■8歳以上の中型から大型犬(≧15kg)の反対側に起こる前十字靱帯断裂の有病率とリスクファクター
The Prevalence and Risk Factors of Contralateral Cranial Cruciate Ligament Rupture in Medium-to-Large (≥15kg) Breed Dogs 8 Years of Age or Older
Vet Comp Orthop Traumatol. 2023 Jul 24.
doi: 10.1055/s-0043-1771350. Online ahead of print.
Christina L Murphy , Jacqui Niles , Robert M Radasch

目的:この研究の目的は、最初のCCLR発生時に15kg以上の体重だった8歳以上の犬の反対側に起こる前十字靱帯断裂(CCLR)の有病率を判定し、関連リスクを評価することだった。

研究計画:831頭の飼い犬の横断回顧的研究。

方法:最初のCCLR診断時に8歳以上で、体重15kg以上の犬の医療記録を再検討した。体重、性別、術前脛骨プラトー角、併存疾患、最初のCCLRの診断から反対側のCCLRの診断までの期間を含むデータを集めた。オッズ比の算出に多変量ロジスティック回帰解析を使用した。最初のCCLRから112.7か月以上(第25/第75四分位数75.4/157.7か月)のフォローアップ期間中央値を割り当てた。

結果:831頭の確認し、含めた。最初の側のCCLRを8歳以上で経験した犬の約19.1%(159/831頭、95%CI、16.6-22.0%)が、中央期間12.9か月(第25/第75四分位数6.5/24.3か月)後に反対側が断裂するだろう。年齢(p=0.003)、犬種、ゴールデン・レトリバー(p=0.028)、ラブラドール・レトリバー(p=0.007)は、反対側のCCLRに有意に関係するファクターだった。

臨床関連:8歳以上の中型から大型犬の反対側のCCLRの有病率は過去に報告されたものより低く、そのリスクは年齢とともに低下する。この重要な情報は、高齢の犬のCCLRに続く外科的な膝の安定化を行うか決断する時に、オーナーへの指導に役立つだろう。(Sato訳)
■UKにおける一次動物病院下の犬において片側前十字靱帯断裂診断と臨床管理に対するリスクファクター
Risk factors for unilateral cranial cruciate ligament rupture diagnosis and for clinical management in dogs under primary veterinary care in the UK
Vet J. 2023 Jan 25;105952.
doi: 10.1016/j.tvjl.2023.105952. Online ahead of print.
C Pegram , D C Brodbelt , K Diaz-Ordaz , Y Chang , A Frykfors von Hekkel , D B Church , D G O'Neill

Free article

この研究の目的は、UKの一次動物病院下の犬で、片側前十字靱帯(CCL)断裂に関係する個体群統計リスクファクターを評価することと、片側CCL断裂の管理に関係する個体統計および臨床リスクファクターを探求することだった。

回顧的コホート研究デザインを使用した。臨床記録は自動的に検索し、2019年中の片側CCL断裂の発生症例を手動で確認し、追加で臨床管理情報を抽出した。多変量ロジスティック回帰モデルをリスクファクターと(1)CCL断裂診断、(2)臨床管理(外科あるいは非外科)の関連の評価に使用した。

解析には、1000頭の片側CCL断裂症例と、無作為に選択した500000頭の非症例を含めた。混乱ファクターを考慮の後、年齢6-<9歳の犬、不妊した犬、保険に加入している犬、ロットワイラー、ビションフリーズ、ウエストハイランドホワイトテリアが特に片側CCL断裂の診断を受ける確率が上がっていた。保険加入の犬と体重20kg以上の犬は外科的治療の確率が増加していたが、9歳以上の犬と診断時に非整形外科疾患の同時罹患のある犬は確率が低下していた。

それらの所見は特に素因のあるロットワイラーやビションフリーゼのようなリスク犬を認知させる。またそれらは、一次動物病院において片側CCL断裂の外科的あるいは非外科的管理を決定するため、臨床的理論的根拠をより理解することに貢献する。(Sato訳)
■脛骨高平部水平化骨切術を行う自然発生の前十字靱帯疾患の小型犬(≦15kg)と中-大型犬(>15kg)の内側半月板傷害の発生率の比較:580膝(2015-2019)
Comparison of incidence of medial meniscal injury in small dogs (≤15 kg) and medium-to-large dogs (>15 kg) with naturally occurring cranial cruciate ligament disease undergoing tibial plateau levelling osteotomy: 580 stifles (2015 to 2019)
J Small Anim Pract. 2022 Jun 22.
doi: 10.1111/jsap.13523. Online ahead of print.
S M M Colthurst , J O Simcock , R G Cashmore

目的:自然発生の前十字靱帯疾患の小型犬(≦15kg)と中-大型犬(>15kg)の間で、内側半月板断裂の発生率に違いがあるかどうかを調査する

素材と方法:脛骨高平部水平化骨切術を行う犬において、内側半月板断裂の発生率を確認するために記録を回顧的に再調査した。十字靱帯の機能不全の程度、確認方法(関節鏡あるいは関節切開)、脛骨高併部角、体重とシグナルメントを記録した。クラスタリング補正を行った2-比率z検定を使用し、2群間の内側版断裂率を比較した。ロジスティック回帰解析は、内側半月板断裂に対する変数の影響の調査に使用した。

結果:67頭の小型犬の76膝、384頭の中-大型犬の504膝を含めた。インデックス手術時の半月板傷害の割合は、小型犬で38.2%、中-大型犬で36.7%だった。その後の半月板断裂率は小型犬で1.3%、中-大型犬で8%だった。インデックス手術あるいはその後で、半月板断裂率に統計学的に有意な違いはなかった。十字靱帯機能不全の程度および関節鏡の使用は、インデックス手術耳の内側半月板断裂に有意に関係した。その後の内側半月板断裂に有意に関係した変数はなかった。

臨床的意義:インデックス手術あるいはその後で小型犬と中-大型犬の間に、内側半月板断裂率に有意差はなかった。内側半月板断裂併発の疑いの指数は、前十字靱帯の完全断裂の犬でより高くなるはずだが、部分断裂では半月板の病理を排除できない。(Sato訳)
■自然発生した前十字靱帯断裂の治療において半月板評価を行わない脛骨プラトーレベリング骨切術の結果に対するオーナーの判断:130症例(2009-2013)
Owner assessment of the outcome of tibial plateau levelling osteotomy without meniscal evaluation for treatment of naturally occurring cranial cruciate ligament rupture: 130 cases (2009 to 2013).
J Small Anim Pract. August 2017;58(8):468-475.
S Bureau

目的:自然発生の前十字靱帯断裂の犬において、半月板評価を行わず脛骨プラトーレベリング骨切術で治療した時の長期手術結果と慢性疼痛を評価する

素材と方法:この回顧的臨床研究において、2009年8月から2013年11月の間に、前十字靱帯断裂で半月板評価を行わず脛骨プラトーレベリング骨切術を行った犬の手術記録からデータを検討した。長期結果と慢性疼痛の有病率をオーナーへのアンケートで評価した。

結果:この研究に107頭の犬が含まれた。長期追跡調査の範囲は1年から4.5年(平均2.5年)だった。4頭は術後4-21か月間、急性跛行を発症し、その後改善を示していた。犬の振る舞いは、93%の犬が正常と判断し、活動レベルは88%の犬が正常と評価された。術後6%の犬に持続的跛行が報告され、半月板病変の診断未確定から起こっているかもしれない。

臨床意義:術後の持続的跛行の低発生率、診断と治療の限界を考慮すると、脛骨プラトーレベリング骨切術中のルーチンな半月板評価の必要性には疑問を抱く。(Sato訳)
■1613頭の犬の脛骨粗面前進化術のメジャーな合併症
Major complications of tibial tuberosity advancement in 1613 dogs.
Language: English
Vet Surg. May 2017;46(4):494-500.
Mario Costa , Diane Craig , Tony Cambridge , Peter Sebestyen , Yuhua Su , Maria A Fahie

目的:脛骨粗面前進化術(tibial tuberosity advancement:TTA)を行った1613頭の犬においてメジャーな術後合併症を報告する

研究計画:回顧的ケースシリーズ

サンプル集団:TTAで前十字靱帯欠損を治療した犬(n=1613)

方法:2007-2013年12月の間に実施したTTAs の医療記録から年齢、性別、体重、反対側の膝の手術、外科的アプローチ、術前の跛行持続期間、半月板ダメージの存在、膝蓋骨脱臼の併発と同時両側TTAを再調査した。メジャーな術後合併症は手術部位感染(SSI)(表層、深層、あるいは器官/腔)、インプラントの損傷、骨折、膝蓋骨脱臼、半月板裂離と定義した。

結果:メジャーな合併症は13.4%の症例に認められた。表層(SSI)(切開部刺激)を6.9%の症例で診断し、抗生物質による治療のみを要した。他の合併症は、事後内側半月板裂離(2%発生率)、深部SSI(切開部裂開、1.1%)、インプラント破損(1%)、膝蓋骨脱臼(1.2%)、骨折(0.9%)、器官/腔SSI(敗血症性関節炎、0.4%)だった。正常な半月板の犬は、TTA時に内側半月板をリリースすると、事後半月板裂離の発生する可能性が少なかった(P<0.0001)。記録されたパラメーターと合併症に関連が検出されなかったが、>8歳の犬はメジャーな合併症の素因に関して有意に近かった(P=0.05)。

