■腹部超音波検査は敗血症性腹膜炎の犬と猫のその後の手術あるいは検死所見と常に一致するわけではない
Abdominal ultrasound has inconsistent agreement with subsequent surgery or necropsy findings in dogs and cats with septic peritonitis
J Am Vet Med Assoc. 2024 Aug 28:1-8.
doi: 10.2460/javma.24.04.0271. Online ahead of print.
Curtis G Rheingold, Cody Dickens, Anna Tran, Rebecka S Hess, Yekaterina Buriko
目的:犬と猫において腹部超音波検査は敗血症性腹膜炎を正確に診断したかどうか、その責任病変を正確に確認したかどうかを評価する
動物:腹部超音波検査を行い、試験的開腹あるいは検死で敗血症性腹膜炎を確認した84頭の飼い犬と10頭の猫
方法:この回顧的ケースシリーズは、腹部超音波所見、手術あるいは検死所見、手術あるいは検死と異なる場合、敗血症性腹膜炎の初期診断に対する方法を考証した。手術報告及び検死所見は、敗血症性腹膜炎の診断を確認するため超音波検査結果と比較した。敗血症性腹膜炎とその責任病変を超音波検査で診断した頻度は、病変病理と臓器の各タイプで算出した。2つ目の目的は、超音波検査結果に対する患者の特徴の影響および病変のタイプあるいは部位が死亡率に影響したかどうかを評価することだった。
結果:敗血症性腹膜炎を起こした多くの病変(70.2%)は消化管が起源で、非腫瘍性の潰瘍あるいは穿孔(50%)だった。腹部超音波検査は、その後敗血症性腹膜炎を確認した症例の56.3%を診断し、責任病変の67%を正確に確認した。消化管の病変及び潰瘍/穿孔は、正確に診断される頻度が多く、敗血症性腹膜炎の正確な超音波診断を導く確率が高かった。肝胆管系に位置する病変および腫瘍あるいは潰瘍/穿孔以外の病変タイプは、腹部超音波検査でミスする頻度が多かった。
臨床的関連:腹部超音波検査は、敗血症性腹膜炎あるいは基礎にある責任病変の診断で失敗することが多く、その精度は罹患した臓器および病変のタイプに依存する。(Sato訳)
■犬と猫の正常と思われる肛門嚢の超音波的形態
Ultrasound Morphology of Presumed Normal Anal Sacs in Dogs and Cats
Animals (Basel). 2024 Jun 5;14(11):1684.
doi: 10.3390/ani14111684.
Ivana Nývltová-Pírková , Pavel Proks , Hana Moserová
犬と猫の肛門嚢の超音波検査による評価は、肛門嚢疾患を確認するための実践的に有望な様式である。しかし、肛門嚢の正常な超音波的形態について入手できる情報は限られている。
この研究は、飼い犬及び飼い猫の大規模サンプルにおいて、正常と思われる肛門嚢の超音波的形態を述べる。
一施設の前向き横断記述研究を実施し、137頭の犬と131頭の猫を含めた。
背側面における肛門嚢の評価で、最も一般的な超音波的特徴は、卵円形(99.3%の犬、98.5%の猫)、両側の同じような内容物(94.2%の犬、95.4%の猫)、びまん性の高エコーの点あるいは形の無いエコー原性の物質があるほぼ低エコー(42.6%の犬、44%の猫)だった。肛門嚢の腔内のガスは2頭の犬、石灰化は1頭の犬で検出された。
15kg以下の犬と猫の体重と肛門嚢のサイズに統計学的有意な正の相関、猫の年齢と肛門嚢のサイズに相関があった。
この単純な方法は、無症候の患者の異常な所見の検出において、追加の臨床的に重要な情報を提供し、肛門嚢疾患の早期検出に貢献できた。(Sato訳)
■犬のエックス線撮影を必要とする病歴と胸部エックス線写真の診断精度との関係:回顧的ケース-コントロール研究
Association between clinical history in the radiographic request and diagnostic accuracy of thorax radiographs in dogs: A retrospective case-control study
J Vet Intern Med. 2023 Oct 16.
doi: 10.1111/jvim.16899. Online ahead of print.
