■犬の急性自発性腹腔内出血の外科的治療を行った89頭と内科治療した79頭の血液製剤使用と結果
Outcomes and Blood Product Use in 89 Surgically Managed and 79 Medically Managed Cases of Acute Spontaneous Hemoperitoneum in the Dog
Front Vet Sci. 2021 Oct 8;8:736329.
doi: 10.3389/fvets.2021.736329. eCollection 2021.
Leah Veronica Wright , Michelle Renwick , Rachel W Y Soh , Nicole R Fan , Anna J Tebb , Yenny H Indrawirawan

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目的:来院から12時間のうちに外科あるいは内科管理で治療した急性自発性腹腔内出血(ASH)の犬の集団を述べ、早期(<12時間)外科vs.内科管理で治療した犬の間で心血管安定化を達成あるいは赤血球(RBC)輸血のパターンに違いがあるかどうかの予備的調査を実施する

計画:2015年1月から2019年5月までにASHで来院した168頭の犬で、回顧的多施設予備研究を実施した。最初の12時間以内に安楽死あるいは退院、また臨床的記録が不完全な場合は除外した。全ての犬は、適切な医療的安定化の試みを受けた。統計学的解析は早期(<12時間)手術を行った犬と、そうでない犬で比較するために実施した。

結果:89頭の犬は早期手術群で、79頭の犬は内科群だった。有意により高い比率の内科症例は安楽死された(p<0.001)。有意により高い比率の早期手術症例は退院した(p=0.005)。心血管安定化の達成において群間の統計学的有意差はなかった(OR1.07 p=0.82)。体重20kg以上の犬は、10kg未満の犬よりも12時間以内に安定化を達成する比率がより高かった(62.7%vs.41.4%、p<0.01)。脾臓の疾患がある犬は、非脾臓の状況の犬よりも安定化に達する比率がより高かった(56.5vs.28.6%、p=0.05)。RBCの輸血を受けた比率は、内科群よりも早期手術群で高かった(OR3.81)(p<0.001)。

結論:この予備研究で、早期手術介入を行ったASHの犬vs.内科で管理したASHの犬で心血管安定化の達成能力に有意差は確認されなかった。早期手術群の犬は、内科群よりもRBC輸血を受ける確率が高かった。この時点で、内科あるいは早期外科治療を行うかどうかの決断は、ケースバイケースでなすべきである。(Sato訳)
■脱水の犬の酸塩基状態、電解質濃度、血中乳酸濃度に対する酢酸含有液と乳酸含有液の影響
Influence of acetate containing fluid versus lactate containing fluid on acid-base status, electrolyte level, and blood lactate level in dehydrated dogs
Vet World. 2021 Oct;14(10):2714-2718.
doi: 10.14202/vetworld.2021.2714-2718. Epub 2021 Oct 24.
Annika Heitland , Ute Klein-Richers , Katrin Hartmann , René Dörfelt

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背景と目的:酢酸あるいは乳酸緩衝、平衡等張再水和液は、犬の輸液療法で一般に使用され、酸塩基および電解質状態に影響するかもしれない。この研究の目的は、脱水している犬に、酢酸あるいは乳酸を含む静脈用再水和液を投与後、酸塩基状態、電解質濃度、乳酸濃度を評価することだった。

素材と方法:この前向き無作為化研究に、90頭の脱水した犬が含まれ、無作為に酢酸(Sterofundin® ISO B. Braun Vet Care (STERO), Germany)あるいは乳酸(Ringer-Lactat-Lösung nach Hartmann B. Braun Vet Care (RL), Germany)が含まれる再水和用静脈溶液を投与した。除外基準は:6ヶ月齢未満、肝不全、鬱血性心不全、極度の電解質異常だった。身体検査、静脈血液ガス、乳酸濃度を脱水前後で分析した。2群はt検定およびカイ二乗検定で比較した。有意レベルはp≦0.05とした。

結果:再水和後の心拍数は、STERO群で低下した(p<0.001)が、RL群ではそうではなかった(p=0.090)。乳酸濃度は両STERO(p<0.001)およびRL(p=0.014)群で低下した。ナトリウムおよびクロール濃度は、STERO群(p<0.001;p<0.001)およびRL群(p=0.002;p<0.001)で再水和中に上昇した。RL群に比べSTERO群の乳酸濃度はより大きく低下した(p=0.047)。

結論:両液体は、ナトリウムおよびクロール濃度を軽度上昇させ、乳酸濃度を低下させた。酢酸を含む液体は、乳酸濃度を低下させる効果が劣っていた。(Sato訳)
■低血圧の猫において静脈輸液蘇生の有効性:82症例(2012-2019)
Effectiveness of intravenous fluid resuscitation in hypotensive cats: 82 cases (2012-2019)
J Vet Emerg Crit Care (San Antonio). 2021 May 20.
doi: 10.1111/vec.13075. Online ahead of print.
Nolan V Chalifoux , Rebecka S Hess , Deborah C Silverstein

目的:救急診療現場において低血圧の猫における静脈内輸液蘇生の有効性を評価する。2つ目の目的は、輸液蘇生の反応で心拍数(HR)、体温(BT)の変化を調査し、それらの変化と猫の生存との関連を調査した。

デザイン:回顧的研究

場所:大学教育病院

動物:低血圧を確認した82頭の猫

介入:なし

測定値と主要結果:2012年から2019年の医療記録で、救急治療室において全身性動脈低血圧(ドップラー超音波血流プローブ(DBP)で測定した血圧<90mmHg)が証明された猫を検索した。収集したデータは、猫の特徴、輸液蘇生前後のDBP、HR、BT、投与した輸液のタイプと量、結果を含めた。
全ての猫の輸液蘇生療法前後のDBP中央値は、65mmHg(範囲、20-85mmHg)と80mmHg(範囲、20-128mmHg)、(P<0.001)だった。しかし、輸液蘇生に反応したと分類されたのは30頭だけだった(ボーラス療法後のDBP≧90mmHg)。輸液蘇生療法前の平均HRとBT中央値は、259回/分と36.7℃だった。輸液蘇生後に測定した平均HRおよびBT中央値は、154回/分(P=1.00)と35.9℃(P=1.00)だった。反応した猫と反応なしの猫の間で、HRとBTに有意差は確認できなかった。猫の生存率は7%と低かった。全ての生存した猫(n=5)は、非生存猫の45%のみと比較して、当初は徐脈(HR<160回/分)だった(P=0.4)。

結論:ボーラス輸液蘇生は、低血圧の猫の血圧を効果的に上昇させた;しかし、症例の多くにおいて、血圧、HR、BTを正常化させない。(Sato訳)
■40頭の重篤な猫における5%ヒト血清アルブミン投与後の臨床的過敏症反応の前向きレビュー
Prospective Review of Clinical Hypersensitivity Reactions After Administration of 5% Human Serum Albumin in 40 Critically Ill Cats.
Top Companion Anim Med. June 2019;35(0):38-41.
DOI: 10.1053/j.tcam.2019.03.004
Fabio Viganó , Costanza Blasi , Nike Carminati , Elisabetta Giudice

この前向き研究で、5%ヒト血清アルブミン(HAS)投与中および投与後の40頭の低アルブミン血症の重篤な猫において、即時及び遅延臨床過敏症反応の有無を評価する。また、HASの既知の暴露がない低アルブミン血症の20頭の重篤な猫(コントロール群)も、偽の過敏症反応を起こしえる基礎疾患に関連した全ての臨床症状を強調させるためにチェックした。

危篤状態の猫に対し、2mL/kg /hで5%HASの10-20mL/kgでの投与で0、7、14、21、28日目にタイプIおよびIIIの過敏症反応の臨床症状は誘発されず、25%HASによる過去の所見とは違っていた。(Sato訳)
■健康犬において血糖値に対しコーンシロップあるいは50%ブドウ糖の経粘膜投与の速効性
Immediate effect of transmucosal application of corn syrup or 50% dextrose solution on blood glucose concentrations in healthy dogs.
J Vet Emerg Crit Care (San Antonio). 2019 Oct 18. doi: 10.1111/vec.12897. [Epub ahead of print]
Holt RL, Gordon JM, Ruaux C.

