■犬の片側椎弓切除後の予防的抗生物質は手術部位感染の減少と関係しなかった
Postoperative prophylactic antibiotics were not associated with decreased surgical site infections following hemilaminectomy in dogs: a retrospective study
J Am Vet Med Assoc. 2025 Jan 10:1-5.
doi: 10.2460/javma.24.10.0677. Online ahead of print.
Ericka L Jaramillo , Steven W Frederick , Sarah K Israel
目的:術後の予防的抗生物質を投与した犬と投与しなかった犬の片側椎弓切除の手術部位感染(SSI)率を比較する
方法:1か所の第三次紹介病院の275頭の飼い犬の医療記録で、2018年から2023年の間に椎間板ヘルニアに対し、胸腰部片側椎弓切除で治療した犬を回顧的に再調査した。犬は予防的術後抗生物質を投与した(A群)、あるいは投与しなかった(B群)でグループ分けした。シグナルメント、麻酔処置の時間、切開創を閉じる方法、周術および予防的術後抗生物質処方、術後のSSIの診断(CDCにより定義される)を含む関連する症例の詳細を記録した。Wilson binomial CIsでSSI率を算出した。抗生物質を投与した犬と投与しなかった犬の手術部位感染率は、フィッシャーの正確確率検定で解析した。
結果:全体のSSI率は3%(8/275;95%CI、1-6%)だった。A群のSSI率は3%(5/147;95%CI、1-8%)で、B群の2%(3/128;95%CI、1-7%)と統計学的差はなかった(P=.728)。閉鎖方法間のSSI率に統計学的違いはなかった(皮内吸収性、1%(1/79);皮膚ステープル、4%(7/184);皮膚ナイロン、0%(0/12);P=.611)。
結論:この研究における全体の片側椎弓切除のSSI率は低く、予防的抗生物質の処方はSSI率低下と関係しなかった。
臨床的関連:清潔な外科的処置において抗菌的予防を回避する抗菌の責務の実践は、片側椎弓切除の犬の結果に対して臨床的に有害ではないかもしれない。(Sato訳)
■胸腰部椎間板突出に対し減圧術を行った痛覚の無い対麻痺の犬の早期歩行に対するリスク因子の特徴
Characterization of risk factors for early ambulation in paraplegic dogs with absent pain perception undergoing decompressive surgery for thoracolumbar intervertebral disk extrusions
Front Vet Sci. 2024 Dec 4:11:1487105.
doi: 10.3389/fvets.2024.1487105. eCollection 2024.
Sérgio A Gomes , Rui Damásio Alvites , Bruna Lopes , André Coelho , Mike Targett , Jorge Ribeiro , Débora Gouveia , Ângela Martins , Artur S P Varejão , Ana Colette Maurício , Ana Lúcia Luís
目的:現在の文献は、痛覚のない(APP)対麻痺の犬における外科的減圧を正当化しているが、臨床現場における胸腰部(TL)IVDE手術後のAPPの犬の歩行可能な割合は不明なままである。さらに、対麻痺のAPPのフレンチブルドッグ(FBs)の結果は、悪いと逸話風に考えられている。この研究の目的は、減圧術を行ったTL-IVDEのAPPで対麻痺の犬の大規模集団内で3要素だった:(1)術後の早期自発的後枝の動き及び歩行の特徴を述べる;(2)歩行の開腹に対するリスク因子を確認する;(3)APPを呈するFBsとダックスフンドの結果を比較する。
方法:CTあるいはMRIでTL-IVDEと診断され、全て外科的減圧術(ヘミラミネクトミー±硬膜切開)を行った対麻痺およびAPPの犬の1施設、回顧的ケースシリーズ。2つの主要なグループを定義した:歩行可能及び歩行不可能。それらはさらに痛覚の有無及び自発的運動に依存して特徴づけた。結果は術後4-8週に入手した。歩行可能及び歩行不可能な犬の比較、FBsとダックスフンドの歩行可能率の比較に統計学的解析を実施した。
結果:合計127症例を含め、127頭中77頭(60.6%)は、再チェック時に歩行可能で、127頭中9頭(7.1%)はAPPにもかかわらず歩行可能だった。歩行不可能症例の残りの症例分布は:APPの犬(32/127;25.2%)、痛覚あり(5/127;3.9%)、自発的動き有(5/127;3.9%)だった。多変量解析で歩行の回復に対する2つの負の因子が明らかとなった:ヘミラミネクトミーと一緒に硬膜切開を行った犬(p=0.003)、侵害反射の減少/欠如を特徴とする脊髄ショック(L3-L4椎間板よりも高い病変を伴う下位運動ニューロンサイン)を呈した犬(p=0.008)。歩行の開腹に関してダックスフンド(n=41、73.2%歩行可能)とFBs(n=33、63.6%歩行可能)の間に差は見られず、FBsの33頭中2頭(6.1%)のみ脊髄軟化症を発症した。
結論:;歩行の早期回復のみ(60.6%)、痛覚と共に歩行可能(53.5%)は、APPを伴うTL-IVDEに罹患し、外科的に管理した大部分の犬に見いだされた。歩行回復の負の予後因子は、ヘミラミネクトミーと一緒に実施した硬膜切開と、侵害反射の減少/欠如した脊髄ショックを呈する犬で、後者はL3-L4椎間板よりも高い病変を伴う侵害反射の減少/欠如と理解される。最後に、ダックスフンドと比較した時のFBsにおいて、歩行回復に関しており悪い予後、あるいは脊髄軟化症の発生率がより高いという兆候は見つからなかった。(Sato訳)
■頸部椎間板突出の80頭のダックスフンドの臨床症状、MRI所見、結果
Clinical presentation, magnetic resonance imaging findings, and outcome of 80 Dachshunds with cervical intervertebral disc extrusion
Front Vet Sci. 2024 Aug 29:11:1438300.
doi: 10.3389/fvets.2024.1438300. eCollection 2024.
Francesca Violini , Federica Tirrito , Francesca Cozzi , Barbara Contiero , Simone Anesi , Eric Zini , Cristina Toni
イントロダクション:ダックスフンドの頸部椎間板突出(IVDE)に関する大規模臨床研究はない。ゆえに、この回顧的多施設研究の目的は、頸部IVDEと診断されたダックスフンドの臨床的特徴、MRI所見および結果を述べることである。
方法:頸部IVDEのダックスフンドの医療記録から、シグナルメント、臨床症状の発現、神経学的検査、MRI特徴、治療と結果を再検討した。
結果:80頭のダックスフンドを研究に含め、受診時で多くは歩行可能(グレード1が55%、グレード2が33%)、神経根サインはなかった(症例の85%)。被毛タイプの情報は56%の犬で入手できた;特に41%がスムースヘアード、9%がロングヘアード、6%はワイヤーヘアードだった。29頭(36%)は避妊済みメス、27頭(34%)はオス、15頭(19%)は去勢済みオス、9頭(11%)はメス犬だった。
臨床症状の発現は>48hが最も多かった(84%)。罹患した椎間板腔で最も一般的なのはC2-C3(38%)で、椎間孔IVDEsは14%の犬で報告された。椎間孔IVDEは、神経根サインを呈する犬の25%でしか診断されなかった。
多くの犬(77.5%)は外科的に治療された。このグループで、受診時のより高いボディコンディションスコア、MRIで算出したより高い平均脊髄圧迫比の犬は、より長い入院期間と直接的に中程度関係した(それぞれr=0.490、p=0.005およびr=0.310、p=0.012)。内科的あるいは外科的に治療したグループ両方で、<24hあるいは24-48hに臨床症状が発現した犬は、>48に臨床症状が発現した犬よりも回復期間が長かった(3.1±6.5日vs1.6±6.2日、p<0.001)。
結果についてのデータは、83%の犬で入手できた。全体集団の80%は完全に正常に回復したと考えられた。この研究に含まれた犬で、治療的選択(外科的vs内科的管理)と結果との関連はなかった。(Sato訳)
■ポメラニアンの脊髄空洞症の長期評価
Longitudinal assessment of syringomyelia in Pomeranians
Front Vet Sci. 2024 May 1:11:1364464.
doi: 10.3389/fvets.2024.1364464. eCollection 2024.
Koen M Santifort , Ines Carrera , Paul J J Mandigers
イントロダクション:キアリ様奇形(CM)や脊髄空洞症(SM)は、犬において主にポメラニアンを含む小型及びトイ犬種に発症する疾患である。それらの疾患は、疼痛を示唆する多数の(飼い主の報告による)臨床症状(ORCS)と関連する。いくつかの研究では、加齢がSM発症のリスク増大と関係した。しかし、CKCS犬において、月日と共にCM/SMの存在と重症度を評価した長期研究が2、3あるのみで、SMの進行は臨床症状の進行と関連していた。この研究の目的は、個別のポメラニアン内で、時間の進行(年齢)と関連するORCS、CM/SM分類、定量的空洞パラメーターを調査することだった。
素材と方法:2020年1月から2023年6月までに頭頚胸部の2つ以上のMRI検査を行っているORCSのある、あるいはない、CM/SMの診断がある、あるいはないポメラニアンを含めた。CM/SMの分類と定量的空洞測定を実施した。空洞高、幅、横断面積に対する絶対値と比率を含めて分析した。
結果:合計19頭のポメラニアンを研究に含め、11頭はオス(58%)で、8頭はメス(42%)だった。MRI1の時の年齢中央値は、26か月(範囲7-44か月)だった。検査間隔の中央値は26か月(範囲11-49か月)だった。11頭(58%)は、MRI1 の時にOECSを呈したが、他8頭(42%)はその時にORCSがなかった。MRI2の時、17/19頭(89%)はORCSがあり、2/19頭(11%)はなかった。
MRI1よりもMRI2でORCSがある確率が有意に高かった(p=0.0411)。MRI1とMRI2の時のCM/SM分類に有意差はなかった。空洞高(横断像を基に)(絶対値と比率P=0.0059)、空洞幅(絶対値P=0.1055、比率P=0.0039)、空洞横断面積(絶対値P=0.0195、比率P=0.0217)に対し、MRI1とMRI2の間に有意差は見られた。
議論:異なる年齢でポメラニアンにおいて、ORCSのあるなし、定量的空洞測定値に違いがある。この所見はポメラニアンのSM状況において長期的変化が起こることを支持する。(Sato訳)
■胸腰部椎間板疾患の歩行不可能な犬が歩行可能になるまでの時間に対する酢酸メチルプレドニゾロンの局所硬膜外投与の効果:前向き無作為化盲検対照試験
Effect of local epidural application of methylprednisolone acetate on time to ambulation in non-ambulatory dogs with thoracolumbar intervertebral disc disease: A prospective randomised, blinded control trial
Vet Rec. 2024 Dec 27:e4962.
doi: 10.1002/vetr.4962. Online ahead of print.
Pavlos Natsios , Lorenzo Golini , Brian H Park , Frank Steffen
背景:この研究の目的は、椎間板疾患(IVDD)を減圧手術で治療した歩行不可能な犬において、歩行可能になるまでの時間に対するステロイドの硬膜外投与の潜在的利点を解析することだった。
方法:この前向き無作為化盲検対照試験に胸腰部椎間板突出の犬41頭を含め、2群に無作為に振り分けた。コントロール群は脊髄の外科的減圧後に生理食塩水を局所に使用した(n=23)。処置群(n=18)は、酢酸メチルプレドニゾロン(1mg/kg)の局所硬膜外投与を使用した。歩行可能時間は、主要な結果基準で、自主的な10歩歩行可能と定義した。
結果:歩行可能になる日数の中央値は、コントロール群で7日(範囲:1-17日)、処置群で3日(範囲:1-8日)だった。処置群の1頭は、椎間板脊椎炎と膿瘍形成を発症した。
制限:この研究は犬種、年齢、既存の健康状態が不均質で、所見の一般化可能性に影響する可能性があった。
結論:手術時に局所的な硬膜外酢酸メチルプレドニゾロンの使用は、IVDDの術後の犬の回復を促進させるかもしれない。(Sato訳)
■307頭の小型犬種の犬における頸部椎間板疾患(2000-2021):犬種特有の特徴と椎間板関連の脊椎不安定
Cervical intervertebral disc disease in 307 small-breed dogs (2000-2021): Breed-characteristic features and disc-associated vertebral instability
Aust Vet J. 2024 Feb 11.
doi: 10.1111/avj.13320. Online ahead of print.
T Aikawa , Y Miyazaki , S Kihara , H Muyama , M Nishimura
目的:小型犬種の犬において脊椎不安定に関係する頸部椎間板疾患(C-IVDD)の犬種特有の特徴を評価し、不安定ステージ、診断方法、治療と結果に関係する椎間板変性のコンセプトを示すこと
動物:脊髄減圧±脊椎安定化で治療したC-IVDDの飼い犬307頭(2000-2021)
方法:年齢、性別、罹患部位、安定化した部位、脊椎不安定に対する診断方法、結果に関する情報を回収した。犬の年齢、罹患部位(頭側vs尾側椎間板)、椎骨安定化の頻度を6つのCDおよび5つのNCD犬種で比較した。軟骨形成異常(CD)vs非-CD(NCD)群、および脊椎安定化(安定化した犬vs安定化しなかった犬)で多変量解析を実施した。
結果:合計で、222頭(72.3%)と77頭(25.1%)はそれぞれCDおよびNCD犬種だった。脊椎不安定は、エックス線写真とCT/MRI(n=2)、ダイナミック脊髄造影(n=29)、術中の脊髄操作(n=11)、持続的な術後の傍脊椎痛の犬の2度目の手術(n=3)を基に診断した。それらの犬のうち、295頭(96.1%)は回復した(フォローアップ中央値:8.5(範囲、1-119)か月)。その犬種の中で、年齢、罹患部位、安定化の頻度の有意差が認められた。より高齢、脊椎安定化の頻度は、NCD犬種の犬の関連ファクターだった。オス犬、罹患した尾側椎間板(C5-T1)、NCD犬種の犬は、椎間板安定化をした犬に対するリスクファクターだった。
結論:頸部椎間板が関係する脊椎不安定の小型犬種の犬に対し、脊椎安定化が指示される。(Sato訳)
■胸腰部椎間板突出による痛覚がない対麻痺の外科的に治療した犬の回復における理学療法
Physiotherapy in the Recovery of Paraplegic Dogs without Nociception Due to Thoracolumbar Intervertebral Disc Extrusion Treated Surgically
Animals (Basel). 2024 Sep 12;14(18):2648.
doi: 10.3390/ani14182648.
Júlia da Silva Rauber , Julya Nathalya Felix Chaves , Mathias Reginatto Wrzesinski , Amanda Miwa Takamori Sekita , Thais da Silva Soares , Diego Vilibaldo Beckmann , Alexandre Mazzanti
数名の著者は、犬の椎間板突出(IVDE)における理学療法の役目について提唱しており、一般に様々な獣医神経学者により推奨されている。しかし、獣医の文献は、IVDEの犬の歩行回復増加を保証する理学療法のルーチンな使用を全会一致で支持しているわけではない。
この研究の目的は、胸腰部IVDE(ハンセンI型)に罹患し、痛覚喪失(LN)した対麻痺の犬で、外科的に治療し、理学療法が機能的回復に影響しうるのかどうかを調査することだった。
犬を2群に振り分けた:理学療法群(PG)(減圧手術と術後理学療法を行った犬を含める);コントロール群(CG)(術後いかなる理学療法も行わなかった犬を含める)。
合計51頭の犬を含め、PGは30頭、CGは21頭だった。理学療法のセッションの回数は6から60回の範囲だった。術後21日以内の犬の機能的回復率は、PGで10%(3/30)、CGで19%(4/21)だった。術後21日後、回復率は、PGで43.3%(13/30)、CGで61.9%(13/21)、群間に有意差は観察されなかった(P=0.258)。
この研究の所見を基に、胸腰部IVDEによりLNの対麻痺の犬において理学療法は、理学療法を行わなかった群と比較して、機能的回復に影響するとは思えないと結論付けた。(Sato訳)
■犬の片側化頸部椎間板突出の治療として背側椎弓切除-予後と合併症
Dorsal laminectomy for the treatment of lateralised cervical intervertebral disc extrusions in dogs-Prognosis and complications
Front Vet Sci. 2024 Apr 22:11:1365020.
doi: 10.3389/fvets.2024.1365020. eCollection 2024.
Diogo Gouveia , Giunio Bruto Cherubini
目的:犬の片側頸部椎間板突出(IVDE)の治療で、背側椎弓切除に関係する合併症、予想される入院期間、予後を述べる
方法:これは単一施設の回顧的ケースシリーズ研究である。2012年から2022年までに、片側頸部IVDEを治療するため、背側椎弓切除を受けた犬のデータベースを再検討した。追加の術式が実行された、あるいは他の併発疾患がMRIで見つかった場合は除外した。
結果:52頭の犬を研究に含めた。フレンチブルドッグが集団の28.8%を占めた。犬の年齢中央値は6歳で、体重の中央値は15kgだった。35頭(67.3%)は<3日間の臨床症状を呈し、ほぼ半数(44.2%)は歩行可能だったが、頚部痛と神経学的欠損を呈した。手術時間の中央値は85分だった。マイナーな術中合併症が22頭(42.3%)で報告され、低体温が最も一般的だった。13頭(25%)は持続する頚部痛のため修正手術が必要で、そのうち9頭は神経学的欠損があり、4頭はなかった。再突出あるいは持続的突出は、92.3%の犬で見つかり、外科的修正が必要だった。入院期間中央値は6日だった。47頭(90.4%)は良好な結果だった。
結論と臨床的意義:術中合併症と修正手術が必要な症例の比較的高い割合にもかかわらず、片側頸部IVDEに対する外科治療として背側椎弓切除は、依然ほとんどの症例で良好な長期予後と関係する。修正手術が必要な時でさえ予後は良好だが、代替の術式と比較すると予想される入院期間は長いと思われる。(Sato訳)
■小型、非短頭種の犬の急性胸腰部椎間板突出の保存的管理後の歩行の回復
Recovery of ambulation in small, nonbrachycephalic dogs after conservative management of acute thoracolumbar disk extrusion
J Vet Intern Med. 2024 Jul 25.
doi: 10.1111/jvim.17149. Online ahead of print.
Sam Khan , Nick D Jeffery , Paul Freeman
Free article
背景:現在、low-levelのエビデンスは、急性胸腰部椎間板突出と関係する歩行喪失は、脊髄減圧手術による治療が一番良いと示唆している。保存的治療は成功する可能性があるが、回復した犬の集団とヘルニアを起こした物質の行く末ははっきり分からない。
目的:受診から12週間の間で、急性胸腰部椎間板突出を保存的に治療し、歩行不能と歩行が回復した犬の比率を判定し、脊髄圧迫の変化を調べた。
動物:急性胸腰部椎間板突出の72頭の歩行不能な飼い犬
方法:これは前向きコホート研究である。登録した犬は受診時にMRI画像検査を実施し、飼い主に保存的管理を勧めた。画像検査は12週間後も行った。歩行の回復は、転倒することなく10の連続ステップと定義した。脊髄圧迫は、病変中核の脊柱管と硬膜外圧迫物質の横断面から判定した。12週間の観察期間で圧迫の回復と変化の関係を調べた。
結果:深部痛覚がある51頭中49頭(96%;95%CI、87-99%)、深部痛覚のない10/21頭(48%;95%CI、28-68%)は12週間以内に歩行が回復した。歩行可能までの期間中央値は、深部痛覚のある犬で11日、ない犬で25日だった。脊髄圧迫の減少は、最小から完全までここで変化し、歩行の回復と関係がないと思われた。
結論と臨床的重要性:急性胸腰部椎間板ヘルニアの保存的管理後、高い比率で歩行が回復した。回復は、圧迫の解消に依存しなかった。(Sato訳)
■胸腰部椎間板突出のメスのダックスフンドにおける避妊状況と避妊時の年齢の調査
Investigation of neutering status and age of neutering in female Dachshunds with thoracolumbar intervertebral disc extrusion
J Small Anim Pract. 2024 Apr 15.
doi: 10.1111/jsap.13733. Online ahead of print.
L Doeven , T Cardy , A H Crawford
目的:胸腰部椎間板突出のメスのダックスフンドにおける避妊状況と避妊時の年齢を評価すること。避妊したダックスフンドは、未避妊のメスと比べ、より若い年齢で、より高グレードの神経学的欠損と、より多い椎間板物質の外部への突出を伴う椎間板突出を呈すると仮説を立てた。
素材と方法:胸腰部椎間板突出を外科的に確認した飼い主所有のメスのダックスフンドの回顧的多施設研究。犬は、早期避妊、後期避妊、避妊していないに分類した。年齢、ボディコンディションスコア、受診前の臨床症状の期間、受診時の修正Frankelスコア、突出した椎間板物質の長さ、最大脊髄圧迫、その後に椎間板突出を呈したかどうかを記録した。
結果:154頭の犬を含めた:36頭は早期に避妊、69頭は後期に避妊、49頭は避妊していなかった。早期に避妊、後期に避妊、避妊していないダックスフンドに研究したどの変数においても有意差は見つからなかった。
臨床的意義:このメス犬の集団において、避妊状況及び避妊の年齢は、発現年齢や胸腰部椎間板突出の重症度に影響は見つからなかった。(Sato訳)
■ミニチュアダックスフンドのI型胸腰部椎間板ヘルニアの早期再発の臨床的特徴
Clinical features of early recurrence of type I thoracolumbar intervertebral disk herniation in Miniature Dachshunds
J Vet Med Sci. 2024 Jan 24.
doi: 10.1292/jvms.23-0420. Online ahead of print.
Yusuke Sakaguchi , Hidetaka Nishida , Hiroshi Tanaka , Masahiko Kitamura , Takeshi Izawa , Masanari Nakayama
犬のI型胸腰部椎間板ヘルニア(TL-IVDH)の早期再発の臨床特性について発表している報告はいくつかあるが、その関係する変化はあまり分かっていない。この回顧的研究は、I型TL-IVDHで片側椎弓切除術を行い、その後早期に再発した犬の再発時のエックス線検査結果を含む臨床的特徴を述べる。
2007年6月から2022年12月までの我々の医療記録を検索した。
9頭の犬は術後4-6週以内に神経学的症状の悪化を示した。その9頭はミニチュアダックスフンドだった。その9頭の最初の発現時、エックス線像は罹患椎間板腔の石灰化を示した。最初の発現時の椎間板ヘルニアは、T11-12 とL1-2 に位置していた。初回手術後、全ての犬の神経学的機能は改善した。
全ての犬の再発は、最初発現時と同部位に発生した。再発時の画像上に罹患椎間板腔の石灰化は観察されなかった。2回目の手術で脱出椎間板物質を除去し、神経学的機能は改善した。
結論として、初回発現時の罹患椎間板腔の石灰化は、まだ完全に脱出していない残存核物質を示しており、I型TL-IVDHの早期再発のリスク因子である。(Sato訳)
■急性胸部あるいは腰部椎間板脱出と診断されたフレンチブルドッグの腰仙部椎間板膨隆の有病率、MRI所見、臨床的特徴
Prevalence, MRI findings, and clinical features of lumbosacral intervertebral disc protrusion in French Bulldogs diagnosed with acute thoracic or lumbar intervertebral disc extrusion
Front Vet Sci. 2023 Nov 23:10:1302418.
doi: 10.3389/fvets.2023.1302418. eCollection 2023.
Claudia La Rosa , Simona Morabito , Andrea Carloni , Tommaso Davini , Carlotta Remelli , Swan Specchi , Marco Bernardini
イントロダクション:椎間板膨隆(IVDP)は、老犬の中-大型犬種、非軟骨異栄養犬の腰仙部接合部で一般的に観察される神経学的疾患である。あまりないが、軟骨異栄養犬、フレンチブルドッグ(FBs)の中でも見られることがあり、この犬種において先天的な椎骨奇形に関係する可能性があった。
この研究の目的は、胸部あるいは腰部椎間板脱出(IVDE)と診断されたFBsにおいて、腰仙部IVDPと先天的椎骨奇形の有病率、臨床的特徴、MRI特性を評価することと、神経学的検査に対し慢性IVDPと関係する神経学的欠損の潜在的干渉を評価することである
素材と方法:これは1施設の回顧的ケースシリーズである。AniCura I Portoni Rossi Veterinary Hospital (Zola Predosa, Bologna, Italy)のデータベースで、胸部あるいは腰部領域のIVDEと診断されたFBsを検索する。資格は、完全な医療報告と腰仙部接合部の高磁場MRIがある犬である。腰仙部接合部のMRIは、IVDPの位置、頭側椎間板孔狭窄、神経根関与の症状を判定するために評価する。入手可能な時はエックス線写真を、腰仙部の先天的椎骨奇形の有無を確認するため再検討する。
結果:FBs80頭を研究に含めた。FBsの中で腰仙部IDPの有病率は、91.3%だった。腰仙部IVDPのあるFBsの中で、45.0%は頭側椎間板孔狭窄の併発を示し、28.8%は神経根関与併発を示し、56.2%は腰仙部変化に無症候と思われたが、15.2%は慢性腰仙部IVDPによるものと考えられる引っ込め反射の低下、あるいは欠損が判明した。先天的椎骨奇形は10頭の犬で検出された。
結論:この研究の結果は、胸部あるいは腰部IVDEを呈するFBsにおいて、腰仙部IVDPは多く見られるという仮説を支持する。腰仙部IVDPの犬の半数以上は、無症候性と思われる;しかし、他の症例において慢性腰仙部IVDPは、神経学的欠損を引き起こすと思われ、臨床医に対し混乱させる要因となる急性IVDEの誤った位置特定を誘発するかもしれない。(Sato訳)
■椎間板突出を呈するフレンチブルドッグの呼吸障害
Respiratory compromise in French bulldogs presented with intervertebral disc extrusion
Vet Rec. 2023 Nov 8:e3603.
doi: 10.1002/vetr.3603. Online ahead of print.
Emma Foster , Natalie West , Sarah Butterfield , Clare Rusbridge , Abbe Crawford
背景:椎間板突出(IVDE)の治療で入院したフレンチブルドッグは、呼吸障害(一般的に短頭種関連上部気道閉塞±吸引事象)に影響を受けることが多い。我々は、2つの二次病院を受診したフレンチブルドッグにおいて、そのような呼吸障害事象の発生を評価した。
方法:IVDEと診断されたフレンチブルドッグに対する臨床データを回顧的に収集し、 神経学的欠損の重症度、神経解剖学的位置、診断、呼吸障害の詳細、治療および結果を含めた。
結果:IVDEと診断された合計306頭の犬を含めた。60頭(19.6%)の犬が呼吸障害を経験し、そのうち31頭(10.1%)がチアノーゼ、虚脱、あるいは呼吸停止に進行した。
制限:この研究は、その回顧的特性に制限された。さらに、入院期間は評価しておらず、安楽死に対する決断はしばしば多因子的だった。
結論:IVDEを呈する5分の1のフレンチブルドッグは、呼吸障害を経験した。この有害な健康への影響は今後の議論を正当化する。(Sato訳)
■シングルベントラルスロット減圧術で治療した複数部位の頸部椎間板疾患の犬の結果
Outcomes in Dogs with Multiple Sites of Cervical Intervertebral Disc Disease Treated with Single Ventral Slot Decompression
Vet Sci. 2023 May 28;10(6):377.
doi: 10.3390/vetsci10060377.