Natalie Arruda Bergamaschi , Lukas Huber , Eberhard Ludewig , Alexandra Bohler , Michaela Gumpenberger , Katharina M Hittmair , Carina Strohmayer , Remco Folkertsma , Conor Rowan
Free article
背景:人医療においてエックス線写真の解釈に対する臨床的病歴の影響は広く研究されている。しかし、動物医療においてこの話題に対するデータはない。
仮説/目的:病歴を提供した時に、診断精度は改善するだろう
動物:胸部エックス線写真上の異常所見と疾患が確認されている飼い犬30頭と、回顧的に引き出した健康な飼い犬のコントロール30頭
方法:回顧的ケース-コントロール研究。胸部の60のエックス線検査を、6人の放射線医によって無作為に解釈してもらった;最初は臨床的情報に触れないで;2度目は全ての犬の臨床的情報とシグナルメントに触れてもらった。
結果:臨床的情報を提供した時、診断精度の有意な増加を認めた(臨床情報のない時64.4%、ある時75.2%;P=.002)。臨床的情報がない時とある時を比べて、放射線医間の一致性に有意差はなかった(それぞれカッパ0.313と0.300)。
結論と臨床的重要性:エックス線検査が必要な時に関連する臨床情報の追加は、犬の胸部エックス線写真の診断精度を有意に改善し、標準的な診療として推奨される。(Sato訳)
■犬において内視鏡の十二指腸挿管の容易さに対するイソフルランまたはプロポフォールによる麻酔維持の影響
Effect of anaesthetic maintenance with isoflurane or propofol on ease of endoscopic duodenal intubation in dogs
Vet Anaesth Analg. 2022 Sep 16;S1467-2987(22)00177-5.
doi: 10.1016/j.vaa.2022.09.035. Online ahead of print.
Mary Emily Tonge , Oscar Bautista Diaz-Delgado , Jodie Hughes , Thomas Maddox , Briony Alderson
目的:イソフルランまたはプロポフォール点滴で全身麻酔の維持中、犬の内視鏡十二指腸挿管(EDI)の容易さを比較する
研究計画:前向き、無作為化、部分的盲検臨床試験
動物:EDIを含む上部消化管内視鏡検査を行う合計22頭の犬を採用した。
方法:全身麻酔を維持する犬を無作為にイソフルラン(ISO;n=10)あるいはプロポフォール(PROP;n=11)に振り分けた。メデトミジン(0.005mg/kg)とブトルファノール(0.2mg/kg)の筋肉内投与の麻酔前処置後、効果が出るまでプロポフォールで全身麻酔を導入し、1.5%(気化器セッティング)イソフルランin100%O2、あるいは0.2mg/kg/minプロポフォールで維持した。処置に対する全身麻酔を適切に維持するため、両薬剤の用量を調節した。麻酔前投薬20分後の鎮静の程度、プロポフォール導入量、麻酔医及び内視鏡医のトレーニンググレード、内視鏡に対する動物の反応、胃食道および十二指腸胃逆流の有無、下部食道および幽門括約筋の自発的開放、腔の動き、EDIに達するまでの時間を記録した。使用薬剤を隠して内視鏡医によりEDIに1(最小の操作ですぐ入る)-4(120秒で入らない)のスコアを付けた。データは適切であるようにグループ間の正常性(Shapiro-Wilk test)及び相違に対し独立t検定、マン-ホイットニーU検定、フィッシャーの正確検定で分析した。
結果:EDIスコアに対しグループ間の有意差はなかった(中央値(四分位領域):2(3)ISO、2(3)PROP)あるいはEDIに達するまでの時間(平均±SD:52.50±107.00秒(ISO)、70.00±196.00秒(PROP))。ISO群に比べ、食道に内視鏡を通す時により多くのPROP群の犬が反応した(p=0.01)。
結論と臨床関連:イソフルランあるいはプロポフォールによる全身麻酔の維持は、EDIスコアあるいはEDIに達するまでの時間に影響しなかった。(Sato訳)
■正常犬で超音波検査を用いた皮膚の構造の評価に対するゲルパッドの厚さの影響
The effects of gel pad thickness on the evaluation of skin structures using ultrasonography in normal dogs
J Vet Med Sci. 2021 Jul 26.
doi: 10.1292/jvms.21-0086. Online ahead of print.
Sothavy Chhay , Kiwamu Hanazono , Jo Kitahara 1, Ai Hori , Kenjiro Miyoshi , Takaharu Itami , Daiji Endoh , Tetsuya Nakade
Free article
ゲルパッドは皮膚の超音波検査に良く使用される;しかし、それらの厚さの影響は不明である。
この研究は10頭のビーグル犬において、皮膚の厚さの測定に対しパッドの厚さの影響を調査した。
パッドなし、3、5、10、20mmの厚さのパッドを用いた時の、頸部の皮膚の厚さを測定した超音波像を保存した。
パッドなしでは、結合ジェル内のエアバブルのため、アコースティックシェードが観察された。20-mmパッドでは、皮膚表面にエコー原性アーティファクトが観察された。20-mmパッドは3-mmパッドよりもentry
echoが有意に高かった。
これは、皮膚の構造の視感度は、ゲルパッドを使用しない場合、あるいは厚いゲルパッドを使用した場合に影響を受ける可能性があると示唆される。(Sato訳)
■低アルブミン血症の犬の推定胃壁浮腫の超音波検査の特徴と有病率
Ultrasonographic Features and Prevalence of Presumed Gastric Wall Edema in Dogs With Hypoalbuminemia
J Vet Intern Med. 2020 Jul 1.
doi: 10.1111/jvim.15829. Online ahead of print.