目的:健康犬の血糖値に対し、コーンシロップおよび50%ブドウ糖の粘膜投与の評価と定量と、低血糖の治療に対し広く使用されるための有効性の評価

デザイン:無作為化対照試験

場所:獣医教育病院

動物:健康で1歳以上、体重5kg以上、正常な身体検査及び生化学値の飼育犬12頭

介入:犬を最低12時間絶食した。一度、正常な身体検査および生化学値を確認し、連続血液採取のために末梢静脈にIVカテーテルを設置した。各犬が自身をコントロールとし、無作為に決めた3つの処置の1つを実施した。処置は、市販のコーンシロップ(Karo light syrup)、水(コントロール)、50%ブドウ糖を1ml/kgの用量で粘膜投与した。血糖値はpoint-of-careグルコメーターで測定した。血液は処置直前と5-、10-、15-、20-、30-、60-分間閣で採取した。

結果:全ての処置はよく許容し、有害事象は観察されなかった。コントロールと比べ、血糖値の統計学的に有意な上昇は、コーンシロップと50%ブドウ糖群の15-、20-、30-、60分タイムポイントで観察された。

結論:処置した動物の血糖値に対する有意な効果は、濃縮ブドウ糖液の投与後15分まで観察されなかった。このことから、より重度な低血糖患者において、非経口のブドウ糖投与が必要と思われる。(Sato訳)
■健康犬への中心静脈カテーテル開通性維持に対するヘパリン入り生食と0.9%食塩水の比較
Comparison of heparinized saline and 0.9% sodium chloride for maintaining central venous catheter patency in healthy dogs.
PeerJ. 2019 May 31;7:e7072. doi: 10.7717/peerj.7072. eCollection 2019.
Vose J, Odunayo A, Price JM, Daves M, Schildt JC, Tolbert MK.

背景:この研究の目的は、犬の中心静脈カテーテル(CVCs)の開通性の維持において、0.9%食塩水に比べ、ヘパリン入り生食(HS)がより効果的なのかどうかを調べることだった。これは、獣医教育病院で行った前向き無作為化盲検である。

方法:24頭の健康な研究用の犬を無作為に2群に分けた:処置群とコントロール群。CVCを各犬の経静脈に設置した。処置群の犬は、10IU/mL HSで、コントロール群のCVCは0.9%食塩水で6時間毎に72時間までフラッシュした。フラッシュ直前に、各カテーテルの開通性を血液の吸引により評価した。6時間毎に各犬のカテーテル部位の静脈炎も評価し、直腸温も測定した。プロおロンビン(PT)と活性化部分トロンボプラスチン(aPTT)時間は、全てのフラッシュ液投与前に評価した。その後、結果は72時間後に得た値を比較した。

結果:両群の全てのCVCsは72時間後開通しており、それは血液の吸引とカテーテルのフラッシュの容易さで証明した。0.9%食塩水群の2つのCVCsは、それぞれ12時間と36時間目に吸引できなかった。HS群の1つのCVCは18時間目に吸引できなかった。静脈炎の症状は3頭で見られた:2頭は0.9%食塩水群で1頭はHS群だった。高体温(>103°F)の犬はいなかった。研究中、2つのカテーテルは犬によって不注意に外された。

2群間でカテーテルの開通性、静脈炎の発生、あるいは吸引不可能の発生に有意差はなかった。両群の全ての犬のaPTTとPT値は正常な参照範囲内を維持した。

最後に、健康な犬において、72時間までCVCsの開通性維持において、0.9%食塩水は10IU/mL HSと同様に効果的だった。臨床的開通性に対する追加研究が必要である。(Sato訳)
■小児患者の輸液療法
Fluid Therapy for Pediatric Patients.
Language: English
Vet Clin North Am Small Anim Pract. March 2017;47(2):373-382.
Justine A Lee , Leah A Cohn

若い子犬や子猫は輸液療法に関し独特の生理学的必要性があり、水和、脈管液体量、電解質障害、低血糖に向かうべきである。
小児患者は成体よりも液体必要性が高く、軽度脱水から循環血液量減少まで急速に進行する可能性がある。同時に、彼らの小ささから、現実に起こり得るものとして水分過剰がある。

大きい動物で使用するカテーテルの設置が難しいこともあり、患者の大きさは液体投与を複雑にする。新生児、あるいは小児患者で使用する液体投与のルートは、経口、皮下、腹腔内、骨内、静脈内が含まれる。臨床医は各ルートの賛否を知っておくべきである。(Sato訳)
■犬の死体で頚静脈に対し骨内カテーテル設置までの時間の比較
Comparison of time to obtain intraosseous versus jugular venous catheterization on canine cadavers.
Language: English
J Vet Emerg Crit Care. September 2017;27(5):506-511.
Alison R Allukian , Amanda L Abelson , Jonathan Babyak , Elizabeth A Rozanski

目的:犬の死体で経静脈カテーテル(IV)に対し、上腕骨内(IO)カテーテルの設置で、異なる経験レベル4人の必要とした時間と成功率を比較する

計画:前向き研究

場所:獣医大学教育病院

処置:2014年5月から12月に安楽死された犬の死体を、死体ドネーションプログラムから入手した。様々な臨床経験を持つカテーテル設置者(catheter palcer:CPs)には1年目の救命救急レジデント、シニアの救命救急ベテリナリーテクニシャン(VTS認定)、最終学年の獣医学生、ACVECC専門医が含まれ、この研究に参加した。各CPは合計6頭の犬に、それぞれ自動回転穿刺デバイス(EZ-IO gun)と静脈cut-down法を用い、合計6 IOと6 IVカテーテル設置を行った。IOカテーテル設置およびIVカテーテル設置までの時間を記録し、比較した。IOカテーテル設置とIVカテーテル設置の成功率を、透視下で骨髄腔あるいは血管内にヨード造影剤の注射で視認化することにより確かめた。

動物:24頭の犬の死体

測定値と主要結果:Wilcoxon rank-sum test と Kruskal-Wallis one-way analysis of varianceで結果を解析した。全IOカテーテル設置者による設置時間の中央値は、IVカテーテル設置者の217.3秒(範囲55.6-614秒)と比較して、より速く55.4秒(範囲15.0-153.0秒)だった。IOとIVの成功率は等しく87.5%だった。

結論:犬の死体において自動回転穿刺デバイスを用いた骨内カテーテル設置は、cut-down法を用いた経静脈カテーテル設置よりも迅速でうまく実施できた。それらの所見は既存のIVアクセスがない場合、IOカテーテル設置が適した緊急臨床状況において脈管アクセスを得る為に、より効果的かもしれないと示唆する。(Sato訳)
■2013年から2015年の間にヒドロキシエチルスターチ130/0.4で治療した犬の血清クレアチニン濃度と急性腎傷害(AKI)グレードの変化
Changes In Serum Creatinine Concentration And Acute Kidney Injury (AKI) Grade In Dogs Treated With Hydroxyethyl Starch 130/0.4 From 2013 To 2015.
Language: English
J Vet Intern Med. March 2017;31(2):434-441.
N E Sigrist , N Kalin , A Dreyfus

背景:ヒドロキシエチルスターチ(Hydroxyethyl starch:HES)液はヒトの急性腎傷害(acute kidney injury:AKI)の原因になるかもしれない。

目的:6%HES-130/0.4を投与した犬94頭と投与していない犬90頭のAKIグレードを比較する

動物:2013年から2015年の間に6%HES-130/0.4を投与された犬(HES集団)あるいは晶質液を投与された犬(非投与集団)。

方法:既存コホート研究。診断、投与したHESの総蓄積量と総mL/kg、HES投与のタイムフレーム、HES治療の開始後90日までの血清クレアチニン濃度を回顧的に再調査した。IRISガイドラインに従ってAKIグレードを回顧的に判定した。

結果:投与された犬は、中央値4日(範囲1-16日)かけて蓄積量中央値69.4mL/kg(範囲、2-429mL/kg)HESで、結果投与量中央値は20.7(範囲、2-87)mL/kg/dだった。コホートは年齢と診断の面で異なったが、短期、長期タイムポイントを評価時にAKIグレードに有意差はなかった。順序ロジスティック回帰の結果からHES投与日数は10日以内のAKIグレードで増加に有意に関係すると確認したが(P=0.038)、HES投与、HES mL/kg/d、AKIグレードの増加の中に有意な関連はなかった。

結論と臨床意義:HESを投与していない犬と比べて、HES-130/0.4を投与した犬はよりAKIを発症するという傾向はなかったが、HESの日数はHES投与後10日以内のAKIグレードの増加に有意に関係した。HES投与のタイムフレームは、短期に留めるべきである。前向き無作為臨床試験が犬の腎機能に対するHESの影響を調べるために必要である。(Sato訳)
■猫の鎮静下および非鎮静下で行った供血中の予期せぬ出来事の回顧的評価(2010-2013)
Retrospective evaluation of unexpected events during collection of blood donations performed with and without sedation in cats (2010-2013).
Language: English
J Vet Emerg Crit Care. September 2017;27(5):555-560.
Kerry S Doolin , Daniel L Chan , Sophie Adamantos , Karen Humm