Ya-Pei Chang , Wei-Hsiang Huang , Wan-Zhen Lua , Wenyi Wong , I-Hsuan Liu , Chen-Hsuan Liu
Free PMC article
画像検査で複数部位の椎間板疾患(IVDD)による脊髄圧迫を示す急性脊髄障害の犬において、1つのアプローチは単一の急性椎間板突出の外科的減圧術であるが、他の過去に突出あるいは隆起した椎間板は無視されている。しかし、このアプローチの結果に関してはあまりわかっていない。
この研究は、MRI検査で複数の部位の頸部椎間板突出あるいは隆起があり、単一の急性椎間板に対しベントラルスロット減圧術を行った40頭の犬において、その結果と調査した予後因子を述べる。
総回復率は97.5%だった。回復時間の中央値は7日だった。罹患した椎間板(椎間板突出および隆起を含む)の数、重度脊髄圧迫の原因となる罹患した椎間板の存在と数は、30日の結果に影響しなかった。外科的に治療した単一の椎間板突出の犬23頭との比較で、2群間の回復時間と結果は同じだった。罹患した椎間板の総数は、回復時間や結果に関係しなかった。
結論として、1つの急性椎間板が確認できた場合、単一の椎間板をターゲットとしたベントラルスロット減圧術は、IVDDによる脊髄圧迫の部位が複数あると診断されたが、急性を呈する犬に対して実行可能な治療アプローチの1つである。(Sato訳)
■急性椎間板突出後に片側椎弓切除を行った犬の不安をコントロールするための環境エンリッチメントの異なる方法の評価
Evaluation of different methods of environmental enrichment to control anxiety in dogs undergoing hemilaminectomy after acute intervertebral disc extrusion: a randomized double-blinded study
Front Vet Sci. 2023 May 30;10:1124982.
doi: 10.3389/fvets.2023.1124982. eCollection 2023.
Ellery Pennington , Cary Springer , Julia Albright , Aude Castel
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目的:この無作為化二重盲検プラセボ-対照試験の目的は、急性椎間板突出(IVDE)に対し、片側椎弓切除後の犬において、術後疼痛および不安に対する環境エンリッチメント(EE)の効果を評価することだった。
方法:同じ術後すぐの鎮痛プロトコールを行ったIVDEに対する片側椎弓切除を行った20頭の健康な飼い犬を、術後のEEあるいは標準環境(SE)群に無作為に振り分けた。集中治療室(SE)あるいは、白色雑音およびクラシック音楽をかけた別々の静かな部屋(EE)で覚醒した。また、EEの犬には犬をなだめるフェロモン、エッセンシャルオイル臭気、ヒトとのポジティブな相互作用を提供し、フードトイを用いた食餌を提供した。初診時および複数の術後のタイムポイントで修正グラスゴー複合ペインスケール(mGCPS)を用い、何も知らない査定者が全頭を評価した。mGCPSが≧5/20の犬には、オピオイドメサドンのレスキュー注射を行った。不安行動が観察された時には、抗うつ剤トラゾドンを投与した(5mg/kg)。mGCPSスコア、最初のメサドンおよびトラゾドン投与を受けるまでと最初の食餌を食べるまでの時間、メサドンおよびトラゾドンの投与回数、術後24時間および48時間に食べた食餌の回数をWilcoxon testsで比較し、false discovery rateに対してはBenjamini-Hochberg correctionを適応した。
結果:mGCPSスコア中央値は、群間で違いはなかったが、SE犬(n=10)に比べ、EE犬(n=6)はより早期にトラゾドンが投与され(p=0.019)、術後24時間時のメサドンの投与回数が少なく(p=0.043)、術後48時間時により多く食べた(p=0.007)。ゆえに、EEと抗不安薬物治療は、術後の犬の福祉の改善に有益となる可能性があった。(Sato訳)
■椎間板脊椎炎の犬の臨床特性、比較画像所見、治療、結果:多施設回顧的研究
Clinical features, comparative imaging findings, treatment, and outcome in dogs with discospondylitis: A multi-institutional retrospective study
J Vet Intern Med. 2023 Jun 8.
doi: 10.1111/jvim.16785. Online ahead of print.
Cassie Van Hoof , Nicole A Davis , Sheila Carrera-Justiz , Alisha D Kahn , Steven De Decker , Nicholas J Grapes , Michaela Beasley , John Du , Theresa E Pancotto , Anna Suñol , Richard Shinn , Barry DeCicco , Erica Burkland , Harry Cridge
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背景:犬の椎間板脊椎炎に関する近年のデータは限られている
仮説/目的:(1)椎間板脊椎炎の犬のシグナルメント、臨床および画像所見、病因病原菌、治療、結果を述べる、(2)椎間板脊椎炎の存在とその部位に関係するエックス線写真、CT、MRIの診断的一致性を判定する、(3)再発や進行性神経学的悪化に対するリスクファクターを調べること。
動物:386頭の犬
方法:多施設回顧的研究:医療記録から抽出したデータは:シグナルメント、臨床および検査所見、診断的結果、治療、合併症、結果だった。潜在的リスクファクターを記録した。犬種分布はコントロール群と比較した。画像様式間の一致性は、Cohen's kappa statisticで評価した。他の分析は、カテゴリー的データで実施し、カイ二乗検定とフィッシャーの正確確率検定のクロス集計を用いた。
結果:オス犬の方が多かった(236/386頭)。L7-S1(97/386頭)は最も一般的な部位だった。スタフィロコッカス属(23/38血液培養陽性)が優勢だった。椎間板脊椎炎のエビデンスに関し、エックス線写真とCTは平均的な一致性(κ=0.22)だったが、エックス線写真とMRIの一致性は悪かった(κ=0.05)。疾患の位置に関する画像様式間の一致性は良かった。外傷は、再発リスク増加と関係した(P=.01、OR:9.0、95%CI:2.2-37.0)。それまでのステロイド治療は、進行性の神経学的機能障害のリスク増加と関係した(P=.04、OR:4.7、95%CI:1.2-18.6)。
結論と臨床的重要性:エックス線写真とMRIの結果は、椎間板脊椎炎の犬で食い違う可能性があった。それまでの外傷やコルチコステロイドは、それぞれ、再発と進行性神経学的機能障害と関係する可能性があった。(Sato訳)
■胸腰部及び腰部片側椎弓切除術と椎間板造窓術を行う犬における術中出血を減らすためのトラネキサム酸使用
TRANEXAMIC ACID IN REDUCING INTRAOPERATIVE BLEEDING IN DOGS UNDERGOING THORACOLUMBAR AND LUMBAR HEMILAMINECTOMY AND INTERVERTEBRAL DISC FENESTRATION
Top Companion Anim Med. 2023 Oct 4:100820.
doi: 10.1016/j.tcam.2023.100820. Online ahead of print.
Dênis Antonio Ferrarin , Marcelo Luís Schwab , Mathias Reginatto Wrzesinski , Júlia da Silva Rauber , Julya Nathalya Felix Chaves , Angel Ripplinger , Alexandre Mazzanti
椎間板突出(IVDE)の治療において、椎間板造窓(HF)に関係する片側椎弓切除術は、最も使用される脊髄減圧術式である。手術処置は、静脈洞からの過剰な出血により妨げられる可能性がある;しかし、トラネキサム酸の静脈投与(IV)は、それらの患者の止血を補助する可能性がある。
この研究の目的は、HFを受けた胸腰部及び腰部IVDEの犬において、術中出血を減らすトラネキサム酸の有効性を検証することだった。
HFを行うIVDEの16頭を含めた。それらはTXA群(トラネキサム酸20mg/kg IVボーラス、その後2mg/kg/h持続静脈点滴)(n=8)と生理食塩水のコントロール群(n=8)に分けた。血液喪失は重量測定法を用いて測定した。出血による術野視認困難は、術者により分類した。
TXA群の患者の血液喪失中央値(%)は、コントロール群よりも低かった(それぞれ2.75±1.23と4.99±4.44)(p=0.028)。出血による術中視認困難は、コントロール群の10頭で発生し、TXA群の患者にはいなかった。重度の動脈性血栓塞栓の1合併症は記録され、もしかするとトラネキサム酸によるものだった。
片側椎弓切除と椎間板造窓術を行うIVDEの犬において、術中トラネキサム酸の使用は、出血低減と手術視野を容易にすることに効果的だった。(Sato訳)
■犬の椎間板脊椎炎における細菌培養陽性に対する有病率とリスクファクターの判定
Determining the prevalence and risk factors for positive bacterial culture in canine discospondylitis: 120 cases
Vet Rec. 2023 May 21;e3053.
doi: 10.1002/vetr.3053. Online ahead of print.
Ed Pilkington , Rita Goncalves , Lea Henze , Nick Grapes , Holger Volk , Steven De Decker
背景:犬の椎間板脊椎炎における原因菌の同定はあまり行われていない;細菌培養陽性に対するリスクファクターは過去に報告されていない。
方法:エックス線検査あるいは横断画像検査で診断された椎間板脊椎炎の犬の臨床的特徴を確認するため、3施設の医療記録を検索した。この回顧的症例-コントロール研究の組み込みには、1つ以上のサンプルの培養を必要とした。多変量二項ロジスティック回帰で、培養陽性と関係する特性を確認した。
結果:120頭の犬のうち59頭(42%)は、1つ以上の培養陽性結果がでており、尿(28/115)、血液(25/78)、椎間板吸引(10/34)、脳脊髄液(1/18)から入手したものだった。培養陽性は、より体重が重い(p=0.002、オッズ比(OR)=1.054、95%CI:1.019-1.089)、培養したサンプルのタイプが多い(p=0.037、OR=1.806、95%CI:1.037-3.147)、施設(p=0.021)と関連した。先行した出来事(例えば手術)、発熱、罹患した椎間板部位数、血清C-反応性蛋白結果、その他の特徴に関与する可能性の存在は、統計学的に有意ではなかった。
制限:手術あるいは死後バイオプシーから組織学的確認および培養なしで、汚染と本当の原因菌の鑑別は不可能なため、全ての培養された分離菌が含まれた。
結論:犬の椎間板脊椎炎において一般的に感染に関係する臨床的特徴は、培養陽性に対するリスクファクターとして確認されなかった。施設の統計学的有意は、サンプリングプロトコールの標準化が必要であると示唆される。(Sato訳)
■脊髄手術後の抗生物質中止後の犬における手術部位および尿路感染の割合
Rate of surgical site and urinary tract infections in dogs after cessation of antibiotics following spinal surgery
Vet Rec. 2022 Nov 16;e2340.
doi: 10.1002/vetr.2340. Online ahead of print.
Natália Korytárová , Sabine Kramer , Anne Schnepf , Lothar Kreienbrock , Holger A Volk
背景:抗生物質の過度な使用および抗生物質耐性の発生の増加は、ヒトや動物医療で大きな難題である。犬の整形外科および神経外科手術において予防的抗生物質治療の役割は、疑がわしい可能性がある。この研究の目的は、脊髄手術に続き抗生物質の中止後の犬で、手術部位感染(SSI)と尿路感染(UTI)の割合を評価することだった。
方法:2018年1月から2019年12月までの電子カルテで、脊髄手術を行った犬(n=158)を確認した。抗生物質の使用とSSI及びUTIの有無を記録した。
結果:全体で、脊髄手術を行った犬の1.3%にSSIが発症したが、UTIは8.2%に発症した。多剤耐性(MDR)細菌は5.1%の犬で検出された。SSI、UTI、MDRの割合は、術後抗生物質治療を行った犬と行わなかった犬の間で有意差はなかった。
制限:この研究の主要な制限は遡及的構成だった。
結論:全体で、この研究のSSIの割合は低かった。脊髄手術後の犬の抗生物質使用の中止は、SSI発生あるいはUTIの発生に対しネガティブな影響を持たなかった。(Sato訳)
■脊髄硬膜外蓄膿の犬30頭の臨床症状、MRIの特徴、保存的あるいは外科的治療の結果
Clinical Presentation, MRI Characteristics, and Outcome of Conservative or Surgical Management of Spinal Epidural Empyema in 30 Dogs
Animals (Basel). 2022 Dec 17;12(24):3573.
doi: 10.3390/ani12243573.
Carlos Blanco , Meritxell Moral , Juan José Minguez , Valentina Lorenzo
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脊髄硬膜外蓄膿(SEE)は、獣医療において神経学的急患であるが、今日、この状況に関する情報は限られている。
この遡及的ケースシリーズ研究は、1か所の紹介神経学センターで2015年9月から2020年3月までに、SEEと診断された30頭の犬の臨床およびMRI特性、保存的あるいは外科的治療結果を述べる。
最も多い臨床症状は疼痛28/30(93%)、22/30(73%)は足の不全対麻痺/四肢不全麻痺15/30(50%)、単不全麻痺1/30(3.3%)、非歩行不全対麻痺3/30(10%)、対麻痺3/30(10%)を伴う神経学的症状を示した。MRIは診断およびフォローアップで有用だった。この犬の集団で、24/30(80%)は保存的治療を行い、6/30(20%)は外科的治療を行った。
全ての犬において結果は好ましいと考えられた:20/30(66.6%)は完全に回復し(3頭は外科的治療、17頭は内科的治療)、10/30(33.3%)の神経症状は改善したが肢の不全麻痺は残った(3頭は外科的治療、7頭は内科的治療)。非歩行不全麻痺あるいは対麻痺の犬(33%)において、内科的治療よりも外科的治療は、短期(7日)結果がより良いことを示した。
それでもこの研究は、非歩行不全麻痺あるいは対麻痺の犬でさえ、保存的治療で良好な回復に達するかもしれないと示唆する。今後の前向き研究(標準化した診断検査のプロトコール、保存および外科的治療の均一な分布を備える)は、治療のガイドライン設立に必要である。(Sato訳)
■フレンチブルドッグの外科的に治療した椎間板疾患の再発率:遡及的研究(2009-2019)
Recurrence rate of intervertebral disc disease in surgically treated French Bulldogs: a retrospective study (2009-2019)
Acta Vet Scand. 2023 Feb 2;65(1):3.
doi: 10.1186/s13028-023-00667-0.
Dominique Leu , Beatriz Vidondo , Veronika Stein , Franck Forterre
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背景:神経学的欠損のあるフレンチブルドッグにおける椎間板疾患(IVDD)は、一般に診断され、よく研究された病理学的状況の1つである。しかし、現在はフレンチブルドッグにおいてIVDDの再発率を調べて発表された遡及的記述研究は1つしかない。
IVDDの初回発生と外科的治療を受けたフレンチブルドッグの医療報告を評価し、再発の臨床症状に対し再検討した。全体の再発、頸部および胸腰部の再発に対するリスクファクターをロジスティック回帰モデルで評価した。この研究の目的は、フレンチブルドッグmpIVDDの再発頻度と関係するリスクファクターを調査することだった。
結果:127頭のIVDDの初回発生と外科的治療を行ったフレンチブルドッグを評価した。それらの犬の52.7%(67/127)は再発の症状を示した。頸部脊椎(47%)の再発率は、胸腰部脊椎(56.6%)に比べてわずかに低かった。再発と年齢因子に有意な関係を見つけることができた:3歳以下で最初のIVDDを起こしたフレンチブルドッグは、全体の再発(P=0.002)および頸部の再発に対する傾向が見られた(3歳以上の犬に対するORsの範囲は0.02-0.03)。再発の50%(中央値)は、IVDDの最初の発生から12か月以内に発生した。
結論:フレンチブルドッグのIVDDの再発は、半数以上で予測できる。特に若いフレンチブルドッグは頸部脊椎に再発する傾向がある。IVDDのほぼ1/4の犬は12か月以内に再発する。今後、フレンチブルドッグの飼い主には、IVDDのリスクおよび再発の早期発現について十分説明すべきである。(Sato訳)
■環軸関節亜脱臼のトイ犬種の犬における修正背側ワイヤリング法の使用
Application of a Modified Dorsal Wiring Method in Toy Breed Dogs With Atlantoaxial Subluxation
In Vivo. 2023 Jan-Feb;37(1):247-251.
doi: 10.21873/invivo.13074.
Dongwook Kim , Seoungjin Lee , Gonhyung Kim
背景/目的:環軸関節亜脱臼(AAS)は、先天的あるいは外傷による状態で、外科的安定化が必要なことが多い。手術は腹側あるいは背側アプローチで実施される。トイ犬種の犬は、骨のサイズが小さいため、腹側アプローチは難しい。背側アプローチによる整形外科ワイヤーを用いたASSの修正は、医原的脊髄損傷を引き起こす可能性がある。それらの制限により、岸上式環軸関節テンションバンド(岸上式AATB)は、硬膜腔を維持するよう考案されている。岸上式AATBと同様に、この研究は、AASのトイ犬種の犬において修正背側ワイヤリング法を開発し、それを評価した。
素材と方法:2017年から2020年の間に修正背側ワイヤリング法を用い、外科的安定化を行ったASSのトイ犬種の犬の医療データを遡及的に再検討した。
結果:合計10頭を分析した。それらの犬の病歴に関し、6頭は先天性AAS、残りの4頭は外傷性ASSだった。CTによる評価は5頭で入手でき、そのうち2頭はそれらの環椎の不完全な骨化があることを確認した。4頭は臨床症状の再発あるいは環椎の骨折により修正手術を必要としたが、最終的に9頭の犬で機能的改善を達成した。1頭の犬は神経学的状況の悪化を示し、安楽死した。
結論:修正背側ワイヤリング法の臨床結果は、岸上式AATBのそれと同様だった。修正背側ワイヤリング法は、犬の環椎の様々な形に応用でき、融通が利く。環椎の形を考慮し、骨折を可能な限り避けるため背側椎弓の中線より離してインプラントすることが勧められる。適した犬の選択で、この修正背側ワイヤリング法は、トイ犬種の犬のASSの背側安定化に使用できる。(Sato訳)
■頭側胸部脊髄障害(T1-T6脊椎):84頭の犬のシグナルメント、臨床症状、仮あるいは最終診断の遡及的評価
Cranial thoracic myelopathies (T1-T6 vertebrae): Retrospective evaluation of the signalment, clinical presentation, and, presumptive or final diagnoses in 84 dogs
Front Vet Sci. 2022 Sep 12;9:960912.
doi: 10.3389/fvets.2022.960912. eCollection 2022.
Bruno A Lopes , Edward J Ives , Roberto José-López , Rodrigo Gutierrez-Quintana , Jad Abouzeid , Paul Freeman , José Ignacio Redondo , Daniel Sánchez-Masián
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この研究の目的は、高度画像検査において確認された頭側胸部脊髄病変のある犬のシグナルメント、臨床症状、仮あるいは最終診断を述べることだった。
2009年から2021年までの3つの獣医専門センターのデータベースの遡及的評価を実施し、脊髄障害±脊髄痛の症状を呈する主要原因として、頭側胸部脊柱(T1-T6脊椎)に病変がある犬を確認した。
84頭の犬が研究に含まれ、大多数(n=76)は4週間以上かけて進行性の病歴を呈していた。神経学的検査において、ほとんどの犬は歩行可能(n=64)で、最も一般的な神経解剖学的病変位置は、T3-L3脊髄分節(n=63)だった。20頭(14%)は臨床検査で、前肢の歩様のストライドが短縮していた。
最も一般的な診断は、腫瘍(n=33)、続いて奇形(n=22、14頭の犬の椎体形成異常を含む)、変性性疾患(n=16、9頭で診断された椎間板突出を含む)だった。一般的に罹患した椎体はT3とT5だった。変性性の状況のある犬のほとんどは、非対称性の臨床症状を示し、腫瘍がある犬の多くは検査において脊髄知覚過敏の症状を示した。
この研究の所見は、頭側胸部脊髄を侵した病変に関係する臨床症状および仮あるいは最終診断を述べる。シグナルメントと臨床的病歴を組み合わせた時、この情報はそれら症例の認識と問題ベースのアプローチをアシストできる。(Sato訳)
■尿失禁および/あるいは尾の機能不全を起こしている椎間板ヘルニアの歩行可能な犬の術後結果:18症例(2010-2020)
Postoperative outcome of ambulatory dogs with intervertebral disc extrusion causing incontinence and/or tail dysfunction: 18 cases (2010-2020)
J Small Anim Pract. 2022 Mar 23.
doi: 10.1111/jsap.13497. Online ahead of print.
R Pfund , A K Forward , R Fentem , A Nagendran , A R Fraser , A H Crawford
目的:尾側腰椎椎間板ヘルニアの歩行可能な犬の尿自制、糞便自制、尾の機能の回復を評価することと、回復に関係すると思われる臨床因子を調べること
素材と方法:2010年1月から2020年12月までの医療記録から尿失禁、便失禁および/あるいは尾の機能不全を起こしている尾側腰椎椎間板ヘルニアの外科的治療を行った歩行可能な犬を確認した。シグナルメント、病歴、既存の臨床症状、神経学的検査所見、診断検査結果、治療、結果を全ての犬で記録した。
結果:尾の機能不全、尿及び/あるいは便失禁を起こしている尾側腰椎椎間板ヘルニアの犬18頭を含めた。尿失禁は14頭の罹患犬のうち12頭(86%)、便失禁は10頭の罹患犬のうち9頭(90%)、尾の機能は15頭の罹患犬のうち13頭(87%)で回復した。症状で尾の痛覚の喪失は、3頭の犬に記録され、2頭は完全に回復し、1頭は軽度の持続性の尾の麻痺を示した。
臨床的意義:尾側腰椎椎間板ヘルニアの歩行可能な犬の手術後の尿失禁、便失禁、尾の機能の機能回復に対する予後は良好である。回復できないことに関係する予後因子を確認する大規模研究が必要である。(Sato訳)
■T3-L3脊髄障害のダックスフンドの非外科的リハビリテーション:予後と再発率
Nonsurgical Rehabilitation in Dachshunds With T3-L3 Myelopathy: Prognosis and Rates of Recurrence
Front Vet Sci. 2022 Jul 19;9:934789.
doi: 10.3389/fvets.2022.934789. eCollection 2022.
Jordan Sedlacek , Jessica Rychel , Michelle Giuffrida , Bonnie Wright
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ダックスフンドは、その生涯において胸腰部椎間板ヘルニア(IVDH)のリスクが非常に高い。標準的治療は、高度画像検査、外科的治療、術後リハビリテーションが含まれる。標準的治療を拒否された症例に対しては、保存的治療が一般的に勧められるが、保存的管理とリハビリテーション(非外科的リハビリテーション)による治療の予後についてはあまり知られていない。
この回顧的コホート研究で、ハンセンI型椎間板ヘルニアによると思われるT3-L3脊髄障害を持ち、非外科的リハビリテーションで治療した40頭のダックスフンドにおいて、12週間の機能的結果および臨床症状の再発を評価した。
受傷後12週目の全体の予後は40頭中34頭(85.0%、95%CI、70.2-94.2)で良好で、機能的なペットの状態を達成した。来院時の修正フランケルスコアは、12週で回復しなかった犬と比べ、良好な結果を得られた犬において有意に高かった(p<0.001)。来院時に運動機能があった全27頭は、良好な結果だった。来院時に深部痛覚が残っている対麻痺の犬9頭のうち、7頭(77.8%)は12週目に良好な結果に達していた。深部痛覚が持続してない犬4頭で良好な結果を得られた犬はいなかった。
良好な結果が得られ、フォローアップの記録が入手できた27頭の中で、T3-L3脊髄障害の1-、2-年再発率は、それぞれ5%と11%だった。
T3-L3脊髄障害の軽度から中程度、あるいは高度画像検査や外科的治療ができない重度のダックスフンドにおいて、非外科的リハビリテーションを考慮すべきである。(Sato訳)
■犬の頸部椎間板ヘルニアに一致する症状の再発
Recurrence of signs consistent with cervical intervertebral disc extrusion in dogs
J Small Anim Pract. 2022 Feb 10.
doi: 10.1111/jsap.13480. Online ahead of print.
V Argent , R Perillo , N Jeffery , P Freeman
目的:頸部椎間板ヘルニアの治療成功後の臨床症状の再発率を報告することと、治療法と再発との関係を調べる
素材と方法:MRIあるいはCTで頸部椎間板ヘルニアを確認した犬の回復を確かめるため、医療記録を再調査した。治療の種類、当初のヘルニア部位、犬が再度臨床症状を呈したかどうかを記録した。臨床症状を基に推察、あるいは再度横断画像検査により確認されれば再発と考えた。
結果:当初の頸部椎間板ヘルニアの内科(36/119、30.3%)あるいは外科的(83/119、69.7%)治療後に完全な回復が証明された。119頭中40頭(34%)に臨床症状が一致する再発があり、そのうち83頭中27頭(33%)が最初に外科的に、36頭中13頭(36%)が内科的に治療されていた。40頭中24頭(60%)において、ヘルニア再発が画像検査により確認された;内科治療の犬において、多くの再発が同部位で発生したが、手術後の再発は一般に隣接した椎間板が関与した。40頭の再発のうち、32頭(80%)は2年以内に発生した。再発率は、一変量およびtime-to-event多変量解析(ハザード比1.03;95%CI:0.67-1.53;P=0.87)において治療方法の間で同様だった。
臨床的意義:最初の内科あるいは外科的治療後、頸部椎間板ヘルニアの再発に一致する臨床症状は同様の頻度で発生した。内科治療を行った症例は、最初と同じ部位に再発する傾向があったが、外科的治療はこれを防ぐことができた。通常再発は2年以内に発生した。回顧的研究デザイン、再発が少数、各再発ごとに画像確認の欠如は、この結果を解釈する時に考慮すべきである。(Sato訳)
■胸腰部片側椎弓切除術を行った犬において早期術後水治療法の安全性
Safety of early postoperative hydrotherapy in dogs undergoing thoracolumbar hemilaminectomy
J Small Anim Pract. 2021 Aug 23.
doi: 10.1111/jsap.13412. Online ahead of print.
A Mojarradi , S De Decker , C Bäckström , N Bergknut
目的:犬の胸腰部椎間板突出の外科的治療後で、水治療は一般的な術後ケアの1つである。現在、術後の水治療を開始する時期に対するガイドラインはない。より早い水治療は、手術部位感染や神経学的悪化を含む術後合併症のリスク増加に関係しているのかもしれない。この研究の目的は、より早い水治療を受けた犬において、術後合併症の有病率と種類を報告することだった。
素材と方法:胸腰部椎間板突出に対する外科的治療から、5日以内に水治療を開始した83頭の犬を回顧的記述研究に含めた。全ての術後合併症を記録した。
結果:10のマイナーおよび16のメジャー合併症、合計26頭の犬で記録した。記録された合併症の大多数は、起こる確率が低かったが、水治療の開始時期によるとして除外されなかった。1頭の犬は手術部位感染を起こし、1頭の犬は、より早い水治療の開始により影響を受けていると思われる元の手術した椎間板のさらなる突出を確認された。
臨床意義:より早い水治療は、術後合併症の発生に関係するかもしれない。報告された合併症とより早い水治療、その潜在的利益との関係は、今後より早い水治療を勧めることが可能になる前に調査する必要がある。(Sato訳)
■急性椎間板突出による二次的な対麻痺の犬における血清C-反応性蛋白
Serum C-reactive protein in dogs with paraplegia secondary to acute intervertebral disc extrusion
J Vet Intern Med. 2021 Jun 3.
doi: 10.1111/jvim.16179. Online ahead of print.
Max Foreman , Enzo Vettorato , Abby Caine , Paola Monti , Giunio Bruto Cherubini , Salih Eminaga
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背景:痛覚の欠如とは別に、急性椎間板突出(IVDE)による二次的な対麻痺を呈する犬に対し、より簡単に利用できる診断検査はない。
目的:IVDEに対し手術を行った対麻痺の犬において、血清C-反応性蛋白(CRP)は術後結果を予測できるかどうかを調査し、血清CRPと入院中の痛覚の有無、血清CRPとMRIで見られる脊髄内変化の有無との関連を評価する
動物:IVDEによる急性対麻痺で2018年から2020年までに、著者らの病院で手術を行い、血清CRPを測定した100頭の犬
方法:回顧的観察コホート研究。痛覚に有無によりmodified Frankelスコア(MFS)に従い犬を4あるいは5に分類した。MRI画像を再検討し、T2強調高信号:L2椎体長を測定した。術後の結果は、減圧術後に痛覚、歩行あるいは両方の回復があるならばポジティブと定義した。
結果:血清CRP中央値(95%CI)はMSF4の犬で4(4-5)、MSF5の犬で6(4-7)だった(P=.03)。CRPとT2強調高信号:L2椎体長の間に、弱い直線的相関(R2=0.049、P=.03)が見つかった。結果のデータは85頭で利用可能だった:ポジティブおよびネガティブな結果の犬におけるCRPはそれぞれ4(4-5)と5(4-10)mg/Lだった(P=.32)。
結論と臨床的重要性:IVDEによる対麻痺の犬において、血清CRPは術後の結果を予測しなかった。(Sato訳)
■コンパニオンアニマルの脊髄傷害に対し多血小板血漿中に骨髄由来の幹細胞をいれたくも膜下/静脈内注射の組み合わせの効果
Effect of combined intrathecal/intravenous injection of bone marrow derived stromal cells in platelet-rich plasma on spinal cord injury in companion animals
Open Vet J. Apr-Jun 2021;11(2):270-276.
doi: 10.5455/OVJ.2021.v11.i2.10. Epub 2021 Jun 4.
