■犬のレプトスピラ症に対する市販のワクチンの効果:系統的レビューとメタ-解析
Efficacy of commercially available vaccines against canine leptospirosis: A systematic review and meta-analysis
Vaccine. 2022 Feb 10;S0264-410X(22)00144-X.
doi: 10.1016/j.vaccine.2022.02.021. Online ahead of print.
Stephanie Bergmann Esteves , Cassia Moreira Santos , Fabiana Ferreira Salgado , Amane Paldes Goncales , Aline Gil Alves Guilloux , Camila Marinelli Martins , Mitika Kuribaiashi Hagiwara , Bruno Alonso Miotto
背景:レプトスピラ症は、犬やヒトを含む多くの哺乳類に影響する世界中に分布する人畜共通伝染病である。ワクチン接種は、犬の疾患及びレプトスピラの尿中排泄をコントロールする主な対策である。しかし、市販のワクチンの効果を報告する文献での研究はほとんどない。
目的:定質-定量系統的レビューを用い、市販で入手可能な犬のレプトスピラワクチンの効果を評価、比較する
方法:興味の主な結果は、臨床的疾患および腎臓のキャリアー状態の防御能力と免疫の促進持続期間だった。実験および観察研究デザインは組み込みに的確で、方法はPROSPERO、登録CRD42020178194により認められた。5つの電子データベースを検索した。集団、方法論、結果に関するデータを二分法あるいは連続法で抽出した。個別の研究に対するバイアスのリスク評価は、SYRCLEツールを用いて評価した。
結果:13のチャレンジ試験と8の観察研究を含め、12のワクチンブランドから構成された。算出された統合効果において、ワクチン未接種のコントロールと比較した時、ワクチン接種犬は臨床疾患(0.16)および腎臓キャリアー状態(0.12)発症の相対リスクを減少させた。研究間の不均質性は低かったが、方法論と異なるパラメーターは、この研究の結果の定義に使用した。
結論と臨床的重要性:我々の研究は、レプトスピラ症に対し、市販で入手可能なワクチンは臨床疾患に対し全体で84%の防御、腎臓キャリアー状態に対し88%の防御を提供できる。血清型Canicola、Australis、Grippotyphosaによる臨床疾患及びキャリアー状態に対する防御は、いくつかのワクチンブランドで一貫性がなく、それらの血清型を用いて誘発した実験感染において、そのようなハードルは多くが方法論的難しさによるものである。我々のメタ解析に含まれるワクチンにより提供される免疫は、実験的状況下で少なくとも1年間は持続できるとエビデンスは示す。しかし、ワクチン接種により誘発されるMAT抗体価の持続期間は防御と相関しなかった。(Sato訳)
■ワクチン接種での獣医師のコミュニケーションスタイルによるオーナーへのいい効果
Emotional responses of clients to veterinarian communication style during a vaccination visit in companion animal practice
(J Am Vet Med Assoc 2018;252:1120-1132)
目的:ワクチン接種での獣医師のコミュニケーション(情報提供、視線、体の向き)とオーナーの感情と身体的反応とオーナーからの獣医師の専門性と信頼性の評価について検討する。
デザイン:シミュレーション
参加者:20人
方法:子犬のワクチン接種について女性獣医師による説明の12のビデオを見て実際にその方法を行った。獣医師の振る舞いとして、ワクチン接種に関する情報(少ない、実際的、感情的)、視線と体の向き(対面もしくは30度斜め)、ワクチンスタイル(ルーチン、感情的)はさまざまであった。参加者がビデオを見ている間、corrugator
supercilii 筋肉(眉をひそめると活性化)の活動性と皮膚伝導を調べた。参加者は感情(valenceと覚醒)について獣医師の振る舞い(専門性と信頼性)との関連性を判定した。
結果:感情情報、直接の視線、体の向き、感情的なワクチンスタイルは喜びと関連し、専門性と信頼性に好ましい影響を与えていた。
結論と臨床的意義:ワクチン接種のような動物病院来院でオーナーへ感情や良い印象を与えることがあるので獣医師はそのような観点からルーチンな来院であっても考えるべきである。(Dr.Maru訳)
■オーストラリアにおいて飼育犬における犬パルボウイルス2型、犬ジステンパーウイルス、犬アデノウイルス1型、犬パラインフルエンザウイルスに対する血清反応の持続期間
Duration of serological response to canine parvovirus-type 2, canine distemper
virus, canine adenovirus type 1 and canine parainfluenza virus in client-owned
dogs in Australia.
Aust Vet J. December 2012;90(12):468-73.
S A Mitchell; R J Zwijnenberg; J Huang; A Hodge; M J Day
目的:オーストラリアにおいて、18か月より以前に犬パルボウイルス2型(CPV-2)、犬ジステンパーウイルス(CDV)、犬アデノウイルス2型(CAV-2)±犬パラインフルエンザウイルス(CPiV)を含むCanvacワクチンを接種した飼育犬は血清反応陽性、あるいは再接種に血清学的に反応したかを調査する
方法:種々の犬種、年齢、最終接種からの期間(TSLV:範囲1.5-9年、平均2.8年)の合計235頭の犬を23件の動物病院から集めた。0日目に採血を行い、ワクチン再接種した。
2回目の採血を7-14日後に行った。血液サンプルのCPV-2(血液凝集阻止)、CDV、CAV1型(CAV-1)、CPiV(ウイルス中和)に対する抗体価を測定した。0日目の抗体価>10あるいは再接種後抗体価が4倍増加の犬は、血清学的応答者と考えた。
結果:血清反応者として分類された犬の総%は、CPV-2で98.7%、CDVで96.6%、CAV-1で99.6%、CPiVで90.3%だった。
結論:Canvacワクチンに含まれるCPV-2、CDV、CAV-1、CPiVに対する修正生ワクチンにより誘発された血清反応の持続期間は18か月以上で、9年まで伸びるかもしれないと示唆される。したがって、それらのワクチンは、現行の犬のワクチンガイドラインで推奨される再接種の間隔を延長したプロトコールでの使用を考慮されるかもしれない。(Sato訳)
■日本における狂犬病以外の犬の混合ワクチンに対する副反応の大規模調査
Large-scale survey of adverse reactions to canine non-rabies combined vaccines in Japan.
