンの効果を評価する

研究計画:何も知らされていない観察者による前向き無作為化対照臨床試験

動物:椎間板手術を行った飼育犬46頭

方法:犬を無作為にオピオイドのみのプラセボ群と、オピオイドとプレガバリンを投与したプレガバリン群の2群に振り分けた。オピオイド鎮痛は、麻酔導入時に0.6mg/kgのl-メタドンを静脈投与し、続いて抜管後8、16、24時間目に0.2mg/kgを投与、手術終了時にフェンタニルパッチを使用した。プレガバリンは麻酔の1時間前に経口投与し(4mg/kg)、続いて術後は1日3回5日間投与(4mg/kg)した。結果測定は治療群の差で、術後最初の5日間の切開部周囲の機械的感度とGlasgow Composite Measure Pain Scale (CMPS-SF)で評価した。プレガバリンの血清濃度を24、72、120時間後に測定した。

結果:研究期間中、コントロール群と比較して、治療群のプレガバリンは平均2.5CMPS-SFユニット(95%CI=-3.19から-1.83、P<0.001)の疼痛レベルを減じた。プレガバリンは研究期間中、平均6.89N/日(95%CI=1.87-11.92、P<0.001)の機械的侵害受容域値を上昇させ、部位によっては7.52N/日(95%CI=2.29-12.77、P<0.001)上昇させた。血清プレガバリンの平均濃度は、術後24、72、120時間で、それぞれ5.1、4.71、3.68μg/mLだった。

結論:椎間板ヘルニアの外科的治療後、オピオイド単独よりも周術プレガバリンの投与を受けた犬は、疼痛の術後症状が減った。
臨床的意義:周術プレガバリンの投与は、椎間板ヘルニアの外科的治療後の疼痛を減らす。
■老齢猫における変形性関節症に対するトラマドールの評価
Evaluation of tramadol for treatment of osteoarthritis in geriatric cats.
J Am Vet Med Assoc. March 2018;252(5):565-571.
DOI: 10.2460/javma.252.5.565
Alonso G P Guedes, Julie M Meadows, Bruno H Pypendop, Eric G Johnson

目的:変形性関節症の老齢猫の疼痛症状および可動性の悪化に対するトラマドールによる治療の評価

計画:無作為対照クロスオーバー試験

動物:変形性関節症の個人飼育の老齢猫24頭(10歳以上)

方法:少なくとも1つの肢の関節で変形性関節症の臨床およびエックス線所見があり、オーナーが可動性の機能障害を認めており、その他は健康な猫を研究した。処置間に2日間(週末)のウォッシュアウト期間を設け、トラマドールを経口で、0(プラセボ)、1、2、4mg/kg1日2回を5日間投与した。可動性は首輪につけたアクティブモニターシステムで評価し、活動障害はオーナーのアンケートで評価した。

結果:17頭の猫が研究を完了した;7頭は中止した。プラセボと比べ、トラマドール2mg/kgで有意に活動性が増加した。顕著に多くのオーナー(11/18)は、他の全ての投与量(6/19から8/21)と比べ、2mg/kgの投与量で改善していると考えた。ほとんどのオーナー(17/20(85%))は猫の全体のQOLは研究中改善していると考えた。プラセボ(0/21)との有害事象の頻度と比較して、有害事象、主に多幸感、不快、鎮静、食欲低下、下痢は、4mg/kg(8/19)と2mg/kg(6/18)投与で有意に多く見られたが、1mg/kg(2/21)投与では少なかった。

結論と臨床関連:変形性関節症の老齢猫において、2mg/kgのトラマドール1日2回の経口投与の薬効が示唆された。有害事象は用量依存で、併発疾患がある猫あるいは、消化管に悪影響を及ぼすかもしれない他の薬剤を投与している猫においては注意すべきである。(Sato訳)
■警察犬の背部痛の管理におけるメソセラピーの効果の評価
Evaluation of the effect of mesotherapy in the management of back pain in police working dog.
Vet Anaesth Analg. 2017 Aug 19. pii: S1467-2987(17)30256-8. doi: 10.1016/j.vaa.2017.07.006. [Epub ahead of print]
Alves JC, Dos Santos AM, Fernandes AD.

目的:陽性コントロール群と比較して犬のメソセラピーの実行可能性と有効性を評価する

研究計画:実験無作為盲検研究

動物:慢性背部痛のある15頭の警察犬

方法:犬を無作為にコントロール群(CG;n=5)と治療群(TG;n=10)に振り分けた。TG群はプラセボのカルプロフェンを投与するプラセボの70日コースに加え、リドカイン140mg、デキサメタゾン15mg、チオコルチコシド20mgの組み合わせを投与した。カルプロフェンを体重に合わせた量を70日間CG群に投与した。0日目、乳酸リンゲルの皮内注射も行った。両群は3日間休め、5日間通常の活動を再開した。Canine Brief Pain Inventory (CBPI)とHudson Visual Analogue Scale (HVAS)で測定した治療の反応を投与前(T0)、15日後(T1)、1(T2)、2(T3)、3(T4)、4(T5)、5(T6)ヶ月後に評価した。結果は、Mann-Whitney testあるいはpaired samples t testで比較した。

結果:CBPI結果を比較すると、T0からT3、T6とT7でTG群とCG群に違いはなかった。カルプロフェン中止後にCBPIセクションに違いが見られた:T4(疼痛干渉スコア(PIS)に対しp=0.02、疼痛重症度スコア(PSS)に対しp=0.03)およびT5(PISに対しp=0.16、PSSに対しp=0.03)でTG群は全体的により良い結果だった。個々の治療結果は、CG群の1頭(20%)で治療成功、TG群はより高い成功率だった(T1で78%からT7で22%の範囲)。HVASで有意差はなかった。

結論と臨床関連:犬の筋骨格関連痛に対し、メソセラピーは有望な治療オプションと思われる。更なる研究が必要である。(Sato訳)
■犬と猫の周術期疼痛管理
Managing perioperative pain in dogs and cats
Paul MacFarlane
In Practice 2018; 40: 130-140

周術期の効果的な疼痛管理は動物福祉にとって重要であり臨床的な結果も改善する。痛みはこれまでの様々な生理的要素を伴う主観的な評価であり、これまでの鎮痛の概念を超えた要因はその重症度に影響を及ぼす。本論文では周術期の鎮痛とその適応について利用可能な技術について考察する。(Dr.Maru訳)
■正中卵巣子宮摘出術を行った犬の術後疼痛の指標に対する経皮リドカインパッチの効果
Effects of a transdermal lidocaine patch on indicators of postoperative pain in dogs undergoing midline ovariohysterectomy.
Language: English
J Am Vet Med Assoc. May 2017;250(10):1140-1147.
Danielle K Merema, Emily K Schoenrock, Kevin Le Boedec, Maureen A McMichael

目的:卵巣子宮摘出術を行った健康犬の術後疼痛の指標に対し、経皮リドカインパッチ(transdermal lidocaine patch:TLP)の影響を調べる。

計画:無作為化盲検対照試験

動物:卵巣子宮摘出術の学生の外科プログラムに認められたシェルターの健康なメス犬40頭

方法:卵巣子宮摘出を受けた後、犬を無作為に切開の全長に合わせその両側に局所的にTLPの5cm幅のストリップを適応し創傷包帯を行った群(n=19)とプラセボパッチを適応した群(非薬剤包帯;21)に振り分けた。全ての犬の正中卵巣子宮摘出術を行った。その後すぐにモルヒネ筋肉内注射を2回とカルプロフェン(SC、2日間12時間毎)、割り当てられたパッチ(18時間設置)を使用した。short form of the Glasgow Composite Measures Pain Scaleを使用して術後の快適性を評価し、血清コルチゾール濃度を前投薬前、術後1、2、4、6、8、10、18時間目に測定した。

結果:卵巣子宮摘出術を行った後でTLPとプラセボパッチを使用した犬の疼痛スコアおよび血清コルチゾール濃度に有意差は認められなかった。

結論と臨床関連:卵巣子宮摘出術を行った後に、推奨されるモルヒネおよびカルプロフェンの併用で治療した犬に対し、TLPは追加の鎮痛の恩恵をもたらすことはなかった。他の鎮痛剤を併用した犬で同様の結果となるかどうかの追加研究が必要である。(Sato訳)
■絶食および給餌した犬において新しい選択的プロスタグランジンE2受容体拮抗薬グラピプラントの経口投与後の薬物動態と推測生物学的利用能
Pharmacokinetics and estimated bioavailability of grapiprant, a novel selective prostaglandin E2 receptor antagonist, after oral administration in fasted and fed dogs.
Language: English
N Z Vet J. January 2017;65(1):19-23.
B ?ebkowska-Wieruszewska , G Barsotti , A Lisowski , A Gazzano , H Owen , M Giorgi

目的:犬においてグラピプラント2mg/kgで経口投与した時の薬物動態に対する食物摂取の影響を調べることと、その経口生物学的利用能を算出すること

方法:年齢4-10歳の健康なメスのラブラドールレトリバー8頭を使用した。最初の試験で、エタノールに溶かしたグラピプラントを2頭の犬に0.5mg/kgでI/Vボーラス投与した。2つ目の試験では6頭を2群に振り分け、無作為化交差構成で、純粋な粉としてグラピプラント2mg/kgを12時間絶食後に経口投与、あるいは給餌後に経口投与した。投与後36時間まで前もって決めた時間に採血し、血漿のグラピプラント濃度を批准した高速液体クロマトグラフィーで測定した。

結果:2頭の犬のI/V投与後、終末半減期は5.30と6.06時間で、クリアランスは444と476mL/時/kgで、分布容積は3642と3883mL/kgだった。絶食した犬と比較して、給餌した犬の経口投与は、血漿ピーク濃度中央値を減らし(1598 vs. 614ng/mL)、ピーク濃度までの時間の中央値を遅らせた(1.0 vs.3.0時間)。絶食した犬と給餌した犬の推測生物学的利用能は111.9と59.1%だった。経口投与後のグラピプラント血漿濃度は、給餌した犬あるいは絶食した犬共に、6時間まで164ng/mL以上を維持した。この濃度は犬の疼痛をコントロールするのに必要な最小有効濃度と推測されている。

結論と関連:給餌および絶食した犬におけるグラピプラント2mg/kgの経口投与は、その薬剤の異なる薬物動態を引き起こしたが、血漿濃度が理論的有効濃度を超えている時間の長さに影響しなかった。薬物動態-薬力学研究および臨床的被検者を用いて、それらの所見を検証する追加研究が必要である。(Sato訳)
■若齢および中年齢犬におけるトラマドールの薬物動態の比較
Comparison of pharmacokinetics of tramadol between young and middle-aged dogs.
Language: English
J Vet Med Sci. July 2016;78(6):1031-4.
Takaharu Itami , Yasuo Saito, Tomohito Ishizuka, Jun Tamura, Mohammed A Umar, Hiroki Inoue, Kenjiro Miyoshi, Kazuto Yamashita

この研究はトラマドールの薬物動態を、若齢と中年齢犬で比較した。若齢および中年齢犬(それぞれ2歳と8-10歳)にトラマドール(4mg/kg)を静脈内投与(IV)した。トラマドールの血漿濃度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定し、その薬物動態を2-コンパートメントモデルに合わせた。

若齢犬の分布容積(Vd)、排泄半減期(t1/2、β)、全身クリアランス(CLtot)はそれぞれ4.77±1.07 l/kg、1.91±0.26hr、29.9±7.3ml/min/kgで、中年齢犬は4.73±1.43 l/kg、2.39±0.97hr、23.7±5.4ml/min/kgだった。t1/2、βとCLtotのグループ間は有意だった(P<0.05)。

結論として、トラマドールの排泄は中年齢犬で有意に延長した。(Sato訳)
■犬の変形性関節症の治療におけるマバコキシブとカルプロフェンの効果と安全性の比較
Comparative efficacy and safety of mavacoxib and carprofen in the treatment of canine osteoarthritis.
Vet Rec. 2015 Mar 14;176(11):284. doi: 10.1136/vr.102397. Epub 2014 Nov 27.
Payne-Johnson M, Becskei C, Chaudhry Y, Stegemann MR.

ダブルダミーを使用するマルチサイト無作為化パラレルグループ研究を、134日間の犬変形性関節症の犬に関係する疼痛と炎症の治療において、マバコキシブとカルプロフェンの相対的効果と安全性を判定するため実施した。

治療はそれぞれの製品特性の要旨に沿って投与した。スクリーニングした139頭の犬のうち、124頭が研究に適していた:そのうち62頭にマバコキシブを投与し、62頭にカルプロフェンを投与した。

飼い主と獣医師両方の評価で、全てのパラメーターにおいて示されたように、両治療は非常によく似たかなりの改善のパターンを示した。主要有効性エンドポイント‘全体的改善’は治療約6週間後の飼い主評価の複合スコアだった。両薬剤は顕著な効果があり、マバコキシブで治療した犬の57/61(93.4%)、カルプロフェンで治療した犬の55/49(89.1%)は全体的改善を示し、マバコキシブの効果はカルプロフェンの下位ではなかった。その治療は、臨床病理パラメーターの概要と副作用を実証することで裏付けされた同様の安全性プロフィールを有した。

マバコキシブの安全性とともに、治療への良い臨床反応および投与方式は、犬の変形性関節症に対して魅力的な治療法にしている。(Sato訳)
■皮膚の腫瘍切除を行った犬の術後鎮痛に対するカルプロフェンあるいはトラマドールの術前経口投与の効果
The effects of preoperative oral administration of carprofen or tramadol on postoperative analgesia in dogs undergoing cutaneous tumor removal.
Can Vet J. August 2015;56(8):817-22.
Nicole M Karrasch; Phillip Lerche; Turi K Aarnes; Heather L Gardner; Cheryl A London

皮膚の腫瘍切除を行った犬において疼痛スコアと鎮痛剤必要量に対し、カルプロフェンあるいはトラマドールの先制経口投与の効果を比較する、前向き盲検対照臨床試験を行った。

皮膚の腫瘍切除で来院した36頭の飼い犬をカルプロフェン、トラマドール投与、あるいは術前処置なしの群に無作為に振り分けた。疼痛を前処置前、抜管時、その後最初の4時間は1時間毎、そして24時間まで4時間毎にビジュアルアナログスケール(VAS)、Modified Glasgow Composite Measure Pain Score (MGCMPS)、痛覚計を使用して評価した。MGCMPSスコアが7以上、あるいはVAS測定値40mm以上の犬にはレスキューの鎮痛処置を行った。

疼痛VAS、MGCMPS、痛覚計に有意差はなかった。群内でレスキューの鎮痛剤の必要性、あるいはレスキューの鎮痛処置までの時間に差はなかった。術前ヒドロモルフォンおよびレスキューの鎮痛処置と組み合わせて、カルプロフェン、トラマドール、あるいは先制鎮痛なしは、術後24時間の十分な鎮痛が得られた。(Sato訳)
■家庭で犬の術後疼痛管理に対して硬膜外カテーテル留置の合併症と可能性を評価する
Evaluation of complications and feasibility of indwelling epidural catheter use for post-operative pain control in dogs in the home environment.
N Z Vet J. March 2015;63(2):86-91.
L R Phillips; K P McAbee; N Stephenson; N J Stanke; M L Booms; D D Degner

目的:この研究目的は、家庭環境で犬の術後硬膜外カテーテル留置の使用を述べることと、関係する合併症を報告することだった。

方法:後肢の外科処置を行った犬(n=83)を研究し、留置した硬膜外カテーテルから6時間ごとに硬膜外モルヒネを0.05あるいは0.10mg/kgを投与した。カテーテル設置の時間、設置の容易さと遭遇した問題、設置を試みた回数、カテーテルの個別設置などカテーテル設置に関するデータをまとめた。家庭での副作用、合併症、疼痛および退院後の硬膜外カテーテルシステムの使用の容易さ、カテーテル除去を評価するためにオーナーに質問票を渡した。0.05と0.1mg/kgの硬膜外モルヒネを投与した犬の間で副作用を比較した。

結果:最も一般的な合併症は、異常な排尿パターン(32/82,39%);特に横たわっている所の尿の滴下、横たわっている所の全膀胱を空にする排尿、時間が過ぎても排尿しない、排尿時鉗が長くなることが報告された。用量が違うことで報告された副作用の数や種類に有意差はなかった。オーナーによって報告された最も一般的な技術的問題は、注射ポートに針を刺すのが難しい(10/81、12%)、硬膜外カテーテルシステムを動かさないように粘着カバーを剥がすことが難しい(19/78、24%)だった。どの犬にもカテーテル部位の炎症や浸出液は報告されなかった。調査に答えた人のうち、76/79(97%)は術後期間に家庭で硬膜外カテーテルシステムを容易に使用できると分かった。

結論:硬膜外カテーテルの設置は、家庭環境で術後期間すぐに鎮痛剤を投与する実施可能な方法であり、この集団では最小の合併症しか見られなかった。(Sato訳)
■猫の急性疼痛の表情の評価
Evaluation of facial expression in acute pain in cats.
J Small Anim Pract. December 2014;55(12):615-21.
E Holden; G Calvo; M Collins; A Bell; J Reid; E M Scott; A M Nolan

目的:痛みがない猫と急性疼痛の猫を鑑別する表情ツールの開発を述べる

方法:痛みがある猫と痛みがない猫の顔の画像を示した観察者に、猫たちに痛みがあるか無いかを確認するために質問した。顔の画像から解剖学的ランドマークを確認し、それらの距離を図にした。痛みがない猫と痛みがある猫の識別する特徴を確認するために、選択した距離を統計分析にかけた。また、2人のエキスパートが、グループ間の顔の特徴の識別を確認するためサムネイル画像を再検討した。

結果:観察者(n=68)は痛みがない猫と痛みがある猫の識別が困難だったが、13%の観察者だけが痛みのある猫を89%以上区別できた。耳の位置や口/マズル周辺を含む78か所のランドマークと80か所の距離の解析で痛みがない顔と痛みがある顔を区別する6つの有意な因子を確認した。組み合わせるときの口と耳の標準化した距離は、素晴らしい識別特性を示し、正確に98%の症例の痛みがないあるいは痛みがあることを識別した。専門家の再検討で、それらの所見を支持し、サムネイル画像から漫画タイプのスケールを開発した。

臨床意義:痛みがある猫と無い猫の特徴の初回調査は、顔の画像の良好な識別特性の可能性を示唆する。臨床ツールの開発に更なるテストが必要である。(Sato訳)
■去勢手術を行う犬において術中脳波反応と術後疼痛に対するトラマドールあるいはモルヒネの効果
Effects of tramadol or morphine in dogs undergoing castration on intra-operative electroencephalogram responses and post-operative pain.
N Z Vet J. 2013 Nov;61(6):349-53. doi: 10.1080/00480169.2013.780280. Epub 2013 Apr 20.
Kongara K, Chambers JP, Johnson CB, Dukkipati VS.