Ahmed N Abdallah , Ashraf A Shamaa , Omar S El-Tookhy , Mohamed M Bahr
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背景:コンパニオンアニマルは、一般に重度の運動および間隔の合併症に関係する脊髄傷害を起こす傾向にあり、不可逆的な麻痺の状態に進行する可能性がある。幹細胞療法は、神経および関係するグリア細胞への分化、免疫攻撃の停止、アポトーシスおよび壊死の抑制、再生過程を刺激する神経栄養性因子の分泌を通して、脊髄傷害の治療に希望を与える。
目的:この研究の目的は、犬と猫の選別した長期脊髄傷害のある臨床症例に対し、多血小板血漿キャリー兄同種骨髄由来幹細胞を入れ、くも膜下/静脈内を組み合わせた1回の注射を評価する。
方法:椎間板突出により脊髄傷害があり、臨床試験中に従来の治療に反応しなかった5頭の犬と3頭の猫に細胞を注射した。
結果:身体リハビリテーションと共に、移植細胞は90日の期間内に負重した運動機能と脊髄反射の回復を導いたことを結果は示した。突出した椎間板のMRI検査において、治療は最小の変化しか示さなかった。
結論:コンパニオンアニマルの長期脊髄傷害の治療するにあたり、骨髄幹細胞のくも膜下/静脈内注射の組み合わせは、安全で有望な処置だと結論付けられた。(Sato訳)
■犬の椎間板脊椎炎の評価におけるC反応性蛋白濃度の使用
Use of C-reactive protein concentration in evaluation of diskospondylitis in dogs
J Vet Intern Med. 2020 Dec 14.
doi: 10.1111/jvim.15981. Online ahead of print.
Sarah A Trub , William W Bush , Matthew Paek , Daniel E Cuff
背景:C-反応性蛋白(CRP)は正の急性期蛋白で、犬の多くの炎症性疾患で上昇する。血清CRP濃度は、化膿性脊椎炎のヒトにおいて重要な診断および予後的有用性を持つ。
仮説/目的:椎間板脊椎炎の犬において、血清CRP濃度と臨床およびMRI所見に関連があるかどうか、CRPは予後を予測するかどうかを判定する
動物:椎間板脊椎炎のMRI診断がある飼育犬18頭
方法:椎間板脊椎炎の犬のシグナルメント、臨床症状、神経学的検査所見、白血球数、好中球数、血清グロブリン濃度、血清CRP濃度、エックス線所見、MRI所見、細菌培養結果および転帰を評価する後ろ向き研究。
結果:血清CRP濃度は、椎間板脊椎炎の存在を予測するのに、発熱や白血球増加よりも有意に感受性が高かった。血清CRP濃度は、好中球増加や高グロブリン血症よりも感受性があった。血清CRP濃度は、単一あるいは複数病変の犬で違いは無く、蓄膿の有無、筋肉の関与あるいは脊髄圧迫の犬にも違いはなかった。血清CRP濃度と細菌培養陽性に関係はなかった。
結論と臨床的重要性:C-反応性蛋白は椎間板脊椎炎に対し感受性はあるが非特異的なバイオマーカーで、疑わしい臨床症状がある犬において補助的診断検査として有用と証明でき、予後の予測に役立つかもしれない。(Sato訳)
■片側椎弓切除あるいは広範囲の片側椎弓切除と硬膜切開で治療した進行性脊髄軟化症の犬の結果
Outcomes of dogs with progressive myelomalacia treated with hemilaminectomy or with extensive hemilaminectomy and durotomy
Vet Surg. 2020 Sep 29.
doi: 10.1111/vsu.13514. Online ahead of print.
Yuya Nakamoto , Takashi Uemura , Hiroki Hasegawa , Miwa Nakamoto , Tsuyoshi Ozawa
目的:犬の進行性脊髄軟化症(PMM)を治療するため、広範囲の片側椎弓切除と硬膜切開(EHLD)の可能性を評価する
研究計画:回顧的臨床研究
動物:EHLD(n=10)あるいはHL単独(n=18)を行った飼育犬28頭
方法:MRIで診断後、T2-強調(T2W)-MRI上で脊髄内高信号部位においてHL単独あるいはEHLDをすぐに行った。医療記録を回顧的に再検討した。紹介獣医師と標準化したアンケートで電話聞き取りによりその後のデータを集めた。群間の術後生存性の結果を、共変量として入れたベースラインの特徴と共にCox’s比例ハザード解析により(ログランク検定)比較した。
結果:HL単独群と比較してEHLD群の生存率は高かった(P=0.03)。HLで治療した18頭中11頭は生存したが、7頭は死亡した(中央値、術後5日)。EHLD群の10頭中10頭が術後生存した。ベースラインの特徴は術後生存結果と関係しなかった。多変量解析により、EHLDは生存率上昇に関係する独立した要因だった(P=0.0002)。
結論:PMMの犬で、T2W-MRI上の髄内高信号領域でのEHLD硬膜切開は、標準的なHLで治療した犬と比べて生存率を改善した。
臨床意義:この研究は、PMMの犬において、EHLDでの治療を支持するエビデンスを提供する。追加の前向き研究が必要である。(Sato訳)
■推定進行性脊髄軟化症の犬に対する広範囲の片側椎弓切除と硬膜切開術の結果:34症例の回顧的研究
Outcomes of extensive hemilaminectomy with durotomy on dogs with presumptive progressive myelomalacia: a retrospective study on 34 cases
BMC Vet Res. 2020 Dec 7;16(1):476.
doi: 10.1186/s12917-020-02690-z.
Ryuji Hirano , Ryota Asahina , Taiyo Hirano , Ayuko Hyakkoku , Rino Miura , Takuya Kunihiro , Yuya Nakamoto
背景:進行性脊髄軟化症(PMM)は、急性脊髄傷害後の脊髄の進行性の上行性および下行性壊死による致死的合併症である。最近の研究では、推定PMMの犬に対し、MRI検査後すぐに髄内T2強信号領域で広範囲片側椎弓切除術と強膜切開(EHLD)を実施すると、生存率が改善したと示唆されている。
この回顧的研究の目的は、PMMと仮診断され、MRIと手術の間隔があいた犬で、PMMの進行を止めることに対するEHLDの効果を評価することだった。
結果:MRI検査から遅れて(範囲、0-3日)EHLDを実施した推定PMMの犬34頭を含めた。MRIからの時間、MRI所見、神経学的検査、術中肉眼所見をもとに、EHLDの頭側の位置を設定した。術後2週目、周術生存率は97%(33/34)だった。中央値82.5週間(範囲、0-290週間)のフォローアップ中、術後生存率は91%(31/34)だった。フォローアップ期間終了時、34頭中31頭は重度術後合併症もなく生存したが、残りの2頭は手術に直接関係ない原因で死亡した。全ての犬の後肢機能の改善はなかった。
結論:EHLDはMRIとEHLDの間隔があいた犬でさえ、推定PMMの進行を止め、病的状態を防ぐことに効果があると思われる。EHLDの範囲を判定する我々のアルゴリズムは、MRI検査後にPMMに一致する症状を発症した症例に対し、EHLDの最適な範囲を設定できるかもしれない。(Sato訳)
■細菌性椎間板脊椎炎が疑われる犬のC反応性蛋白:16症例(2010-2019)
C-reactive protein in dogs with suspected bacterial diskospondylitis: 16 cases (2010-2019)
Vet Rec Open. 2020 Jul 20;7(1):e000386.
doi: 10.1136/vetreco-2019-000386. eCollection 2020.
George Nye , Francois-Xavier Liebel , Tom Harcourt-Brown
目的:C-反応性蛋白(CRP)は、ステロイド反応性髄膜炎-動脈炎、免疫介在性多発性関節炎、気管支肺炎などの複数の犬の炎症に使用される急性期タンパク質である。この研究の目的は、血清CRPが椎間板脊椎炎の症例で上昇するかどうかを調査することだった。
方法:2010年から2019年の医療記録を検索し、CTあるいはMRIで一致する所見を基に椎間板脊椎炎と診断され、CRPを検査した犬を確認した。
結果:合計16頭の犬が基準に当てはまった。全ての症例は背部痛があった。14頭はCRPが上昇しており、中央値は100.7mg/l(CRPの参照範囲:0-10mg/l)、12頭は発熱があり、6頭は白血球が増加していた。正常なCRPの2頭は正常体温で、白血球の増加はなかった。14頭中8頭は、抗菌剤治療の4-6週で、CRPを測定し、全ての症例は正常だった。1頭の犬はMRIで細菌性蓄膿の疑いを起こした;これはフォローアップで正常なCRP濃度になったことを基に、抗菌剤治療中止から2週間後に起こった。
結論:血清CRPは椎間板脊椎炎の症例で上昇し、発熱や白血球増加単独よりも背部痛のある犬のスクリーニングでより臨床的に有効かもしれない。今後、治療のモニタリングツールおよび治療方針決定として、その使用を評価するため、前向き研究で長期の臨床的評価が必要である。(Sato訳)
■急性の非圧迫性髄核突出の犬における尿あるいは便失禁の予測因子
Predictors of urinary or fecal incontinence in dogs with thoracolumbar acute non-compressive nucleus pulposus extrusion.
J Vet Intern Med. 2019 Oct 31. doi: 10.1111/jvim.15626. [Epub ahead of print]
Mari L, Behr S, Shea A, Dominguez E, Ricco C, Alcoverro E, Ekiri A, Sanchez-Masian D, De Risio L.
背景:胸腰部急性非圧迫性髄核突出(ANNPE)後、尿失禁(UI)は7.5%、便失禁(FI)は32%の犬に発生する。
仮説/目的:T3-L3脊髄分屑に発生したANNPEの犬において、UIおよびFIの臨床、診断、治療的予測因子を調査する
動物:臨床およびMRI所見によりT3-L3ANNPEと診断された187頭の犬
方法:多施設回顧的研究。医療記録および電話調査によりデータを入手し、ロジスティック回帰で解析した。
結果:UIとFIは17頭(9.1%)と44頭(23.5%)の犬で報告された。対麻痺の犬はそうでない犬と比べて、3倍(95%CI=1.25、10.87)UIを起こす確率が高く(P=0.018)、4倍(95%CI=1.94、12.56)FIを起こす確率が高かった(P=0.001)。横断T2強調MRI像の同レベルで、脊髄の横断面の40%以上の脊髄内高強度の犬は、それより小さい犬と比べてUI(95%CI=1.04、21.72;P=0.045)とFI(95%CI=1.56、10.39;P=0.004)の発生確率が4倍高かった。診断後、NSAIDsを投与しなかった犬は、投与した犬と比べて3倍(95%CI=1.41、7.93)FIになる確率が高く(P=0.006)、脊髄ショックに匹敵する臨床症状を呈する犬は、その症状がない犬と比べ、2倍(95%CI=1.12、5.98)FIになる確率が高かった(P=0.026)。
結論と臨床重要性:T3-L3ANNPEの犬において、UIとFIの臨床、診断、治療的予測因子の確認は、脊髄傷害後に発生するそれらの自律神経機能障害のアプローチに役立つ。(Sato訳)
■後肢の深部痛覚がない胸腰部椎間板ヘルニアの犬における硬膜切開の効果
Effect of durotomy in dogs with thoracolumbar disc herniation and without deep pain perception in the hind limbs
Vet Surg. 2020 Jul;49(5):860-869.
doi: 10.1111/vsu.13409. Epub 2020 Mar 12.
Fumitaka Takahashi , Ayaka Honnami , Minae Toki , Ayako Dosaka , Yukihiro Fujita , Yasushi Hara , Shinya Yamaguchi
目的:胸腰部椎間板ヘルニア(TL-IVDH)で、後肢の深部痛覚(DPP)がない犬において、外科的減圧の補助として硬膜切開の効果を判定する
研究計画:回顧的研究
動物:片側椎弓切除で治療したTL-IVDHでDPPを喪失した犬(n=116)
方法:片側椎弓切除単独で治療した犬と、補助として硬膜切開で治療した犬のシグナルメント、手術部位、回復率、進行性脊髄軟化(PMM)の発生率、後肢対麻痺の発現から手術までの経過時間(TPS)、T2強調MRIでL2椎体長と比べた脊髄の高信号部分の長さ(LHT2)を比較した。多変量ロジスティック回帰分析で、結果と硬膜切開後の脊髄実質の外見との関係を調べた。
結果:歩行可能になった犬の比率は、片側椎弓切除単独で治療した犬(38.5%)よりも硬膜切開を実施した犬(56.9%;P=0.04)の方が大きかった。片側椎弓切除群において、PMMの疑いで14頭が死亡したが、硬膜切開群においてPMMは見られなかった。硬膜切開、犬種、手術部位、LHT2は回復に影響を及ぼした。年齢、性別、体重、TPSは回復と関係がなかった。
結論:我々の病院で、減圧に加えて硬膜切開の実施は、機能の回復を改善し、PMMを予防した。
臨床意義:胸腰部椎間板ヘルニアで、後肢の深部痛覚が喪失している犬において、手術結果を改善するために外科医は硬膜切開を考慮すべきである。(Sato訳)
■胸腰部椎間板突出の犬の同日の手術は痛覚喪失のリスクを減じるかもしれない
Same-day Surgery May Reduce the Risk of Losing Pain Perception in Dogs With Thoracolumbar Disc Extrusion
J Small Anim Pract. 2020 May 27.
doi: 10.1111/jsap.13147. Online ahead of print.
S Martin , F X Liebel , A Fadda , K Lazzerini , T Harcourt-Brown
目的:入院当日あるいは一昼夜あけて手術を行った場合の後肢の痛覚を喪失した胸腰部椎間板突出の犬の割合を比較すること。痛覚喪失に悪化した犬の結果を述べること。
素材と方法:痛覚に異常がないが、後肢の助けがなく歩行不能の胸腰部椎間板突出の飼育犬273頭の回顧的一施設研究。犬を2群に細分した:早期手術(入院時の検査から次の朝の間で脊髄減圧)と遅れて手術(入院から次の朝の間に手術実施せず)。早期手術と遅れて手術した群で、一夜明けて後肢痛覚喪失の犬の比率を比較した。
結果:一夜明けて痛覚を喪失した早期手術群の犬は151頭中7頭で、遅れて手術した群の犬は122頭中15頭だった(Fisher's exact test、P=0.025)。治療必要数分析で、14頭の犬(95%CI:7-106頭)は一晩かけての痛覚喪失を防ぐために早期手術が必要と示唆された。早期手術群の痛覚を喪失した7頭中5頭は、術後3週間で痛覚が回復し、遅れて手術した群では14頭中8頭が回復した。
臨床意義:胸腰部椎間板突出後に歩行不能な犬において、脊髄減圧前に一昼夜手術を遅らせることは臨床的に意味のある悪化のリスクを増加させると、この研究は示唆する。(Sato訳)
■犬の椎間板突出の急性発現により寒い周囲温度が影響する
Colder Ambient Temperatures Influence Acute Onset Canine Intervertebral Disc Extrusion
Front Vet Sci. 2020 Apr 7;7:175.
doi: 10.3389/fvets.2020.00175. eCollection 2020.
Marc A Barandun , Stella Bult , Stanislas Demierre , Beatriz Vidondo , Franck Forterre
犬の椎間板疾患は、獣医療で最も一般にみられる神経学的状態の一つだが、そのうえで環境要因の影響は完全に調査されていない。主観的に、より寒い気温の時期に椎間板突出による急性脊髄傷害の入院が増加した印象を持っている。
この回顧的研究において、臨床症状の急性発現中と徴候の発生前3日間の異なる気象状況(気温、降水量、日照、湿度、気圧)を解析した。
ジュネーブ湖の気象地域から101頭の飼育犬が、6年(2007-2012)の研究期間中に2か所の二次診療施設に来院した。軟骨形成異常犬はその集団の65.3%を占め、ブルドッグ(19.8%)とダックスフンド(17.8%)が最も一般的な犬種だった。多変量ロジスティック回帰解析で、より寒い気温の間に椎間板疾患の発生の増加を認めた。
我々の研究結果は、より低い周囲温度がより痛い、筋肉傷害のリスク増加と関係していることを示しているヒトの研究のそれらと合致する。
内因性(犬種、解剖学的特徴)および外因性(環境)因子の相互作用は、より大規模なコホート研究で調べるべきである。(Sato訳)
■胸腰部椎間板突出の外科的治療後の犬の術後回復における病変周囲の光生体調節療法と身体的リハビリテーション
Perilesional Photobiomodulation Therapy and Physical Rehabilitation in Post-Operative Recovery of Dogs Surgically Treated for Thoracolumbar Disk Extrusion
BMC Vet Res. 2020 Apr 25;16(1):120.
doi: 10.1186/s12917-020-02333-3.
Enrico Bruno , Sara Canal , Michela Antonucci , Marco Bernardini , Federica Balducci , Vincenzo Musella , Matteo Mussoni , Giuseppe Spinella
背景:最近の研究は、リハビリテーションプロトコールの中にレーザー療法のエビデンスを基にした利点の欠如と椎間板ヘルニアの術後に対するレーザー療法の効果の対照的な結果を報告している。この研究の目的は、胸腰部椎間板突出に対して手術を行った犬において、術後リハビリテーションプロトコールの中の光生体調節療法の臨床効果を報告することだった。24頭の犬をこの研究に含めた(12頭はレーザーとリハビリテーションプロトコールで治療し、12頭はレーザーなしのリハビリテーションプロトコールで治療した)。
結果:レーザー療法で治療した全ての犬は、入院時の深部痛覚が維持された場合、神経学的状態の改善(生体療法開始から30日以内にModified Frankelスコア3以上)を示した(P=0.04)。しかし、Kaplan-Meier解析では歩行能力回復までの時間においていずれの統計学的差を示さなかったが、レーザー群(14.2±8.55日)はレーザーしなかった群(24±18.49日)に対し、平均期間がより短縮される傾向があった。
結論:椎間板突出で脊髄減圧手術を行った犬の術後リハビリテーションにおいて、レーザー療法の使用は、神経学的状態の改善に役立つ可能性があった。(Sato訳)
■肥満犬の硬膜外注射を補助する超音波検査の使用
The use of ultrasound to assist epidural injection in obese dogs.
Vet Anaesth Analg. 2019 Oct 22. pii: S1467-2987(19)30306-X. doi: 10.1016/j.vaa.2019.10.003. [Epub ahead of print]
da Silva LC, Pacheco PF, Sellera FP, Futema F, Cortopassi SR.
目的:肥満犬の穿刺部位の確認および硬膜外腔の深さを測定するため、超音波検査の使用を評価する
研究デザイン:選択的整形外科手術を行う犬の前向き研究
動物:年齢6.93±2.56歳で、体重46.5±4.1kg(平均±標準偏差)の肥満したラブラドールのオス犬7頭の1集団
方法:それらの犬に対する麻酔プロトコールに硬膜外麻酔を含めた。犬に麻酔をかけ、後肢を前に曲げた伏臥位で、腰仙部椎間板腔の位置を調べるために超音波画像検査を使用した。脊椎とプローブに関する横断面の交点で刺入ポイントを確認した。17ゲージ、8.9cmツーイ針を皮膚に垂直に刺し、腰仙部椎間板腔に進めた。刺入の試み回数を記録し、針の深さは皮膚から黄色靭帯の距離で比較した。
結果:全ての犬で、硬膜外注射は最初の試みで刺入できた。皮膚から硬膜外腔までの距離は、超音波検査で測定した場合、5.95±0.62cmで、ツーイ針で測定した場合、5.89±0.64cmだった。それらの測定値に差はなかった(P=0.26)。測定法の間にかなりの高い相関係数0.966が得られた(P<0.001)。
結論と臨床関連:7頭の肥満犬において、腰仙部硬膜外注射の刺入ポイントを超音波検査で確認できた。超音波検査は腰仙部椎間板腔の位置決定に使用でき、硬膜外注射を実施するため最適な刺入ポイントを確認できることを結果は示す。(Sato訳)
■急性胸腰部椎間板疾患と脊髄傷害の犬において外科的減圧単独と犬脂肪組織由来幹細胞移植を組み合わせた場合の効果の比較
Comparison of the Efficacy of Surgical Decompression Alone and Combined With Canine Adipose Tissue-Derived Stem Cell Transplantation in Dogs With Acute Thoracolumbar Disk Disease and Spinal Cord Injury.
Front Vet Sci. 2019 Nov 8;6:383. doi: 10.3389/fvets.2019.00383. eCollection 2019.
Bach FS, Rebelatto CLK, Fracaro L, Senegaglia AC, Fragoso FYI, Daga DR, Brofman PRS, Pimpão CT, Engracia Filho JR, Montiani-Ferreira F, Villanova JA Jr.
不全対麻痺および対麻痺は犬でよくある状況で、多くは胸腰部脊髄分節(T3-L3)の椎間板ヘルニアが原因で、神経学的緊急疾患である。脊髄造影、CT、MRI検査で脊髄圧迫が明らかになったときは、できるだけ速やかに外科的減圧を実施すべきである。
間葉系幹細胞療法は、脊髄傷害の有望な補助治療である。
ここでは、急性対麻痺の犬の治療において、外科的減圧のみの場合と、犬脂肪組織由来間葉系幹細胞(cAd-MSCs)の移植を組み合わせた場合の効果を比較した。
胸腰部(T3-L3)のハンセンI型椎間板ヘルニアによる急性対麻痺の異なる犬種の成犬22頭を、CTで評価した。全ての犬はグレードIVあるいはV病変で、徴候発現後7日以内に手術を行った。犬は無作為に各11頭ずつ、2群に振り分けた。グループIの犬は片側椎弓切除術を行い、グループIIの犬は片側椎弓切除術とcAd-MSC硬膜外移植を行った。
両群のグレードIV病変の全ての犬は歩行運動を回復した。歩行運動回復期間の中央値は、グループIIの犬は7日、グループIの犬は21日で、この差は統計学的に有意だった(p<0.05)。さらに、術後の入院期間の中央値はグループ間で統計学的に有意差があった(グループI、4日;グループII、3日;p<0.05)。歩行運動および侵害受容が回復したグレードIVあるいはV病変の犬の頭数に関して、グループ間の統計学的有意差はなかった。結論として、外科的減圧単独と比較して、硬膜外cAd-MSC移植と外科的減圧の使用は、急性対麻痺の犬の歩行運動回復がより速く、術後の入院期間を短縮することに寄与するかもしれない。(Sato訳)
■脊髄損傷に対するフルベンダゾールの新立ち位置
Repositioning Flubendazole for Spinal Cord Injury.
J Neurotrauma. September 2019;36(18):2618-2630.
DOI: 10.1089/neu.2018.6160
Chen-Guang Yu , Vimala Bondada , Sarbani Ghoshal , Ranjana Singh , Christina K Pistilli , Kavi Dayaram , Hina Iqbal , Madison Sands , Kate L Davis , Subarrao Bondada , James W Geddes
著者らは、胸部脊髄挫傷のマウスに、傷害前にベンツイミダゾール駆虫薬のフェンベンダゾールを投与すると機能と病理結果を改善させるという思いがけない治験を過去に報告した。フェンベンダゾールは獣医療で広く使用されている。しかし、ヒトの使用に認可されておらず、傷害後のみに投与するだけで同様の効果が得られるかどうかは不確かだった。
この研究において、脊髄挫傷のラットモデルを用い、密接に関連したヒトの駆虫薬であるフルベンダゾールの傷害後投与を評価した。
フルベンダゾールを受傷後3時間目に5あるいは10mg/kg/日で腹腔内投与し、その後毎日2あるいは4週間投与したところ、溶媒投与のコントロールと比較して脊髄挫傷後の運動機能を改善させた。脊髄分節の組織学的評価は、フルベンダゾールのそのような処置も病変体積を減らし、総組織代償、白質代償、灰白質代償を改善させていることを示した。フルベンダゾールは、グリア原繊維酸性タンパク質(GFAP)の活性化を抑制した;サイクリンB1発現とブルトン型チロシンキナーゼ活性、B細胞活性/増殖のマーカーおよび炎症を抑制した;B細胞性自己免疫反応を減少させた。全体として、それらの結果は、脊髄損傷の可能性がある治療としてベンツイミダゾール系駆虫薬のフルベンダゾールの使用を示唆する。(Sato訳)
■犬種、部位、外科医の経験に依存する椎間板疾患手術の結果:1113症例
[Outcome of intervertebral disk disease surgery depending on dog breed, location and experience of the surgeon: 1113 cases].
Tierarztl Prax Ausg K Kleintiere Heimtiere. 2019 Aug;47(4):233-241. doi: 10.1055/a-0948-9187. Epub 2019 Aug 21.
[Article in German; Abstract available in German from the publisher]
Klesty A, Forterre F, Bolln G.
目的:椎間板疾患(IVDD)は、犬の一般的な神経学的状況で、多くのケースで外科的に治療できる。外科的な椎間板の治療後、シグナルメント、IVDDの部位と重症度、外科医の経験など潜在的に影響する因子を、治療の長期結果に対するそれらの影響を判定するため調査した。
素材と方法:2008年1月から2013年7月の間に1つ以上の椎間板脱出を外科的に治療した犬1113頭のデータを評価した。
結果:特に非軟骨形成異常(NCD)の犬種に比べ、軟骨形成異常(CD)の犬種のダックスフンド、ジャックラッセルテリア、フレンチブルドッグはより早期に椎間板脱出となる素因があり、部位と神経学的重症度に有意差があった。未去勢のオスは、不釣り合いにより頻繁に罹患したが、犬の体重はIVDD発生に相関しなかった。術後の結果は、神経学的重症度とIVDDの部位に影響を受けたが、犬種や外科医の経験レベルに影響されなかった。同じく、使用した手術方法と回復期あるいは再発率に相関はなかった。
結論と臨床関連:CD犬種は、NCD犬種よりも平均がより早くIVDHを起こす傾向があり、最も若い犬はフレンチブルドッグだった。もっとも発生したのは、胸椎(ピークTh12/13)で、最も少ないのは頸椎だった(犬種特異差がある):ビーグルは主に頸椎が罹患し、小型NCD犬種とダックスフンドとジャックラッセルテリアは胸椎、フレンチブルドッグと大型NCD犬種は腰椎だった。神経学的タイプの上昇と胸椎のIVDHは臨床結果に負の影響を持った:胸椎の小型NCD犬種のタイプIV IVDHは最も回復期が長かったが、フレンチブルドッグの腰椎のIVDHの同じタイプは再び歩行できるまでの期間がより短かった。(Sato訳)
■犬の脊椎異形成のX線評価
Evaluation of radiography as a screening method for detection and characterisation of congenital vertebral malformations in dogs
Josep Brocal, Steven De Decker, Roberto José-López, Julien Guevar, Maria Ortega, Tim Parkin, Gert Ter Haar, Rodrigo Gutierrez-Quintana
Vet Rec (2018) doi: 10.1136/vr.104388
犬の先天性脊椎形成異常は短頭種の尾の捻れた犬で一般的で、神経異常もあり遺伝が示唆される。
本研究の目的は短頭種の尾の捻れた犬の先天性胸椎形成異常についてCT所見とスクリーニングとしてのX線所見を述べることである。49頭を3人でそれぞれ評価した。以前の報告されたスキームをもとに分類した。その後CTコンセンサスに至った。ラテラル像単独より直交像の評価の方が罹患椎骨を有意に特定することが可能でCTコンセンサスでより明瞭であった。犬あたりの脊椎形成異常が多いことから異常のない犬はCTとX線で有意差はなかった。
正中閉鎖異常はX線よりCTでより特定が可能であった。奇形はX線では対称性と腹側低形成に分類され、CTでは腹側と内側非形成と分類された。本研究の結果から、CTの方が好ましく、臨床的に信頼性のあるエビデンス蓄積に有用であろう。X線スクリーニングのために重要な所見であり、繁殖管理にはさらなる研究が必要である。(Dr.Maru訳)
■術後理学的リハビリで治療した椎間板疾患のダックスフンドの術後回復に対するボディコンディションの影響
The effect of body condition on postoperative recovery of dachshunds with intervertebral disc disease treated with postoperative physical rehabilitation.