Vet Immunol Immunopathol. 2012 Jan 4. [Epub ahead of print]
Miyaji K, Suzuki A, Shimakura H, Takase Y, Kiuchi A, Fujimura M, Kurita G, Tsujimoto H, Sakaguchi M.
犬の狂犬病以外の混合ワクチンは、感染病原体から動物を防御するのに広く使用されており、公衆衛生上も重要である。著者らは、2006年4月1日から2007年3月31日に動物病院に対してワクチン誘発性の副反応(VAAEs)に関するアンケートを実施することにより、日本におけるアナフィラキシーを含むVAAEsを調べるための大規模調査を実施した。
573の動物病院においてワクチン接種された57300頭について有効回答が得られた。各動物病院において、最近の犬へのワクチン接種100回に対するVAAEsについての情報を得た。
57300頭の中で359頭の犬がVAAEsを示した。359頭の中で、死亡例は1例、アナフィラキシーが41例において、皮膚症状が244頭において、消化器症状が160例において、その他の症状は106例において認められた。多くはワクチン接種後12時間以内にVAAEsが認められた(n=299, 83.3%)。この研究において、アナフィラキシーは、ワクチン接種後60分以内に起こり、これらの約半数は5分以内に生じた(n=19, 46.3%)。さらに、アナフィラキシーが認められた場合、さらなる情報を再調査した。アナフィラキシーの犬の再調査では、31頭の犬において回答が認められた。27例は、虚脱(87.1%)、24例はチアノーゼ (77.4%)、22例(71.0%)においては両方の症状が認められた。動物のVAAEs、アナフィラキシー、死亡の率は他の国と比較して日本において、より高かった。
死亡とワクチン接種の関係、VAAEsを起こす危険因子を明らかにし、より安全なワクチンを開発するためには、調査研究を含めてさらなる検討が必要である。さらに、VAAEsに関する情報を継続的にアップデートしていくことが必要である。(Dr.Taku訳)
■健常な飼い犬への少し前のレプトスピラのワクチン接種が全血を用いたreal-time
PCR検査に与える影響について
Effects of Recent Leptospira Vaccination on Whole Blood Real-Time PCR Testing in Healthy Client-Owned Dogs.
J Vet Intern Med. 2011 Dec 19.
Midence JN, Leutenegger CM, Chandler AM, Goldstein RE.
背景:犬に対する細菌由来のレプトスピラのワクチン接種することは、全血を用いたreal time PCRを診断に使用することにおいて課題となる。ターゲットとなるDNA断片がワクチンに含まれていて、少し前にワクチン接種した犬の血液中にそれらが存在した場合、陽性の結果が出る可能性がありうる。
目的:この研究の目的は、利用可能な2種類の4血清型のワクチンによって、少し前にワクチン接種を受けた健常犬の血液においてreal-time
PCRによる検査が陽性となるかについて評価することである。
動物:20匹の健常犬
方法:前向き研究。犬は、2種類のうちのどちらかのワクチン投与を受けた。両ワクチンとも、培養由来であり、Leptospira interrogansの血清型Pomona、Canicola、IcterohaemorrhagiaeとLeptospira kirschneriの血清型Grippotyphosaを含んでいた。ワクチン接種前、ワクチン接種3日および7日後、それ以降8週間は毎週、realtime PCRの検査のために全血を、顕微鏡下凝集試験(MAT)のために血清を採取した。2種類の遺伝子をターゲットとするreal time PCRを盲目的に独立して実施した。
結果:どちらのワクチンも希釈しない場合または全血で1:100に希釈して用いた場合でも、real
time PCRで陽性の反応を示した。しかし、ワクチン接種後、全ての犬から得られた全血液サンプルにおいてPCRは陰性を示した。全ての犬はMATで陽性を示した。
結論と臨床的意義:2種類の使用可能なワクチンで少し前にワクチン接種を行なっても、急性の犬のレプトスピラ感染の診断のためにreal
time PCRが使用できなくなることはない。(Dr.Taku訳)
■犬と猫の年齢と長期保護免疫
Age and Long-term Protective Immunity in Dogs and Cats.
J Comp Pathol. January 2010;142S1(0):S102-S108.