目的:去勢手術を行う犬で、手術に対する脳波反応と術後疼痛に対し、術前のトラマドール投与とモルヒネ投与の効果を比較すること

方法:犬の去勢手術を行う前にモルヒネ(0.5mg/kgS/C、n=8)あるいはトラマドール(3mg/kgS/C、n=8)を投与した。また全ての犬には調査の鎮痛剤に加えアセプロマジン0.05mg/kgとアトロピン0.04mg/kgS/Cを投与した。麻酔はチオペンタールを効果が出るまでI/Vで導入し、ハロタンで維持した。呼吸数、心拍数、呼気終末ハロタン分圧、呼気終末CO2分圧(EtCO2)を術中モニターした。3つの電極モンタージュを使用して継続的に脳波(EEG)を記録した。皮膚切開前に記録したEEGのパワースペクトルから抽出した周波数中央値(F50)、総パワー(Ptot)、95%スペクトルエッジ周波数(F95)(基準)を両精巣の精索の結節中に記録したものと比較した。術後、グラスゴー・コンポジット・メジャー・ペイン・スケールの短期フォーム(CMPS-SF)を使用して1、3、6、9時間目に疼痛を評価した。

結果:1つ目の精巣の結紮中、トラマドールで前処置した犬の平均F50 (12.2 (SD 0.2) Hz)はモルヒネの犬(11.5 (SD 0.2) Hz)より高く、Ptot(130.39 (SD 12.1) μv(2))はモルヒネの犬(161.8 (SD 15.1) μv(2))よりも低かった(各P<0.05)。2つ目の精巣の結紮中、2つの処置群でEEG反応の違いはなかった。FFGのF95は両精巣の結紮中に2群間で違いはなかった(P>0.05)。術後どの時間でもトラマドールあるいはモルヒネで前処置した犬の間にCMPS-SFの有意差はなかった。レスキューの鎮痛を必要とした犬はいなかった。

結論と臨床関連:術前のトラマドールおよびモルヒネの投与は、今回使用した量において同程度の術後鎮痛をもたらせた。(Sato訳)
■犬のアセプロマジンの鎮静効果を中和するためのドキサプラムの用量
Refinement of the dose of doxapram to counteract the sedative effects of acepromazine in dogs.
J Small Anim Pract. August 2013;54(8):405-8.
M Zapata; E H Hofmeister

目的:犬のアセプロマジンの鎮静を解除するドキサプラムの2つの用量の有効性を評価する

方法:横断研究で、10頭の雑種成犬にアセプロマジンを0.05mg/kgで筋肉内投与(im)し、30分後に次の3つのうちの1つを無作為に施した:0.0625mL/kg生食の静脈内投与(iv)、1.25mg/kgドキサプラムのiv、2.5mg/kgドキサプラムのiv。一人の何も知らされていない観察者により、アセプロマジン投与から0分、15分、30分目と、処置投与から5分、15分、30分目に鎮静のスコアを付けた。

結果:全ての処置での平均基礎鎮静スコアは違いがなかった。アセプロマジン投与から30分の鎮静スコアは全ての犬で有意に増加していた。生食と比較してドキサプラム低用量、高用量共に鎮静スコアの有意な減少を示したが、両投与量で有意差はなかった。高用量群で処置注射後5頭がパンティングを示し、これは低用量群よりも有意に多かった。

臨床的意義:ドキサプラムは短い時間でアセプロマジンの鎮静効果を減ずるのに有効である。1.25mg/kgの用量が、パンティングも起こすことなくアセプロマジンの鎮静を効果的に解除する。(Sato訳)
■成猫および若い猫に対するフルニキシン-メグルミンの治療効果と副作用
Therapeutic and adverse effects of flunixin-meglumine in adult and young cats.
J Vet Med Sci. December 2012;73(12):1591-6.
Kenji Takata; Yoshiaki Hikasa; Hiroshi Satoh

この研究で著者らは、治療効果と副作用に対し若い猫と成猫の間の非ステロイド性抗炎症剤の感受性の違いを明らかにした。

リポ多糖類(LPS)誘発性高体温のフルニキシン-メグルミンを用いた予防において、両性別の若い猫(3ヶ月齢未満)および成猫(12か月以上)にLPS(0.3μg/kg、IV)を投与し、体温を24時間後に測定した。LPS注射の30分前にフルニキシン(1mg/kg、SC)を投与した。若い猫、成猫共にフルニキシンの前投与でLPS誘発性高体温はほぼ完全に抑制された。また、若い猫、成猫共にほぼ同様の解熱効果を示した。

その猫にフルニキシン(1mg/kg、SC)を1日1回3日間投与し、胃腸粘膜病変を検査するため24時間後に安楽死した。成猫においてフルニキシンは小腸内に多数の重度病変を引き起こした。対照的に、若い猫のフルニキシンによる胃腸病変は非常に少なかった。フルニキシンの薬物動態で、血漿のフルニキシン濃度を高速液体クロマトグラフィーにより分析した。注射から0.5-4時間後、若い猫と成猫の血漿フルニキシン濃度に有意差はなかった。

それらの結果は、NSAIDsは消化管副作用の点で成猫よりも若い猫のほうがより安全に使用できたことを示した。さらに、若い猫と成猫の間の消化管病変の違いはフルニキシンの血漿濃度と関係しなかった。(Sato訳)
■ミダゾラム-メデトミジン-ケタミン麻酔とブプレノルフィンあるいはブトルファノールとカルプロフェンあるいはメロキシカム投与下の猫の卵巣子宮摘出術後の鎮痛:前向き無作為臨床試験
Analgesia after feline ovariohysterectomy under midazolam-medetomidine-ketamine anaesthesia with buprenorphine or butorphanol, and carprofen or meloxicam: a prospective, randomised clinical trial.
J Feline Med Surg. August 2012;14(8):553-9.
Sally Polson; Polly M Taylor; David Yates

ミダゾラム-メデトミジン-ケタミン麻酔下で通常の卵巣子宮摘出術を行う100頭のメス猫で、術前に投与した4種類の鎮痛剤の組み合わせによる術後

鎮痛効果を比較するため、盲検、無作為、前向き臨床試験を行った(n=25/群)。

2つ目の目的は子猫および妊娠した猫における効果を評価することだった。

ブプレノルフィン180μg/m(2)あるいはブトルファノール6mg/m(2)を、カルプロフェン4mg/kg(BUPC群およびBUTC群)あるいはメロキシカム0.3mg/kg(BUPM群およびBUTM群)と共に投与した。メデトミジンは拮抗しなかった。simple, descriptive scale (SDS; 0-4)、dynamic and interactive visual analogue scale (DIVAS; 0-100 mm)、mechanical nociceptive thresholds (MT; 2.5-mm diameter probe)を術後疼痛評価に使用した。全ての疼痛スコアは低く(DIVAS<10mm、SDS<2、MT>10N)、群間で有意差はなかった。

通常の猫の卵巣子宮摘出術に対し、全てのプロトコールは十分な鎮痛作用をもたらし、ミダゾラム-メデトミジン-ケタミンと共に使用するときは効果的だと結論付けた。(Sato訳)
■犬と猫におけるモルヒネとフェンタニルの行動的影響の比較
Comparison of behavioral effects of morphine and fentanyl in dogs and cats.
J Vet Med Sci. March 2012;74(2):231-4.
Masatoshi Kamata; Shotaro Nagahama; Kei Kakishima; Nobuo Sasaki; Ryohei Nishimura

モルヒネ0.3、0.6、1.2、2.4μg/kgとフェンタニル5、10、20、40μg/kgの静脈内投与により誘発される行動への影響を犬と猫で評価した。
犬においてフェンタニルとモルヒネは用量依存的に活動性と意識水準を抑制した。
猫においてフェンタニルの高用量は一時的に活動性を刺激したが、「opioid mania」と呼ばれる興奮は観察されなかった。モルヒネは座ってじっと見ることを特徴とする特有の行動変化を誘発し、「opioid mania」は観察されなかった。(Sato訳)
■犬における非ステロイド性抗炎症薬の臨床薬理学
Clinical pharmacology of nonsteroidal anti-inflammatory drugs in dogs.
Vet Anaesth Analg. January 2012;39(1):69-90.
Butch Kukanich; Tara Bidgood; Oliver Knesl

目的:現在獣医療で認可されているNSAIDsの臨床薬理学を述べ、胃腸および腎臓の副作用およびそれらの薬剤で報告されている薬-薬相互作用を概説すること。周術期のNSAIDsの使用および変形性関節症での使用を概説すること。さらに犬の関節軟骨および肝臓へのNSAIDsの影響、ウォッシュアウト期間の臨床的関連を概説すること。

使用したデータベース:PubMed、CAB抄録、Google Scholarで犬、非ステロイド性抗炎症薬、NSAIDsをキーワードで使用した。

結論:それらの鎮痛効果を誘発するNSAIDsのメカニズムを十分理解することは、副作用および薬-薬相互作用を最小限にするため重要である。シクロオキシゲナーゼ(COX)は少なくとも体の中に2つの活動性アイソフォームが存在し、NSAIDsの主な薬理的ターゲットである。COXの抑制はNSAIDsの鎮痛効果に関係する。COXは消化管、腎臓に加え、体の他のエリアに存在し、消化管、腎臓副作用を含む多くの副作用の理由にもなる。

より新しく獣医療で認証されたNSAIDsは、COXイソフォームに対し異なる影響の原因であるかもしれないアスピリン、ケトプロフェン、フルニキシンのような薬剤と比較して、犬で消化管副作用の頻度は低い。現在、犬で新しいNSAIDsの腎臓あるいは肝臓副作用がより少ないことを論証している発表はない。NSAIDsは不耐性、現行の治療あるいは基礎にある医学的問題により禁忌でなければ、変形性関節症に対する経口療法の基本である。また術後の疼痛管理でも有効でよく使用される。(Sato訳)
■卵巣子宮摘出術後の硬膜外および全身性トラマドールの鎮痛効果の比較
Comparison of epidural and systemic tramadol for analgesia following ovariohysterectomy.
J Am Anim Hosp Assoc. 2012 Sep-Oct;48(5):310-9.
Sandra Mastrocinque; Tatiana F Almeida; Angelica C Tatarunas; Viviani H Imagawa; Denise A Otsuki; Julia M Matera; Denise T Fantoni

本研究の目的は、卵巣子宮摘出術を行うメス犬において硬膜外および全身性トラマドールの術後鎮痛効果を比較することだった。

20頭の犬を無作為に2群に振り分けた。麻酔導入30分前に、それぞれの群の犬に硬膜外(EPI)あるいは筋肉内(IM)のトラマドール投与(2mg/kg)を行った。薬剤投与から24時間目まで異なるタイムポイントで鎮痛、鎮静、心肺パラメーター、終末呼気イソフルラン、血中カテコラミンおよびコルチゾール、動脈血ガスを測定した。

心肺パラメーター、終末呼気イソフルラン、疼痛スコアに関しては2群間の違いはなかった。IM群の2頭、EPI群の1頭は追加の鎮痛処置を必要とした。基準値と比較してコルチゾールは120分目(IM群3.59μg/dL、EPI群3.27μg/dL)および240分目(IM群2.45μg/dL、EPI群2.54μg/dL)に上昇した(P<0.05)。両群のノルエピネフリンも120分目に上昇した(P<0.05)。投与してから50分、120分、1440分目のEPI群のエピネフリン値と比較してIM群の値がより高かった(P<0.05)。硬膜外へのトラマドール投与は安全な鎮痛処置であるが、IM投与と比較して鎮痛効果が改善しているとは思われなかった。(Sato訳)
■犬の卵巣子宮摘出術後の疼痛および鎮痛薬必要量に対する腹腔内あるいは切開部内ブピバカイン投与の効果
Effect of intraperitoneal or incisional bupivacaine on pain and the analgesic requirement after ovariohysterectomy in dogs.
Vet Anaesth Analg. July 2012;39(4):426-30.
Daniela Campagnol; Francisco J Teixeira-Neto; Eduardo R Monteiro; Flavia Restitutti; Bruno W Minto

目的:犬の卵巣子宮摘出術後の疼痛および鎮痛薬必要量に対し、腹腔内(IP)あるいは切開部内(INC)ブピバカイン投与の効果を比較する

研究構成:前向き無作為臨床研究

動物:卵巣子宮摘出術(OHE)を行う30頭のメス犬

方法:選択的OHEを行う犬にアセプロマジン、ブトルファノール、チオペンタール、ハロタンで麻酔をかけた。犬を無作為に3群に振り分けた(n=10/群)。処置は以下のような切開周囲の生理学的食塩水(NaCl0.9%)あるいはエピネフリン入りブピバカインの浸潤、および/あるいは生理学的食塩水のIP投与だった:INCおよびIP0.9%NaCl(コントロール群);INC0.9%NaClおよびIPブピバカイン(5mg/kg、IP群);INCブピバカイン(1mg/kg)およびIP0.9%NaCl(INC群)。術後疼痛は抜管後24時間の間、処置を知らされていない観察者により、ビジュアルアナログスケール(VAS)および数値評価スケール(NRS)で評価した。VASが>5/10あるいはNRSが>10/29で救済鎮痛薬(モルヒネ、0.5mg/kg、IM)を投与した。

結果:麻酔後1時間目のコントロール、IP、INC群のVAS疼痛スコア中央値(四分位数間領域)は6.4(3.1-7.9)、0.3(0.0-2.6)、0.0(0.0-7.0)だった。VAS疼痛スコアはコントロール群にくらべてIP群でより低かった。最初の24時間で、コントロール群の7頭、INC群の5頭、IP群の3頭に救済鎮痛薬を投与した。最初の24時間の救済鎮痛薬を投与した犬の総数に群間の有意差はなかった。

結論と臨床的関連:腹腔内ブピバカインの投与は術後最初の1時間の疼痛スコアを低くし、犬のOHE後の救済鎮痛薬の必要性を少なくする傾向があった。(Sato訳)
■犬の腰仙部アプローチによるリドカイン、ケタミン、あるいは両薬剤投与により誘発した胸部硬膜外鎮痛の評価
Evaluation of thoracic epidural analgesia induced by lidocaine, ketamine, or both administered via a lumbosacral approach in dogs.
Am J Vet Res. December 2011;72(12):1580-5.
Rafael Derossi; Fabricio O Frazilio; Paulo H A Jardim; Alessandro R C Martins; Rafaella Schmidt; Joao M Negrini-Neto

目的:意識のある犬におけるケタミン、リドカイン、あるいは両薬剤の胸部硬膜外投与の鎮痛および全身性の作用を判定する。

動物:6頭の雑種成犬

処置:処置間隔を1週間以上あけて、無作為に各犬にエピネフリンのない2%塩酸リドカイン(3.8mg/kg)、5%塩酸ケタミン(3.0mg/kg)、あるいは両薬剤を投与した。薬剤は腰仙部アプローチで設置した胸部硬膜外カテーテルを通して総量0.25ml/kgで投与した。心拍数、血圧、呼吸数、直腸温、鎮痛、鎮静、運動失調を投与前(基準(0時))および投与後5、10、15、20、30、40、50、60、90、120、150、180分目に測定した。

結果:3つの処置に対する鎮痛のメインエリアは、胸部および両側前肢だった。鎮痛持続時間の中央値は、リドカイン(40分)、リドカインとケタミン(90分)に比べ、ケタミン(30分)でより短かった。3処置は中程度の運動遮断を起こし、ケタミン、リドカインとケタミン処置は軽度の鎮静も起こさせた。収縮期および平均動脈圧の有意な低下はリドカインとケタミン処置でのみ観察された。

結論と臨床関連:リドカインあるいはケタミン単独投与と比較して、リドカインとケタミンの胸部硬膜外投与は、意識のある犬の胸部および両側前肢の長時間鎮痛をもたらせた。この方法が適切に胸部外科処置後の疼痛を軽減するかどうか、呼吸抑制を起こさないかどうかを見極める追加研究が必要である。(Sato訳)
■待機的手術後のトラマドールの皮下投与は犬の急性疼痛と炎症の軽減において静脈投与と同じくらい効果がある。
Subcutaneous administration of tramadol after elective surgery is as effective as intravenous administration in relieving acute pain and inflammation in dogs.
ScientificWorldJournal. 2012;2012:564939. Epub 2012 Jun 18.
Buhari S, Hashim K, Yong Meng G, Mustapha NM, Gan SH.