Masahiro Murakami , Hock Gan Heng , Chee Kin Lim , Nolie K Parnell , Mario Sola
背景:胃壁浮腫の超音波検査の特徴は、低アルブミン血症の犬で報告されていない
目的:低アルブミン血症の犬において、胃壁の肥厚の有病率と超音波検査の特徴を述べることと、血清アルブミン濃度との相関性を分析すること
動物:低アルブミン血症(<2.3g/dL)の診断を受け、腹部超音波検査を行っている42頭の犬
方法:2018年から2019年にかけて医療記録の回顧的検索を実施した。超音波研究を再調査し、>5mmを胃壁肥厚と考えた。肥厚、層状所見、エコー源性、エコーテクスチャー、病変の分布のような胃壁変化と腹水の有無を記録した。連続超音波検査と病理組織所見が得られた場合は記録した。胃壁肥厚のある犬とない犬の平均血清アルブミン濃度を比較した。
結果:低アルブミン血症の犬の胃壁肥厚の有病率は21.4%(95%CI、7.4-35.4%)だった。平均胃壁肥厚は、10.0±2.0mmだった。保たれた粘膜層と粘膜下層の肥厚が全9頭で観察された。5頭の犬は、肥厚した粘膜下層に3層所見があった。散在性の壁肥厚が6頭の犬で認められた。全9頭に腹水があった。胃壁肥厚のその後の変化が3頭で観察された(範囲4-70日)。胃壁浮腫は、検死により2頭の犬で病理組織学的に確認された。その犬の血清アルブミン濃度と胃壁肥厚に相関はなかった。
結論と臨床的重要性:胃壁浮腫は低アルブミン血症の犬で一般的な所見であると示された。しかし、血清アルブミン濃度は胃壁肥厚と相関しなかった。(Sato訳)
■犬の腫瘍に関係する骨梗塞と組織学的に良性の骨梗塞のエックス線写真上の特徴
Radiographic Features of Histologically Benign Bone Infarcts and Bone Infarcts Associated With Neoplasia in Dogs
J Am Vet Med Assoc. 2020 Jun 15;256(12):1352-1358.
doi: 10.2460/javma.256.12.1352.
Sarah A Jones, Lindsey J Gilmour, Catherine M Ruoff, Roy R Pool
目的:犬の良性の骨梗塞と腫瘍に関係する骨梗塞のエックス線所見を述べることと、良性および悪性腫瘍が関係する骨梗塞の鑑別に対するエックス線検査の有用性を判定する
サンプル:肢の骨格に関与する良性(n=33)あるいは悪性腫瘍の関係する(16)梗塞のある犬49頭
方法:骨梗塞と組織学的に診断された犬を含む症例に対し、二次骨病理データベースの検索により回顧的コホート研究を実施した。症例のエックス線写真を匿名にし、何も知らされていない2人の委員会認定獣医放射線科医により組織学的分類のために再検討してもらった。侵略的と非侵略的骨病変の鑑別に一般的に使用するエックス線写真の特徴を記録し、検査医は各症例を良性梗塞、悪性関与の梗塞、あるいは区別不能に分類した。
結果:良性梗塞の16頭(48%)および悪性関与の梗塞の6頭(38%)だけが、2人の検査医により正確に分類された。骨髄溶解パターンと骨膜増殖パターンは有意に組織学的分類と関係した。悪性が関与する16の病変(100%)は侵略的な骨髄溶解があったが、33(70%)の良性病変もそうだった。16の悪性関連梗塞のうち8(50%)病変は、33の良性梗塞のうち7(21%)病変と比べ活発な骨膜増殖がみられた。
結論と臨床関連:犬の良性梗塞および悪性関与の梗塞の鑑別にエックス線写真は特別役立つことはないと結果は示唆した。(Sato訳)
■軟部組織の異物の超音波検査による診断。ケースレポートと文献のレビュー
Use of ultrasound in the diagnosis of soft tissue foreign bodies. Case
report and review of the literature
Israel J Vet Med. June 2019;74(2):57-62. 18 Refs
A M McHaney , D S Biller, E Klocke
皮下、筋肉、深部軟部組織にある異物の診断は、臨床および画像検査の観点から困難な場合もある。主な困難点は軟部組織内の異物の識別と位置特定である。異物の存在は種々の潜在的に重大な合併症を呈すため、迅速な診断と除去が悪い結果を避けるために必要である。
8歳オスのポインターが2年にわたる運動後の間欠的跛行で、Veterinary Health Centerを受診した。身体検査上、遠位前腕に小さな非疼痛性の腫れが触知された。超音波検査で20x2mmの境界明瞭な低エコーに周りを囲まれた高エコーの線状異物を認めた。異物は外科的に除去した。