Vet Surg. 2018 Dec 13. doi: 10.1111/vsu.13142. [Epub ahead of print]
Gordon-Evans WJ, Johnson AL, Knap KE, Griffon DJ.
目的:胸腰部片側椎弓切除後、リハビリで治療しているダックスフンドの術後の回復に対し、肥満の影響を調べる
研究計画:前向き観察試験
動物:胸腰部椎間板疾患と痛覚がある32頭のダックスフンド
方法:胸腰部片側椎弓切除後に研究に登録した。開始時と研究の12週目にdual-energy x-ray absorptiometry (DEXA)で筋肉と脂肪量を測定した。積極的なリハビリを術後1、2、4、6週目に実施した。潜在的リスクファクター(年齢、臨床症状の持続期間、体重、ボディコンディションスコア、体脂肪率、除脂肪筋肉率、その時の障害指数(DI)スコア)と回復のベンチマークへの復帰との間のオッズ比をロジスティック回帰で判定した。
結果:ボディコンディションスコア、体脂肪率、除脂肪筋肉率、体重、年齢は、回復のオッズ比に影響しなかった。術前DIスコアの増加は、緩やかな術後の回復のリスク増加と関係した(P<0.05)。立つまで>7日、強い歩行まで>30日、研究期間内に正常に戻らないことのそれぞれのオッズ比は2.5、4.8、1.8だった。研究期間を通し、平均で体重(2.2kg)、体脂肪(2.4%)は落ち、筋肉量(3.0%)は増加した。
結論:ボディコンディションではなく、術前の障害度が、胸腰部片側椎弓切除術後にリハビリを行ったダックスフンドで緩やかな回復のリスク因子だった。
臨床意義:リハビリで治療しているダックスフンドの術後予後に、術前の障害増加は緩やかな回復となる確率を高めるが、ボディコンディションは影響するとは思えない。(Sato訳)
■犬の急性頸部圧縮水和髄核突出に対する内科および外科治療の比較
Comparison of medical and surgical treatment for acute cervical compressive hydrated nucleus pulposus extrusion in dogs.
Vet Rec. December 2017;181(23):625.
Tana Borlace , Rodrigo Gutierrez-Quintana , Frances Ellen Taylor-Brown , Steven De Decker
頸部水和髄核突出(hydrated nucleus pulposus extrusion:HNPE)の犬に対する治療の成功結果は、内科および外科治療後で報告されているが、どちらの治療オプションが好まれるのかは不明である。
頚部HNPEに対する内科(n=18)あるいは外科(n=16)で治療した犬34頭を回顧的に確認した。シグナルメント、臨床症状、画像所見を内科および外科的治療犬の間で比較した。
内科治療は理学療法と運動制限を組み合わせた。外科治療はベントラルスロット法を行った。短期の経過観察情報は再診時に入手した。長期結果は電話による聞き取りで入手した。初診時に外科群のより多くの犬が頸部知覚過敏を示した(P=0.045)が、シグナルメント、臨床症状あるいは画像所見に両群の有意差はなかった。内科で管理した群の2頭の犬は、治療に対する反応が不十分なため、外科的減圧を行った。長期の情報が得られた全ての症例(n=30)は、データ収集時、神経学的に正常だった。両治療群の間で、全ての短期あるいは長期結果変数に有意差はなかった。
この研究は、頸部HNPEの犬に対し、内科あるいは外科治療の成功結果を証明し、両治療様式が考慮できることを示唆する。(Sato訳)
■ヘミラミネクトミーを行った犬の術後疼痛:ブプレノルフィンとトラマドールの鎮痛活性の比較
Postoperative pain in dogs undergoing hemilaminectomy: Comparison of the analgesic activity of buprenorphine and tramadol
J Vet Behav. May-Jun 2017;19(0):45?49. 27 Refs
Elisabetta Giudice , Giuseppe Barillaro, Chiara Crino, Alfonsina Alaimo, Francesco Macri, Simona Di Pietro
この研究の目的は、犬の急性椎間板ヘルニアのため、ヘミラミネクトミーを行った後の術後疼痛の管理に対し、ブプレノルフィンとトラマドールの鎮痛活性を比較することだった。
これは無作為化盲検前向き臨床試験である。
この研究はヘミラミネクトミーを行った犬50頭で実施した。診断後、犬を無作為に2群に振り分けた:A群(n=25頭)は3mg/kgのトラマドールを筋肉内に、B群(n=25頭)は0.02mg/kgのブプレノルフィンを筋肉内に、術前10-15分と手術終了時に投与し、その後それぞれ8時間および6時間ごとに48時間まで投与した。4つのタイムポイント(術前、術後2、12、24時間)でshort form of the Glasgow Composite Pain Scaleを用い、処置を隠した同じ観察者が犬を臨床的にモニターし、スコアを付けた。データはマンホイットニーU検定で解析した。有意はP<0.05とした。
両薬剤は良好な鎮痛活性を示した。short form of the Glasgow Composite Pain Scale scoresに関しては2群に有意差は見られなかった:ブプレノルフィンはより速くより強い鎮痛効果を示した。2分子共に呼吸抑制のような副作用は全く示さなかった。
ブプレノルフィンとトラマドールは急性椎間板ヘルニアに対するヘミラミネクトミーを行った犬の術後疼痛に対し、安全で効果的に使用でき、よって動物の福祉に貢献する。ブプレノルフィンは入院の最初のステージにトラマドールよりは良いかもしれないが、その副作用の低発生率、両方とも動物の福祉の改善に貢献することを考えれば、トラマドールは治療の遂行において良い代替物かもしれない。(Sato訳)
■犬の標的にした胸腰部椎間板腔の確認は超音波検査が経皮触診よりも正確である
Ultrasonography is more accurate than percutaneous palpation for identifying targeted thoracolumbar intervertebral disc spaces in dogs.
Vet Radiol Ultrasound. 2018 Jul 29. doi: 10.1111/vru.12672. [Epub ahead of print]
Boursier JF, Fournet A, Bassanino J, Manassero M, Bedu AS, Leperlier D.
最小侵襲の脊髄外科手術中、その悪い椎間板腔の正確な確認は重要である。経皮的触診が通常使用されるが、その結果は信用できないかもしれない。透視はゴールドスタンダードだが、扱いにくく、オペレーターへの放射線暴露があるかもしれない。脊髄超音波検査は獣医療で述べられており、実行可能な代替法となり得る。
この前向き、方法比較研究は10頭の犬の死体で最終侵襲脊髄外科を模擬し、参照標準として透視を用い、胸腰部椎間板腔確認に対し超音波検査と経皮的触診の精度を比較した。
各実験に対し、椎間板腔は無作為に選択した。その後、経皮的触診と超音波検査を用い確認を試みた。超音波検査では位置を補正するためオペレーターへのガイドで、linearプローブを使用した。各方法を実施するのに必要な時間を記録した。各方法の精度を算出し、統計学的に比較した。ボディコンディションスコア、標的にした椎間板腔の位置、各方法に対する学習曲線の影響も評価した。
超音波検査による確認は経皮的触診より正確(96.7% vs. 76.7%;P<0.03)だったが、より時間がかかった(147秒 vs. 29秒;P<0.0001)。
この屍体研究の所見は、目標とした椎間板腔の正確な確認に対し、経皮的触診は精度が低く、精度を改善する方法として超音波検査の使用を支持することを示した。臨床症例、特に肥満犬および/あるいは明白な解剖学的ランドマークから離れた目標部位においてこの方法を評価する追加研究が必要である。(Sato訳)
■椎間板ヘルニアの犬の術後結果に対する院内リハビリの影響
Influence of in-house rehabilitation on the postoperative outcome of dogs with intervertebral disk herniation.
Language: English
Vet Surg. May 2017;46(4):566-573.
Michelle M Hodgson , John M Bevan , Richard B Evans , Thai I Johnson
目的:椎間板ヘルニア(intervertebral disk herniation:IVDH)の犬の術後結果に対する院内リハビリの影響を調べる
計画:回顧的コホート研究
動物:単一部位、胸腰部、ハンセンI型IVDHの体重20kg以下の犬(n=248)
方法:片側椎弓切除で治療したIVDHの歩行不可能な犬の医療記録を再調査した。術後管理に院内リハビリプログラムを含むかどうかで犬を2群に分類した。術前および連続術後修正Frankelスコア(modified Frankel scores:MFSs)を記録した。歩行可能になるまでの期間、正常な意識的プロプリオセプションまでの期間、最終MFS、合併症を群間で比較した。
結果:術後管理に院内リハビリを入れた場合、より多くの犬が完全な神経機能(最終MFSグレード5)に回復した(33%v.s.9%)。コントロール群の方が(42日と14日)、リハビリ群(49日と28日)に比べ正常な意識的プロプリオセプションおよび歩行可能により早く回復した。合併症率はリハビリ群(16%)に比べ、コントロール群(29%)でより高かった。
結論と臨床関連:院内リハビリは、IVDHの外科的治療後、神経機能の改善および術後合併症を減らすため、術後管理に含めるべきである。(Sato訳)
■15頭の猫の尾裂離に対する一次的固定
Primary stabilisation for tail avulsion in 15 cats.
Language: English
J Small Anim Pract. January 2018;59(1):22-26.
J Caraty , R Hassoun , P Meheust
目的:尾骨神経横断のない尻尾で、随意運動機能および痛覚を失った猫において、痛みの緩和と神経回復を支持する一次的尾固定法の効果を評価する
素材と方法:2009年から2015年の間に尻尾の痛覚がない尾裂離を被った猫の医療記録と臨床検査結果と尻尾のエックス線写真を含む術前診断検査の回顧的再調査。断尾が必要とされる開放骨折や尻尾の傷あるいは尾骨神経根横断の猫は除外した。外科的探査後、2つのナイロン縫合で尻尾の再建を実施した。
結果:15頭の猫を含め、全頭尻尾の随意運動機能は喪失しており、15頭中8頭は尿失禁があった。術後11頭の猫は14日から90日(平均39日)以内に随意的尾機能と痛覚が回復した。それまで尿失禁の8頭中5頭は、1か月以内に尿の自制ができるようになった。
臨床意義:一時的尾固定の今回報告した方法は、尾骨神経根横断の無い尻尾の裂離と痛覚喪失を呈する猫の多くにおいて、喪失した機能を回復する。それらの結果は保存的管理よりも優れているのかどうかを調べる比較研究が必要である。(Sato訳)
■軟骨異栄養犬の椎間板突出において片側椎弓切除を計画するCTに対するMRI
Magnetic resonance imaging versus computed tomography to plan hemilaminectomies in chondrodystrophic dogs with intervertebral disc extrusion.
Vet Surg. 2017 Aug 23. doi: 10.1111/vsu.12700. [Epub ahead of print]
Noyes JA, Thomovsky SA, Chen AV, Owen TJ, Fransson BA, Carbonneau KJ, Matthew SM.
目的:軟骨異栄養犬における胸腰部(thoracolumbar:TL)椎間板(intervertebral disk:IVD)突出を治療するため計画した片側椎弓切除術に対する術前MRに対しCT検査の影響を判定する
研究計画:前向き臨床研究
サンプル集団:TL IVD突出の軟骨異栄養犬40頭と術前CTおよびMR研究
方法:MRおよびCT像を無作為化し、犬の個性と対応する画像研究を隠した4人の観察者により再検討した。観察者はCTおよびMR研究の個別の再検討を基にして、その脊髄、左側あるいは右側、範囲(除去する関節面の数)にそって部位を計画した。観察者内の一致性は、同犬のMRに対しCTを基に計画した片側椎弓切除の全体の手術プラン、部位、左側あるいは右側、大きさについて判定した。
結果:43.5%-66.6%の犬においてCTに対しMRを基にして同様の手術プランを計画し、観察者に依存した。MRに対しCTを基にして計画した片側椎弓切除術の部位、左側あるいは右側、大きさについて観察者内の一致性の範囲はそれぞれ48.7%-66.6%、87%-92%、51.2%-71.7%の犬だった。観察者は同じ犬のCTに対しMRを基に、より大きな椎弓切除欠損を計画する傾向があった。
結論:この研究の知見は、CT画像に対し、術前のMR像を基に計画した片側椎弓切除においてかなりの差を示した。手術部位と大きさは最も多く変化した;計画した片側椎弓切除の左側あるいは右側かは画像様式間で最も一致していた。(Sato訳)
■犬の急性椎間板ヘルニアの管理における診療パターン
Practice patterns in the management of acute intervertebral disc herniation in dogs.
Language: English
J Small Anim Pract. August 2016;57(8):409-15.
S A Moore , P J. Early , B F Hettlich
目的:急性椎間板ヘルニアは、獣医神経医や外科医による管理されるのが一般的である。管理パターンはかなり異なり、多くの治療面を取り囲む議論があると示唆される逸話がある。
この研究の目的は、一番良い診療に対する今後の議論のために、それら2グループの中で急性椎間板ヘルニアによる急性脊髄傷害の管理パターンを考証することだった。
方法:急性椎間板ヘルニアの犬に対する診断、内科および外科的診療を質問する調査票を、the American College of Veterinary Surgeonsとthe American College of Veterinary Internal Medicine (神経学)の専門医に配布した。
結果:314人の専門委員会に正式認可された外科医と神経医から回答を得た。両グループは、同じような様式で減圧のタイミング、外科的アプローチ、ほとんどの術後推奨を扱っていた。症例数はグループ間で異なり、神経医の77%、外科医の18%は1年に急性椎間板ヘルニアの症例50頭以上を管理していた。神経医がよく使用する診断ツールはMRI(75%)で、外科医で最も一般的なのはCTだった(58%)。34%の外科医と11%の神経医はコルチコステロイドを神経保護目的としてルーチンに投与していた。69%の神経医と36%の外科医は「常に」あるいは「ほとんど」椎間板開窓術を実施していた。
臨床意義:犬の急性椎間板ヘルニアの管理において一般的な診療を理解することは、この疾患の診断と治療においてベストな診療に関する今後の議論で飛躍するきっかけを提供できる。(Sato訳)
■環椎後頭関節脱臼の犬5頭における頬骨弓-環椎翼安定化(フルテキスト)
Zygomatic arch-atlas wing stabilization in 5 dogs with atlanto-occipital dislocation.
Language: English
J Vet Med Sci. July 2016;78(6):963-70.
Mario Dolera , Luca Malfassi, Cristina Bianchi, Nancy Carrara, Laura Corbetta, Sara Finesso, Silvia Marcarini, Giovanni Mazza, Simone Pavesi, Massimo Sala
この研究の目的は、犬の環椎後頭関節脱臼に対する新しい最小侵襲外科的安定化法を示し、関係するMRI所見を報告することだった。
この症例シリーズの犬全5頭は頭部と頚部の1.5TMRI検査を行い、そのうち3頭はMRIとCT検査を行った。環椎後頭関節脱臼は、MRI検査において後頭顆と環椎の関節腔の拡がりから診断した。手術は外部結紮を基にした過去に述べられていない固定法ですぐに実施した。
その安定化は、各側の頬骨突起と環椎翼にドリルで4つの穴をあけて行った。1mm径のモノフィラメントナイロンを4つの穴に挿入し、同側頬骨弓を通し皮膚の外にO型結紮を施した。結紮は2か月以内に除去した。
術後の経過観察の検査時、術後14日目には全ての犬は歩行可能だった。環椎後頭の安定性は、平均24か月の経過観察における臨床検査で評価した。
この症例シリーズの好ましい結果は、環椎後頭関節脱臼がその臨床症状の重症度、MRI検査で観察された関連病変にかかわらず、この新しい方法で外科的に治療できることを示唆する。(Sato訳)
■犬11症例におけるC2-C3椎間関節の頸部脊髄脊椎症に関係する骨
Osseous associated cervical spondylomyelopathy at the C2-C3 articular facet joint in 11 dogs.
Vet Rec. November 2015;177(20):522.
C Cooper; R Gutierrez-Quintana; J Penderis; R Goncalves
犬の椎間関節変性によるC2-C3の脊柱管狭窄は、散発的にしか確認されない。
著者の目的は、この状況を呈する犬の臨床症状、MRI特性、治療、転帰を再検討することだった。
11頭は研究に適していた。11頭中3頭の四肢の神経学的検査で四肢麻痺とプ固有感覚失調が見られ、4頭に固有感覚の四肢失調のみ、2頭に後肢固有感覚失調がみられ、2頭の歩様に異常はなかった。頸部の知覚過敏は7頭に見られた。MRI検査では、10頭に両側椎間関節変性、1頭に片側椎間関節変性が見られた。6頭は手術を実施し、5頭は内科管理を選択した。11頭で長期追跡調査の情報が得られた。手術を行った症例のうち4頭は生存しており、神経学的欠損はなく、1頭は関係ない疾患で安楽死され、1頭は追跡できなかった。内科管理の症例のうち3頭は生存し、神経学的欠損はなく、1頭は神経学的欠損を示しながら生存し、1頭は失調を抱えたまま関係ない疾患で安楽死された。
この研究は、C2-C3の椎間関節変性から起きる脊柱管狭窄の犬において、内科、外科管理共に良好な結果が得られることを示す。(Sato訳)
■脊髄と脊柱の嚢胞性異常
Cystic Abnormalities of the Spinal Cord and Vertebral Column.
Vet Clin North Am Small Anim Pract. March 2016;46(2):277-93.
Ronaldo C da Costa; Laurie B Cook
脊柱と脊髄の嚢胞性病変は、脊髄疾患の症状のある犬では重要な鑑別診断である。滑液嚢胞は変形性関節疾患と一般に関連し、通常は頸部や腰仙部にみられる。くも膜憩室(過去では嚢胞と知られる)は、大型犬の頸部、小型犬の胸腰部に見られる。
この文献はそれらの原因、診断、治療、その他珍しい嚢胞性病変を概説する。(Sato訳)
■イングリッシュコッカースパニエルの胸腰部および腰部椎間板脱出の臨床特性
Clinical characterization of thoracolumbar and lumbar intervertebral disk extrusions in English Cocker Spaniels.
J Am Vet Med Assoc. February 15, 2016;248(4):405-12.
Thomas J A Cardy; Caitlin E Tzounos; Holger A Volk; Steven De Decker
目的:ダックスフントの所見と比べてイングリッシュコッカースパニエルの胸腰部および腰部椎間板脱出(IVDEs)の解剖学的分布を評価し、様々な領域の脊柱に影響する胸腰部あるいは腰部IVDEsのイングリッシュコッカースパニエルにおける臨床所見の特徴を述べる
計画:回顧的観察研究
動物:IVDEsのイングリッシュコッカースパニエル81頭とダックスフント81頭
方法:両犬種に対し、シグナルメント、臨床症状、神経学的検査所見、影響を受けている椎間板腔(IVDEs)を記録した。イングリッシュコッカースパニエルに対する管理方法と結果を記録した。病変は胸腰部(IVDEsT9-10からL1-2)、中間腰部(L2-3からL4-5)、あるいは後腰部(L5-6からL7-S1)に分類した。
結果:ダックスフントよりもイングリッシュコッカースパニエルにおいて、中間腰部および後腰部IVDEsが有意により一般に見られた。後腰部IVDEsのイングリッシュコッカースパニエルは、他の部位のIVDEsよりも評価前の臨床症状の持続期間中央値がより長く、優勢な臨床症状としてより一般的に片側後肢跛行あるいは脊髄知覚過敏が見られた。後腰部IVDEsのイングリッシュコッカースパニエルは他の部位のIVDEsよりも神経学的欠損があまりなく、神経学的グレードの中央値がより高く(程度がより低いことを示す)、術後の平均入院時間がより短く、術後の歩行可能となるまでの平均時間がより速かった。胸腰部と中間腰部IVDEsのイングリッシュコッカースパニエルの間にそれらの変数の違いはなかった。
結論と臨床関連:後部および中間腰部IVDEsは、ダックスフントよりもイングリッシュコッカースパニエルでより一般的だった。後腰部IVDEsのイングリッシュコッカースパニエルは、中間腰部あるいは胸腰部IVDEの犬と異なる臨床症状および治療後の反応を示した。(Sato訳)
■椎間板ヘルニア後の後肢の痛覚喪失を伴う犬における対麻痺からの回復に関係する要因
Factors associated with recovery from paraplegia in dogs with loss of pain perception in the pelvic limbs following intervertebral disk herniation.
J Am Vet Med Assoc. February 15, 2016;248(4):386-94.
Nick D Jeffery; Andrew K Barker; Hilary Z Hu; Cody J Alcott; Karl H Kraus; Elizabeth M Scanlin; Nicolas Granger; Jonathan M Levine
目的:椎間板ヘルニア(IVDH)が原因で、後肢の深部痛覚が喪失した犬の歩行運動の回復と推定上の予後因子の関連を調査する
計画:前向きコホート研究
動物:脊髄減圧術を行い、IVDHを評価した78頭の飼い犬
方法:後肢および尾の深部痛覚の完全喪失を示す犬に、通常の検査、先進画像検査、開業医の判断とオーナーの同意に従って脊髄減圧術を行った。各犬に対し、対麻痺が始まるまでの臨床症状の期間、麻痺発現から最初の委託評価までの遅延期間、歩行回復、死亡あるいは安楽死の日時(3か月の追跡期間)、術前にコルチコステロイド薬の投与を受けていたかどうかなど情報を前向きに収集した。病変中心で脊髄圧迫の程度をCTあるいはMRIで測定した。
結果:78頭中45頭(58%)の犬は脊髄減圧術後、3か月以内に自主的に歩行できるまで回復した。調査した因子のいずれにも予後的価値のエビデンスを確認できなかった;重要な点で、対麻痺発現と紹介評価されるまで最大に遅延したことと、予後不良とは関係しなかった。
結論と臨床関連:このIVDHの犬のグループで、即時の外科的治療は明白に結果とは関係しなかった。代わって回復の予後は損傷開始の性質に強い影響を受けるのかもしれない。(Sato訳)
■犬の頸部椎間孔ヘルニア:臨床症状、MRI特性、内科管理後の結果
Cervical intervertebral foraminal disc extrusion in dogs: clinical presentation, MRI characteristics and outcome after medical management.
Vet Rec. June 2015;176(23):597.
E Bersan; F McConnell; R Trevail; S Behr; S De Decker; H A Volk; P M Smith; R Goncalves
この研究の目的は、頸部椎間孔ヘルニア(CIFDE)に罹患した犬の臨床症状、MRI特徴、観察者間の一致性と内科治療後の結果を回顧的に評価することだった。
2010年から2012年の間にCIFDEと診断された犬を三カ所の紹介施設のカルテから検索した。13頭の犬をCIFDEと確認した;罹患犬は、神経学的検査が正常なことが多く、最も一般的な臨床症状として頸部の知覚過敏と跛行を伴った。
MRI検査において、矢状像で脊髄圧迫のエビデンスは示されなかった;全ての症例で、CIFDEは横断面のみで確認できた。椎間板腔の罹患部位で観察者間の一致はすばらしく、関節突起の過成長により孔狭窄v.s. CIFDEの検出に対し実質的な一致が見られた。
2頭を除き全頭完全に回復し、内科治療が開始された後、中央値7.5週間(範囲2-20)以内に鎮痛処置がなくても臨床症状がないと考えられた。残りの2頭は外科的治療後、完全に回復した。
我々の所見から、一つの臨床症状として頸部の知覚過敏を呈する犬で、完全なMRI検査の重要性に注目すべきである。(Sato訳)
■片側椎弓切除を行った胸腰部椎間板突出の小型犬種における髄内脊髄圧の評価
Assessment of Intramedullary Spinal Pressure in Small Breed Dogs With Thoracolumbar Disk Extrusion Undergoing Hemilaminectomy.
Vet Surg. November 2015;44(8):944-8.
Fiammetta L Noussitou; Daniela Gorgas; Helene Rohrbach; Diana Henke; Judith Howard; Franck Forterre
目的:胸腰部椎間板突出の小型犬種の犬において、髄内脊髄圧(IMP)を評価する
研究計画:前向きコホート研究
動物:片側椎弓切除術を行う胸腰部椎間板突出の小型犬種の犬(n=14)と脊髄疾患の無い健康な軟骨形成異常の実験犬(コントロール;n=3)
方法:臨床および神経学的検査、MRIを基に診断し、術中に確認した。IMPに影響しうるファクターを最小限にするため、標準化された麻酔プロトコールと術式を使用した。髄内圧は脊髄の長軸に垂直に挿入したファイバーオプティックカテーテルを使用し、脊髄圧迫部位の小durotomyを通して測定した。測定は片側椎弓切除後と突出した椎間板物質除去後に行った。
結果:罹患犬のIMPはコントロール犬と比較して有意に高く(P=.008)、最初の値よりも減圧後の有意に低下した(P<.001)。IPMと神経学的グレード、MRI上の脊髄圧迫の程度、あるいはMRIの信号強度変化に相関は見られなかった。
結論:小型犬種の犬において急性胸腰部椎間板突出は、IMP上昇と関係し、外科的減圧はIPMの即座の低下をもたらす。(Sato訳)
■広範性特発性骨増殖症の1頭の犬の大腿神経絞扼
Femoral nerve entrapment in a dog with diffuse idiopathic skeletal hyperostosis.
Vet Comp Orthop Traumatol. 2015;28(2):.
A Lai; J Culvenor; C Bailey; S Davies
目的:広範性特発性骨増殖症(DISH)に関連した神経絞扼を原因とする大腿神経障害を報告する
研究計画:症例報告
動物:7歳の避妊済みメスのボクサー犬
結果:DISHによる右大腿神経の絞扼は、大腿神経欠損と支配下の筋群の萎縮を起こした。CTとMRI検査を診断するため行った。神経絞扼のレベルで第6腰椎の右横突起の切断により神経学的異常は軽減した。
結論:神経無動作をまねく神経絞扼はDISHと同時に起こるかもしれず、この症例の手術は機能回復に成功した。
臨床関連:神経絞扼からの末梢神経障害は、DISHの患者で考慮するべきである。影響を及ぼす骨構造の外科的切断は大腿神経障害の軽減で指示されるかもしれない。(Sato訳)
■犬の椎間板変性に対する後側弯症の影響
The effect of kyphoscoliosis on intervertebral disc degeneration in dogs.
Vet J. June 2014;200(3):449-51.