R D Schultz, B Thiel, E Mukhtar, P Sharp, L J Larson
ワクチン接種は自然感染後の持続期間と同様の免疫反応を付与することができる。一般にウイルスに対する適応免疫は最も早く発生し、効果もより高い。そのような抗ウイルス免疫反応は、無菌免疫の発生を起こすことが多く、免疫の持続期間(DOI)は多くの場合一生継続する。
対照的に、細菌、真菌、寄生虫に対する適応免疫は、より緩やかに発生し、DOIは一般的に多くの全身性ウイルス感染に比較して短い。それらの感染性病原体に対する無菌免疫の発生は一般的により少ない。
老犬や老猫は(特に若年成体(すなわち16週齢から1歳)にワクチン接種および免疫化されている)まれにワクチンで予防可能な感染性疾患で死亡する。しかし若い動物はワクチンが接種されていない、あるいは適切な年齢にワクチン接種されていない(例えば母性由来の抗体(MDA)が存在する時期の早すぎるワクチン接種)ために死亡することが多い。より多くの動物が群集(集団)免疫を増すためワクチン接種を必要とする。
本研究は、長くて9年間追加接種をしていない犬においてコアウイルスワクチンのDOIを調査する。それらの動物は防御レベルの犬ジステンパーウイルス(CDV)、犬パルボウイルスタイプ2(CPV-2)、犬アデノウイルスタイプ1(CAV-1)に対する血清抗体を持っており、それらのウイルスを暴露したとき、犬は感染および/あるいは疾患に対抗した。
このように、16週以上のときに修正生ウイルス(MLV)犬コアワクチン(CDV、CAV-2、CPV-2)あるいはMLV猫コアワクチン(猫パルボウイルス(FPV)、猫カリシウイルス(FCV)、猫ヘルペスウイルス(FHV))を1回接種するだけで、非常に高率に長期間免疫が付与でき、また群集免疫も増加する。(Sato訳)
■猫におけるワクチン接種後の副作用:2560例(2002-2005)
Adverse events after vaccine administration in cats: 2,560 cases (2002-2005)
J Am Vet Med Assoc. July 2007;231(1):94-100.
George E Moore, Andrea C Desantis-Kerr, Lynn F Guptill, Nita W Glickman, Hugh B Lewis, Lawrence T Glickman
目的:猫におけるワクチン接種から30日以内に診断されたワクチン関連有害事象(VAAEs)の発生率を判定し、それら発生のリスクファクターの特徴を述べる
構成:遡及コホート研究
動物:329の動物病院でワクチン接種をした496189頭の猫
方法:電子記録からワクチン接種後に発生し、開業医が非特異ワクチン反応、アレルギー反応、蕁麻疹、ショック、アナフィラキシーと分類したVAAEsを検索した。臨床症状及び処置を再調査した。VAAE発生と可能性のあるリスクファクターの関連を多変量ロジスティック回帰で評価した。
結果:2560件のVAAEsが496189頭に摂取した1258712回のワクチン接種に関係していた(51.6件/ワクチン接種した猫10000頭)。来院ごとのワクチン投与数増加でVAAEのリスクは、有意に増加した。リスクは約1歳の猫で最大だった。全体のリスクは、未不妊猫に対し不妊済み猫でより大きかった。発熱を伴うまたは伴わない嗜眠が最もよく診断された。30日の間に記録された局所反応で、その後1-2年の追跡調査で腫瘍と診断されたものはなかった。
結論と臨床関連:全体のVAAE率は低いが、来院ごとに複数回ワクチン接種をした不妊した若い成猫は、ワクチン接種後30日以内のVAAEの最大リスクを示した。獣医師はそれら所見をリスクの説明に組み込むべきで、同時に猫に対しワクチン接種の数を制限すべきである。(Sato訳)
■血清学的検査:ワクチン追加接種に対する代案
Serological testing--an alternative to boosters?
Vet Microbiol. October 2006;117(1):39-42. 9 Refs
Paul Burr1
要約
免疫持続期間の発行物では、特に獣医ワクチンの弱毒化生ウイルス構成要素に関して、近年の予防接種論争の重要部分となっております。ある製造業者は、これらの構成要素に関する推奨追加接種間隔を3年、別の製造業者は現在「最高4年」免疫に拡大しております。この免疫持続期間(DOI)に関して、多くの答えのない問題が残っております。データシート請求にふさわしい研究は、厳しく管理された状況下の実験犬において、唯一行うことができ、コストがかかり、時間もかかります。英国における狂犬病の血清学検査のエビデンスでは、ルーチンなワクチン接種に対する個々の動物の反応は、非常に変わりやすいということが明らかになっております。
抗体価の持続性に関する、公表された野外証拠のほとんどは、予防接種戦略と病原体種がヨーロッパのものとは異なる、北アメリカから始まっております。これらの研究における、免疫持続期間に関する、野外ウイルス暴露による影響を定量化することは不可能であり、ヨーロッパ中のワクチン未接種犬と野生哺乳類におけるウイルスの流布に関しては殆ど分かっておりません。もし、オーナーあるいは獣医師がワクチン再接種に関して心配ならば、一つの選択肢は、血液検査を実施することで、それぞれ追加接種の必要性を評価することです。抗体価と防御免疫の関係に関するエビデンスがいくつか報告されており、検査は日常的な犬と猫のワクチンに関する、個々のウイルス構成成分に対する反応を測定することが出来ます。
免疫を評価するための殆どの一般検査は、予防接種に対する免疫反応に関する、ひとつの様相である抗体を、単に測定しているだけであることを忘れてはなりません。ゆえに、抗体価が低かろうがそうでなかろうが、動物は実際に防御されることも有り得るのです。もし、オーナーが彼らの動物に、必要とされる、エビデンスのない追加接種を施すことに賛成しないならば、血清学的検査は一つの選択肢です。しかしながら、これらの検査費用は、当分の間、ワクチン追加接種よりもより上回るでしょう。(Dr.K訳)
■犬猫ワクチンの免疫持続期間:再調査
Duration of immunity for canine and feline vaccines: A review
Vet Microbiol. April 2006;0(0):.