エックス線検査は、異物の診断に通常最初に使用する画像様式であるが、全ての異物が放射線不透過性であるわけでなく、位置も不正確なこともあるため、かなり制限を受ける。
超音波検査は、体に残っている異物の診断に対し優秀な補助的あるいは主要画像様式である。軟部組織に存在するかなり小さな遺物でさえも、その確認にかなり感受性と特異性がある。また、異物の正確な位置、方向、深さと隣接する、あるいは取り巻く合併症を示すのに非常に有効で、医原性の組織ダメージを減らした、より的が絞られた外科的除去を可能にする。(Sato訳)
■犬の腹腔リンパ節の超音波検査による嚢胞様病変の有病率、部位、併発疾患
Prevalence, location and concurrent diseases of ultrasonographic cyst-like lesions of abdominal lymph nodes in dogs.
Language: English
Vet Rec. April 2017;180(13):326.
A Liotta , F Billen , M Heimann , A Hamaide , M Rizza , A-L Etienne , G Bolen
犬のリンパ節嚢胞様病変は腹部超音波検査中に偶然確認される。しかし、それらの有病率、臨床意義を評価する研究はない。
この観察横断研究の目的は、腹部超音波検査中に見られた嚢胞様リンパ節の有病率、最も一般的な部位と併発疾患を評価することだった。
1年の間、腹部超音波検査を行って嚢胞様リンパ節病変のある犬の該当リンパ節、犬のシグナルメント、併発疾患を記録した。
553頭中17頭で23個の罹患リンパ節が見られた(有病率3%)。最も一般に影響を受けたのは、腰部リンパ中心(7/23)、続いて腹腔(6/23)、頭側腸間膜(5/23)、腸骨仙骨(5/23)だった。17頭の犬で23の併発疾患が診断され、そのうち16は非腫瘍性(70%)だった。最も一般的な腎不全(8/23)、続いて腫瘍(7/23)、胃腸疾患(3/23)、良性前立腺疾患(2/23)、膵炎(1/23)、腹膜炎(1/23)、神経疾患(1/23)だった。嚢胞様リンパ節病変と特定腫瘍性あるいは非腫瘍性疾患の間に統計学的相関はなかった。
結論として、この研究では嚢胞様リンパ節病変の有病率は低く、異なるリンパ中心に見られ、非腫瘍性および腫瘍性の病因を含む異なる疾患に侵された犬で見つかった。(Sato訳)
■犬の腹腔リンパ節の超音波検査による嚢胞様病変の有病率、部位、併発疾患
Prevalence, location and concurrent diseases of ultrasonographic cyst-like lesions of abdominal lymph nodes in dogs.
Language: English
Vet Rec. April 2017;180(13):326.
A Liotta , F Billen , M Heimann , A Hamaide , M Rizza , A-L Etienne , G Bolen
犬のリンパ節嚢胞様病変は腹部超音波検査中に偶然確認される。しかし、それらの有病率、臨床意義を評価する研究はない。
この観察横断研究の目的は、腹部超音波検査中に見られた嚢胞様リンパ節の有病率、最も一般的な部位と併発疾患を評価することだった。
1年の間、腹部超音波検査を行って嚢胞様リンパ節病変のある犬の該当リンパ節、犬のシグナルメント、併発疾患を記録した。
553頭中17頭で23個の罹患リンパ節が見られた(有病率3%)。最も一般に影響を受けたのは、腰部リンパ中心(7/23)、続いて腹腔(6/23)、頭側腸間膜(5/23)、腸骨仙骨(5/23)だった。17頭の犬で23の併発疾患が診断され、そのうち16は非腫瘍性(70%)だった。最も一般的な腎不全(8/23)、続いて腫瘍(7/23)、胃腸疾患(3/23)、良性前立腺疾患(2/23)、膵炎(1/23)、腹膜炎(1/23)、神経疾患(1/23)だった。嚢胞様リンパ節病変と特定腫瘍性あるいは非腫瘍性疾患の間に統計学的相関はなかった。
結論として、この研究では嚢胞様リンパ節病変の有病率は低く、異なるリンパ中心に見られ、非腫瘍性および腫瘍性の病因を含む異なる疾患に侵された犬で見つかった。(Sato訳)
■非心肺疾患に対し三次動物病院に入院する犬と猫に対するスクリーニング検査として胸部エックス線写真の評価
Evaluation of thoracic radiographs as a screening test for dogs and cats admitted to a tertiary-care veterinary hospital for noncardiopulmonary disease.