犬の卵巣子宮摘出術(OHE)に続く鎮痛を評価するために、トラマドールの皮下(SC)投与を静脈内(IV)投与と比較した。1歳-3歳(1.95±0.65歳)で、体重が10.5-17.1kg (13.12±1.95kg)の健康な雌犬(n = 12)が使われた。痛みは術前を基線として評価し、それから術後8時間まで1時間ごとに評価した。
トラマドールは3mg/kgで皮下投与と静脈内投与の両方をして、無痛覚計、β-エンドルフィン濃度、そしてインターロイキン6 (IL-6) 濃度によって示される有意な術後鎮痛を得た。呼吸数と直腸内温度は正常のままであり、グループ間あるいはグループ内で有意な違いはなかった。両方のグループの犬において4時間で相対する基線から心拍数の有意な増加が観察されたが、グループ間において他のポイントでは心拍数に有意差は認められなかった。術後各グループにおいて機能的痛覚の閾値の有意な減少が観察されたが、両方のグループにおいて同じような反応があり、トラマドールの皮下投与は静脈内投与と同じくらい効果があることが示唆された。術後3時間においてIL-6 と β-エンドルフィンの両方の血清濃度の上昇は、さらに両方の投与経路は同じような痛みのコントロールに達することを示している。
従って、トラマドール皮下投与の相対的鎮痛効果は静脈内投与に匹敵し、卵巣子宮摘出術を行った犬の術後疼痛管理において同じような効果に達するため使用可能である。(Dr.Kawano訳)
■麻酔下の患者の鎮痛法
Analgesia for anesthetized patients.
Top Companion Anim Med. May 2010;25(2):70-82.
Kip A Lemke, Catherine M Creighton

犬と猫の多くの周術期疼痛管理プロトコールは非常に複雑で、無効なものもあり、患者に不必要なリスクを負わせるものもある。この文献の目的は、臨床医に周術期疼痛の病態生理学の基本的理解、効果的治療の原則の実際上の知識を提供することである。
最初に多様式鎮痛療法の概念を述べる。次に周術期疼痛の病態生理学および鎮痛薬の主要クラスの臨床薬理学を概説する。最後に猫と犬における周術期疼痛管理への簡易化したアプローチを紹介する。(Sato訳)
■健康犬の血小板機能および全身性プロスタグランジン濃度に対するアスピリン、カルプロフェン、デラコキシブ、メロキシカムの影響
Effects of aspirin, carprofen, deracoxib, and meloxicam on platelet function and systemic prostaglandin concentrations in healthy dogs.
Am J Vet Res. March 2010;71(3):349-58.
Shauna L Blois , Dana G Allen, R Darren Wood, Peter D Conlon

目的:健康犬の血小板機能および全身性プロスタグランジン濃度に対するアスピリン、カルプロフェン、デラコキシブ、メロキシカムの治療用量での影響を評価する

動物:10頭の猟犬の雑種

方法:無作為に10頭それぞれにアスピリン(10 mg/kg, PO, q 12 h)、カルプロフェン(4.4 mg/kg, PO, q 24 h)、デラコキシブ(2 mg/kg, PO, q 24 h)、メロキシカム(0.1 mg/kg, PO, q 24 h)およびプラセボを7日間投与した。その後の処置との間に21日のウォッシュアウト期間を設けた。処置投与の前後にone-stageプロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)、フィブリノーゲン濃度、トロンボキサン(TX)B(2)および6-ケトプロスタグランジン(PG)F(1α)血漿濃度を測定した。血小板機能は血小板機能分析器および凝集をもって評価した。

結果:アスピリン、カルプロフェン、メロキシカムは血小板機能に有意な影響を示さなかった。デラコキシブは50μM ADPにより誘発された血小板凝集の軽度低下を引き起こした。NSAID投与後の血小板数、Hct、PT、aPTT、血漿TXB(2)、6-ケトPGF(1α)濃度は変化しなかった。メロキシカム投与でフィブリノーゲン濃度の有意な低下を示したが、結果は検査所の基準値範囲内を維持した。

結論と臨床関連:健康犬で、一般的に使用されるNSAIDsの治療用量の経口投与は、血漿TXB(2)および6-ケトPGF(1α)濃度を変化させなかった。デラコキシブ投与は血小板凝集に対し微小な異常をもたらせた。アスピリンの抗炎症量は、視覚凝集測定および血小板機能分析器の使用による測定において血小板機能に影響を及ぼさなかった。止血に対するアスピリンおよびシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤の影響に関するさらなる評価を実施すべきである。(Sato訳)
■救急患畜への鎮痛および化学的拘束
Analgesia and chemical restraint for the emergent veterinary patient
Vet Clin North Am Small Anim Pract. November 2008;38(6):1329-52.
Doris H Dyson

一般的な誤解をもとに救急患者へ鎮痛剤は控えられることが多い。よく言われる懸念は、鎮痛剤は患者の悪化の生理学的指標を”覆い隠す”、あるいは薬物投与に関係する毒性および副反応の可能性が手に入る利益よりも勝るということである。この文献で述べられるような適切な薬剤の選択と投与量は、獣医師が鎮痛を果たせ、また必要なときは不当な恐怖もなく鎮静あるいは拘束を行うことが出来る。鎮痛を提供するための安全な開始ポイントを提供するため、外傷患者で遭遇する典型的な状況に対してガイドラインを述べる。それら症例で求められる注意点も述べ、鎮痛および化学的拘束へのアプローチの個別化に重点を置く。(Sato訳)
■選択的避妊あるいは去勢後の家庭で回復中の猫における疼痛の程度と行動変化
Behavioral alterations and severity of pain in cats recovering at home following elective ovariohysterectomy or castration
J Am Vet Med Assoc. July 2007;231(2):236-42.
Misse A-M Vaisanen, Suvi K Tuomikoski, Outi M Vainio

目的:卵巣子宮摘出術あるいは去勢手術後、家庭で回復中の飼育猫における行動変化の確認および術後疼痛の程度に関するオーナーの認知を判定すること

構成:コホート研究

動物:フィンランドの4つの動物病院で卵巣子宮摘出術(n=80)あるいは去勢手術(65)を行った145頭の猫

方法:オーナーに術後3日間の猫の行動に対するアンケートを依頼した。また100-mmビジュアルアナログスケールを使用して、その期間の術後疼痛の程度をどう認知しているのか示すように依頼した。

結果:オーナーは一貫して猫の行動の変化があったことを示し、報告が多かったものは総体的活動レベルの低下、疲れたように眠る時間の増加、じゃれつきの減少、動作の変化だった。攻撃行動の変化(すなわち増加または減少)はあまりなかった。手術日の疼痛スコア中央値は、オス猫で15.0mm、メス猫で25.0mmだった。行動スコアは観察日、術式(避妊vs去勢)、オーナーが評価した疼痛スコア、動物病院に有意に関係した。

結論と臨床関連:卵巣子宮摘出術あるいは去勢手術後に家庭で回復中の猫において、術後数日間は行動変化を見て取ることができ、術後疼痛の存在についてオーナーの関心を引いたことが示唆される。(Sato訳)
■覚醒状態の犬における静脈内ヒドロモルホン投与の薬物動態と生理的効果
Pharmacokinetics and physiological effects of intravenous hydromorphone in conscious dogs
J Vet Pharmacol Ther. August 2008;31(4):334-43.
A G P Guedes, M G Papich, E P Rude, M A Rider

この研究で、犬における静脈内ヒドロモルホンの薬物動態、鎮静および抗侵害受容性効果を評価した。5頭の成犬に1週間間隔でヒドロモルホン(0.1mg/kgと0.2mg/kg)およびモルヒネ(0.5mg/kgと1mg/kg)を投与した。薬物投与前と投与後1、2、5、15、30、60、120分目に採血した。高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)による電気化学的検出で血漿ヒドロモルホンのみを測定し薬物動態パラメーターを算出した。抗侵害受容性および鎮静スコアは、順位に対しKruskal-Wallis one-way ANOVAを行い、その後5%有意レベルでBonferroni testを行った。データは高速分布(両投与に対し<1分)および緩やかな排泄率で2区画モデルに合致した。平均消失半減期は、高用量で80±52.7分、低用量で57.7±30.4分だった。定常状態の明白な平均分布容積は高用量で7.2±3L/kg、低用量で4.5±2.4L/kgであり、クリアランスは高用量で74.7±19mL/kg/min、低用量で68.1±20 mL/kg/minだった。生理食塩水と比較して、ヒドロモルホンおよびモルヒネは120分間同程度の有意な抗侵害受容性および鎮静効果を発揮する。
結論として、静脈内ヒドロモルホン投与は、大きな分布容積、肝血流量を上回る高いクリアランス率を持つ。犬において機械的抗侵害受容性とモルヒネに匹敵する鎮静作用を発揮する。(Sato訳)
■動物の癌疼痛の管理
Control of cancer pain in veterinary patients
Vet Clin North Am Small Anim Pract. November 2008;38(6):1429-48.
James S Gaynor

癌疼痛の管理は多くの獣医師の手腕の範囲内で、現在利用可能な技術でほとんどの担癌動物で達成できる。ペットの癌の治療だけでなく、その疼痛管理からも大きな満足を得られることができる。腫瘍診療における疼痛管理の取り組みは、ペットの福祉、オーナー、スタッフ、獣医師、診療にとって良いことである。(Sato訳)
■健康犬における塩酸ヒドロモルホンの薬物動態
Pharmacokinetics of hydromorphone hydrochloride in healthy dogs
Vet Anaesth Analg. February 2008;0(0):.
Butch Kukanich, Brynn K Hogan, Lisa A Krugner-Higby, Lesley J Smith

目的:犬にヒドロモルホンを静脈内(IV)あるいは皮下(SC)投与したときの薬物動態を評価する

研究構成:無作為実験研究

動物:年齢12.13±1.2ヶ月、体重11.72±1.10kgの健康な去勢済みオスのビーグル7頭

方法:研究は無作為ラテン方陣ブロック構成だった。最低14日間の実験間隔ウォッシュアウト期間を設け、別々に塩酸ヒドロモルホン0.1mg/kgあるいは0.5mg/kgIV(n=4)、0.1mg/kg(n=6)あるいは0.5mg/kg(n=5)SC投与群へと無作為に犬を振り分けた。薬剤投与後、連続間隔で血液を脈管アクセスポートから採取した。質量分析により血清を測定した。コンピューターソフトウェアにより薬物動態パラメーターを判定した。

結果:2つの投与量、2つのルートで投与したあと、ヒドロモルホンの血清濃度は急速に低下した。0.1mg/kgIV投与後の血清半減期、クリアランス、分布容積は、0.57時間(幾何平均)、106.28mL/分/kg、5.35L/kgで、0.5kg/kgIVの場合1.00時間、60.30mL/分/kg、5.23L/kgだった。
0.1mg/kgSCおよび0.5mg/kgSCの血清半減期は、0.66時間および1.11時間だった。

結論と臨床関連:ヒドロモルホンの半減期は短く、頻回投与間隔が必要であることが示唆される。この研究で算出された薬物動態パラメーターをもとに、更なる研究において2時間毎の0.1mg/kgIVあるいはSC、または0.03mg/kg/hでの持続点滴でヒドロモルホンの鎮痛効果を評価することを提案する。(Sato訳)
■犬の骨盤または大腿骨骨折修復において切開前のメピバカイン硬膜外麻酔を行うまたは行わない術前または術後カルプロフェンの鎮痛効果の比較
Comparison of analgesic efficacy of preoperative or postoperative carprofen with or without preincisional mepivacaine epidural anesthesia in canine pelvic or femoral fracture repair
Vet Surg. October 2007;36(7):623-32.
Hannes M Bergmann, Ingo Nolte, Sabine Kramer

目的:カルプロフェンの術前または術後投与の鎮痛効果の比較、およびカルプロフェンを投与した犬において切開前メピバカイン硬膜外麻酔が術後鎮痛性を改善するかどうかの判定

研究構成:盲検無作為臨床試験

動物:大腿骨(n=18)または骨盤(27)骨折の犬

方法:犬を4つのグループに無作為に分けた。1群は麻酔導入直前にカルプロフェン投与(4mg/kg皮下)し、硬膜外麻酔なし。2群は抜管直後にカルプロフェン投与し、硬膜外麻酔なし。3群は導入直前にカルプロフェンを投与し、外科的切開15分前にメピバカイン硬膜外ブロック。4群は外科的切開15分前にメピバカイン硬膜外ブロックを行い、抜管後カルプロフェン投与。全ての犬は術後4日間カルプロフェンを投与した(4mg/kg、SC、1日1回)。生理学的変動値、侵害受容閾値、跛行スコア、疼痛、鎮静(numerical rating scale [NRS]、visual analog scale [VAS])、血漿グルコースおよびコルチゾール濃度、腎機能、止血変動値を術前および術後のいろいろなタイムポイントで測定した。VAS疼痛スコア30以上の犬は救済鎮痛処置を行った。

結果:3、4群の犬は1、2群の犬に比べて有意に疼痛スコアが低く、救済鎮痛剤の量も少なかった。1群、2群の中で、または3群、4群の中でVASおよびNRS疼痛スコアに有意差はなかった。腎機能および止血変動値に投与による影響はなかった。

結論:術前カルプロフェンとメピバカイン硬膜外麻酔の組み合わせは、術前カルプロフェン単独よりも術後鎮痛効果が優れていた。術前硬膜外麻酔を実施するとき、術前のカルプロフェン投与は術後投与と比べても術後鎮痛効果を改善するわけではなかった。

臨床関連:全身オピオイド作用薬の術前投与と局所麻酔の組み合わせ、および術後カルプロフェン投与は、犬の骨折修復において安全で効果的な疼痛軽減をもたらす。(Sato訳)
■犬の卵巣子宮摘出術に対するブプレノルフィン、カルプロフェンおよびそれらの併用の鎮痛効果の比較
Comparison between analgesic effects of buprenorphine, carprofen, and buprenorphine with carprofen for canine ovariohysterectomy
Vet Anaesth Analg. September 2007;0(0):.
Andre C Shih, Sheilah Robertson, Natalie Isaza, Luisito Pablo, Wendy Davies

目的:卵巣子宮摘出術を行う犬でブプレノルフィン、カルプロフェンおよびそれらの併用の鎮痛効果を比較する

研究構成:前向き無作為盲検臨床試験

動物:60頭の犬

方法:処置はブプレノルフィン0.02mg/kg筋肉注射(IM)(B群);カルプロフェン4mg/kg皮下注射(SC)(C群);またはそれら併用(CB群)とした。麻酔はプロポフォールで導入し、イソフルランで維持した。Dynamic Interactive Visual Analog Scale (DIVAS, 0-100 mm)およびGlasgow Composite Pain Scale (GCMPS, 0-24)を抜管後基準、2、4、6、24時間目の快適さと鎮痛の評価に使用した。レスキュー鎮痛処置はブプレノルフィン(0.02mg/kg)を投与した。切開部の創傷腫脹測定値(WM)およびビジュアル炎症スコア(VIS)を術後および2、4、6、24時間後に測定した。p<0.05を有意と考えた。

結果:C群(5.0±1.4mg/kg)はB群(3.3±1.1mg/kg)およびCB群(3.2±0.7mg/kg)に比べ、より多くのプロポフォールを必要とした;それぞれp=0.0002、0.0001。レスキュー鎮痛処置は9頭で必要だった。6時間目のGCMPSおよびDIVAS IIIスコアーでB群(2.6±2.5、23±22.5mm)はC群(1.0±1.3、6±7.3mm)およびCB群(1.5±1.4、8±10.7mm)より高かった;それぞれp=0.02、0.006。2時間目の鎮痛スコアーでC群(43±23.6mm)はB群(68±32.1mm)およびCB群(69±22.1mm)よりも低かった;それぞれp=0.03、0.004。2時間目のB群(3±0.8mm)のWMスコアーはC群(2±0.6mm)よりも高くp=0.01、6時間目のB群(3±1mm)はC群(2±0.8mm)およびCB群(2±0.8mm)よりも高かった;それぞれp=0.01、0.008。群間でVISは差がなかった。

結論と臨床関連:全ての処置は最初6時間および24時間目の満足な鎮痛効果をもたらした。6時間目のCおよびCB群の痛みのスコア、WSはB群よりも優れていた。薬剤を併用した場合の優れた鎮痛効果は認められなかった。(Sato訳)
■健康な猫に6日間カルプロフェン皮下投与の副作用評価
Evaluation of the adverse effects of subcutaneous carprofen over six days in healthy cats
Res Vet Sci. May 2008;0(0):.
P V M Steagall, F Q Moutinho, F B Mantovani, D Passarelli, A Thomassian

この研究は、7頭の健康な猫におけるカルプロフェンの副作用を評価した。1日1回カルプロフェンを皮下投与する前と、7日目にCBC値、生化学プロフフィール、血小板凝集を測定した。4週間のウォッシュアウト期間を設けた無作為盲検クロスオーバー研究でカルプロフェンを4mg/kg(1日目)、2mg/kg(2日目、3日目)、1mg/kg(4日目、6日目)(CG群)または生食0.35mlを6日間投与(SG群)した。5日目は投与しなかった。投与前と投与後7日目に胃腸管の内視鏡検査を実施した。CG群で7日目よりも基準時のアルブミン値が低い、CGおよびSG群で7日目よりも基準時のグロブリン、ALP値が高いことを除いて、群内および群間の血液学的プロフィール、生化学プロフィール、内視鏡グレード付けスコアに有意な変化はなかった。6日間のカルプロフェン皮下投与は、胃腸、血液学、血性生化学値にいかなる副作用も起こさなかった。(Sato訳)
■猫における静脈内ヒドロモルホン投与の用量関連熱抗侵害受容性効果
Dose-related thermal antinociceptive effects of intravenous hydromorphone in cats
Vet Anaesth Analg. March 2007;34(2):132-8.
Kirsten Wegner, Sheilah A Robertson

目的:猫における静脈内(i.v.)ヒドロモルホン投与の用量関連熱抗侵害受容性効果を述べる

研究構成:無作為、盲検クロスオーバー研究

動物:7頭の成猫(3.5-7.4kg)。2頭は避妊済みメス、5頭は去勢済みオス

方法:ヒドロモルホン(0.025、0.05、0.1mg/kg)をi.v.投与した。皮膚温度と熱閾値を投与前と、投与後720分まで選択したポイントで測定した。各用量の平均熱閾値と全時間の皮膚温度、用量間の統計分析は、split-plot modelとpost hoc Bonferroni t-testsにより行った。P<0.05を有意と考えた。

結果:平均熱閾値の基準からの有意差は、0.05mg/kg(5-80分、ピーク熱閾値46.9±6.2℃)と0.1mg/kg投与(5-200分、ピーク熱域値54.9±0.2℃)で認められた。5-200分の0.1mg/kgの熱閾値は、0.025mg/kg、0.5mg/kgと比べて有意に高かった。35-80分の0.05mg/kgの熱閾値は、0.025mg/kgと比較したとき有意に高かった。0.1mg/kg投与後35-140分で皮膚の温度は有意に上昇した。