Kiterie Faller; Jacques Penderis; Catherine Stalin; Julien Guevar; Carmen Yeamans; Rodrigo Gutierrez-Quintana
ヒトでは後側弯症のような脊柱形態の異常は、隣接した椎間板(IVD)組織や構造に退行性変化を誘発する。
脊椎形成異常に隣接する犬のIVDsは早期に変性するという仮説を立てた。回顧的盲検においてPfirrmann分類を用いたMRI検査により14頭の犬において胸部IVD変性を評価した。
脊椎形成異常に隣接するIVDsは、隣接しないIVDsよりも変性が高グレードだった(P<0.0001)。年齢依存性で、1歳から4歳の犬は隣接しないIVDsよりも高いグレードの変性を示した(P<0.0001)。逆に、年齢を重ねた犬においては隣接しないものも含む全てのIVDsが変性性症状を示し、おそらく正常な加齢によるものと思われた。
それらの結果は、先天的脊椎形成異常が隣接するIVDsに早期の変性を起こさせると示唆する。(Sato訳)
■犬の胸腰部脊柱管への2つの最小侵襲性アプローチの比較
Comparison of two minimally invasive approaches to the thoracolumbar spinal canal in dogs.
Vet Surg. February 2014;43(2):209-21.
Abigail A Lockwood; Dominique J Griffon; Wanda Gordon-Evans; Jodi A Matheson; Nicolas Barthelemy; David J Schaeffer
目的:椎間板疾患の治療に対し、脊柱管への2つの最小侵襲性アプローチを紹介することと、従来のヘミラミネクトミーと有効性を比較する
研究デザイン:実験;無作為化、対照構成
動物:犬の死体(n=10;小型5頭、大型5頭)
方法:バリウム浸透性アガロースジェル(BA-gel)を各死体の胸腰部脊椎の3つの椎間板腔の脊柱管に注射した。その部位に3つのアプローチを無作為に振り分けた:従来の(標準)ヘミラミネクトミー(SH)、内視鏡による椎間孔拡大術(EF)、照光ポートを通した椎間孔拡大術(FP)。処置の前後でCTスキャンを実施した。時間、骨窓サイズ、切開の長さ、合併症、取り除いたBA-gelの比率に関して各方法を反復測定ANOVAで比較した。
結果:EFおよびFPで作られた切開創は同様で、SHのものよりも小さかった。FPやSHよりもEFは時間がかかった。作成された椎骨窓の大きさは大型犬のSHでより大きいものだったが、小型犬では各方法で差がなかった。脊柱管からの模擬椎間板物質の除去量は、犬の大きさに関係なく各方法で違いはなかった。
結論:2つの最小侵襲性アプローチ小型および大型犬で実施可能だった。ヘミラミネクトミーと比較して、それらの方法は模擬椎間板物質の除去が同じように可能で、軟部組織の病的状態を少なくすると思われる。(Sato訳)
■血縁の若いパグにおける頸部脊髄硬膜内くも膜のう腫
Cervical spinal intradural arachnoid cysts in related, young pugs.
J Small Anim Pract. April 2014;55(4):229-34.
C Rohdin; H T Nyman; P Wohlsein; K Hultin Jaderlund
血縁の7頭の若いパグがMRI(n=6)と脊髄造影(n=1)により頸部脊髄硬膜内くも膜のう腫と診断された。
全ての犬は前肢の皮膚擦過とC1-T2脊髄障害を示す痛みのない神経学的欠損を呈した。MRIで検査した6頭は脊髄くも膜のう胞だけでなく、同時に起こり、おそらく続発の脊髄空洞症が確認された。血統分析で、このパグの家族における脊髄くも膜のう胞の遺伝素因が示唆された。前肢においてより明白な全身性のプロプリオセプティブ欠損は限局性の頸部脊髄病変を示唆し、1頭の若いパグで見られた前肢背側の皮膚擦過を伴うときは、頸部脊髄くも膜のう胞の可能性に注意すべきである。(Sato訳)
■犬の骨の関係する頸椎脊髄症:27症例(2000-2012)
Osseous-associated cervical spondylomyelopathy in dogs: 27 cases (2000-2012).
J Am Vet Med Assoc. June 1, 2014;244(11):1309-18.
Joy A Delamaide Gasper; Helena Rylander; Jennifer L Stenglein; Kenneth R Waller, 3rd
目的:骨の関係する頸椎脊髄症(OACSM)を内科あるいは外科的に治療した犬において、シグナルメント、神経学的検査及び画像所見、結果を評価する
計画:回顧的ケースシリーズ
動物:27頭の飼育されている犬
方法:2000年から2012年にOACSMと診断された犬のカルテを調査した。集めたデータはシグナルメント、神経学的検査所見(グレード0[正常]から5[四肢麻痺])、画像所見、治療、結果だった。MRIとCT画像から、脊髄圧迫の主観的グレードを付けるため測定値を入手した。
結果:27頭の犬で年齢中央値は2歳だった。グレートデンが15頭、マスチフが3頭、ニューファンドランドが3頭、その他大型種の犬が6頭だった。内科的に治療した犬(n=7)で、最初の神経学的グレードの中央値は2だった。外科的に治療した犬(20)で、最初の神経学的グレードの中央値は3だった。MRIで22頭の犬の背外側脊髄圧迫、5頭の外側脊髄圧迫を認めた。より重度の圧迫がある犬は、内科よりも外科的治療が行われる可能性がわずかに高かった。内科的に治療した犬の生存期間中央値は43か月で、外科的に治療した犬は60ヶ月だった。外科的に治療した犬19頭中15頭は、手術後4-8週間で神経学的グレードが改善しており、良から優良な長期結果を示した。
結論と臨床的関連:OACSMの犬の外科的治療は、神経学的改善をもたらし、良好な長期結果が得られる。内科的治療を受けた犬は、神経学的悪化は継続するが、数年間良好な犬も見られる。(Sato訳)
■1頭の犬に見られた草のノギの移入による二次的な環軸関節硬膜外膿瘍
Atlantoaxial epidural abscess secondary to grass awn migration in a dog.
Vet Comp Orthop Traumatol. 2014;27(2):155-8.
E Linon; U Geissbuhler; P KARLI; F Forterre
2歳メスのルツェルンハウンドが1週間にわたる進行性の頚部痛、食欲低下、無関心、直腸温上昇を呈した。
MRI所見は、第1、2頸椎のレベルで硬膜外腔の異物性膿瘍だった。
左側背外側環軸関節アプローチで、草のノギを含む硬膜外膿瘍を認めた。臨床症状は手術から3日で解消し、完全に回復した。
草のノギが犬の環軸関節領域に移入する可能性があり、MRI所見は脊柱管内への尾-頭側移入の疑いを導くものだと、この症例報告は示す。(Sato訳)
■トイ種の犬における環軸亜脱臼の非吸収性縫合糸による背側安定化
Dorsal stabilization of atlantoaxial subluxation using non-absorbable sutures in toy breed dogs.
Vet Comp Orthop Traumatol. 2014;27(1):62-7.
D Sanchez-Masian; A Lujan-Feliu-Pascual; C Font; J Mascort
目的:トイ種の犬の環軸亜脱臼の安定化で、3-メトリックナイロン縫合糸を使用した新しい背側方法を紹介する
研究:後ろ向き研究
動物:15頭の体重2kg以下の環軸亜脱臼のトイ種犬
材料と方法:各犬の環軸関節を、環椎-後頭の背側筋と環軸関節筋を非吸収性3-メトリックナイロン縫合糸の2本鎖を設置することで、背側アプローチを通して外科的に安定化した。術前、術後神経状態、診断画像検査、合併症を再検討した。6か月目に臨床的追跡検査を実施した。長期評価については、電話による聞き取りを実施した。
結果:術中合併症は見られなかった。12頭の犬は機能的に改善した。1頭は改善せず、4頭は修正の手術を必要とした。それらの4頭のうち2頭は、縫合糸の破損が証明され、残り2頭はそれが疑われた。2頭は2回目の同じ縫合糸を用いた背側アプローチを実施し、2頭は腹側アプローチを実施した(経関節固定とポリメチルメタクリレートでの複数のインプラント包埋)。
結論:3-メトリックナイロンを使用した背側安定化は、腹側スクリューやピンの使用が困難な体重1.5kg以下のトイ犬種の犬の環軸安定化に対し、安全で効果的で簡単な代替方法として十分かもしれない。(Sato訳)
■背側椎弓切除および腰仙部安定化による猫の変性性腰仙部疾患の管理
Management of degenerative lumbosacral disease in cats by dorsal laminectomy and lumbosacral stabilization.
Vet Comp Orthop Traumatol. 2012;26(1):.
A Danielski; J Bertran; N Fitzpatrick
この症例シリーズで著者らは変性性腰仙部狭窄の結果として臨床的馬尾症候群を呈した5頭の猫の診断と外科的治療を紹介する。エックス線およびMRI検査所見で椎間板関連腰仙部疾患の可能性を確認した。馬尾減圧は背側椎弓切除で行い、続いて背側輪切除および核摘出を実施した。背側の安定化は、ミニチュアポジティブピンをL7の椎体、ピンの逆の端はS1の翼に刺し、ゲンタマイシンを染み込ませたポリメタクリル酸メチルの塊を埋め込んで行った。以前に確認した猫の特別オーナーへのアンケートを使用し、術後2年の再評価で、全頭完全な正常活動への回復と疼痛症状の解消を伴う満足な結果を示した。(Sato訳)
■犬の腰仙関節に対する腹側からの外科的アプローチ
Ventral surgical approach to the lumbosacral joint in the dog.
Vet Surg. January 2013;42(1):85-90.
Jerry O'Riordan; Pierre H M Moissonnier; Barbara M Kirby
目的:腰仙(LS)関節、L7-S1へのアクセス、LS椎間板へのアクセスに対する腹側からの外科的アプローチを述べる
研究構成:屍体記述的研究
動物:犬の屍体(n=6)
方法:LS関節に対する腹側アプローチを行い、局所の解剖学的構造を記録した。到達可能な腹側L7およびS1椎体およびLS椎間板にインディアインクで印をつけた。全体および印をつけた表面積を計算した。双皮質および単皮質インプラント設置の可能性をL7およびS1の横断スライスで判定した。脊柱管直径に関連する露出した腹側椎間板輪を測定した。
結果:L7およびS1部は全ての犬でアクセス可能だったが、形や寸法はさまざまだった。インプラント設置に対する腹側アクセスは、全ての犬のL7とS1で利用可能だった。全ての犬の正中仙骨動静脈は腹側LS椎間板輪に接触していた。アクセス可能な腹側輪は全ての犬で脊柱管よりも大きかった。
結論:LS関節に対する腹側アプローチは可能で、LS椎間板切除、L7およびS1椎体へのインプラント設置がこの方法で可能である。正中仙骨動静脈の傷害、あるいは犠牲はこのアプローチで起こるかもしれない。(Sato訳)
■頸部椎間板疾患の犬546頭においてベントラルスロット減圧術に関係する急性有害事象
Acute adverse events associated with ventral slot decompression in 546 dogs with cervical intervertebral disc disease.
Vet Surg. October 2013;42(7):795-806.
John H Rossmeisl, Jr; Courtney White; Theresa E Pancotto; Alicia Bays; P Natalia Henao-Guerrero
目的:頸部椎間板疾患(IVDD)に対するベントラルスロット減圧術(VSD)を行った犬の、急性周術期有害事象(AEs)の頻度、タイプ、危険因子を報告する
デザイン:回顧的症例-コントロール研究
動物:ベントラルスロット減圧術で治療した頸部IVDDの犬(n=546);有害事象を経験した54頭とコントロールの492頭
方法:病歴、臨床、診断、手術、結果データを集めた。脊椎有害事象重症度(SAVES)システムを用いて有害事象をグレード分けした。有害事象の発生と仮定した危険因子の関係を二変数および多変数で分析した。
結果:54頭(9.9%)の犬で有害事象は観察された。小さな有害事象(SAVESグレード1-2)は3.5%(19頭)で発生し、大きなもの(SAVESグレード3-5)は6.4%(35頭)で発生した。神経学的状況の悪化(n=13)、持続的疼痛(12)、術中出血(7)が一般的な大きい有害事象だった。多変量分析で、NSAID投与、術者の経験、C7-T1の椎間板部位、術中低血圧が有害事象と有意に関係した。54頭中48頭(88.9%)で有害事象の改善を認めたが、神経外科的再手術が、大きな有害事象を経験した犬の48.5%(17/35)で必要だった。大きな有害事象の犬は、小さな有害事象の犬やコントロールと比較して入院期間が有意に長く、結果も悪かった。致死的有害事象の発生はなかったが、0.7%(4/546)の犬は術後安楽死された。
結論:ベントラルスロット減圧術を行った犬の9.9%に有害事象が発生し、周術期低血圧、C7-T1椎間板突出、術者の経験、NSAIDの使用に有意に関係した。大きな術後有害事象の認知は、大きな有害事象を経験した犬の50%が再手術を必要とすることから、即座の診断的画像検査の1つの指標である。(Sato訳)
■犬の椎間板関連頸部脊髄症の原因と診断に関する現在の洞察と議論
Current insights and controversies in the pathogenesis and diagnosis of disc-associated cervical spondylomyelopathy in dogs.
Vet Rec. November 2012;171(21):531-7.
S De Decker; R C da Costa; H A Volk; L M L Van Ham
椎間板関連頸部脊髄症(DA-CSM)は犬の頸部脊髄症の最も一般的な原因である。この状況で、進行性尾側頸部脊髄圧迫は、一般的に1つ以上の椎間板の突出が原因である。この椎間板関連の圧迫は、時に軽度脊椎異常と黄色靭帯肥厚から起こる背側圧迫の組み合わせが見られる。第6(C6)および第7(C7)頸椎の椎間板腔が最も一般的に影響する。いくつかの大型犬種犬が罹患するが、成犬から老犬のドーベルマンが代表的である。
臨床症状は頸部知覚過敏から四肢麻痺までさまざまである。臨床症状の慢性的進行、あるいは急性発症を呈する可能性がある。この多因子神経症候群の多くの面は、完全に理解されておらず、議論や論争のテーマである。
いくつかの因子が提唱されているが、基礎にある病理や病因は依然不明である。最近新しい見解がこの難解な神経症候群の病因、診断、治療で得られている。
このレビューはDA-CSMに関する現在の論争、病因と診断に関する新事実の概要を述べる。(Sato訳)
■腰部脊髄にイオヘキソールを髄内注射し永久的単不全麻痺を起こした犬の一例
Permanent monoparesis in a dog after intramedullary injection of iohexol into the lumbar spinal cord.
N Z Vet J. January 2013;61(1):53-9.
B J Leitch; A C Hartman; I G Mayhew; B R Jones; A J Worth
症例病歴:8歳の避妊済みメスのドーベルマンピンシャー急性の後肢麻痺の評価で来院した。
臨床所見:腰部脊髄造影検査中に、少量のイオヘキソール造影剤を脊髄実質に不注意で注射した。L1-2の椎間板突出に対する外科的半側椎弓切除術後、片方の後肢の使用は回復したが、左後枝の伸筋の虚弱は継続した。左の大腿神経機能は14か月後も回復しなかった。
診断:発生後14か月の筋電図所見は、L3-4の髄内造影剤注射に一致する持続的大腿神経障害を示した。
臨床的関連:脊髄実質内のイオヘキソールの不注意による沈着は珍しいかもしれないが、もしそれが起こった場合、その結果が長期に持続する可能がある。(Sato訳)
■オメガ-3および魚油サプリメントは脊髄減圧術中の出血増加の原因とはならない
Omega-3 and Fish Oil Supplements Do Not Cause Increased Bleeding During Spinal Decompression Surgery.
J Spinal Disord Tech. May 2012;25(3):129-32.
Christopher K Kepler; Russel C Huang; Dennis Meredith; Joon-Hyung Kim; Amit K Sharma
研究構成:回顧的症例-コントロール試験
目的:この研究の目的は、魚油サプリメントの術前使用が腰部減圧術中の失血および術後出血の合併症を増加させるかどうかを評価することだった。
バックグラウンドデータのまとめ:オメガ-3脂肪酸(n-3FA)は心保護および抗血小板効果が確立されているため、一般サプリメントとして広く使われている。血小板機能の変化に関係する出血を考慮して術前のそれらサプリメントの使用が禁止されているが、それらの推奨を先導する脊髄外科文献で手に入る臨床データはない。
方法:1人の外科医により腰部以降の減圧術を行った95人の連続した患者を研究した。手術前14日以内にn-3FAを摂取した患者は、人口統計、他の抗凝固剤の術前使用、手術時間、算出した術中失血量、硬膜外出血や術創感染に対する再手術などの術後合併症に関してコントロール群と比較した。検出力分析は、予備データを基にn-3FAを摂取していた11人が統計学的有意に達するのに必要だと示唆した。
結果:16人がn-3FAサプリメントを使用しており、術前平均2.3日に止めていた。人口統計パラメーター、他の抗凝固剤の使用、手術時間に群間の有意差はなかった。算出失血量はコントロール群でより多かったが、その差は有意ではなかった(154vs.138ml、P=0.53)。コントロール群に出血に関する2つの合併症が見られたのに対し、n-3FA群では見られなかった。
結論:術前平均2.3日までn-3FAサプリメントの術前使用に関係する術中失血あるいは出後出血の合併症の増加は認められなかった。この所見が他のタイプの脊髄手術に一般化される前に追加研究が必要であるが、術中および術後出血のリスク増加に術前n-3FAは関係しないことを示唆する他の外科専門における調査からの所見を我々の研究は実証する。(Sato訳)
■皮膚体幹反射による犬の胸腰部脊髄傷害の部位特定とグレード判定
The cutaneous trunci reflex for localising and grading thoracolumbar spinal cord injuries in dogs.
J Small Anim Pract. August 2012;53(8):470-5.
R Gutierrez-Quintana; J Edgar; A Wessmann; G B Cherubini; J Penderis
目的:胸腰部脊髄傷害の部位を特定するための皮膚体幹反射の精度を評価することと、反射の限局的喪失(境界)と胸腰部脊髄傷害の臨床的重症度との相関性を評価する
方法:MRIで検査した胸腰部脊髄傷害を持つ犬41頭の前向き研究。線形回帰分析で、皮膚体幹反射境界の椎体レベルと最大および頭方への病変範囲の相関を判定した。皮膚体幹反射境界と脊髄傷害の重症度との関連はマン-ホイットニーU検定で検証した。
結果:皮膚体幹反射境界は33頭(80%)で明らかだった。境界レベルは、全ての犬において最大脊髄病変から0-4椎体尾側だった。16頭(48.5%)の境界は病変の尾側2あるいは3椎体だった。境界の存在は重症度アップと有意に相関した(P=0.0001)。反射の喪失は歩行運動喪失よりも重症度の低いグレードで発生し、歩行不全麻痺の犬においてそれは有意に重症度アップと関係した(P=0.0084)。
臨床医意義:皮膚体幹反射は4椎体内の胸腰部脊髄傷害の部位特定が可能で、四肢不全麻痺の犬の軽度から重度カテゴリーの臨床的分類に役立つ。(Sato訳)
■ペンブロークウェルシュコーギーとボクサーにおいてスーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)遺伝子のミスセンス突然変異に関係する変性性脊髄症は末梢神経障害に進行する
Degenerative myelopathy associated with a missense mutation in the superoxide dismutase 1 (SOD1) gene progresses to peripheral neuropathy in Pembroke Welsh Corgis and Boxers.
J Neurol Sci. 2012 Jul 15;318(1-2):55-64. doi: 10.1016/j.jns.2012.04.003. Epub 2012 Apr 27.
Shelton GD, Johnson GC, O'Brien DP, Katz ML, Pesayco JP, Chang BJ, Mizisin AP, Coates JR.
犬の変性性脊髄症(DM)は成犬発症型で、ヒトの筋萎縮性側索硬化症(ALS)のアッパー運動ニューロン発現型に多くの類似点を持つ致死的神経変性疾患で、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD1)遺伝子の突然変異から起こる。
DMはペンブロークウェルシュコーギーやボクサーなど多くの犬種で起こる。初期のアッパー運動ニューロン変性は攣縮性不全対麻痺を起こし、罹患犬は後肢において固有受容性運動失調を発症する。オーナーは彼らの犬が対麻痺になったとき一般的に安楽死を選択する。安楽死を伸ばした時、上行性の四肢麻痺、弛緩性麻痺、広範囲筋萎縮を含むローワー運動ニューロン症状が現れる。
この研究で、DMに罹患したペンブロークウェルシュコーギーの様々な疾患ステージと、SOD1突然変異のホモ接合で脊髄組織変化がDMに一致するボクサーの筋肉および末梢神経標本を評価した。年齢と犬種を合わせたコントロール犬と比較した。
ここで著者らは慢性のDMのペンブロークウェルシュコーギーとボクサーは、除神経からの筋萎縮、軸索障害に一致する末梢神経病態、程度はより少ない脱髄を発症するエビデンスを提供する。犬のDMはヒトのALSの潜在的自然発生動物疾患モデルとして提案されている。
この研究の結果は、犬のDMはヒトの疾患に対応する1つの型を要約し、治療方針を開発するための貴重な動物モデルとして取り扱うべきだとさらに支持するものである。(Sato訳)
■ペンブロークウェルッシュコーギーの家族性変性性脊髄症の臨床特性
Clinical characterization of a familial degenerative myelopathy in Pembroke Welsh Corgi dogs
J Vet Intern Med. 2007 Nov-Dec;21(6):1323-31.
Joan R Coates; Philip A March; Michael Oglesbee; Craig G Ruaux; Natasha J Olby; Roy D Berghaus; Dennis P O'Brien; John H Keating; Gary S Johnson; David A Williams
背景:変性性脊髄症(DM)の成犬は進行性の後肢の失調と不全麻痺、やがて対麻痺、安楽死となる。ジャーマンシェパードで最も一般的に報告されるが、他の犬種でも高い疾患罹患率が見られる。
目的:目的は、ペンブロークウェルッシュコーギー(PWC)の家族性変性性脊髄症(FDM)の臨床および病理組織学的特徴だった。
動物:21頭のPWCsを初回診断から安楽死まで前向きに研究した。
方法:神経学的検査、血液検査、脳脊髄液(CSF)検査、電気診断検査、脊髄画像検査を実施した。CSFの8-イソ-プロスタグランジンF2α(8-イソプロスタン)濃度を測定した。ルーチンな組織化学を神経病理に使用した。110頭の犬からデオキシリボ核酸と系統図を収集した。
結果:安楽死になる前までの臨床症状の持続期間中央値は19か月だった。安楽死時の年齢中央値は13歳だった。全ての犬は歩行不可能な対麻痺あるいは不全対麻痺で、15頭は安楽死時に前肢も虚弱だった。電気診断検査および脊髄画像検査は非圧迫性脊髄症に一致した。正常な犬とFDM罹患犬の8-イソプロスタン濃度に有意差はなかった。脊髄の軸索およびミエリン変性は側索の背側部で最も重度だった。系統分析は家族性疾患を支持した。
結論と臨床的重要性:PWCの家族性変性性脊髄症の臨床的進行は他の犬種で見られるものと同じだが、長期持続を特徴とした。脊髄の病理は、非炎症性軸索変性が目立つ。8-イソプロスタン産生に関係する酸化ストレス傷害は罹患したPWCの病因に関与しない。家族性疾患が疑われる。(Sato訳)
■18頭のペンブロークウェルッシュコーギーの変性性脊髄症
Degenerative myelopathy in 18 Pembroke Welsh Corgi dogs.
Vet Pathol. March 2009;46(2):241-50.
P A March; J R Coates; R J Abyad; D A Williams; D P O'Brien; N J Olby; J H Keating; M Oglesbee
変性性脊髄症の診断に匹敵する臨床症状と生前診断的検査が揃っている18頭のペンブロークウェルシュコーギー(平均年齢12.7歳)の剖検を実施した。全頭の特定脊髄および脳部分の組織切片を系統的に評価した。軸索の変性と喪失は程度に従いグレード分けし、その後異なる脊髄分節および索で比較した。
白質病変は背側、側方、腹側索のはっきりした領域に認められた。側索の背外側部は、全ての脊髄分節の中で最も重度な領域だった。脊髄分節T12は最も重度な軸索喪失があった。尾側髄質の灰白質において軽度のアストログリア増殖部分を除いて脊髄神経根、末梢神経、脳区画は正常限界内だった。より重度病変のある犬は、T12、T12の前後の脊髄分節での軸索変性および喪失が顕著に進行していた。
個々の犬の軸索喪失の重症度は、臨床症状の持続期間と正の相関があった。軸索変性の分布は、ジャーマンシェパードの変性性脊髄症で報告されているものと似ていたが、明瞭に区切られた索部分内の病変の横と縦への拡がりに関して異なっていた。それらの病変の違いは疾患の長さを反映するのかもしれないが、ペンブロークウェルシュコーギーに独特な変性性脊髄症の型も示すことができる。(Sato訳)
■片側椎弓切除後の犬において低出力レーザー療法により歩行までの時間を短縮できる:予備研究
Low-level laser therapy reduces time to ambulation in dogs after hemilaminectomy: a preliminary study.
J Small Anim Pract. August 2012;53(8):465-9.
W E Draper; T A Schubert; R M Clemmons; S A Miles
目的:椎間板ヘルニアに対し、低出力レーザー療法と外科手術は、外科手術だけの時よりも早く歩行できるようになるのかどうか前向き研究で判定する。
方法:急性椎間板ヘルニアによる急性の不全対麻痺/対麻痺の犬36頭を評価し、modified Frankelスコアを付けた。0-3のスコアの犬を研究に含めた。犬を来院の順番で交互にコントロール群(1)、レーザー処置群(2)に振り分けた。2群の犬は術後に低出力レーザー療法を5日間、あるいはmodified Frankelスコアが4に達するまで行った。5x200-mW 810nm cluster arrayで皮膚に25 W/cm(2)を照射した。modified Frankelスコアリングシステムを使用して、研究者が毎日全ての犬にスコアを付けた。
結果:スコア4に達するまでの時間は、コントロール群が中央値14日であるのに対し、低出力レーザー群の中央値3.5日は有意に短かった(P=0.0016)。
臨床的意義:椎間板ヘルニアによるT3-L3の脊髄障害を持つ犬において、外科手術に低出力レーザー療法を加えると、歩行までの期間が短縮する。(Sato訳)
■臨床的に罹患したキャバリアキングチャールズスパニエルにおいて脊髄全体に沿った脊髄空洞症の分布
Distribution of syringomyelia along the entire spinal cord in clinically affected Cavalier King Charles Spaniels.
Vet J. December 2011;190(3):359-63.
Shenja Loderstedt; Livia Benigni; Kate Chandler; Jacqueline M Cardwell; Clare Rusbridge; Christopher R Lamb; Holger A Volk
キアリ様奇形(CM)と脊髄空洞症(SM)はキャバリアキングチャールズスパニエル(CKCS)の重要な複合疾患であるが、脊髄に沿ったSMの解剖学的分布に関するデータは獣医療で欠けている。
この研究の目的は、CM/SMに臨床的に罹患したキャバリアキングチャールズスパニエルにおいて、SMの解剖学的分布を明確にすることだった。
49頭の脳と脊髄全体のMRI検査を実施し、異なる形態学的パラメーターを比較した。
空
洞形成はC1-C4領域と脊髄の他の部分に存在した。最大の背腹の空洞は、脊髄のどの領域でも起こる可能性があり、総空洞サイズは年齢に相関した。頭側頸部空洞があるキャバリアキングチャールズスパニエルの76%は、より尾側の脊髄領域の空洞も存在する。多くの犬で頸部領域に制限したMRIは、SMの範囲と疾患過程の重症度を過小評価するかもしれない。(Sato訳)
■麻酔した犬において腰仙骨腔の頭尾長に対する後肢位置の影響
Effect of hind limb position on the craniocaudal length of the lumbosacral space in anesthetized dogs.
Vet Anaesth Analg. January 2012;39(1):99-105.