目的:鎮静をかけた、あるいは鎮静をかけていない猫において、供血中に起こる予期せぬ出来事(unexpected events:UEs)を述べる

計画:回顧的観察研究(2010-2013)

場所:大学教育病院

動物:供血プログラムに参加した健康な個人飼育の猫

介入:なし

測定と主要結果:輸血に対する採血を32頭の猫で115回実施した。70回の採血は鎮静をかけてない猫で、45回は鎮静下の猫で行った。各採血において、採血する予定の血液量、採血した正確な血液量、鎮静プロトコール、供血にまつわる全てのUEを記録した。6つのカテゴリーのUEsがあった:供血中の動き、ドナーの不安、不適切な採血量、頚静脈に関連するUEs、追加の鎮静の必要性、心肺窮迫。鎮静下の猫と鎮静をかけていない猫のUEsの頻度をフィッシャーの正確確率検定で比較した。
UEsは115回中54回で記録された。ドナー集団の中で、UEとして報告された動きは鎮静下の猫で0頭、鎮静なしの猫で24/70頭(34.3%)だった(P<0.001)。ドナーの不安は、鎮静下の猫で2/45頭(4.4%)、鎮静をかけていない猫で14/70頭(20.0%)だった(P=0.014)。鎮静をかけていない猫で、不適切な採血量、頚静脈関連UEs、あるいは心肺窮迫の確率が増えるということはなかった。鎮静下の猫45頭中8頭(17.8%)は追加の鎮静を必要とした。

結論:鎮静をかけていない猫で採血中の動きや不安症状がより多く見られた。それらは小さな問題と考えられ、優しく拘束された鎮静をかけていない猫で予測された。鎮静をかけていない猫のドナーからの血液採取は、実行可能な鎮静下のドナーの代替法である。(Sato訳)
■傷害の患者の輸液管理:自由なアプローチに対し制限
Fluid Management in Patients with Trauma: Restrictive Versus Liberal Approach.
Language: English
Vet Clin North Am Small Anim Pract. March 2017;47(2):397-410.
Lee Palmer

大量出血は、外傷性の死亡の主要原因のままである。理想の輸液蘇生法は多くの議論がある。どの方法が理想かに関する相対する結果が研究で提供されている;最適な輸液の種類、タイミング、量はわかりにくいままである。積極的な大量の蘇生法は、コントロールできている出血性動物モデルの基に頼みの綱である。コントロールされていない出血性ショックに対し、大まかな輸液蘇生法は死の三徴候を悪化させ、蘇生傷害を呼び起こし、死亡率が増すが、より制限のある輸液法は傷害誘発の凝固障害を改善する傾向があり、より生存のチャンスが出る。この文献は、外傷に対する自由及び制限の輸液法について現在のエビデンスを論じる。(Sato訳)
■心肺蘇生中の重度貧血の猫の左室に犬の濃厚赤血球とエピネフリンの超音波ガイドによる心臓内異種間輸血
Ultrasound-guided intracardiac xenotransfusion of canine packed red blood cells and epinephrine to the left ventricle of a severely anemic cat during cardiopulmonary resuscitation.
Language: English
J Vet Emerg Crit Care. March 2017;27(2):218-223.
Liron Oron , Yaron Bruchim , Sigal Klainbart , Efrat Kelmer

心肺蘇生(cardiopulmonary resuscitation:CPR)中の重度貧血の1頭の猫の左室に、超音波ガイドによる犬の濃厚赤血球(packed red blood cells:pRBC)の心臓内異種間輸血の使用を述べる

症例概要:8歳の健康な避妊済みメス猫が、1か月の家出後に重度虚弱を呈した。来院時、猫は循環血液量減少性ショック、横臥状態、大量のノミ寄生による重度貧血だった。入院から数分以内に猫は瀕死となり、心肺停止となった。即座にCRPを開始し、CPR中にIVアクセスを得ようとしたが出来なかった。猫の血液型が不明だったため、超音波ガイドを使用し犬のpRBC10mlを左室腔に直接輸血し、同様の方法で0.02mg/kgのエピネフリンも投与した。猫は心臓活動を取り戻し、頚静脈にカニューレを挿入し、追加の20mLの犬のpRBCを静脈内投与した。心臓内輸血後のPCVとTPはそれぞれ9%と3.0g/dLだった。その後その猫の血液型はB型と判明した。猫はCPRから3日後に退院し、退院から3か月目も元気に生活している。

新規あるいは独特な情報:これはCPR中に超音波ガイドにより心臓内に犬から猫の異種間輸血を行った最初の報告症例である。(Sato訳)
■2シリンジ法を用いた犬の自家輸血
Autotransfusion in dogs using a 2-syringe technique.
Language: English
J Vet Emerg Crit Care. November 2016;26(6):766-774.
Duane A Robinson , Kristina Kiefer , Rachel Bassett , Jane Quandt

目的:4頭の犬において2シリンジを用いた自家輸血法の使用成功例を述べる。

ケースシリーズ概要:このシリーズの犬全て4頭は腹腔内出血で、その後循環血液量減少性ショックとなった。手術中、血液は外科医が腹腔から集め、助手に預けた。それから血液を直接IV投与するために、2個目のシリンジに移した。血液は患者に到達する前にインライン血液フィルターを通過させた。輸血量と概算投与時間から3症例は大量輸血に分類された。4頭全て輸血で生存し、手術/輸血から3日以内に退院し、合併症は見られなかった。
新規あるいは独特の情報:このケースシリーズは、腹腔内出血および循環血液量減少性ショックの患者に自家輸血を行う比較的単純な方法を述べる。(Sato訳)
■麻酔下の犬と猫における動脈カテーテルの使用調査:267症例
A survey of the use of arterial catheters in anesthetized dogs and cats: 267 cases.
J Vet Emerg Crit Care (San Antonio). 2016 Sep 27. doi: 10.1111/vec.12543. [Epub ahead of print]
Trim CM, Hofmeister EH, Quandt JE, Shepard MK.

目的:麻酔下の犬と猫の動脈カテーテル挿入の臨床的実施を述べること、動脈カテーテルの合併症を考証する、合併症に関係するリスクファクターを決定する

計画:前向き臨床研究とカルテの回顧的評価

場所:大学教育病院

動物:血圧モニタリングのために動脈カテーテル挿入の臨床処置に対し麻酔をかけた犬(n=251)と猫(n=13)

介入:なし

方法と主要結果:麻酔時に動物とカテーテルの詳細を収集した。次の日にカテーテル部位を異常が無いか触診と観察を行い、合併症について回顧的に全ての動物のカルテを再調査した。
カテーテル設置の詳細は、216カテーテルで得られた:158カテーテルは足背動脈、50カテーテルは正中尾(尾骨)動脈、6は正中動脈、1は頭側頚骨と舌動脈だった。麻酔終了前に、血圧は200のカテーテルで測定でき、12はできなかった。112のカテーテルから得られた術後の観察データによると、73部位は動脈拍を触知でき、21部位は触知できないと述べていた。動脈閉鎖に対するリスクファクターは確認されなかった。カルテ中に動脈カテーテル設置から起こる合併症は書かれていなかった。

結論:動脈カテーテル設置は、研究した動物の94頭中21頭(22.3%)に術後触知できる脈拍が無くなっていたが、この研究の全ての動物のカルテにおいて、組織の虚血の所見は見られなかった。それらの結果は、足背動脈あるいは尾骨動脈でのカテーテル挿入は、合併症の高いリスクと関係しなかったことを示唆する。しかし、術後の動脈閉鎖の経過は、更なる調査を必要とする。(Sato訳)
■健康で正常血液量の猫の生化学パラメーターに対するラクトリンゲル液の皮下投与の影響に関する予備研究
Pilot study on the effect of subcutaneous administration of lactated Ringer's solution on biochemistry parameters in healthy euvolemic cats
Vet Med Sci. February 2016;2(1):47?53. 27 Refs
M Ryan Smith; Rebecca J Greer

皮下輸液は動物診療で一般に使用される治療である。その安全性と有効性はヒトの臨床研究で証明されているが、獣医の文献で論じられることはあまりない。

この前向き観察研究は、健康な猫へのラクトリンゲル液の皮下投与に関係する血清生化学の24時間の変化を評価するため行った。
ラクトリンゲル液を正常血液量の健康な猫に1回22mL/kg皮下投与した。血液生化学検査用血液を基準点と24時間までの連続タイムポイントで採取した。各タイムポイントの生化学検査値の変化は基準値と比較し、統計学的有意性を評価した。

BUNは皮下投与から4、6、12、18、24時間後で有意に基準より低かった。血清クレアチニンは2、4、6時間目で基準より有意に低かった。PCVは6、12、18、24時間後で基準より有意に低かった。総血漿タンパク値は全てのタイムポイントで基準より有意に低かった。血清電解質は全てのポイントで基準と変化が見られなかった。尿比重は投与から6時間後でのみ、基準から有意な増加が見られた。

臨床的に健康な正常血液量の猫に対するラクトリンゲル液の皮下投与は、血清電解質濃度に最小限の変化しか見られない血液希釈を起こすと思われる。(Sato訳)
■犬におけるヒドロキシエチルスターチ(HES 10% 250/0.5/5:1)投与後の急性腎傷害と死亡の発生における回顧的コホート研究(2007-2010年)
Retrospective cohort study on the incidence of acute kidney injury and death following hydroxyethyl starch (HES 10% 250/0.5/5:1) administration in dogs (2007-2010).
J Vet Emerg Crit Care (San Antonio). 2015 Nov 20. doi: 10.1111/vec.12412.
Hayes G, Benedicenti L, Mathews K.