結論:TTA後のメジャーな合併症は、膝蓋骨脱臼の犬あるいは両側同時処置の犬でさえも珍しかった。その有病率にもかかわらず、内側半月板リリースは耳と半月板裂離を防ぐかもしれない。(Sato訳)
■脛骨プラトーレベリング骨切術後のバンデージと冷圧迫療法の効果を測定する予備研究
Pilot study measuring the effects of bandaging and cold compression therapy following tibial plateau levelling osteotomy.
Language: English
J Small Anim Pract. October 2016;57(10):543-547.
N R Kieves , M S Bergh , E Zellner , C Wang

目的:犬の脛骨プラトーレベリング骨切術を行った患肢に対する冷圧迫療法、ロバートジョーンズ変法、冷圧迫療法とロバートジョーンズ変法の組み合わせを比較する

方法:前十字靱帯疾患のある飼育犬21頭を前向きに組み入れた。犬を無作為に3つの術後処置群に振り分けた:冷圧迫療法、ロバートジョーンズ変法、その2つの組み合わせ。犬は術前と脛骨プラトーレベリング骨切術後12、24、36時間目に評価した。測定値は、患肢への体重負荷、膝の屈曲および進展角度、患肢の4か所の周径だった。

結果:群間で体重負荷、可動域、肢の腫れに有意差はなかった。バンデージのみの群と比較して、冷圧迫療法、冷圧迫療法とバンデージ群の犬に術後の体重負荷のより大きな増加傾向が見られた。

臨床関連:冷圧迫療法は脛骨プラトーレベリング骨切術後の安全な様式である。冷圧迫療法を受けた群における患肢の使用の改善に向かう傾向は、バンデージのみで治療したものと比べると、術後期間でより快適である徴候かもしれない。サンプルサイズが小さいのでデータの解釈は制限があるかもしれないが、この予備研究は、追加調査をガイドするデータを提供する。(Sato訳)
■前十字靱帯欠損膝の小型犬(<15kg)55症例における頚骨閉鎖式楔状骨切術の結果
Outcome of Tibial Closing Wedge Osteotomy in 55 Cranial Cruciate Ligament-Deficient Stifles of Small Dogs (<15 kg).
Language: English
Vet Surg. November 2016;45(8):1056-1062.
Kathryn A Campbell , John T. Payne , Michael T Doornink , Jamie Haggerty

目的:体重15kg未満の犬において、前十字靱帯(CrCL)-欠損膝の治療に対し、脛骨の頭側閉鎖式楔状骨切術(closing wedge osteotomy:CWO)の結果を述べる

研究計画:回顧的ケースシリーズ

動物:45頭の飼い犬(n=55膝)

方法:CWOを行った45頭の犬(55膝)の医療記録(2005-2014)、エックス線写真、飼い主へのアンケートから行った外科処置、関係する合併症、結果を確認した。

結果:45頭の犬の55の膝に対するデータを含めた。ビジョンフリーゼが最も多い犬種だった(n=11)。術前と術後の平均頚骨プラトー角(tibial plateau angle:TPA)は、それぞれ36.3度(95%し35.1-37.5)と7.5度(95%CI6.7-8.2)だった。ピンとテンションバンドは38/55膝(69%)に設置した。短期間(2週間)で最も多かった合併症は、8の膝において切開の合併症だった;全て全身性抗生物質投与のみで解消した。8週目の全ての膝に対してデータが得られ、全体の合併症は16/55膝(28%)で発生した;1頭は修正する手術が必要だった。頚骨骨切の治癒は53膝(96%)において術後8週目のエックス線写真において明らかで、27膝は完全、26膝は良好と考えられた。追跡の飼い主へのアンケートは平均24か月、36頭の犬で得られ、34/36頭の飼い主(94%)はその処置に満足しており、彼らの犬は最小の長期合併症で良好なQOLを得ていると考えられた。

結論:CrCL-欠損膝の治療でCWOを行った体重15kg未満の犬は、臨床状態、エックス線写真評価、飼い主のアンケートをもとに良好な結果を得られた。(Sato訳)
■小型から中型犬においてArthrex Canine Cranial Cruciate Ligament Repair Anchor Systemに関係する術後合併症:回顧的分析(2009-2012)
Post-operative complications associated with the Arthrex Canine Cranial Cruciate Ligament Repair Anchor System in small- to medium-sized dogs: A retrospective analysis (2009-2012).
Language: English
Can Vet J. August 2016;57(8):847-52.
Nick S Rappa , Robert M Radasch

この研究は小型犬から中型犬の前十字靱帯(CCL)欠損膝を、Arthrex前十字靱帯修復アンカーシステム(CCLRAS)で安定化させた時の術後合併症を分類、判定した。

1施設の2009-2012年の85頭の医療記録を評価した。合併症は獣医療において過去に提唱された整形外科研究の定義に従い分類した。術後最低6か月で電話により52頭のオーナーにコンタクトを取り、インプラントに関係する合併症を分類するための質問を行った。ビジュアルアナログスケールを使用して機能性と疼痛の程度を評価した。

全体の合併症率は30.3%で、炎症-感染率は5.4%、インプラントの除去を必要とする証明された感染率は1.8%だった。オーナーは96%の症例が平均機能的スコア86.5で、完全あるいは良好な機能と報告した。

小型から中型犬のArthrex犬CCLRASによる前十字靱帯欠損膝の安定化は、容認できる合併症率で信頼できる。(Sato訳)
■脛骨粗面前方転移術迅速法:方法の記述と50症例の短期臨床試験結果
TTA Rapid: Description of the Technique and Short Term Clinical Trial Results of the First 50 Cases.
Vet Surg. May 2015;44(4):474-84.
Yves Samoy; Geert Verhoeven; Tim Bosmans; Elke Van der Vekens; Evelien de Bakker; Piet Verleyen; Bernadette Van Ryssen

目的:前十字靱帯(CLL)断裂の犬において脛骨粗面前方転移術(TTA)を修正した方法を述べることと、短期結果と合併症を報告する

研究構成:前向き臨床研究

動物:片側CCL断裂の犬(n=50)
方法:肩コツ粗面の前方変移を行うために新しいインプラントでTTAを実施した。治療プロトコール、特別なインプラントと機材、短期結果を述べる。

結果:さまざまな犬種(平均±SD体重、31.9±13.3kg)を含めた。処置時の平均年齢は64±30.6ヶ月だった。マイナーな合併症は30%で起こり、メジャーな合併症は4%の症例で起こった。48頭(96%)は術後3か月で良から優良の結果だった。

結論:修正法は他の骨切法の実行可能な代替法である。(Sato訳)
■犬の脛骨粗面前進術後の脛骨粗面骨折に対するリスクファクター
Risk factors for tibial tuberosity fracture after tibial tuberosity advancement in dogs.
Vet Comp Orthop Traumatol. 2015;28(2):.
A E Nutt; P Garcia-Fernandez; F San Roman; T Parkin; I Calvo

目的:犬の脛骨粗面前進術(TTA)後の脛骨粗面(TT)骨折の素因となるファクターを回顧的に確認する

方法:2008年から2013年の間に2か所の獣医教育病院でTTAの手術を行い骨折しなかったコントロール群(212頭、241処置)と骨折した犬(12頭、13処置)のカルテとエックス線写真を、TT骨折に対するシグナルメント、体重、手術の不正確さの影響を判定するため評価した。多変量ロジスティック回帰は興味深い結果変数としてTT骨折の発生で実施した。

結果:シグナルメントと体重にTT骨折との関係は見つからなかった。外科手術の不正確さで、骨切術の形(P=0.003)、プレートの位置(P=0.009)、ケージ位置(P=0.039)はTT骨折に有意に関係するファクターだった。

臨床意義:この研究はプレート位置の悪さ、ケージ位置の悪さ、遠位骨切の狭さはTTA後のTT骨折に関係するという仮説を支持するデータを提供する。著者らはこのリスクを減らすため、手術の技術にかなり注意を払うことが非常に重要であると結論付ける。(Sato訳)
■脛骨粗面前進術の合併症として脛骨粗面骨折
Tibial tuberosity fracture as a complication of tibial tuberosity advancement.
Vet Comp Orthop Traumatol. 2014;27(2):148-54.
I Calvo; J Aisa; D Chase; P Garcia-Fernandez; F San Roman; D Bennett

目的:脛骨粗面前進術(TTA)の合併症として脛骨粗面(TT)骨折(偶発的所見あるいは突発性重度跛行)に見舞われた犬の2つの臨床的サブセットを回顧的に比較することと、その骨折の外科的管理と結果を報告する

素材と方法:TTA後の11のTT骨折あるいは脛骨稜骨折の10頭の医療記録を再検討した。臨床およびエックス線検査による経過観察の検査から結果と合併症を判定した。術後6か月から12か月の間に後肢機能を評価した。最後の検査から6か月以上経って長期の経過を電話でオーナーから聴取した。