結論:猫におけるi.v.ヒドロモルホンの用量関連抗侵害受容性効果が示された。

臨床関連:0.1mg/kg以下のヒドロモルホンは、中程度の抗侵害受容性効果と短期作用がある。0.1mg/kgの用量で、鎮痛作用の発現は効果の臨床的に有効な持続を伴って急速であるが、皮膚温度上昇に関与する。(Sato訳)
■AAHA/AAFPによる犬と猫の疼痛管理ガイドライン
AAHA/AAFP pain management guidelines for dogs & cats
J Am Anim Hosp Assoc. 2007 Sep-Oct;43(5):235-48.
American Animal Hospital Association, American Association of Feline
Practitioners, AAHA/AAFP Pain Management Guidelines Task Force
Members, Peter Hellyer, Ilona Rodan, Jane Brunt, Robin Downing, James
E Hagedorn, Sheilah Ann Robertson

犬と猫の疼痛管理はここ10年で長足な進歩を遂げている。現在、疼痛の予測や予防とともに薬理学的ならびに非薬理学的な方法を用いた管理に焦点が当てられている。獣医療チームはオーナーに対してペットの疼痛に対する理解を促し管理について説明する役割を担う必要がある。(Tako訳)
■臨床的変形性関節症の犬におけるリコフェロンの効果
Efficacy of licofelone in dogs with clinical osteoarthritis
Vet Rec. April 2007;160(17):584-8.
M Moreau, B Lussier, M Doucet, G Vincent, J Martel-Pelletier, J-P Pelletier

5-リポオキシゲナーゼおよびシクロオキシゲナーゼ1,2に対する抑制活性を併せ持つアラキドン酸基質のリコフェロンの効果を評価するため、二重盲検無作為およびプラセボ-コントロール研究を、後肢変形性関節症で跛行する33頭の飼育犬で実施した。17頭はプラセボ、16頭は1日2回リコフェロン2.5mg/kgを28日間投与した。犬の跛行は基準時、治療開始後14日、28日目にビジュアルアナログスケール(VAS)およびforce plate分析で評価した。14日後、リコフェロン投与犬(1.7[0.8]%体重)のpeak vertical forceの平均(SE)変化は、プラセボ投与犬(-0.3[0.6]%体重)より有意に大きく(P<0.05)、28日後ではその差が増していた。対照的に、VAS値により評価した犬の跛行は、治療およびコントロール群両方とも基準より有意に低下していた。(Sato訳)
■リドカインパッチの使用
The Use of Lidocaine Patches
Compend Contin Educ Pract Vet. April 2007;29(4):208-216. 15 Refs
Ann B. Weil, MS, DVM, DACVA, Jeff Ko, DVM, MS, DACVA, Tomo Inoue, DVM3

犬猫でリドカインパッチを用いた我々の最近の薬物動態研究は、パッチ適用後の血漿リドカイン濃度が低い傾向にあると分かっている。リドカインパッチ適用は、多様な疼痛管理において、既存のオピオイドやNSAIDsなどの鎮痛剤に強力な鎮痛補助が可能である。この文献は、リドカインパッチ適用の前および併用および犬猫での臨床使用を再検討する。リドカインとフェンタニルパッチの比較も行っている。(Sato訳)
■メデトミジン-プロポフォール-イソフルラン麻酔中の犬腎機能に対するカルプロフェンの影響
Effects of carprofen on renal function during medetomidine-propofol-isoflurane anesthesia in dogs
Am J Vet Res. December 2006;67(12):1967-73.
Jan H M Frendin, Ingrid M Bostr?m, Naruepon Kampa, Per Eksell, Jens U H?ggstr?m, G?rel C Nyman

目的:犬のメデトミジン-プロポフォール-イソフルラン麻酔中に腎機能指標、血清生化学検査結果、心血管変動値に対するカルプロフェンの影響を調査する

動物:健康なオスのビーグル8頭

方法:無作為クロスオーバー研究で、生食(0.9%NaCl)(0.08ml/kg)とカルプロフェン(4mg/kg)をIV投与した。生食またはカルプロフェンを、メデトミジン(20?g/kg、IM)投与直前、麻酔導入前30分に投与した。麻酔はプロポフォールで導入し、イソフルラン吸入で維持した。血液ガス濃度と換気を測定した。心血管変動値は、圧波形分析式心拍出量測定装置(CO)で継続モニターした。腎機能は、糸球体ろ過率(GFR)、腎血流量(RBF)、シンチグラフィー、血清生化学検査、尿検査、継続CO測定値で評価した。血液検査を実施した。

結果:カルプロフェンと生食群の値に有意な違いは認められなかった。両投与群で、鎮静と麻酔は、血清生化学と血液検査の結果に変化、すなわち一時的な尿中アルカリフォスファターゼ活性、腎臓への血流迂回の有意な増加を起こした。麻酔中、CO、平均動脈圧、絶対的なRBF変動値の低下にもかかわらず、両群でGFRは有意に増加した。

結論と臨床関連:健康なビーグルでメデトミジン-プロポフォール-イソフルラン麻酔中に、麻酔前のカルプロフェンIV投与は検出可能で有意な副作用を腎機能に起こさなかった。(Sato訳)
■避妊手術後の猫に対する4つの鎮痛方法の比較
A comparison of four methods of analgesia in cats following ovariohysterectomy
Vet Anaesth Analg. November 2006;33(6):390-8.
Karen M Tobias, Ralph C Harvey, Judy M Byarlay

目的:避妊手術後の猫の術後疼痛関連行動を防ぐのに、経口カルプロフェン、皮下ケトプロフェン、ブピバカインによる局所神経ブロックの術前投与の効果を評価する

動物:52頭のメス猫

材料と方法:術前、ネコにブトルファノール(0.44mg/kg IM)、カルプロフェン(2.2mg/kg PO)、ケトプロフェン(2.2mg/kg SQ)、ブピバカイン浸潤ブロック(1.1mg/kg SQ)を投与した。コルチゾールと薬剤濃度、ビジュアルアナログスケール(VAS)、インタラクティブビジュアルアナログスケール(IVAS)疼痛関連行動スコアーを、避妊手術の2時間前、0、1、2、4、8、12、24時間後に測定した。

結果:ブトルファノールを投与した猫は、基準測定値と比べ術後2時間目のIVASスコアーが有意に増した。カルプロフェン、ケトプロフェン、ブピバカインを投与した猫は、基準値からVAS、IVASスコアーが術後1、2時間目に有意に増加した。ブピバカインを投与した猫は、ブトルファノールを投与した猫よりも術後1、2時間目のVASおよびIVASスコアーが有意に大きかった。カルプロフェンを投与した猫は、基準値より術後1時間目のコルチゾール値が有意に増加し、24時間後有意に低下した。

結論と臨床関連:避妊手術を行った猫で、術前カルプロフェン、ケトプロフェン、ブトルファノールは疼痛関連行動に効果があった。ブピバカインブロックを投与した猫は術後すぐに追加鎮痛剤が必要かもしれない。(Sato訳)
■犬における卵巣子宮摘出後の鎮痛に対する術前カルプロフェン投与と長時間作用スフェンタニル製剤の比較
A comparison between pre-operative carprofen and a long-acting sufentanil formulation for analgesia after ovariohysterectomy in dogs
Vet Anaesth Analg. September 2006;33(5):313-27.
Louisa S Slingsby, Pamela J Murison, Lieve Goossens, Marc Engelen, Avril E Waterman-Pearson

目的:卵巣子宮摘出術(OHE)を行った犬で、新しい長期作用性スフェンタニル製剤の鎮痛効果と副作用を調査する。

構成:4つの平行治療群で盲目、正対照、無作為実地試験
80頭の選択OHEを行う飼育犬をランダムに4つの処置群に振り分けた(n=20)。3群はスフェンタニル筋肉内注射(IM)を行い(それぞれ10、15、25?g/kg)、コントロール群はカルプロフェン4mg/kg皮下注射(SC)とアセプロマジン0.05mg/kgIMを術前処置として行った。OHEはチオペンタール/ハロタン麻酔下で行った。痛みと鎮静のビジュアルアナログスケール(VAS)を与え、機械的な侵害受容閾値を術前と抜管後24時間まで創傷と膝で測定した。血清コルチゾールを術前、術中、抜管後24時間まで測定した。鎮痛が術後不十分な動物には救済薬物投与を行った。スタンフェニル投与群以上に、カルプロフェン群のVAS疼痛スコアーは有意に高く、創傷の圧痛は大きく、救済鎮痛処置をより多く必要とした。
スタンフェニル投与量は鎮痛、鎮静に依存した。全ての処置群のコルチゾール濃度の変化は同様のパターンを示した。スタンフェニル製剤の使用は比較的高い副作用の発生に関与した。長期作用スタンフェニル製剤は、カルプロフェンがもたらすものよりも有意にすばらしい術後鎮痛作用をもたらせた。しかし、この研究で使用した麻酔法で、この製剤の使用は比較的高い発生率で副作用を起こした。フルμ(MOP)オピオイド作用薬は、適度な疼痛外科後で非ステロイド抗炎症薬よりも術後鎮痛が有意に良かった。しかし、オピオイドの幅広い副作用の認知でその薬剤使用をはばむかもしれない。(Sato訳)
■犬のNSAIDsの安全で効果的な使用のガイドライン
Guidelines for Safe and Effective Use of NSAIDs in Dogs
Vet Ther 6[3]:237-251 Fall'05 Review Article 39 Refs
B. Duncan X. Lascelles, BSc, BVSc, PhD, MRCVS, CertVA, DSAS(ST), DECVS, DACVS; J. Michael McFarland, DVM, DABVP; Heather Swann, VMD, DACVS

NSAIDsは獣医療で最も広く使用される鎮痛剤で、すべてがある程度の毒性の可能性を持つ。多く見られる有害な影響は、胃腸、腎臓、肝臓、凝固障害である。変形性関節症に関与する慢性の痛みを治療するとき、NSAIDsの効果は、理学療法、機能食品および/または確実な補助薬剤、体重をコントロールするための食餌や運動の使用で高めることができる。急性な周術の疼痛を和らげるため、NSAIDsはバランスの取れた(マルチモデル)鎮痛の状況下、よく水和された正常血圧および腎機能の患畜に先制して使用するとより効果的である。
NSAID治療に対しハイリスクな動物を確認するスクリーニングとモニタリングに、身体検査と病歴、既存疾患または状況の確認、基準および周期的な血液および臨床科学値の入手、他のNSAIDsまたは禁忌薬剤が同時に使用されていないことを確認する、などを含めるべきである。1つのNSAIDから他のものに変えるとき(副作用は見られていないとき)、望まない薬剤間相互作用を最小限にするため5-7日のウォッシュアウト期間を設けます。NSAID療法の副作用の可能性とNSAID中毒のオーナーへの情報提示は、このクラスの薬剤の安全な使用の可能性を大いに増加させます。(Sato訳)
■猫におけるブトルファノールの抗侵害受容性効果に関し熱閾値反応を利用した評価
Use of thermal threshold response to evaluate the antinociceptive effects of butorphanol in cats.
Am J Vet Res 65[8]:1085-9 2004 Aug
Lascelles BD, Robertson SA

目的:猫用に作成した熱閾値検査装置を使用し、さまざまな量のブトルファノールに関する抗侵害受容性作用の特徴を述べる

動物:6頭の家猫短毛種

方法:研究は隠蔽無作為交差試験で行った。猫用に特別作成した熱閾値検査装置を使用して測定した。ヒーター要素と温度センサーを兼ね備えた小さなプローブを、ゴムバンドで猫の皮膚の剪毛した面に接触するよう固定した。各検査前のヒーター活動前に皮膚温度を記録した。反応(例えば猫が縮む、回転する、ジャンプする)を検出したら、刺激を終わらせ、閾値温度を記録した。ブトルファノール0.1、0.2、0.4、0.8mg/kgIV投与前に基準測定値を記録した。各猫に最低1週間あけて無作為な順序で全ての投与量を投与した。判定員は投与量を知らされていなかった。6時間の間、15分毎に温度閾値を測定した。

結果:全猫の投与前温度閾値(平均±SD)は40.8±2.2度だった。投与量間で用量の関連した差はなかった。全投与量で注射後、15-90分間閾値の有意な上昇が見られた。ブトルファノール投与後全頭の散瞳が見られ、不快行動を頻繁に示した。

結論と臨床関連:猫の熱刺激により得られた結果は、ブトルファノールの抗侵害受容性作用の持続期間は90分で、用量と反応に関係がないことが示された。(Sato訳)
■イヌのフェンタニル経皮的投与の麻酔中血清濃度に対する吸入麻酔と体温の影響
The Effect of Inhalant Anesthetic and Body Temperature on Peri-anesthetic Serum Concentrations of Transdermally Administered Fentanyl in Dogs
Vet Anaesth Analg 31[2]:109-120 Apr'04 Experimental Trial 48 Refs
Glenn R Pettifer BA (Hons), BSc, DVM, DVSc, Diplomate ACVA & Giselle Hosgood BVSc, MS, Diplomate RCVS

目的:麻酔中の中程度低体温がフェンタニルの経皮的伝達の血清濃度に有意に影響するか、またハロセン、またはイソフルランがそれらの濃度に影響するかどうかを判定する

研究構成:無作為クロスオーバー実験研究

動物:体重10.6±0.43kgの6頭(3頭オス、3頭メス)の成熟した健康なビーグル

方法:50?/hフェンタニルパッチを麻酔前36時間に適用した。麻酔導入を0時(t=0)とした。各イヌに4つの処置をした。(1)イソフルラン±正常体温(ISO-NORM)、(2)イソフルラン±低体温(ISO-HYPO)、(3)ハロセン±正常体温(HAL-NORM)、(4)ハロセン±低体温(HAL-HYPO)。イヌに挿管し、MAC1.5倍で維持した。低体温処置の動物は、麻酔中35度に冷やした。血清フェンタニル測定を-36、-24、-12、0、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、18、26時間目に行った。直接動脈血圧と動脈血ガスをモニターした。

結果:4つの処置の麻酔中の平均体温(±SEM)は、ISO-NORM=37.7±0.07度、ISO-HYPO=35.8±0.1度、HAL-NORM37.7±0.06度、HAL-HYPO=35.8±0.13度だった。両低体温処置の平均(±SEM)血清フェンタニル濃度(SFC)は、ISO-HYPO処置でt=1時と麻酔中持続して基準濃度より有意に低かったが、HAL-HYPO処置ではt=1から2時だけだった。体温にかかわりなく、血清フェンタニル濃度は麻酔終了から1時間以内に基準に回復した。収縮期、または拡張期血圧に処置間の有意差は見られなかったが、平均血圧は麻酔中最後の1時間で低体温より正常体温がより高かった。

結論と臨床関連:イソフルラン麻酔中の低体温は、経皮的投与したときの血清フェンタニル濃度を有意に低下させ、ハロセン麻酔よりも長引いた。血清フェンタニル濃度の有意な低下が発生したが、鎮痛をもたらすと思われる範囲内を維持した。(Sato訳)
■選択的シクロオキシゲナーゼ2阻害剤で治療した犬における消化管穿孔:29症例(2002-2003)
Gastrointestinal Tract Perforation in Dogs Treated with a Selective Cyclooxygenase-2 Inhibitor: 29 Cases (2002-2003)
J Am Vet Med Assoc 227[7]:1112-1117 Oct 1'05 Retrospective Study 30 Refs
B. Duncan X. Lascelles, BVSc, PhD, DACVS; Anthony T. Blikslager, DVM, PhD, DACVS; Steven M. Fox, DVM, PhD; Doug Reece, DVM

目的:選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)阻害剤(deracoxib)で治療されている犬における消化管穿孔との関連因子を明らかにすることです。

計画:回顧的研究

動物:29頭の犬

手順: 消化管穿孔が記録されたもののなかで、deracoxibによる治療を受けた犬の記録をノバルティスアニマルヘルス市販後調査データベースから調査しました。

結果:29頭中25頭(86%)の犬は、2mg/kg/day以上の投与量を投薬されており、16頭(55%)の犬は、能書で指示されているFDAによって承認されたものより、より高用量のderacoxib投与を受けておりました。17頭(59%)の犬は、deracoxib投与後まもなくに(24時間以内)、少なくとももうひとつ別の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、またはコルチコステロイドを受けておりました(例:投与前、あるいは投与後直ちに)。全体で26頭の犬(90%)が、承認投与量より高用量でderacoxibを投与、あるいはderacoxib投与後間もなくにもうひとつ別のNSAID、あるいはコルチコステロイドを投与されておりました。20頭の犬は死亡、あるいは安楽死となり、9頭が生き残りました。

結論と臨床関連: 消化管穿孔の犬において、deracoxibで治療された犬の穿孔は、多くの因子によるものと考えられます。Deracoxibは承認投与量でのみ、使用されるべきです。コルチコステロイドと他の選択性の低いNSAIDsは、deracoxibを含める、選択的COX-2阻害剤と時間をあけずに投与するべきではありません。この問題を明確にするためには更なる研究が必要です。(Dr.K訳)
■犬におけるメデトミジン、メデトミジン-ヒドロモルホンそしてメデトミジン-ブトルファノールの心血管系、鎮痛、鎮静効果の比較
Comparative cardiovascular, analgesic, and sedative effects of medetomidine, medetomidine-hydromorphone, and medetomidine-butorphanol in dogs.
Am J Vet Res. 2004 Jul;65(7):931-7.
Kuo WC, Keegan RD.