目的 疾患重症度を考慮し、10%HESを投与されたICUに来院した犬の中で、急性腎傷害 (AKI)と死亡を含む入院中の副作用の発生を、一般的にICUに来た症例と比較することで明らかにすること

研究デザイン 2007年1月から2010年3月に実施したコホート研究

実施場所 獣医教育病院

動物 HESの投与をうけた犬の連続したサンプル(n=180)を、同時期にICUに来院した犬のランダムに選択したサンプル(n=242)と比較した。

結果 AKIはクレアチニンの基礎値より少なくとも2倍以上上昇した場合か、12時間以上続く乏尿または無尿になった場合と定義した。主な結果は、院内での死亡またはAKIの複合である。急性患者の生理的および実験室的評価(APPLEfast)スコアおよび他の交絡因子を使用して、疾患重症度を考慮した非修正分析および修正分析を行った。
HESは、漸増ボーラス(中央値 8.2ml/kg/日、四分位範囲 5.0-11.3ml/kg/日)かCRI(中央値 26ml/kg/日、四分位範囲 24.0-48ml/kg/日)で投与した。
非修正分析では、HES投与は、致死率のリスクおよびAKIが増加することと関連していた(それぞれオッズ比2.33、95%信頼区間1.51-3.58, P<0.001、およびオッズ比3.87、95%信頼区間1.21-12.37, P=0.02)。疾患重症度、来院の種類、血液製剤の併用を考慮した修正分析でも、HES投与は、複合した副反応の独立したリスク因子であり(オッズ比1.98、95%信頼区間1.22-3.22, P=0.005)、有害必要数(NNH)は6であった(95%信頼区間 4-23)。

結論 HES療法は、犬においてAKIや死亡といった副反応のリスクの増加と関連している。犬の症例においてHES療法の安全性を調査する無作為対照試験が必要である。(Dr.Taku訳)
■犬における急性の輸血反応の発生に対する前投与と他の因子の影響
Effect of premedication and other factors on the occurrence of acute transfusion reactions in dogs.
J Vet Emerg Crit Care (San Antonio). 2015 Jun 24. doi: 10.1111/vec.12327.
Bruce JA, Kriese-Anderson L2, Bruce AM2, Pittman JR1.

目的 犬において血液製剤の投与24時間内の投与反応 (TR)に対する前投薬の影響を評価すること

デザイン 2008-2011年の間の回顧的研究

場所 個人の紹介動物病院

動物 558頭における935の投与における反応

治療介入 なし

測定結果と主な結果 血液製剤の投与をうけた犬のカルテを調査した。集めた情報としては、シグナルメント、体重、血液製剤の種類、投与の理由、1回目の投与か2回目以降の投与か、急性の反応が生じたかどうか、反応の種類、その反応を治療したかどうか、前投与薬、投与されていた他の薬剤、免疫介在性疾患をもっていたかどうか、周術期に投与が行われたかどうか、などである。

144 (15%)の急性のTRが136頭の犬において認められた。もっとも多かったTRは、発熱のみ(144頭中77頭、53%)および嘔吐のみ(144頭中26頭、18%)であった。TRによって6頭(4%)の犬が死亡した。TRは、年齢 (P=0.257)、性別(P=0.754)、体重(P=0.829)、前投与(P=0.312)とは関連していなかった。投与された血液製剤の種類が、有意にTRと関連しており(P<0.001)、濃厚赤血球がもっともTRが多く、血漿が最も少なかった。免疫疾患はTRの発生と有意に相関していた(P=0.015)。周術期における投与は、反応が生じることが有意にすくなかった(P=0.023)。

結論 多くのTRは軽度のものであるが、溶血、呼吸困難、6頭の死亡のような重症な反応も生じた。周術期における投与は反応が起きる可能性が低かったが、免疫介在性疾患はTRの発症と相関していた。濃厚赤血球の投与は、急性のTRの発症と関連していた。TRの全体の発生率は、前投与では有意に変化しなかったが、個々の薬剤で評価すると、抗ヒスタミン剤が急性のアレルギー反応の発生を低下させていた。(Dr.Taku訳)
■電解質液の静脈点滴は薬剤の薬物動態を変化させる:アンピシリンの薬物動態
Intravenous infusion of electrolyte solution changes pharmacokinetics of drugs: pharmacokinetics of ampicillin.
J Vet Pharmacol Ther. 2014 Oct;37(5):445-50. doi: 10.1111/jvp.12122. Epub 2014 Mar 25.
Britzi M, Mazon Y, Lavy E, Soback S.

犬のアンピシリンの薬物動態を静脈ボーラス投与と持続点滴後で測定した。

アンピシリンを6頭のビーグルに20mg/kgの静脈ボーラス投与と、乳酸リンゲル(ハルトマン)液で20mg/kgを8時間(0.042ml/分/kg)かけて静脈持続点滴(CRI)を行った。濃度をLC/MS/MS法で測定した。

静脈ボーラス投与後、アンピシリン全身クリアランス、定常状態時の見かけの分布容積、平均滞留時間(MRT)、半減期はそれぞれ4.53±0.70ml/分/kg、0.275±0.044L/kg、61±13分、111(85-169)分だった。

CRI後のそれに相当するパラメーターは、13.5±1.06ml/分/kg、0.993±0.415L/kg、73±27分、49(31-69)分だった。

点滴液準備後のほぼ最初の1時間で乳酸リンゲル液内のアンピシリン濃度は30%低下した。

8時間の乳酸リンゲル溶液の持続点滴は、アンピシリンの薬物動態に有意な変化を引き起こす。

この結果は、電解質溶液と共に静脈内に混注する場合、薬物動態に特別な注意を払うべきである。(Sato訳)
■供血犬の鉄の状況および血液検査値に対する反復供血の影響
Effects of repeated blood donations on iron status and hematologic variables of canine blood donors.
J Am Vet Med Assoc. 2014 Jun 1;244(11):1298-303. doi: 10.2460/javma.244.11.1298.
Ferreira RR, Gopegui RR, Araujo MM, de Matos AJ.

目的:1年間、繰り返し血液を採取する供血犬の骨髄再生反応と鉄の状態を評価する

デザイン:前向きコホート研究

動物:57頭の供血犬

方法:網状赤血球比率を含む血液検査値を各供血前と供血してから10日目に、1年の間で2か月毎に総血液量(TBV)の13%を供血する16頭(1群)、3か月毎にTBVの13%を供血する16頭(2群)、3か月毎にTBVの15%を供血する25頭(3群)において評価した。鉄、トランスフェリン、フェリチンの血清濃度を研究前と、最終供血から10日後に検査した。

結果:全ての群において、供血後にRBC分布幅、血小板数、WBC数、網状赤血球比率が有意に増加した。1群と比べ、2群の犬は血清フェリチン濃度が有意に高かった。1群の犬は血清フェリチン濃度が有意に低下した。全ての群で供血の回数とRBC分布幅および網状赤血球比率に正の相関が認められた。

結論と臨床関連:全ての供血方法は供血後10日以内に枯渇血球を回復できる骨髄再生反応を誘発し、鉄の状態も参照範囲内で維持できる。しかし、2か月毎にTBVの13%を供血する犬は有意に鉄の貯蔵が減少し、長期の供血プログラムの間、鉄関連の数値をモニターすべきだと示唆された。(Sato訳)
■出血性下痢の犬における軽度から中程度の脱水に対する経口電解質液の評価
Evaluation of an oral electrolyte solution for treatment of mild to moderate dehydration in dogs with hemorrhagic diarrhea.
J Am Vet Med Assoc. September 15, 2013;243(6):851-7.
Erica L Reineke; Karie Walton; Cynthia M Otto