結果:4頭は外科的安定化を必要とし、6頭は保存的に管理した。外科群では各症例が最初のTTA手術後に突然負重しない跛行を経験した。4頭中3頭でTTおよび脛骨稜骨折の安定化ができ、TT前進を維持した。外科的に治療した4頭中3頭が術後合併症に遭遇した。機能的結果は7頭が優良、3頭が良だった。

臨床意義:脛骨粗面骨折は好ましい予後になると思われるTTAの合併症の一つで、重大な病的状態となる可能性があり、修正外科手術を必要とする症例もある。(Sato訳)
■犬の脛骨プラトーレベリング骨切術後の骨肉腫:29症例(1997-2011)
Osteosarcoma following tibial plateau leveling osteotomy in dogs: 29 cases (1997-2011).
J Am Vet Med Assoc. May 1, 2014;244(9):1053-9.
Laura E Selmic; Stewart D Ryan; Sarah E Boston; Julius M Liptak; William T N Culp; Angela J Sartor; Cassandra Y Prpich; Stephen J Withrow

目的:脛骨プラトーレベリング骨切術(TPLO)後の脛骨の近位面に骨肉腫が発生した犬において、シグナルメント、TPLOプレートタイプ、臨床的悪性度情報、治療、腫瘍学的結果を調べることと、TPLOから骨肉腫診断までの期間を算出した。

計画:複数施設の回顧的ケースシリーズ

動物:29頭の犬

方法:参加した8つの施設の医療記録から過去のTPLOの部位に骨肉腫(細胞診あるいは組織評価で確認)ができた犬を検索した。シグナルメント、TPLO詳細、悪性度判定検査、治療データ転帰の情報を記録した。記述統計を計算し、無病期間と生存期間をカプラン-マイヤー解析で評価した。

結果:29頭の犬が基準に合致した。骨肉腫と診断した時の平均年齢は9.2歳、平均体重は45.1kgだった。ほとんどの犬は脛骨の近位上が腫脹(17/21)しており、患肢の跛行があった(28/29)。TPLOから骨肉腫の診断までの平均期間は5.3年だった。ほとんどの犬(18)で使用されていたのは鋳造ステンレス鋼TPLOプレートの1型で、残りの犬(4)は鍛造ステンレス鋼のプレート、あるいは種類が記録になかった(7)。29頭中23頭は骨肉腫の治療を行った。患肢の断脚を行い、1回以上の化学療法を行った10頭の犬の生存期間中央値は313日だった。

結論と臨床関連:TPLOを行った犬で、過去の手術部位の遅くに出てくる跛行や腫れが起きた時、鑑別診断に骨肉腫を含めるべきだと結果は支持する。断脚と化学療法後の腫瘍学的結果は、四肢骨肉腫の犬に対して過去に報告された結果と同様だと思われた。(Sato訳)
■犬の前十字靱帯疾患の治療に対する外側種子骨縫合と脛骨プラトーレベリング骨切術の比較
Comparison of lateral fabellar suture and tibial plateau leveling osteotomy techniques for treatment of dogs with cranial cruciate ligament disease.
J Am Vet Med Assoc. September 1, 2013;243(5):675-80.
Wanda J Gordon-Evans; Dominique J Griffon; Carrie Bubb; Kim M Knap; Meghan Sullivan; Richard B Evans

目的:前十字靱帯疾患の犬の治療に対し、外側種子骨縫合安定化(LFS)と脛骨プラトーレベリング骨切術(TPLO)後の1年間の結果を比較する

デザイン:無作為盲検対照臨床試験

動物:片側性前十字靱帯疾患が自然に起きた犬80頭

方法:全ての犬を無作為にLFS(n=40)またはTPLO(40)を行う群に振り分けた。年齢、体重、ボディコンディションスコア、病歴、膝関節の不安定性、エックス線写真所見、外科的所見、合併症などの臨床データを集めた。術前、術後6、12週、6、12か月目にプレッシャープラットフォーム歩様分析、Canine Brief Pain Inventoryスコア、オーナーの満足度、大腿部周径、膝関節ゴニオメトリー検査値などを測定した。

結果:可能性のある交絡変数に対するデータとシグナルメントはグループ間で同じだった。術後12か月の間、LFS群に比べTPLOの犬の手術した肢の歩行時および駆け足時のピーク垂直力は5%-11%高かった。両グループの犬のCanine Brief Pain Inventory、ゴニオメトリー、大腿の周径は術後改善したが、両グループにおける有意差は検出されなかった。術後12か月目のオーナーの満足度はグループ間で有意差があった;満足度9以上(1-10)を示したTPLOおよびLFSの犬のオーナーはそれぞれ93%と75%だった。

結論と臨床関連:運動力学およびオーナーの満足度によると、LFSを行った犬よりもTPLOを行なった犬の方がよりよい結果だったと示すものだった。(Sato訳)
■犬の膝関節の安定化に使用するナイロンおよびポリエチレン糸の生体付着特性に対する過酸化水素ガスプラズマ、エチレンオキサイド、蒸気による滅菌の影響
Effects of sterilization with hydrogen peroxide gas plasma, ethylene oxide, and steam on bioadhesive properties of nylon and polyethylene lines used for stabilization of canine stifle joints.
Am J Vet Res. October 2012;73(10):1665-9.
Matthieu Gatineau; Alexander O El-Warrak; Christian Bolliger; Michael Mourez; Frederic Berthiaume

目的:犬の膝関節の安定化に使用するナイロンおよびポリエチレン糸の生体付着特性に対し、過酸化水素ガスプラズマ(HPGP)、エチレンオキサイド、蒸気による滅菌の影響を比較する。
サンプル:36.3kgテストのナイロンリーダー糸、57.8kgテストのナイロン釣り糸、2mm超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)のサンプルを使用した。

方法:このインビトロ研究では、HPGP、エチレンオキサイド、蒸気の使用で滅菌したナイロンリーダー糸、釣り糸、UHMWPEのサンプルと無滅菌のサンプルを使用した。無滅菌および滅菌したサンプルに対する細菌性の付着を表皮ブドウ球菌と大腸菌で検査した。各糸のタイプと滅菌の状況で5つのサンプルを検査し、最終的なコロニー数を得た。

結果:全ての3つの種類の糸に対し、滅菌の方法は細菌の付着性に有意に影響した。そのサンプルのほとんどで、エチレンオキサイド、蒸気で滅菌した結果と比較してHPGP滅菌を使用した時の細菌付着性は、それぞれ同様あるいは低かった。使用した滅菌法にかかわらず、ナイロン糸に対する付着性と比較して、UHMWPEに対する細菌付着性は有意に高かった。エチレンオキサイド滅菌後の表皮ブドウ球菌、HPGPおよびエチレンオキサイド滅菌後の大腸菌に対し、ナイロンリーダー糸よりもナイロン釣り糸の方が細菌付着性は高かった。

結論と臨床関連:ナイロンおよびポリエチレン糸の生体付着特性に対するHPGP滅菌の影響は、エチレンオキサイドおよび蒸気滅菌に対するそれらより好ましかった。また、細菌付着性を基にした縫合材料としてUHMWPEよりもナイロン糸はより安定した素材かもしれない。(Sato訳)
■犬の十字靱帯欠損膝関節における頭側脛骨亜脱臼の測定に対するエックス線写真上のランドマーク
Radiographic landmarks for measurement of cranial tibial subluxation in the canine cruciate ligament deficient stifle.
Vet Comp Orthop Traumatol. 2012;25(6):478-87.
R Plesman; A Sharma; P Gilbert; J Campbell; J D Johnston; C Shmon; K Linn

目的:主要な目的は、頭側脛骨亜脱臼(CTS)の評価に対し、繰り返し使用できるエックス線撮影法の開発と、選ばれたランドマークの観察者間、観察者内の再現性を検査することだった。2つ目の目的は、CTS測定の再現性にデジタルエックス線写真拡大の影響を判定することだった。

方法:23の正常な後肢で、前十字靱帯の離断前後のCTSの規模を判定した。決まった場所で基準のマーカーのある場合とない場合の中外側エックス線写真を撮影した。3人の観察者が2つの異なる拡大像で、エックス線写真上目に見える解剖学的ランドマークを使用してCTSを測定した。全ての観察した変数は観察者間および観察者内差により評価した。CTS測定値に対する拡大およびマーカー有無の影響を判定するのにペアt-検定を使用した。

結果:大腿骨の顆間窩の尾側縁から顆間隆起までのCTSの測定が最も再現できた。解剖学的ランドマークと基準の骨マーカーの間の相関はあまり観察されなかった。著者らはCTSの測定に対する拡大、骨マーカーのある、あるいはなしの影響を見つけられなかった。

