■飼鳥の一般的な緊急疾患
Common Emergencies in Pet Birds.
Vet Clin North Am Exot Anim Pract. May 2016;19(2):513-41.
Jane D Stout

鳥の緊急疾患の治療は難題となり得る。飼鳥は重篤になるまで病気の症状を隠すことも多く、安定させるまで最小限のハンドリングで迅速に支持療法を開始する必要がある。

この文献は、臨床医に一般的な鳥の緊急疾患の症状を紹介し、小動物救急室で素早く実施できる初期治療と診断方法を詳述する。取り上げている一般的な疾患の症状は、呼吸困難を起こす呼吸器および呼吸器外疾患、消化管症状、生殖器疾患、神経障害、外傷、毒の暴露などである。鳥の疾患の持続期間とその程度、最適な治療の開始が臨床結果を決定することも多い。(Sato訳)
■鳥の軟部組織外科
Avian Soft Tissue Surgery.
Vet Clin North Am Exot Anim Pract. January 2016;19(1):133-57.
David Sanchez-Migallon Guzman

鳥の軟部組織外科に対する基本的な手術器具は、軟部組織開創器、マイクロサージカル器具、外科用拡大鏡、ヘッドマウントライトなどである。外科処置中の止血は基本である。外被(指の絞扼修復、フェザーシスト切除、頭部創修復、胸骨創修復、尾脂腺切除)、消化管(ingluviotomy、そ嚢バイオプシー、そ嚢火傷修復、開腹、体腔ヘルニアおよび偽ヘルニア修復、前胃切開、胃切開、腸切開と吻合、総排出腔形成、総排出腔固定)、呼吸器(鼻石除去、鼻道切除、気管切開と吻合、気管開口、肺切除)、生殖器系(卵穿刺、卵巣切除、卵管子宮摘出、帝王切開、精巣摘出、精管切除、陰茎切除)の軟部組織外科に関する適応、アプローチ、合併症をまとめる。(Sato訳)
■鳥の医療におけるヨードベースの造影剤
Iodine-Based Contrast Media in Avian Medicine
J Exotic Pet Med. Jul 2008;17(3):189-197. 16 Refs
M.-E. Krautwald-Junghanns, Prof. Dr. med. vet., Dip. ECAMS, J. Schloemer, DVM, M. Pees, Dr. med. vet., Dip. ECAMS

ヨードベースの造影剤は鳥の医療で一般的にルーチンな診断法ではなく、よって哺乳類あるいは人医と比べ限定された価値しかないと考えられる。しかし、これは知識および/または鳥にヨードベースの造影剤をまれにしか使用しないため、その方法を使用する経験の欠如による誤解かもしれない。実際、重要な診断方法はこのような単純な理由で失われることが多い。
この文献の目的は、鳥の医療における造影剤の再検討、それらの適応性を提供し、その使用方法を述べることである。
鳥において超音波検査およびCTが利用できない、あるいは解剖学的特性のため不可能なときにヨードベース造影剤は有効な方法である。非イオン性化合物の副作用は、適切なヨード濃度および投与量で使用すればまれである。しかし、脊髄造影は不可逆な傷害あるいは死亡させるリスクが高いので通常の診断方法として推奨できない。(Sato訳)
■鳥のカルシウム代謝
Calcium metabolism in birds
Vet Clin North Am Exot Anim Pract. January 2008;11(1):59-82, vi. 67 Refs
Ricardo de Matos

哺乳類および鳥類においてカルシウムは、重要な血漿成分である。構造的強度、支持(骨や卵殻)を提供し、身体の生物化学反応の多くにおいて重要な役割を持つ。鳥類におけるカルシウム代謝のコントロールは効率が高く、主に上皮小体、腸、腎臓、骨など多くの組織で厳密に調整される。鳥類におけるカルシウム調整で最も強く関与するホルモンは、上皮小体ホルモン、1.25-ジヒドロキシビタミンD(3)(カルシトリオール)、エストロジェンで、カルシトニンは最小限で不確かな役割演じる。鳥類のカルシウム代謝で特別な特徴は、主に卵生成に関与するもので、カルシウム恒常性の障害を二次的に起こす一般的な臨床疾患に沿って述べる。(Sato訳)
■猛禽類の母指球(バンブルフット)の腫脹
Swelling of the ball of the foot (bumblefoot) in birds of prey
rarztl Prax. 1985;13(2):171-6.
Kiel H.