目的:犬にメデトミジン(20μg/kg)、メデトミジン-ヒドロモルホン(メデトミジン20μg/kgとヒドロモルホン0.1 mg/kg)、メデトミジン-ブトルファノール(メデトミジン20μg/kgと酒石酸ブトルファノール0.2mg/kg)を静脈内投与した後、鎮静、鎮痛、および心肺への影響を比較する。

動物:健常な雑種犬6頭

手順: 計器は外科的に挿入し、心拍(HR)、呼吸数(RR)、収縮期動脈圧(SAP)、平均動脈圧(MAP)、拡張期動脈圧(DAP)、平均肺動脈圧(MPAP)、肺毛細血管楔入圧(PCWP)、中心静脈圧(CVP)、コア体温、そして、心拍出量(CO)を注射の0、5、10、15、30、45、および60分後に測定した。心係数(CI)、一回拍出量(SV)、ストロークインデックス(SI)、全身血管抵抗(SVR)、および肺血管抵抗(PVR)を計算した。 血液ガス分析のための動脈サンプルは注射の0、15、および45分後に集めた。 鎮痛の強度、鎮静の度合いおよび筋肉弛緩の度合いは前述の時間ポイントと注射の75、90、120、150、180、および210分後に評価した。

結果: メデトミジン、メデトミジン-ヒドロモルホンそしてメデトミジン-ブトルファノールの投与はSAP、MAP、DAP、MPAP、PCWP、CVP、SVR、PVR、コア体温、およびPaCO2の増加に関連しており、HR、CO、CI、SV、SI、RR、pH、およびPaO2の低下と関連した。臨床的に重要な違いは治療中に検出されなかった。メデトミジン単独に比べメデトミジン-ヒドロモルホンそしてメデトミジン-ブトルファノールは鎮静期間がより長く、鎮痛効果が高かった。

結論と臨床関連: メデトミジン-ヒドロモルホンあるいはメデトミジン-ブトルファノールは鎮痛と鎮静の改善と関連したが、心肺に対する影響はメデトミジン単独のそれに匹敵する。(Dr.Kawano訳)
■犬の避妊手術後72時間の比較:カルプロフェン、メロキシカム
Comparison of Carprofen and Meloxicam for 72 Hours Following Ovariohysterectomy in Dogs
Vet Anaesth Analg 32[4]:184-192 Jul'05 Research Paper 24 Refs
Elizabeth A Leece BVSc, Cert VA, Diplomate ECVA, MRCVS, Jacqueline C Brearley MA, PhD, VetMB, DVA, Diplomate ECVA, MRCA, MRCVS & Edward F Harding MA

目的:犬の避妊手術でカルプロフェン、メロキシカムの注射および経口投与の周術から術後(72時間)鎮痛効果を比較する

研究構成:前向き無作為臨床研究

動物:選択的卵巣子宮切除を行った犬43頭

素材と方法:無作為にカルプロフェン、メロキシカム、無菌生食の術前皮下注射を行う群に犬を振り分けた。麻酔前処置は、アセプロマジン(0.02mg/kg)とメタドン(0.2mg/kg)を筋肉内注射した。麻酔はチオペンタールまたはプロポフォール注射で導入し、イソフルランで維持した。疼痛と鎮静のビジュアル・アナログ・スコアー(VAS)を抜管後1、2、3、4、6時間後に記録した。どう処置の経口投薬を術後3日間継続し、各投与日の投与前と投与後2時間の疼痛VASスコアーを記録した。グループ間の年齢、体重、全身麻酔時間、注射から抜管までの時間、注射から最初の経口処置までの時間を一方向分散分析およびKruskal-Wallis試験で分析した。疼痛と鎮痛のVASを、再無作為化法を使用し分析した。有意レベルをp<0.05にセットした。

結果:抜管後2-6時間でメロキシカム群の平均VASがコントロール群より低かった。コントロール群のVASはメロキシカムスコアー(6時間目)とカルプロフェンスコアー(3および6時間目)よりも変化に富んでいた。術後最初の日、処置前から処置後のVASスコアーはメロキシカムで有意に低下した。3日目、処置後のメロキシカム投与群のスコアーは、コントロールよりも有意に低かった。処置前から処置後のVASの変化は、生食群よりもメロキシカム、またはカルプロフェンを投与した犬の方が大きかった。

結論と臨床関連:カルプロフェン、メロキシカム共に、犬の避妊手術後72時間の十分な鎮痛作用を提供する。(Sato訳)
■犬の卵巣子宮摘出術における早期術後疼痛のコントロールのための術前のトラマドールとモルヒネ投与の比較
A comparison of preoperative tramadol and morphine for the control of early postoperative pain in canine ovariohysterectomy.
Vet Anaesth Analg. 2003 Oct;30(4):220-8.
Mastrocinque S, Fantoni DT.

目的:犬の子宮蓄膿症で卵巣子宮摘出術後に早期の術後疼痛管理のためモルヒネとトラマドールを比較する。

研究設計:前向き無作為盲目臨床試験

動物:2~14歳の30頭の雌犬

方法:動物は無作為に2つの等しいグループに分割した。グループ1は導入後に0.2mg /kgのモルヒネを静脈内投与し、グループ2は導入後に2mg/kgのトラマドールを静脈内投与した。犬はアセプロマジンで前処置し、静脈内のミダゾラムとケタミンで麻酔した。麻酔の維持にはイソフルランを使用した。測定した変数は以下の通りでした。測定変数は無痛覚、鎮静状態、心拍そして呼吸数、動脈圧、終末イソフルランおよび二酸化炭素(Pe'CO2)、オキシヘモグロビン飽和度(SpO2)、血漿カテコールアミン、血清コルチゾールおよび血糖値、pHおよび血液ガスであった。鎮痛薬投与後6時間動物を観察した。

結果:2つのグループの間には、無痛覚、鎮静状態、SpO2、pH、血液ガス、心血管変数、血糖、カテコールアミン、およびコルチゾール濃度に関して違いが全くなかった。
オピオイド投与後40分で終末イソフルラン濃度はトラマドール処置群と比較してモルヒネ処置群で明らかに低かった。オピオイド注射後30分で、Pe'CO2はトラマドール群よりモルヒネ投与群で明らかに高かった。トラマドール群における2頭とモルヒネ群における1頭は、痛覚スコアの増加のため術後にモルヒネを投与した。

結論と臨床関連:先制的に投与したモルヒネとトラマドールは明らかな副作用なしで卵巣子宮摘出術後の早期疼痛のコントロールのために犬において安全に使用できる。(Dr.Kawano訳)
■犬におけるメデトミジン、メデトミジン-ヒドロモルホン、メデトミジン-ブトルファノールの心血管、鎮痛、鎮静効果の比較
Comparative cardiovascular, analgesic, and sedative effects of medetomidine, medetomidine-hydromorphone, and medetomidine-butorphanol in dogs.
Am J Vet Res 65[7]:931-7 2004 Jul
Kuo WC, Keegan RD

目的:メデトミジン(20μg/kg)、メデトミジン-ヒドロモルホン(20μg/kgと0.1mg/kg)、メデトミジン-酒石酸ブトルファノール(20μg/kgと0.2mg/kg)を犬に静脈投与し、鎮静、鎮痛、心肺への影響を比較する。

動物:6頭の健康な雑種犬

方法:機器は外科的に装着し、注射後0、5、10、15、30、45、60分目に心拍数(HR)、呼吸数(RR)、収縮動脈圧(SAP)、平均動脈圧(MAP)、拡張動脈圧(DAP)、平均肺動脈圧(MPAP)、肺毛細管楔入圧(PCWP)、中心静脈圧(CVP)、中心体温、心拍出量(CO)を測定した。そして心係数CI)、一回拍出量(SV)、一回拍出係数(SI)、全身血管抵抗(SVR)、肺血管抵抗(PVR)を算出した。血液ガス分析のため、動脈採血を注射後0、15、45分目に実施した。鎮痛強度、鎮静程度、筋弛緩の程度を前述の時間ポイントと、75、90、120、150、180、210分後に評価した。

結果:メデトミジン、メデトミジン-ヒドロモルホン、メデトミジン-ブトルファノールの投与で、SAP、MAP、DAP、MPAP、PCWP、CVP、SVR、PVR、中心体温、PaCO2は増加し、HR、CO、CI、SV、SI、RR、pH、PaO2は減少した。投与群で臨床的に重要な差は見られなかった。メデトミジン単独と比べ、メデトミジン-ヒドロモルホン、メデトミジン-ブトルファノールの方が、長期間鎮静効果があり、良質の鎮痛効果が得られた。

結論と臨床関連:メデトミジン-ヒドロモルホン、メデトミジン-ブトルファノールは、鎮痛、鎮静を改善するが、心肺への影響はメデトミジン単独のそれと同等である。(Sato訳)
■犬の整形外科手術におけるメロキシカムとケトプロフェンの鎮痛比較
Analgesic comparison of meloxicam or ketoprofen for orthopedic surgery in dogs.
Vet Surg 33[6]:650-60 2004 Nov-Dec
Deneuche AJ, Dufayet C, Goby L, Fayolle P, Desbois C

目的:犬の整形外科手術後24時間中における2つの鎮痛プロトコール(メロキシカム術前投与またはケトプロフェン術中投与)の安全性と有効性を比較する

研究構成:二十盲目前向き無作為臨床試験

動物:60頭の飼育犬

方法:外科的整形外科疾患の犬を無作為に2群に振り分けた。30頭は導入直前にメロキシカム0.2mg/kg静脈投与し、30頭は手術終了30分前にケトプロフェン2mg/kg静脈投与した。術前、術後30分、1、2、3、4、6、8、24時間目にビジュアルアナログスケール(VAS)と累積疼痛スコア(CPS)で痛みを評価した。術前、術後24時間目の選択血清生化学変動値を測定し、術前と術後8時間目に頬粘膜出血時間(BMBT)と全血凝固時間(WBCT)を測定した。犬のプロポフォールで麻酔し、ハロタンで維持した。術後7日間いかなる合併症も認めなかった。VASスコア(2サンプルt-検定)とCPS(Wilcoxon's2サンプル検定)の有意差を調べるため、2群間の結果を比較した。さらに結果を分析し、群中VASスコア(2サンプルt-検定)とCPS(Wilcoxon's2サンプル検定)に対する曲線下面積(AUC)の有意差を調べた。生化学と凝固機能に対する影響を評価するため、BMBTとWBCTの術前術後平均値を、両処置群内(paired t-tests)そして両群間(2-sample t-test)で比較した。

結果:メロキシカム、ケトプロフェン投与犬の間に疼痛反応、または凝固の有意差は見られなかった。ALP、ALT濃度の基準と比較した場合の有意な上昇が両群で認められた。深刻な合併症は起こらなかった。

結論:メロキシカムの術前投与は、整形外科手術を行った犬で術後24時間まで疼痛を管理する安全で効果的な方法である。

臨床関連:術前メロキシカムの投与後の鎮痛作用は、手術終了時のケトプロフェン投与に匹敵した。(Sato訳)
■イヌ組織のシクロオキシゲナーゼ-1、-2酵素発現と、非ステロイド性抗炎症剤に対するそれらの異なる感受性の判定
Determination of expression of cyclooxygenase-1 and -2 isozymes in canine tissues and their differential sensitivity to nonsteroidal anti-inflammatory drugs.
Am J Vet Res 65[6]:810-8 2004 Jun
Wilson JE, Chandrasekharan NV, Westover KD, Eager KB, Simmons DL

目的:イヌの組織のシクロオキシゲナーゼ酵素分布を評価し、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)に対するイヌシクロオキシゲナーゼ(COX)-1、-2酵素の異なる感受性を判定する。

サンプル集団:ノーザン、ウエスタンブロット法のための2頭のイヌから採取したイヌの組織サンプル(胃、十二指腸、回腸、空腸、結腸、脾臓、大脳皮質、肺、卵巣、腎臓、肝臓)と15頭から採取した全血COX分析のための血液

方法:全血分析で、11種のNSAIDsのCOX-2感受性を判定するため評価した。そして酵素活性の50%抑制(IC50)に必要な薬剤濃度を比較のために算出した。COX酵素の発現と組織分布をノーザン、ウエスタンブロット法で判定した。

結果:アスピリン、ジクロフェナク、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸、ピロキシカムはCOX酵素に対する選択性はほとんどなく、一方NS398、カルプロフェン、トルフェナム酸、ニメスリド、エトドラックは、COX-1よりもCOX-2抑制に対する選択性が5倍以上だった。胃腸管のものも含む検査したイヌの全ての組織は、COX-1、-2mRNAを共発現したが、タンパク発現はCOX-1にのみ観察された。

結論と臨床関連:イヌCOX-2は、エトドラック、ニメスリド、NS398により選択的に抑制された。トルフェナム酸、カルプロフェンも選択的にCOX-2抑制を示した。構成的恒常性維持酵素としてのCOX-1、炎症誘発性酵素(ヒトで判定された)としてのCOX-2の役割はイヌで当てはまる。ゆえに、COX-2選択的抑制は、非選択性NSAIDsに関与する副作用を低下させるのに有用だと証明すべきである。(Sato訳)
■イヌの卵巣子宮摘出術後、鎮痛処置として腹腔内と切開部リドカインまたはブピバカインの評価
Evaluation of Intraperitoneal and Incisional Lidocaine or Bupivacaine for Analgesia Following Ovariohysterectomy in the Dog
Vet Anaesth Analg 31[1]:46-52 Jan'04 Prospective Trial 18 Refs
Rachael E. Carpenter DVM; Deborah V. Wilson BVSc, MS, Diplomate ACVA; A. Thomas Evans DVM, MS, Diplomate ACVA

目的:腹腔内(IP)そして切開部(SC)リドカインまたはブピバカイン投与は卵巣子宮摘出術後鎮痛をもたらすかどうか判定する

研究構成:前向き無作為コントロール盲目臨床試験

動物:選択性卵巣子宮摘出術のために大学病院に来院した30頭のイヌ

方法:イヌにアセプロマジンとブトルファノールで前処置を行ない、チオペンタールで導入し、イソフルランで麻酔維持した。イヌを3つのグループに振り分けた。卵巣子宮摘出術完了時、10頭にエピネフリン加リドカイン2%を8.8mg/kgでIP投与(LID)、10頭に0.75%ブピバカイン4.4mg/kgでIP投与(BUP)、10頭に0.9%生理食塩水IP投与(SAL)した。全てのIP投与量は、生食で0.88ml/kgになるよう調節した。無希釈で追加の2mlを、切開創を閉じる前にSCに散布した。
抜管後1人の観察者により、0.5、1、2、3、6、8、18時間目にスコアーを付けた。痛み、鎮静に対するビジュアルアナログスケール(VAS)と生理学的、行動学的変化を含めた複合痛みスケール(CPS)で評価した。それらのVAS(痛み)スコアーが50を超えたときは、0.22mg/kgブトルファノール±アセプロマジンを投与した。パラメーター変動値は、スチューデントt検定、または分散分析反復測定値で分析した。非パラメーター変動値は、x2検定で分析した。

結果:グループ間の年齢、体重、切開創の長さ、手術時間、麻酔時間、または、チオペンタール総投与量に有意差はなかった。術後痛みスコアーのピークは0.5時間目に起こり、18時間で基準に戻った。BUP群の犬は、SAL群のイヌに比べ総体的にVAS痛みスコアーが有意に低かったSAL群10頭中7頭、LID群10頭中4頭、BUP群10頭中2頭が、アセプロマジンとブトルファノールの追加を必要とした。群間CPSに違いは認められなかった。副作用は観察されなかった。

結論と臨床関連:この所見は、イヌの卵巣子宮摘出後の鎮痛にブピバカインのIP、SC投与を支持する。(Sato訳)
■急性滑膜炎を誘発したイヌに対するカルプロフェン、エトドラック、メロキシカム、ブトルファノールの効果
Effect of carprofen, etodolac, meloxicam, or butorphanol in dogs with induced acute synovitis.
Am J Vet Res 64[11]:1429-37 2003 Nov
Borer LR, Peel JE, Seewald W, Schawalder P, Spreng DE

目的:急性滑膜炎を誘発したイヌ(急性疼痛モデル)で、治療評価の指標として動力学的歩様分析や整形学的評価、血清C-反応性タンパク(CRP)濃度測定検査を通し、カルプロフェン、エトドラック、メロキシカム、ブトルファノールの単回注射による鎮痛、抗炎症効果を比較すること

動物:12頭のビーグルと血清CRP分析のみに供す6頭の追加ビーグル

処置:尿酸一ナトリウム溶液の関節内注射により、右の膝関節に急性滑膜炎を誘発させた。治療は、ブトルファノール(0.2mg/kg、i.v.)、カルプロフェン(4mg/kg、PO)、エトドラック(17mg/kg、PO)、メロキシカム(0.2mg/kg、PO)を行った。コントロール犬には治療を行わなかった。その処置は、コントロール処置を含め、全ての治療を全ての犬が受けるまで繰り返した(3週間間隔)。跛行は、biomechanical force platformや膝関節の整形学的評価で検査し、血液は血清CRP濃度のモニターのために採取した。

結果:コントロールと比較して、治療犬はvertical ground reaction forcesや負重スコアーで有意に異なっていた。跛行の一番良い改善を見せたのは、カルプロフェン投与犬だった。エトドラックは作用発現が一番速かった。ブトルファノール投与と比較して、カルプロフェンとエトドラックのみが有意に低い疼痛スコアーを示した。血清CRP濃度の増加は、全てのイヌの関節内注射後に検出された。この変化はグループ間でも同様だった。

結論と臨床関連:急性の疼痛の軽減で、カルプロフェン、エトドラック、メロキシカムは、ブトルファノールよりも非常に効果があった。カルプロフェンは全体で最も効果的だった。この急性疼痛モデルで、血清CRP検査は、薬剤効果の判定に効果がなかった。(Sato訳)
■ネコで、ピロキシカムとシメチジンの複数投与量の薬物動態と安全性
Multiple Dose Pharmacokinetics And Safety Of Piroxicam And Cimetidine In The Cat.
ACVIM 2002
H. Heeb, R. Hunter, D. Koch, L. Moore, M. Radlinsky, M. Corse, R. Chun, M. Goatley, L. Garrett
Kansas State University, Manhattan, Kansas