臨床的意義:頭側脛骨亜脱臼は、顆間窩の尾側縁と顆間隆起の間を測定するという最も再現性のある方法により検出できる。デジタル化エックス線像の拡大は、再現性に最小限の影響しか及ぼさなかった。この方法は、犬の前十字靱帯欠損膝関節の生体分析に使用できる。(Sato訳)
■外科的あるいは非外科的に治療した前十字靱帯断裂の過体重の犬に対する短期結果と長期結果
Short-term and long-term outcomes for overweight dogs with cranial cruciate ligament rupture treated surgically or nonsurgically.
J Am Vet Med Assoc. May 15, 2013;242(10):1364-72.
Katja L Wucherer; Michael G Conzemius; Richard Evans; Vicki L Wilke

目的:前十字靱帯断裂(CCLR)の体重過多の犬に対する外科および非外科的治療の結果の短期-および長期成功率を判定する

デザイン:前向き無作為化臨床試験

動物:片側CCLRの過体重の飼い主所有犬40頭

手順:犬を無作為に非外科的(理学療法、減量、NSAID投与)あるいは外科的(脛骨プラトーレベリング骨切術)治療群に振り分けた;両群の犬は同様の非外科的処置を受けた。治療開始直前、治療から6、12、24、52週目に飼い主への質問、歩様分析、二重エネルギーエックス線吸収測定法で評価した。治療の成功は、罹患した肢の地面反力ネット値が健康な犬の値の85%より上、および質問の変数の値が10%以上改善と定義した。

結果:飼い主への質問の返答は両群の犬が研究中に改善したと示したが、外科的治療群の犬はより大きな改善を示したと思えた。両治療群の犬の体脂肪率は、研究中に有意に低下した。24週、52週の評価時、非外科的治療群に対し、外科的治療群の犬の患肢は、より有意に高いpeak vertical forceを示した。外科的治療群の犬の成功結果(12週-67.7%、24週-92.6%、52週-75.0%)の確率は、非外科的治療群の犬(12週-47.1%、24週-33.3%、52週-63.6%)に比べて有意に高かった。

結論と臨床的関連:外科および非外科的方法で治療したCCLRの過体重の犬は、非外科的方法単独で治療した犬よりも良い結果を示した。しかし、非外科的治療群の犬のほぼ2/3は52週の評価時に成功結果を示した。(Sato訳)
■犬の前十字靱帯修復後の長期外科的結果と慢性疼痛に関するアンケートによる評価:253症例(2004-2006)
Use of an owner questionnaire to evaluate long-term surgical outcome and chronic pain after cranial cruciate ligament repair in dogs: 253 cases (2004-2006).
J Am Vet Med Assoc. September 1, 2013;243(5):689-95.
Sari H Molsa; Anna K Hielm-Bjorkman; Outi M Laitinen-Vapaavuori

目的:オーナーに対するアンケートで、犬の前十字靱帯(CCL)手術後の長期結果と慢性疼痛の有病率を評価すること。

構成:後ろ向き症例シリーズ

動物:前十字靱帯断裂を外科的に治療した253頭の犬

方法:2004年から2006年の間に前十字靱帯の外科的修復を行った犬の外科的記録からデータを再検討した。関節内、関節外あるいは骨切術で外科的修復後の長期結果と慢性疼痛の有病率を評価するため、検証したヘルシンキ慢性疼痛指数(HCPI)を含むオーナーへのアンケートを実施した。また手術後の回復およびリハビリテーション、現在の満足度、薬物療法および補助治療に関する質問も行った。

結果:507の質問のうち272問(53.6%)に回答があった;19問は不完全な答えのために除外した。平均±SD追跡調査期間は、2.7±0.8年(範囲、1.3-4.5年)だった。オーナーが考える外科的結果は、226頭中122頭(54.0%)が優良、97頭(42.9%)が良、0頭(0%)がまあまあ、7頭(3.1%)は不良だった。
追跡調査時の206頭の平均±SD HCPIは8.9±6.3(範囲0-24)だった。その206頭のうち、64頭はHCPIが12以上で、慢性疼痛を示している。良好な結果の犬の平均HCPI(11.8±5.4;95%信頼区間、10.6-12.9)は、優良な結果の犬(6.2±5.7;95%信頼区間、5.1-7.2)よりも有意に高かった。オーナーが報告した術後の跛行は、関節内法後の跛行持続期間と比較して骨切方法後の方が有意に短かった。

結論と臨床的関連:オーナーへの調査を基に、CCL修復後の犬の約30%に長期慢性疼痛が認められた。(Sato訳)
■前十字靱帯断裂に対し外側種子骨縫合において2つの一般的に使用される糸を比較する回顧的研究
Retrospective Study Comparing Two Materials Commonly Used in the LFS Technique for CCLR.
J Am Anim Hosp Assoc. March 2013;49(2):108-14.
Dena Lodato; Jennifer Wardlaw; Dennis Rowe

前十字靱帯断裂(CCLR)は成犬の膝において変性性関節疾患(DJD)最も一般的な原因である。ここ数年で、新世代の非吸収性、マルチフィラメント、ポリブレンドポリエチレン整形外科用縫合素材が、CCLRの外科的治療の外側種子骨縫合(LFS)法の使用で評価されている。

この回顧的研究は、登録商標を持つポリブレンドポリエチレン整形外科用縫合素材(FW)あるいはモノフィラメントナイロンリーダーライン(NLL)で外側種子骨縫合法により治療した16頭の犬の短期間結果を比較した。

FWはNLLと比較して有意に失敗しやすかった(P=0.0379)。特に、FWはNLLよりも14.667倍失敗しやすかった。NLLの1回および2回の撚りとFWを比較した時、FWはNLL1回の撚りよりも6倍、2回撚りと比べて32倍失敗しやすかった。

著者の知識では、これは臨床症例において実施したLFS法で使用した2つの素材を比較する最初の研究である。(Sato訳)
■不均一な犬の集団において脛骨プラトーレベリング骨切術と関節外修復の長期機能的結果
Long-term functional outcome of tibial plateau leveling osteotomy versus extracapsular repair in a heterogeneous population of dogs.
Vet Surg. January 2013;42(1):38-50.
Samantha A Nelson; Ursula Krotscheck; Jeremy Rawlinson; Rory J Todhunter; Zhiwu Zhang; Hussni Mohammed

目的:前十字靱帯断裂(RCCL)の治療で、脛骨プラトーレベリング骨切術(TPLO)と関節外修復(ECR)の長期結果を比較する

研究構成:前向き臨床試験

動物:正常な成犬(コントロール、n=79);片側性CCL疾患の犬(n=38)

方法:犬の前十字靱帯断裂をTPLO(n=15)あるいはECR(n=23)で治療した。フォースプレート歩様分析をコントロール群は1回、治療群は連続ポイント(術前、術後2、8週、6、12か月目)で実施した。ピークの垂直力(PVF)、接地時間(CT)、垂直衝撃(VI)を含む床反力(GRFs)に対し、手術した後肢としなかった後肢で対称指数(SIs)を算出した。治療群とコントロール群のGRFsを一般線形モデルおよびカプランマイヤー生存分析で比較した。

結果:8週目、PVFおよびVIに関して歩行あるいは速足時に、TPLO群はECR群と比べて負重した肢がより対称的だった。術後6か月から1年でTPLO群のSIsはコントロール群と違いがなかった。全ての期間で、ECR群のSIsはコントロール群と比べて対称性が少なかった。生存分析を用いて、正常な機能までの期間中央値は群間の歩行で違いはなかったが、VIおよびPVFに関してTPLO群はより短かった。

結論:ECRよりもTPLOを行った犬の方が正常な肢の負重により早く到達した。TPLOを行った肢の機能は、術後1年でコントロール集団と区別できなかった。(Sato訳)
■脛骨粗面前進術の修正安定化法のメカニカルテスト
Mechanical testing of a modified stabilisation method for tibial tuberosity advancement.
Vet Comp Orthop Traumatol. September 2010;23(6):.
S Etchepareborde; N Barthelemy; J Mills; F Pascon; G R Ragetly; M Balligand

目的:脛骨粗面前進術(TTA)の3つの修正法をインビトロ研究で評価する。各方法で障害が出る負荷を算出した。

方法:9mmTTA法を32-38kgの体重の犬の脛骨で実施した。1群(n=12)は、脛骨粗面の遠位部を脛骨の頭側皮質左に付着させ、8の字ワイヤーで安定化を加えた。2群(n=12)は、脛骨粗面を左に付着させ、他に安定化を施さなかった。3群(n=12)は、脛骨粗面を完全に脛骨から分離させ、この群では脛骨粗面の剥離を抑えるためだけに8の字ワイヤーで固定した。そのモデルの障害が出る最大負荷を判定するため、膝蓋骨を通して一方向性の軸力を適用した。

結果:1群と2群に有意差はなかった。それら両群は3群と比べて有意に強固な構成だった。

臨床意義:我々は臨床調査を正当化するプレート固定なしのTTAの修正法を紹介した。前進させるときに脛骨稜が破損したとき、その修復から維持されるテンションは生体力学的観点から有意に弱くなり、著者はそのような修復の使用は勧められない。(Sato訳)
■犬において前十字靱帯疾患と随伴する膝蓋骨内側脱臼の治療として脛骨粗面転位-前位縫合。術式、エックス線および臨床結果
Tibial tuberosity transposition-advancement for treatment of medial patellar luxation and concomitant cranial cruciate ligament disease in the dog. Surgical technique, radiographic and clinical outcomes.
Vet Comp Orthop Traumatol. September 2010;23(6):.
R Yeadon; N Fitzpatrick; M P Kowaleski