Language: English
Vet Radiol Ultrasound. June 2017;0(0):.
Christine L Keyserling , Yekaterina Buriko , Bridget M Lyons , Kenneth J Drobatz , Anthony J Fischetti
胸部エックス線検査は、胸部組織に関係する臨床症状がない種々の疾患を持つ犬と猫に対し、スクリーニングツールとして使用される。しかしこれは、裏付けのある研究に支持されてはいない。
この回顧的観察研究の目的は、確実な犬と猫の集団がより高い比率のエックス線検査異常を持つかどうか、それら全ての異常が患者の入院や転帰に関係するかどうかを判定することだった。
現在あるいは過去の検査で原発性呼吸あるいは心疾患、悪性腫瘍、あるいは肺病に一致する異常な呼吸パターンの所見が見られた患者は除外した。エックス線報告において全ての顕著な胸の変化は、この研究で重要と考え、評価した。
患者のうち犬は166頭、猫は65頭だった。エックス線写真を評価した犬166頭のうち120頭(72.3%)は正常な胸部エックス線写真で、46頭(27.7%)はエックス線異常があった。65頭の猫のうち36頭(55.4%)は正常なエックス線写真で、29頭(44.6%)は異常だった。
異常なエックス線写真の犬は、有意に乳酸濃度が高く(P-値0.0348)、異常なエックス線写真の猫は有意にPCV値が低かった(P-値0.012)。
胸部エックス線写真をスクリーニングしたより大きな比率の患者(32.5%)は異常が証明されたが、比較的低い比率(6.5%)の集団はそれら異常の検出の結果として臨床プランが変更されていた。
異常なスクリーニング胸部エックス線写真は乳酸の上昇した犬および貧血あるいは低い正常なヘマトクリット値の猫に見られる確率が高いことを所見が示した。(Sato訳)
■麻酔下の犬と猫の診断画像検査に対する造影剤投与後の副作用
Adverse reactions following administration of contrast media for diagnostic imaging in anaesthetized dogs and cats: a retrospective study.
Language: English
Vet Anaesth Analg. September 2016;43(5):502-10.
Stefania Scarabelli , Peter Cripps , Eva Rioja , Briony Alderson
目的:造影剤投与後の副作用の発生率を評価する
研究計画:回顧的観察研究
動物:非イオン化ヨード系造影剤を投与した356頭の犬と58頭の猫およびガドリニウムベースの造影剤を投与した425頭の犬と49頭の猫
方法:MRI検査に対しガドブトロール静脈投与、あるいはCT検査に対しイオヘキソール静脈投与した犬と猫の麻酔記録を再検討した。造影剤を投与し、5分後の心拍数、呼吸数、平均動脈圧の変化を評価した。10-20%の変化は軽度、20%以上は中程度、すぐ処置が必要な反応は重度と考えた。造影剤反応と性別、年齢、体重の関連をロジスティック回帰で調査した。CTおよびMRI造影剤に対する反応の発生率の違いをカイ二乗検定で調べた。P値が<0.05が統計学的有意を示すと考えた。
結果:イオヘキソール投与の猫において、8頭(13.8%)は軽度、10頭(17.2%)は中程度の反応があった。ガドブトロール投与の猫において、6頭(12.2%)は軽度、6頭(12.2%)は中程度の反応があった。重度反応の猫がいなかったことと反応のリスクは、造影剤の種類、年齢、体重、性別と関係しなかった(P>0.2)。
イオヘキソール投与の犬において、64頭(18.0%)は軽度、65頭(18.3%)は中程度、3頭(0.8%)は重度反応があった。ガドブトロール投与の犬において、42頭(9.9%)は軽度、87頭(20.5%)は中程度、1頭(0.2%)は重度反応があった。イオヘキソール投与の犬とガドブトロール投与の犬を比較すると、中程度反応のオッズ比は2.0(95%信頼区間1.34-3.10;p=0.001)だった。それらの見積もりは、年齢、体重、性別で補正しても大きく変わらなかった。
結論と臨床関連:イオヘキソールとガドブトロールに対する重度反応は犬と猫でほとんどない;中程度反応は、ガドブトロールよりもイオヘキソールで起こる確率が高かった。(Sato訳)
■胸腔内の草ノギの迷走を疑う犬の超音波所見と結果:43症例(2010-2013)
Ultrasonographic findings and outcomes of dogs with suspected migrating
intrathoracic grass awns: 43 cases (2010-2013).