Ronald D Schultz
主要US獣医生物製剤会社のワクチンを接種している、約1000頭の犬のワクチン免疫(DOI)の最低持続期間を我々の研究で評価した。種々製剤のDOIは全ての犬の抗体価、選択犬群へのチャレンジ試験で判定する。最近は、USマーケットで犬ワクチンを作る全ての大手製薬会社は彼ら独自の研究を完備している。公表されたデータでは、犬コア製剤、犬ジステンパーウイルス(CDV)、犬パルボウイルスタイプ2(CPV-2)、犬アデノウイルス-2(CAV-2)の3年以上の最低DOIを示している。
猫コアワクチン(猫パルボウイルス(FPV)、カリシウイルス(FCV)、ヘルペスウイルスタイプ1(FHV-1))の研究は、3年以上の最低DOIを示している。
それらの結果をもとに、現在の犬および猫のガイドライン(最終コアワクチンの投与12週齢以上、1年後に再接種、それから3年毎以上の頻度で投与しないを推奨)は、年1回の再接種により達成されるレベルと同程度の防御レベルを提供すべきである。
対照として、おそらく猫白血病ワクチンを除くノンコア犬猫ワクチンの免疫は1年以下である。一般にノンコア製剤の効果はコアワクチンよりも少ない。このように必要な時は、ノンコアワクチンは年1回またはそれ以上の頻度で投与すべきである。(Sato訳)
■犬における犬アデノウイルス1型、犬パルボウイルス、犬ジステンパーウイルス接種後3年間の免疫力
Three-Year Duration of Immunity in Dogs Following Vaccination Against Canine Adenovirus Type-1, Canine Parvovirus, and Canine Distemper Virus
Vet Ther 6[1]:5-14 Spring'05 Clinical Study 19 Refs
Thomas C. Gore, PhD; Nallakannu Lakshmanan, MVSc, PhD; Karen L. Duncan, DVM, MS, DABVT;
犬アデノウイルス1型、犬パルボウイルス(CPV)、犬ジステンパーウイルス(CDV)を含む多価修正生ワクチンの2度目の接種後、3年目の免疫力を調べるため、免疫検証試験を実施した。特異抗体がない状態の23頭の子犬の7週齢、11週齢にワクチン接種を行った。18頭の特異抗体がない18頭は、6頭ずつのグループに分け暴露コントロールとした。最終ワクチン接種後3年間犬を厳密に隔離し、病原犬アデノウイルス1型(CAV-1)、CPV、CDVを連続で暴露した。各ウイルス暴露を別々の6頭のコントロール犬にも行った。ワクチン接種犬でCAV-1、CPV、CDV感染の臨床症状を100%防ぎ、この多価修正生テストワクチンが7週齢またはそれ以降の犬の2度目のワクチン接種後、最低3年間病原CAV-1、CPV、CDV暴露に対する防御能を付与することを示す。(Sato訳)
■犬のワクチン接種後3日以内に診断した副作用
Adverse events diagnosed within three days of vaccine administration in dogs
J Am Vet Med Assoc 2005;227:1102-1108
George E. Moore, DVM, MS, PhD, DACVPM, DACVIM; Lynn F. Guptill, DVM, PhD, DACVIM; Michael P. Ward, BVSc, MS, MPVM, PhD; Nita W. Glickman, MPH, PhD; Karen K. Faunt, DVM, DACVIM; Hugh B. Lewis, BVMS, DACVP; Lawrence T. Glickman, VMD, DrPH
目的-犬のワクチン接種後3日以内に診断したワクチン関連性副作用(VAAEs)に関する発生率と可能性のある危険因子の決定
企画-回顧的同群研究
動物-360の動物病院でワクチン接種した1,226,159頭の犬
手順-2002年1月1日から2003年12月31日までの電子記録からワクチン摂取後3日以内に診断されたワクチン関連性副作用(非特異的ワクチン反応、アレルギー反応、蕁麻疹、もしくはアナフィラキシー)を調査した。情報には年齢、体重、性、中性の状態、および品種が含まれた。
特定の臨床的徴候と治療は罹患した400頭の無作為標本で再検討した。危険因子とVAAEの関連性を多変量ロジスティック回帰分析で評価した。
結果-4,678の副作用(ワクチン接種した38.2/10,000頭の犬)が122万6159頭の犬への343万9576回の接種と関連していた。ワクチン関連性副作用の発生率は体重が増加するに従って明らかに減少した。中性化した犬(27%)と比べて性的にインタクトの犬(38%)ではリスクが増加した。また約1〜3歳齢(35%)に比べて2〜9ヶ月齢(64%)でもリスクが増加した。病院に来院し接種したワクチン回数が増加するのに従って、ワクチン関連性副作用のリスクが有意に増加した。それぞれの追加ワクチン摂取は10kg以下の犬で27%そして10kg以上の犬で12%、副作用のリスクが有意に増加した。
結論と臨床関連-病院に来院し複数のワクチン接種を受けた若い中性化した小型犬はワクチン接種の後72時間以内にワクチン関連性副作用のリスクが高かった。これらの要因はワクチン接種に関してクライアントがリスク評価そしてリスクコミュニケーションとして考えるべきである。(Dr.Kawano訳)
■ワクチン接種後即時型アレルギー反応を発現した犬における、ワクチン成分に対するIgE反応
IgE reactivity to vaccine components in dogs that developed immediate-type allergic reactions after vaccination.