目的:膝蓋骨内側脱臼(MPL)と前十字靱帯(CCL)疾患を随伴する32頭の犬の管理として、脛骨粗面転位-前位縫合(TTTA)、溝形成および膝蓋骨周囲筋膜鱗状縫合の術式、形態計測的影響、臨床結果を報告する
研究構成:症例シリーズ

方法:過去の脛骨粗面前進術の方法を、外側および遠位脛骨粗面転位に組み入れるために修正した。術前、術後すぐと6-8週間後のエックス線写真で、脛骨および膝関節の解剖学的パラメーターの範囲の形態計測を審査した。術後6-20ヶ月の連続臨床検査の所見を記録した。

結果:39件の膝を手術した。膝蓋骨内側脱臼のグレードはIIからIV/IVの範囲だった。CCL断裂は39件中17件で完全、22件で不完全だった。合併症はMPL再発(n=4)を含む39件中11件で発生した。6-8週目の評価で主観的に評価した跛行の解消は39件中29件で見られ、最終的には35件(4件は経過観察不能)で、6-20ヶ月の再評価を行ったものはそれを維持していた。39件中31件でTTTAは相対的膝蓋低位を誘発した。実際の脛骨粗面前位縫合の規模はケージサイズで予測したものより小さかった。

臨床意義:脛骨粗面転位-前位縫合は、CCL疾患とMPLが随伴する犬で有望な治療様式であるが、治療計画の洗練が必要であり、生体力学および運動力学的影響は不明なままである。(Sato訳)
■92件の犬の膝関節における脛骨粗面前進術:初期結果、臨床結果およびオーナーの評価
Tibial tuberosity advancement in 92 canine stifles: initial results, clinical outcome and owner evaluation.
Aust Vet J. October 2010;88(10):381-5.
N L Dymond; S E Goldsmid; D J Simpson

目的:犬の膝関節における脛骨粗面前進術(TTA)の臨床結果、合併症およびオーナーの評価を調査する

方法:部分あるいは完全前十字靱帯(CCL)断裂と診断されTTA修復を実施した犬を確認するため、病院記録の回顧的研究を実施した。シグナルメント、跛行期間、手術レポート、半月板損傷の所見、術後回復、周術期合併症などの情報を得た。オーナーに長期結果を評価するよう求めた。

結果:合計72頭の犬(年齢中央値6歳;体重中央値、34.8kg)で、92の膝関節に対しTTAを実施した。20の犬種が存在し、ラブラドールレトリバーとロットワイラーが多かった。跛行期間の範囲は3日から24ヶ月だった。術前跛行スコアの中央値は3/4で、半月板損傷は51の膝関節に存在した。マイナーな合併症は29%の症例で発生した。メジャーな合併症は6.5%の症例で発生し、半月板損傷および脛骨粗面の破損だった。全てうまく管理され、その後に評価したときは良好な肢の機能を示した。オーナーの評価で、術後96%は中程度から大きな改善と報告され、休息時に跛行はなく、激しい運動後は軽度の跛行から跛行なしの状態だった。

結論:この症例シリーズでの臨床転帰およびオーナーの評価が示した良好な結果は、CCL欠損膝関節をTTAで治療したときに期待できる。(Sato訳)
■脛骨プラトー平坦化骨切術から5.5年後の犬における脛骨近位部に発生した肉腫
Sarcoma of the Proximal Portion of the Tibia in a Dog 5.5 Years After Tibial Plateau Leveling Osteotomy
J Am Vet Med Assoc 227[10]:1613-1617 Nov 15'05 Case Report 20 Refs
Randy J. Boudrieau, DVM, DACVS; Robert J. McCarthy, DVM, MS, DACVS; Richard D. Sisson, Jr, PhD

11.75歳の避妊済みメスのジャーマンシェパードの脛骨近位および大腿骨遠位部に骨性腫瘍を認めた。頚骨プラトー平坦化骨切術と金属プレートの施用が5.5年前に患肢に施されていた。エックス線学的に骨溶解と骨膜増殖の部分が見られ、金属プレート直下で骨溶解の強い部分があった。組織学的に腫瘍は分化の乏しい肉腫と確認された。組織学的に細胞外および細胞内壊死組織片が見られ、エネルギー分散型エックス線分析装置でこの壊死組織片は金属性であることが分かった。肉眼的に骨に接していた金属プレートの底面部分は、鈍で、ざらざらになっており、それらの部分の走査型電子顕微鏡検査で複数の腐食したくぼみが見られた。プレートは強い磁気を帯び、フェライトを含むことが示唆され、金属組織学的検査でプレートの様々な部位の化学的構造にかなりの差があることが分かった。微細構造分析で、そのプレートはフェライトが大部分のオーステナイト基質から成ることが分かった。
そのプレートは鋳造316Lステンレスインプラントと確認されたが、インプラントグレード金属に対するAmerican Society for Testing Materials standardsに合っていなかった。インプラント腐蝕が腫瘍発生にの原因になった可能性が考えられる。しかし、確定的な関連は証明されなかった。(Sato訳)
■犬の前十字靱帯障害の診断に使用される検査を評価する予備研究
Preliminary study evaluating tests used to diagnose canine cranial cruciate ligament failure.
J Small Anim Pract. May 2009;50(5):224-6.
B Carobbi, M G Ness

目的:犬の前十字靱帯障害の診断で使用する検査および徴候の特異性、感受性、陽性適中率および陰性適中率を評価する

方法:42頭の各々の1つの膝関節を検査した:25頭の患犬および17頭のコントロール犬。すべての犬は意識のあるときに以下の検査を行った:頭側へのドローワー、脛骨加圧、膝蓋腱触診、関節内側面の触診。全身麻酔下で、頭側へのドローワーおよび脛骨加圧検査を繰り返し、膝関節のラテラルエックス線撮影で膝蓋下脂肪パッドの変化を評価した。結果を2x2 table法で分析した。感受性、特異性、陽性適中率、陰性適中率を算出した。

結果:頭側へのドローワーおよび脛骨加圧検査の感受性は、意識のある患犬に実施したとき非常に低かったが、麻酔下で実施したときは有意に優れていた。同様に膝関節の内側面の触診は、前十字靱帯傷害の信頼できる指標と考えることはできない。膝蓋骨触診およびエックス線評価は、優れた感受性、特異性、陽性適中率、陰性適中率を示した。

臨床意義:前十字靱帯の診断で、臨床医は誤診のリスクを低減するため、各検査の特性および限界を知っておくことが重要である。(Sato訳)
■犬の前十字靱帯傷害からの術後回復に対するペントサンポリサルフェートナトリウムの評価:無作為プラセボコントロール臨床試験
Evaluation of pentosan polysulfate sodium in the postoperative recovery from cranial cruciate injury in dogs: a randomized, placebo-controlled clinical trial
Vet Surg. April 2007;36(3):234-44.
Steven C Budsberg, Mary Sarah Bergh, Lisa R Reynolds, Heather K Streppa

目的:犬の前十字靱帯(CCL)傷害の関節包外安定化を行った後、回復期間の短縮および膝関節の変形性関節症(OA)の進行緩和に対し、ペントサンポリサルフェート(PPS)の効果を評価する

研究構成:無作為盲検プラセボコントロール臨床試験

動物:片側CCL不安定な犬(n=40)

方法:各犬に部分的半月板切除を行う、または行わないで膝関節の関節包外安定化を行った。術前エックス線検査評価、部分的半月板切除を行ったかどうかをもとに4群に振り分けた。各群の中で無作為にPPS(3mg/kg)またはプラセボ投与に振り分け、週1回の皮下注射を4週間行った。跛行、エックス線写真変化、血液および尿の生物学的マーカー濃度、地面反力(GRFs)を術前、術後6、12、24、48週目に調査した。データは群内、群間で反復測定値分散分析法により分析し、P<.05を有意と考えた。

結果:PPSの副作用は報告されなかった。29頭は最低24週の追跡が出来、33頭は48週追跡した。全ての犬は、跛行スコア、垂直GRFs、X線写真での進行に差がなく術後臨床的に改善した。はじめにエックス線写真スコアのみで評価した群で、PPS投与犬はプラセボ投与犬よりもブレーキングGRFsが有意に早く改善した。部分的半月板切除を行った犬で、尿中デオキシピリジノリン、II型コラーゲンの血清カルボキシ-プロペプチドはPPS投与犬に比べプラセボ投与犬で6週時に有意に増加した。

結論:十字靱帯欠損膝関節の安定化後のPPS投与は、有効な補助治療オプションと思われるが、この主張を強固にするためさらなる研究が必要である。(Sato訳)
■犬前十字靱帯欠損膝関節の犬の脛骨粗面前進術による安定化
Tibial tuberosity advancement for stabilization of the canine cranial cruciate ligament-deficient stifle joint: surgical technique, early results, and complications in 101 dogs
Vet Surg. August 2007;36(6):573-86.
Sarah Lafaver, Nathan A Miller, W Preston Stubbs, Robert A Taylor, Randy J Boudrieau