Stefano Di Concetto; Ron E Mandsager; Thomas W Riebold; Susanne M Stieger-Vanegas; Maria Killos
目的:麻酔下の胸臥位の犬において、第7腰椎と仙骨の間の頭側-尾側の背面層間距離(LS距離)が後肢の頭側への伸展で増加するかどうかを調査する
研究構成:前向き臨床研究
動物:さまざまな犬種、体重4-34kg、年齢1-13歳の18頭(8頭去勢済み、3頭未去勢、6頭避妊済み、1頭未避妊)
方法:犬を大きさにより分けた:小型(10kg以下)、中型(15-20kg)、大型(25kg以上)。犬に麻酔をかけ、胸臥位にした。後肢の膝および肢を後方に伸ばして静止、その後頭側に伸ばして静止したときの腰仙部のCT検査を実施した。その2つの後肢の位置で再構築された正中-矢状CT画像から、LS距離、第6-第7腰椎の頭尾側背面層間距離(L6-L7距離)、L7椎体長、腰仙の角度(LS角)を測定した。全犬集団および大きさによる2つの後肢位置からの測定値はスチューデントT検定で比較した。CT画像の診断的解釈を実施した。
結果:後肢の位置で影響を受けなかったものとしてL7長を参照値とした。全ての3つの大きさ群において、LS距離、L6-L7距離、LS角は後肢を頭側に伸ばした時により大きくなった。10頭の犬のCT画像は、回腸-および腰仙部の臨床的に検出できなかった変形性関節症を示した。
結論と臨床関連:臨床的に回腸-および腰仙部の臨床的に気づかれていない変形性関節症がある犬でさえ、後肢の頭側伸展によりLSおよびL6-L7距離、LS角は有意に増加する。それにより麻酔下の胸臥位の犬で腰仙部硬膜外注射がより簡単になるかもしれない。(Sato訳)
■2頭のペンブローク・ウェルシュ・コーギーの変性性脊髄症における免疫組織化学的観察
Immunohistochemical observation of canine degenerative myelopathy in two Pembroke Welsh Corgi dogs.
J Vet Med Sci. 2011 Oct;73(10):1275-9. Epub 2011 May 30.
Ogawa M, Uchida K, Park ES, Kamishina H, Sasaki J, Chang HS, Yamato O, Nakayama H.
酸化ストレスと/あるいは変性したタンパクが犬の変性性脊髄症(DM)の病因にどう影響しているかを評価するために免疫組織学検査を実施した。犬のスーパーオキサイド・ジムスターゼ1(SOD1)遺伝子におけるホモ変異体(c.118G>A)を持った2頭のペンブローク・ウェルシュ・コーギー (PWC)を検査した。犬の病理学的特徴は、以前に報告されているペンブローク・ウェルシュ・コーギーの変性性脊髄症の特徴と一致していた。脊髄病変において、封入体のような凝集物は見られなかったが、び慢性のSOD1発現がニューロンで観察された。それは以前の研究で見られた所見とは一致しなかった。
反応的なアストロサイトにおける独特の誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)の染色パターンと脊髄病変におけるユビキチン免疫反応の有意な増加も観察された。
これらの所見は、酸化ストレスの関与と犬のDMの病因におけるユビキチン化タンパクの蓄積を示します。しかしSOD1の役割は不明のままである。(Dr.Kawano訳)
■急性脊髄傷害の犬における自家骨髄間質細胞移植の安全性
Safety of autologous bone marrow stromal cell transplantation in dogs with acute spinal cord injury.
Vet Surg. 2012 May;41(4):437-42.
Nishida H, Nakayama M, Tanaka H, Kitamura M, Hatoya S, Sugiura K, Harada Y, Suzuki Y, Ide C, Inaba T.
目的:急性骨髄傷害(SCI)の犬の自家骨髄間質細胞(BMSC)の移植の可能性と安全性を評価する
研究構成: 非盲検単群試験
動物:椎骨骨折および脱臼で起きたT6-L5の重度SCIをもつ犬(n=7)
方法:椎骨骨折および脱臼により起きた重度SCIの犬に対し、減圧および安定化手術を実施した。各犬の大腿骨から自家BMSCsを入手し、培養、その後急性期の病変に注入した。SCI後1年以上、副反応と運動および感覚機能を観察した。
結果:SCI後の経過観察期間は29-62ヶ月だった。合併症(すなわち感染、神経障害痛、神経機能の悪化)は観察されなかった。2頭の犬はサポートなしに歩行したが、7頭の感覚機能にいかなる変化も認めなかった。
結論:自家BMSC移植は急性SCIの犬に実行可能で安全である。この治療の効果を判定する追加研究が必要である。(Sato訳)
■純血種犬の広範性特発性骨増殖症(DISH)と変形性脊椎症:回顧的エックス線撮影研究
Diffuse idiopathic skeletal hyperostosis (DISH) and spondylosis deformans in purebred dogs: a retrospective radiographic study.
Vet J. November 2011;190(2):e84-90.
Hendrik-Jan C Kranenburg; George Voorhout; Guy C M Grinwis; Herman A W Hazewinkel; Bjorn P Meij
2041頭の純血種犬における広範性特発性骨増殖症(DISH)と変形性脊椎症(脊椎症)の罹患率の調査と年齢、性別、犬種の関係を探るために回顧的エックス線撮影研究を実施した。DISHの4症例は犬DISHの出現に対する情報を提供した。
DISと脊椎症の罹患率は、それぞれ3.8%(78/2041)および18.0%(367/2041)だった。DISHの犬のうち、67.9%(53/78)は脊椎症も見られた。それに対し脊椎症の犬の14.0%(53/367)にしかDISHは見られなかった。
DISHおよび/または脊椎症の犬は、背骨の骨化過剰がない犬と比べて有意に高齢だった。ボクサーにおけるDISHと脊椎症の罹患率は、それぞれ40.6%(28/69)および55.1%(38/69)だった。19種類のより小型犬種はDISHに罹患しなかったが、脊椎症の症状は示した:スタンダードプードルのみ両疾患の影響はないと思われた。DISH4症例の調査にエックス線検査、CT、MRIおよび/または病理組織検査を使用した。
犬において脊椎症とDISHは併発する可能性があると結論付けた。おそらくDISHは過去に重度脊椎症と誤診、間違われているのだろう。エックス線検査、CT、MRIを用いて診断できる。組織検査で、新しい骨形成の部位(腹側縦靭帯)および拡がりにより脊椎症と区別できる。(Sato訳)
■犬の胸腰部椎間板ヘルニアの再発率に対する単一部位および複数部位椎間板開窓の効果の比較
Comparison of the effect of single-site and multiple-site disk fenestration on the rate of recurrence of thoracolumbar intervertebral disk herniation in dogs.
J Am Vet Med Assoc. June 2011;238(12):1593-600.
Brigitte A Brisson; David L Holmberg; Joane Parent; William C Sears; Sara E Wick
目的:胸腰部椎間板ヘルニア(IVDH)の治療を行う小型犬において、単一部位椎間板開窓と比較して複数部位椎間板開窓は胸腰部IVDHの再発率を低下させるかどうかの前向き評価を行う
構成:無作為管理下臨床試験
動物:207頭の飼育犬
方法:2001年から2004年の間に胸腰部IVDHのために脊髄の減圧術を行う犬を、外科的減圧のレベルで単一部位椎間板開窓を行う犬(n=103)と、T11からL4の全ての椎間板に開窓術を行う犬(104)に無作為に振り分けた。経過観察は完全な患犬の再評価、電話調査、再発を示す症状が起こった場合の追加手術の有無だった。
結果:189頭の犬の長期経過観察が得られた:単一開窓群95頭と複数開窓群94頭。24頭の犬に28の胸腰部IVDHの再発事象が確認された。初回再発率は12.7%(24/189)だった。単一および複数開窓群の初回再発率は、それぞれ17.89%(17/95)と7.45%(7/94)だった。単一部位椎間板開窓を行った犬は、複数部位に行った犬に比べ有意に胸腰部IVDHが再発しやすかった。最初の手術時の椎間板石灰化は再発と関連し、再発の87.5%(21/24)は隣接椎間板腔で、あるいは最初の病変から1つ離れた椎間板で起こっていた。椎間板開窓群に関係なく、91.7%(22/24)の再発は、開窓していない椎間板腔で起こった。
結論と臨床関連:単一部位と比べ、複数部位椎間板開窓術は小型犬のIVDHの再発率を低下させた。(Sato訳)
■犬ハンセンI型およびII型椎間板疾患における頸部ヘミラミネクトミーの有効性:回顧的研究
Effectiveness of Cervical Hemilaminectomy in Canine Hansen Type I and Type II Disc Disease: A Retrospective Study.
J Am Anim Hosp Assoc. 2011 Sep-Oct;47(5):342-50.
Oliver Schmied; Lorenzo Golini; Frank Steffen
頸部椎間板疾患(IVDD)でヘミラミネクトミーを行った小型犬種15頭(<15kg)および大型犬種26頭(>15kg)、合計41頭の医療記録を再調査した。
犬は脊髄造影、CT/造影、MRIを用いて診断し、ハンセンI型椎間板突出かII型か、頸部脊柱管内の腹側、腹外側、外側に位置するかで分類した。
一般的な臨床症状は、歩行可能な四肢不全麻痺および/あるいは跛行(44%)だった。頸部椎間板疾患の最もよく罹患した部位は第6、7頚椎間(C6-C7;ハンセンII型椎間板の78%)とC2-C3(ハンセンI型椎間板の86%)だった。
治療は88%の犬で有効だった。5頭の大型犬(12%)は改善しなかった。ハンセンI型椎間板突出の犬で、症例の96%の臨床症状は改善した。ハンセンII型椎間板突出の犬で、優良および良結果の犬はそれぞれ症例の47%と32%だった。
小型犬およびハンセンI型椎間板疾患の犬の結果は、大型犬およびハンセンII型椎間板疾患の犬よりも有意に良かった。(Sato訳)
■胸腰部椎間板突出の軟骨形成異常犬におけるCUSA Excel超音波吸引システムを用いた微小開窓術
Microfenestration Using the CUSA Excel Ultrasonic Aspiration System in Chondrodystrophic Dogs with Thoracolumbar Disk Extrusion: A Descriptive Cadaveric and Clinical Study.
Vet Surg. January 2011;40(1):34-9.
Franck Forterre; Mark Dickomeit; David Senn; Daniela Gorgas; David Spreng
目的:犬における椎間板開窓術を補助する外科的超音波吸引器を述べる
研究構成:説明的死体および前向き臨床研究
動物:新鮮なビーグルの死体(n=5)および胸腰部椎間板突出の軟骨形成異常犬10頭
方法:死体研究:5頭のビーグルの死体のT12-L2の椎間板にCUSA Excelで開窓し、開窓の完全性および環状切除のサイズの形態学的検査により開窓の有効性を評価した。
臨床研究:胸腰部椎間板疾患に対し片側椎弓切除により治療した10頭の軟骨形成異常犬において侵された椎間板を開窓した。開窓の有効性を評価した。
結果:CUSAアシストの開窓にかかる平均時間は、死体および患者の各椎間板に対して8分(範囲5-10分)だった。死帯の脊椎において髄核は11/15の椎間板で完全に除去された。4つの椎間板において髄核の遺残組織は反対側に観察された。9/15の椎間板における核物質は正常で、6つの椎間板は病理組織的検査で軟骨様変性の所見を示した。環状切除のサイズの中央値は3mmだった。臨床的に、早期再発の症状は観察されず、全ての犬は無事に回復した。
結論:CUSAアシストの開窓は、限られた環状切除により髄核のほとんどが除去するための開窓術の安全で有効な方法である。(Sato訳)
■犬の急性脊髄障害の診断で異なるCT画像診断法と脊髄造影の評価
Evaluation of different computed tomography techniques and myelography for the diagnosis of acute canine myelopathy.
Vet Radiol Ultrasound. 2010 May-Jun;51(3):254-8.
Sophie E Dennison, Randi Drees, Helena Rylander, Brian S Yandell, Milan Milovancev, Roger Pettigrew, Tobias Schwarz
頸部(C1-C5あるいはC6-T2)または胸腰部(T3-L3)急性脊髄障害の犬46頭で、前向きな通常のCT、血管造影CT、脊髄造影、CT脊髄造影を行った。所見は手術あるいは検死で確認した。病変の78%は硬膜外、11%は脊髄内異常を伴う硬膜外、7%は脊髄内、2%は硬膜内-髄外、2%は脊髄圧迫がない神経根圧迫だった。
椎間板ヘルニアは、徴候あるいは神経位置にかかわらずよく見られた異常だった。ハンセンII型突出ではみられないが、ハンセンI型椎間板突出23例のうち21例が石灰化していた。軟骨形成異常犬の2頭は、硬膜外出血およびクモ膜下嚢胞が原因の急性脊髄障害だった。CT脊髄造影は観察者間の一致性が最も高く、圧迫確認の最も感受性の高い方法で、脊髄造影で正常といわれた犬の8%で病変を示し、脊髄腫脹により脊髄造影で完全に位置が特定できない病変の8%で位置および左右の偏りを見極めることが出来た。
評価した画像診断法で脊髄梗塞あるいは髄膜脊髄炎の確定診断ができたものはなかったが、脊髄造影およびCT脊髄造影はそれらのケースの外科的病変を除外した。通常のCTは軟骨形成異常犬種で石灰化したハンセンI型椎間板突出の診断および位置決定に適切であるが、硬膜外圧迫および脊髄腫脹により麻痺が存在し、病変が確認されないあるいは非軟骨形成異常の犬の場合、CT脊髄造影は正確な診断を下すのに必要となることも多かった。(Sato訳)
■犬の急性胸腰部椎間板疾患のCT特性
Computed tomographic characteristics of acute thoracolumbar intervertebral disc disease in dogs.
J Vet Sci. March 2010;11(1):73-9.
Changyun Lim , Oh Kyeong Kweon, Min Cheol Choi, Jihye Choi, Junghee Yoon
胸腰部の椎間板ヘルニアの仮診断がなされた40頭の犬を画像検査した。神経学的検査を実施し、全ての犬を検査により4つのグレードに振り分けた。脱出した椎間板物質の減衰の程度は、各画像においてHousefield units (HU)で測定した。脱出した椎間板物質の領域と、椎間板物質の高さの比を測定した。臨床グレードは脱出した椎間板物質と脊髄の領域比に相関したが、それらの高さ比に相関しなかった。手術時に硬膜外出血を伴う犬において、脱出した椎間板物質のHUsは硬膜外出血のなかった犬のそれよりも低かった。脊髄の非造影CTスキャンは、軟骨形成異常の犬種において急性椎間板疾患の診断に有効で、犬の状態を評価、硬膜外出血併発を確認することができる。(Sato訳)
■長期にわたる重度神経欠損の椎間板疾患を持つ犬の治療における減圧術、電気鍼療法、減圧術後の電気鍼療法の比較
Comparison of decompressive surgery, electroacupuncture, and decompressive surgery followed by electroacupuncture for the treatment of dogs with intervertebral disk disease with long-standing severe neurologic deficits.
J Am Vet Med Assoc. June 2010;236(11):1225-9.
Jean G F Joaquim, Stelio P L Luna, Juliana T Brondani, Sandra R Torelli, Sheila C Rahal , Fernando de Paula Freitas
目的:48時間以上経過した重度神経欠損の犬の胸腰部椎間板疾患(IVDD)の治療で、減圧術(DSX)、電気鍼療法(EAP)、DSX後EAP(DSX+EAP)の効果を比較する
構成:回顧的症例シリーズと前向き臨床試験
動物:胸腰部IVDDに起因する重度神経疾患の長期(>48時間)臨床症状を持つ犬40頭(3-6歳、体重10-20kg)
方法:胸腰部脊髄傷害を1(最低重症度)-5(最高)のスケールを用い神経学的症状をもとにクラス分けした。胸腰部IVDDの治療でDSXを行った犬から、DSX犬(n=10)を回顧的に選抜した。追加で、19頭はEAP単独、11頭はDSX後EAP(DSX+EAP)を行った。治療終了後6ヶ月以内に、グレード4あるいは5に分類されていた犬がグレード1あるいは2に分類されれば、臨床的に成功と考えた。
結果:臨床的に成功した犬の比率は、DSXを行った犬(4/10)よりもEAP(15/19)を行った犬の方が有意に高かった。DSX+EAPを行った犬の臨床的成功を示した比率は中間(8/11)だった。
結論と臨床関連:胸腰部IVDDに起因する長期重度神経欠損を持つ犬において、電気鍼療法が減圧術よりも歩行の回復、神経欠損の改善でより効果的だった。(Sato訳)
■犬の変性性腰仙部狭窄
Degenerative lumbosacral stenosis in dogs.
Vet Clin North Am Small Anim Pract. September 2010;40(5):983-1009.
Bjorn P Meij; Niklas Bergknut
変性性腰仙部狭窄(DLSS)は犬の尾側腰椎の最も一般的な障害である。この文献はこの疾患の管理を概説し、ここ十年の重要な新所見を重点的に述べる。
DLSSの犬は典型的に神経-整形患者であり、腰仙部痛に一致する種々の臨床症状を呈す可能性がある。CTやMRIなどの高度画像診断の利用により、椎間板変性、馬尾圧迫、神経根の絞扼などの視認が可能で、ここの患者にあった適切な治療が採択できる。現在の治療には、保存療法、減圧術、L7-S1接合部の固定-融合などがある。DLSSの生体力学および病理生物学からの新しい病識、最少侵襲術式の開発は、近い将来における治療オプションに影響を及ぼすだろう。(Sato訳)
■猫の脊髄疾患
Feline spinal cord diseases.
Vet Clin North Am Small Anim Pract. September 2010;40(5):1011-28.
Katia Marioni-Henry
この文献の目的は、猫の脊髄を侵す一般的な疾患を報告する最近の文献をまとめ、猫の脊髄症例の診断と予後を組織立てるのに有効ないくつかの一般的な結論を作り出すことである。
述べられている猫の脊髄疾患の一般的なタイプは、炎症/感染性疾患で、猫伝染性腹膜炎が一般的な疾患であり、猫の全脊髄炎の約50%を占める。腫瘍は症例の約25%で述べられており、猫の脊髄を侵す腫瘍で多いのはリンパ肉腫で罹患率は28-40%と報告された。脊髄リンパ肉腫と診断された猫(年齢中央値4歳)は、他の脊髄腫瘍の猫(年齢中央値10歳)よりも有意に若かった。
椎間板疾患の臨床症状を示す猫の年齢中央値は8歳で、67%はハンセンI型椎間板突出だった。一般的な椎間板の罹患部位はL4-L5椎間板腔だった。線維軟骨性塞栓症に離間した老猫(年齢中央値10歳)は頚胸部膨大が優勢と思われ、臨床症状は特に頸部領域が罹患したとき、顕著に側方化した。(Sato訳)
■推定的運動関連最急性胸腰部椎間板突出の犬48頭
Presumptive exercise-associated peracute thoracolumbar disc extrusion in 48 dogs.
Vet Rec. April 2010;166(17):523-8.
W M McKee, C J Downes, J J Pink, T J Gemmill
48頭の犬を推定的運動関連最急性胸腰部椎間板突出と診断した。年齢中央値は7歳(2-11歳)で、体重中央値は23kg(10-41kg)だった。来院前の症状の持続期間は0.5-4日だった。29頭は歩行不可能で、そのうち17頭は失禁があり、2頭は痛覚がなかった。11頭の後肢は反射低下、あるいは無反射性だった。44頭のエックス線写真で椎間の狭小化が見られた。脊髄造影で隣接脊髄の腫脹を伴いT11-12およびL3-4間の椎間板背側に小さい、硬膜外腔-占有病変が見られた。46頭は非外科的に治療し、1頭は安楽死、1頭はヘミラミネクトミー(その後安楽死)で管理した。
46頭の犬のその後の情報が得られた。受傷後1.5-55ヶ月(中央値22ヶ月)で、全ての症例の後肢機能は改善し、全ての歩行不可能の犬は歩けるようになっていた。6頭の犬は便失禁が残り、1頭は尿および便失禁が見られた。(Sato訳)
■胸腰部椎間板疾患の治療に対する片側椎弓切除後の異常な回復を示す軟骨形成異常の犬における脊髄圧迫病変の発生:前向きMRI研究
Incidence of spinal compressive lesions in chondrodystrophic dogs with abnormal recovery after hemilaminectomy for treatment of thoracolumbar disc disease: a prospective magnetic resonance imaging study.
Vet Surg. February 2010;39(2):165-72.
Franck Forterre, Daniela Gorgas, Mark Dickomeit, Andre Jaggy, Johann Lang, David Spreng
目的:胸腰部椎間板外科手術後に臨床的改善を示さない原因を調査する
研究構成:症例-コントロール磁気共鳴画像(MRI)研究
動物:ヘミラミネクトミーで治療した急性胸腰部椎間板疾患の軟骨形成異常犬:10頭は短期臨床的改善がない犬、12頭は「正常」な臨床的改善を示した犬
方法:MRIで胸腰部椎間板疾患を確認し、椎間板突出の外科的治療を行った犬(2003-2008)の中で、術後臨床的改善を示さない犬を確認するため評価した。回復遅延あるいは臨床的悪化を示した10頭の犬はMRIで再検査し、正常に回復し6週間後にMRI再検査を行った12頭の犬(コントロール)と比較した。
結果:173頭中10頭(5.8%)は術後1-10日以内に臨床的悪化を示した。8頭の犬でMRI上に残存脊髄圧迫が見られた。1頭は出血が存在した。3頭の犬の原因は、不正確なアプローチ、不十分な椎間板物質除去だった。3頭の犬はその手術部位で再発した。1頭の犬の中心に位置した突出物質は、術中に対側に移動していた。それら8頭は再手術を行い、無事に回復した。2頭の犬の悪化は、圧迫性椎間板病変と関係付けることができなかった。1頭の犬は病理検査で出血性性脊髄軟化が確認された。もう1頭は保存療法で6ヶ月後に回復した。
結論:術後回復の遅延あるいは悪化は、一般的に新規発病および/または残存圧迫性椎間板病変が関係する。
臨床関連:胸腰部椎間板疾患に対する減圧ヘミラミネクトミーの術後に回復が遅い軟骨形成異常犬において、術後脊柱管および脊髄を評価し、さらなる治療手段を計画するため、早期MRI再検査を推奨する。(Sato訳)
■急性脊髄障害後の組織灌流及び病態生理学的転帰に対するクモ膜下腔内圧低下の効果
The effects of intrathecal hypotension on tissue perfusion and pathophysiological outcome after acute spinal cord injury.
Neurosurg Focus. 2008;25(5):E12.
Horn EM, Theodore N, Assina R, Spetzler RF, Sonntag VK, Preul MC.
目的
静脈うっ血とクモ膜下腔内圧上昇は、脊髄傷害後に起こる低灌流において重要な役割を持つと言われている。脳脊髄液(CSF)ドレナージによってクモ膜下腔内圧を下降させることは、大動脈手術時の脊髄虚血の治療に効果的である。本研究の目的は動物モデルにおいて、CSFドレナージが脊髄灌流を増加させ、脊髄傷害後の転帰を改善させるかどうかを調べることである。
方法
麻酔下の成ウサギを用いて重度挫滅脊髄傷害(SCI)を作成し、本研究の対象とした。クモ膜下腔内圧が10mmHg以下となるようCSFをドレナージした。組織灌流の評価は、CSFドレナージの前後に傷害部位で行った。2つのコホート集団をSCI対象とした。一つの群は傷害後、ドレナージを行い、もう一方の群は無処置とした。受傷4週間後に両群を組織学に、また運動誘発電位および運動機能試験でも比較した。
結果
CSFドレナージは脊髄組織の灌流を有意に改善しなかった。受傷4週間後ではCSFドレナージ群において受傷部位での有意な傷害域の縮小を認めた。受傷4週間後の運動誘発電位および運動機能の結果は両群に有意な差はみられなかった。
結論
CSFドレナージは動物の脊髄傷害モデルにおいて、クモ膜下腔内圧を効果的に低下させ、組織損傷の量を軽減する。異なるドレナージ療法が運動あるいは電気生理学的な結果を改善させえるかはさらなる研究が必要である。(Dr.Ka2訳)
■ラットにおける受傷後限局性の二次性脊髄低灌流
Secondary spinal cord hypoperfusion of circumscribed areas after injury in rats.
Neurol Res. 2005 Jun;27(4):403-8.
Tei R, Kaido T, Nakase H, Sakaki T.
目的
脊髄傷害(SCI)後に生じる虚血の広がりを評価することは、二次性傷害に対する治療戦略を考える上で重要なことである。本研究の目的は、脊髄傷害後の局所脊髄血流量(rSCBF)の変化を詳細に調べることである。
方法
34頭のオスのウィスターラットを用いて、T11-13の椎弓切除を行った。脊髄傷害の作成は、空気式衝撃装置を用いて、椎弓切除したT12の位置に直接的に衝撃を与えることで作成した。我々はrSCBFの経時的・空間的変化を、SCI作成の前後で、傷害部位だけでなく周辺領域を含めた髄節で、レーザードップラー走査法を用いて測定した。SCBFマッピングはそれぞれの部位でSCI作成の前後で実施した。
結果
SCI群(n=26)では、SCI後にそれぞれの部位でrSCBF値は徐々に減少し、傷害発生点では全体的に減少した。さらには傷害部位の尾側および頭側でもSCBFは減少した。SCI後120分でのSCBFの平均%は、それぞれ63.6+/-2.3% (Th11)、74.4+/-4.5% (Th12)、75.8+/-3.2% (Th13)で、頭側が尾側と比較して明らかに減少していた(p<0.05、一元配置の分散分析)。
考察
本研究により脊髄傷害点だけでなくその周辺でもSCBFが有意に減少することが明らかとなった。SCI後の周辺に広がる虚血は、SCI後の二次性傷害に関連する。それゆえ、SCI後のSCBFを改善させることは、脊髄傷害の治療に有用である可能性がある。(Dr.Ka2訳)
■椎間板に関与する腹側脊髄内嚢胞:7頭の犬のMRI所見
Ventral intraspinal cysts associated with the intervertebral disc: magnetic resonance imaging observations in seven dogs
Vet Surg. January 2008;37(1):94-101.
Martin Konar, Johann Lang, Gaby Fluhmann, Franck Forterre
目的:犬の腹側脊髄内嚢胞の臨床、診断画像所見および外科処置後の結果を報告する
研究構成:遡及研究
動物:腹側脊髄内嚢胞の犬(n=7)
方法:7頭の臨床症状、MRI所見および外科所見と、椎間板に関与する脊髄内嚢胞の組織所見(1頭)を再調査した。
結果:腹側脊髄内嚢胞の特徴は、(1)典型的な椎間板ヘルニアと識別不能な臨床症状;(2)液体含有嚢胞に匹敵するMRIでの低T1、高T2信号強度を伴う硬膜外の円形-卵形マス病変;(3)嚢胞は椎間板に密接する;(4)椎間板変性のMRI所見である。正確な原因は不明だが、嚢胞を形成しやすくする微小な椎間板の傷害が基礎にあるのかもしれない。
結論:脊髄内嚢胞は、椎間板ヘルニアと同じ臨床症状を持つ。嚢胞は対応する椎間板に密接し、ヒトのdiscal cystsにMRI所見が類似することから、我々はこの知見を述べるにあたり” canine discal cyst”と呼ぶことを提案する。
臨床関連:discal cystは嚢胞性硬膜外圧迫病変の鑑別リストに加えるべきである。(Sato訳)
■脊髄疾患の臨床症状を持つ92頭の猫における臨床およびMRI所見
Clinical and magnetic resonance imaging findings in 92 cats with clinical signs of spinal cord disease
J Feline Med Surg. July 2008;0(0):.