J Am Vet Med Assoc. February 15, 2016;248(4):413-21.
Domenico Caivano; Francesco Birettoni; Mark Rishniw; Antonello Bufalari; Valentina De Monte; Alessia Proni; Maria Elena Giorgi; Francesco Porciello
目的:胸腔内の草ノギの迷走を疑う犬の超音波所見と結果を述べる
計画:回顧的ケースシリーズ
動物:43頭の飼育犬
方法:2010年から2013年の間に胸腔内の草ノギの迷走を疑う犬の記録を検討した。超音波検査画像とともに、シグナルメント、胸水検査、エックス線、気管支鏡、CT検査所見など追加情報を収集した。外科的治療と結果も検討した。
結果:経胸郭あるいは経食道超音波検査で、23頭の犬の胸腔(n=13)あるいは肺の実質(10)に草ノギを認めた。23頭中21頭において最初の試みで草ノギの外科的除去に成功した(術中に超音波検査を位置同定のために実施し、ノギを除去した11/23頭を含む)。残り2頭は2回目の手術が必要だった。胸腔の草ノギの迷入の裏付けがある20頭の犬は、最初の超音波評価で同定された異物はなく、内科的に治療していた;16頭は瘻管が発生し、再来院時に超音波検査でノギを確認し、その後腰下領域(n=10)あるいは胸壁(6)から除去した。残りの4頭は目で見える草ノギがなかった。全ての犬の臨床症状は解消した。
結論と臨床関連:胸腔内草ノギの位置同定と除去に対し、経胸郭、経食道、術中超音波検査は有効だった。胸腔内の草ノギの迷走を疑う犬のモニタリングに対し、超音波検査は有用で容易に利用できる診断ツールと考えられる。(Sato訳)
■臨床症状、臨床病理所見、腹部超音波検査は猫の消化管の病理組織学的異常の部位を予測できるか?
Can clinical signs, clinicopathological findings and abdominal ultrasonography
predict the site of histopathological abnormalities of the alimentary tract
in cats?
J Feline Med Surg. 2015;0(0):.
Valerie Freiche; Mathieu R Faucher; Alexander J German
目的:胃腸症状を示す猫の多くは腸管、肝臓、膵臓において異常が混在している。一般的に検査は臨床病理検査、診断的画像検査、開腹あるいは非侵襲方法でのバイオプシーである。試験的開腹は全ての臓器から同時にサンプリングが可能な一方で、侵襲的であり必要ないかもしれない。
この研究の目的は、猫の消化管臓器の病理組織学的異常の存在を予測するのに、予備的臨床情報のパフォーマンスを評価することだった。
方法:消化管症状があり、最終的に試験的開腹と外科的バイオプシーを行った猫38頭の記録を再評価した。臨床症状、臨床病理所見、診断的画像検査所見、病理組織結果を再検討した。
結果:病理組織検査において、病変は肝臓バイオプシー29/37(78%)、胃腸バイオプシー29/35(83%)、膵臓サンプル17/37(46%)で認め、それらの大多数は本質的に炎症だった。臨床症状は一般に消化管において病変の存在のマーカーではなかった。さらに、肝臓の病理組織異常の検出に対し、肝酵素活性は比較的特異的(88-100%)だったが、感受性は低かった(11-50%)。膵臓の病理組織異常は膵特異リパーゼ陽性猫の1/3、陰性猫の6/8に存在した。腹部超音波検査は腸管(57-100%)、肝臓(71-80%)の病理組織異常に対し比較的特異的(57-100%)だったが、両臓器に対して感受性は欠けていた(腸管50-80%;肝臓20-25%)。対照的に、膵病変の検出で超音波検査の比較的感受性は高い(50-80%)が、特異性は低かった(17-22%)。
結論と関連:消化管症状の猫において、臨床症状および臨床病理と超音波検査異常は、肝臓および膵臓の病理組織病変に対する正確性が欠け、確実に予測できず、臓器バイオプシーを行うべきである。ゆえにおそらくは、猫の消化管障害において病理組織異常の部位を判定するには試験的開腹が必要である。(Sato訳)
■犬と猫の造影超音波検査の安全性:488症例(2002-2011)
Safety of contrast-enhanced ultrasonography in dogs and cats: 488 cases
(2002-2011).