Vet Immunol Immunopathol 104[3-4]:249-56 2005 Apr 8
Ohmori K, Masuda K, Maeda S, Kaburagi Y, Kurata K, Ohno K, Deboer DJ, Tsujimoto H, Sakaguchi M
ワクチン後のアレルギー反応は、犬における重大な実際問題とされております;しかしながら、その免疫学的メカニズムは良く分かっておりません。本研究は、犬におけるワクチン接種後の即時型アレルギー反応と、ワクチンに対するIgE反応との関連性を調査するために計画しました。狂犬病以外の一価ワクチン、または混合ワクチンの接種後1時間以内に、循環虚脱、チアノーゼ、呼吸困難、顔面浮腫、そして嘔吐などの即時型アレルギー反応を発現した10頭の犬からの血清と、ワクチン接種後アレルギー反応を発現しなかった50頭の犬からの血清を回収しました。
マウスモノクローナル抗犬IgE抗体を用いて蛍光定量的ELISAにより、注射されたワクチンに対する血清IgE反応を測定しました。それから、ワクチンに対してIgEレベルが高かった血清において、ワクチンに含まれる牛胎児血清(FCS)と蛋白安定剤(ゼラチン、カゼイン、そしてペプトン)に対するIgE反応を測定しました。即時型アレルギー反応を起こした犬における、ワクチンに対する特異的血清IgEのレベル(59-4173蛍光単位[FU]、平均+/-S.D.:992.5+/-1181.9FU)は、コントロール犬(38-192FU、92.4+/-43.3FU)(P<0.001)より有意に高値でした。即時型アレルギー反応を発現し、ワクチンに対する特異的血清IgEレベルが高かった8頭の犬のうち、7頭はFCSに向けられた特異的IgEを保有しました。
これらの犬の血清におけるワクチンに対するIgE反応は、FCSにより、ほぼ完全に抑制されました。他の1頭は、安定剤としてワクチンに含まれるゼラチンとカゼインに向けられた血清IgEを保有しました。この研究で得られた結果は、犬におけるワクチン接種後の即時型アレルギー反応は、ワクチン成分に向けられたIgEにより媒介される1型過敏反応によって誘導されるということを示唆しております。さらに、ワクチンに含まれるFCS、ゼラチン、そしてカゼインは、犬におけるワクチン接種後の即時型アレルギー反応を誘導する原因アレルゲンと考えられます。(Dr.K訳)
■犬における5つのウイルス抗原に対する血清学的反応期間
Duration of serologic response to five viral antigens in dogs.
J Am Vet Med Assoc. 2004 Jan 1;224(1):55-60.
Mouzin DE, Lorenzen MJ, Haworth JD, King VL.
目的:最後のワクチン接種以来、ワクチン接種した犬が血清反応陽性のままであったか、もしくは5つの主要なウイルス抗原の再予防接種によって血清学的に反応したのかどうかを決定する。
計画:血清学的調査
動物 :322頭の健康な飼い犬
手順:犬は2歳以上で、犬ジステンパーウイルス(CDV)、犬アデノウイルス1型(CAV-1)、犬アデノウイルス2型(CAV-2)、犬パラインフルエンザウイルス(CPIV)、犬パルボウイルス(CPV)に対して予防注射した。0日にこれまでに接種した同じワクチンを再接種した。0日(前-ワクチン抗体価)と5日から7日後(後-ワクチン抗体価)に採取した血清で抗体価を測定した。もし0日目の血清中和抗体価がCDVで32倍以上、CAV-1、CAV-2、もしくは
CPIVで16倍以上、血球凝集抑制抗体価がCPVで80倍以上もしくは再接種後の抗体価が4倍以上で血清学的に反応していると考えられた。
結果:閾値もしくはその値より高い抗体価を持っていた、もしくは再接種に反応し抗体価が4倍以上増加した犬の割合はCDVで98.1% 、CAV-1で98.4%、CAV-2で99.0% 、CPIV で100%そしてCPVで98.1%だった。
結果と臨床関連:ほとんどの犬において、5つの抗原に対するワクチンは48ヶ月以上持続する反応を誘発した。効果の実証として免疫のチャレンジ試験と同等ではないが、伝統的な1年毎より少ない頻度で再接種しても同じワクチンの再接種は、適切な防御をもたらすと思われる。臨床医が適切な再接種間隔を決定するのに役立つようにこの研究は有益な情報を提供する。(Dr.Kawano訳)
■ネコの3つのウイルス抗原に対する血清学的反応の持続期間
Duration of Serologic Response to Three Viral Antigens in Cats
J Am Vet Med Assoc 224[1]:61-66 Jan 1'04 Serologic Survey 20 Refs
Douglas E. Mouzin, MS, MBA; Marianne J. Lorenzen, DVM; * John D. Haworth, DVM, PhD; Vickie L. King, PhD
目的:ワクチン接種ネコが、最終ワクチン接種から長期間経過後、3つの鍵となるウイルス抗原に対し、血清陽性を維持しているか、または再ワクチン接種に血清学的に反応するかを判定する
構成:血清学的調査
動物:272頭の健康な飼育ネコ