ピロキシカム(PIRO)は非ステロイド抗炎症剤で、イヌの扁平上皮、移行上皮、乳腺癌の治療で臨床における有効性が示されている。また研究所の検査で、多様な上皮腫瘍に対する抗腫瘍および・または化学防御剤としてピロキシカムの有効性も証明されている。ピロキシカムはネコで使用され、たびたびH2レセプター阻害剤または他の胃保護剤を併用して投与されるが、複数投与量の薬物動態やピロキシカムやシメチジンの安全性はネコで評価されていない。この研究の目的は、ピロキシカム単独、そしてシメチジンを併用した時の、ネコの複数投与量薬物動態と安全性を評価することだった。
各体重>3.5kgの7頭の健康なネコを、この無作為クロスオーバー試験に使用した。ネコをシメチジン単独、ピロキシカム単独、ピロキシカムとシメチジンを併用して投与する群に振り分けた。無作為ブロック構成で、群をローテーションし、最低2週間のウォッシュアウト期間を設け、シメチジン15mg/kg12時間ごとと、ピロキシカム0.3mg/kg1日1回を10日間経口投与した。脈管アクセスポートを利用し、血液サンプルを最初の投与前0日目、1日目の投与後0.25、0.5、1、2、4、6、8、12時間目と10日目の投与後0.25、0.5、1、2、4、6、8、12、48時間目に採取した。また、投与後1時間目のサンプルを3、5、7日目に採取した。液体クロマトグラフィー/mass分光分析法を利用して血液サンプルを分析した。薬物動態パラメーターは区画分析で判定した。胃粘膜の内視鏡検査を各投与後5日目と10日目に実施した。血清尿素窒素(SUN)、クレアチニン、アルカリフォスファターゼ(ALP)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)活性を11日目に評価した。
評価した全サンプルで、ピロキシカム単独投与とシメチジンと併用した時の調和平均t1/2は、それぞれ10.8と9.58時間だった。ピロキシカム投与の平均Cmaxは724ng/mlで、平均Tmaxは2.1時間だった。ピロキシカムとシメチジンの併用で、それらの値は571ng/mlと2.1時間だった。ピロキシカム単独とシメチジンを併用した時の平均血漿クリアランスは、それぞれ0.024L/h/kgと0.033L/h/kgだった。シメチジン単独投与を受けていた1頭は、10日目に軽度の胃の糜爛を呈した。両薬剤の投与を受けていた1頭は、5日目に軽度糜爛を呈した。それらの病変は10日目に解消した。両薬剤の投与を受けていた2頭は、10日目に軽度糜爛を呈した。ピロキシカムの単独投与を受けていた4頭は10日目に中程度から重度の糜爛を呈した。11日目のSUN、クレアチニン、ALP、ALT活性は全頭正常範囲内だった。(Sato訳)
■ネコへブプレノルフィン口腔粘膜投与後全身への取り込み
Systemic uptake of buprenorphine by cats after oral mucosal administration.
Vet Rec 152[22]:675-8 2003 May 31
Robertson SA, Taylor PM, Sear JW

6頭のメスネコの口の側面に0.01mg/kg(0.033ml/kg)塩酸ブプレノルフィン溶液を塗布した後、ラジオイムノアッセイで血漿ブプレノルフィン濃度を測定した。前もって設置した経静脈カテーテルから血液サンプルを、投与前、1、2、4、6、10、15、30、45、60分後、2、4、6、12、24時間後に採取した。全頭にブプレノルフィンはうまく許容され、流涎や嘔吐を起こさなかった。血漿濃度ピークの中央値は、7.5ng/mlで15分後に到達した。薬物動態データは、同群のネコにブプレノルフィンを筋肉内投与、静脈内投与した時の薬物動態データと同様だった。そしてそのことは粘膜経路の投与が、静脈内や筋肉内注射と同等の効果があると示唆する。加えて、26頭のネコの口腔内pHをpH紙で測定し、100頭のネコのオーナーにネコに薬物投与する方法として好ましいものを尋ねた。ネコの口のpHは8-9の間で、ネコのオーナーが好ましい方法と答えたものは口の中に滴下する方法だった。(Sato訳)
■ネコでピロキシカムの単回投与薬物動態
Single dose pharmacokinetics of piroxicam in cats.
J Vet Pharmacol Ther 26[4]:259-63 2003 Aug
Heeb HL, Chun R, Koch DE, Goatley MA, Hunter RP

ピロキシカムは非ステロイド抗炎症剤(NSAID)で化学予防剤や抗腫瘍剤としてその価値が認められている。この研究で8頭のネコを使用した。ピロキシカムを単回経口(p.o.)と静脈内(i.v.)で0.3mg/kg投与した。この研究は、2週間のウォッシュアウト期間を設けた無作為完全クロスオーバーで行った。連続血液サンプルを各投与後に採取し、血漿のピロキシカムを分析した。ピロキシカムの薬物動態パラメーターは、非区画分析で判定した。ピロキシカムは80%(範囲64-124%)の生物学的利用能中央値でネコに吸収された。i.v.半減期の中央値は12時間(範囲8.6-14時間)だった。Tmax3時間に一致するCmax中央値は519ng/mlだった。ピロキシカムはネコへの経口投与後、イヌよりも急速に吸収され、Cmaxと曲線下面積はより高いことがわかる。(Sato訳)
■イヌの選択的卵巣子宮摘出術後、ブトルファノールとメロキシカムの鎮痛効果の比較
A comparison of the analgesic effects of butorphanol with those of meloxicam after elective ovariohysterectomy in dogs.
Can Vet J 44[7]:565-70 2003 Jul
Caulkett N, Read M, Fowler D, Waldner C

この研究は、卵巣子宮摘出後のブトルファノールとメロキシカムの鎮痛効果を比較するため行った。15頭のイヌに、アセプロマジン0.05mg/kg、IMとメロキシカム0.2mg/kg、SCで前処置を行った。別の15頭はアセプロマジン0.05mg/kg、IMとブトルファノール0.2mg/kg、IMで前処置した。麻酔導入はチオペンタールで行い、ハロタンで維持した。全痛み測定は、治療を知らせずに経験のある1人により行われた。痛みの採点と視覚アナログスケール(VAS)を前処置後2、3、4、6、8、12、24時間目に行った。アナルゲシオメーターを、切開線の圧迫に反応する敏活な回避を引き起こす圧力値を判定するために使用した。痛みスコアー、VAS、アナルゲシオメータースコアーを一般要因評価で分析した。P<0.05を有意差と考えた。
術後12時間目で、メロキシカムを投与されたイヌは、ブトルファノールのイヌよりも有意に低い痛みスコアーとVASを示した。この研究の結果は、メロキシカムがブトルファノールよりも、より良い術後鎮痛作用を生み出すことを示している。この研究の協力犬(11頭ブトルファノール、13頭メロキシカム)で粘膜出血時間を検査した。前処置前、前処置後6時間、24時間目に出血時間を検査した。6-、24時間目の値は、ボンフェローニ補正のペアt-検定で基準出血時間と比較した。出血時間はどの時も有意な変化を示さなかった。(Sato訳)
■イヌの関節痛の短期そして長期投与に対するケトプロフェンの減量投与
Reduced dosage of ketoprofen for the short-term and long-term treatment of joint pain in dogs.
Vet Rec 152[1]:11-4 2003 Jan 4
Hazewinkel HA, van den Brom WE, Theijse LF, Pollmeier M, Hanson PD

関節炎の短期尿酸ナトリウム結晶誘発性滑膜炎モデルで、ケトプロフェン低用量の鎮痛効果を調査するため、研究所状況下、16頭のイヌを用い2つの研究を行った。最高荷重垂直力の改善を治療効果と定義し、最初の研究は3つの投与量で評価した。ケトプロフェン0.25mg/kgの経口1回投与で、コントロール(0mg)よりは有意に良くなった(P<0.01)が、0.5や0.75mg/kgでさらに荷重が改善するということではなかった。2つ目の研究は0.25mg/kg1日1回30日間投与の効果と安全性を調査した。この投与量で、ケトプロフェンの有効結果は一定で、治療犬は、関節炎を誘発した1日目の4時間後で基準垂直力の89.1%、29日目には92.2%で、無治療犬ではそれぞれ基準の42%、34%だった。胃腸管、または他の副作用は治療期間中観察されなかった。
■筋骨格の痛みと炎症を伴うイヌでベダプロフェンとメロキシカムの比較
Comparison of vedaprofen and meloxicam in dogs with musculoskeletal pain and inflammation.
J Small Anim Pract 43[5]:208-12 2002 May
Nell T, Bergman J, Hoeijmakers M, Van Laar P, Horspool LJ

この無作為多中心性臨床研究で、筋骨格の痛みと炎症を伴うイヌをベダプロフェン、メロキシカムの推奨投与量の経口投与で治療した。臨床検査を定期的に実施し、臨床的な重症度のスコアーを評価した。全体で214症例(急性73症例、慢性141症例)を評価した。急性症例にはベダプロフェン14日、メロキシカム17日間投与し、慢性症例はそれぞれ38日間、39日間投与を継続した。NSAID投与の結果、臨床スコアーは有意に改善した。最終臨床検査時の治療の全体の反応(“反応者”)は、急性症例でベダプロフェン89%、メロキシカム87%、慢性症例でベダプロフェン72%、メロキシカム65%だった。両群で軽度の一時的な胃腸症状が見られた(ベダプロフェン11%、メロキシカム12%)。NSAIDsに関連する副作用で、各群の5%のイヌが治療を中止した。この研究で、ベダプロフェンとメロキシカムは、ほとんどのイヌに効果的で、よく許容した。(Sato訳)
■腹部外科を行うイヌで、メロキシカムの術前投与の安全性と効果をケトプロフェン、ブトルファノールのそれと比較した
Safety and efficacy of preoperative administration of meloxicam, compared with that of ketoprofen and butorphanol in dogs undergoing abdominal surgery.
Am J Vet Res 62[6]:882-8 2001 Jun
Mathews KA, Pettifer G, Foster R, McDonell W

目的:腹部外科手術を行うイヌで、メロキシカムの術前投与の安全性と有効性を、ケトプロフェン、ブトルファノールのそれと比較すること

動物:開腹、脾摘、または膀胱切開を行うイヌ36頭

方法:イヌを無作為に3群に振り分けた。研究の最初は、犬にメロキシカム、ケトプロフェン、またはプラセボを1回投与し、頬粘膜出血時間を測定した。次の研究は、犬にメロキシカム、ケトプロフェン、ブトルファノールを術前投与した。ブトルファノールを投与した犬には、術後直ぐに2回目の投与を行った。痛みスコアー(1-10)を術後20時間まで1時間毎に評価し、各犬の総合的な有効性のスコアーを判定するのに使用した。
3以上の痛みのスコアーを記録した犬には、鎮痛処置としてオキシモルホンを投与した。術後4日目にイヌを安楽死し、肝臓、腎臓、胃腸管の肉眼、組織学検査を実施した。

結果:総合的な有効性は、メロキシカムを投与した12頭中9頭で良い、またはすばらしいという割合だった。比較としてケトプロフェンを投与したイヌで、12頭中9頭という割合、ブトルファノールを投与したイヌでは12頭中1頭という割合でしかなかった。臨床的に重要な血液学的、生化学的、病理学的異常は検出されなかった。

結論と臨床関連:結果は、腹部外科手術を行うイヌへのメロキシカムの術前投与が、術後20時間痛みをコントロールするのに安全で有効な方法だと示唆する。メロキシカムの鎮痛効果はケトプロフェンに匹敵し、ブトルファノールよりも優れている(Sato訳)
■慢性変形性関節症のイヌで、メロキシカムの臨床効果と許容性
Clinical efficacy and tolerance of meloxicam in dogs with chronic osteoarthritis.
Can Vet J 41[4]:296-300 2000 Apr
Doig PA, Purbrick KA, Hare JE, McKeown DB

慢性変形性関節症の犬で、非ステロイド性抗炎症剤メロキシカムの安全性と効果を評価するため、臨床試験を行った。40頭の臨床症例で2つの相の研究を行った。第1相は1週間メロキシカム、またはプラセボの治療効果と許容性を比較した。第2相はその薬剤の効果と許容性を4週間評価した。臨床効果は、特定の跛行、全般的な硬直、痛みの発現、運動不耐性、ふるまいを評価するスコアリングシステムで評価した。4週間の薬剤投与後、変形性関節症の臨床症状に対する評価の有意な低下を現した(P<0.05)。程度や持続期間に関し、副作用は最小限だった。その薬剤は多くの症例に問題なく受け入れられた。この調査で解った事は、メロキシカムの経口懸濁剤の効果、許容性、剤型は犬の慢性変形性関節症の治療として最適なものにしていると示唆される。(Sato訳)
■変形性関節症のイヌの治療で、機能性食品、カルプロフェン、メロキシカムの臨床評価
Clinical evaluation of a nutraceutical, carprofen and meloxicam for the treatment of dogs with osteoarthritis.
Vet Rec 152[11]:323-9 2003 Mar 15
Moreau M, Dupuis J, Bonneau NH, Desnoyers M

機能性食品、カルプロフェン、またはメロキシカムの投与に関する効果、許容度、安全性について、変形性関節症の71頭のイヌで前向き二重盲目試験により評価した。飼育犬をランダムに3つの治療群とプラセボコントロール群に振り分けた。イヌの歩様に対する変形性骨関節症の影響を、関節炎の犬と正常犬10頭の地面の反動力を比較することで現した。
治療開始前、治療30、60日後に、血液、生化学値、患肢の地面の反動力を測定し、主観的評価はオーナーや整形外科医により成された。
地面の反動力の変化は罹患関節に特異的で、カルプロフェンやメロキシカムで有意に改善したが、機能性食品はそうでなかった。そして正常値に戻ったのはメロキシカムだけだった。整形外科医は、カルプロフェンやメロキシカムに改善が見られたと評価したが、オーナーはメロキシカムのみ改善があったと考えた。血液や便の検査で変化は見られなかった。カルプロフェンで治療した犬の肝障害の症例を除き、その治療に対しよく許容した。(Sato訳)
■通常の卵巣子宮摘出術、または去勢手術を行い鎮痛のためにブトルファノール、またはヒドロモルホンを投与した健康犬の術後低酸素血症と高炭酸血症
Postoperative Hypoxemia and Hypercarbia in Healthy Dogs Undergoing Routine Ovariohysterectomy or Castration and Receiving Butorphanol or Hydromorphone for Analgesia
J Am Vet Med Assoc 222[3]:330-336 Feb 1'03 Prospective Trial 41 Refs
Vicki L. Campbell, DVM; Kenneth J. Drobatz, DVM, DACVECC, DACVIM; Sandra Z. Perkowski, VMD, PhD, DACVA

目的:選択的卵巣子宮摘出術、または去勢術を行い、ブトルファノールまたはヒドロモルホンで鎮痛処置をした健康犬で、麻酔後の低酸素血症や高炭酸血症の程度と頻度を判定した。

構成:前向き研究

動物:体重10kg以下の健康なイヌ20頭

方法:アセプロマジン、グリコピロレート、チオペンタール、イソフルランで麻酔し、ブトルファノール(n=20)、またはヒドロモルホン(n=10) を術中鎮痛処置として使用した。動脈血ガス分析を抜管後10、30分、1、2、3、4時間目に行った。

結果:ヒドロモルホンを投与したイヌで、平均PaCO2は術前値、抜管後10、30分、1、2、3時間目の値よりも有意に高かった。抜管後10、30分、1、2時間目の平均PaCO2は、ブトルファノールよりもヒドロモルホンのイヌの方が有意に高かった。平均PaO2は、術前値、ヒドロモルホンのイヌの抜管後30分、1、2時間目の値、ブトルファノールのイヌの抜管後、30分目の値で有意に低かった。抜管後1時間の平均PaO2は、ブトルファノールよりむしろヒドロモルホンの方が有意に低かった。4頭のイヌは抜管後1回以上PaO2が80mmHG以下となった。

結論と臨床関連:結果は、選択的卵巣子宮摘出術、または去勢術を行った健康犬へのヒドロモルホンの投与は、術後PaCO2を一時的に増加させ、ヒドロモルホン、またはブトルファノールの投与はPaO2の一時的な低下を起こすかもしれないと示唆する。しかし、PaCO2の増加やPaO2の低下は軽度で、平均PaCO2やPaO2は正常範囲内を維持した。(Sato訳)
■イヌへのカルプロフェン、メロキシカム、ケトプロフェン投与後の胃十二指腸粘膜の内視鏡検査
Endoscopy of the gastroduodenal mucosa after carprofen, meloxicam and ketoprofen administration in dogs.
J Small Anim Pract 39[9]:421-4 1998 Sep
Forsyth SF ; Guilford WG ; Haslett SJ ; Godfrey J

24頭の健康犬に経口非ステロイド抗炎症剤(NSAID)投与後、7日後と再度28日後に胃十二指腸粘膜を内視鏡で検査した。イヌは4つの群に振り分けた。1つ目はケトプロフェン(1mg/kg24時間毎)、2つ目はカルプロフェン(2mg/kg12時間毎7日間、次いで2mg/kg24時間毎)、3つ目はメロキシカム懸濁剤(0.2mg/kg24時間毎)、最後はゼラチン剤(1カプセル24時間毎)とした。
血清生化学と全血検査値はNSAID投与で有意な変化を示さなかった。胃十二指腸病変は17頭で観察されたが、全頭軽度か中程度のものだった。ゼラチン剤、またはカルプロフェンを投与したイヌは、最少最低の病変だったが、3つの試験薬とコントロール群に統計学的有意差は無かった(P<or=0.05)。胃十二指腸病変に関連した臨床症状を呈したイヌはいなかった。(Sato訳)
■猫の抜爪または抜爪と不妊手術後の鎮痛処置としてブプレノルフィン、塩酸オキシモルヒネ、ケトプロフェンの効果の比較
Comparison of the Effects of Buprenorphine, Oxymorphone Hydrochloride, and Ketoprofen for Postoperative Analgesia After Onychectomy or Onychectomy and Sterilization in Cats
J Am Anim Hosp Assoc 38[6]:507-514 Nov-Dec'02 Prospective Study 30 Refs
Stephanie Dobbins, DVM; Nancy O. Brown, VMD, MA, DACVS, DACVIM; Frances S. Shofer, PhD