目的:犬の出血性下痢に関係する軽度から中程度の脱水の補正で、電解質液の経口投与(OES)の安全性と有効性を調べる

デザイン:非無作為化、非対照臨床試験

動物:嘔吐が3回未満の出血性下痢の犬20頭

方法:全ての犬はパルボウイルス感染の検査を行い、嘔吐を管理するためクエン酸マロピタントを投与し、OESを提供した。OESを拒絶した時や嘔吐した時、入院時よりもPCVが5%上昇、体重5%減少、血清クレアチニンあるいはBUN濃度が高い、血中電解質あるいは血清グルコース濃度の臨床的に重要な変化が見られたとき、静脈内晶質液投与を実施した。

結果:13頭(65%)は自発的にOESを飲んだ。;7頭(35%)はOESを拒絶し、代わりに平衡電解質液をIV投与した。OES群の全13頭は入院後5時間以内にその液を飲んだ。入院から8時間および16時間目、OES群で入院時よりもPCV、血清総蛋白およびBUN濃度は有意に低く、一方で静脈血pH、塩基過剰、ナトリウム、カリウム、塩素、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、乳酸濃度に有意な変化はなかった。治療のコストはIV投与群と比べてOES群が有意に低かった。

結論と臨床関連:OESによる再水和療法は、出血性下痢に関係する軽度から中程度の脱水の犬に有効で安全だった。従来のIV輸液と比べ、犬の胃腸炎に対するこの治療アプローチの潜在的利点は、医療費がより低く、治療にかかわるスタッフの時間が少なくて済む。(Sato訳)
■猫種における犬の血液の異種輸血:文献のレビュー
Xenotransfusion with canine blood in the feline species: review of the literature.
J Feline Med Surg. February 2013;15(2):62-7.
Catherine Bovens; Tim Gruffydd-Jones

猫への犬の血液の異種輸血(他の種からの輸血)は歴史的に一般に実施されており、現代でも実施されている国がある。現在ヘモグロビンベースの代用血液(オキシグロビン)を市販で入手できないことを考慮すると、匹敵する猫の血液が得られないなどまれな場合に、犬の血液が救命処置として考慮する必要があるかもしれない。

この文献は犬の血液の猫への異種輸血について発表されているエビデンスと、この方法で期待できる結果を概説する。

発表された症例数に限りがある(62症例)研究のエビデンスは、猫は犬の赤血球抗原に対する自然発生抗体を持たないと思われる:初めての輸血前の互換性試験は、猫の血清あるいは血漿で犬の赤血球の凝集あるいは溶血のいかなる所見も示さなかったことを示す。犬の全血の1回の輸血を受けた猫で重度の急性副作用は報告されてない。犬の血液を受けた貧血の猫は、数時間以内の臨床的改善を報告されている。

しかし犬の赤血球に対する抗体は急速に産生され、輸血の4-7日以内に検出でき、遅延溶血反応で輸血した犬の赤血球の破壊を誘発する。輸血した犬の赤血球の平均寿命は4日以内である。最初の輸血から4-6日以降の犬の血液のいかなる再輸血でもアナフィラキシーを起こし、しばしば死に至る。(Sato訳)
■脂質の入っていない既製の非経口栄養液の70頭の犬における臨床経験(2006-2012年)
Clinical experience with a lipid-free, ready-made parenteral nutrition solution in dogs: 70 cases (2006-2012).
J Vet Emerg Crit Care (San Antonio). 2013 Mar 5. doi: 10.1111/vec.12029.
Gajanayake I, Wylie CE, Chan DL.

目的 脂質の入っていない既製のアミノ酸とグルコースの非経口栄養 (PN)液を犬に対して臨床的に用いることを再考察すること

デザイン 2006-2012年にこの形態のPNを投与された犬の後向き研究

場所 大学の獣医教育病院

動物 様々な病気の治療で病院に来院し、治療の一環としてPNを用いた70頭の犬。初期治療にあたった臨床医の判断でPNを投与された。

治療介入 栄養補給を行なうために、アミノ酸(59g/L)とブドウ糖(100g/L)を含む脂質の入っていない既製の液を、CRIで静脈内に投与した。

測定と主な結果 PNは、70頭の犬において中央値2.2日間(0.5-9.5日の範囲)投与され、PNの総日数は168日であった。PNは、100kcalあたり5.5g(100kcalあたり1-9.5gの範囲)のタンパク質、分あたり体重1kgにつき中央値2.2mg(0.8-5.2mg/kg/minの範囲)のブドウ糖を与える事になり、安静時エネルギー消費量の中央値57%(9-100%)であった。67頭中43頭において代謝性の併発症が認められ、これらの記録によると、高カリウム血症は、予後の悪さ(死亡や安楽死)と関連した唯一の併発症であった。28頭の犬において機械的な合併症が認められたが、1頭を除いてすべて末梢カテーテルを用いて実施した場合であった。5頭の犬において感染性の合併症が認められた。

結論 こうしたPNは、臨床的な使用に適しており、病気の犬にタンパク質とカロリーの両方を与えることが可能である。しかし、併発症が高率に生じるため、注意深く患者をモニターする事が必要である。(Dr.Taku訳)
■急性疾患の輸液蘇生-基準を再検討する時間
Fluid resuscitation in acute illness--time to reappraise the basics.
N Engl J Med. June 2011;364(26):2543-4.
John A Myburgh

輸液蘇生は重篤患者の治療で基礎的な処置である。しかし、輸液蘇生の最善の種類;適切なタイミング、量、輸液速度;さまざまな臨床状況における輸液蘇生の効果および安全性を適切にモニターする最適な方法について臨床医にガイドする結論的なエビデンスはほとんどない。(1)肺および間質浮腫のような蘇生輸液量の過剰に関する合併症はよく認識されているが、エビデンスの新しいものは蘇生輸液の種類が特定の臨床状況における結果に悪い影響を及ぼすかもしれないと示唆する。;例えば・・・。(Sato訳)
■整形外科のために麻酔をかけた健康犬における止血状態と臨床出血に対する6%ヘタスターチ(600/0.75)あるいはラクトリンゲル液の影響
Effects of 6% hetastarch (600/0.75) or lactated Ringer's solution on hemostatic variables and clinical bleeding in healthy dogs anesthetized for orthopedic surgery.
Vet Anaesth Analg. March 2011;38(2):94-105.
Amandeep S Chohan; Stephen A Greene; Tamara L Grubb; Robert D Keegan; Tamara B Wills; Steven A Martinez

目的:整形外科のために麻酔をかけた犬への6%ヘタスターチ(600/0.75)あるいはラクトリンゲル液(LRS)の投与後、止血変数および臨床出血を評価し、比較する。

研究構成:無作為盲検前向き研究

動物:健康な雑種ハウンド犬14頭、年齢11-13ヶ月、体重20.8±1.2kg

方法:犬を無作為に振り分け、20分かけて6%ヘタスターチ(600/0.75)あるいはLRSを10ml/kgで静脈内ボーラス投与を行い、続いて麻酔中のLRS維持点滴(10ml/kg/h)を行った。ボーラス投与前(基準)、1、24時間後、ヘマトクリット値(PCV)、総蛋白濃度(TP)、プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、ヴォン・ヴィレブランド因子抗原濃度(vWF:Ag)、第VIII因子凝固活性(F VIII:C)、血小板数、血小板凝集、コロイド浸透圧(COP)、頬粘膜出血時間(BMBT)を測定した。また、処置を知らされていない外科医が、処置中、ボーラス投与後1、24時間の切開部位からの出血を評価した。

結果:ヘタスターチあるいはLRS投与に続き、点滴後1時間でPCVおよびTPは有意に低下した。両処置群でAPTTは基準から有意に変化しなかったが、両群の24時間目と比べて点滴後1時間で有意にPTが延長した。両群のvWF:Ag、F VIII:C、血小板凝集、臨床出血で有意な変化は検出されなかった。両群で点滴後1時間の血小板数が有意に減少している間、BMBTは延長した。点滴後1時間で両群のCOPは有意に低下したが、LRS群と比較してヘタスターチ群の方が有意に高かった。