方法:ネコは2歳以上で、ネコ汎白血球減少症ウイルス(FPV)、ネコカリシウイルス(FCV)、ネコヘルペスウイルス(FHV)のワクチン接種を受けていた。0日目、ネコに過去に投与されているものと同じ系統のワクチンを再接種した。0日目(ワクチン接種前の力価)と5-7日目(ワクチン接種後力価)に血清採取を行い、抗体価を測定した。ネコの0日目のFPVに対する血球凝集阻害力価>1:40、FCVに対する血清中和(SN)力価>1:32、FHVに対するSN力価>1:16、または再ワクチン接種後の抗体価が4倍以上の上昇を示したら血清学的に反応していると考慮した。
結果:抗体価を持つ、または閾値以上、または再ワクチンで力価4倍以上の反応を示したネコの比率は、FPVで96.7%、FCVで97.8%、FHVで88.2%だった。
結論と臨床関連:ほとんどのネコで、ワクチン接種により3抗原に対する反応が48ヶ月まで、またはそれ以上もたらされた。効果を示す等価免疫チャレンジ研究はなされていないが、結果は、我々の研究で使用したワクチンの再接種は、通例の1年間隔より少ない頻度でさえも適切な防御を提供すると思われた。この研究は、再ワクチン接種の適切な間隔を臨床医が判定する有効な情報である。(Sato訳)
■イヌの5つのウイルス抗原に対する血清反応の持続期間
Duration of Serologic Response to Five Viral Antigens in Dogs
J Am Vet Med Assoc 224[1]:55-60 Jan 1'04 Serologic Survey 25 Refs
Douglas E. Mouzin, MS, MBA; Marianne J. Lorenzen, DVM; * John D. Haworth, DVM, PhD; Vickie L. King, PhD
目的:ワクチン接種犬が、最終接種時からの期間を延長し、血清反応陽性を維持、または再ワクチン接種に対し血清学的に反応するかどうかを判定する
構成:血清学的調査
動物:健康な飼育犬322頭
方法:イヌは>2歳で、イヌジステンパーウイルス(CDV)、イヌアデノウイルス-1(CAV-1)、イヌアデノウイルス-2(CAV-2)、イヌパラインフルエンザウイルス(CPIV)、イヌパルボウイルス(CPV)に対するワクチンを接種していた。0日目に過去に接種されていたものと同一ワクチン系統のワクチンを再接種した。血清を0日目(ワクチン前の力価)、5日後-7日後(ワクチン後の力価)に採取し、抗体価を測定した。0日目のCDVに対する血清中和力価>1:32;CAV-1、CAV-2、CPIVに対する血清中和力価>1:16;CPVに対する血球凝集抑制力価>1:80;または再ワクチン接種後の4倍以上の抗体価の増加があれば、血清学的に反応していると考慮した。
結果:力価を持つ、または閾値よりも大きい、または再ワクチンに4倍以上の反応を示したイヌの割合は、CDVで98.1%、CAV-1で98.4%、CAV-2で99.0%、CPIVで100%、CPVで98.1%だった。
結論と臨床関連:多くのイヌで、5抗原すべてにおけるワクチンは、48ヶ月以上持続する反応を引き起こした。効果の証明として等価暴露免疫研究はないが、結果は同ワクチンによる再接種が、通例の1年間隔より頻度が少なくても適切な防御効果を提供すると示唆する。この研究は臨床医に、適切なワクチン接種間隔を判定する助けになる有益な情報を提供する。(Sato訳)
■3つの市販細菌ワクチンのイヌレプトスピラ予防効果の比較
Comparison of the efficacy of three commercial bacterins in preventing canine leptospirosis.
Vet Rec 153[6]:165-9 2003 Aug 9
Andre-Fontaine G, Branger C, Gray AW, Klaasen HL
特定病原体フリーの24頭のビーグルを、4つの群(3つのワクチン群と1つのコントロール群)に振り分け、3種の不活化レプトスピラワクチンの1つを9週、12週齢に接種した。A(バンガード7;Pfizer Sante Animale)、B(ドヒバック7L;Fort Dodge)、C(ノビバック DHPPi+Lepto;Intervet International)で、コントロール群にはノビバックDHPPi(Intervet International)を接種した。2回目のワクチン接種7週間後、全頭にレプトスピラ-インテロガンス血清グループカニコーラを暴露した。全てのワクチン接種犬は、ブースターワクチン接種後、軽度の血清反応(顕微鏡凝集価)を起こした。暴露後、特にコントロールで有意な血清額的反応が観察された。コントロール群への暴露で発熱と臨床的障害が誘発されたが、ワクチン接種群の臨床症状は軽度だった。実験のどの段階でも血液培養でコントロール群全頭、Aのワクチン接種した6頭中1頭、Bの接種した4頭中2頭、Cの接種した6頭中0頭が陽性となった。暴露後2週間のコントロール犬全頭で、尿培養が陽性となった。Aを接種した6頭中1頭、Bを接種した4頭中2頭は暴露後、尿中に細菌を排泄したが、Cを接種したイヌは実験中どの時期にも尿中に細菌を排泄しなかった。(Sato訳)
■2価不活化レプトスピラワクチンを行ったイヌの免疫持続期間
Duration of immunity in dogs vaccinated against leptospirosis with a bivalent inactivated vaccine.