Rita Goncalves, Simon R Platt, Francisco J Llabres-Diaz, Katherine H Rogers, Alberta De Stefani, Lara A Matiasek, Vicki J Adams
MRI検査を行った脊髄疾患の臨床症状を持つ猫92頭の医療記録を再調査した。MRIの結果、脳脊髄液検査、他の診断的処置により示唆された診断をもとに、7つのカテゴリーに猫をグループ分けした:腫瘍(n=25)、炎症あるいは感染(n=13)、外傷(n=8)、血管(n=6)、退行性(n=5)、奇形(n=3)、MRIでは気付かないもの(n=32)。異常なMRI所見の2つの独立した指標があった:臨床症状の程度と脊髄疼痛の有無。異常なMRI所見と疾患の発現スピードは生存性に有意に関係した。目立った異常がないMRI所見の猫32頭で、脊髄疾患で死亡したのは9頭のみで、それゆえ生存期間中央値(MST)は達成されなかった(下部95%信頼区間(Cl)=970日)。異常なMRI所見を持つ猫60頭で、それらの疾患のために37頭が死亡し、MSTは138日(95%Cl:7-807日)だった。(Sato訳)
■キャバリアキングチャールズスパニエルにおける脊髄空洞症を伴うキアリ様奇形:外科処置後の長期結果
Chiari-like malformation with syringomyelia in the Cavalier King Charles spaniel: long-term outcome after surgical management
Vet Surg. July 2007;36(5):396-405.
Clare Rusbridge
目的:脊髄空洞症をともなう犬キアリ様奇形(CM/SM)の処置で頭側頚部減圧の長期結果を評価する
研究構成:遡及臨床研究
動物:キャバリアキングチャールズスパニエル(n=15)
方法:MRIによる診断後、硬膜切開を伴う頭側頚部減圧を行った。7頭は硬膜切開を生物学的適合のコラーゲン基質でパッチした。臨床結果を12ヶ月以上モニターした。
結果:術後全ての犬は改善(80%)か変化がなかった(20%)。6頭の術後MRIは脊髄空洞症の持続を示した。その後7頭(47%)は術後0.2-2.3年に悪化し(平均1.3年)、2頭は結局結果として安楽死となった。12頭は術後1-6.5年(平均2.5年)生存していた。
結論:頭側頚部減圧術は低死亡率、合併症発現率で、ほとんどの犬の臨床改善をもたらす。手技はみたところ空洞虚脱や解消を起こさない。臨床改善は維持できないかもしれず、悪化を予想できる犬もいる。
臨床関連:頭側頚部減圧はCM/SMの管理で役に立つかもしれない。重度疼痛の犬で、数年間は生活の質を改善できる。しかし脊髄空洞症の主要原因の適切な所在は明らかではない。この疾患の原因の更なる理解及び治療のために前向き研究が必要である。この状況は神経障害痛を起こすが必ずしも安楽死とならないため、更なる情報がそれら患者の適切な疼痛管理のために必要である。(Sato訳)
■脊椎に及ぶ咬傷:7例の特徴、治療及び結果
Bite wounds involving the spine: Characteristics, therapy and outcome in seven cases
Vet J. June 2007;0(0):.
Orit Chai, Dudley E Johnston, Merav H Shamir
脊椎にいたる咬傷を受けた5頭の犬と2頭の猫の医療記録を再検討した。全ての犬は頚椎を咬まれ、四肢麻痺を呈した。2頭の猫は腰椎を咬まれた。1頭は不全対麻痺、1頭は対麻痺だった。脊椎以外の組織の随伴傷害が2例に見られた。全例に脊椎骨折のエックス線所見があった。治療は抗生物質(7/7)、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム(4/7)、鎮痛剤(7/7)だった。5例は最小限(4/5)、広範囲(1/5)の外科的デブリードメントを行った。全ての頚部骨折はファイバーグラスキャストで安定化を計り、腰部傷害の動物は1ヶ月間ケージレストとした。6頭は生存し、1ヶ月で5頭は良~優良の歩行可能にまで回復した。報告症例数は限られているが、この研究は適切な外科的でブリードメント、創傷ドレナージ、外部固定の組み合わせで脊椎の咬傷管理を十分できることを示す。(Sato訳)
■内科または外科的に治療した頚部変形性脊髄症のドーベルマンピンシャーの1年間にわたる臨床、MRI追跡調査
One-year clinical and magnetic resonance imaging follow-up of Doberman Pinschers with cervical spondylomyelopathy treated medically or surgically
J Am Vet Med Assoc. July 2007;231(2):243-50.
Ronaldo C da Costa, Joane M Parent
目的:内科、または外科的に治療した頚部変形性脊髄症(ウォブラーシンドローム)の犬における臨床症状とMRI所見の進行を評価する
構成:前向きコホート研究
動物:12頭のドーベルマンピンシャー
方法:内科(n=9)または外科治療(ベントラルスロット、3)前と、最低12ヵ月後に神経学的検査とMRIを実施した。
結果:平均追跡調査期間は14.5ヶ月だった。臨床意的に2頭は外科治療後改善し、5頭は内科治療後改善した。外科的治療犬のMRIは十分な脊髄減圧を示した。脊髄のシグナル変化は、外科手術前の2頭に見られ、追跡検査中同時期に隣接部位に新しいシグナル変化があった。外科的に治療した1頭は、3箇所の新しい部位に脊髄圧迫を起こした。内科的に治療した犬で、追跡調査時に脊髄圧迫の程度は、4頭で変化なし、2頭で悪化、3頭で改善したが、横断画像において脊髄萎縮が観察された。4頭の内科的治療犬は、当初脊髄シグナルが変化していたが、新しいシグナル変化または圧迫を起こしたものはいなかった。
結論と臨床関連:内科及び外科的治療は、ほとんどの犬の臨床状況を改善、または安定させた。外科的治療は術前脊髄変化を持つ犬で追加の脊髄圧迫及び病変部分の発生を促進することが分かった。しかし、それらの変化の臨床重要性は判定しなかった。病的MRI異常の進行は、外科的治療犬よりも内科的治療犬の方が明らかに少なかった。(Sato訳)
■棘突起の骨切を伴う胸腰部側背椎弓切除:犬14例
Thoracolumbar dorsolateral laminectomy with osteotomy of the spinous process in fourteen dogs
Vet Surg. July 2007;36(5):458-63.
Franck Forterre, David Spreng, Ulrich Rytz, Andre Jaggy, Peter Schawalder
目的:背側椎弓切除のための胸腰椎に対する代替片側アプローチ後の結果を述べる
研究構成:遡及臨床研究
動物:胸腰椎脊髄圧迫の犬(n=14)
方法:クモ膜下(7頭)、滑膜嚢胞(2)、硬膜内髄外腫瘍(5)による胸腰椎脊髄圧迫が側方(6)、背側(4)、側背(4)に存在した。全頭、片側正中傍アプローチにより棘突起の骨切を伴う背側椎弓切除で治療した。対側の傍脊椎筋は棘突起及び保存した骨靭帯複合物からはがさなかった。対側に棘突起と筋肉がひっこむことで背側椎骨弓が完全に視認でき、それによって背側椎弓切除を実施することができた。
結果:技術的合併症は起こらなかった。脊髄の約75%の露出(背側及び外側区画)により、適切な視認と病変の治療が可能だった。広範な脊髄の処置により一時的な神経状態の悪化が5頭に認められた。長期追跡調査で、6頭は正常、6頭は臨床的改善、2頭は変化が見られなかった。
結論:棘突起の骨切と移動後、背側椎弓切除は、背側、側背、側方圧迫の犬で、脊髄の適切な減圧を容易にすると考えられる。
臨床意義:この外科的方法は、傍脊柱筋を完全に対側に保存する改良背側椎弓切除により胸腰椎と脊髄にアプローチする代替法である。(Sato訳)
■急性脊髄傷害の犬に対するポリエチレングリコールの効果の研究
Studying the Effects of Polyethylene Glycol in Dogs with Acute Spinal Cord Injuries
Vet Med. March 2005;100(3):197-198. 12 Refs
Karen L. Kline.
獣医アイオワ州立大学獣医臨床科学部はPurdue大学麻痺研究センターとの共同研究でJournal of Neurotraumaに最近報告された有望な多施設研究を継続している。予備研究(Purdue大学とTexas A&M大学の獣医臨床科学部、インディアナ州医療センター神経外科学部、Purdue大学生物医学工学部及び麻痺研究センターで行われた)は、急性対麻痺の犬の治療に界面活性剤静脈内投与などだった。調査した親水性ポリマーはポリエチレングリコールとポロクサマー188だった。このようなポリマーは、軸索細胞膜の欠損の被覆を示しており、最初の障害後続いて起こりえる二次的な組織死を防ぐ手助けとなると理論を立てられた。Purdue麻痺研究センターで、それらポリマーはモルモットの脊髄傷害を含む標準化実験で調査されている。最近の多施設研究は上記を言及し、アイオワ州立大学の持続研究は、ポリエチレングリコールの静脈内投与が横断細胞プロセスの再結合、融合を助け、脊髄組織の機械的傷害による細胞膜の解剖学的破壊を被覆する助けとなることに関与する。予備研究の結果は奨励されたが、更なる研究が必要である。
アイオワ州立大学でポリエチレングリコール研究の目的は、椎間板破裂の二次的な自然発生神経学的に完全な(後麻痺、随意痛覚喪失)脊髄傷害の多くの犬でこの治療の有益性をさらに特徴付けることである。
■歩行不可能な51頭の犬の急性胸腰椎椎間板疾患に対するコハク酸メチルプレドニゾロンナトリウムを使用しないヘミラミネクトミー後の機能的予後
Functional Outcome Following Hemilaminectomy without Methylprednisolone Sodium Succinate for Acute Thoracolumbar Disk Disease in 51 Non-ambulatory Dogs
J Vet Emerg Crit Care. March 2007;17(1):72-76. 39 Refs
William W. Bush, VMD, DACVIM (Neurology1, Deena M. Tiches, DVM, DACVIM (Neurology), Christina Kamprad, Robert J. Murtaugh, DVM, DACVIM (Internal Medicine), DACVECC, Christina S. Barr, VMD, PhD
目的:コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム(MPSS)の投与をしない急性胸腰椎椎間板疾患(IVDD)の犬のヘミラミネクトミーの機能的予後を報告する
構成:前向き研究
場所:個人診療専門病院
動物:51頭の飼育歩行不可能な、MPSSを使用していない15kg以下の犬
処置:脊髄造影とヘミラミネクトミー
測定値と主要結果:51頭が研究基準を満たした。術前、全ての犬は歩行不可能(26頭は対麻痺、25頭は不全対麻痺)で、98%は疼痛があった。術前失禁はほとんどの症例で評価しないか、不明だった。術後10日で90%は歩行可能となり、98%は疼痛なく、82%は完全に自制(排泄)できていた。6週間で100%歩行可能、94%は疼痛がなく、86%は完全に自制できていた。16週目、96%は疼痛がなく、88%は完全に自制できていた。
結論:ヘミラミネクトミーは高い確率で歩行不可能な小型犬種を完全な機能へと回復させ、それらの犬でMPSSは手術の補助として必要ないかもしれない。(Sato訳)
■タイプ1胸腰椎間板ヘルニアの外科的治療をした犬における尿路感染の罹患率と特性
Prevalence and characterization of urinary tract infections in dogs with surgically treated type 1 thoracolumbar intervertebral disc extrusion
Vet Surg. June 2006;35(4):330-6.
Kevin S Stiffler, M A McCrackin Stevenson, Susan Sanchez, Jeanne A Barsanti, Erik Hofmeister, Steven C Budsberg
目的:タイプ1胸腰部椎間板(IVD)ヘルニアを外科的に治療した犬における尿路感染(UTI)の罹患率、UTIに明確に相関する因子、確認されたUTIがコミュニティまたは病院で獲得しやすいものかどうかを評価する
研究構成:前向きクロスセクショナル臨床研究
サンプル集団:タイプ1IVDヘルニアに一致する胸腰部硬膜外圧迫性脊髄病変を外科的に治療した犬(n=92)
方法:術前、入院中術後48-72、96-120時間と7日目の可能なときに膀胱穿刺で細菌性下部尿路感染のため、犬を評価し、尿を培養した。不全対麻痺、胸腰部突出髄核の確認、情報に基づくオーナーの同意を研究に必要な条件とした。尿標本(n=297)を培養し、客観、主観臨床データを入手した。
結果:タイプ1胸腰部椎間板ヘルニアを外科的に治療した犬のUTI罹患率は27%(25頭)だった。術前におけるUTIの一時的罹患率は15%(13/89)で、術後2-3日目は12%(11/19)、4-5日目は16%(12/76)、7日目は20%(8/41)だった。UTI罹患率に影響する統計学的有意な因子は、神経学的および尿の状態、性別、周術期抗生物質投与、麻酔中の体温が35度以下になっている時間だった。
結論:UTIは一般的にタイプ1型椎間板ヘルニアを外科的に治療した犬に見られる。メス犬、歩行または自発排尿ができない犬、周術期にセファゾリンが投与されない犬、麻酔中体温が35度以下に低下する犬は、UTIの発生数がより高い。
臨床関連:タイプ1胸腰部椎間板ヘルニアを外科的に治療した全ての犬は、UTIの有無をモニターすべきである。特に注意すべき犬は、メス犬、歩行または自立排尿ができない犬である。(Sato訳)
■ダックスフントにおける種々の身体的因子と急性胸腰部椎間板突出または膨隆の間の関連
Association between various physical factors and acute thoracolumbar intervertebral disk extrusion or protrusion in Dachshunds
J Am Vet Med Assoc. August 2006;229(3):370-5.
Jonathan M Levine, Gwendolyn J Levine, Sharon C Kerwin, Bianca F Hettlich, Geoffrey T Fosgate
目的:体重、ダックスフントにおけるボディコンディションスコアー、種々の体格が急性胸腰椎椎間板突出または膨隆に関係するか、それら因子のいずれかが臨床症状の程度に関与するかどうかを調査する
構成:クロスセクショナル臨床研究
動物:急性胸腰椎椎間板突出または膨隆を持つ(n=39)、または持たない(n=36)ダックスフント75頭
方法:徴候、種々の体測定値、体重、ボディコンディションスコアー、脊髄傷害グレードを初回検査時に記録した。
結果:平均T1-S1の距離、踵骨隆起-膝蓋靱帯(TC-PT)までの距離の中央値は、罹患犬のほうが非罹患犬よりも有意に短かった。T1-S1の距離が1cm短くなると、罹患する比率が2.1倍大きくなり、TC-PTの距離が1cm短くなると罹患する比率が11.1倍大きくなった。多変量ロジスティック解析結果も、他の身体測定値補正後、罹患犬は非罹患犬よりも肩甲骨間隆起までがより高く、骨盤周囲はより大きいと示した。ordinalロジスティック解析の結果は、T1-S1の距離がより長い、肩甲骨間隆起の高さがより高い、骨盤周囲がより小さいことが、より重度な脊髄傷害に関係することを示した。
結論と臨床関連:結果は、確かな身体の寸法がダックスフントの急性胸腰椎椎間板突出または膨隆に関与し、罹患犬では神経機能不全の程度に関与するかもしれないと示唆する。(Sato訳)
■軟骨異栄養のイヌの予防的開窓術を行う、または行わない外科的減圧術後の胸腰部椎間板突出再発:265症例(1995-1999)
Recurrence of Thoracolumbar Intervertebral Disk Extrusion in Chondrodystrophic Dogs After Surgical Decompression With or Without Prophylactic Fenestration: 265 Cases (1995-1999)
J Am Vet Med Assoc 224[11]:1808-1814 Jun 1'04 Retrospective Study 44 Refs
Brigitte A. Brisson DMV, DVSc, DACVS; Shannon L. Moffatt, BSc; Seanna L. Swayne; Joane M. Parent, DMV, MVetSc, DACVIM
目的:予防的開窓を行う、または行わないハンセンI型椎間板(IVD)疾患を治療した軟骨異栄養犬集団の評価と外科的に確認した椎間板突出再発率とその部位を判定すること
動物:265頭のイヌ
研究構成:回顧的研究
方法:1995-1999年の間に脊髄減圧を行ったイヌの医療記録を再検討した
結果:13頭(4.9%)のイヌは、退院前に安楽死、または死亡した。開窓は252頭のイヌに行い、37頭(14.7%)はその部位の減圧のみ、48頭(19%)は3-4椎間腔、167頭(66%)は5-7椎間腔に行った。12例は、最初の手術後3.5-33ヶ月目に2回目の手術を行い椎間板突出再発を椎間板の除去で確認した。再発は常に新規椎間板腔に見られ、単一、または複数開窓術を行ったイヌの間に再発率の有意差は見られなかった。2頭の再発は過去に開窓した椎間腔だった。7頭の再発は、開窓した椎間腔にすぐ隣接する部位で、5頭はL4-5だった。
結論と臨床関連:一般に予防的開窓は、開窓した椎間板腔のさらなる椎間板突出を防ぐ。前向き評価は、開窓術が全体の再発率を低下させるかどうかを判定するのに必要である。予防的開窓術は、非開窓椎間板腔の隣接部の椎間板突出を促進しうる。これは、再発がL4-5に起こるならば、かなりの臨床的影響を持ちえる。(Sato訳)
■深部痛覚のない胸腰部椎間板ヘルニアI型の犬の機能結果に対する硬膜切開の効果
Effect of Durotomy on Functional Outcome of Dogs with Type I Thoracolumbar Disc Extrusion and Absent Deep Pain Perception
Vet Comp Ortho Trauma 18[3]:141-146 Aug'05 Retrospective Study 30 Refs
C. A. Loughin, C. W. Dewey, P. B. Ringwood, R. W. Pettigrew, M. Kent, S. C. Budsberg
脊髄硬膜切開は脊髄の構造の完全性を判定する診断補助として実施され、深部痛覚(DPP)の喪失した症例の予後指標として有効と思われる。硬膜切開は脊髄内圧迫を軽減するかもしれないが、治療効果についてはいくつか議論されていることが示唆されている。この研究目的は、DPPの喪失した犬を片側椎弓切除と硬膜切開、または片側椎弓切除のみで治療し、その歩行に関する結果を比較することだった。胸腰部椎間板ヘルニアI型と診断した81頭の医療記録を再検討した。初回神経検査でDPPの欠如および片側椎弓切除で外科的減圧を実施した81頭中48頭の犬を調査した。カイ2乗検定(p<0.05)で、硬膜切開群と非硬膜切開群の歩行機能回復頭数を比較した。差は認められなかった。この調査結果は、硬膜切開は診断様式として有効で、硬膜切開の実施は、随意運動機能の術後回復に重大な影響を及ぼすことはないと示唆する。(Sato訳)
■犬における椎間板脊椎炎の特徴と臨床像:513症例(1980-2001)
Signalment and Clinical Features of Diskospondylitis in Dogs: 513 Cases (1980-2001)
J Am Vet Med Assoc 227[2]:268-275 Jul 15'05 Retrospective Study 54 Refs
Blaine A. Burkert, DVM, MS; Sharon C. Kerwin, DVM, MS, DACVS; Giselle L. Hosgood, BVSc, PhD, DACVS; Robert D. Pechman, DVM, DACVR; Jennifer Ponti Fontenelle, DVM
目的:椎間板脊椎炎の犬における、疾患の特徴、臨床像、そして治療を明らかにすることです。
計画:症例対照研究
動物:12の獣医教育病院から入手した236109頭(コントロール)と 椎間板脊椎炎の犬513頭(症例)。
手順:1980年から2001年の間に、ルイジアナ州立獣医大学病院で、椎間板脊椎炎の犬123頭の医療記録から、性別、年齢、品種、主訴、神経学的状態、病変部位、原因菌、治療、そして予後などの情報を回収しました。別の11の獣医教育病院からの390症例の追加症例の特徴を獣医データベースから入手しました。比較は同期間のコントロールを用いて行いました。
結果:オス犬の発生は、メス犬の2倍でした(オッズ比[OR]、2.0;95%信頼区間[CI],1.7から2.4)。犬は有意に、加齢とともに罹患しやすい傾向でした。純血種、特にグレートデーンは、雑種よりも罹患する傾向がありました(OR,7.3;CI,4.3から12.6)。ルイジアナ州立大学からの犬に関して、Staphylococcus spp, Brucella spp, Streptococcus spp, そして Escherichia coliが最もよく分離され、11頭の犬において、複数の微生物が微生物培養により検出されました。治療の平均期間は53.7週でした。
結論と臨床関連:オス犬、加齢の犬、そしてグレートデーンは、それぞれ、メス犬、1歳以下の犬、雑種犬より、椎間板脊椎炎に罹患しやすい傾向であることが明らかになりました。椎間板脊椎炎の治療のための抗生剤の長期投与が、求められるかもしれません。原因微生物の同定と、早期治療が推奨されます。(Dr.K訳)
■犬における胸腰椎椎間板ヘルニアに関連した、臨床徴候再発に関する危険因子:229症例(1994-2000)
Risk Factors for Recurrence of Clinical Signs Associated with Thoracolumbar Intervertebral Disk Herniation in Dogs: 229 Cases (1994-2000)
J Am Vet Med Assoc 225[8]:1231-1236 Oct 15'04 Retrospective Study 22 Refs
Philipp D. Mayhew BVM&S; Robert C. McLear VMD, DACVR; Lisa S. Ziemer VMD, DACVR; William T. N. Culp VMD; Kelli N. Russell VMD; Frances S. Shofer PhD; Amy S. Kapatkin DVM, DACVS; Gail K. Smith VMD, PhD
目的:他の椎間に予防的処置を行わずに減圧椎弓切除術を行った犬における、胸腰椎椎間板疾患(IVDD)に関連した臨床徴候再発に関する危険因子を評価することです。
計画:回顧的研究
動物:229頭の犬。
手順:IVDDの初発に対し、予防的造窓術を行わず、減圧椎弓切除術を行った犬で、追跡調査により入手できた医療記録を再調査しました。7つの臨床的、8つのレントゲン的な潜在危険因子に関する情報を記録しました。
結果:IVDDの再発に関連した臨床徴候が44頭の犬(19.2%)で、発現しました。再発の96%が術後3年以内に発現しました。再発はダックスフンドの25%と、他犬種との交雑した犬の15%で発現しました。不透明化した椎間板の数は再発の有意な危険因子でした。殆ど直線的に不透明化した椎間板の数により、危険性が増大しました;それぞれ不透明化した椎間板が1.4倍まで危険性を増大しました。最初の手術時に、不透明化した椎間板を5または6つ持った犬は、50%の再発率でした。
結論と臨床関連:再発を疑うすべての症状発現を検討し、長期追跡調査が達成された時、これまでの多数の報告におけるものより、より高いIVDDの真の再発率が明らかとなります。最初の手術時点で、多数の不透明化した椎間板を持つ犬は、危険性の高い部分母集団とみなすべきであります。(Dr.K訳)
■ネコの腰仙部椎間板疾患
Lumbosacral Disc Disease in a Cat
Vet Comp Ortho Trauma 17[2]:104-106 Jun'04 Case Report 5 Refs
G. H. Jaeger, P J. Early, K. R. Munana, E. M. Hardie
8歳オスの去勢済み家ネコ短毛種が、2日間にわたる急性の背中の痛み、尾の弛緩、尿、便失禁で入院した。脊髄造影、硬膜外造影、CTスキャンなどの診断検査で、L7-S1椎間板腔に硬膜外病変が明らかとなった。試験的手術と組織病理学で、2型腰仙部椎間板突出を確認した。ネコは術後6週間で神経学的機能が回復した。これは、腰仙部椎間板疾患を述べたネコで初めての症例報告である。尾側腰痛、またはS1-S3脊髄部または末梢神経に位置する神経症状を示すネコで、腰仙部疾患を鑑別疾患に考慮すべきである。(Sato訳)
■椎間板突出のダックスフントで、無症状の胃十二指腸潰瘍の罹患率
The prevalence of subclinical gastroduodenal ulceration in Dachshunds with intervertebral disc prolapse.
J S Afr Vet Assoc 74[3]:77-81 2003 Sep
Dowdle SM, Joubert KE, Lambrechts NE, Lobetti RG, Pardini AD
急性椎間板突出の減圧手術を行ったダックスフント30頭で、内視鏡により無症候性胃十二指腸潰瘍の罹患率を判定した。入院当日と術後3日目、4日目に内視鏡検査を実施した。胃の3つの領域(噴門、胃体、幽門)と近位十二指腸を観察し、生検サンプルで組織病理検査を行った。肉眼、顕微鏡変化を組み合わせ、この集団の無症候性胃十二指腸潰瘍の罹患率を判定した。それら所見から、全体の罹患率は76%と算出した。入院前の潰瘍誘発性薬物投与は、罹患率に影響しなかった。この結果は、この重度合併症の可能性に、獣医師は気づく必要があり、脊髄手術患者に予防的抗潰瘍薬剤を使用する根拠を確認するものである。(Sato訳)
■イヌの腰部脊髄造影注射法から脊髄が受ける影響
Spinal cord effects from lumbar myelographic injection technique in the dog.
J Vet Med Sci 66[1]:67-9 2004 Jan
Kishimoto M, Yamada K, Ueno H, Kobayashi Y, Wisner ER
腰部穿刺脊髄造影法を使用し、針を刺したときに受ける脊髄の影響の特性を知るため、5頭のイヌに腰部穿刺を実施し、脊柱のCT像を、針を抜く前後と造影剤注射後の穿刺部位水平面で撮影した。針の設置中脊髄は穿刺され、実質コントラスト増強が、5頭中4頭に認められた。CT撮影後、明白な神経学的異常を被ったイヌはいなかったが、出血、神経膠症、軸索変性が全てのイヌで顕微鏡検査により確認された。それらの結果は、脊髄の病的状態が、現在容認されている方法により腰部脊髄造影を行うとき、誘発されることを示唆する。(Sato訳)
■イヌの腰仙部脊髄造影-より安全な方法
Lumbosacral myelography in dogs--a safer technique.
J Vet Med Sci 66[1]:71-2 2004 Jan
Iseri T, Yamada K, Ueno H
より安全な脊髄造影方法の研究で、我々は腰仙部椎間腔を通して脊髄造影を行った。脳脊髄液の逆流が認められた8頭で、腰仙部椎間腔を通して造影剤を投与した。6頭でくも膜下造影円柱の観察に成功した。検査中、検査後、生理変化や神経学的症状は観察されなかった。我々は、従来の腰部脊髄造影が行われる前に、腰仙部椎間腔を最初に選択することを推奨する。(Sato訳)
■2頭のイヌに見られた頚部椎間板ヘルニアによる二次的な重度呼吸障害
Severe respiratory compromise secondary to cervical disk herniation in two dogs.
J Am Anim Hosp Assoc 39[6]:513-7 2003 Nov-Dec
Kube S, Owen T, Hanson S
2頭のイヌが、急性の四肢不全麻痺、換気低下、第二度房室心ブロックを伴う徐脈で来院した。神経学的検査で、頚椎に両病変を突き止めた。診断画像検査で、1頭は第2、第3頚部領域(C2-C3)、もう1頭は第3、第4頚部領域(C3-C4)に腹側硬膜外圧迫を認めた。突出椎間板の外科的矯正後、換気低下、徐脈は解消した。頚部椎間板突出は、イヌの急性四肢不全麻痺の一般的な原因である。この報告は、呼吸と心臓障害が同時に起こるかもしれないと示している。著者は、呼吸、心臓機能不全、適切な治療のために、頚部脊髄障害のイヌのスクリーニング検査を推奨する。迅速な外科的介入と支持療法で、予後を改善することができる。(Sato訳)
■10頭のロットワイラーにおける、脊髄くも膜偽嚢胞
Spinal arachnoid pseudocysts in 10 rottweilers.