結論と臨床関連:用量投与時、ヘタスターチおよびLRS両方とも健康犬の止血変動値を変化させえる。しかし、整形外科手術を行うそれらの犬において、どちらの薬液も臨床出血の増加に関与しなかった。(Sato訳)
■獣医輸血療法において患者の安全性を増す:輸血前検査の概要
Increasing patient safety in veterinary transfusion medicine: an overview of pretransfusion testing
J Vet Emerg Crit Care. Feb 2009;19(1):66-73. 28 Refs
Lynel J. Tocci, DVM, MT(ASCP)SBB, Patty J. Ewing, DVM, MS, DACVP

目的:獣医療における輸血前検査に対する原理と利用可能な技術を概要し、赤血球輸血前に行う検査の適応と重要性を論ずる
データソース:現在の人および獣医療の文献:オリジナルリサーチ論文および科学的レビュー

概要:獣医療でRBC輸血の適応は、重度貧血あるいは血液喪失から起こる組織低酸素、赤血球産生低下、免疫介在性貧血や新生児同種溶血現象などの溶血疾患などである。適切な血液サンプル採取、取り扱い、識別は高品質の輸血前検査のために必須である。タイピングカードおよび急速ゲル凝集反応、両方を含むポイントオブケアの血液型判定方法は、いくつかの種で容易に利用できる。血液型判定後、適切な血液型の1つ以上のドナーユニットでクロスマッチ試験が実施される。技術的に時間を要するチューブクロスマッチ検査方法の代替として、最近ポイントオブケアゲル凝集法が犬や猫で利用可能になってきている。クロスマッチは溶血性輸血反応のリスクを減らすが、獣医療患者において他の血液型の輸血反応のリスクを完全になくすわけではなく、この理由のため、全ての輸血反応を適切に述べ、調査すべきである。

結論:血液製剤の投与は、獣医療のリソース集中機能であり、輸血医療における患者の安全性を最適化することは多くの側面を持つ。有害反応は命を脅かす可能性がある。輸血前検査を組み込んだドナーの適切なスクリーニングと収集は、不適合輸血反応の発生を低下させる。(Sato訳)
■コロイド:現在の推奨
Colloids: current recommendations
Vet Clin North Am Small Anim Pract. May 2008;38(3):587-93.
Daniel L Chan

コロイドは、重篤患者の管理にますます不可欠なものと考えられるようになってきている。コロイド投与に対する典型的な指標は、組織浮腫、血液量減少、低コロイド浸透圧の患者である。現在の獣医療でコロイド使用のガイドラインは、容量過負荷や凝固障害など、潜在的なリスクを持つコロイド液投与の目指す利益を比べて考える。この文献は、獣医療で最もよく使用され、コロイド療法で現在の進歩はこのコロイドに達しているため、ヒドロキシエチルスターチに焦点を当てる。
より新しいコロイドは、凝固系に限られた影響しか持たないよう修正されており、重篤患者の管理に特に有用と証明可能な炎症反応の調整に使用されるかもしれない。どのように異なる薬液が体の反応に影響するのかをよく理解することで、我々は容量欠損を単純に補給する以上に補液療法の新しい応用を探求できる。(Sato訳)
■重症の犬猫における25%ヒト血清アルブミンの治療的使用
The therapeutic use of 25% human serum albumin in critically ill dogs and cats
Vet Clin North Am Small Anim Pract. May 2008;38(3):595-605.
Karol A Mathews

25%ヒト血清アルブミン(HSA)は異種蛋白で、免疫介在性反応を起こす可能性がある。この理由により、著者はリスク分析で有害反応発現リスクの可能性よりも利益が上回ったときのみ25%HSAの使用を推奨する。重度低アルブミン血症に関する問題により重篤な動物が死亡するかもしれないと思われた場合、リスクを利益が上回る。獣医師はオーナーに遅延性免疫介在反応の可能性を十分説明し、それら障害について述べ、続いて毎週反応が起こっていないことを見守るべきである。25%HSA投与に多くの正に寄与するものがあるが、その投与が指示される特定の状況と、指示されない別の状況があると思われる。(Sato訳)
■肺疾患の患者における輸液療法
Fluid therapy in patients with pulmonary disease
Vet Clin North Am Small Anim Pract. May 2008;38(3):719-25.
Sophie Adamantos, Dez Hughes

肺疾患の患者における輸液療法はむずかしい。ひとつの法則でどの患者にも応用できないが、以下のガイドラインが肺疾患の患者の管理に使用できる。十分な組織灌流のある正常な体液量の患者は、不感喪失のバランスをとるように十分な等張液を投与すべきである。重度の肺の障害がある場合、随意摂取によりその喪失に対応できるならば全ての輸液の中止を考慮するかもしれない。循環血液量減少あるいは低血圧の患者には、灌流の回復に等張性晶質液あるいはコロイド液の少量ボーラス投与を行うべきで、等張晶質液の場合30ml/kg/h以上の投与速度は避ける。適切な容量蘇生により灌流が回復しない場合、昇圧剤や陽性変力剤を輸液過負荷や肺機能の悪化を防ぐために投与すべきである。(Sato訳)
■輸液療法の合併症
Complications of fluid therapy
Vet Clin North Am Small Anim Pract. May 2008;38(3):607-19.
Elisa M Mazzaferro

液体の静脈内投与は、入院動物のケアで重要な治療の1つである。脱水の置換あるいは予防、循環血液量減少性ショックおよび血管内血液量消耗の治療、酸塩基および電解質異常の是正、薬剤投与のための血管へのアクセスの維持、血液製剤成分、非経口栄養輸液などのために投与される。重篤な動物で、静脈内カテーテル設置も血液採取の手段となりえ、不快な静脈穿刺やその頻度を抑えることができる。多くの静脈内カテーテル設置および薬液投与の利益があるが、固有のリスクが手技に関連し、可能性のある合併症を避けるために注意すべきである。(Sato訳)
■非経口的栄養過負荷によって生じた犬の高浸透圧性高血糖症候群
Hyperosmolar hyperglycaemic syndrome in a dog resulting from parenteral nutrition overload
J Small Anim Pract. September 1997;38(9):417-20.
N M Moens, A M Remedios

要約
1頭の犬が膵臓膿瘍の治療で、不注意にも、2時間以内に高張液を1800ml投与されました。血糖は44 mmol/litreに達し、血漿重量オスモル濃度は334 mOsm/litre 以上と見積もられました。脂肪血症は重度で数日間持続しました。犬は悪心、嘔吐、沈鬱、重度な高血糖、多尿、糖尿そして低カリウム血症を呈しました。これらの徴候は高浸透圧性高血糖症候群に一致します。インスリンと急速静脈点滴による治療で、高血糖、電解質不均衡および脱水を修正しました。犬は回復し、長期間後遺症は観察されませんでした。(Dr.K訳)
■ヒトアルブミンを投与した6頭の健康犬でIII型過敏症を示唆する有害反応
Adverse reactions suggestive of type III hypersensitivity in six healthy dogs given human albumin
J Am Vet Med Assoc. March 2007;230(6):873-9.
A Heather Francis, Linda G Martin, Gary J Haldorson, Kevin K Lahmers, Teresa Y Luther, Debra C Alperin, Stephen A Hines

症例記載:研究の一部としてヒトアルブミン溶液を投与した6頭の健康犬を、即時型過敏反応の発症(1頭)およびIII型過敏反応を示唆する症状を呈した(全6頭)後に検査した。

臨床所見:全6頭の犬はヒトアルブミン溶液を投与する前健康だった。1頭はヒトアルブミン溶液投与中に嘔吐、顔面浮腫を特徴とする即時型過敏反応の症状を呈した。全6頭は、ヒトアルブミン溶液投与後5-13日目に遅延型有害反応の症状を呈した。最初の臨床症状は、嗜眠、跛行、浮腫、脈管炎を示す皮膚病変、嘔吐、食欲不振だった。

治療と結果:即時型過敏症の犬は、ヒトアルブミン溶液投与中止とジフェンヒドラミン投与後症状が解消した。遅延有害反応の症状を呈した犬には、その後支持療法を行った。4頭は回復し、2頭は治療の甲斐なく死亡した。全6頭に抗ヒトアルブミン抗体があるのがわかった。ヒトアルブミン溶液のコンタミンの所見はなかった。

臨床関連:正常血清アルブミン濃度の健康犬にヒトアルブミン溶液の投与は、III型過敏反応の症状を起こすかもしれないと示唆される。(Sato訳)
■犬の蘇生輸液管理に対する反応における、血液量の変化に関する評価
Assessment of Changes in Blood Volume in Response to Resuscitative Fluid Administration in Dogs
J Vet Emerg Crit Care 15[3]:185-192 Sep'05 Original Study 31 Refs
Deborah C. Silverstein, DVM, DACVECC, Janet Aldrich, DVM, Steve C. Haskins, DVM, MS, DACVECC, DACVA, Kenneth J. Drobatz, DVM, MSCE, DACVECC, DACVIM and Larry D. Cowgill, DVM, PhD, DACVIM