Vet Microbiol 95[1-2]:121-32 2003 Aug 29
Klaasen HL, Molkenboer MJ, Vrijenhoek MP, Kaashoek MJ
現在市販の不活化レプトスピラワクチンの免疫持続期間と、執権感染に対する評価は、今のところほとんど実証されていない。今回の目的は、市販不活化2価レプトスピラワクチンを接種されたイヌの免疫持続期間を評価することだった。
この目的のため、若いイヌに2回ワクチン接種を行い、その2回目のワクチン接種後5週、27週、56週目にレプトスピラ
interrogans serovar canicola と レプトスピラ interrogans serovar icterohaemorrhagiae両方の暴露試験を行った。免疫持続期間を評価するため、凝集性血清抗体価を暴露試験前後に測定し、血液、尿、腎臓からの暴露病原体再分離などパラメーターの変化に対する暴露試験の影響を判定した。2種類の暴露株はコントロール犬に全身感染を引き起こし、canicola株はもっとも病原性が高かった。
異なるパラメーターの結果から、2つのワクチンは2回目の接種後5、27、56週目にcanicola と icterohaemorrhagiaeによる全身感染を、高い割合で防護することが分かった。また56週後、canicolaの腎臓感染に対する免疫レベルが依然高く、結果としてcanicola病原体の尿排泄が証明された。ゆえに、このワクチンスケジュールにのっとったこのワクチンは、両血清型の感染に対し1年間の免疫持続が達成できると結論付けた。(Sato訳)
■2種サブタイプの FIV ワクチンは、生体内の同種および異種サブタイプのFIV分離株両群の猫への感染を防ぐ。
Dual-subtype FIV vaccine protects cats against
in vivo swarms of both homologous and heterologous
subtype FIV isolates.
AIDS. 2001 Jul 6;15(10):1225-37.
Pu R, Coleman J, Omori M, Arai M, Hohdatsu
T, Huang C, Tanabe T, Yamamoto JK.
目的:2種のサブタイプの不活化猫免疫不全ウイルス(
FIV )ワクチンの免疫原性 と有効性を評価すること。
計画:特定の病原体をもっていない猫(SPF猫)に2種サブタイプ(subtype
A FIV(Pet)およびsubtype D FIV ( Shi ))のワクチンで免疫性を与え、生体内および生体外由来のFIV接種による暴露を行った。
方法:2種サブタイプのワクチネーション、単一サブタイプのワクチンネーションそしてプラシーボによる免疫性を与えられた猫に、生体内由来の異種サブタイプB
FIV(Bang) [10--100 50% の猫が感染する投与量
(CID(50))]、生体内由来同種FIV(Shi)(50 CID(50))、生体内および生体外由来同種FIV(Pet)(20--50
CID(50))による暴露をおこなった。 2種サブタイプのワクチンの免疫原性と有効性を評価し、単一サブタイプ株ワクチンと比較した。
FIV 感染は、末梢血単核細胞とリンパ組織のウイルス分離およびプロウイルスのPCRによって確かめた。
結果:プラシーボの免疫性を与えられた全ての猫が感染したのに対して、2種サブタイプのワクチン注射をされた5頭うち4頭が、低用量
FIV (Bang) (10 CID(50))と、引き続き行われた生体内由来FIV(Pet)
(50 CID(50))の暴露に対して防御されました。さらに、2種サブタイプのワクチンは、単一サブタイプのワクチン接種をうけた8頭のうち7頭が感染した高用量
FIV(Bang)(100 CID(50))の暴露に対しても、5頭のうち2頭の猫を防御しました。生体内由来FIV(Pet)に対し、2種サブタイプワクチンを接種した全ての猫は防御されましたが、単一サブタイプのワクチンを接種した猫では、5頭のうち1頭しか防御されませんでした。
2種サブタイプのワクチン接種は、広域スペクトラムウイルス中和抗体およびFIV
特定の perforin mRNA レベルの上昇とともにFIV
特定のインターフェロンガンマ応答を誘発しました。このことは、
キラー細胞活性が増した事を示唆しています。
結論:2種サブタイプのワクチン接種を受けた猫は、同種および異種生体内由来のFIV
サブタイプに対して、広域スペクトラム液性と細胞免疫性を発達させ、感染を防ぎました。結果、複数サブタイプの坑原蛋白ワクチンはエイズウイルスに対して効果的な予防策であることが示唆されました。(Dr.Shingo訳)
■猫における、ワクチン接種の実施、ワクチン接種後の副反応、そしてワクチン接種部位関連肉腫に関するインターネットによる調査
Glenna M. Gobar, DVM, MPVM, MS, and Philip
H. Kass, DVM, PhD, DACVPM; J Am Vet Med Assoc
220[10]:1477-1482 May 15'02 Survey 8 Refs;
World Wide Web-Based Survey of Vaccination
Practices, Postvaccinal Reactions, and Vaccine
Site-Associated Sarcomas in Cats
目的:猫における、ワクチネーション実施、ワクチン接種後の副反応、そしてワクチン接種部位関連肉腫の発生率を数量化することです。
計画:疫学調査。
動物:ワールド・ワイド・ウェブ通信を用いて、アメリカ合衆国とカナダで、獣医師によりワクチネーションした31,671頭の猫。
手順:投与したワクチン、ワクチン後の副反応、ワクチン接種部位関連肉腫、そしてそれぞれの肉腫に関する経緯と詳細情報に関するデータを報告する為に、安全なウェブ調査形式を用いました。データは、1998年1月から2000年12月までの間に収集し、ワクチン接種猫の1〜3年の追跡を見込んだ。
結果:参加者は、31,671頭の猫に61,747ドーズのワクチンを接種しておりました。ワクチン後の炎症反応は、73頭の猫に発生し(ワクチン10,000本あたり11.8件の副反応)、ワクチン接種部位関連肉腫と認定されたものは、2頭の猫で発生しました(10,000頭あたり0.63件の肉腫、全ワクチン10,000本あたり0.32件の肉腫)。
結論と臨床関連:これらの結果は、ワクチン接種部位関連肉腫の発生率は低く、増大していないということを示唆しております。肉腫の発生を減少させる最も良い方法は、依然として特定ワクチンの関連リスクと有益性を注意深く考慮することです。悪性挙動が明白、または4ヵ月以上持続しない限り、ワクチン後の肉芽腫を切除する必要はありません。(Dr.K訳)
■ワクチン接種したワラマイナーの同腹子犬における、肥大性骨形成異常の発現と抗体反応
Harrus S et al; J Small Anim Pract 43[1]:27-31
2002 Jan; Development of hypertrophic osteodystrophy
and antibody response in a litter of vaccinated
Weimaraner puppies.