バンブルフットは様々(外因性そして内因泌)な要因により惹起される猛禽類の趾の炎症である。
タカやワシは他の猛禽類よりこの病気にかかりやすい。罹患鳥は急性から慢性炎症まですべてのステージを示す。バンブルフットは診断的にポックス感染症と皮膚結核を区別しなければならない。炎症は適切に設計された止まり木、正しい食餌、そして十分な身繕いを鳥に供給することによってある程度まで予防できる。治療の成功のチャンスは炎症の範囲によるが、外科的治療は唯一前途有望な治療である。一般的に趾に近い病変のすべての治癒過程は困難で長い。(Dr.Kawano訳)
■エンロフロキサシンの注射製剤による200mg/Lの水薬をオウムに投与したときの血漿エンロフロキサシン濃度
Plasma Concentrations of Enrofloxacin in Psittacine Birds Offered Water Medicated With 200 mg/L of the Injectable Formulation of Enrofloxacin
J Avian Med Surg 16[4]:286-290 Dec'02 Clinical Study 19 Refs
Keven Hammer, DVM, Dipl ABVP (Avian), and Debbie Whitt-Smith, RT

オウムの細菌感染の治療にエンロフロキサシンはよく使用される。エンロフロキサシンは経口、または注射投与で最も効果的であるが、薬用飲水でも投与可能である。この研究の目的は、16羽のオウムに10日間エンロフロキサシン注射製剤を200mg/Lで飲水投与を行い、達した血漿エンロフロキサシン濃度を測定することだった。

16羽は、6羽がバタンインコ(Cacatua species)、4羽がクサビオインコ(Aratinga species)、2羽がセネガルオウム(Poicephalus senegalus)、2羽がカタアカコンゴウインコ(Ara no-bilis)、2羽が灰色オウム(Psittacus erithacus)だった。ほとんどの動物病院で簡単に手に入るのを理由に注射製剤を選択した。血漿エンロフロキサシンとシプロフロキサシン分析のため、血液サンプルを2日目と4日目の16:00-17:30に、6日目と8日目の8:30-10:00に採取した。平均血漿エンロフロキサシン濃度(±SD)は各鳥で0.11±0.05−2.00±1.43μg/mlの範囲で、16羽中14羽は0.40μg/ml以下だった。シプロフロキサシン濃度は2つのサンプルを除いて全て検出限界以下だった。この研究は、オウム科の鳥に対し注射製剤エンロフロキサシン200mg/Lの薬用飲水は、高い感受性を示す細菌の全身感染の治療にのみ、効果がある血漿濃度を維持することを示す。(Sato訳)
■ブルー・ゴールドコンゴウインコ(Ara ararauna)における卵関連性腹膜炎の管理
Management of egg-related peritonitis in a Blue and Gold Macaw(Ara ararauna)
Heather Wilson, Jennifer Grahum
Compend Contin Educ Pract Vet 25(1):42-47,2003

16歳、メス、ブルー・ゴールドコンゴウインコ(Ara ararauna)が栄養学的に不適切な給餌を受け、食欲不振、そして軽度の沈鬱状態を呈していた。臨床徴候として、重度の呼吸困難、沈鬱、食欲廃絶、腹囲膨満そして総排泄腔脱出などが見られた。レントゲン写真では、中腹部に軟部組織のマスが示された。腹腔鏡検査で、敗血症性卵関連性腹膜炎という適切な診断が得られた。濃縮した卵黄の除去と卵管全切除、そして抗生物質による治療で、臨床症状は消散した。食餌の変更で、悪化した羽の状態も改善した。(Dr.Boo訳)