目的:直列方式ヘマトクリットモニターを用いて、輸液管理に対する反応において、血液量の連続した変化を明らかにすることです。

計画:前向き研究

背景:実験室調査

動物:4頭の健康な犬
介入: 別の時に、0.9%食塩水(S)80ml/kg、7.5%食塩水(HS)4ml/kg、デキストラン70(D) 20ml/kg、ヘタスターチ(HES)20ml/kgの静脈ボーラス投与、または輸液なし(コントロール,C)をそれぞれの犬に行いました。輸液は、S,D,そしてHES群では150ml/min、HS群では1ml/kg/minで投与しました。

測定と主な結果:血液量変化は、直列方式ヘマトクリットモニターを用いて、240分の間、20秒ごとに測定しました。全ての輸液中、血液量は急速に上昇しました。晶質液の投与後直ちに、血液量における急速な上昇は終了しました。その後、10分間で血液量は急勾配に下降し、それ以降は、緩やかに下降しました。対照的に、コロイド投与後少なくとも10分間続いた血液量変化における上昇は完全で、安定状態が実験の後まで観察されました。
曲線下領域の測定では、血液量は、投与時、0-240分間中、他の群よりも食塩水群で有意に増大しました。2つのコロイド溶液に関する曲線下領域には、いかなる期間中にも有意差はありませんでした。点滴直後の血液量におけるパーセント増大は、S群で76.4±10.0、HS群で17.1±3.2、D群で23.0±10.5、HES群で27.2±6.4でした。点滴の開始から30分時点で、血液量における平均パーセント増大は、S群で35.2±9.3、HS群で12.3±0.9、D群で35.9±7.3、HES群で36.8±6.5でした。点滴後240分時点で、血液量における平均パーセント増大は、S群で18.0±9.7、HS群で2.9±6.1、D群で25.6±16.1、HES群で26.6±8.6でした。C群は実験の終了時点で、-3.7±3.4の血液量における平均パーセント変化でした。

結論:この研究は、迅速な体液再分布のために一時的な変化ではあるものの、臨床的に適切な投与量での食塩水急速投与が、血液量における最大即時の増大を導くということを示唆しております。高張食塩水は、血液量における短時間の増大が約3倍投与量だったにもかかわらず、点滴後血液量における増大が最も小さかったです。合成コロイド溶液は、点滴量よりもさらに多量なまでに血液量を増大し、その効果は、晶質液投与に見られたものよりも、より長期間持続しました。しかし、血液量における最大の増大は食塩水より有意に低かったです。直列方式ヘマトクリットモニターを用いた血液量における連続的変化の測定は、研究装置として、犬の輸液投与の動的効果を評価するのに有効な手段でした。(Dr.K訳)
■25%ヒト血清アルブミンの使用:危篤状態の犬と猫で、血清アルブミンと全身血圧の是正に関する予後と有効性
The Use of 25% Human Serum Albumin: Outcome and Efficacy in Raising Serum Albumin and Systemic Blood Pressure in Critically Ill Dogs and Cats
J Vet Emerg Crit Care 15[2]:110-118 Jun'05 Retrospective Study 48 Refs
Karol A. Mathews, DVM, DVSc, DACVECC and Maureen Barry, DVM, DVSc, DACVIM

目的:危篤状態の犬猫で、血清アルブミンと全身血圧(BP)の是正において、25%ヒト血清アルブミン(25%HSA) (Plasbumin)の使用に関連した予後と有効性を報告することです。

計画:回顧的臨床研究

動物:飼い犬および飼い猫

介入:25%HSAの投与

測定および主な結果:オンタリオ獣医大学で、1997年6月から2001年12月までの間に25%HSA(Plasbumin)の投与を行った66頭の動物(犬64頭、猫2頭) の医療記録を年齢、体重、臨床問題、投与前、および投与後18時間以内、そして退院までのアルブミンとグロブリン(g/L)値、全固形物(TS)、投与前、および総投与終了後の収縮期、拡張期血圧、副作用、使用した血液製剤と合成コロイド、そして予後に関し再調査しました。25%HSAは、解析の6項に分類した臨床問題の範囲で処方しました。
年齢範囲は4ヵ月齢から12歳で、体重範囲は1.4-65kgでした。いかなる犬に対しても最大投与量は25ml/kgで、平均投与量は、5ml/kg、ゆっくり注入あるいはボーラスで投与した際の最大量は、平均2ml/kgで4ml/kgでした。一律点滴(CRI)範囲は0.1-1.7ml/kg/hr、4-72時間でした。47頭(71%)の動物が、退院まで生存し;11頭(16%)が安楽死、そして8頭(12%)が死亡しました。血清アルブミンとTSは、投与前のレベルよりも有意に増加し(P<0.0001)、同様に収縮期血圧も有意に増加しました(P<0.01)。

結論:25%HSAは、危篤状態の動物に対し安全に投与することができ、アルブミンと全身血圧における上昇が期待できます。(Dr.K訳)
■ネコ91例の全血輸血:臨床評価
Whole Blood Transfusions In 91 Cats: A Clinical Evaluation
J Feline Med Surg 6[3]:139-148 Jun'04 Retrospective Study 27 Refs
C. Weingart, U. Giger, B. Kohn *

1998年から2001年の間にベルリン大学で、患畜集団、適応、効果、輸血反応に関するネコの輸血処置を評価した。7頭の院内ドナー、127頭のほぼ室内飼育ネコから血液を入手した。3年間で91頭のネコに血液型適合血を輸血した。血液は新鮮(採血8時間以内)または15日以内の貯蔵血液だった。輸血を必要とした理由は、血液喪失性貧血(n=40)、溶血性貧血(n=13)、無効性赤血球生成(n=35)、低蛋白血症(n=2)、凝固障害(n=2)だった。貧血ネコは、輸血前のヘマトクリット値が5-20%(m(中央値)=13)で、1-6回(m=1)の輸血を受けた。
輸血後1日目と10日目の貧血ネコの生存率は、それぞれ84%と64%だった。輸血反応に関与して死亡したネコはいなかった。117回の輸血前に行ったクロスマッチ主反応は、8頭で不適合だった。1頭以外は過去に輸血を受けていた。6症例で輸血細胞の溶解が、予測したヘマトクリット値上昇をもたらさず、血清ビリルビンの上昇を起こした。2回、3回目の輸血中に、一時的軽度輸血反応が2頭にだけ観察された。要するに、適当なドナーの選択、適切な適合性審査により、輸血にうまく許容し、効果が現れ、生存の機会を増やすと思われる。(Sato訳)
■猫の完全非経口栄養法に関する合併症と予後因子の評価:75例(1994-2001)
Evaluation of Complications and Prognostic Factors Associated with Administration of Total Parenteral Nutrition in Cats: 75 Cases (1994-2001)
J Am Vet Med Assoc 225[2]:242-250 Jul 15'04 Retrospective Study 48 Refs
Sally C. Pyle, BS, DVM; Stanley L. Marks, BVSc, PhD, DACVIM, DACVN *; Philip H. Kass, DVM, PhD

目的:猫の完全非経口栄養(TPN)投与に関する合併症の種類と頻度、予後因子、臨床結果に影響する主要疾患を判定すること

構成:回顧的研究

動物:12時間以上TPNを投与された75頭の猫

方法:医療記録を再検討し、特徴、病歴、初回評価時の問題、身体検査所見、体重とTPNを投与されている間の体重変化、TPN開始前の入院期間、使用したTPNカテーテルの種類、TPN投与期間、最終診断の情報を入手した。TPN直前の検査結果と、投与開始後24、96時間目の検査結果を比較した。

結果:最初の評価で体重減少、24時間目の高血糖、または慢性腎不全の診断報告は、有意に死亡率の増加に関与した。TPN投与前と投与後96時間目の血清アルブミン濃度上昇は、有意に死亡率の低下に関与した。機械的、敗血症的合併症はまれで、死亡率増加に関与しなかった。ほとんどの猫は複数の疾患を持っていた。全体の死亡率は52%だった。75頭中36頭は回復、それら疾患に関する合併症や主要疾患の結果として23頭は安楽死、16頭は死亡した。