10頭のワラマイナーの同腹子犬において、2つの異なるワクチン接種プロトコールを、肥大性骨形成異常(HOD)(または骨幹端骨症と呼ばれる)の発現と、免疫化の有効性に注目して比較しました。5頭の子犬(グループ1)には、弱毒生犬パルボワクチン(CPV)と、その2週後に、レプトスピラと混合した、弱毒生犬ジステンパーウイルスと、弱毒生アデノウイルス2型の3価ワクチン(DHL)を接種しました。CPVとDHLワクチン接種プロトコールは、2週間隔で、さらに2回投与を行いました。グループ2には、レプトスピラと混合した、弱毒生犬ジステンパーウイルス、弱毒生パルボウイルス、弱毒生パラインフルエンザ、そして弱毒生アデノウイルス2型の多価ワクチンを、4週間隔で、3回連続接種を行いました。子犬はすべて8週齢で初回ワクチン接種を行いました。
研究期間中、グループ2における、5頭全ての犬が肥大性骨形成異常を発現したのに対し、グループ1では、3頭の犬で、肥大性骨形成異常の発現が認められました。グループ2では、グループ1より肥大性骨形成異常の発症が多いという結果になりました。グループ1の子犬は、グループ2と比較して、ジステンパーと、パルボウイルスに対する高い抗体価を発現しました。10頭のうち2頭だけ、パルボウイルスに対する保護的な抗体価を発現しました。この研究の結果は、2つの異なるワクチン接種プロトコールが、このワラマイナーの同腹子犬において、肥大性骨形成異常の出現パターンと、免疫化に影響したという事を示唆します。入手した結果と、以前に、報告されたデータは、ワラマイナーの子犬における肥大性骨形成異常と免疫化に関して異なるワクチン接種プロトコールの影響を解明するため、さらに大きなコントロール研究が必要であるということを示唆します。(Dr.K訳)
■アメリカとカナダでの犬におけるレプトスピラ症の罹患率と危険要因
Michael P. Ward, BVSc, MPVM, PhD; Lawrence
T. Glickman, VMD, DPH; Lynn F. Guptill, DVM,
PhD, DACVIM;J Am Vet Med Assoc 220[1]:53-58
; Prevalence of and Risk Factors for Leptospirosis
Among Dogs in the United States and Canada:
677 Cases (1970-1998)
目的:アメリカとカナダの犬に対するレプトスピラ症の罹患率の経時的な変化をみること、および、年齢、性別、犬種が罹患の危険因子であるかの決定を行う。
デザイン:回顧調査
供試動物:1970〜1998年までに22の獣医教育病院を訪れ検査を行った1819792頭の犬。
方法:レプトスピラ症と診断された犬のカルテを検索し罹患率を求めた。レプトスピラ症と罹患犬の年齢、性別、犬種の関連性をロジスティック解析で検討した。
結果:レプトスピラ症と診断されたものは677頭であった。つまり、獣医教育病院で検査を行った10万頭につき37頭の割合であった。1983年〜1998年の間にレプトスピラ症の罹患率が、かなりの増加を示した。オスはメスに比べて著しく感染の割合が高かった。4〜6.9歳および7〜10歳の犬は、1歳以下よりもはるかに感染率が高かった。牧羊犬、ハウンド、使役犬およびミックス犬種は、家庭飼育犬よりはるかに感染率が高かった。
結果および臨床的意義:1983年以降、アメリカとカナダではレプトスピラ症は著しく増加している。使役犬および牧洋犬のオス犬は感染の危険性が他のものに比べると高い。(Dr.Tako訳)
コメント:「予防医学のストラテジー」(医学書院)によりますと「予防目的で薬を長期間服用することは、ハイリスクグループにおいてのみ正当化されうるのです。明らかに実質的な効果があるとわかる場合を除いて、個人にとってどれほどわずかであろうと、危険のレベルがどの程度高くなれば、危険が薬の効果への期待を超えるのか、判断する方法は私たちにはありません。」とあります。
ここでは薬の服用について書いてありますが、レプトスピラのワクチンも副作用はあります。
使役犬ではない家庭飼育の犬の場合、どこまでレプトスピラワクチンを接種する必要があるのでしょうか。
理性的な専門家の意見を聞きたいものです。