J Am Vet Med Assoc. May 1, 2013;242(9):1255-9.
Gabriela S Seiler; James C Brown; Jennifer A Reetz; Olivier Taeymans; Melissa Bucknoff; Federica Rossi; Stefanie Ohlerth; Daniela Alder; Nathalie Rademacher; Wm Tod Drost; Rachel E Pollard; Olga Travetti; Pascaline Pey; Jimmy H Saunders; Miriam M Shanaman; Cintia R Oliveira; Robert T O'Brien; Lorrie Gaschen
目的:犬と猫の造影超音波検査(CEUS)後、24時間以内の副作用の発生率を判定し、造影剤の注射をした時としない時の超音波検査での画像検査後24時間以内の死亡の危険性を比較した
デザイン:回顧的症例-コントロール研究
動物:750頭(症例犬411頭、コントロール犬238頭、症例猫77頭、コントロール猫24頭)
方法:11施設で、CEUSを実施した犬猫(症例)と、臨床症状が同じで造影剤を注射せずに超音波検査を行った犬猫(コントロール)の医療記録を再検討した。シグナルメント、既存疾患;使用した造影剤の種類、量、投与経路;即時(CEUS後1時間以内)および遅延(CEUS後1時間から24時間以内)型副作用;死亡の発生と原因(入手できた時)に関する情報を各医療記録から抽出した。超音波検査後24時間以内の死亡の危険性は、症例とコントロールで比較した。
結果:411症例犬のうち、3頭は即時型副作用(嘔吐あるいは失神)を、1頭は遅延型副作用(嘔吐)を起こした。症例猫で副作用の記録はなかった。臨床的に病気の症例動物357頭中23頭(6.4%)と臨床的に病気のコントロール動物262頭中14頭(5.3%)は超音波検査後24時間以内に死亡した;死亡の危険性は症例とコントロールで違わなかった。
結論と臨床関連:結果は犬と猫の造影超音波検査は安全だと示した。(Sato訳)
■麻酔下の犬におけるイオン系ヨード造影剤投与後の副作用
Adverse reactions following administration of an ionic iodinated contrast
media in anesthetized dogs.
J Am Anim Hosp Assoc. 2012 May-Jun;48(3):172-5.
Amanda Vance; Matthew Nelson; Erik H Hofmeister
犬におけるイオン系ヨード造影剤の投与に関係する血行動態変化を確認する回顧的研究を行った。CTスキャンのために麻酔をかけた49頭の犬の症例記録を再検討した。心拍数(HR)および直接動脈圧の値を入手した。
全体で、37%の犬のHRあるいは収縮期動脈圧が基準から20%以上の変化を示した。4頭(8%)の犬は頻脈、2頭(4%)の犬は徐脈となった。8頭(16%)の犬は高血圧、2頭(4%)の犬は低血圧の変化を示した。全身麻酔下でイオン系ヨード造影剤の静脈投与後、有意な比率の犬がHRおよび血圧の変化を経験した。(Sato訳)
■頬骨唾液腺炎の犬の臨床および診断的画像検査所見:11症例(1990-2009)
Clinical and diagnostic imaging findings in dogs with zygomatic sialadenitis:
11 cases (1990-2009).
J Am Vet Med Assoc. November 2011;239(9):1211-8.
Matthew S Cannon; Danielle Paglia; Allison L Zwingenberger; Susanne A E B Boroffka; Steven R Hollingsworth; Erik R Wisner
目的:犬の頬骨唾液腺炎の臨床および診断的画像検査の特性を述べる
構成:回顧的症例シリーズ
動物:頬骨唾液腺炎の犬11頭と眼球後疾患の所見のないコントロール20頭
方法:MRI、CT、超音波検査などを実施した頬骨唾液腺炎の犬の医療記録を検索した。シグナルメント、臨床症状、臨床病理学的検査結果、細胞および組織診、治療、質的疾患特徴、疾患経過を記録した。MRIあるいはCTで得た画像は造影前後の信号強度あるいは密度を分析した;頬骨唾液腺領域を判定した。同じ画像検査を行ったコントロール犬の結果と比較した(n=10/方法)。罹患した犬の超音波検査画像は質的に評価した。
結果:罹患した犬のほとんど(9/11)は、中型あるいは大型犬種のオス(平均年齢、8歳)で一側性疾患だった。罹患した犬は眼球後疾患の臨床症状、頬骨唾液腺炎の細胞あるいは組織所見があった。7頭の腺で唾液腺腫瘤が検出された。コントロール犬の値と比較して、罹患した犬(n=7)のMRI所見は、腺の拡大、T1強調画像にて低信号、T2強調画像にて高信号、コントラスト強調増加で、罹患した犬(n=2)のCT特性は腺の拡大と非造影画像の低密度だった。眼窩検査を行った10頭中9頭の超音波検査で眼球後のマスを確認し、4頭で頬骨唾液腺の起源を発見した。
結論と臨床的関連:MRIおよびCTを通しての頬骨唾液腺炎の診断における解剖学的構造のビジュアル化、および隣接構造の評価は良好だった。超音波検査は決定的ではないが、サンプル収集に有用だった。(Sato訳)
■MRI後のマイクロチップの機能性
Functionality of implanted microchips following magnetic resonance imaging.