抜爪術は獣医療で良く行われ、不妊処置と一緒に行われることもある。それらは痛みの多い処置として知られているが、手術した猫の鎮痛剤の使用で、より良い効果がある薬剤を調べている研究はほとんどない。この研究の目的は、抜爪または抜爪と不妊手術(すなわち去勢、または卵巣子宮摘出術)後の猫で代表的な3種類の鎮痛処置と生理食塩水の鎮痛効果を比較することだった。前肢抜爪のみを研究した。
猫を無作為に4つのうち1つのグループに振り分けた。ブプレノルフィン(0.01mg/kg)、塩酸オキシモルヒネ(0.05mg/kg)、ケトプロフェン(2mg/kg)、プラセボ(生理食塩水)。全頭抜管後直ぐに選ばれた治療を、腰部筋組織に投与した。12時間の間、累積痛みスコアーを鳴き声、動き、動揺、心拍と呼吸数、収縮期血圧をもとに算出した。もし猫のスコアーがどの時間もかなり高いようならば、追加の鎮痛剤を投与し、研究を終了した。12時間の研究終了時にブプレノルフィンを全頭に投与した。肉眼でのアナログ痛みスコアー、鎮静スコアー、食欲、血清コルチゾールも同じ時間に評価した。
ブプレノルフィンは、最も低い累積痛みスコアーと血清コルチゾール濃度と最も高い効果を示した。ケトプロフェンは塩酸オキシモルヒネよりも効果的だった。12時間の研究期間中、プラセボ群を含む全頭補助的鎮痛処置が必要と評価された猫はいなかった。これは、現在の痛みの評価プロトコールの感受性が欠けていることを強調した。
著者は、抜爪単独、または抜爪と外科的不妊を行った猫で、ブプレノルフィンが効果的な鎮痛剤であると結論付ける。しかし、それらの処置を行った猫で正確な痛みの判定は難しいため、術後の猫を見て鎮痛剤を使用するよりも、手術に対する痛みを予想して鎮痛処置を行う方が良い。(Sato訳)
■猫のエンドトキシンモデルでメロキシカムの解熱効果に関する用量反応
Dose-response relationship for the antipyretic effect of meloxicam in an endotoxin model in cats.
Vet Res Commun 19[4]:321-30 1995
Justus C ; Quirke JF

メロキシカムの解熱効果を、反復change-over構成により猫エンドトキシンモデルで評価した。両方の性別を含む12頭の成猫を3つの実験群にランダムに振り分けた。エンドトキシン(0.5μg/kg)の静脈内注射による曝露30分前に、各群2頭にメロキシカムを01、0.3または0.5mg/kgの静脈内投与を行い、残りの各群2頭には生理食塩水を投与した。
第2相で、21日後メロキシカム/プラセボ治療を各群で交代した。
直腸温と全身状態のスコアーを、エンドトキシン曝露前とその後300分まで30分間隔で調査した。血液パラメーターは、投与前とその後60分目に分析した。結果は、エンドトキシン曝露後のメロキシカムの有意な用量依存性解熱反応を示した。メロキシカム中用量群、高用量群の解熱反応に有意差は見られなかったが、両群と低用量群に有意差が見られた。
個々の全身状態に対するエンドトキシンの影響は不定なものであったが、メロキシカムは有効という傾向が見られた。エンドトキシンは白血球数の減少を引き起こしたが、これはメロキシカムの影響ではなかった。猫で発熱性のエンドトキシンモデルは、新しいNSAIDsの研究に非常に適切で、このモデルのメロキシカム1回投与最適量は0.3mg/kgだった。(Sato訳)
■イヌの血液、胃粘膜、関節液プロスタノイド合成に対するメロキシカムとアスピリンの生体内での影響
In vivo effects of meloxicam and aspirin on blood, gastric mucosal, and synovial fluid prostanoid synthesis in dogs.
Am J Vet Res 63[11]:1527-31 2002 Nov
Jones CJ, Streppa HK, Harmon BG, Budsberg SC

目的:過去にそれぞれ生体外で選択的シクロオキシゲナーゼ‐2(COX-2)阻害(COX-1を容赦する)、または非選択的COX阻害効果を示しているメロキシカムとアスピリンの生体内活性を評価すること

動物:膝関節の変形性関節症を持つオス犬12頭

方法:アスピリンとメロキシカムのクロスオーバー構成で21日間各犬に投与した。リポ多糖(LPS)類刺激血液、関節穿刺により採取した関節液、内視鏡による胃粘膜バイオプシー標本のプロスタグランジンE2(PGE2)濃度を、各投与期間の0(基準)、7、21日目に測定した。トロンボキサンB2(TXB2)を投与期間中の0、7、21日目の血液で評価した。

結果:アスピリン投与の7日目と21日目には、血中、胃粘膜、関節液のPGE2濃度と血中のTXB2濃度を有意に抑制した。メロキシカム投与も7日目と21日目の血中、関節液中PGE2濃度を有意に抑制したが、血中TXB2濃度、または胃粘膜のPGE2濃度に影響しなかった。アスピリンとメロキシカム投与による血中と関節液のLPS刺激PGE2濃度の抑制は、COX-2アイソザイムに対する活性と一致する。アスピリン投与による胃粘膜PGE2そして血中TXB2濃度の抑制は、COX-1に対する活性に一致する。対照的にメロキシカムは、COX-1が媒介する機能に対し最小限の影響しかなかった。

結論と臨床関連:犬の生体内で、メロキシカムは、目的組織の胃のPGE2合成を阻害しないCOX-1を容赦する薬で、炎症関節の抗プロスタグランジン効果は保持する。(Sato訳)
■メロキシカム
Meloxicam
Compend Contin Educ Pract Vet 25[1]:64-65 Jan'03 Pharm Profile 7 Refs
Jennifer McLamb Wallace

メロキシカムは、解熱特性をもつNSAIDである。現在カナダやヨーロッパで犬への使用が認められているが、アメリカでは動物医薬品として使用を認められているものはない。
メロキシカムの作用メカニズムは、シクロオキシゲナーゼ(COX)酵素の抑制である。通常、COX-1活性により合成されるプロスタグランジンは、胃粘膜整合性の維持、腎血流と血小板機能の調節を助ける。組織傷害はCOX-2を活性化し、炎症の媒介物質として作用するプロスタグランジン産生を導き、それにより痛みを起こす。それゆえ、アラキドン酸代謝による痛みや炎症を緩和する一方、プロスタグランジンやトロンボキサンの"細胞の生存に基本的に必要な"機能は残す。
メロキシカムは経口投与後良く吸収され、その吸収は食餌により変化しない。投与後約7,8時間で血中濃度がピークに達する。犬の分布容積は、0.3L/kgで約97%は血漿タンパクと結合する。メロキシカムは肝臓で、アルコール代謝、酸誘導代謝、薬理学的に不活性ないくつかの極性代謝により広範囲に代謝される。メロキシカムの腸肝再循環がかなりある。投与量の約75%は糞便から排泄される。半減期は種に特異的で、犬は12-36時間である。
メロキシカムで良く報告される副作用は、嘔吐、下痢、潰瘍などの胃腸障害である。メロキシカムはCOX-2選択的なのだが、高用量でその特異性は減少し、より胃腸障害が見られるかもしれない。胃腸障害は通常一時的で、用量減少や投薬中止で終息する。
メロキシカムの使用は、妊娠中や授乳中は禁忌である。6週齢以下の犬に使用するべきではない。胃腸障害、または肝臓、心臓、腎臓機能障害を起こしている動物にも禁忌である。腎毒性の危険が増すため、脱水、循環血液量減少、または低血圧の動物への使用は極度の注意が必要である。

犬猫への投与量
変形性関節症や炎症:
犬:最初0.2mg/kg,PO;その後0.1mg/kg,PO,sid
猫:最初0.2mg/kg,PO;その後0.1mg/kg,PO,sid,2日間、それから0.025mg/kg週2,3回
0.1mg/kg,PO,sid(4日間までの使用)
0.3mg/kg,IVまたはSC(1回のみの使用)

手術の痛み:
犬:0.2mg/kg(またはそれ以下)IVまたはSC1回;0.1mg/kg(またはそれ以下)IV,SCまたはPO,sid
猫:0.2mg/kg(またはそれ以下)IVまたはSC1回;0.1mg/kg(またはそれ以下)IV,SCまたはPO毎日3-4日間

慢性の痛み:
犬:0.2mg/kg(またはそれ以下)PO1回;0.1mg/kg(またはそれ以下)PO,sid
猫:0.2mg/kgPOまたはSC1回;0.1mg/kg(またはそれ以下)PO3-4日間;0.025mg/kgPO(1頭につき最大0.1mg)週2-3回
(Sato訳)
■犬の膝関節外科手術後、痛みの管理としてメロキシカムの静脈内投与の評価
Evaluation of intravenous administration of meloxicam for perioperative pain management following stifle joint surgery in dogs.
Am J Vet Res 63[11]:1557-63 2002 Nov
Budsberg SC, Cross AR, Quandt JE, Pablo LS, Runk AR

目的:犬の術後の痛みの症状をコントロールするために、術前メロキシカム、ブトルファノールの投与と周術ブトルファノール単独投与を比較する事

動物:前十字靭帯断裂の外科的修復を予定している40頭の飼育犬

方法:グループ1の犬には、ブトルファノール(0.2mg/kg、IV)とメロキシカム(0.2mg/kg、IV)をちょうど術前に投与した。グループ2の犬にはちょうど術前にブトルファノール(0.2mg/kg、IV)そして切開閉鎖時(0.1mg/kg、IV)を投与した。術前1-2時間と抜管から術後24時間まで次の測定をすることにより、痛みの評価を行った。視覚的アナログ測定(VAS)スコアー、累積痛みスコアー(CPS)、調整累積痛みスコアー、修正累積痛みスコアー、調節修正累積痛みスコアー(AMCPS)。血清コルチゾール濃度は、術前12-24の間、1-2時間の間と、抜管後30分、1、2、4、8、18、24時間で測定した。

結果:処置グループ間でCPS、VASスコアーに有意差は見られなかった。抜管後8、9、10、11時間でブトルファノール単独処置犬に比べ、メロキシカム-ブトルファノール処置犬のAMCPSが有意に低かった。測定期間中の総血清コルチゾール濃度(曲線下面積)は、ブトルファノール単独よりもメロキシカム-ブトルファノール処置犬の方が有意に低かった。

結論と臨床関連:犬の術後痛みの症状をコントロールするための、術前メロキシカム-ブトルファノール単回投与は、2回のブトルファノール周術投与に匹敵するか、わずかに良かった。(Sato訳)
■選択的卵巣子宮摘出術を行うイヌで、麻酔必要量と術後の痛みの徴候にケトプロフェンの術前投与がどう影響するか
Effects of Preoperative Administration of Ketoprofen on Anesthetic Requirements and Signs of Postoperative Pain in Dogs Undergoing Elective Ovariohysterectomy
J Am Vet Med Assoc 221[9]:1268-1275 Nov 1'02 Clinical Trial 41 Refs
Kip A. Lemke, DVM, MS, DACVA; Caroline L. Runyon, DVM, MS; Barbara S. Horney DVM, PhD, DACVP

目的:ケトプロフェンの術前投与が、選択的卵巣子宮摘出術を行う犬の麻酔必要量と術後痛みの徴候にどう影響するのか判定すること

構成:無作為管理下臨床試験

動物:22頭の臨床的に正常な飼育犬

方法:麻酔導入の60分前に、11頭の犬にはケトプロフェン(2mg/kg、IM)、残りの11頭には生理食塩液(0.9%NaCl)を投与した。グリコピロレート、アセプロマジン、ブトルファノールで前処置し、チオペンタールで麻酔した。麻酔維持はイソフルレンで行った。卵巣子宮摘出術は経験をつんだ外科医が行い、処置終了15分前にブトルファノールを投与した。休息時や動作時の対象となる行動スコアーと数的痛みスコアーを術後12時間まで2時間おきに記録し、さらに12時間後まで4時間おきに記録した。

結果:術前のケトプロフェン投与で、導入麻酔に必要となるチオペンタール投与量や、維持麻酔に必要な終末呼気イソフルレン濃度を減少させることはなかった。活動レベルや対象となる行動スコアーは、生理食塩液投与犬よりも術後4、6時間目に有意に高かった。しかし、ケトプロフェンを投与した犬の数的痛みスコアー平均は、どの時間をとっても生理食塩液投与犬のそれと有意差が出なかった。

結論と臨床関連:結果からケトプロフェンの術前投与は、選択的卵巣子宮摘出術を行う犬に必要な麻酔量を減少させなかったが、術後の痛みの徴候を抑えるかもしれないと示唆した。また、対象となる行動スコアーは、伝統的な数的痛みスコアーよりも急性の術後の痛みにより感受性の強い測定方法かもしれないと示唆する。(Sato訳)
■猫でロミフィジン、ロミフィジン-ブトルファノールの鎮静、心肺効果に対する評価
Evaluation of Sedative and Cardiorespiratory Effects of Romifidine and Romifidine-Butorphanol in Cats
J Am Vet Med Assoc 221[4]:506-510 Aug 15'02 Crossover Study 19 Refs
Andre L. Selmi, DVM, MS; Glenda R. Barbudo-Selmi, DVM, MS; Carla F. Moreira, DVM; Christine S. Martins, DVM, MS; Bruno T. Lins, DVM; Guilherme M. Mendes, DVM; Concepta McManus, PhD

目的:ロミフィジン単独そしてロミフィジンとブトルファノールの組み合わせによる鎮静、心肺効果とロミフィジン-ブトルファノールで鎮静させた猫での事前アトロピン投与の影響を判定する事

構成:無作為交差試験

動物:健康な成猫6頭

方法:猫には生食(0.9%NaCl)を投与したあとロミフィジン単独投与(100μg/kg、IM)、生食投与後ロミフィジン(40μg/kg、IM)とブトルファノール(0.2mg/kg、IM)を混合投与、またはアトロピン(0.04mg/kg、SC)投与後ロミフィジン(40μg/kg、IM)とブトルファノール(0.2mg/kg、IM)を投与した。各処置については>1週間間隔で無作為に行った。生理的変化を投与前後に測定した。横臥までの時間、横臥の持続時間、鎮静からの覚醒時間、鎮静の主観的評価、筋の弛緩、鎮痛性を評価した。

結果:生食とロミフィジン-ブトルファノール、またはロミフィジン単独を投与した全ての猫に徐脈が起こった。アトロピンの事前投与は、ロミフィジン-ブトルファノールを投与した猫で50分間徐脈を防いだ。オキシヘモグロビン飽和度は、アトロピン処置猫でロミフィジン-ブトルファノール投与後10分間有意に減少した。

結論と臨床関連:結果は、ロミフィジン単独、またはロミフィジン-ブトルファノールの投与が、心拍数の有意な減少を引き起こし、ロミフィジン-ブトルファノールで鎮静させた猫への事前のアトロピン投与が50分間効果的に徐脈を予防すると示唆した。
■猫の術後鎮痛と鎮静に対する術前モルヒネ、ブプレノルフィンを比較した予備研究
A Preliminary Investigation Comparing Pre-Operative Morphine and Buprenorphine for Postoperative Analgesia and Sedation in Cats
Vet Anaesth Analg 29[1]:29-35 Jan'02 Research Paper 26 Refs
G.W. Stanway, BVSC, Cert VA; P.M. Taylor MA, Vet MB, PhD, DVA. Dip ECVA; D.C. Brodbelt, MA, Vet MB, DVA, Dip ECVA, MRCVS

目的:猫に対するブプレノルフィンとモルヒネの術後鎮痛、鎮静特性を比較する

研究構成:回顧的無作為盲目試験

動物:32頭の外科手術を行う家猫

方法:猫に麻酔前処置としてアセプロマジン(0.05mg/kg)を筋肉注射し、無作為にM群(モルヒネ0.1mg/kg、i.m.)とB群(ブプレノルフィン0.01mg/kg、i.m.)に振り分けた。麻酔はプロポフォールで導入し、ハロセンと笑気で維持した。視覚アナログ測定による痛みと鎮静のスコアー、心拍数、呼吸数を直前、麻酔後30、60、120、180、300、420分目に測定した。

結果:B群で麻酔後60、120、180分目の痛みスコアーは有意に低かった。B群は30分時の心拍数も高かった。その他の群間有意差は無かった。

臨床関連:モルヒネ(0.1mg/kg)よりもブプレノルフィン(0.01mg/kg)の方が術後の鎮痛作用が良く、長時間の作用も示すかもしれない。(Sato訳)
■選択的卵巣子宮摘出術を行っている犬で、ケトプロフェンの術前投与が、全血血小板凝集、頬粘膜出血時間、血液学的指標にどう影響するか
Effects of Preoperative Administration of Ketoprofen on Whole Blood Platelet Aggregation, Buccal Mucosal Bleeding Time, and Hematologic Indices in Dogs Undergoing Elective Ovariohysterectomy
J Am Vet Med Assoc 220[12]:1818-1822 Jun 15'02 Clinical Trial 23 Refs
Kip A. Lemke, DVM, MS, DACVA; Caroline L. Runyon, DVM, MS; Barbara S. Hornet, DVM, PhD, DACVP

目的:選択的卵巣子宮摘出術を行っている犬で、ケトプロフェンの術前投与が、全血血小板凝集、頬粘膜出血時間、血液学的指標に対する影響を判定する事

構成:無作為、盲目臨床試験

動物:健康犬22頭

方法:麻酔導入前1時間に、11頭には0.9%生食(コントロール)を投与し、残りの11頭にはケトプロフェン(2mg/kg、IM)を投与した。導入30分前に、グリコピロレート(0.01mg/kg)、アセプロマジン(0.05mg/kg)、ブトルファノール(0.2mg/kg)を、全頭に筋肉内投与した。チオペンタール(5-10mg/kg、IV)で導入し、イソフルラン(1-3%)で維持した。卵巣子宮摘出術を行い、完了15分前にブトルファノール(0.1mg/kg、IV)を投与した。変動値測定のために術前と術後に採血をした。

結果:ケトフェンを投与した犬で、血小板凝集は術前値と比較すると、術後すぐで95±10%(平均±SD)、24時間後に80±35%と減少した。その時の、ケトフェン投与群の平均値は、コントロール犬の平均値と有意差があった。粘膜出血時間や血液学的指標に群間の有意差は認められなかった。

結論と臨床関連:ケトプロフェンの術前投与は、血小板凝集を抑制するが、出血時間は変わらなかった。ケトプロフェンは、潜在的な出血に関する問題が無いか術前にスクリーニングし、術後厳密にモニターするならば、健康犬の選択性卵巣子宮摘出術の術前に使用できる。(Sato訳)
■猫の避妊の術後鎮痛で、メロキシカムとカルプロフェンの比較
Comparison between meloxicam and carprofen for postoperative analgesia after feline ovariohysterectomy.
J Small Anim Pract 43[7]:286-9 2002 Jul
Slingsby LS, Waterman-Earson AE

避妊に来院した80頭の雌猫を、検査官盲目試験の2つの治療群にランダムに振り分けた。麻酔前評価後、アセプロマジン(0.1mg/kg)で前処置をした。チオペンタールで導入し、ハロセンで維持した。40頭の猫にカルプロフェン(4mg/kg皮下)を、あとの40頭にメロキシカム(0.3mg/kg皮下)を麻酔導入後投与した。ルーチンな側腹避妊後、20時間に渡りvisual analogue scale scoresを用いて痛みと鎮静について評価した。採血を鎮静前と20時間目に行い、血清生化学検査を行った(尿素、クレアチニン、アラニン、アミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)。グループ間で痛みと鎮静スコアーに有意差はなかった。血清生化学値は、グループ間で似ており、鎮静前と20時間目の値にはいくらか違いが見られた。カルプロフェンの1頭とメロキシカムの2頭は、モルヒネ筋注(0.2mg/kg)のレスキュー処置を必要とした。(Sato訳)
■犬の術後鎮痛補助として一定割合の低用量ケタミン点滴投与の使用
Ann E. Wagner, DVM, MS, DACVP DACVA et al; J Am Vet Med Assoc 221[1]:72-75 Jul 1'02 Prospective Study 14 Refs; Use of Low Doses of Ketamine Administered by Constant Rate Infusion as an Adjunct for Postoperative Analgesia in Dogs

目的:通常の術後鎮痛管理の追加で、低用量ケタミン点滴を行った時と行わなかった時の、犬の術後の痛みやしぐさの指標を比較する
構成:前向き無作為盲目臨床試験
動物:前肢切断を行った27頭の犬
方法:グリコピロレート、モルヒネ、プロポフォール、イソフルレンで犬に麻酔をかけた。13頭の犬には以下のようなケタミン静脈注射を行った。:術前ボーラス0.5mg/kg投与、術中10μg/kg/min、術後18時間2μg/kg/min。14頭はケタミンを生食(0.9%NaCl)に変えて同じように投与した。全頭に術後18時間フェンタニル(1-5μg/kg/h)の点滴を行った。術前、抜管時、抜管後1、2、3、4、12、18時間に痛みの徴候を評価した。オーナーには術後2,3,4日目の食欲、活動性、傷の痛みを評価してもらった。
結果:ケタミン点滴を受けた犬は、コントロールの犬より術後12と18時間後の痛みのスコアーが有意に低く、術後3日目にはより活動的であった。
結論と臨床関連:周術の低用量ケタミン投与は、鎮痛性を増し、術後期間を快適にするだろうと結果は示唆する。(Sato訳)
■麻酔中低血圧の麻酔犬で、腎機能、血清生化学検査結果、血液分析に対するカルプロフェンの影響
Bostrom IM et al; Am J Vet Res 63[5]:712-21 2002 May; Effects of carprofen on renal function and results of serum biochemical and hematologic analyses in anesthetized dogs that had low blood pressure during anesthesia.