目的:犬の前十字靱帯(CrCL)欠損膝関節の治療で、脛骨粗面前進術(TTA)の術式、早期結果及び合併症を述べる
研究構成:遡及臨床研究

動物:CrCL欠損膝関節(114)の犬(n=101)

方法:TTAを行った101頭の犬の医療記録を調査した。合併症を記録し、追加外科処置の必要性をもとにメジャー、またはマイナーな合併症に分けた。病院で、患肢機能の再評価及びエックス線学的治癒の時間を再調査した。更なる追跡調査はオーナーへの電話調査で入手した。

結果:31.5%の犬で合併症が起きた(12.3%メジャー、19.3%マイナー)。メジャーな合併症には、続発半月板損傷、脛骨骨折、移植失敗、感染、舐性肉芽腫、切開性外傷、膝蓋骨内方脱臼で、全てのメジャーな合併症は治療でうまく治った。2つ以外の全てマイナーな合併症は解消した。エックス線学的治癒を示すまでの平均期間は11.3週だった。最終的な患肢の院内再評価(平均13.5週)は93頭で記録され、跛行はなし(74.5%)、軽度(23.5%)、中程度(2%)、重度(1%)に分類された。2人を除く全てのオーナーは結果に満足しており、83.1%が顕著な改善、または受傷前の状態に戻ったと報告した。

結論:TTAはCrCL修復の代替法に匹敵し、良いから優良な機能結果が期待される。
臨床関連:TTA法は、犬のCrCL欠損膝関節の力学的安定を得るのにうまく使用できる。(Sato訳)
■前十字靱帯と骨盤肢修復後の犬の術後疼痛緩和に対する経皮フェンタニルパッチの効果と対費用効果
Efficacy and cost-effectiveness of transdermal fentanyl patches for the relief of post-operative pain in dogs after anterior cruciate ligament and pelvic limb repair
Vet Anaesth Analg. May 2007;34(3):200-8.
Christine M Egger, Leigh Glerum, Katherine Michelle Haag, Barton W Rohrbach

目的:経皮フェンタニルパッチが骨盤肢傷害の犬の対費用的術後鎮痛効果を提供するかどうか判定する

研究構成:前向き無作為盲検臨床研究

動物:前十字靱帯修復または骨盤肢骨折修復を行う24頭の犬

方法:犬を無作為に術後疼痛管理のため、経皮フェンタニルパッチ(F群)とモルヒネ注射(M群)投与の2群に振り分けた。両治療群の犬は、妥当な鎮痛、および生理学的変動値の変化をモニターした。F群の血漿フェンタニル濃度を測定した。犬が不快だと思われた時にはレスキュー的にモルヒネを与えた。72時間の間の最初のレスキューモルヒネの時間、総量、モルヒネの投与回数を定量化し、群で比較した。

結果:F群全体で有意に低い(p=0.01)血清コルチゾール濃度を除き、どのパラメーターにも有意な治療の効果はなかった。疼痛スコアは抜管後6時間がピークで、2-20時間の間ベースラインより高かった。コルチゾール濃度は0時(抜管)に最も高く、その後2時間まで基準よりも有意に高かった。疼痛スコアは血漿フェンタニル濃度に相関した(それぞれp=0.0001およびp=0.01)が、相関は低かった(それぞれr=0.26およびr=0.16)。各群で血清コルチゾール濃度と疼痛スコアに相関は認めなかった。疼痛管理のフェンタニル費用と総費用はF群でかなり高かった。

結論:フェンタニルパッチはモルヒネの筋肉注射に比べ、よりよい鎮痛効果をもたらす、またはレスキューオピオイドの必要性を減じる、ことはなかった。

臨床関連:類似する鎮痛処置を総費用で考えるとき、術後24時間のフェンタニルパッチはコストを減らすよりも増やすことになった。(Sato訳)
■脛骨プラトー平坦化骨切術の精度にジグの使用が影響するか?
Does use of a jig influence the precision of tibial plateau leveling osteotomy surgery?
Vet Surg. April 2007;36(3):228-33.
Jonathan C Bell, Malcolm G Ness

目的:ジグを使用する、または使用しない場合の脛骨プラトー平坦化骨切術(TPLO)の精度を比較する

研究構成:死体研究

サンプル:グレイハウンド成犬の死体の後肢(n=9対)

方法:各対の後肢でTPLO(n=18)を実施し、1つはジグを使用、もう1つはジグを使用しなかった。術前、術後のエックス線写真から骨切位置、脛骨プラトー角(TPA)、内反-外反アライメント不良、脛骨のねじれを測定した。帰無仮説は、TPLO精度はジグの使用に影響されないだった。TPA、骨切部位、医原性後肢アライメント不良の頻度と程度の違いの調査でスチューデントT検定を使用し、P<.05を有意と考えた。

結果:ジグを使用した、または使用しなかったTPLOsで術後TPA、脛骨前縁の厚さ、内反-外反アライメント不良、脛骨のねじれに有意差はなかった。骨切部位は、ジグを使用した時に有意に遠位になった(P=.03)。

結論:ジグの使用はTPLOの精度を上げなかった。

臨床関連:ジグなしでTPLOの実施は、手術時間を短くし、遠位ジグピンの設置に関する合併症をなくし、骨切の位置決めを妨げないようにする。(Sato訳)
■実験的に前十字靱帯を横断し、脛骨プラトー平坦化骨切術で治療したイヌの術前術後の力板分析
Pre- and postoperative force plate analysis of dogs with experimentally transected cranial cruciate ligaments treated using tibial plateau leveling osteotomy.
Vet Surg 33[2]:187-90 2004 Mar-Apr
Ballagas AJ, Montgomery RD, Henderson RA, Gillette R

目的:正常なイヌの前十字靱帯(CrCL)横断後、そしてその後脛骨プラトー平坦化骨切術(TPLO)で膝関節安定化後の後肢動力学の両手起訴して客観的評価

研究構成:生体実験生体力学評価

動物:6頭の健康なフォックスハウンド成犬

方法:イヌを研究に使用する前に整形外科的、X線検査で精査した。歩様の力板分析を右前十字靱帯摘出そしてTPLO実施前と、術後8週、18週目に測定した。

結果:8週目のpeak vertical forces (PVFs) と vertical impulse (VI)は、術前、18週目の測定値と比べ、有意に低下した。術前値との比較で、TPLOしたイヌの18週目のPVFそしてVIに有意差はなかった。

結論:イヌの前十字靱帯実験的横断後、TPLOの実施で術前値まで、術後18週目に後肢機能の動力学測定値を回復できる。

臨床関連:TPLOは、18週目にほぼ正常まで跛行を回復させる。跛行の程度と持続期間は、異なる方法で修復された膝関節不安定性の他の実験モデルに報告されているものと同様だった。(Sato訳)
■TPLO手術後の変形性骨関節症の進行:40症例の前向きX線研究
Progression of osteoarthritis following TPLO surgery: a prospective radiographic study of 40 dogs.
J Small Anim Pract 45[2]:92-7 2004 Feb
Rayward RM, Thomson DG, Davies JV, Innes JF, Whitelock RG

この研究の目的は、脛骨プラトー平坦化骨切術(TPLO)の実施後、変形性骨関節症の進行を評価することだった。研究開始時、手術後6週間、6ヶ月目に骨増殖測定法により、変形性骨関節症をX線学的にモニターした。研究では40頭のイヌを評価した。各来院時にforce platform analysisや関節液サンプリングにより臨床、X線検査で評価した。X線検査データは、この報告の主題である。平均骨増殖スコアーは、開始時から6ヶ月目までに有意に増加していた。この増加は、16頭のイヌの増加によるものだった。しかし、大多数のイヌで、研究中の骨増殖症の進行はなかった。(Sato訳)
■犬の前十字靱帯断裂で術後患肢機能に対する術式の影響
Effect of Surgical Technique on Limb Function After Surgery for Rupture of the Cranial Cruciate Ligament in Dogs
J Am Vet Med Assoc 226[2]:232-236 Jan 15'05 Clinical Study 17 Refs
Michael G. Conzemius, DVM, PhD, DACVS; Richard B. Evans, PhD; M. Faulkner Besancon, DVM; Wanda J. Gordon, DVM; Christopher L. Horstman, DVM; William D. Hoefle, DVM, MS, DACVS; Mary Ann Nieves, DVM, MS, DACVS; Stanley D. Wagner, DVM, MS

目的:ラブラドールレトリバーの前十字靱帯断裂(RCCL)と内側半月板損傷に対する術後、肢の機能に対する術式の影響とその結果を調査する

研究構成:回顧的臨床研究

動物:片側RCCLと内側半月板損傷をもつラブラドールレトリバー131頭と臨床上正常なラブラドールレトリバー17頭

方法:罹患犬に、部分的、または完全内側半月板切除と関節包外縫合(LSS)、関節包内法(ICS)および脛骨プラトー平坦化骨切術(TPLO)を実施した。肢の機能を術前、術後2、6ヶ月目に測定した。治療犬と臨床的に正常な犬を鑑別できる確立を判定するため評価し、改善に達する見込みを判定するため検査した。