J Am Vet Med Assoc. March 2012;240(5):577-9.
Katherine A Haifley; Silke Hecht
目的:MRI後、埋め込んだマイクロチップの機能性を判定する
構成:前向き臨床試験
動物:種々の医学的な状況に対しさまざまな体の部分のMRIを行った、マイクロチップを埋め込んでいる飼育動物53頭
方法:全身麻酔を行い、各動物のマイクロチップを一般的なマイクロチップスキャナーでスキャンしてチップのナンバーを記録した。動物をMRI室に移動させ、MRIを完了した。動物を磁力環境から離し、マイクロチップを再びスキャンした。動物の情報とチップのナンバーを記録した。MRI前後のチップナンバーを比較した。
結果:53頭からスキャンした53個のマイクロチップは、種々の部位のMRI後、正確に同じナンバーを読みこんだ。
結論と臨床関連:それらのデータは、MRIはマイクロチップの機能に干渉しないことを示した。この情報は、ペットにマイクロチップを埋め込んでいるオーナーや動物に対し、MRIを勧める臨床家にとって価値がある。
■鎮静された犬における腹部CTと腹部超音波検査の比較
COMPARISON OF ABDOMINAL COMPUTED TOMOGRAPHY AND ABDOMINAL ULTRASOUND IN SEDATED DOGS.
Vet Radiol Ultrasound. 2012 May 22.
Fields EL, Robertson ID, Osborne JA, Brown JC Jr.
腹部超音波検査(US)は、腹部疾患の最初のスクリーニング検査として広く使用されている。ある種の腹部疾患の診断には、CT検査の方がUSより勝っているにも関わらず、問題となってくるのは、動いたりするのを避け、安全に抑えておくために一般的には麻酔が必要となることである。多検出器列ヘリカルCTのように、より高速な機械を使用すれば、全身麻酔を避ける事ができ、診断的価値のある画像が得られる。
27頭の鎮静した犬を体重によって3群に分け、病変を描出するために腹部USとCTを比較した。病変は、客観的な臨床的な関連性に応じてさらに分類した。25kg以下の犬においては、CTとUS間に病変検出において有意差は認められなかった。体重が25kg以上の犬においては、USよりCTを用いた方が病変をより検出しやすく(P=0.0001)、それらには臨床的な意味が認められるものが含まれていた(P=0.0277)。これらの結果から、25kg以上の犬において病変を検出するのにCTはより利点があるように思われ、こうした患者においては腹部疾患のよりよいスクリーニング検査になるだろう。(Dr.Taku訳)
■妊娠ネコの胎児と胎児外構造の超音波像
Ultrasound Aspects of Fetal and Extrafetal Structures in Pregnant Cats
J Feline Med Surg 4[2]:95-106 Jun'02 Clinical Study 8 Refs
D Zambelli, B Caneppele, S Bassi, C Paladini
Veterinary Clinical Department, Obstetrical and Gynaecological Section, University of Study of Bologna, Via Tolara di Sopra 50, 40064 Ozzano Emilia, Bologna, Italy
出生前のネコの胎児の成長と、子宮-胎盤の発育を、10MHzセクタープローブの超音波走査装置で検査した。16頭の妊娠ネコの子宮、胎盤、胚、胎児、胎膜を妊娠経過中モニターした。13頭は特定日に卵巣切除を行い、3頭は出産した。カーソン-バッファーホルマリンで固定した種々の解剖学的構造物を切断し、超音波像と比較した。
超音波検査により胎児発育のどのステージの評価も可能である。妊娠腔は10日目、その腔内の胚は14日目に見ることができる。20日目には全ての胎膜の評価が可能になり、その後、胃(30日)、腸(40日)、眼(水晶体)(50日)、腎臓(39日)、大脳脈絡膜叢(40日)などの器官や構造が確認できる。
我々の観察をもとに、妊娠ネコの超音波検査中に病状、または発育の異常を容易に確認できるだろう。(Sato訳)