目的:麻酔中低血圧を示すアセプロマジン-チオペンタール-イソフルレンで麻酔した犬の、腎機能、血清生化学検査、血液分析にカルプロフェンの静脈投与がどう影響するか調査した

動物:健康なビーグル6頭

方法:以下の方法で、無作為交差試験を行った:生食(0.9%NaCl)-生食、生食-カルプロフェン、カルプロフェン-生食。生食(0.08ml/kg)とカルプロフェン(4mg/kg)を静脈投与した。最初の処置は、麻酔導入前30分とアセプロマジン投与(0.1mg/kg、IM)直前に投与した。麻酔はチオペンタール(25mg/kg、IV)で導入し、イソフルレン(2%)で維持した。2度目の処置は、吸入麻酔の開始後30分で投与した。血液ガス、循環、換気をモニターした。腎機能はシンチグラフィーによる糸球体ろ過率(GFR)、血清生化学分析、尿検査で評価した。血液検査も実施した。統計は分散分析、フリードマン分散分析で行った。

結果:3処置群に有意差は見られなかった。全ての処置群で、鎮静、麻酔が生化学や血液検査に変化を起こし、平均動脈圧は65mmHgに低下、アンギオテンシンⅡ濃度は115pmol/Lに上昇、シンチグラフィー中に最大活性数までの到達時間が100秒まで延長した。

結論と臨床関連:麻酔中の低血圧状態の健康なビーグルで、麻酔前や麻酔中のカルプロフェンの静脈投与は、腎機能や血清生化学、血液検査に検出可能で有意な副作用を起こさなかった。(Sato訳)
■卵巣子宮摘出術を行う、または行わないで、ハロタンとブトルファノールの違った組み合わせによるメス犬の反応として血漿コルチゾール濃度の変化
Fox SM et al; Res Vet Sci 65[2]:125-33 1998 Sep-Oct ;Changes in plasma cortisol concentrations in bitches in response to different combinations of halothane and butorphanol, with or without ovariohysterectomy.

9種の処置に対するメス犬の反応として、血漿コルチゾール濃度の変化を評価しました。その処置は、コントロール、麻酔、鎮痛、麻酔に続く鎮痛、挿管時の鎮痛に続く麻酔、抜管時の鎮痛に追随する麻酔、麻酔プラス外科手術、麻酔プラス外科手術に続く鎮痛、鎮痛に続く麻酔プラス外科手術です。麻酔はハロタン、鎮痛剤はブトルファノール(0.4mg/kg)そして外科手術は、卵巣子宮摘出術でした。血漿コルチゾ-ル分析のために血液サンプルを、定期的に処置5時間前から、24時間後まで採取しました。

 コントロール群の血漿コルチゾール濃度のわずかな一時的上昇は、不慣れな環境によるストレスと思われました。鎮痛処置群のコルチゾール濃度における、明白で長期にわたる上昇は、作用-拮抗薬ブトルファノールの影響下におけるメス犬の不快感によると思われました。ハロタン麻酔単独では、血漿コルチゾール濃度の変化を起こしませんでした。導入麻酔後または、まだ麻酔の影響下にあるとき(抜管後すぐ)に、ブトルファノールを投与したもので、血漿コルチゾール濃度の即座の上昇がなく、ハロタン中止後60分まで低濃度を維持しました。少なくとも5時間、処置前以上の血漿コルチゾール濃度を示すような著しい上昇は、全ての手術を行った群で認めました。

 術前30分のブトルファノール静脈投与は、血漿コルチゾ-ル濃度の手術による上昇に効果がなく、術後にも効果がありません。対照的に、抜管時のブトルファノール投与は、術後期間の濃度を低下させました。それらの所見は、ブトルファノールの術前使用が、ハロタン麻酔下での手術後、コルチゾール反応を減少させるだろう、という仮説を支持しませんでした。(Dr.Sato訳)

■犬で、メデトミジン、メデトミジン-ブトルファノール、メデトミジン-ケタミンの鎮静効果と心肺への影響
Jeff C.H. Ko, DVM, MS, DACVA et al; J Am Vet Med Assoc 216[10]:1578-1583 May 15'00 Crossover Study 16 Refs ;Sedative and Cardiorespiratory Effects of Medetomidine, Medetomidine-Butorphanol, and Medetomidine-Ketamine in Dogs

目的:メデトミジン単独、そしてブトルファノールまたはケタミンとの組み合わせで、筋肉注射を行い、鎮静効果と心肺への影響を調べる事です。

構成:無作為交差試験

動物:健康成犬6頭

方法:犬に次のような処置をしました。
・ メデトミジン単独(30μg/kg[13.6μg/lb])の筋注

・ メデトミジン(30μg/kg)とブトルファノール(0.2mg/kg[0.09mg/lb])の組み合わせで筋注

・ メデトミジン(30μg/kg)とケタミン(3mg/kg[1.36mg/lb])の組み合わせで筋注

最低1週間間隔で無作為な指示で、処置を行いました。グリコピロレートを同時に投与しました。アチパメゾール(150μg/kg[68μg/lb]、筋注)をメデトミジン投与後40分に、投与しました。

結果:1頭(メデトミジン単独)を除いて全頭が、投与後6分以内に横臥姿勢を取りました。メデトミジン単独は、ブトルファノールと組み合わせた時より気管挿管が有意に難しかったです。全ての評価時間で、しっぽを鉗子ではさみ、その陽性反応の比率または、頚部、肩部、腹部、後躯を、針でちくっと刺す反応率に処置間で有意差は見られませんでした。メデトミジン単独に比べ、メデトミジンとブトルファノールまたは、メデトミジンとケタミンの組み合わせ投与は、PaCO2が有意に高く、動脈血pHそしてPaO2が有意に低かったです。アチパメゾール投与後の回復状態は、メデトミジンとケタミンを投与した1頭の犬で不十分なものでした。

結論&臨床関連:結果は、メデトミジン単独より、ブトルファノールやケタミンと組み合わせる方が、犬でより確かな、安定した鎮静が得られることを示唆します。(Dr.Sato訳)

■犬で、メデトミジン-ミダゾラム、アセプロマジン-ブトルファノール、ミダゾラム-ブトルファノールが心肺へ及ぼす影響比較
Kojima K et al; Zentralbl Veterinarmed [A] 46[6]:353-9 1999 Aug ;Comparison of cardiopulmonary effects of medetomidine-midazolam, acepromazine-butorphanol and midazolam-butorphanol in dogs.

メデトミジン(20μg/kg)-ミダゾラム(0.3mg/kg)(MM)、アセプロマジン(0.05mg/kg)-ブトルファノール(0.2mg/kg)(AB)、ミダゾラム(0.1mg/kg)-ブトルファノール(0.2mg/kg)(MB)の筋肉注射が及ぼす心肺への影響を、犬で比較しました。MMは徐脈、高血圧、心拍出量や血管収縮の減少のような、心血管の大きな変化をもたらしました。ABは中程度の心血管変化をもたらし、投与5分以内に低血圧が見られ、20分後に平均動脈血圧の30%減少を示しました。MBで、動脈血圧と心拍出量の減少をもたらしましたが、それらの変化は小さく、この研究で使用した組み合わせの中で、MBは心血管に及ぼす影響が最も軽度でした。(Dr.Sato訳)

■アトロピン、ブトルファノール、メデトミジンの前投薬を行った犬で、プロポフォールが麻酔、心肺にどう影響するか
Kurt A. Grimm, DVM, MS, DACVA et al; Vet Ther 2[1]:1-9 Winter'01 Prospective Study 36 Refs ;Anesthetic and Cardiopulmonary Effects of Propofol in Dogs Premedicated with Atropine, Butorphanol, and Medetomidine

健康犬で、プロポフォール(2.2mg/kg)の静注、メデトミジン(22.0μg/kg)の筋注、ブトルファノール(0.22mg/kg)の静注、アトロピン(0.022mg/kg)の静注を組み合わせ、麻酔や心肺への影響を評価しました。麻酔は、筋弛緩と鎮痛で特徴付けました。心拍は、メデトミジンとプロポフォールの投与で減少しました(131から113回/分)が、アチパメゾール(110μg/kg)の静脈投与で基準線に回帰しました。前投薬後、軽度の酸性血、炭酸過剰、低酸素症、そしてSaO2の減少を起こしました。PaO2とSao2はプロポフォール注射で、さらに減少しました。結論として、この組み合わせは、健康犬の効果的な麻酔プロトコールという事がわかり、ちょっとした外科手技に適応すべきです。(Dr.Sato訳)

■犬でメデトミジン、ミダゾラム、ブトルファノールの組み合わせが及ぼす心肺への影響
Pypendop B et al; Am J Vet Res 60[9]:1148-54 1999 Sep ;Cardiorespiratory effects of a combination of medetomidine, midazolam, and butorphanol in dogs.

目的:メデトミジン、ブトルファノール、ミダゾラムの組み合わせが、心肺へ及ぼす影響の特徴を示す事と、一般的な吸入麻酔(アセプロマジン-ブトルファノール-チオペンタール-ハロタン)を使用して導入した時の心肺機能低下の程度を比較する事です。

動物:臨床的に健康な犬10頭(2群5頭ずつ)

方法:処置犬で、メデトミジンを投与しました。(Time0分);メデトミジンの効果が最大のときに、ミダゾラムとブトルファノールを投与しました(Time20)、アチパメゾールをその後、投与しました(Time60)。コントロール犬では、各薬剤の効果が満たされた後に、薬剤を投与しました。:アセプロマジンをTime0に投与し、チオペンタールとブトルファノールをTime35に投与し、ハロタンをTime45から110まで投与しました。種々の心肺や血液学的変化を測定、または算出しました。

結果:呼吸数、動脈そして静脈血pH、静脈酸素含有量、酸素消費量、酸素運搬能は処置犬で、基準値以下に有意に減少しました。;終末呼気CO2、動脈、静脈P(CO)2、O2抽出は、基準値以上に有意に増加しました。麻酔後、入手したデータの比較は、動脈HCO3-濃度、静脈P(CO2),S(O2)、心拍出量、O2抽出、酸素運搬能は、治療犬でより変化して現れました。酸素消費量と生理学的血分流画分は、コントロールより、処置犬の方がより変化が少ないものでした。

結論と臨床関連:メデトミジン-ブトルファノール-ミダゾラムの組み合わせは、吸入麻酔を広く使用した時に匹敵する程度の、呼吸抑制を引き起こしました。呼吸変化は麻酔中、許容限界以内で維持しましたが、心血管機能には、よりひどく影響しました。(Dr.Sato訳)

■犬のイソフルレン肺胞最小濃度にブトルファノールとカルプロフェンがどう影響するか
Jeff C.H. Ko, DVM, MS, DACVA et al; J Am Vet Med Assoc 217[7]:1025-1028 Oct 01'00 Crossover Study 20 Refs ;Effects of Butorphanol and Carprofen on the Minimal Alveolar Concentration of Isoflurane in Dogs

目的:犬のイソフルレン肺胞最小濃度(MAC)に、ブトルファノール、カルプロフェン単独、そしてその組み合わせが及ぼす影響を評価する事です。

構成:無作為完全ブロック交差試験

動物:6頭の健康成犬

方法:カルプロフェン単独、ブトルファノール単独、カルプロフェンとブトルファノール、そして薬剤なし(コントロール)の処置に続き、イソフルレンの肺胞最小濃度を調査しました。酸素下イソフルレンで、導入麻酔し、テイルクランプ法で、MACを測定しました。麻酔導入前3時間に、少量の缶詰に薬剤をなにも混ぜずに与え(コントロール)または、カルプロフェン(2.2mg/kg[1mg/lb])を混ぜて与えました。最初のMAC測定に続き、ブトルファノール(0.4mg/kg[0.18mg/kg]静注)を投与し、MACを再度測定しました。心拍数、呼吸数、間接動脈血圧、終末期CO2分圧そしてヘモグロビン酸素飽和度の記録と同時に、MACを測定しました。

結果:ブトルファノール単独投与(1.03±0.22%)に続く、またはカルプロフェンとブトルファノールの組み合わせ投与(0.90±0.21%)に続く、イソフルレンのMAC平均±SDは、コントロールMACより有意に低いものでした。それに対し、カルプロフェン単独投与後のMAC(1.20±0.13)は、コントロールの値と有意な差が見られませんでした。イソフルレンのMACに対するカルプロフェンとブトルファノールの効果は、相加的でした。心肺機能のデータに関する、治療群での有意差はありませんでした。

結論&臨床関連:結果は、ブトルファノール単独またはカルプロフェンとの組み合わせ投与は、犬のイソフルレンのMACを有意に低下させますが、ブトルファノールとカルプロフェンの効果は相加的で、相乗的ではないと示唆します。(Dr.Sato訳)

■猫で、オキシモルホン-ブトルファノール-アセプロマジンの組み合わせにおける鎮痛効果
Briggs SL et al; Vet Surg 27[5]:466-72 1998 Sep-Oct; Antinociceptive effects of oxymorphone-butorphanol-acepromazine combination in cats.

目的:オキシモルホン、ブトルファノール、アセプロマジン個々と、組み合わせで、猫の不快な内臓刺激に対する鎮痛効果を評価する事です。

研究構成:無作為、盲目的コントロール研究。

動物:健康な雑種猫8頭(オス4頭、メス4頭)、体重4.4±1.2kg。年令1-2歳。

方法:シラスティックバルーンカテーテルを、直腸に挿入し、圧力を変化させて膨らませました。生理学的パラメーター(呼吸数、心拍数、血圧)も記録しました。オキシモルホン0.025,0.05,0.10,0.20mg/kgで、ブトルファノール、0.025,0.05,0.10,0.20mg/kgの投与量で、個々に、または組み合わせて静脈投与(i.v.)しました。更なる研究は、組み合わせて0.1mg/kgの投与量になるように、ブトルファノールとオキシモルホンをいろいろな比率(3:1,2:1,1:1,1:2,1:3)で、それぞれの組み合わせごとに4頭に投与しました。別の研究で、4頭に、オキシモルホンとブトルファノールをそれぞれ、0.05mg/kgの組み合わせ、またはオキシモルホン、ブトルファノール、アセプロマジンを各005mg/kgで静脈投与しました。

結果:オキシモルホン0.05mg/kgとブトルファノール0.10mg/kgの組み合わせは、主に付加的な相乗鎮痛相互作用がある程度見られ、各0.2mg/kgの組み合わせは、付加的鎮痛効果をはっきりと示しました(P<.05)。追加の研究で、総投与量が0.1mg/kgになるような、2種薬剤の各比率の組み合わせでは、互いに有意差が出るような鎮痛レベルに達しませんでした(P>.05)。アセプロマジンは、オキシモルホンとブトルファノールを組み合わせた時に、15分で、有意な鎮痛の効果が強く見られました(P<.05)。生理学的変化についても、それら薬物の組み合わせで、変化は見られませんでした。

結論:オキシモルホンとブトルファノールの低用量の組み合わせは、個々で使用するよりも強いレベルの鎮痛効果を生み出す事が出来ます。オキシモルホンとブトルファノールの組み合わせに、アセプロマジンを加えると、その2つの組み合わせより更なるレベルの鎮痛効果をもたらします。

臨床関連性:オキシモルホン、ブトルファノール、アセプロマジンは、猫で、副作用もなく付加的、または相乗的効果をもたらす組み合わせで使用できます。それらのデータは、術後使用される低用量マリファナオピオイド(例えばオキシモルホン)の前に、麻酔前投薬として使用される低用量アセプロマジンとブトルファノールを組み合わせると、猫の痛みの管理に効果的な方法として使用できるかもしれません。(Dr.Sato訳)