結論と臨床関連:結果はTPNを維持する猫の死亡率は高く、複数の併発疾患が予後不良に関与していることを示した。予後不良の指標には、体重減少の病歴、TPN投与後24時間目の高血糖、低アルブミン血症、慢性腎不全などであった。(Sato訳)
■胃腸出血のイヌに対する濃厚赤血球輸血:55症例(1999-2001)
Packed red blood cell transfusions in dogs with gastrointestinal hemorrhage: 55 cases (1999-2001).
J Am Anim Hosp Assoc 39[6]:523-7 2003 Nov-Dec
Waldrop JE, Rozanski EA, Freeman LM, Rush JE

55頭のイヌが、26ヶ月間(1999-2001)に胃腸出血による濃厚赤血球(PRBC)輸血を受け、そのときのPRBC輸血の11.7%を占めた。39頭(61%)のイヌは、胃腸出血の原因となる腸管mass、胃腸炎、肝疾患、腎疾患などの腸症状(原発、または二次的)を呈していた。非ステロイド、またはステロイド抗炎症剤使用は、胃腸出血の犬でよく見られた。16頭(39%)のイヌは、免疫介在性血小板減少症と確認され、胃腸出血に関与していた。入院中、免疫介在性血小板減少症のイヌは、非免疫介在性血小板減少症のイヌ(P<0.03)や有意に大量のPRBC輸血をされたイヌ(P<0.01)より多くPRBCの輸血を受けていた。(Sato訳)
■犬における、新鮮凍結血漿の使用に対する臨床適応:74頭の犬(1999年10月から12月)
Clinical Indications for Use of Fresh Frozen Plasma in Dogs: 74 Dogs (October through December 1999)
J Am Vet Med Assoc 218[9]:1449-1455 May 1'01 Retrospective Study 32 Refs
Jaime C. Logan, VMD; Mary Beth Callan, VMD, DACVIM; Krista Drew; Kym Marryott; Donna A. Oakley; Leigh Jefferies, MD; Urs Giger, PD, Dr Med Vet, DACVIM

目的:犬における新鮮凍結血漿(FFP)の使用に対する理由を述べ、明白にFFP使用決定のきっかけとなった変化を明らかにすることです。

計画:回顧的研究

動物:74頭の犬

手順:3ヵ月の間に、獣医大学病院でFFPを投与された、犬の医療記録を再調査しました。

結果:74頭の犬は、144の輸血(TE;TEは1日の輸血療法と定義しました)を受け、FFPの252ユニット(120ml/unit)が使われました。新鮮凍結血漿は、凝固因子(67TE)、アルブミン(91)、α-マクログロブリン(15)、または免疫グロブリン(19)を供給するために投与されました。;いくつかのTEで、多数の臨床適応が認められました。明白に、FFP投与決定のきっかけとなった変化には、凝固時間の延長を伴う、または伴わない活発な出血、血漿総蛋白の低下、膵炎と関連した持続性嘔吐、敗血症などがありました。それぞれの適用に対する、平均FFP投与量は、8.5ml/kgと9.4ml/kgの間でした。小型犬(平均投与量、13.9ml/kg)は、一般に大型犬(平均投与量、5.1ml/kg)よりも、多く投与されていました。50頭の犬(68%)は、退院時に生存しておりました。

結論と臨床関連:結果はFFPが危篤状態にある犬の管理において、重要な役割を演じるということを示唆しております。FFPの供給は制限されるため、FFPの投与が臨床的に有用と考えられる際の、ガイドラインを発展させるべきです。(Dr.K訳)
■保存していた全血で、イヌの血小板の凝集性と輸血後の生存性
Aggregability and post-transfusion survival of canine platelets in stored whole blood.
J Vet Med Sci 65[8]:825-9 2003 Aug
Tsuchiya R, Yagura H, Hachiya Y, Mochizuki T, Furuichi M, Hisasue M, Kobayashi K, Yamada T

血小板の凝集性と輸血後の血小板生存期間に、全血の保存期間がどう影響するかをイヌで評価した。クエン酸リン酸デキストロースアデニン-1(CPDA-1)を血液細胞保存剤に使用した。血小板の凝集性衰退を左右する保存時間を評価した。コラーゲン、ADPに反応する血小板凝集性は、少なくとも8時間室温で維持された。血液保存中、免疫グロブリンは血小板に非特異的に結合し、輸血後の単角食細胞系による血小板の免疫破壊の可能性を示唆する。この仮説を評価するために、全血で0-8時間保存した輸血血小板の生存期間を測定した。輸血後血小板の生存性はそれら保存時間に影響されなかった。それらの結果は、輸血のためにCPDA-1処理を行った全血で、8時間室温で保存した時、イヌの血小板の生存性を維持されると示唆する。(Sato訳)
■術中の輸液療法に関するガイドライン
Guidelines for Perioperative Fluid Therapy
Compend Contin Educ Pract Vet 25[2]:102-111 Feb'03 Review Article 48 Refs
Simon T Kudnig, BVSc, MVS, MACVSc & Khursheed Mama, DVM, DACVA

輸液療法計画は、それぞれの外科患者の必要条件にあわせるべきで、術前、術中、術後期間に見合った物でなければなりません。易感染性と、健康患者に対する輸液療法計画は、広く異なります。輸液療法は、外科処置のタイプによっても異なります。この論文は、術中輸液療法に関するガイドラインを供給し、輸液管理法を概説し、外科患者における、循環血液量置換に用いたモニタリングテクニックを論じています。さまざまな個体群と疾患に対する特別な提議も、表形式で示しています。(Dr.K訳)
■術中輸液療法
Perioperative Fluid Therapy
J Am Vet Med Assoc 221[8]:1112-1121 Oct 15'02 Reference Point 121 Refs
Simon T. Kudnig, BVSc, MVS, and Khursheed Mama, DVM, DACVA

外科患者の全身麻酔は、可逆的記憶喪失、無痛覚、無意識、筋肉弛緩、不動を当然起こしてくる。麻酔中は、麻酔の合併症を最小限にし、スムーズで無事に覚醒させるため、患畜の恒常性を確実なものとするようあらゆる努力が成されるべきである。しかし、それらの望ましい状態を提供する多くの麻酔薬は、患者の血行動態に副反応を及ぼす。麻酔中の主な考慮は、細胞のエネルギー産生を維持するため、微小循環性の器官灌流と酸素運搬を維持する事である。術中輸液療法は、血管内の容積、最適な心拍出量、ヘモグロビンの適度な濃度で適切となる血液酸素含有量の確保などを維持する補助として重要である。酸素運搬量はCaC2とCOで決定する。(Sato訳)
■猫における、酸素運搬ヘモグロビン溶液の使用:72症例(1988-2000)
Use of a Hemoglobin-Based Oxygen-Carrying Solution in Cats: 72 Cases (1998-2000)
J Am Vet Med Assoc 221[1]:96-102 Jul 1'02 Retrospective Study 20 Refs
Gillian R. Gibson, VMD; Mary Beth Callan, VMD, DACVIM *; Victoria Hoffman, VMD; Urs Giger, Dr med vet, DACVIM;; * Dept of Clinical Studies, School of Veterinary Medicine, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA 19104-6010

目的:猫における、酸素運搬ヘモグロビン溶液(HBOC)の使用に関する、臨床的特徴と成果を明らかにすることです。

計画:回顧的研究

動物:72頭の猫

手順:HBOC溶液処置を受けた猫の医療記録を再調査しました。

結果:HBOC溶液の投与前に認められた、最も一般的な臨床徴候と身体検査所見は、貧血と関連がありました。嘔吐、神経学的徴候、そして呼吸異常も認められました。殆どのケースで、適合した血液が簡単に手に入らなかったために、貧血の支持療法として70頭の猫にHBOC溶液が投与されました。HBOC溶液の点滴は、80パターンありました(平均投与量:14.6mg/kg[6.6mg/Ib];平均点滴速度:4.8ml/kg[2.2ml/Ib]/hr)。より密接にモニターした43頭中37頭に、直腸体温上昇、血液ヘモグロビン濃度上昇、血圧上昇、食欲亢進、そして活動性増大などの改善がありました。44頭の猫で肺水腫(n=8)、胸水(21)、粘膜変色(21)、色素尿(11)、嘔吐(4)、そして神経学的異常(4)などの副作用がありました。23頭の猫は退院し、49頭の猫は死亡、または安楽死となりました。23頭の検死では、HBOC投与に関連した、明らかな腎臓、肝臓の中毒所見はありませんでした。

結論と臨床関連:HBOC溶液の投与は、貧血の猫に対する一時的な支持療法と考えられますが、急速投与と大量投与に潜在的に関連する肺水腫や胸水の発現に関し、溶液の使用が猫に推奨できるようになる前に、さらに調査をするべきです。(Dr.K訳)