結果:2、6ヶ月目の地面反力にLSSとTPLOの差はなかったが、ICSは有意に低かった。臨床上正常な犬に比べ、正常な肢機能を持つ治療犬はLSSで14.9%、ICSで15%、TPLOで10.9%の犬しかいなかった。改善が見られたのは、ICSで治療した犬の15%、TPLOの34%、LSSの40%にとどまった。

結論と臨床関連:術式は術後の患肢機能に影響する可能性がある。ラブラドールレトリバーでRCCLに対し、LSS、ICS、TPLOで治療し、内側半月板損傷を部分または完全半月板切除で管理しても正常な機能にほとんど至らない。LSSとTPLOは同様の結果で、ICSよりも優れている。(Sato訳)
■犬の卵巣子宮摘出や睾丸摘出は前十字靱帯損傷の罹患率を増加させる
Canine ovariohysterectomy and orchiectomy increases the prevalence of ACL injury.
Clin Orthop [429]:301-5 2004 Dec
Slauterbeck JR, Pankratz K, Xu KT, Bozeman SC, Hardy DM

犬の卵巣子宮摘出術や睾丸摘出術が、前十字靱帯損傷罹患率に影響を及ぼすかどうかを判定するため、性別の作用、犬種、大きさなど性腺摘出を行った犬とそうでない犬の前十字靱帯損傷率を比較した。2年間1箇所の整形外科動物診療所で治療した3218頭の記録を回顧的に再検討した。急性後肢跛行、前方引き出し試験陽性で診断された前十字靱帯損傷は手術時に確認した。全体の前十字靱帯断裂の罹患率は3.48%だった。卵巣子宮摘出術を行ったメス犬、睾丸摘出を行ったオス犬は、未不妊犬よりも有意に前十字靱帯断裂の罹患率が高かった。小型や中型犬よりも大型犬の前十字靱帯断裂の罹患率が増加していた。
オスメスとも不妊は前十字靱帯損傷の罹患率を増加させ、この靱帯損傷の罹患率に対する性腺の影響がある可能性があると思われる。(Sato訳)
■前十字靱帯欠損膝関節の膝腱移植法による安定化
Hamstring graft technique for stabilization of canine cranial cruciate ligament deficient stifles.
Vet Surg 32[4]:390-401 2003 Jul-Aug
Lopez MJ, Markel MD, Kalscheur V, Lu Y, Manley PA

目的:前十字靱帯(CrCL)再建に膝腱移植片の採取と適用を研究する

研究構成:実験研究

動物:体重26.3±1.6kg(平均±SEM)の4頭のメスのハウンド成犬

方法:各イヌの片方の膝を無作為に選び、前十字靱帯横断後、膝腱移植前十字靱帯再建を行った。12週時に移植の状態を見るため、関節鏡検査を行った。歩様分析と膝エックス線検査を術前と、移植設置後52週まで行った。CrCL再建後12週目(n=2)と52週目(n=2)に犬を安楽死した。肉眼的、光学、共焦点レーザー顕微鏡で組織を評価した。

結果:12週目(n=4)と52週目(n=2)のすべての膝で、膝腱移植片は完全な状態だった。肉眼的に12週目の膝で変形性関節症は無く、52週目に唯一滑車稜に沿う軟骨増殖形成が見られた。変形性関節症の最小のX線所見は、研究中に移植した膝に発生した。移植した肢の跛行は52週までに解消した。移植組織は、12週目には高度な血管分布、靭帯化、そして活発なりモデリングを起こしていた。移植後52週目には、Sharpey'sファイバー挿入により関節内移植組織はうまく血管化、発達、滑膜に被包され、移植-骨は調和している特徴が示された。同時に共焦点レーザー顕微鏡で移植片壊死の所見は見られなかった。

結論:膝腱移植法はイヌのCrCL再建の現実に使用できる方法と思われる。
臨床関連:膝腱移植はCrCL再建の代替療法と思われる。臨床応用前に更なる調査を必要とする。(Sato訳)
■小型犬の尾側近位脛骨変形と前十字靭帯断裂
Caudal proximal tibial deformity and cranial cruciate ligament rupture in small-breed dogs.
J Small Anim Pract 43[10]:433-8 2002 Oct
Macias C, McKee WM, May C

8頭の犬が前十字靭帯に関する慢性の後肢跛行で来院した。7頭は小さなテリア種だった。近位脛骨が起源の近位脛骨軸の尾側変形、脛骨プラトーの過度の尾側スロープが全頭の両側に見られた。変形は前十字靭帯不全に反応性で保存療法の反応の悪さからと思われた。脛骨プラトー角は全頭で26度を越えていた。3頭の跛行は両側だった。7つの膝関節は完全な前十字靭帯断裂で、4頭は部分断裂だった。半月板損傷はなかった。平均追跡期間12ヶ月(範囲3-24ヵ月)にわたり、外科的矯正による全頭有意な改善を見せていた(P<0.0001)。合併症はなかった。(Sato訳)
■前十字靱帯断裂を外科的に矯正した犬と健康犬で、水泳中と歩行中の後肢の運動力学分析
Kinematic Analysis of the Hind Limb During Swimming and Walking in Healthy Dogs and Dogs with Surgically Corrected Cranial Cruciate Ligament Rupture
J Am Vet Med Assoc 222[6]:739-743 Mar 15'03 Prospective Study 40 Refs
Gregory S. Marsolais, DVM, MS; Scott McLean, PhD; Tim Derrick, PhD; Michael G. Conzemius, DVM, PhD, DACVS *

目的:前十字靱帯(CCL)断裂を外科的に矯正した犬と健康犬で、水泳、歩行中の股関節、膝関節、足根関節の可動域(ROM)と角速度を判定した。

構成:前向き臨床研究

動物:健康犬13頭と前十字靱帯断裂の犬7頭

手順:前十字靱帯断裂の犬を、術後水中リハビリプログラムに参加させ、21-35日に評価した。プールでの水泳中とトレッドミルで速い(1.3m/s)、または遅いペース(0.9m/s)で歩行中の犬を撮影した。伸展、屈曲の最大角度、可動域、角速度を算出した。

結果:健康犬で、水泳は歩行よりも股関節の可動域が有意に大きくなったが、前十字靱帯断裂の犬はそうではなく、股関節の可動域は歩行中に対し、水泳中に変化しなかった。両群の犬で、水泳中は歩行中よりも膝や足根関節の可動域が有意に大きく、主な理由はより大きな関節屈曲のためだった。歩行時、水泳時に関わらず、膝関節可動閾は健康犬よりも前十字靱帯断裂の犬の方が有意に小さかった。

結論と臨床関連:結果は、イヌの前十字靱帯断裂の手術処置後、水泳は歩行よりも膝、足根関節のより大きな可動域をもたらすことを示唆した。これは、可動域がそれらの犬の機能回復率または回復の限度の要因ならば、水中リハビリが歩行のみよりも全体的により良い結果をもたらすだろうと思われる。(Sato訳)
■犬の前十字靭帯断裂-術式を比較する回顧的研究
Cranial cruciate ligament rupture in the dog--a retrospective study comparing surgical techniques.
Aust Vet J 72[8]:281-5 1995 Aug
Moore KW ; Read RA

関節内法、関節外法、腓骨頭転位のグループに分けられる3つの術式が、4年4ヶ月で113頭の前十字靭帯欠損後膝関節の修復に使用されていた。それらの方法の臨床結果を、オーナーと身体検査の情報により比較した。外科方法に関係なく85.7-91.0%の犬は術後臨床改善を見せた。しかし、50%以下の犬の手術した患肢から音が出て、9.0-14.3%の犬は持続性の跛行が残った。術後の結果、年齢、体重、性別、術前の傷害持続期間、傷害の関連事項、脛骨プラトーの角度、術前X線での変性性関節症の程度、内側半月板傷害の併発に統計的関連はなかった。身体検査で関節外法は、腓骨頭転位よりも関節安定期間や足の機能面で優れていた。内側半月板損傷の併発で、48%の症例が半月板切除を必要とした。22%の犬は、最初のから平均して14ヶ月に反対側の前十字靭帯の断裂を起こした。(Sato訳)

■犬の前十字靭帯断裂の治療に対する外科医の好み
Surgeons' preferences in treating cranial cruciate ligament ruptures in dogs
J Am Vet Med Assoc 205[9]:1318-1324 Nov 1'94 Survey 33 Refs
Donna L. Korvick, VMD, PhD; Ann L. Johnson, DVM, MS; David J. Schaeffer, PhD