J Small Anim Pract 45[1]:9-15 2004 Jan
Jurina K, Grevel V
10頭の脊髄くも膜偽嚢胞を呈するロットワイラーを調査しました。病変は、6頭の犬で、C2-C3の背側;3頭の犬で、C5-C6の背側と腹側;1頭の犬で、C6-C7の背側と腹側に局在していました。臨床徴候は、影響を受けた脊髄分節の病巣圧迫と一致しました。動物は、C2-C3の症例において、体幹運動失調と著しい推尺過大を伴う四肢運動失調、C5-C6、またはC6-C7の症例は、歩行可能な四肢不全麻痺を呈しました。1頭の犬における二分脊椎症の所見を除いて、いかなる異常も、単純レントゲン写真上に発見することは出来ませんでした。脊髄造影は、偽嚢胞の局在位置と範囲を明らかにするため用いました。追加情報は、5頭の犬において、磁気共鳴像(MRI)を用いて入手しました。5頭の犬は背側椎弓切除術を行いました;3症例において偽嚢胞を造袋術、2症例は硬膜切除術により治療しました。(Dr.K訳)
■背部の痛みだけの徴候を持つ犬における椎間板疾患:25症例(1986-1993)
Intervertebral disk disease in dogs with signs of back pain alone: 25 cases (1986-1993).
J Am Vet Med Assoc 209[7]:1275-9 1996 Oct 1
Sukhiani HR ; Parent JM ; Atilola MA ; Holmberg DL
目的:臨床徴候が背部疼痛のみの胸腰椎椎間板疾患(IVDD)を持つ犬に関する、個体群的特徴、病歴、臨床的、診断的所見、そして治療結果を評価することです。
計画:回顧的症例集
動物:脊柱のレントゲン調査と診断的脊髄造影を行った、神経学的障害がなく背部疼痛のみの臨床徴候を示すIVDDの犬
手順:医療記録、脊柱のレントゲン調査、脊髄造影の評価と脊髄圧迫の明らかな範囲の見積もり、オーナーとの電話連絡による追跡情報の再調査。
結果:脊髄圧迫は、25頭中20頭(80%)における脊髄造影で検出されました。治療は、25頭中18頭(72%)における減圧手術を含め、すべての犬が椎間板開窓術を受けました。状態は25頭中24頭(96%)の犬で、術後改善しました。
臨床関連:神経障害のなく背部疼痛のみの臨床徴候であった胸腰椎IVDDの犬は、相当な脊髄圧迫持つと思われます。(Dr.K訳)
■スコティッシュディアーハウンドの頚部関節面接合部関節症の診断と治療:9症例(1998-2002)
Diagnosis and Treatment of Arthrosis of Cervical Articular Facet Joints in Scottish Deerhounds: 9 Cases (1998-2002)
J Am Vet Med Assoc 223[9]:1311-1315 Nov 1'03 Retrospective Study 21 Refs
* Sylvia Kinzel, DVM; Sven Hein, DVM; Arno Buecker, MD; Gabriele A. Krombach, MD; Werner Kuepper, DVM
目的:スコティッシュディアーハウンドでC2とC3間の頚部関節面接合部関節症の診断的特徴と治療効果を判定すること
構成:回顧的研究
動物:9頭の飼育犬
方法:罹患犬の医療記録を再検討した。診断は、臨床検査(頚部脊柱の片側、または両側屈曲から出る重度疼痛症状)、エックス線検査、脊髄造影、CTで確認した。治療は、コルチコステロイドやリドカインの透視下による関節内注射だった。
結果:C2とC3間の頚部関節面の片側、または両側性関節症が全頭で認められた。7頭で、痛みの症状はエックス線学的に検出された罹患関節で首側面の屈曲により誘発された。2頭は右側屈曲中に痛みの症状が出たが、両側病変が検出された。5頭は片側性病変で、4頭は両側性病変だった。関節突起の効果と肥大がよく見られた。2頭は関節腔にブリッジが見られた。CTを使用し診断を確定した。脊髄造影では、脊髄や脊柱の異常が見られなかった。治療後、8頭の臨床症状は急速に顕著な改善を見せ、7頭は4ヶ月以上の臨床症状がない期間を維持した。
結論と臨床関連:スコティッシュディアーハウンドの頚部関節面接合部関節症は、重度の痛みを呈し、通常のエックス線検査は有用なスクリーニング検査である。コルチコステロイド、麻酔薬の関節内投与は、効果的で長期持続し、最小限な侵襲ですむ。(Sato訳)
■胸腰部椎間板疾患のイヌで、予防的経皮レーザー椎間板蒸散に関する結果と合併症:277症例(1992-2001)
Outcome of and Complications Associated with Prophylactic Percutaneous Laser Disk Ablation in Dogs with Thoracolumbar Disk Disease: 277 Cases (1992-2001)
J Am Vet Med Assoc 222[12]:1733-1739 Jun 15'03 Retrospective Study 31 Refs
Kenneth E. Bartels, DVM, Ms; Russell G. Higbee, PhD, DVM; Robert J. Bahr, DVM, DACVR; David S. Galloway, DVM; Tiffany S. Healey, DVM; Christopher Arnold, DVM
目的:胸腰部椎間板疾患のイヌで、予防的経皮レーザー椎間板蒸散に関する結果と合併症を判定する
構成:回顧的研究
動物:277頭のイヌ
方法:胸腰部椎間板疾患の病歴を持つイヌのT10-11からL3-4までの7箇所の椎間板に、経皮的に針を刺して設置し、そこからホルミウム-イットリウム-アルミニウム-ガーネットレーザーにより蒸散を行った医療記録を再検討した。合併症と神経症状の再発(例えば、不全麻痺、または全麻痺)を記録した。追跡情報を得るためオーナーに電話で連絡を取った。
結果:追跡情報が得られた262頭(3.4%)のうち9頭は、不全麻痺、または全麻痺の再発があった。追跡期間は1-85ヶ月(平均15ヶ月)、症状の再発はレーザー椎間板蒸散後3-52ヶ月(平均15.1ヶ月)だった。5頭で急性の合併症が起こり、それには、1頭で軽度気胸、1頭で針挿入部位の膿瘍、3頭でプロプリオセプションの障害、1頭は神経症状の進行と悪化のため1週間以内にヘミラミネクトミーが必要だった。1頭は椎間板脊椎炎を発症した。
結論と臨床関連:結果は、予防的経皮レーザー椎間板蒸散は、合併症がほとんどなく、イヌの椎間板疾患の症状の再発リスクを低下させるかもしれないと示唆する。(Sato訳)
■犬における胸腰椎椎間板ヘルニアに伴う、深部痛覚消失:治療と予後
Loss of Deep Pain Sensation Following Thoracolumbar Intervertebral Disk Herniation in Dogs: Treatment and Prognosis
Compend Contin Educ Pract Vet 25[4]:266-274 Apr'03 Review Article 45 Refs
Pierre M. Amsellem, DEDV; James P. Toombs, DVM, MS, DACVS; Pete H. Laverty, BVSc, MACVSc, DACVS; Gert J. Breur, DVM, PhD, DACVS
神経学的な完全麻痺に対する最適な治療は、内科的、外科的、および支持療法の併用を必要とします。上行-下行性びまん性脊髄軟化症がない時は、外科的減圧と、適切な内科的、および支持療法によって、これらの犬の50%は、オーナーの目から見て歩行可能と排泄可能な状態に回復すると考えられます。完全な脊髄障害を持つ患者に対する新しい治療は、現在発展し評価されつつあり、まもなく、獣医療で利用できるかもしれません。(Dr.K訳)
■大型犬の胸腰部椎間板疾患:99症例の研究
Thoracolumbar disc disease in large dogs: a study of 99 cases.
J Small Anim Pract 43[10]:439-46 2002 Oct
Macias C, McKee WM, May C, Innes JF
胸腰部椎間板疾患の体重20kg以上ある99頭のイヌの記録を再検討した。椎間板疾患の2つのタイプを認めた。それは変性性の髄核突出(n=63)と変性性の繊維輪部突出(n=36)だった。その状態の69%の椎間板は、T12-T13、L2-L3に位置していた。来院時、変性性髄核突出の犬63頭のうち、35頭は歩行ができず、7頭は痛覚がなかった。
55頭の犬で減圧術を行い、4頭は非外科的に管理し、3頭は安楽死した。著者が成功したと評価した犬は49頭(78%)で、オーナーが成功と評価したのは53頭(84%)だった。平均追跡調査期間は11.7ヶ月(範囲1.5-48ヵ月)だった。その後5頭は後肢が歩行不能となった。それらのうち3頭の脊髄造影検査で、2度目の胸腰部変性性髄核突出と分かった。
変性性繊維輪部突出の犬36頭のうち、来院時7頭が歩行できなかった。15頭は複数の突出があった。20頭は非外科的に管理し、12頭は手術を行い、4頭は安楽死した。著者が成功と評価したのは8頭(22%)でオーナーが成功と評価したのは19頭(52%)だった。平均追跡調査期間は9.2ヶ月(範囲1.5-30ヵ月)だった。繊維輪部突出のイヌの予後は、髄核突出の犬の予後よりも有意に悪かった(P<0.001)。(Sato訳)
■急性胸腰椎椎間板突出の歩行不能な犬に外科的減圧術を行い、その後歩行までの時間に対する予後の指標
Prognostic indicators for time to ambulation after surgical decompression in nonambulatory dogs with acute thoracolumbar disk extrusions: 112 cases.
Vet Surg 31[6]:513-8 2002 Nov-Dec
Davis GJ, Brown DC
目的:痛覚が損なわれていないハンセンI型の椎間板突出で歩行不能な犬に外科的減圧術を行った後、歩行までの時間に対する予後指標を判定する
研究構成:回顧的臨床研究
動物:ハンセンI型椎間板突出の犬で片側椎弓切除または腹側椎弓切除で減圧した120頭
方法:全頭胸腰椎椎間板突出で、入院時痛覚はあるが歩行不能だった。変動値として年齢、体重、麻酔導入時の随意運動機能、グルココルチコイドの使用、歩行不能状態の発生から入院と外科的減圧術までの時間、病院で外科的減圧術までの時間、麻酔時間、手術時間、診断的脊髄造影実施に必要な造影剤注射回数、術後痛覚、術後随意運動機能があげられた。歩行までの時間は、外科的減圧術実施日から補助なしに立って一連の歩行が取れるまでとした。
結果:117頭(96%)は3ヶ月以内に歩行可能となった。歩行までの平均時間は12.9日で、術後に随意運動機能があった犬は有意に短期間だった(7.9日vs16.4日、P<.0001)。他の変動値で歩行までの時間に有意に相関したものはなかった。
結論:術中いくつかの変動値は歩行復帰までの予後値である。胸腰部脊髄のハンセンI型椎間板突出で、痛覚が損なわれていない歩行不能の犬を外科的減圧術で治療した時の予後は良い。(Sato訳)
■脊髄軟化症の犬7頭の脊髄造影結果
Results of myelography in seven dogs with myelomalacia.
Vet Radiol Ultrasound 43[4]:326-30 2002 Jul-Aug
Lu D, Lamb CR, Targett MP
脊髄軟化症は、急性脊髄傷害に続発する脊髄の出血性梗塞である。脊髄軟化症は限局性、または広汎性かもしれない。広汎性は典型的な神経症状の頭側への移動(上行性症候群)に関係し、しばしな致死的である。7頭の罹患犬の回顧的研究で、5頭の広汎性脊髄軟化症は椎間板突出に関連し、1頭の限局性脊髄軟化症は繊維軟骨塞栓に関連し、もう1頭は明らかな原因が無かった。脊髄造影像は、6頭(86%)に見られた様々な程度の脊髄内への造影剤浸潤、および/または6頭(86%)に見られた脊髄の腫脹だった。限局性脊髄軟化症の1頭で、唯一見られた脊髄造影像は脊髄の腫脹だった。(Sato訳)
■犬椎間板突出のX線検査診断の正確さ
Accuracy of survey radiographic diagnosis of intervertebral disc protrusion in dogs.
Vet Radiol Ultrasound 43[3]:222-8 2002 May-Jun
Lamb CR, Nicholls A, Targett M, Mannion P
犬の胸腰部椎間板突出のX線検査での診断が正確かどうか評価するため、外科的に胸腰部椎間板突出と確認された犬64頭、脊髄造影陰性結果の51頭、椎間板突出よりも他の脊髄疾患の犬29頭のX線写真(ラテラルとVD)を、臨床的情報を何も知らせていない3人の観察者により再検討した。椎間板突出の診断に対する観察者の能力に明らかな違いがあったが、小型犬vs大型犬に対する観察者間の診断正確性に有意差はなかった。X線写真で椎間板突出の部位を決定する観察者の正確性は、51-61%だった。
全ての観察者は、椎間板突出の2個目の部位を判定する正確性は低かった。最も有効なX線像は、椎間腔の狭小化で唯一中程度の感受性(64-69%)があり、椎間板突出の適中率(63-71%)も中程度であった。真空現象は珍しいが、椎間板突出の正確な像である。1つの部位で、椎間板突出の多様なX線像の認識は、診断の正確性を増すようだった。脊髄造影をせずに椎間板突出の外科治療を進めることが正しいと思えるほど正確な観察者はいなかった。(Sato訳)
■犬の脊髄造影でイオヘキソールを使用後に発生する発作に関する危険因子:182例(1998)
Risk Factors Associated with Development of Seizures After Use of Iohexol for Myelography in Dogs: 182 Cases (1998)
J Am Vet Med Assoc 220[10]:1499-1502 May 15'02 Retrospective Study 17 Refs
Georgina Barone, DVM; Lisa S. Ziemer, VMD; Frances S. Shofer, PhD; Sheldon A. Steinberg, VMD, DMSc, DACVIM
目的:イヌで、脊髄造影にイオヘキソールを使用後の発作の罹患率を調査し、関連危険因子を明らかにする
構成:回顧的研究
動物:1998年に脊髄造影のためにイオヘキソールの投与を受けた182頭のイヌ
方法:医療記録から、年令、犬種、性別、体重、イオヘキソールの1回投与量と総量、注射部位、注射の回数、傷害の種類と部位、総麻酔時間、イオヘキソール注射時から覚醒までの時間、発作があったかとその回数、脊髄造影後手術したかどうかを再調査した。
結果:39頭(21.4%)は脊髄造影中またはその後に1回以上の全身性けいれんを起こした。発作の罹患と注射部位は強く関係しており、発作の危険は腰部より大槽に注射したときの方がかなり高くなった。発作を起こさなかった犬に比べ、発作を起こした犬には、イオヘキソール投与量の平均総量が有意に多かったが、1回投与量に違いはなかった。体重もリスクと有意に相関し、20kgより重い犬のほうが高い罹患率を示した。
結論と臨床関連:発作のリスクを最小限にするため、L5-6椎間腔へのイオヘキソール投与が優先される。小型犬に比べ、大型犬の発作の罹患が高い事は、CSFの量に対し造影剤がより多く投与されることが原因であると思われる。(Sato訳)
■椎間板疾患の猫10例
Karen R. Munana, DVM, MS, Dipl. ACVIM et al;J Am Anim Hosp Assoc 37[4]:384-389 Jul-Aug'01 Retrospective Study 18 Refs ; Intervertebral Disk Disease in 10 Cats
椎間板疾患(Intervertebral disk disease :IVDD)は、一般に犬で脊髄障害を認めます。対照的に猫での発生は非常にまれで、それ故この疾患についての発表はほとんどありません。この研究の目的は、障害の一般的な特徴を明らかにするために、IVDDと診断された猫の継続的なデータを評価する事です。この研究に供するために、猫には画像診断(脊髄造影またはCT)、外科的、検死、またはそれら組み合わせの結果を基にIVDDの診断を下しました。
ノースキャロライナ州立獣医教育病院(NUSU-VTH)で1989年1月から2000年2月の間にIVDDの診断を下した猫10頭の医療記録を評価しました。同時期に病院を訪れた全体の猫を基にして、IVDDの発生率は0.12%でした。
5頭は家猫短毛種、4頭は家猫長毛種、そして1頭はペルシャでした;年齢の範囲は、4-17歳でした。2頭は慢性的背中の痛みを主訴としていました;残りの8頭は、突然発生し、非進行性の後肢運動失調から歩行不全麻痺までの神経障害を呈していました。その8頭中、2頭は尿や便の失禁とだらっとした尾の症状があり、そして検査時の背骨の痛みに気づいたのは2頭のみでした。脳脊髄液の分析を行った猫には、異常はありませんでした。X線検査で、狭くなった椎間板腔、椎間板の石灰化を示し、脊髄造影やCTで硬膜外圧迫を認めました。
IVDDの位置は、2つの範囲の周辺に集中して現れていました;1つ目は胸腰部、2つめは、腰尾椎の中間部でした。興味深い事に、腰部IVDDの猫は、胸腰部IVDDの猫に比べ、かなり体重が重かったです。外科的脊髄減圧のため片側椎弓切除術を7頭に実施しました;2頭は、運動制限の保存的治療を4週間行いました;残りの猫は、治療する前に安楽死しました。7頭は紹介までの間にグルココルチコイドの治療を受けていました;しかし、ノースキャロライナ州立獣医教育病院に紹介された後、追加のグルココルチコイドを使用しませんでした。追跡調査を7頭の猫で実施できました;全ての猫は、外科的減圧の結果、すばらしく回復していると判断しました。
著者は、猫のIVDDは、犬の疾患と同じような特徴を多数示し、以前考えられていたより普通に遭遇し、そして自然発生します。またこの研究で使用した猫の大多数は、室内飼育であったと締めくくります。ゆえに、IVDDは室内飼育で、猫白血病ウイルスに感染していない老猫により特異的だと、考えるべきです。(Dr.Sato訳)
■脊髄外傷からの回復:回復度合い、合併症、そして予後
Kyle G. Braund, BVSc, MVSc, FRCVS, PhD, Dipl ACVIM et al; Vet Med 85[7]:740-743 Jul'90 19 Refs; Recovering from spinal trauma : The rehabilitative steps, complications, and prognosis
論文検討。論題は、看護とリハビリテーション[栄養供給、衛生管理、膀胱管理、理学療法]、グルココルチコイドの使用から発生した合併症を含め、脊髄障害の症例における予後を系統立てること、そして脊髄外傷管理の現状と、将来の展望を考察しております。
予後の抜粋を、下記に記します。
予後;「急性脊髄外傷における予後は、常に警戒が必要で、脊髄損傷の位置と程度などいくつかの因子によって左右されます。」症状の増大に順じた、進行性の神経学的衰退の徴候は、自己刺激感応の喪失、自発運動機能障害(例えば、不全麻痺/完全麻痺など)、知覚機能不全(例えば痛覚純麻、痛覚過敏、そして痛覚消失など)です。尾側腰椎や、尾側頚部分節における、広範囲な灰白質損傷、急性脊髄梗塞、急性減圧障害、深部痛覚の喪失などは、予後不良の障害です。即座の麻痺と、損傷の尾側痛覚消失を導く脊髄外傷は、一般的に永続的な神経障害と関連があります。
深部痛覚と、膀胱支配の喪失を伴う麻痺は、治療にかかわらず、予後不良です。痛覚減退と、膀胱支配喪失を伴う麻痺は、外科的減圧しても、予後不良となります。臨床改善は、術後3-6週以内に認められるべきです。正常な痛覚を持つ麻痺では、内科または外科治療により、予後良好で、2-3週以内に改善が認められるべきです。(訳:K)
■頚部脊髄尾側部の慢性圧迫に伴う不全麻痺または完全麻痺の3頭の犬に対し、唯一の治療としての理学療法の使用
John Speciale, DVM, DABVP, DACVIM et al; Source: J Am Vet Med Assoc 217[1]:43-47 Jul 1'00 Case Report 16 Refs; Use of Physiatry as the Sole Treatment for Three Paretic or Paralyzed Dogs with Chronic Compressive Conditions of the Caudal Portion of the Cervical Spinal Cord
四肢不全麻痺、または完全麻痺を持つ、3頭の大型(30-40kg[66から88lb])の成犬(6から9才)を、理学療法単独で治療しました。3頭の全ての犬が、頚部脊髄尾側における、複合した、慢性圧迫性硬膜外病変の、脊髄造影所見を呈しました。全ての犬において、徹底的な理学療法の後、かなりの改善が、認められました。2頭の犬に関しては、退院後、飼い主により、略式化された治療管理が続けられました。この2頭の犬は、回復し、正常な神経機能を維持しました。他の犬は、改善はあったものの、自宅で治療が、殆ど行われませんでした。その犬の症状は、再発し、犬は安楽死されました。完全麻痺に対する、永続的な理学療法の実施は、今回の頚部脊髄疾患に対する結果から、外科、または薬物治療無しと同等の有用性があるかもしれません。(訳:K)
■椎間板突出:猫6頭
M.F. Knipe et al; J Feline Med Surg 3[3]:161-168 Sep'01 Case Report 20 Refs ;Intervertebral Disc Extrusion In Six Cats
椎間板疾患(IVDD)に対する現存する報告は、もっぱら犬に焦点を当てていますが、猫椎間板疾患の個々の症例報告も少数ですが発表されています。椎間板疾患6頭の猫の医療記録を再調査しました。X線検査で、それぞれの猫には椎間板腔の狭小化、椎間板の石灰化、1つ以上の脊髄の硬膜外圧迫病変を認めました。胸腰部に全ての椎間板突出がありました。脊髄の外科的減圧はヘミラミネクトミーで全ての猫に行われ、椎間板変性物質と確認された、硬膜外圧迫物質を取り除きました。良から優の回復が6頭中5頭で見られました。この再調査を基に、猫の椎間板疾患は、犬のそれと多くの類似性を持ち、急性椎間板突出を起こした健康な猫は、脊髄の外科的減圧術によい反応を示すと思われました。(Dr.Sato訳)
■犬における、単純レントゲン検査を用いた、頚部椎間板押出、または突出の位置測定に関する的確性
Mary E. Somerville, DVM et al; J Am Anim Hosp Assoc 37[6]:563-572 Nov-Dec'01 Original Article 12 Refs; Accuracy of Localization of Cervical Intervertebral Disk Extrusion or Protrusion Using Survey Radiography in Dogs
頚部椎間板疾患(CIVDD)は、犬の椎間板疾患(IVDD)の、およそ15%を占めます。レントゲン検査は、似たような臨床徴候を起こし得る他の疾患を除外するために、内科または外科処置に先立ち、当を得た手段です。いったん他の病状が除外されたら、圧迫部位を突きとめるため、脊髄造影が一般的に活用されます。しかし、頚椎の、申し分の無い姿勢での単純レントゲン写真は、頚部椎間板疾患の位置を、確認、あるいは暗示するであろうと、明白に規定している著者もいます。この研究の目的は、将来的に、頚部椎間板疾患の犬において、脊髄レントゲン所見と、脊髄造影所見を比較し、椎間板押出、または突出の位置を突きとめるための、単純レントゲン検査の的確性を評価することです。
頚部椎間板疾患の疑いがある64頭の犬を評価しました。全身麻酔下で、全てのレントゲン検査を行い、単純撮影直後に、全ての脊髄造影検査を行いました。この研究の目的のため、これらの結果を記録し、病変部の位置測定の、絶対的な基準として用いました。症例選抜を完全に行い、頚部単純レントゲン写真を、無作為に、2人のACVR認定放射線学者と、2人のACVS認定外科医により、評価しました。読影者は、単純レントゲンの61%で、椎間板の押出、または突出の部位を同定しました。部位が特定された、これらのレントゲン写真に関し、椎間板突出の正しい部位を、的確に識別する能力は、53%から67%の範囲で、平均58%でした。それゆえ、全ての単純レントゲンで、椎間突出部位に対する正確な同定の、総合的な的確率は35%でした。12症例は、脊髄造影で明らかにされた、1つ以上の、椎間の押出、または突出部がありました。これらの症例において、単純レントゲン写真での、少なくとも1つ以上の部位を、突き止められる能力は、63%から80%の範囲で、平均70%でした。椎間板の押出、または突出の、主要な部位は、単純レントゲン写真の16%から31%、平均26%で、不正確な識別をされました。
著者は、頚部椎間板の押出、または突出の位置測定に対して、単純レントゲン写真だけを用いることは、誤った手段であるということを結論とします。(Dr.K訳)
★椎間板疾患の外科的治療を行ったダックスフントの、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム療法の合併症
Amanda K. Boag, MA, VetMB, MRCVS et al; J Vet Emerg Crit Care 11[2]:105-110 Apr-Jun'01 Retrospective Study 34 Refs ;Complications of Methylprednisolone Sodium Succinate Therapy in Dachshunds with Surgically Treated Intervertebral Disc Disease
目的:急性椎間板疾患の外科的減圧術を行ったダックスフントで、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム(MPSS)を使用した犬と、使用しなかった犬の臨床的に明らかな術後合併症の発生率、金銭コスト、入院期間について比較する事です。
構成:回顧的臨床研究
設定:獣医修練病院
動物:1994年1月から1999年12月の間に、ペンシルバニア大学病院に紹介され、急性椎間板疾患を減圧術で治療したダックスフント
介入:なし
測定と主な結果:MPSSを投与されていたかどうかで、2つにグループ分けしました。術後の合併症の確認を医療記録の調査で行いました。他に記録されているパラメーターは、薬物投与の詳細(主にコルチコステロイドと胃腸保護剤)、入院期間とその費用、術後24時間と抜糸時の神経状態でした。他のコルチコステロイドと比較して、MPSS投与犬は臨床的に明白な、術後胃腸の合併症発生率が有意に高く、胃腸保護剤の使用が増加し、入院中の費用が増えました(P<0.01)。
結論:急性椎間板疾患のダックスフントに対するMPSSの使用は、術後合併症率を増加させ、オーナーの金銭コストも増やします。MPSSの使用は、各犬を注意深く評価するべきです。(Dr.Sato訳)
★ダックスフントの椎間板石灰化の発生:予期的長期エックス線写真研究
Vibeke F. Jensen, DVM, PhD et al; J Am Anim Hosp Assoc 37[3]:274-282 May-Jun'01 Prospective Study 17 Refs Development of Intervertebral Disk Calcification in the Dachshund: A Prospective Longitudinal Radiographic Study
椎間板ヘルニアは、犬にとって、特に低軟骨蛋白質の犬種(先天性軟骨形成異常)では重要な臨床的問題です。ダックスフントは、断然高い発生率を持ち、リスクは他の犬種より10-12倍高いです。それなりに、ダックスフントには遺伝学的論拠が仮説で挙げられていますが、遺伝伝達の特定のパターンは分っていません。椎間板石灰化は、将来椎間板ヘルニアになる可能性を指示し、遺伝的傾向があるものと知られ、椎間板変性のひどさやヘルニアのリスクに関係するものとして関心があるものです。椎間板石灰化は、若い年齢でのX線撮影でも区別できるので、繁殖用に選別する有益な手段になるかもしれません。この研究では、椎間板石灰化の発生を、ダックスフントのグループで追跡し、犬をX線評価する時の最適年齢を決めることを目的としました。
明白な背骨のエックス線写真を、40頭のダックスフントで、規則的な間隔で年齢が6ヶ月から(グループ16,9,12,18,24ヶ月に撮影)と12ヶ月から(12,18,24ヶ月に撮影)撮影しました。各犬の最低5回の側面撮影は、頚椎から仙椎までをカバーし、総数4,108の椎間板評価、同様に2-4歳に追跡したグループ(すなわちグループ3)の312椎間板評価を得られました。6-24ヶ月の犬(すなわちグループ1と2)で、X線評価での混濁は、4,108中387の椎間板評価で見られ、2歳で椎間板石灰化が見られたうち、79.2%は胸椎部分にありました。罹患した犬の頭数と、椎間板石灰化の数は、しっかりした水準に到達した、または1頭に3.2椎間板(約24-27ヶ月零に)と思われました。以前あった椎間板石灰化の消滅が見られ、2年後に、椎間板石灰化が確認できる数は減少しました。
著者は、ダックスフントの椎間板石灰化の、X線評価は、24-30ヶ月に遺伝学研究と選択的な交配のために推奨すると締めくくります。(Dr.Sato訳)