犬の前十字靭帯断裂の診断、外科手術、術後管理について獣医外科医の好みの特徴を示すため、アメリカの大学の獣医外科専門医、外科専門診療獣医師、大学の外科医、外科研修医を含む175人の外科医を調査した。後膝関節外科に対する彼らの経験は、1->21年に等しく分布した。約70%(118/175)の外科医は、毎月3-9頭の前十字靭帯断裂を治療していた。診断で、98%(172/175)の外科医は、140度の屈曲による後膝関節の頭側引き出し検査を使用していた。後膝関節のX線写真撮影は、急性症例で53%(175/93)の外科医が行い、慢性症例では81%(141/175)の外科医が行っていた。前十字靭帯断裂の修復で、32%(56/175)の外科医は関節内法を使用せず、8%(14/175)の外科医は関節外法を使用しなかった。
術式選択は犬の大きさに依存した(P<0.05)。小型犬(すなわち<11kg)で、80%(140/175)の外科医は関節外法、14%(24/175)は関節内法を使用した。中型犬(11-29kg)では、52%(91/175)の外科医が関節外法、43%(75/175)が関節内法を使用した。大型犬(>29kg)では、外科医の選択が傷害持続期間に依存した(P<0.05)。急性傷害の大型犬には、39%(68/175)の外科医は関節外法、55%(96/175)が関節内法を選択し、一方慢性症例では、52%(91/175)が関節外法、42%(73/175)が関節内法を選択した。
よく使用される関節外法は、外側腓腹筋頭種子骨から頚骨粗面にドリルで開けた穴への縫合設置であった。関節外法によく使用される縫合糸はナイロンとポリプロピレンだった。よく使用される関節内法は、大腿筋膜を外側大腿顆にかける(オーバー・ザ・トップ法)だった。70%(83/119)の外科医は、グラフとの接着に縫合を使用し、30%(36/119)はスクリューとスパイクワッシャーを使用した。一般に外科医は、多くの関節外修復とあまりない関節内法を組み合わせていた。
多くの外科医は術後3週間以内はその関節を固定していたが、包帯法選択の23%(52/224)は関節を固定しない事を選んでいた。87%(152/175)の外科医は、12週以内の家から出さず、運動制限を選択していた。(Sato訳)
■前十字靭帯断裂の関節内法による治療の評価:犬20頭の臨床的、X線、シンチグラム造影、力板分析所見
Evaluation of an Intracapsular Technique for the Treatment of Cranial Cruciate Ligament Rupture: Clinical, Radiographic, Scintigraphic and Force Plate Analysis Findings in 20 Dogs
Vet Comp Ortho Trauma 13[4]:197-203 Dec'00 Clinical Communication 26 Refs
J. J. Geels; J. K. Roush; J. J. Hoskinson; R. M. McLaughlin

筋膜置換術での前十字靭帯断裂の治療は、良好な結果を生み、オーナーや外科医による評価で85-93%の犬が臨床的健康、間欠的跛行に回復しているが、長期の力板分析により評価されていない。この研究の目的は、アンダーまたはオーバー筋膜グラフト法で処置した前十字靭帯断裂の犬について、オーナーの評価、臨床検査、力板分析、単純X線検査、シンチグラフィーで長期臨床、X線結果を述べます。過去に片側前十字靭帯断裂の整復を行った犬20頭を研究した。オーナーに満足度は高かったが、力板分析では明らかに手術を行っていない肢よりも垂直力と瞬間力が低かった。修復後中央値17.5ヶ月で、X線写真と骨探査により手術していない肢よりも明らかな骨変化と骨膜炎が明らかとなった。アンダーまたはオーバー筋膜グラフト法で処置した犬の跛行は持続し、この跛行は変性性関節症の進行による二次的なものか、外科修復の結果によるものかは分からない。(Sato訳)

■犬の前十字靭帯断裂の症例で、ナイロンバンドによる後膝関節安定化方法
Technique for Stabilizing the Stifle with Nylon Bands in Cases of Ruptured Anterior Cruciate Ligaments in Dogs
J Am Anim Hosp Assoc 28[6]:539-544 Nov/Dec'92 Clinical Study 13 Refs
Samuel L. Beckman, DVM, Diplomate ABVP; Peter L. Wadsworth, VMD; Chris A. Hunt, BVSc, Diplomate ACVS; William B. Henry, DVM, Diplomate ACVS

前十字靭帯断裂を伴う体重20kg以上の犬で、後膝関節の安定化を外科医1人でできるよう開発された方法である。この方法を13の臨床症例に使用し、最低1年間追跡調査を行った。結果は、前十字靭帯欠損関節の安定化に使用する、他の方法で得られる結果に匹敵した。この方法の利点は、1人の外科医で素早く簡単に行え、外固定を必要とせず、早期歩行可能で、術後のケアも最低限ですむ。(Sato訳)
■前十字靭帯断裂:原因、診断、術後のリハビリ
Cranial Cruciate Ligament Rupture: Pathogenesis, Diagnosis, and Postoperative Rehabilitation
Vet Clin North Am Small Anim Pract 23[4]:717-733 Jul'93 Review Article 72 Refs
Janna M. Johnson, DVM; and Ann L. Johnson, DVM, MS

前十字靭帯の断裂は、成犬の後肢跛行の原因で良く認められる。前十字靭帯断裂の原因と結果的に起こる変性性関節症の理解は、正確な診断と適切な治療を行うために重要となる。十字靭帯が欠損した後膝関節の早期診断と適切な治療の実施で変性性関節疾患を最小限にするかもしれないが、多くの症例でそれを防ぐ事はできない。外科的に矯正した後膝関節のリハビリは、予後が良いほうに影響するだろう。(Sato訳)
■犬で前十字靭帯断裂を起こした後膝関節の超音波検査
Echographic examination of the stifle joint affected by cranial cruciate ligament rupture in the dog.
Vet Radiol Ultrasound 42[3]:266-70 2001 May-Jun
Gnudi G, Bertoni G

超音波検査は、特に軟部組織検査で正常、異常な後膝関節の試験として有効です。この研究の目的は、前十字靭帯断裂を起こした後膝関節の検査として、超音波検査を評価する事である。42頭の中型から超大型犬種を研究した。脛骨加圧X線撮影を行った。2cm厚のstandoffを組み込んだ7.5MHzのトランスデューサーを使用した。矢状、正中像を撮った。後膝関節は最大屈曲でポジショニングした。超音波所見は外科手術時の病的所見と比較した。超音波検査は、回復過程の関節内繊維組織を評価するのに有効だった。それは慢性骨関節症のX線所見を示す後膝関節の70%に観察された。関節の19.6%は前十字靭帯が断裂しているか判定不可能だった。前十字靭帯断裂の評価に、超音波検査は正確な試験ではないが、関節の不安定性の結果、観察される軟部組織の病的変化に特異性があった。(Sato訳)
■犬の前十字靭帯が不安定な後膝関節の安定化に腓骨頭転位術を行った時の合併症:80症例(1982-1986)
Complications of transposition of the fibular head for stabilization of the cranial cruciate-deficient stifle in dogs : 80 cases [1982-1986]
J Am Vet Med Assoc 195[9]:1267-1271 Nov 1'89 Reports of Retrospective Studies 14 Refs
Holly S. Mullen, DVM; David T. Matthiesen, DVM

-80頭の犬(後膝関節85)の回顧的研究
疾病素質:年齢は1-14歳(平均6.5歳)で体重は6-87kg(平均33kg)
履歴/臨床症状:術前跛行は1-370日間(平均66日)見られていた。
併発疾患:変性性関節変化(45/80)と内側半月板損傷(40/80)
治療:全ての患肢に腓骨頭転位術を施し、内側半月板損傷を伴う犬には部分的半月板切除を行った。
術中合併症:医原的腓骨頭骨折または骨頚骨折(10/80)、外側側腹靭帯断裂(2/80)、頭側drawer不安定性の発現(5/80)
術後合併症:頚骨付近のピンに覆い被さる側面の漿液腫の発生(6/56)。術後4週間以内に漿液腫ができ、2/6は治療せず改善し、出後8-20週に起こったものの4/6はピンの緩みに関連し、跛行、疼痛はピンの抜去後改善した。ワイヤーの破損は2/35に見られ、2頭とも症状はなかった。
結果、オーナーの評価(術後0.5-5年の69頭の犬):跛行なし(35/69)、運動後の一時的跛行(27/69)、または間欠的跛行(7/69)。
臨床評価(術後6-49ヶ月、56頭の犬):跛行なし(29/56)、運動後の一時的跛行(21/56)、または間欠的跛行(6/56)でオーナーの評価によく相関していた。触診で、内側後膝関節の肥厚(56/56)、軽度捻髪音(27/56)、疼痛(7/56)、頭側drawer不安定性(2/56)を認めた。
X線評価(35/56、39の膝関節):変性性関節疾患が32/39で認められ、軽度(18/32)、中程度(13/32)、重度(1/32)であった。X線変化は臨床結果と関係が無かった。
体重の影響調査:<15kgの犬(4/56)で跛行なし(2/4)、運動後の一時的跛行(2/4)だった。15-29kgの犬(16/56)で跛行なし(11/16)、運動後の一時的跛行(4/16)、間欠的跛行(1/16)だった。>29kgの犬(36/56)で跛行なし(18/36)、運動後の一時的跛行(15/36)、間欠的跛行(3/36)だった。(Sato訳)